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カテゴリー「ECM」の記事

2017年3月 5日 (日)

多国籍トリオ,Benedikt Jahnel TrioのECM第2作:これは私の好みだなぁ。

"The Invariant" Benedikt Jahnel Trio (ECM)

_20170304この人たちの前作"Equilibrium"が非常によかったので,今回の作品も期待できると思っていたが,予想通りの作品に仕上がっている。

ドイツ~スペイン~カナダのミュージシャンからなるこのトリオの音楽は,基本的には欧州的なテイストを持つものであり,美的で静謐で内省的な演奏を基本としながら,ビートも感じさせる瞬間もあり,非常にバランスの取れた演奏だと感じさせる。

そもそも私はこの手のECMにおけるピアノ・トリオの演奏が好物である。Marcin Wasileuski然り,Tord Gustavsen然りである。最近はGiovannnii Guidi等も加わって,ECMのピアノは更にラインアップが強化されているが,このBenedikt JahnelのトリオもManfred Eicherのお眼鏡にかなうだけのことはあると思わせる演奏ぶりである。

とにかく,リーダー,Benedikt Jahnelの書く曲の美しさも見事なものであり,この手のサウンド好きには無条件にOKと言わせるに違いない作品である。もちろん,私もこの作品はもろ手を挙げて推薦したい。こういう音楽を聞くタイミングとしてはいつがいいのかなぁなんて思うが,週末の昼下がりに本でも読みながら聞いていたら,読書も心地よく進むこと間違いなしだろう。甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。いいですわ~。

Recorded in March, 2016

Personnel: Benedikt Jahnel(p), Antonio Miguel(b), Owen Howard(ds)

2017年3月 3日 (金)

Jakob Bro@Cotton Club参戦記

_20170302ここのところ,飲み会続きで体力がきつい中,あまり帰宅が遅くなってばかりだと家人の顰蹙を買う。そんな中でJakob BroのライブがCotton Clubで開催されると知り,行くかどうか,迷いに迷っていたのだが,Thomas Morgan~Joey Baronというトリオは,今回を逃すといつ聞けるか(見られるか)わかったものではないということで,参戦を決意したのがライブ前日。上述の通り,帰りが遅いと何を言われるかわからないので,今回は私には珍しく1stセットを聞きに行ってきた。

Jakob Broと言っても,知っている人は知っているだろうが,日本の知名度はまだまだと言ってよいだろう。なので,今回も集客の心配をしていたのだが,やはり入りはイマイチって感じで,大体5割の入りってところか。

そして繰り広げられた音楽は,CDで聞かれたものと印象は同じで,ある意味アンビエント的,環境音楽的な響きであった。しかし,Thomas Morganのベースは繊細でありながら,テクニックは確か,そしてJoey Baronはスティックだろうが,ブラシだろうが,マレットだろうが,平手打ちだろうがなんでもござれの状態で,こうした環境音楽的なサウンドに対しても的確,そして時にダイナミックにサポートする。そしてJakob Broのギター及びトリオの響きは「幽玄」という表現しか思いつかないようなものであった。しかし,一部ではスライドにエフェクターをかませて,ロック的なアプローチを見せるなど,アンビエントだけではないところを示した。とは言え,全体的に見れば,これは環境音楽的アプローチであることは間違いない。それが証拠に,私の周りには完全に熟睡していたオーディエンスが少なくとも3人はいた(笑)。

だが,心地よくまどろめる音楽はいい音楽だとも言えるわけで,音楽のタイプにしては,アンコールを求めるオーディエンスの反応はかなり熱いものがあり,結構受けていたと思えるのはよかった。だからこそ,1st終了後,2ndも続けて聞きたいと店員に話していた聴衆がいたということでもあるが,3者が一体となった非常にいい演奏だったと思う。

Jakob_bro_i_mosaic1stセットゆえ,サイン会があるかどうかは微妙かなと思っていたが,ちゃんとやってくれたので,ついでにJakob BroとThomas Morganと写真を撮影してもらった。いつも通り私の顔にはモザイクを掛けるが,Joey Baronは別テーブルでお知り合いとお話し中だったので,写真には写っていない。だが,話に割り込んでサインだけはしてもらった私である。こういうときは図々しさも大事である(きっぱり)。

それにしてもThomas Morgan,シャイなのかよくわからないが,内省的なベースはキャラそのものではないかと思えるほど物静かな感じの青年であった。いずれにしても,ECM(あるいはManfred Eicher)に重宝がられるのも当然のような音であったと言っておこう。

