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カテゴリー「ECM」の記事

2017年4月27日 (木)

夜遅くにECMのアルバムを聞いて思ったこと。

私はそこそこのECMレーベルの音楽好きだということは,このブログにECMというカテゴリーがあることや,記事,あるいは推薦盤の多さからわかって頂ける読者の方が多いと思う。だが,近年のECMレーベルは,もの凄い数の新譜がリリースされており,正直言って全部追えるわけではない。特に,ECM New Seriesの一部は,私にとっては全くの関心外なのだ。逆に言えば,ブログのお知り合いの910さんが,ECMレーベルの全ての新譜をフォローされていることがいかに大変かということの裏返しと言ってもよい。

これだけ新譜のリリースが多いと,繰り返しプレイバックをする機会にはなかなか恵まれないということにもなるのだが,それと同時に,ある程度CDやレコードの保有枚数が増えれば,「いつ聞くねん?」という質問には正直答えにくいのが実態だ。だから,私もECMレーベルのアルバムに関して相当数を保有していたとしても,繰り返し聞くことはまれになるのも当然なのだ。

しかし,夜遅くにたまたまECMのアルバムをプレイバックしていて,一聴してECMの音だとわかったとしても,「誰の」,「どの」アルバムかまで言い当てられるかと聞かれれば,全く自信がなくなってしまった。もちろん,CDプレイヤーにのせる前に,自分でアルバムを選んでいるのだから,誰のアルバムかはわかって聞いているのだが,やはり聞き方が足りない。もちろん,ECMでも「ケルン」とか「クリスタル・サイレンス」とか,一発でわかるものもないわけではないが,例えば,ジョンアバのアルバムが鳴っていて,ジョンアバのギターとわかっても,それがどれだかわからないなんてのは十分あり得るわけだ。

中学生とか,高校生の頃,月1枚LPを買うのが精一杯だった頃を思えば,こういうのは絶対よくないと思わざるをえず,極力手持ちのアルバムの魅力を再確認すべきなのだろうと思ってしまったのも事実である。特にECMのアルバムであれば,深夜にプレイバックしても,顰蹙を買うようなアルバムは,従来からも,最近も比較的少ないと思うので,温故知新モードもいいかもしれないなぁと思ってしまった。

_20170423_3_2ということで,これも全くのきまぐれながら,温故知新を続けてもいいなぁと思っているのだが,私にこんなことを感じさせた罪なアルバム(笑)はMisha Asperinの"North Story"である。よくよく見れば,Tore Brunborgがテナーを吹いているし,ベースはTerje Geweltだ。このアルバムがリリースされた頃は全く意識していなかったようなミュージシャンの名前に,このアルバムのライナーで改めて出会って,好きだ,好きだと言いながら,何にもわかってないじゃん,と大いに反省した私であった。アルバムのジャケの印象すらほとんど記憶になかったのだから,何をかいわんやである。まぁ,ECMは似たようなジャケのアルバムも存在するので,仕方ないんだと開き直ることも可能だが...(笑)

いずれにしても,気まぐれとは恐ろしいとは思うが,気まぐれゆえに再発見することもあるということで,ECMの古いアルバムや,ちゃんと聞いていないアルバムを聞く気満々になった私であった。ところで,最近はMisha Asperinの名前は,あまり聞かなくなったが,何をしてるんだろうねぇ。

さて,次は何を聞く?(爆) 実に悩ましいところだ。

2017年4月24日 (月)

ECMからリリースされたDominic Millerのアルバム。

"Silent Light" Dominic Miller (ECM)

_20170423このアルバムのリリースが告知された時,「へぇ~,Dominic MillerがECMなんだ」と思ったのが正直なところである。私の中では,Dominic Millerと言えば,長年,Stingのバックを務めてきたイメージが強いが,そんな彼がECMからアルバムをリリースするというのは正直意外であった。だが,ECMは最近はそうでもないが,初期のアルバムにはギタリストのアルバムが多数あったし,Manfred EicherがDominic Millerの演奏に,レーベルとのフィット感を見出だしたということであろう。

