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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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カテゴリー「ECM」の記事

2017年11月19日 (日)

ECMのストリーミングに関して思うこと。

巷でも話題になっているが,ついにECMがストリーミング・サービスを開始した。ECMからのプレス・リリースには"Although ECM’s preferred mediums remain the CD and LP, the first priority is that the music should be heard.”とあるが,ユーザにとっては,ストリーミングによって,より多くのECMの音楽に接することができるようになったことはありがたいことだと思う。

その全貌はチェックできていないが,移動中にでもECMのアルバムがより多く聞けるようになったのはいいことである。そして,私としては大した枚数は保有していないNew Seriesの音源も幅広く聞く機会が増えると思ってしまった。

いずれにしても,新譜を購入するか否かの判断をする上でも,この英断を喜びたい。

2017年9月24日 (日)

アンビエントにして静謐。ECMらしいと言えば,ECMらしいBjörn Meyerのソロ作。

"Provenance" Björn Meyer (ECM)

ProvenanceNik Bärtsch's Roninにも参加していたBjörn MeyerがECMからソロ作をリリースするということからして,普通のサウンドにはなる訳がない(笑)。なんてったって,多重録音を含むベース・ソロのアルバムである。普通,こういうアルバムは作れない。それを作ってしまうのがECMの凄いところである。

ベース・ソロのアルバムと言えば,大概のリスナーは身構えてしまうだろうが,このアルバムは比較的聞き易いサウンドになっていると思う。それは主題にも書いたが,アンビエントな感覚が強く,環境に同化できる音楽となっているからである。私にとっては,このアルバムは大音量でのプレイバックは不要というタイプの音楽であり,むしろ小音量で延々流し続けることが適当というように思える。こじゃれたバーでこういうのがプレイバックされていれば,即OKと思ってしまうだろう。それもNYCのイースト・ヴィレッジ辺りで(笑)。

そうしたタイプの音楽であるから,本作を評価をすることにどれぐらいの意義があるかというと疑問な部分もあるのだが,これは想定以上にいいと思えた。エンジニアは最近ECMでの仕事も多いStefano Amerioであるが,エレクトリック・ベースを録音させてもちゃんと仕事しているねぇってことと,この残響にははまる人ははまるだろうな。星★★★★。

Recorded in August 2016

Personnel: Björn Meyer (b)

2017年9月10日 (日)

全然ECMっぽくないが,極めてスリリングなVijay Iyerの新作

”Far from Over" Vijay Iyer Sextet(ECM)

_20170910_2デリバリーからちょっと間が空いてしまったが,Vijay Iyerの新作である。どうも私はこの人のアルバムはデリバリーされても暫く間を置いてしまって,後々になって,もっと早く聞いておきゃよかったといつも反省している感じだ。前作のWadada Leo Smithとのデュオもそうだったし,今回もそうである。全く懲りていない(苦笑)。

本作でECMからは第4作となるVijay Iyerであるが,今回は3管入りのセクステット,それもSteve LehmanやらTyshawan Soreyやらの強面(笑)メンツを揃えているということで,どういうことになるのかという不安もあって,聞くのが遅くなったというところもあるのだが,これがECMらしさとはちょっとかけ離れた非常にスリリングなアルバムになっている。ライナーにはManfred Eicherがプロデューサーとしてクレジットされているし,ミキシングも,エンジニアのJames Farber,Vijay Iyer,そしてEicherの共同となっているので,ちゃんと制作には関わっていると思われるが,それでもいつものECMの感じではない。まさにこれは現代ジャズのスリルを体現したアルバムと言ってよく,ECMがどうこうという観点は意識する必要ないぐらいの出来である。

静謐な部分を感じさせる部分には,60年代後半以降のエレクトリック期のMiles Davis的な部分も感じさせるが,それらはインタールード的に響き,このアルバムのキモはあくまでも3管によるアンサンブル/ユニゾンの部分とそこから生まれるジャズ的興奮にこそあると思われる。聞きものはそうした興奮度を生み出すVijay Iyerの作曲にもあるが,サウンド的にはフロントではテナーのMark Shimが強烈であり,更にそれを煽るTyshawn Soreyがえげつない。私がこういう興奮を覚えたところで記憶にあるのは,Antonio Sanchezのアルバムであるが,本作は少なくとも私にとっては今年一番の興奮度をもたらしたと言ってもよい。