Live at Cotton Club on March 2, 2017

Personnel: Jakob Bro(g), Thomas Morgan(b), Joey Baron(ds)

2017年2月25日 (土)

出た!久々のRalph Townerのソロ・アルバム

"My Foolish Heart" Ralph Towner(ECM)

_20170221私が贔屓にしているミュージシャンは結構いるが,その中でもRalph Tonwerはトップ5に入れられるミュージシャンだと思っている。自分が多少ギターを弾くということもあるが,この人のギターの響きは私の琴線にいつも触れてくるのである。

そんなRalph Townerが久々に放つソロ・アルバムである。ソロ・アルバムは2006年リリースの"Time Line"以来であるから10年以上が経過している。まぁ,その間にもPaolo FresuとのデュオやWolfgang Muthspiel,Slava Grigoryanとのギター三重奏のようなアルバムがあったから,そんなに久しぶりって感じはしないのだが,それでも"Diary"やら"Solo Concert"のようなソロ作品を長年愛してきたRalph Townerのファンとしては,ソロ・アルバムと聞いただけで反応してしまうようなところがあるわけだ。しかもアルバム・タイトルは"My Foolish Heart"である。

Ralph TownerはこれまでもBill Evansゆかりの曲を演奏してきた。それはRalph TownerによるBill Evansへのシンパシーの表れということだろうが,楽器は違えども同質のリリシズムを発揮するところに私は魅かれているのだと思う。ライナーにもRalph Townerも書いているが,Bill Evans~Scott LaFaro~Paul Motianのトリオは,Ralph Tonwerにとってもインスピレーションの源泉なのである。

このアルバムはタイトル・トラックを除いて,Ralph Tonwerのオリジナルであるが,これがまた粒ぞろいの佳曲群である。今回の新作に合わせて,久しぶりにソロによる前作"Time Line"を聞いてみたのだが,ややアブストラクトな感覚の曲もあった"Time Line"に比べて,本作収録曲はメロディ・ラインが明確なものが多いように感じさせる。そのため,リリカルでありながらも,より明るい印象を与えるが,やはりこのアルバムを聞いていて,私はRalph Townerというミュージシャンが好きなのだということを再認識させられた。我ながら単純だと思いつつ,今回も見事にしびれさせられてしまったのである。まさにOne & Onlyだと言ってもよい世界だが,クラシック・ギターが主力ながら,やはりこの人の12弦ギターの響きは独特であり,もっと12弦を弾いてくれとさえ思ってしまう。

いずれにしても,今回もこの人のギターの響きを堪能させてもらった私である。久々感のおまけ感覚もあり,星★★★★★としてしまおう。やっぱりええですわ~。

Recorded in February 2016

Personnel: Ralph Towner(g)

2017年2月13日 (月)

ユニークな作りの児玉桃によるECM第2作

"Point and Line" 児玉桃(ECM New Series)

_20170212_3_2日本のピアニスト,児玉桃がECMからアルバム"La Vallée Des Cloches"をリリースした時には,その年のベスト盤の1枚に選出するほど,優れたアルバムだと思った(記事はこちら)。そのレパートリーが非常に私の好みだと思ったが,ピアノの響きに身を委ねたいと思ったことは今でも記憶に新しい。

その児玉桃がECMから第2作となるアルバムをリリースすると知った以上,これは買わないわけにはいかないし,聞かないわけにもいかない(きっぱり)。ということで,デリバリーされたものを早速聞いたのだが,これが非常にユニークな作りではあるが,前作同様に優れたピアノ作品になっていて,嬉しくなってしまった。

今回の作品の特徴はドビュッシーと日本の現代音楽作曲家,細川俊夫の"Etude"が交互に出てくるというのが,まずユニークなところである。まぁ,これがバッハと細川俊夫が交互に出てくれば,私も頭を抱えたかもしれないが,近代作曲家と言ってよいドビュッシーと,細川俊夫ならば,それほど違和感はない。むしろ,ここで想定されているのは,二人の作曲家の作品を並列させながら,それを一つの組曲のように成立させようという試みのように思える。

ライナーに児玉桃も書いているように,ドビュッシーの「エチュード」はその番号にかかわらず,単体でも,組み合わせで弾いてもいいという自由度の高いものであり,このアルバムでもそうした考え方に基づいて配置されている。それらに挟み込まれるのが細川俊夫の「エチュード」ということになる。作曲されたタイミングにはほぼ100年近い違いがある二人の作曲家の作品を相互に連動させて,一枚のアルバムを構成させるというのが本作の狙いとすることは,児玉桃とECMの総帥,Manfred Eicherの合意のもとに行われており,それがいかにもECMらしいと思わせるところであり,そして見事な成果になっていると思う。

