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カテゴリー「ECM」の記事

2018年11月 4日 (日)

Shai MaestroのECMデビュー作。これもいいねぇ。

"The Dream Thief" Shai Maestro(ECM)

_20181103ブログのお知り合いの皆さんは,以前からこのShai Maestroについては記事にされておられたが,私はほとんど縁のないまま過ごしてきたと言って過言ではない。例外はCamila Mezaの"Traces"ぐらいである。そのアルバムもMezaの声にはまいっていても,伴奏までは全然触れていない(爆。記事はこちら)。Theo BleckmannのECMレーベル作"Elegy"にも参加しているが,それは購入していても,レビューをアップしていない。この辺りに,私の彼に対する関心の低さが表れていると言っても過言ではない。

しかし,そのShai MaestroがECMからアルバムをリリースするとなっては,事情は変わってくる。ここではECMらしい詩的で抒情的なピアノを中心とした演奏を聞かせており,このレーベルのファンにとっては納得の出来と言ってもいいのではないか。昨今,ECMは有望なピアニストを傘下に収めて,いいアルバムを連発しているが,そこにこの一枚も加わったってところだろう。

それにしてもタイトルが「夢泥棒」ってのが,いかにもそれっぽいが,唯一演奏されるスタンダード,"These Foolish Things (Remind Me of You)"で聞かせるソロ・ピアノはKeith Jarrett的な感覚もありながら,やはり美しいという表現しか出てこない。その一方,最後の"What Else Needs to Happen"では米国前オバマ大統領の銃規制のスピーチをコラージュして,音とは違って硬派な主張も打ち出し,通常のECMとはちょっと違った雰囲気も出している。

いずれにしても,非常に聞き易いトリオ演奏であることは間違いなく,この響きに単純に身を委ねていれば,心地よく時間は過ぎていく。まぁ,私としては夢見心地の間に,心を奪われたって感じで,まさにこれが本当の「夢泥棒」。星★★★★☆。

Recorded in April, 2018

Personnel: Shai Maestro(p), Jorge Roeder(b), Ofri Nehemya(ds)

2018年11月 3日 (土)

今回もKenny Wheelerを想起させたWolfgang MuthspielのECM作

"Where the River Goes" Wolfgang Muthspiel(ECM)

_20181028_2前作"Rising Grace"から比較的短いインターバルでリリースされたWolfgang MuthspielのECMにおけるリーダー作である。前作は約2年前の今頃のリリースだったはずだが,結構豪華なメンツをまたも集めるというのは,ECMレーベルにとっても相当なことである。ドラムスがBrian BladeからEric Harlandに代わっているが,優秀なミュージシャンであることには変わりはない。だが,私にとっては,Brad Mehldauの参加が本作のキモであることは,前作同様である(きっぱり)。

前作を聞いた時に,私はECMの先祖がえりと評した(記事はこちら)が,今回もその印象は変わらない。Ambrose Akimsireのラッパを聞いていると,どうしてもKenny Wheelerの往時のアルバムを思い出してしまうのである。そして,本作のメンバーは必ずしもECMゆかりの人ばかりではないが,セッション・アルバムとしてリリースするところはまさに70年代から80年代のECMにはよくあったことだ。思うに,異種格闘技とまでは行かないが,メンツをとっかえひっかえしながら,アルバムを作っていたようなところもECMにはあった。本作はドラムスを除いて,前作とメンバーは一緒だから,必ずしもそうした企画とは違う。しかし,出てくる音がどうしてもKenny Wheeler的に聞こえてしまうのだ。だが,それは決して悪いことではなく,むしろ私にとっては歓迎すべき音作りだったと言ってよい。

ブルージーな感覚が強いBrad Mehldauのオリジナル"Blueshead"以外が,リーダーMuthspielのオリジナルだが,全編を通じて決して「熱く」ならないのが,ECMらしいところである。まぁ,このジャケットで,ゴリゴリのジャズが出てきたら,逆に笑ってしまうが...。Brad Mehldauとしては助演に徹しているって感じが強いが,やはりこれだけのメンツが揃えば,レベルは高いねぇ。ってことで,毎度のことながらECMには甘い私だが,星★★★★☆。

Recorded in February 2018

 Personnel: Wolfgang Muthspiel(g), Ambrose Akinmsire(tp), Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Eric Harland(ds)

2018年10月23日 (火)

