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2017年おすすめ作

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カテゴリー「ECM」の記事

2019年5月27日 (月)

今回も素晴らしい音場を聞かせるBill Frisell~Thomas Morganのデュオ・ライブ。

_20190526-2 "Epistrophy" Bill Frisell & Thomas Morgan(ECM)

Bill FrisellとThomas Morganのデュオによるライブ,"Small Town"がリリースされたのが2017年のことであった。それから約2年を経て,同時期に同じくVillage Vanguardで録音された姉妹編ライブがリリースされた。前作が出た時,私はVanguardのような場所でこういう演奏が展開されたことに驚きを覚えた(記事はこちら)のだが,今回もメンツが同じなのだから,同一路線であることは当然である。しかし,こうして2枚目が出るってことは,ボツにするには惜し過ぎるとManfred Eicherが感じたからなのかもしれない。まぁ,それも納得できる演奏である。

それにしても面白いレパートリーである。「ラストダンスは私に」とか,「007は二度死ぬ」のテーマ,"You Only Live Twice"とかをやってしまうってのがそもそも普通ではない。だが,こういう曲がタイトル・トラックであるThelonious Monk作"Epistrophy"や"Pannonica"と並んでいても,何の違和感もないってのが逆に凄い。まぁ,前作でも"Goldfinger"をやっていたから,結構007好きなの?と思ってしまう(笑)。年齢からするとビルフリの趣味だろうが...。いずれにしても,"You Only Live Twice"はイントロから,原曲のメロディ・ラインを結構忠実に弾いていて,へぇ~と思ってしまった。こういうのも大いにありだなとも思う。

上述の2曲を除けば,選曲からすれば,結構ジャズ的なチョイスと言うこともできるのだが,サウンドとしては,もはやこれはジャズ的と言うよりも,私にとってはアンビエント的な感覚さえ覚えてしまう。だが,これはやはり中毒性があると感じてしまうアルバムである。甘いの承知で星★★★★☆

Recorded Live at the Village Vanguard in March 2016

Personnel: Bill Frisell(g), Thomas Morgan(b)

2019年5月 7日 (火)

Jakob Broのライブ盤:NYCの聴衆の反応はどうだったんだろうか...。

_20190501 "Bay of Rainbows" Jakob Bro(ECM)

昨年リリースされていたアルバムだが,買い逃していたものを遅ればせながら入手したもの。Jakob Broが同じメンツでCotton Clubに来た時の感想として「ある意味アンビエント的,環境音楽的な響き」なんて書いている私(記事はこちら)だが,このアルバムを聞いても全然印象は変わらない。

Jakob Broの音楽を聞いていると,ビートも明確に刻むことはほとんどないし,ほぼ静謐な中で演奏が展開されるので,まぁ上述のような感じ方になることは仕方がないことだとは思う。その一方で,こういう音楽ってライブではどういう風に受け入れられるのか実に興味深い。それもこのアルバムが収録されたのはNYCのJazz Standardにおいてである。私もこのクラブには何度か行ったことがあるが,実に真っ当なジャズ・クラブであり,そのプログラムは様々なミュージシャンに目配りがされたものである。先日はRalph Townerもソロで出ていたし,そこにJakob Broのトリオのような人たちが出ても不思議はない。

更に言ってしまえば,NYCの聴衆はいろいろな音楽を聞くチャンスが多いから,こういう音楽に対する嗜好の強い人たちがいても不思議はない。アルバムに収録された拍手を聞けば,相応には受けているようにも思える。やっている音楽は相変わらずなのだが,唯一4曲目"Dug"だけはビートが強化され,ギターのエフェクトを聞かせた音を聞かせるような新機軸のように思える。それでも本質的にはやはり「アンビエント的,環境音楽的」であることに変わりはない。それは前回Cotton Clubで見た時の印象とも重なっている。

しかし,こういう音ってのは実は麻薬的なものであり,はまってしまうと足抜けが大変なところもあるのである。だから,間もなくに迫った彼らの再来日公演も実は気になっている私である。でもねぇ,実のところ,心地よい睡魔に襲われそうな気もしている。結局こういう音が好きなのだが,一般的にはどうなのかなぁって気もしている。通常の感覚で言えば,このアルバムに対する評価は星★★★★が適切って感じだろうが,やっぱり麻薬的なのだ。

それにしても,間もなくに迫ったCotton Clubのライブの金曜1stのボックス席が完売って,にわかには信じがたい。彼らの音楽の本質を理解したリスナーならいいのだが,全然目的の異なるオーディエンスだと彼らも困っちゃうよねぇ(苦笑)。

