カテゴリー「クラシック」の記事

2008年9月26日 (金)

ベルリン訪問のわけ

Q110 「金融機関の店舗デザイン」というカテゴリーで記事を書くのは久し振りである。先日,私は欧州各地を出張で訪れたわけであるが,最後の訪問地はベルリンであった。実は,ベルリンを訪れたのは本日紹介するドイツ銀行の次世代型フラグシップ店舗,Q110を訪問するためであったのである。

金融機関向けに店舗デザイン・コンサルティングを仕事のひとつにしている私にとっては,この店については,その開設以来,ネットワーク上でいろいろな情報は仕入れてはいたものの,一度は訪れてみたいと思っていた店舗である。ここにアップした写真はドイツ銀行のサイトから拝借してきたものであるが,写真でのイメージは必ずしも実体を反映していないこともよくあるから,自分の目で見て確かめるというのが,今回のベルリン訪問最大の理由である。

仕事柄,私は先進的な金融機関店舗は米国を中心に見て回っている方だとは思うが,このQ110はいろいろな銀行が実験してきたことを集大成したようなものであり,ここにしかないオリジナリティは必ずしも多くない。しかし,さまざまな要素が非常にバランスよくミックスされているところに,この店舗のよさを感じるのである。もちろん,これってどうなのよと疑問に思わせる部分がないわけではないが,トータルで見ると,非常によくできたお店ということはできるだろう。

いずれにしてもこの店はかなりのコストを掛けて作られているのは間違いないところであるが,それに見合うリターンを得られるかが鍵となる。ドイツ銀行では,ここでの実験を踏まえてほかの都市にも同様の店舗を展開中ということであるから,コストに見合うリターンが得られると判断したということであろう。

そのほかで特筆すべきはラウンジで供された食事のクォリティの高さである。岸朝子ではないが,たいへんおいしゅうございました。ついでにワインなどのアルコール飲料まで飲めてしまうところがある意味では驚きである。

Rattle 尚,このQ110にはトレンド・ショップという小売機能が付帯されているのだが,そこにSir Simon Rattleがベルリン・フィルと演奏したワーグナーの「ラインの黄金」のCDが!。このCD,ベルリン・フィルのWebサイトあたりでは買えたのかもしれないが,一般には流通していないようなので(一応,店舗にあったインターネット端末を使ってAmazonで確認した),すかさずゲットした私であった。帰国後,ベルリン・フィルのサイトをサーチしてみたが,このCDはどこにも見当たらない。これはドイツ銀行がベルリン・フィルの公式スポンサーゆえに成り立つのかもしれないが,ジャケにはドイツ銀行のロゴも入っているし,もしかしてドイツ銀行エクスクルーシブなのか?いずれにしても珍しいものを見るとつい手を出す私である。

本盤は2006年6月23日,ベルリン・フィルハーモニーにおける演奏会形式でのライブ音源である。CDのジャケのイメージが見つからないので,当日のコンサート時と思しき写真だけでもアップしておこう。時間がなくて,まだ聞けていないが,今から聞くのが楽しみなCDである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 7日 (木)

Gergievのマーラー・チクルス,早くも第3弾

Mahler_7 "Mahler: Symphony No.7" Valery Gergiev / Lonson Symphony Orchestra(LSO Live)

このブログで「Gergievのマーラー・ライブ現る」と書いたのが今年の5月だが,早くもこのシリーズ第3弾としてマーラー7番の登場である。それにしても物凄いリリース・ペースではないか。今年だけで3枚目である。まぁ既にこのチクルスは終了しているみたいだから,最終的には全曲発売するのだろうが,かつてないようなリリースのパターンである。

これまでのシリーズを聞いていても思ったのだが,やはりGergievらしいというか,圧倒的にパワフルな演奏で目が回りそうという感じである。こうした演奏ならばGergievならできて当然という気がしてしまうのだが,例えば5番のアダージェットやら9番のアダージョなんかはどうなってしまうのだろうという方に関心が向いてしまうのはちょっとまずいかなぁとも思ってしまった。

このGergievのマーラー・チクルス,世間では賛否両論渦巻いているようだが,結局は何をこの演奏に求めるかということに尽きるわけで,私のようにGergievのダイナミズムが好きな人間にとってはこれもOKなので星★★★★である。しかし,7番という曲そのものがあまり魅力的とは言えないというのも事実であり,私としては早いところ,2番,5番,9番を聞いてみたいなぁというのが実感である。