Antonio Sanchezも新作のリリースを控える中で,年末には私はどちらを高く評価しているかが楽しみになってくるが,とにかくこれは現代のジャズ・シーンってのはこういうものよってことを見事に体現したアルバムと言ってよい。このアルバムがもたらした興奮度に喜んで星★★★★★としてしまおう。まじで痺れた。

Recorded in April, 2017

Personnel: Vijay Iyer(p, el-p), Graham Haynes(tp, cor, electronics), Steve Lehman(as), Mark Shim(ts), Steve Crump(b), Tyshawn Sorey(ds)

2017年8月29日 (火)

Marc Coplandを伴ったGary PeacockのECM新作は前作踏襲って感じだが,相変わらずいいねぇ。

"Tangents" Gary Peacock Trio (ECM)

TangentsGary PeacockがMarc Coplandを迎えて,前作"Now This"をリリースしたのが今から約2年前のことである。そして,今回,全く同じメンツでアルバムがリリースされたのだが,私としてはMarc Copland入りってことで今回も期待を込めての購入となった。

"Now This"もしばらく聞いていないので,あくまでも直感的な感じではあるが,基本的には前作と似たような感じを受ける。前作でも聞かせた静謐系で,美的なピアノ・トリオの演奏はここでも健在である。フリーなアプローチを交えながらの演奏は,ECMレーベル・ファンにとっては直球ど真ん中な路線だろう。

そんな中で,私がまいってしまったのが"Spartucus"である。Alex Northが映画「スパルタカス」のために書いたこの曲は,Marc Coplandはこれまでにも"Poetic Motion"でやっているが,Marc Coplandのようなピアニストにこそぴったり(Fred HerschもJordan Hallでのライブ”Let Yourself Go"で演奏している)な美的な曲である。この曲が流れてきたときに,やっぱりこの人たちにはこういう演奏が相応しいと思ったが,これとか"Blue in Green"がこれほどはまるのは,このトリオだと思わってしまった。Marc Coplandとは長い共演経験を持つGary Peacockであるが,Marc Coplandの個性をちゃんと理解しているし,古希を過ぎても全然衰えを感じさせないのは立派である。

そして,このトリオが"Rumblin' Talkin' Blues"でブルーズを演奏しても,ちっともブルーズっぽく聞こえないのには笑えるが,そういう個性の人たちなのだから,それでいいのである。誰も彼らにどブルーズを期待してはいまい(きっぱり)。

ということで,この手の音楽が好きな人が気に入ること必定。それにしても,Gary Peacockのベースの音がいい感じで捉えられている。いいねぇ。ということで,ちょっと甘いと思いつつ星★★★★☆。いっそのこと,このトリオで日本に来てくれないかなぁ。

Recorded in May, 2016

Personnel: Gary Peacock(b), Marc Copland(p), Joey Baron(ds)

2017年8月 9日 (水)

超ハードル高い"Sankt Gerold"

"Sankt Gerold" Paul Bley / Evan Parker / Barre Philips(ECM)

Sankt_geroldメンツを見ただけで怖くなるアルバムってあると思う。同じトリオで吹き込んだ"Time Will Tell"ってアルバムがECMにはあるが,保有していても,それも滅多に聞かない。そして,このアルバムなんて,存在すら知らなかったのだが,先日中古盤屋で手頃な価格で売っていたので購入したものの,なかなかプレイバックする気になれず,放置状態がしばらく続いていた。

しかし,意を決して(笑)プレイバックしたら,おぉっ,正調フリー・ジャズと言うか,完全ノン・ビートで演じられるインプロヴァイズド・ミュージックである。この演奏がライブ録音というのが恐ろしいが,一体どういう聴衆が集まっていたのだろう?と思ってしまう。そもそもこれはどう考えても売れんだろうと思えるが,"Time Will Tell"はまだカタログに残っているが,本作はECMのサイトでももはやn/aとなってしまっている。さもありなん(爆)。