一聴,KeithのEuropean Quartetを想起させたTrygve Seimの新作

"Helsinki Songs" Trygve Seim((ECM)

_20181021書きかけていながら,途中で止まっていた記事を今更ながらアップしよう。振り返ると,1カ月近く放置してしまった。

豊作が続く秋のECMレーベルであるが,これまたいいアルバムである。サックス奏者,Trygve Seimが,ピアノにこれもECMにおける注目株であるKristjan Randaluを迎えた新作だが,一聴して思い浮かべたのがKeith JarrettのEuropean Quartetであった。特に冒頭の"Sol's Song"に聞かれる牧歌的にも,フォーク的にも響く展開がそう感じさせたのは間違いないところで,そうした第一印象を与えるに十分な響きであった。

曲によっては,静謐な展開もあり,まぁ必ずしもKeith的ではないなぁと思わせるが,全編に渡って,粒揃いの曲が並んでいて,これは結構多くのリスナーに受け入れられるのではないかと思わせる。

タイトルに"Helsinki Song"とあるのは,ライナーにあるように,リーダー,Seimがフィンランド,ヘルシンキにあるフィンランド作曲家協会のアパートメントの滞在中に,ここに収められた曲のほとんどを作曲したことによるものだろう。Trugve Seimはノルウェイの人だが,やはり地域的な近接性で通じ合うところもあるんだろうねぇ。

Trygve Seimはその見た目からは想像できないような(笑),リリカルな旋律を生み出しているが,それを支えるKristjan Randaluのピアノが楚々として美しい。こういう音楽を聞いていると,私はまんまとECMの総帥,Manfred Eicherの思うつぼにどんどんはまり込んでいっている気がするが,それでも好きなものは仕方ないのだ。

これもECM好きにはすんなり入ってくる音楽だと思うが,一般的な音楽,あるいはジャズのリスナーにとってはどうなのかなぁと思わせる部分もある。しかし,このスタイリッシュな響きを聞いていれば,私には満足度が高かった。ということで,原則,私はECMには星が甘いがこれも,星★★★★☆としてしまおう。

Recorded in January, 2018

Personnel: Trygve Seim(ts, ss), Kristjan Randalu(p), Mats Eillertsen(b), Markku Ounaskari(ds)

2018年10月22日 (月)

Hans Otte: このミニマルな響きがたまりまへん。

"Das Buch der Klänge" Herbert Henck(ECM New Series)

_20181019_3Hans Otteという作曲家については今まで聞いたこともなかったが,Herbert HenckがECMで弾いているんだから,これも買ってしまうのが「性」である。

一体どんな音楽なのかということで,プレイバックした瞬間から,美しい和音に彩られたミニマルな響きに思わず嬉しくなってしまった私である。この音,私の好物なのだ(笑)。Hans Otteという人は作曲家でありながら,同時代の現代作曲家を招聘したコンサート・シリーズも開催していたようだ。そうした点を考えれば,このミニマルな響き具合はどういうことなのかとも思えるが,ネット上の情報によると,この人のほかの曲は結構小難しい中,この作品だけが例外のようにも受け取れる。

だが,例外だったとしても,この美しい響きに身を委ねれていれば,私は満足してしまうのだが,Hans Otte自身,この音楽について,"Rediscovers the listners as a partner of sound and silence, who in the quest for his world, wishes for once to be totally at one with sound"なんて言っているようだから,これってやっぱりECMのコンセプトに合致するよなぁなんて思ってしまう。一部アブストラクトな響きも出てくるが,それも含めて心地よい。

この曲のタイトルは英語にすれば,"The Book of Sounds"である。「響きの書」とはまさに言い得て妙。ECMらしいサウンドと相まって,私はこのアルバムのプレイバック中,結構な至福感に浸っていたことを告白してしまおう。いや~気持ちよかった。星★★★★★だ。

Recorded in September, 1997

Personnel: Herbert Henck(p)

2018年9月30日 (日)

ECM New Seriesから今日はMosolovのピアノ曲集。

"Alexandr Mosolov" Herbert Henck (ECM)