ところで,昔,ロンドン響がClaudio Abbadoと来日した時に私は楽器搬入のバイトをしていて,ステージの袖からマーラー5番の演奏を聞く(見る)という幸せな経験をしたのだが,そのときのバック・ステージに散乱したビールの空き缶の数には笑ったのも懐かしい。ロンドン響の連中は,熱い演奏で赤い顔をしていたのではなかったのだ。特にブラスの連中あたりは激しく飲んでいたんだろうなぁ(笑)。

Recorded Live at the Barbican in March 2008

London Symphony Orchestra Conducted by Valery Gergiev

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年5月24日 (土)

Gergievのマーラー・ライブ現る

Mahler_6 Varely Gergievがロンドン交響楽団(LSO)の常任指揮者になったらしいのだが,そのLSOとのライブによるマーラーの1番,6番が発売されていたので,早速購入である。最近は大型店のクラシックのコーナーを訪れる機会もあまりないし,レコード芸術誌を読んでいるわけではないので,このレコーディングのことは全然知らなかった。私の不勉強かもしれないが,出ていれば私は多分購入していたはずだから,(少なくともメジャー化した後の)Gergievがマーラーを正式レコーディングしたことはないと思う。

Gergievが振ったロシアの曲(チャイコ,ショスタコ,ストラビンスキー)等々,どれも火の出るような激演だったから,このマーラーにも期待が高まろうというものである。さすがにベルリオーズはGergievと言えども???であったが,マーラーならきっとやってくれるだろうと確信している。しかし,いかんせん私の体調が現在あまりはかばかしくないため,マーラーの交響曲を聞くという気分ではないのである。よって,この演奏に関しては体調の回復後,追って記事にしようと思うが,どうせならこのLSO Liveシリーズでマーラー・チクルスをやってしまうというのはどうだろう(とここまで書いてLSOのサイトを見たらチクルスをやるらしい)?

いずれにしても今日はジャケの写真(これは6番のもの)だけアップしておこう。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年1月17日 (木)

映像でクライバーを見る歓び

Photo "Beethoven: Synmphonies Nos. 7 & 4" Carlos Keiber / Concertgebouw Orchestra Amsterdam (Philips)

早いものでカルロス・クライバーが亡くなって今年で4年ということになる。しかし,私の脳裏からクライバーの姿が消えたことはほとんどないぐらいの強烈な印象を残した人であった。私は幸運にもカルロス・クライバーを生で3回観ることができたのだが,最初は1986年のバイエルン国立管弦楽団との来日公演で2度,もう1度は在米中の1990~91年シーズンのメトロポリタン・オペラハウスでの「ばらの騎士」でである。Metでは金もないので,座席は天井桟敷ではあったが,$19という破格の(嘘のように安い)値段でクライバーの指揮によるこのオペラを観られたのは本当にラッキーだった。その「ばらの騎士」ではパバロッティが歌手役で1曲歌っていたのも今となってはいい思い出である。

しかし,私の中で最も記憶に残っているのは86年に来日したときに神奈川県民ホールで見たベートーベンの4番,7番の演奏である。本日紹介しているDVDでも同じような姿が見られるが,まさしく踊るがごとき指揮ぶりに私の友人と私はそれこそ血湧き肉踊らされたという感覚であった。はっきり言って,私はベートーベンを聞きながら「乗って」しまったのである。勝手に足やからだが動いていたというのが正直なところである(後の席のお客さん,ごめんなさい)が,それまでレコードで聞いていたクライバーの演奏同様,「躍動感」の塊りのような演奏であるから,それも仕方がないところである。

ここでの映像を見ていても,ライブの場で受けた印象と大きな違いはないので,そうした私の記憶や興奮を呼び戻すのにはこのDVDに収められた演奏で十分である。この強烈なスピード感とダイナミズムに一度身を委ねてしまえば,ほかの大概の演奏では満足がいかなくなってしまうのはある意味当然である。この演奏を「品格」に乏しいと呼ぶ人もいよう。しかし,私はこの演奏の興奮度というものはやはり貴重であると思う。

それほど多くはない私のクラシックのライブ体験の中で,私がその場で本当に「燃えた」のはクライバーのライブと,88年のロンドンにおけるテンシュテット~ロンドン・フィルのマーラー5番(出張中にこれを観られた私は幸福者と言わざるをえまい)をおいてほかにはない。今,映像で見直してもやはりクライバーは不世出の指揮者である。星★★★★★。是非,クライバーの表情を見ながら鑑賞して頂きたい傑作映像ソフト。

Recorded Live at Concertgebouw, Amsterdam on October 19 & 20, 1983

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月 4日 (金)

Keith Jarrettの弾くヘンデル:これが結構よいので怖がらずに聞きましょう。

Handel "Handel: Suites for Keyboards" Keith Jarrett(ECM New Series)