珍しくもプロデュースはManfred EicherとSteve Lakeの共同名義となっているが,これはどう考えてもSteve Lakeの趣味だよなぁ。トリオもしくは各人のソロで演じられる全12曲は,Variation 1~12と素っ気ないが,完全にフリー・インプロヴィゼーションなのだから,曲名なんて関係ないってところである。

私のようにフリー・ジャズには「激しさ」を求めるリスナーには,この演奏はやや欲求不満に響く。もちろん,Variation 4におけるEvan Parkerのソロなんて激しいものだが,2分足らずだしねぇ...。

ということで,本作はリスナーにとってはハードルの高い音楽であり,生半可な気持ちで手を出すと間違いなく後悔する,そんな一枚。当然のことながら,私にとってもそんな頻繁にプレイバックしたいと思わせる音楽ではない。但し,Jan Erik Kongshaugによるエンジニアリングは見事だと思う。 見事なまでに楽器の音を捉えたエンジニアリングも含めても星★★★が精一杯。

それにしても今年初めの段階では人口400人足らずの場所で,なんでこんなレコーディングが?って思うのは私だけではないだろう。下の写真はおそらく本作がレコーディングされた場所であるが,こんな小さな町で,そもそもこういう演奏を聞きに来たのって誰なんだ?(笑)

Recorded Live at the Monastery of Sankt Gerold in April 1996

Personnel: Paul Bley(p), Evan Parker(ss, ts), Barre Phillips(b)

Propsteistgerold03_3

2017年8月 8日 (火)

ECMのMisha Alperinってどういうリスナーが聞いているのか...(苦笑)。

"First Impression" Misha Alperin with John Surman(ECM)

First_impression私は何枚かMisha AlperinのECMのアルバムを保有しているが,どちらかというとプレイバックの機会は少ない人である。本作もいつ以来かってぐらい聞いていなかったはずである。そんな具合なので,このブログにも,この人のアルバムについては書いたことがない(苦笑)。

ウクライナ出身のMisha Alperinはノルウェーに居を移し,現在は同地で教鞭も取っているらしいが,この人がやっている音楽はジャズ的な要素はないとは言わないが,どちらかと言えば,現代音楽に近い部分も感じてしまう。

ピアノは静謐系ながら,フリーな展開も交えた音楽は,私としてもECMらしいねぇと思うのは事実であるが,果たしてこの音楽がどの程度のオーディエンスに訴求するのかは,正直言って謎である。ECMレーベルの中でも,決定的に美的とは言えないところがあるので,この人の魅力はなかなかつかみどころがないと言えると思う。

本作もJohn Surmanの参加は魅力ではあるが,まぁ客演だよねって感じであり,Surmanのブロウに期待すると,はしごをはずされる(笑)。結構いいメンツだと思えるが,やはりリーダーの色に染めた感じが強いのは当然か。

だが,本当にこれを聞いて面白いと思えるかと言うと,私はそうとも言えないというのが,久しぶりに聞いた上での正直なところである。Alperinのソロ・ピアノなんて美しい響くをもたらす瞬間もあるが,全体で見ると方向性がどうも曖昧なので,星★★★ぐらいで十分だろうなぁ。

Recorded in December 1997

Personnel: Misha Alperin(p), John Surman(ss, bs), Arkady Shilkloper(fr-h, fl-h), Terje Gewelt(b), Jon Christensen(ds), Hans-Kritian Kjos Sorensen(perc, marimba)

2017年7月25日 (火)

今日は懐かしいCorea & Burtonの「抒情組曲」

"Lyric Suite for Sextet" Chick Corea & Gary Burton (ECM)