_20180923ここのところ,ボックス・セット聞きが続いていたので,ちょっと気分を変えよう。私はECM New Seriesについては長年手を出さずにいた。Steve Reichは基本的にNew Seriesに入ると思うが,最初はNew Seriesが存在していなかったはすであるから,普通にECMの作品としてリリースされていたと記憶する。昔からReichが結構好きだった私は,ECMのReich作品は買っていたものの,そのほかのNew Seriesについては,Andras Schiffが吹き込むようになるまで,ほとんど購入していなかったと言ってもよい。しかし,いつの頃からか,現代音楽のピアノ曲に関しては,ECM New Seriesからリリースされる音楽が素晴らしいと感じるようになって,今では現代音楽のピアノ曲に関しては,せっせと買うようになっているのだから,人間は変われば変わるものである。

そんなECM New Seriesにおいて,ピアノ曲のアルバムを最も吹き込んでいるのは,多分このHerbert Henckだろうと思う。カタログには8枚載っているが,Jean Barraquéのピアノ・ソナタだけは廃盤状態のようである。だが,私はそれ以外のアルバムは保有していて,直近で入手したHenckのアルバムの一枚がこれである。

不勉強にして,ここでHenckが取り上げたAlexandr Mosolovという作曲家については,初めて聞いたが,調べてみると,旧ソ連時代には反体制の疑いをかけられ,相当シビアな生活を強いられた人のようである。1900年に生まれて,ここに収められた曲は1920年代中盤に書かれているので,かなり若い時期の作品となる。だが,その後強制労働に送り込まれてしまったようなので,作曲家としてのキャリアは30年代以降停滞してしまうことになる。だが,20代半ばで書かれた音楽としては,構造がしっかりしたピアノ曲であり,そんなにアバンギャルドな感じはしないが,ロシア的な重量感はあるかなぁって気がする。

どちらかと言うと,私が好む現代音楽のピアノ曲は,もう少し「間」を重視した曲が多いので,本作に収められた曲は,ちょいとタイプが違うように思えるのだが,それでもこうして全く聞いたこともない(そして,自分では決して見つけることのない)ような音楽に出会えるのも,ECM New Seriesゆえってことになるだろう。それはそれでありがたいことである。星★★★★。

Recorded in March 1995

Personnel: Herbert Henck(p)

2018年9月21日 (金)

Barre Phillips,最後(?)のソロ・アルバム。

"End to End" Barre Phillips(ECM)

_20180916Barre Phillips,私にとっては高いハードルとなってきた人である。ベース・ソロでアルバムを作った最初の人はBarre Phillipsらしいが,結構若い頃からECMのアルバムは聞いていても,ベース・ソロというのはさすがに厳しいという感じで敬遠してきたというのが実際のところである。そうしたところもあって,彼のリーダー作は"Mountain Scape"しか保有していない。じゃあ,何枚も保有しているDavid Darlingのチェロ・ソロならいいのか?と聞かれれば,返す言葉もないのだが,まぁはっきり言ってしまえば食わず嫌いである(爆)。

本作のSteve Lakeのライナーによれば,本作はBarre Phillipsからの直々に総帥,Manfred Eicherに連絡があって,最後のソロ・アルバムを作りたいのだが,ECMとしてはどうよ?って聞いてきたらしい。Eicherとしては断る理由もないということで,本作がレコーディングされることになったようである。私も年を重ねて,いろいろな音楽に接してきていて,ベース・ソロだからと言ってビビることはなかったし,現代音楽も結構好んで聴いているので,今回は「最後のベース・ソロ・アルバム」ということとあっては,発注せざるをえまいと思ってしまった私であった。

そして流れてきた音は,決してアブストラクトではないベースの響きを聞かせるものであり,43分余りの時間はあっという間に過ぎていったという感じである。もちろん,聞き易いなんて言うつもりはないし,一般の人にとっては,それはハードルが高い音楽であることは間違いない。しかし,ライナーを書いているのがSteve Lake,そしてライナーの多くの写真を撮っているのがSun Chungってことからしても,それだけでBarre PhillipsのECMにおける立ち位置がわかるってものだ。それだけ「最後のベース・ソロ・アルバム」の意味合いは重いということを表している。Barre Phillips単独名義でのECMでのリーダー作は91年の"Aquarian Rain"以来だと思うが,それでもこうしたレコーディング機会を提供されるBarre Phillips。それをどう捉えて,この音楽に対峙するかが,少なくともECMレーベル好きにとっては重要だろう。

いずれにしても,私はこのアルバムを聞いて,これまで食わず嫌いでいたことを大いに反省した。ミニマルとは全く違いながら,簡潔にして,深遠。何回も聞くようなものではないかもしれないが,聞いておかねばならないと思わせるに十分な音であった。星★★★★☆。私の中でのハードルも若干下がったので,ストリーミングで,過去のBarre Phillipsのベース・ソロも聞いてみることにしよう。