そして,このアルバムであるが,難しいところはなく,極めて聞き易く,その一方で美的な感覚もあるアルバムとなっている。こういう音楽は昼間に聞くよりも,夜が更けてから,タイトル通り,"Silent Light"に照らされながら,静かに聞くのがぴったりという感じの曲が並んでいる。曲はStingの"Fields of Gold"を除いて,Dominic Millerのオリジナルであるが,"Baden"なんて曲からして,Baden Powellに因んだものと思わせるボサノバ・タッチを聞かせるところもあり,,これはECMファンならずとも,訴求力の高いアルバムだと思わせる。

このアルバムがECMレーベルにとって,珍しいなぁと思わせるのが,StingとPaul Simonがライナーにコメントを寄せていることだろう。それがDominic Millerのこれまでのキャリアを示していることにもなるが,その一方で面白いのが,Dominic Millerが最初はEgberto Gismontiの"Solo"とPat Metheny Groupの"Off Ramp"の中間を行くような音楽を最初は作りたいと思っていたらしいことである。ライナーによれば,EicherとMillerでいろいろなメンバー構成を考えていたらしいのだが,スケジュールが折り合わないとかの理由により,結局,ソロ+αのような構成に行きついたということだが,静謐な中に,オーバーダビングも含めて,トリオ編成で演奏される"Chaos Theory"を聞くと,現在,トリオ編成で来日している演奏も気になってくるところだが,私はスケジュールが合わず,見に行けないのが残念である。

いずれにしても,しびれるような美学という感じではないが,多くの人に抵抗なく受け入れられることが可能であろうと思わせる佳作。星★★★★。

Recorded in March 2016

Personnel: Dominic Miller(g, el-b), Miles Bould(perc, ds)

2017年4月 7日 (金)

ECMにおけるGary Burtonの未CD化作品:別に悪くはないんだけどねぇ。

"Easy as Pie" Gary Burton Quartet(ECM)

Gary_burton_quartet_easy_as_pie_covECMレーベルには未CD化の作品が残っているが,最近はCD化されても,廃盤状態化したものはダウンロード音源化するか,ボックス・セットで復活させるって感じがするが,デジタル音源化にはあまり熱心とは思えないというのが実態である。

まぁ,中にはCD化する必要もないって作品がある一方で,なんでこれがってのも結構ある。今はボックス化して入手ができるようになったが,Richie Beirach入りのJohn Abercrombie作品が最たる事例だろう。これはRichie BeirachとManfred Eicherがもめた結果ということらしいが,Gary BurtonやSteve Kuhnにさえ未CD化のアルバムがあるというのは,なんでなんだろうと思ってしまう。本作もその一枚。まぁ,Gary Burtonの作品はカタログには載っていても,入手困難化しているものもあるが,できるだけ入手はできるようにしておいて欲しいと思うのが人情だろう。

そんな中で,このアルバムであるが,いつものGary Burtonと言えばそうなのだが,違和感があるとすれば,Jim Odgrenのアルト・サックスと言えないこともない。OdgrenはGary BurtonとBerkleeでの同僚と言うことになるのだろうが,朗々と吹くのはいいのだが,ECMのカラーとはちょっと違うのではないかと思わせる。まぁ,それでもChick Coreaとのチューリッヒでのライブでもやった"Tweak"をやっていたり,Ellington~Staryhornの"Isfahan"とか,”Blame It on My Youth"とかやっていて,なかなか面白い選曲なので,CDとして出してもよかったんじゃないの?と思うのは私だけではないだろう。

そうは言っても,ECMレーベルの新譜ラッシュを見ていれば,旧譜のカタログを維持することよりも,新作のリリースに軸足を置いているのは明らかで,逆に言えば,廃盤化しないうちに,欲しいと思ったらECMの作品はゲットしておいた方がいいってことになるんだろう。

いずれにしても,私にとっては,Gary Burton作品としてはもっといいものもあるってことで,星★★★☆ぐらいが適当かなってところ。

Recorded in June 1980

Personnel: Gary Burton(vib), JimOdgren(as), Steve Swallow(el-b), Mike Hyman(ds)