Recorded Live at Jazz Standard in July, 2017

Personnel: Jakob Bro(g), Thomas Morgan(b), Joey Baron(ds)

2019年4月29日 (月)

Giovanni Guidiの新作は美的な毒とでも呼びたい。

_20190429 "Avec Le Temps" Giovanni Guidi(ECM)

Giovanni Guidiは今年1月末のイタリア文化会館でのライブにおいて,実に甘美な音楽を聞かせた(記事はこちら)が,その記憶もまだ新たなこの春に,ECMでの4作目となるアルバムを届けてくれた。一言で言えば,美しさの中に毒を持った音作りと言える。美的なだけではなく,フリーなアプローチも交えながら,音楽的なクォリティは実に高いと思わせる。

ソロでのライブはそれはそれは甘美な響きに満ちていたが,冒頭のタイトル・トラックもそれに近い印象を与える。Léo Ferréが1971年にリリースした曲の歌詞は実に悲哀に満ちたものだが,そうした感情的な機微を音で表すとこうなるって感じか。メンバー4人の共作となっている3曲目,4曲目はコレクティブ・インプロヴィゼーションの趣であり,フリー度がやや高まるものの,その他の曲では静謐なる美学というECMレーベルならではと思える特徴が示されたアルバムと言ってよいと思う。

バックを支えるリズムのThomas MorganとJoão LoboはGiovanni GuidiのECMでのトリオ作にも参加しているから,これが今のレギュラーってところだろうが,こういう音楽にThomas Morganは絶妙の相性を示すって感じがする。Jakob Broのライブで見たThomas Morganはジャズ・ミュージシャンらしからぬ(?)シャイな好青年であったが,ああいうキャラだからこそ,こういう音って気もする。そして,このアルバムで効いているのがRoberto Checcettoのギター。実にGuidiトリオとのいい相性を示す響きである。

こういう音楽に魅力を感じてしまうと,抜け出すことができないというのがECMのマジックというか,その特性だと思うが,今回もまんまとManfred Eicherの術中にはまってしまった私であった。星★★★★☆。それにしても,ラストの亡きTomasz Stankoに捧げたと思しき"Tomasz"の美しいことよ。

Recorded in November, 2017

Persoonel: Giovanni Guidi(p), Francesco Bearzatti(ts), Roberto Cecchietto(g), Thomas Morgan(b), João Lobo(ds)

2019年4月15日 (月)

Vijay IyerとCraig Tabornという才人2人によるフリー・ジャズと現代音楽のハイブリッドって感じの素晴らしい作品。

_20190413-2"The Transitory Poems" Vijay Iyer / Craig Taborn(ECM)

どちらもECMにおいてリーダー・アルバムを持つVijay IyerとCraig Tabornがピアノ・デュオでのライブを行った際の音源である。私なんかの世代でピアノ・デュオと言えば,Herbie HancockとChick Coreaのそれを思い出してしまうが,あっちとは随分と雰囲気が違う。まぁ,HerbieとChickのデュオにおいても,バルトークの「オスティナート」とかをやっていたが,Vijay IyerとCraig Tabornによる演奏は,より現代音楽的なアプローチを感じさせる。主題ではフリー・ジャズと現代音楽のハイブリッドと書いたが,基本的には調性の枠内なので,フリー感はそんなに強いわけではない。しかし,6曲目の"Clear Monolith"と7曲目の"Luminous Brew"はそれぞれフリー・ジャズ界の巨人,Muhal Richard AbramsとCecil Taylorに捧げられているので,やはりフリー的な感覚と言ってもよいかもしれない。

そして2曲目"Sensorium"とラストのメドレーも,2018年に亡くなったJack Whitten(芸術家)とGeri Allenに捧げられており,このライブ全体を彼らへのオマージュとして捉えているとライナーにも書いている。アルバム収録時にはCecil Taylorはまだ存命だったので,オマージュというのは後から生まれてきた感覚だろうが,このアルバムを聞いていると,少なくともこのライブ以前に亡くなった3名に対してはそうした彼らの思いが打ち出されている感覚が強く,決して聞き易い音楽とは言えないこの演奏が,実に心に響いてくる。そして,彼らにとってみれば,よくよく考えてみると,演奏中にCecil Taylorが降りてきたような気が後になってしたのかもしれない。確かに7曲目の冒頭の低音部には私もTaylor的なところを感じた。

Roscoe Mitchellのバンドで共演歴があった彼らにとっても,このライブは特殊な機会,あるいは一期一会的なものだったのかもしれないが,ここで聞かれる集中力は大したもので,私はこの響きに大いに感動したのであった。星★★★★★。やはり才人たちのやることはレベルが違う。