Recorded in March, 2017

Personnel: Barre Phillips(b)

2018年9月19日 (水)

Tord Gustavsenによるピアノ・トリオの新作は期待通りの出来。そして彼の信仰心を感じさせる。

"The Other Side" Tord Gustavsen Trio(ECM)

_20180915_3総帥Manfred Eicherにより,新世代のピアニストも続々と紹介されており,私も結構その世界にはまってはいるが,現在のECMレーベルにおいて,確実に期待できるピアニストとして評価を確立しているのは,私は先日記事をアップしたMarcin Wasilewskiと,このTord Gustavsenだと思っている。

Tord Gusravsenに関しては,全部が全部いいという訳ではないと思っていて,例えば私の中では,"Restored Returned"なんかはちょいと評価が低い(記事はこちら)。しかし,それは例外的なものであって,ほかの作品は極めて高く評価している。そうした中で,この人の魅力はピアノ・トリオだけではないということは,テナー入りの"Extended Circle"でも,ヴォイスの入った"What Was Said"でも実証されている。しかし,やはりピアノ・トリオも聞きたいと思うのがファンの心理であることも事実であった。本作は2007年リリースの"Being There"以来という,実に11年ぶりのピアノ・トリオ作である。

ここでは,Gustavsenのオリジナルに加えて,トラッド,更にはバッハの曲をアダプテーションした演奏が聞けるが,さすがに1月のオスロ,Rainbow Studioでの録音と感じさせるような,静謐で,内省的な音の連続である。これこそがECM,あるいはTord Gustavsenの美学であると言ってもよいかもしれない。まぁ,冬のオスロでじゃかじゃかした演奏はやってられんと言う話もあるが...(笑)。それでも,こうした音楽をやられてしまうと,私のようなリスナーは無条件によいと思ってしまう。それが一般的なリスナーの感覚とは必ずしも合致しないところはあるだおるが,こうしたサウンドには全面的にOK!と言ってしまうのである。

バッハのアダプテーションでは,宗教的な響きさえ感じさせるが,それはモテットやカンタータの原曲なのだから当たり前なのだが,トラッドや,2曲目に入っているノルウェイの作曲家Lindemanの"Kirken, den er et gammelt hus"も讃美歌みたいなものであるから,ここでのテーマには宗教を感じる。そして,そこに加わるGustavsenのオリジナルが,何の違和感もなくブレンドして,この音世界を作り上げている。

私からすれば,この音楽は決して刺激を求める音楽ではない。そこに不満を感じるリスナーが聞くべきものでもない。これは冬のオスロの気候に思いを馳せながら,信仰の音楽による表出とは何かということを考えるに相応しい作品だと思う。Tord GustavsenはSolveig Slettahjellと"Natt I Betlehem"という素晴らしいホリデイ・アルバムを作り上げているが,この人の根底には宗教感が根差していることを強く感じさせる作品。Marcin Wasilewskiのアルバムと比べれば,私はWasilewskiに軍配を上げるが,これはこれで,私の心を十分に捉えたと言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in January, 2018

Personnel: Tord Gustavsen(p), Sigurd Hole(b), Jarle Vespestad(ds)

2018年9月16日 (日)

またも素晴らしい作品をリリースしたMarcin Wasilewski。痺れた。

"Live" Marcin Wasilewski Trio (ECM)

_20180915私はこれまでも,Marcin Wasilewskiのアルバムが出るたびに,最高だ!と連呼してきたように思う。とにかく,ECMレーベル好きとしての心はもとより,ピアノ・トリオの魅力を感じさせるという点では,私にとってはBrad Mehldau,Fred Herschと同じぐらいのポジションを占めていると言っても過言ではない。とにかく私の心を捉えて離さない音楽をECMでリリースし続けてきた。

そんなMarcin Wasilewskiが前作"Spark of Life"から約4年ぶりにリリースしたのが本作で,一部サックスを入れた前作から,従来のピアノ・トリオに戻してのライブ盤である。毎度のことながら,冒頭の"Spark of Life / Sudovian Dance"から,今回も私は心を鷲掴みにされてしまった。