私が現代音楽のピアノ作品が好きだということもあるが,今回のこの作品もドビュッシーのエチュードという,ドビュッシー最晩年の作品と,児玉桃自身が初演者となっている曲を含む,細川俊夫作品の意表を突いた組み合わせによって生み出される美しい響きに改めて身を委ねたくなった私である。これはもはや私のツボにはまった音楽である。星★★★★★。

Recorded in January 2016

Personnel:児玉桃(p)

2017年1月25日 (水)

相変わらずのMr.中音域(笑):Colin Vallon。

"Danse" Colin Vallon (ECM)

_20170122Collin VallonのECM第3作である。私は前作"Le Vent"を評して「アルバムを通じて,ある意味環境音楽のような音楽が流れ続ける。感覚的にはフランス映画のBGMのようだと言ってもよいかもしれないぐらいの感じ」と書いて,星★★☆というECMに甘い私にしては辛い評価をした。更に第1作"Rruga"に関しては「中音域が中心で,かなり落ち着いた響きを醸し出している」と書いているが,その印象は本作でも全く変わらない。結局こういう音楽の人なのである。

本作においても,音使いは中音域が中心であり,"Tsunami"に顕著なように,左手から繰り出されるリズムはミニマル的に響く。前作には辛い評価をした私だが,今回もそう高くは評価できないとしても,前作よりは印象はよかった。だが,ほかのECMのピアニスト,例えば先日当ブログに取り上げたBenedikt Jahnelと比べても,個性,美的感覚,タッチともに,私に響いてこない。

もちろん,ECMらしいピアノの響きは相応に美しいと思うが,起伏の乏しさは否定できない事実である。ECMのピアニストには清冽でクールな感覚を持つ人は多いが,この人の低い温度感は飛び抜けている気がしてならない。

結局のところ,私にとってはTigran Hamasyanとの相性の悪さ同様のものをCollin Vallonには感じてしまう。私にとってはTigran Hamasyanは何度聞いてもいいと思えない代表みたいな人(苦笑)だが,Collin VallonはTigran Hamasyanほどではないとしても,私の感情に訴求してこないのだ。アブストラクトな感覚の曲調の演奏をしても,ECMのほかのピアニストなら気にならない(むしろ喜ぶ)のだが,Collin Vallonの場合は,この人の演奏の気に入らない点が浮かんできて仕方ないのである。ミニマル・ミュージックに耐性のある私(耐性どころか積極的に聞いているって話も...)ではあるが,この人の音楽を面白いと思えないのは本当に相性としか言いようがない。前作,本作を聞いて,次も買おうというモチベーションが高まらないのは残念なことである。星★★★。結局は趣味じゃないんだってことにしておくが,ECMから出たとしても次作の購入は多分ないだろうなぁ。

Recorded in February, 2016

Personnel: Colin Vallon(p), Patrice Moret(b), Julian Sartorius(ds)

2017年1月16日 (月)

新譜のリリースを前に,Benedikt Jahnel TrioのECM第1作を聞く。

"Equilibrium" Benedikt Jahnel Trio (ECM)

_20170115間もなくECMからの第2作,"The Invariant"のリリースが迫るBenedikt Jahnelであるが,この人聞いたことがあったかなぁ?なんて思ってECM棚(笑)を見たら,あった,あった。危うくダブり買いをするところであった。それだけちゃんと聞いていないということの裏返しで,反省した私である。

ドイツ出身のBenedikt JahnelはECMにはCyminologyというグループ名義でもアルバムを残しているが,そちらも未聴の私には,正直どういうピアノだったのかという情報が欠如していた。しかし,ECMのサイトで新作の音源をちらっと聞いて,これは多分私の好みだなぁなんてことで,新作は発注済みの私だが,このECMでのトリオ第1作については,本当に記憶になく,保有していることすら忘れていたのは実に情けない。

しかし,このアルバムを聞けば,いかにもECMらしい美しいピアノ・トリオの音となっていることがわかって,もっと早くちゃんと聞いておくべきだったと思ってしまった私である。ドイツのミュージシャンというと,もう少しアブストラクトな感覚が強い演奏を想像してしまうが,これは若干そうした表現も聞かれるものの,基本的にはECM的美学に彩られた演奏ということができると思う。人によっては,こういう演奏って,どれを聞いても同じに聞こえるという批判もありそうだが,いいのである。ECMの音が好きな人間にとっては,こういう音が出てくるだけで満足してしまうのである。