Recorded Live at Frantz Liszt Academy of Music, Budapest on March 12, 2018

Personnel: Vijay Iyer(p),Craig Taborn(p)

2019年4月 3日 (水)

久しぶりに聞いたKeith Jarrettの"Inside Out"。

_20190331 ”Inside Out" Keith Jarrett / Gary Peacock / Jack DeJohnette(ECM)

Keith Jarrettのアルバムは結構保有しているが,実はあまり家で再生する回数は多くない。大概の場合,クォリティが確保されているから,まぁ聞かなくてもわかったような気になっている部分はあるし,所謂Standards Trioによる演奏は,若干マンネリ化してきた部分も感じていたのは事実だからと言ってもよい。なので,私がこのアルバムを聞くのは実に久しぶりってことになる。本作は久々にスタンダードから離れて,完全即興で演じられた音楽集である。

Keithが突然,なぜこうした完全即興に臨む気になったかは知る由もないが,クリエイティビティを維持する一環としてやっているのではないかと勝手な想像をしている。完全即興だからと言って,どフリーという訳ではなく,ほぼ調性の範囲内での演奏が多いので,何も怖がることはないのだが,スタンダードをやっている時よりは若干敷居が高いと感じる人がいても不思議はない。しかし,これもこのトリオの本質であることに変わりはない。変幻自在に変化するメロディ・ラインとそれに呼応するリズムって感じの演奏は,スタンダードをやっていても,完全即興でも違いはないからだ。

ここでは"341 Free Fade"や"Riot"において,多少フリー色が強くなるが,ブルーズ的,ゴスペル的な響きを持たせた完全即興は,私にとってはスリリングな感覚さえもたらすものであり,実にジャズ的な響きだと思ってしまう。Standards Trioがやや予定調和的に感じている私にとっては,こういうサウンドの方が実はしっくりくる部分もあるのだ。しかし,その後にアンコールとして演じられる"When I Fall in Love"の美しさを際立たせるような演奏をしてくるのが,ある意味反則(もちろんいい意味でだ)。テンションが高まったところで,それをスローダウンさせながらも,別の感動を与えてしまうこのトリオ,やはり恐るべしである。星★★★★☆。

それにしても,ライナーにはKeithはこういう感じの演奏を今後もリリースするなんて書いているが,トリオでこういう即興って出てないと思うが...。まだまだ音源は眠っているのかもしれないねぇ。

Live at Royal Festival Hall, London on July 26 and 28, 2000

Personnel: Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Jack DeJohnette(ds)

 

2019年4月 1日 (月)

Bar D2延長戦(?)で聞いた"The Great Pretender"。これぞ本当のゴスペルだ。

Great-pretender "The Great Pretender" Lester Bowie(ECM)

3/29に新橋のBar D2が閉店となったが,翌日,私は人形町で海外からの客人の相手をする用事があり,そこへ向かっていた。その道すがら,常連のGさんとマスターの河上さんからD2へのお誘いのメっセージが届き,会食終了後にちょこっとお邪魔してきた。ほぼ何もなくなった店内で頂くウィスキーは,寂しさを募らせるものであったが,そこでGさんが河上さんに頼んでプレイバックしてもらっていたのがこのアルバムである。

Lester Bowieと現在のECMではやや結びつきにくい部分があるが,先般購入したAEOCボックスの1枚となっているこのアルバムを,家に帰って改めて聞いてみた。アルバム全体としては,様々なタイプの音楽が収められており,フリー・ファンクのように響く瞬間や,哀愁すら感じさせる瞬間もあったりして,かなりバラエティに富んだものとなっており,実に面白い。しかし,このアルバムは冒頭のタイトル・トラックこそ白眉であり,この1曲のためにこのアルバムを保有していてもよいと思えるような素晴らしい演奏である。

一言で言えば,これこそ真のゴスペルだと言いたくなるような強烈なソウルを感じる。この演奏には多言を要しないが,それにしても素晴らしい演奏である。心の叫び,魂の咆哮,神への畏怖等々,様々な言葉で表現することは可能だろう。だが,この演奏を聞くと,楽器で語る,あるいは音楽で語ることが可能だと思わせるに十分な強烈な演奏なのだ。感情を直接刺激すると言ってもよい。こうした曲をBar D2というスペースにおいて,改めて,そして最後にお店(であった場所)に伺う機会に聞くことができたことを感謝したいと思う。この1曲は星がいくつあっても足りないぐらいの感動をもたらすものと断言してしまおう。