2017年4月 2日 (日)

Julia Hülsmann:ECMらしい静謐なピアノ・トリオ

"Sooner And Later" Julia Hülsmann Trio(ECM)

_20170401私はこの人のアルバムは購入しているものの,昨今のECMのリリース・ラッシュに圧倒され,購入後積んどく状態になっているものがある。2011年リリースの"Imprint"なんて,ジャケは印象に残っているのだが,どうしても見つからない。ってことは購入していないのか?(爆)

というような状態で,このブログにもこの人のアルバムは"The End of a Summer"をアップしているだけである(記事はこちら)。ということで,本ブログでは久々のJulia Hülsmannということになるが,いかにもECMらしい静謐系ピアノ・トリオの音には,このレーベルの音楽を愛好するリスナーなら嬉しくなってしまうこと必定である。

やはりこの系統の音楽はECMの代表みたいなところがあって,昨今,ピアノ・トリオのアルバムが続々とリリースされるECMレーベルでは,大体こういう感じが多い。そして大概,私の場合はやられてしまうのである。もはや中毒性の音楽と言ってもよい。美的な音楽であり,基本的には静謐なサウンドであるが,本作においてはビートを効かせた曲もあって,難解なところは何もない。だからこそ,ほかのECMレーベルの作品よりも,一般的なリスナーにも訴求するのではないかと思える。

例えば,"Soon"のような曲では,シンセサイザーかエレピを使うと,更に面白い効果が得られるようにも感じられるが,そこは総帥Manfred Eicherが許さないってところか(笑)。いずれにしても,昨今のECMのピアノ・トリオにははずれは少ないが,本作にも大いに満足させられた私である。Benedikt Jahnelといい,このトリオといい,いいねぇ。ってことで,評価もついつい甘くなり星★★★★☆。

Recorded in September 2016

Personnel: Julia Hülsmann(p), Marc Muelbauer(b), Heinrich Köbberling(ds)

2017年3月 5日 (日)

多国籍トリオ,Benedikt Jahnel TrioのECM第2作:これは私の好みだなぁ。

"The Invariant" Benedikt Jahnel Trio (ECM)

_20170304この人たちの前作"Equilibrium"が非常によかったので,今回の作品も期待できると思っていたが,予想通りの作品に仕上がっている。

ドイツ~スペイン~カナダのミュージシャンからなるこのトリオの音楽は,基本的には欧州的なテイストを持つものであり,美的で静謐で内省的な演奏を基本としながら,ビートも感じさせる瞬間もあり,非常にバランスの取れた演奏だと感じさせる。

そもそも私はこの手のECMにおけるピアノ・トリオの演奏が好物である。Marcin Wasileuski然り,Tord Gustavsen然りである。最近はGiovanni Guidi等も加わって,ECMのピアノは更にラインアップが強化されているが,このBenedikt JahnelのトリオもManfred Eicherのお眼鏡にかなうだけのことはあると思わせる演奏ぶりである。

とにかく,リーダー,Benedikt Jahnelの書く曲の美しさも見事なものであり,この手のサウンド好きには無条件にOKと言わせるに違いない作品である。もちろん,私もこの作品はもろ手を挙げて推薦したい。こういう音楽を聞くタイミングとしてはいつがいいのかなぁなんて思うが,週末の昼下がりに本でも読みながら聞いていたら,読書も心地よく進むこと間違いなしだろう。甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。いいですわ~。

Recorded in March, 2016

Personnel: Benedikt Jahnel(p), Antonio Miguel(b), Owen Howard(ds)

2017年3月 3日 (金)

Jakob Bro@Cotton Club参戦記

_20170302ここのところ,飲み会続きで体力がきつい中,あまり帰宅が遅くなってばかりだと家人の顰蹙を買う。そんな中でJakob BroのライブがCotton Clubで開催されると知り,行くかどうか,迷いに迷っていたのだが,Thomas Morgan~Joey Baronというトリオは,今回を逃すといつ聞けるか(見られるか)わかったものではないということで,参戦を決意したのがライブ前日。上述の通り,帰りが遅いと何を言われるかわからないので,今回は私には珍しく1stセットを聞きに行ってきた。