このトリオ,リーダーはドイツ,ベースはスペイン,ドラムスはカナダという国際的な編成であるが,トリオ結成から今年で10年ってことはこのレコーディング時は結成から4~5年ぐらいってこともあると思うが,非常にバランスの取れた演奏を聞かせて,これはいいトリオだと思えた。ということで,私の趣味にジャスト・フィットであり,新作への期待も高まったこともあり,星★★★★☆としよう。それにしても,Manfred Eicherも次から次へといいミュージシャンを見つけてくるねぇとまたまた感心。

Recorded in July 2011

Personnel: Benedikt Jahnel(p), Antonio Miguel(b), Owen Howard(ds)

2017年1月10日 (火)

今年最初のECMレーベルはJohn Abercrombieの新作。

"Up and Coming" John Abercrombie Quartet (ECM)

_20170107昨年も素晴らしい作品を連発して,音楽好きを唸らせたECMレーベルであるが,私の今年の最初のECMのディスクはJohn Abercrombieの新作である。前作"39 Steps"発表後,今回も参加のMarc Coplandを連れて来日したのも,もう2年前以上の話になるのかと思うと,時の経つのは早いと思わざるをえない。ということはアルバムも約2年半ぶりのリリースということになるが,久しぶりって感じはしない。メンツは今回もMarc Copland入りの前作から不動のクァルテット(特にGress~Baronとの付き合いは更に長いが...)だが,これが何とも穏やかなアルバムとなっている。

まぁ,ジョンアバは録音当時71歳だし,一番若いJoey Baronだって還暦を過ぎているクァルテットなので,音楽が落ち着いたものとなることは当然と言えば当然なのかもしれないが,それにしても,静謐で美しい音楽となっているのが,いかにもECMらしい。ある意味枯れた味わいとでも言うべきものだが,いかにもジャズ的に響く瞬間もあり,なかなかいいアルバムだと思える。

基本的にはジョンアバとCoplandのオリジナルで占められた本作において,唯一の例外として彼らが"Nardis"をやっているところに私としては耳が行ってしまう。CoplandはRalph Townerとのデュオ作"Songs without End"で"Nardis"をやっているが,当然,このクァルテットにとってもフィットするチョイスとなるだろうと思えたからである。結果としては予想通りと言ってもよいかもしれないが,今まで聞いたどの"Nardis"よりも穏やかであっさりとした印象を与えるのが,やはりこのアルバムのイメージを物語っているように思える。まぁ,ある意味,カヴァー・アートのSheila Rechtshafferのパステル画は,実にこの音楽をよく表しているようにも思える。この人のパステル画ってのは,結構後期ターナーもしくは印象派の絵画をややダークにした感じもする(換言すれば,いわゆるパステルっぽくない)のだが,そういう観点で聞くとまた面白いねぇ。

いずれにしても,全編に渡ってそんな感じなので,刺激には乏しいとも言えるのだが,こういう音楽を必要とする場合もあると思えるし,穏やかに新年を過ごすには適したアルバムだったということで,甘いとは思いつつ,星★★★★☆としてしまおう。いずれにしても,リーダーのジョンアバには甚だ失礼ながら,特筆すべきはMarc Coplandのピアノのタッチの美しさとフレージングだと思ってしまうのが,ファンの弱みである(苦笑)。

Recorded in April & May, 2016

Personnel: John Abercrombie(g), Marc Copland(p), Drew Gress(b), Joey Baron(ds)

2016年12月16日 (金)

ECM「積んどく」シリーズの4枚目はFerenc Snétberger。

"In Concert" Ferenc Snétberger(ECM)

Ferenc_sntbergerちょっと間があいたECM未聴盤の掘り起こしシリーズの4枚目。Ferenc Snétbergerって記憶にある名前だと思っていたら,Enjaから出たベスト盤は保有しているはずだが,現在行方不明(爆)。件のアルバムは,店頭かどこかで聞いて購入したものの,一軍を張るまでは行かず,今や二軍にも入っていないのだから,私の審美眼もいい加減なものである。

それはさておきである。本作はFerenc Snétbergerがブダペストにおいて,ライブ・レコーディングしたソロ作であるが,アルバムの曲名が"Budapest Part I-VIII"となっているところからすると,Keith Jarrettのように完全即興で臨んだ作品と考えていいのだろう。ついでにアンコールが"Over the Rainbow"ってところからしても,Keithの世界をギターでやろうとしたように思える。だが,Keith Jarrettのような緊張感というよりも,より開放的な感じで,曲調も親しみやすいものとなっているのが特徴的。