_20170722このアルバムが出たのは1983年のことなので,それからもう35年近くが経過している。Gary Burtonが音楽生活から引退した今,この名デュエットをもう聞くことはできないが,特に彼らがECMに残したアルバム群は不滅の輝きを持つものと言ってよい。しかし,このアルバムが出た時は,それまでのアルバムに比べると,若干違和感を以て迎えられたような気がする。それでも,アルバム・リリース後,セクステットで来日公演を行った時には,会場(中野サンプラザだったかなぁ)に武満徹の姿もあったのが懐かしい。

多少なりともクラシックを聞いている人であれば,「抒情組曲」と聞くと,アルバン・ベルクを思い出してしまう人が多いだろうが,そう聞くと身構えるのが当然である(笑)。しかし,当然のことながら,アルバン・ベルクの音楽とは全く違うものであることは言うまでもない。

ここにあるのは,いつものように美しいCorea & Burtonのデュオに弦楽四重奏が加わるということだけである。よって,よりクラシックとの融合を期待すると,もう少しバックのクァルテットとの連動性があってもいいように感じるわけだが,私としては,これはこれで十分にありだと感じる。

もちろん,このご両人のアルバムで,これを一番だという気は毛頭ない。彼らの最高傑作は誰がなんと言おうと,チューリッヒのライブ盤である(私がブログ開設直後に書いた記事はこちら)。ライブ盤に聞かれたテンションはここでは強くは感じられず,美的感覚に重きが置かれているように思える。結局このアルバムへの評価がわかれるのは,これの前作がそのチューリッヒのライブ盤だったということもあるだろう。基準をそちらに置かれては,分が悪いのは当然なのだ。

だが,久しぶりにこのアルバムを聞いてみて,その音楽の美しい響きを再認識できたことはよかった。その後,この二人はHarlem String Quartetとの共演盤も残しているが,私としては,徐々にこのデュエットへの関心が薄くなっていたこともあり,印象にあまり残っていないのに比べれば,このアルバムへの記憶は強く残っていると思っていたが,自分が思っていた以上に美的なアルバムだったと言っておこう。星★★★★。

Recorded in September 1982

Personnel: Chick Corea(p),Gary Burton(vib), Ikwhan Bae(vln), Carol Shive(vln), Karen Dreyfus(vla), Fred Sherry(cello)

2017年6月14日 (水)

ある意味,これがVanguardでのライブというのが信じがたい"Small Town"

"Small Town" Bill Frisell & Thomas Morgan(ECM)

Small_town今年になってから,私はBill FrisellはCharles Lloydとのライブで,そしてThomas MorganはJokob Broとのライブで,その生演奏に接している。ビルフリについては長年の経験則からして,だいたいどういう音だろうというのは想像がつくし,Thomas Morganのあの超内省的な感じ(本当に内気な青年って感じなのである)からすれば,インティメートな音場になることはわかっていた。

しかし,本作が録音されたのは,モダン・ジャズの聖地と言ってよい,あのVillage Vanguardである。あまりこうした演奏には接するチャンスがある場所だとは思えないのだが,そういう場所でこういう演奏が行われたということがまず驚きである。

だが,このアルバムを聞いていると,彼らの演奏にはマジカルな部分があって,聴衆を誘因する特殊なケミストリーを発生させているようにさえ思える。ギターとベースというデュオというセッティングにおいて,非常に特異な個性に満ちた演奏と言うことができるアルバムだと思える。だって,Jim Hall~Red MitchellやJim Hall~Ron Carterとは違うし,Charlie Haden~Christian Escoudeとも違う。ではBebo Ferra~Paulino Dalla Portaとはどうかというと,内省的な響きは類似していても,やっぱり違うのである。彼らにしか出せない音。まさにそんな感じだろう。"Subconscious Lee"なんて,まさにツボに入る演奏である。

ビルフリの音は想定通りであるが,ここでのThomas Morganのベースの音がなんと魅力的に録音されていることよ。レコーディング・エンジニアの記載がないが,これをミキシングだけでこの音に仕上げたとすれば,それはそれで凄いことである。