Jakob Broと言っても,知っている人は知っているだろうが,日本の知名度はまだまだと言ってよいだろう。なので,今回も集客の心配をしていたのだが,やはり入りはイマイチって感じで,大体5割の入りってところか。

そして繰り広げられた音楽は,CDで聞かれたものと印象は同じで,ある意味アンビエント的,環境音楽的な響きであった。しかし,Thomas Morganのベースは繊細でありながら,テクニックは確か,そしてJoey Baronはスティックだろうが,ブラシだろうが,マレットだろうが,平手打ちだろうがなんでもござれの状態で,こうした環境音楽的なサウンドに対しても的確,そして時にダイナミックにサポートする。そしてJakob Broのギター及びトリオの響きは「幽玄」という表現しか思いつかないようなものであった。しかし,一部ではスライドにエフェクターをかませて,ロック的なアプローチを見せるなど,アンビエントだけではないところを示した。とは言え,全体的に見れば,これは環境音楽的アプローチであることは間違いない。それが証拠に,私の周りには完全に熟睡していたオーディエンスが少なくとも3人はいた(笑)。

だが,心地よくまどろめる音楽はいい音楽だとも言えるわけで,音楽のタイプにしては,アンコールを求めるオーディエンスの反応はかなり熱いものがあり,結構受けていたと思えるのはよかった。だからこそ,1st終了後,2ndも続けて聞きたいと店員に話していた聴衆がいたということでもあるが,3者が一体となった非常にいい演奏だったと思う。

Jakob_bro_i_mosaic1stセットゆえ,サイン会があるかどうかは微妙かなと思っていたが,ちゃんとやってくれたので,ついでにJakob BroとThomas Morganと写真を撮影してもらった。いつも通り私の顔にはモザイクを掛けるが,Joey Baronは別テーブルでお知り合いとお話し中だったので,写真には写っていない。だが,話に割り込んでサインだけはしてもらった私である。こういうときは図々しさも大事である(きっぱり)。

それにしてもThomas Morgan,シャイなのかよくわからないが,内省的なベースはキャラそのものではないかと思えるほど物静かな感じの青年であった。いずれにしても,ECM(あるいはManfred Eicher)に重宝がられるのも当然のような音であったと言っておこう。

Live at Cotton Club on March 2, 2017

Personnel: Jakob Bro(g), Thomas Morgan(b), Joey Baron(ds)

2017年2月25日 (土)

出た!久々のRalph Townerのソロ・アルバム

"My Foolish Heart" Ralph Towner(ECM)

_20170221私が贔屓にしているミュージシャンは結構いるが,その中でもRalph Tonwerはトップ5に入れられるミュージシャンだと思っている。自分が多少ギターを弾くということもあるが,この人のギターの響きは私の琴線にいつも触れてくるのである。

そんなRalph Townerが久々に放つソロ・アルバムである。ソロ・アルバムは2006年リリースの"Time Line"以来であるから10年以上が経過している。まぁ,その間にもPaolo FresuとのデュオやWolfgang Muthspiel,Slava Grigoryanとのギター三重奏のようなアルバムがあったから,そんなに久しぶりって感じはしないのだが,それでも"Diary"やら"Solo Concert"のようなソロ作品を長年愛してきたRalph Townerのファンとしては,ソロ・アルバムと聞いただけで反応してしまうようなところがあるわけだ。しかもアルバム・タイトルは"My Foolish Heart"である。

Ralph TownerはこれまでもBill Evansゆかりの曲を演奏してきた。それはRalph TownerによるBill Evansへのシンパシーの表れということだろうが,楽器は違えども同質のリリシズムを発揮するところに私は魅かれているのだと思う。ライナーにもRalph Townerも書いているが,Bill Evans~Scott LaFaro~Paul Motianのトリオは,Ralph Tonwerにとってもインスピレーションの源泉なのである。