Recorded in June 1981

Personnel: Lester Bowie(tp), Hamiett Bluiett(bs), Donald Smith(p, org), Fred Williams(b), Phillip Wilson(ds), Fontella Bass(vo), David Peaston(vo)

 

2019年3月 5日 (火)

ECMの次なる新譜はYonathan Avishaiによるピアノ・トリオ。

"Joys And Solitudes" Yonathan Avishai(ECM)

_20190303_2 昨日のMats Eilertsenに続いて,今日もECMである。しかも編成は同じくピアノ・トリオなのだが,だいぶ印象が違う。昨日取り上げたMats Eilertsenが美的で透徹な感覚を覚えさせるのに対し,Yonathan Avishaiの音楽はもう少し温度感が高めであり,美的ではあるが,ややウォームな感覚がある。これが北欧組のMats Eilertsenと,イスラエル出身のYonathan Avishaiの出自による違いと言っては言い過ぎかもしれないが,本当に感覚が違うのである。

オープナーはDuke Ellingtonの"Mood Indigo"であるが,イントロに続いて,この曲のメロディ・ラインが出てきたときのはっとさせるような感覚。曲の美感を強く感じさせるに十分な演奏であった。これでつかみはOKってところだろう。

比較的メロディアスな感覚が強く打ち出される中で,一番の大曲"When Things Fall Apart"なんかはやっぱりECM的だと思わせるが,それでもある意味現代音楽的に響くアルバムも多いECMにおいては,この感覚はやや通常と異なる感覚がある。それが悪いということではなく,私の嗜好との兼ね合いってところがあるように思う。

まぁ,それでもECMなので,一般的なピアノ・トリオとは一線を画するところは一緒であるし,本作も悪いアルバムだとは思わないのだが,私としてはYonathan AvishaiはAvishai Cohenとのアルバムでの演奏の方が魅力的だったように思える。私にとっては,ECMらしさがやや不足しているように感じられたってことで,星★★★☆ぐらいにしておこう。

Recorded in February 2018

Personnel: Yonathan Avishai(p), Yoni Zelnik(b), Donald Kontomanou(ds)

2019年3月 4日 (月)

いかにもECMらしいMats Eilertsenのピアノ・トリオ・アルバム。

"And Then Comes the Night" Mats Eilertsen (ECM)

_20190303 ノルウェイのベーシスト,Mats Eilertsenは,自身のアルバムに加えて,ECMの結構キーとなるプレイヤーのアルバムに参加していて,非常にレーベルでも活躍が目立つ人である。とか言いながら,彼のアルバム"Rubicon"は買っていないはずなので,偉そうなことは言えないが,それでも最近目にする機会が多い名前なのは事実である。

そんなMats Eilertsenの新作はピアノ・トリオによるアルバムであるが,これがまた何ともECM的な響きである。静謐にして美的な響きは,いかにもECMらしい。これまたレーベルではお馴染みのThomas Stronenに,オランダのピアニスト,Harmen Fraanjeを加えたトリオは,こちらが期待するサウンドを生み出していると言ってもよい。

聞く人によっては,これがほんまにジャズと呼べるのか?って評価もあるだろうが,いつもながらECMのサウンドに痺れているリスナーにとっては,これこそが期待値なのである。まぁ,段々どれがどれだかわからなくなってくるって話もあるが(爆),それでもこの実に美しいサウンドに身を委ねていれば,私には何の問題もない。

彼ら3人はほぼ同世代ということもあり,おそらくは日頃からうまが合うメンツということもあるが,それにしても見事な緊密度というか,こうしたある意味ミニマルな世界で音を紡いでいくには,阿吽の呼吸も必要なのかなぁと思ってしまう。

刺激は少ないが,ある種の幽玄ささえ感じさせる演奏。ここではStefano Amerioがエンジニアリングを担当しているが,やっぱりECMの音になっている。これは絶対レーベル・カラーに合わせているなと思わせるに十分。ちょいと甘いと思いつつ,星★★★★☆。ここで聞かれる美学はやはり沁みるねぇ。雨降りの日に,膝を抱えて聞くには最適(爆)。

Recorded in May 2018

Personnel: Mats Eilertsen(b), Harmen Fraanje(p), Thomas Stronen(ds)

2019年3月 1日 (金)

Larry Grenadierの初リーダー作がベース・ソロ・アルバムとは...。さすがECMである。

"The Gleaners" Larry Grenadier(ECM)