前半はJakob Broにも通じる幽玄な世界が展開されるが,中盤から後半にはやや最近のビルフリに感じられるアメリカーナな感覚もあり,全体としてはバランスの取れたアルバムと言ってよいだろう。だって,やっているのがCarter FamilyやらFats DominoではいくらビルフリとThomas Morganでも多少はそうなるわねぇ(苦笑)。そして最後はなんと"Goldfinger"である。Shirley Basseyのオリジナルとは全く違う世界が展開する。万人には勧めにくいが,この世界,はまるとなかなか抜けられない。そういう世界である。星★★★★☆。

Jakob_bro_i_mosaicいかにThomas Morganが内気っぽいかを見て頂くため,Jakob Broとのライブ時の写真を再掲しておこう。いつも通り,私の顔はモザイク付きである。

Recorded Live at the Village Vanguard in March 2016

Personnel: Bill Frisell(g), Thomas Morgan(b)

2017年6月 7日 (水)

ピアニスト,Egberto Gismontiのもの凄さ。

"Alma" Egberto Gismonti(Carmo)

_20170606ECM系列のCarmoレーベルからリリースされた作品だが,もともとはEMIから出ていたCDにボーナス・トラックを追加したものらしい。但し,オリジナルにあった"Infancia"という曲が省かれているようである。

Gismontiと言えば,まずはギターのイメージが強いが,ピアノもうまいことはわかっている。しかし,本作は1枚をピアノで通しており,そしてその手腕は見事としか言いようがない。はっきり言ってしまえば,普通のピアニストでは勝てないレベルである。全編を通して,開いた口がふさがらないぐらいうまい。強靭なタッチ,優れたインプロヴィゼーション能力はある意味Keith Jarrett級と言ってもよい。マルチなタレントを持つミュージシャンは何をやらせても上手いということはわかっているし,去年のライブでもピアノから繰り出されるメロディに圧倒された私だったが,久々にこのアルバムを聞いて,やっぱりすげぇやって思ってしまった。そんな月並みな表現しか出てこないほど圧倒的なピアノである。改めての驚きも含めて星★★★★★。

Recorded in 1987 & 1993

Personnel: Egberto Gismonti (p)

2017年5月30日 (火)

中古でゲットしたGary Peacock盤から,まずは"December Poems"。

"December Poems" Gary Peacock(ECM)

_20170528_6昨日のDavid Tornに続いて,これも中古でゲットしたもの。そもそもECMにはGary Peacockのアルバムがあるにもかかわらず,一部の作品は廃盤化してしまい,結構入手が難しくなっていた。しかし,今回の新宿DUにおけるECM中古盤特集では,基本的に押さえたいと思っていたPeacockのアルバムが全部手に入ってしまった。逆に言うと,なんでGary Peacockのアルバムの入手が難しくなってしまったのか不思議でならないのだが,この作品も,Gary Peacockの多重録音含めたソロ演奏が中心なので,もちろん売れる作品でないことはわかる。しかし,聞いてみると,これがよいのである。

本作には2曲でJan Garbarekが参加しているものの,そのほかの4曲はPeacockだけによるものとなると,やはりフォーマットとしてはチャレンジングである。私も,やはり身構えてしまうのは当然で,だからこそこれまで購入してこなかったという話もある。しかし,思い込みはいかん。Gary Peacockのベースの音は極めて魅力的に録られており,小音量で聞いても,そのクォリティの高さは明らかなのである。

曲名からしても,「冬」を意識したアルバムを,初夏の今頃聞いている私も考えものだが,これから暑くなっていく時期に,涼やかさを求めるのにも使えるのではないかとさえ思ってしまう。だが,クール一辺倒というわけでもなく,リズミックなパターンや,Garbarekとのデュオにおいては2者が絡み合い,渡り合う感覚も生み出しているので,季節にとらわれる必要はない。こうして聞いてみると,ECM好きならば,どんな時に聞いても抵抗感なく受け入れてしまうような作品と言えよう。

それにしても,Gary Peacockのベースの音の素晴らしいことよ。それだけでも聞く価値はあると言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in December 1977

Personnel: Gary Peacock(b), Jan Garbarek(ss, ts)

 

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