このアルバムはタイトル・トラックを除いて,Ralph Tonwerのオリジナルであるが,これがまた粒ぞろいの佳曲群である。今回の新作に合わせて,久しぶりにソロによる前作"Time Line"を聞いてみたのだが,ややアブストラクトな感覚の曲もあった"Time Line"に比べて,本作収録曲はメロディ・ラインが明確なものが多いように感じさせる。そのため,リリカルでありながらも,より明るい印象を与えるが,やはりこのアルバムを聞いていて,私はRalph Townerというミュージシャンが好きなのだということを再認識させられた。我ながら単純だと思いつつ,今回も見事にしびれさせられてしまったのである。まさにOne & Onlyだと言ってもよい世界だが,クラシック・ギターが主力ながら,やはりこの人の12弦ギターの響きは独特であり,もっと12弦を弾いてくれとさえ思ってしまう。

いずれにしても,今回もこの人のギターの響きを堪能させてもらった私である。久々感のおまけ感覚もあり,星★★★★★としてしまおう。やっぱりええですわ~。

Recorded in February 2016

Personnel: Ralph Towner(g)

2017年2月13日 (月)

ユニークな作りの児玉桃によるECM第2作

"Point and Line" 児玉桃(ECM New Series)

_20170212_3_2日本のピアニスト,児玉桃がECMからアルバム"La Vallée Des Cloches"をリリースした時には,その年のベスト盤の1枚に選出するほど,優れたアルバムだと思った(記事はこちら)。そのレパートリーが非常に私の好みだと思ったが,ピアノの響きに身を委ねたいと思ったことは今でも記憶に新しい。

その児玉桃がECMから第2作となるアルバムをリリースすると知った以上,これは買わないわけにはいかないし,聞かないわけにもいかない(きっぱり)。ということで,デリバリーされたものを早速聞いたのだが,これが非常にユニークな作りではあるが,前作同様に優れたピアノ作品になっていて,嬉しくなってしまった。

今回の作品の特徴はドビュッシーと日本の現代音楽作曲家,細川俊夫の"Etude"が交互に出てくるというのが,まずユニークなところである。まぁ,これがバッハと細川俊夫が交互に出てくれば,私も頭を抱えたかもしれないが,近代作曲家と言ってよいドビュッシーと,細川俊夫ならば,それほど違和感はない。むしろ,ここで想定されているのは,二人の作曲家の作品を並列させながら,それを一つの組曲のように成立させようという試みのように思える。

ライナーに児玉桃も書いているように,ドビュッシーの「エチュード」はその番号にかかわらず,単体でも,組み合わせで弾いてもいいという自由度の高いものであり,このアルバムでもそうした考え方に基づいて配置されている。それらに挟み込まれるのが細川俊夫の「エチュード」ということになる。作曲されたタイミングにはほぼ100年近い違いがある二人の作曲家の作品を相互に連動させて,一枚のアルバムを構成させるというのが本作の狙いとすることは,児玉桃とECMの総帥,Manfred Eicherの合意のもとに行われており,それがいかにもECMらしいと思わせるところであり,そして見事な成果になっていると思う。

私が現代音楽のピアノ作品が好きだということもあるが,今回のこの作品もドビュッシーのエチュードという,ドビュッシー最晩年の作品と,児玉桃自身が初演者となっている曲を含む,細川俊夫作品の意表を突いた組み合わせによって生み出される美しい響きに改めて身を委ねたくなった私である。これはもはや私のツボにはまった音楽である。星★★★★★。

Recorded in January 2016

Personnel:児玉桃(p)

2017年1月25日 (水)

相変わらずのMr.中音域(笑):Colin Vallon。

"Danse" Colin Vallon (ECM)

_20170122Collin VallonのECM第3作である。私は前作"Le Vent"を評して「アルバムを通じて,ある意味環境音楽のような音楽が流れ続ける。感覚的にはフランス映画のBGMのようだと言ってもよいかもしれないぐらいの感じ」と書いて,星★★☆というECMに甘い私にしては辛い評価をした。更に第1作"Rruga"に関しては「中音域が中心で,かなり落ち着いた響きを醸し出している」と書いているが,その印象は本作でも全く変わらない。結局こういう音楽の人なのである。