今回のアルバムは,"Faithful"所収の"Night Train to You"を除いて,前作"Spark of Life"からのレパートリーである。ライブ盤とは言え,新曲もないのか?って思う部分もないわけではないが,これが彼らのレパートリーを熟成させ,昇華させた音楽を聞かせようという取り組みだと思えば文句はない。ここでの演奏は,オリジナルの演奏よりは長尺になっていて,曲に対するトリオとしての解釈や表現は更に深化していると思う。

とにかく,全編に渡って,静謐さとダイナミズムを両立させた音楽が展開されていながら,美的であることこの上ない。一聴して,私はこれまで聞いたMarcin Wasilewskiのアルバムよりも,このアルバムが一番優れているかもしれないとさえ思えるほどであった。久々に音楽を聞いて「さぶいぼ」が立った気がする。美しさとテンションとスリルを共存させる音楽にはそう簡単に出会える訳ではない。これには心底まいった。これには星★★★★★しかありえない。

こんな音楽を聞かされたら,彼らの再来日,そして真っ当なヴェニュー,更に真っ当なPAでのライブを体験したいと思うのが筋である。間違いなく今年のベスト作候補の一枚となった。まじに最高である。

Recorded Live in Antwerp on August 12, 2016

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz (ds)

2018年9月13日 (木)

ECM豊作の秋ってところか。

先週のNYC弾丸出張から帰国した後,体調をおかしくしたりして,音楽について書いている暇も余裕もない。日本は自然災害にも襲われており,不謹慎な投稿は控えないといかんという気持ちもある。被災された皆さまには,ご無事と早期の復興をお祈りするばかりである。

その一方で,ECMレーベルを好む人間にとっては,この秋口は非常に芳醇な季節となること必定である。私が現在のECMにおけるピアノの2トップと思っているTord GusravsenとMarcin Wasilewskiの各々のトリオ・アルバムがリリースされたのである。まだ両方ともちゃんと聞けていないが,一聴でもどちらも素晴らしい出来と思えるものとなっていると思える。特にMarcin Wasilewskiのアルバムは印象が強烈で,今から記事にするのが楽しみである。それにしても,凄い人たちである。

2018年8月26日 (日)

ECMレーベルの未聴アルバムの中から,今日はJulia Hülsmann with Theo Bleckmann。

"A Clear Midnigh: Kurt Weill and America" Julia Hülsmann Quartet with Theo Bleckmann(ECM)

_20180826イベントやら飲み会やらで,またも更新が滞ってしまったが,ECMの未聴盤の山から今日はこれである。Julia Hülsmannについては,その後リリースされた"Sooner And Later"は既にブログにアップしている(記事はこちら)のに,このアルバムがなぜ放置されたのかよくわからない。そこにも,彼女の"Imprint"が見つからないなんて書いているが,それは結局見つかった(爆)。それらを踏まえれば,単に自分の中での彼女のアルバムを聞く優先順位が上がってこないだけのことだろうが,この人のアルバム,聞いてみると非常にいいアルバムが多いのが常なので,彼女には誠に申し訳ないと言わざるをえない。

このアルバムは,そのJulia HülsmannがヴォーカルのTheo Bleckmannを迎えて,Kurt Weillの曲を中心に演奏するというアルバムである。Theo BleckmannはBen Monderなどのバックで,サウンドとしてのヴォイスを提供している印象が強いが,彼もその後ECMからリーダー作をリリースしているが,それも記事にしていないなぁ(苦笑)。いずれにしても,ここではTheo BleckmannがWeillの曲を歌うとどうなるかってのが一番の注目ポイントだろう。

しかし,聞いてみて,冒頭の曲を"Mack the Knife"だと認識できるのか?と言いたくなるようなアレンジである。そして,いかにもECM的な音場で展開される音楽は,やっぱり好みだなぁと思う。サウンド的に言えば,通常のトリオではなく,ラッパを加えたことがいいアクセントになっていて,これが落ち着ける音楽である。まさに刺激を求めるためではなく,心の安定を得るために使いたいと思ってしまう。

いずれにしても,これも3年以上放置したことについては,反省しなければならない。やっぱりCDは買ったタイミングで,タイムリーに聞くということが大事だなぁと思ってしまった。非常に渋いアルバムなので,万人受けするとは思えないが,これはいい作品であった。星★★★★☆。

Recorded in June 2014

Personnel: Julia Hülsmann(p), Theo Bleckmann(vo), Tom Arthurs(tp, fl-h), Marc Muellbauer(b), Heinrich Köbberling(ds)

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