既にこのブログで私のヘンデル好きを告白してしまったが,一般的にヘンデルと言えば,オラトリオや管弦楽のイメージが強いのは致し方ないところである。しかし,私がヘンデルで本当に好きなのはそうした曲ではなく,管弦楽系ならばオルガン協奏曲,そのほかでは木管のためのソナタやそしてこの鍵盤組曲である。鍵盤組曲に関して言えば,もともとそれほどアルバムがない中で,Andrei GavrilovとSviatoslav Richterによるライブ盤というあまりに美しいアルバムがあり,全曲版ならばそちらが決定盤である。今なら2枚組みの2セットで\3,000ぐらいで買えてしまうといういい時代になったが,何とも言えぬピアノの響きが楽しめる。

その鍵盤組曲をKeith Jarrettが弾くとどうなるかということなのだが,これが何ともいいのである。実は私はKeith Jarrettにしろ,Chick Coreaにしろ,ジャズ・ピアニストがクラシックの曲を演奏することに強い違和感をおぼえてきたのだが,そうした見解を改めなければならないと思える演奏である。私がKeithのヘンデルを初めて聞いたのは,リコーダー・ソナタのバックでチェンバロを軽快に弾いているアルバム(RCAレーベルの作品ながら,プロデュースはECMのManfred Eicherである)だったのだが,それが意外にもよかったので,このアルバムも買ったというのが正直なところである。しかし,期待を裏切られることはなかった。曲そのものとの相性かもしれないが,Keithのピアノ・タッチとヘンデルの曲は相当親和性が高いように感じられる。爽やかささえ感じさせる好演奏と言えばよいだろうか。

ある意味,バッハやヘンデルならば超絶技巧は必要なかろうが,逆に演奏にはピアニストの個性が出てきてしまうものである。そうした観点で,このヘンデルはちゃんとKeith Jarrettのヘンデルとなっていると思う。くせがなく,美しい響きが全編で楽しめる。私のヘンデル好きという弱みもあり,星★★★★☆(5つ星はGabrilovとRichterのアルバムにこそ相応しい)。

誤解を恐れずに言えば,ヘンデルはバッハよりもはるかにわかりやすく,ずっと気楽に聞ける音楽である。Keithのファンが,クラシックを弾くKeithも聞いてみようということであれば,おそらくはこのアルバムが最も適しているのではないかと思う(もちろん,平均律でも,ゴールドベルクでも,フランス組曲でもかまわないのだが...)。それにしても大したピアニストである。

Recorded in September 1993

Personnel: Keith Jarrett(p)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月25日 (火)

クリスマスには...メサイアよ

Messiah_2 ゛Messiah゛ Geroge Frideric Handel作曲,John Eliot Gardiner指揮,English Baloque Soloists & Monteverdi Choir(Philips)

師走といえば,日本ではベートーベンの第九と相場が決まっているが,海外では゛Messiah゛が定番である。このブログでクラシック音楽を取り上げるのは今日が初めてであるが,クリスマスには゛Messiah゛こそ相応しい。

実は私は一時期ルネッサンス期の宗教音楽やバロックに凝っていた時期があるのだが,その中ではGlen GouldのBachは別格として,私の嗜好に最もフィットしたのはヘンデルであった。何を隠そう私の結婚披露宴では私たちの入場の音楽にヘンデル作曲「王宮の花火の音楽」を使ったぐらいであるからおバカと言えばそのとおりだが,それぐらいヘンデルが私は好きだったのだ。

ヘンデルの数々の作品の中で,゛Messiah゛を聞く回数はそれほど多くはないが,やはりクリスマスの時期になると,このCDをごそごそと取り出してきて,にわかに宗教じみてくる私である。しかしこの音楽がキリスト教徒にとって,非常に重要な作品であることは,海外でのこの曲のライブの演奏に立ち会えばわかる。所謂「ハレルヤ」コーラスのところになると,聴衆が全員起立するのである。初めてその瞬間を目にしたのは,今を去ることほぼ20年前,私が英国に出張中に聞きに行ったQueen Elizabeth Hallでの演奏会でのことだったが,最初は何が起こったかわからなかいぐらい驚いたものである。その時も思ったし,今でもそう思うが,宗教の持つ力は偉大である。

作品そのものを云々すること自体この曲には不適切であるが,私はこのGardiner盤の上品さを最も好ましく思っているので,ここに取り上げた。今年もクリスマスは静かにこの曲で迎えることとしよう。

こんなことを書いていると,日頃私がデーモン木暮閣下の真似をして,「蝋人形の館」をシャウトしているのとギャップが大き過ぎ~と言われることは確実だが,人は見かけによらないのである。ロザリオを持つ悪魔とでも呼んでくれい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)