_20190224_3 最近新譜を買う頻度が大幅に下がった私であるが,例外もあって,ECMレーベルのアルバムについては,全部とは言わないが,かなりの確率で購入している。先日,発注済みのものがようやくデリバリーされてきたので,順次聞いていくことにしたい。まずはBrad Mehldauのトリオでもお馴染みのLarry Grenadierの初リーダー作である。それが何とベース・ソロである。

ECMレーベルにはBarre PhillipsやMiroslav Vitous,Dave Hollandらによるベース・ソロのアルバムがあり,昨年もBarre Phillipsが「最後の」ベース・ソロ・アルバムをリリースしている。そんなことができるのは今やECMレーベル以外には考えられないが,そこにLarry Grenadierが初リーダー作としてソロでアルバムを出すとはまさに驚きである。

もちろん,ベース・ソロということなると,相当こちらも身構えてしまうところがあるのは事実だが,Barre Phillipsのアルバムでもわかったように,実はそれほどハードルは高くなく,ベースの音に身を委ねていればいいのである。そして,Larry Grenadierはアルコとピチカートを半々ぐらいで使い分けているが,かなりメロディアスなラインも出てくるので,聞きにくい音楽だとは思わない。私にとってはアンビエント・ミュージックのようなものだと言ってもよい。

面白いのはそのレパートリーである。Grenadierのオリジナルを中心に,奥方Rebecca Martin,Coltrane, Paul Motian,Wofgang Muthspiel,そしてGershwinの"My Man's Gone Now"等の曲が並んでいる。でもまぁ原曲がどうとか言っても,実はよくわからない部分もあるので,私としてはへぇ~,そうなんだぐらいの感じであった(爆)。

それにしても,Larry Grenadierもチャレンジャーである。ベース・プレイヤーのとしてのアイデンティティを発露するためには,別にベース・ソロでなくてもいいようにも思えるが,そこに敢えて挑むというのは簡単なことではないと思える。しかし,前述のとおり,即興におけるメロディ・ラインもアバンギャルドと言うよりも,真っ当な音楽となっていて,実に懐の深いプレイヤーだということを改めて感じさせる。

だからと言って,しょっちゅう聞きたいと思わせるようなアルバムだとは思わないが,ふとした瞬間,こうした音楽を欲するタイミングもあるのではないかと思わせる作品。星★★★★。

Recorded in December 2016

Personnel: Larry Grenadier(b)

2019年2月 2日 (土)

Giovanni Guidi@イタリア文化会館参戦記

Guidi

イタリアのミュージシャンが来日すると,無料でライブを開いてくれるイタリア文化会館にはこれまでには何度かお世話になっているが,今回はECMレーベルのアーティストであるGiovanni Guidiの来日とあっては,これは行かねばならんということで,目ざとく情報を見つけた私はネットで申し込みを完了したことは言うまでもない。

すると,新潟ジャズ界の大パトロン,スズニカ伯爵夫人ことSuzuckさんも当日お越しになるとの情報を得て,ご一緒させて頂いた私である。Suzuckさんには,我が同僚にして,最強サラリーマン・サックス・プレイヤー,八木くんがマレーシアからの一時帰国中に同行するという,何とも濃い~メンツでの参戦となった。

Guidi_iそして,約1時間,ピアノ・ソロで演奏し続けられた演奏は,一言で言えば,甘美な響きであった。さすが,イタリア・オペラの国である。あまりに美的な響きは,時として睡魔を誘うが,これこそ心地よい眠りであったと開き直ってしまおう。正直なところ,イタリア文化会館でのライブは,明らかにジャズを聞きそうにない聴衆も多い(それは武蔵野スイングホールのライブと同様)なのだが,私の感覚では聴衆の7割方は心地よい眠りに誘われていたのではないかと思えた。自分もその一人になってしまった訳だが,それほど本当に甘い響きだったのだ。

ジャズ的なスリルとかとは全く別物の世界であるが,実にいい音楽を聞かせてもらったという気がする。そして,Suzuckさまご一行は,その後新橋のテナーの聖地,Bar D2において,Elvin Jones Lighthouse Quartetの発掘音源で盛り上がったのであった。GuidiとElvinでは真逆のような感じだが,何の違和感もなく受け入れてしまうのが,私たちってことで(笑)。

ということで,写真は当日の戦利品と,Giovanni Guidiと私(モザイク付き)。Giovanni Guidiと私の顔のでかさが違い過ぎ(爆)。ライブ後の飲みを含めて実に楽しい一夜であった。Suzuckさん,八木くん,ありがとうございました。

Live at イタリア文化会館 on January 29, 2019

Personnel: Giovanni Guidi(p)

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