非常に聞きやすいアルバムなので,Keith Jarrettのアルバムと同列に扱うことはできないし,ある意味,この人の出自を考えれば,これぐらいは楽勝でできてしまうのではないかという感覚があるのも事実である。ということで,高く評価することはないとしても,悪いアルバムだということでは決してない。逆にこんなに即興的に弾けてしまうということに,なんちゃってギタリストの私としてはジェラシーを感じざるを得ないと言っておこう。星★★★☆。

Recorded Live at Liszt Academy, Budapest in December 2013

Personnel: Ferenc Snétberger(g)

2016年12月 4日 (日)

David Virellesの10インチ盤:なぜこれが突然ECMからリリースされるのか,全くの謎だ。

"Antenna" David Virelles(ECM)

Antennaブログのお知り合いの工藤さんが情報をアップされていて,そのリリースを知ったDavid Virellesの10インチEPである。6曲,22分しか収録されていないこのアルバムについては,これがなぜECMからリリースされるのかは全くの謎である。

プロデュースはDavid Virelles自身とアルバムにも参加しているAlexander Overingtonが行っており,Manfred EicherもSun ChungもSteve Lakeも一切関わっていない。そして,このジャケット・デザインである。全くECMらしくないのである。また,David VirellesのECM初リーダー作である"Mboko"とも全く雰囲気が違っていて,私としては戸惑ってしまったというのが正直なところである。

音楽としても,かなりアバンギャルドあるいは実験的な感覚が強く,そうした音源が,わざわざ10インチEPという,現在では極めて特殊なフォーマットでECMからリリースされる理由が理解できないのだ。まぁ,これは保有していることに意義があるって感じなのかもしれないが,ECMとしては極めて異色のリリースと言わざるをえない。ただ,通常のECMリリースとのギャップが大き過ぎて,正直あまり評価できない。星★★ぐらいで十分だろう。

Antenna_labelちなみに,本作の製造は米国で行われていて,Distributed and Marketed by ECM Recordsとある。かつ,レーベル・デザインも通常のECMとは異なっているので,ますます謎は深まるばかりである。まぁ,何らかのコネがあったんだろうとしか言いようがない。

尚,クレジットにパーカッションとして記載されているLos SeresとはDavid Virellesによりプログラミングされた架空のパーカッション・アンサンブルなので,念のため。

Personnel: David Virelles(p, org, el-p, prog, sample), Alexander Overington(electronics, sample, cello), Henry Threadgill(as), Román Díaz(vo), Marcus Gilmore(ds, MPC), Rafiq Bhatia(g), Etián Brebaje Man(vo), Mauricio Herrera(perc), Los Seres(perc)

2016年12月 2日 (金)

ECM「積んどく」シリーズの3枚目はMarkus Stockhausen & Florian Weber。

"Alba" Markus Stockhausen & Florian Weber(ECM)

AlbaECMの未聴盤掘り起こしシリーズの3枚目である。春ごろに出たアルバムを今頃取り上げているのもなんだかなぁ...。それはさておき,Markus StockhausenはECMにも何枚かアルバムを残しているが,ECMからのリリースは2000年に出た"Karta"以来のことだから,随分と久しぶりになったものだ。

今年出たECM作品では同じ編成でのWadada Leo SmithとVijay Iyerのデュオってのがあったが,随分と感じが違うと思わせるのが,いかにもECM的である。静謐と躍動をうまくミックスしながら,想定以上にメロディアスだったのが新鮮であった。Karlheinz Stockhausenの息子だけに,こっちが身構えているだけって話もあるが(笑),こんなラッパだったっけ?と思ったのも事実である。

しかし,それ以上に効いていると思わせるのが,Florian Weberのピアノである。この人の名前はどこかで聞いたことがあるが,このブログの記事にはしていないので,勘違いかもしれないが,なかなかのテクニックを持った美しいピアノを弾く人である。タッチもクリアで,この人の実力は侮れないと思った。

いずれにしても,これって典型的なECMサウンドと言ってもよい作品であり,昔からのファンでもこれは結構嬉しくなる作品である。せっかくだからMarkus Stockhausenの作品を聞き直してみるか。いかに自分がちゃんと聞いてないかバレバレになりそうでこわい...。いずれにしても,抒情性もあって,これは好きだなぁ...。もっと早く聞いておけばよかった(爆)。星★★★★☆。

Recorded in July, 2015

Personnel: Markus Stockhausen(fl-h, tp),Florian Weber(p)

 

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