本作においても,音使いは中音域が中心であり,"Tsunami"に顕著なように,左手から繰り出されるリズムはミニマル的に響く。前作には辛い評価をした私だが,今回もそう高くは評価できないとしても,前作よりは印象はよかった。だが,ほかのECMのピアニスト,例えば先日当ブログに取り上げたBenedikt Jahnelと比べても,個性,美的感覚,タッチともに,私に響いてこない。

もちろん,ECMらしいピアノの響きは相応に美しいと思うが,起伏の乏しさは否定できない事実である。ECMのピアニストには清冽でクールな感覚を持つ人は多いが,この人の低い温度感は飛び抜けている気がしてならない。

結局のところ,私にとってはTigran Hamasyanとの相性の悪さ同様のものをCollin Vallonには感じてしまう。私にとってはTigran Hamasyanは何度聞いてもいいと思えない代表みたいな人(苦笑)だが,Collin VallonはTigran Hamasyanほどではないとしても,私の感情に訴求してこないのだ。アブストラクトな感覚の曲調の演奏をしても,ECMのほかのピアニストなら気にならない(むしろ喜ぶ)のだが,Collin Vallonの場合は,この人の演奏の気に入らない点が浮かんできて仕方ないのである。ミニマル・ミュージックに耐性のある私(耐性どころか積極的に聞いているって話も...)ではあるが,この人の音楽を面白いと思えないのは本当に相性としか言いようがない。前作,本作を聞いて,次も買おうというモチベーションが高まらないのは残念なことである。星★★★。結局は趣味じゃないんだってことにしておくが,ECMから出たとしても次作の購入は多分ないだろうなぁ。

Recorded in February, 2016

Personnel: Colin Vallon(p), Patrice Moret(b), Julian Sartorius(ds)

2017年1月16日 (月)

新譜のリリースを前に,Benedikt Jahnel TrioのECM第1作を聞く。

"Equilibrium" Benedikt Jahnel Trio (ECM)

_20170115間もなくECMからの第2作,"The Invariant"のリリースが迫るBenedikt Jahnelであるが,この人聞いたことがあったかなぁ?なんて思ってECM棚(笑)を見たら,あった,あった。危うくダブり買いをするところであった。それだけちゃんと聞いていないということの裏返しで,反省した私である。

ドイツ出身のBenedikt JahnelはECMにはCyminologyというグループ名義でもアルバムを残しているが,そちらも未聴の私には,正直どういうピアノだったのかという情報が欠如していた。しかし,ECMのサイトで新作の音源をちらっと聞いて,これは多分私の好みだなぁなんてことで,新作は発注済みの私だが,このECMでのトリオ第1作については,本当に記憶になく,保有していることすら忘れていたのは実に情けない。

しかし,このアルバムを聞けば,いかにもECMらしい美しいピアノ・トリオの音となっていることがわかって,もっと早くちゃんと聞いておくべきだったと思ってしまった私である。ドイツのミュージシャンというと,もう少しアブストラクトな感覚が強い演奏を想像してしまうが,これは若干そうした表現も聞かれるものの,基本的にはECM的美学に彩られた演奏ということができると思う。人によっては,こういう演奏って,どれを聞いても同じに聞こえるという批判もありそうだが,いいのである。ECMの音が好きな人間にとっては,こういう音が出てくるだけで満足してしまうのである。

このトリオ,リーダーはドイツ,ベースはスペイン,ドラムスはカナダという国際的な編成であるが,トリオ結成から今年で10年ってことはこのレコーディング時は結成から4~5年ぐらいってこともあると思うが,非常にバランスの取れた演奏を聞かせて,これはいいトリオだと思えた。ということで,私の趣味にジャスト・フィットであり,新作への期待も高まったこともあり,星★★★★☆としよう。それにしても,Manfred Eicherも次から次へといいミュージシャンを見つけてくるねぇとまたまた感心。

Recorded in July 2011

Personnel: Benedikt Jahnel(p), Antonio Miguel(b), Owen Howard(ds)

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