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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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カテゴリー「ブラジル」の記事

2017年6月 7日 (水)

ピアニスト,Egberto Gismontiのもの凄さ。

"Alma" Egberto Gismonti(Carmo)

_20170606ECM系列のCarmoレーベルからリリースされた作品だが,もともとはEMIから出ていたCDにボーナス・トラックを追加したものらしい。但し,オリジナルにあった"Infancia"という曲が省かれているようである。

Gismontiと言えば,まずはギターのイメージが強いが,ピアノもうまいことはわかっている。しかし,本作は1枚をピアノで通しており,そしてその手腕は見事としか言いようがない。はっきり言ってしまえば,普通のピアニストでは勝てないレベルである。全編を通して,開いた口がふさがらないぐらいうまい。強靭なタッチ,優れたインプロヴィゼーション能力はある意味Keith Jarrett級と言ってもよい。マルチなタレントを持つミュージシャンは何をやらせても上手いということはわかっているし,去年のライブでもピアノから繰り出されるメロディに圧倒された私だったが,久々にこのアルバムを聞いて,やっぱりすげぇやって思ってしまった。そんな月並みな表現しか出てこないほど圧倒的なピアノである。改めての驚きも含めて星★★★★★。

Recorded in 1987 & 1993

Personnel: Egberto Gismonti (p)

2017年5月 3日 (水)

Deodatoがオケと共演するという,いかにもな企画のアルバム

"Artistry" Deodato (MCA)

_20170429このブログにも何度か登場しているDeodatoである。私は彼のエレピが生み出すグルーブ感が好きなのだが,一昨年のどうしようもないライブを見せられて,今後は彼のアルバムはもうえぇわと思っている。そんな私でも,以前のアルバムまで手放す気はないのだが,そんな中で,中古でゲットしたまま,あまり聞いていないアルバムを取り出してきた。

これはCTIからMCAへ移籍後のアルバムだが,セントルイス交響楽団との共演ライブという,いかにもな企画のアルバム。Depdatoのアルバムは,ホーン・セクションは結構充実しているから,オケに期待されるのはストリングスってことになるだろうが,オケをフィーチャーした曲は"Farewell to a Friend"が準備されているが,ありがちな映画音楽,あるいはへなちょこなアダージェットのような響きで,別にこうしたサウンドを期待しているリスナーは多くないだろうと言いたくなる。まぁ,ライブ盤だから,こういうのもありってことだとは思うが,Deodato=グルーブだと思っている私のようなリスナーにとってはどうでもよい(きっぱり)。

だから,その次に"Super Strut"が演奏さえると,Deodatoかくあるべしと思ってしまうのである。クラシックのアダプテーションが多いDeodatoであるから,ここでも「なき王女のためのパヴァーヌ」もやっているが,そこでのストリングスの響きはよしとしても,オケと共演することによる相乗効果までは得られているとは到底言えない。セントルイス交響楽団と共演だから,"St. Louis Blues"もやっちゃいましたってのも,いかにも安易。

まぁ,そうは言いながら,Deodatoのサウンドは嫌いではないのだが,別にこれは持っていなくても問題なかろうと思える凡作と言ってよいだろう。正直言って,オケが邪魔なだけという,企画倒れ作。星★★☆。

Recorded Live at the Missisippi River Festival

Personnel: Eumir Deodato(key), John Tropea(g), John Giulino(b), Nick Remo(ds), Rubens Bassini(perc), John Eclert(tp), Larry Spencer(tp), Sam Burtis(tb), Robert Mintzer(fl, sax) with St. Louis Symphony Orchestra

2016年12月29日 (木)

2016年の回顧:音楽編(ジャズ以外)

今年の回顧の3回目。今回はジャズ以外の音楽である。このブログにも何度も書いている通り,Apple Musicのようなストリーミング・サービスを利用することによって,CDを買うこと自体が減っているのは事実である。よほどひいきにしているミュージシャンは別にして,基本的には,Apple Musicで試聴してから購入するということにしているので,失敗の数は減っている。その結果として,新譜として紹介したものの中でも,推薦に値する★★★★☆以上の作品の比率が非常に高くなってしまっている。逆に言えば,Apple Musicで試聴して,全然魅力を感じなかったものについては,このブログにもアップしていない。今年,新譜としてこのブログにアップしたものは80枚程度ではないかと思うが,結局それでも100枚以上は購入していることにはなるはずなので,普通の人に比べれば,まだまだ買っている方だということにはなろうが,以前に比べれば,かなり減ったという感覚が強い私である。

Blackstarそんな中で,今年の音楽を回顧する場合,多くの有能なミュージシャンがこの世を去ったということが私の意識には強く残存している。その代表が新作"★"のリリース直後(2日後)に亡くなったDavid Bowieである。そのタイミングにあまりに驚かされ,そしてショックを受けたことは1年近く経った今でも変わらない。ある意味ではカッコよ過ぎるが,遺作となった"★"も枯れたところを全く感じさせなかっただけに,その死への驚きが増してしまうのである。Bowieの死のインパクトが強過ぎて,Glenn FreyやPrinceも亡くなったという重大な事実がかすんでしまうところに,David BowieのDavid Bowieたる所以がある。

Leonard_cohen同じように,新作をリリースして間もなく亡くなったLeonard Cohenも同様である。彼の音楽は決して取っつきやすいものではないと思うが,彼が亡くなったというニュースに接して,彼の新作のタイトル・トラック,"You Want It Darker"をネットで試聴して,そこに宗教的なものを感じてしまった私が,そのアルバムを購入し,更に強烈な印象を受けたことは事実である。死期を悟った人間が作った2枚のアルバムが今年を代表するものというのもいかがなものかと思わせるが,それでもこの2枚に関しては,私はどうしても優劣はつけられないのである。"★"については,前作"The Next Day"の方が上だと書いた私でも,Bowieの死と結びついた段階で,評価を越えてしまった。ということで,今年を代表する2枚は"★"と"You Want It Darker"ということにせざるをえない。

Believersこれらの2枚の前で,ほかのアルバムがどうしても分が悪いものとなってしまうのは仕方がないが,私の印象に残っているものとして,瑞々しさという意味でDeacon Blueの新作,"Believers"を挙げたい。どうしてこんないいアルバムがほとんど話題にならないのか,私にとっては不思議で仕方がないが,Ricky Rossのポップ職人としての技は,もはや匠の領域としか言いようがない。ここのところ,彼らの新作("The Hipsters","A New House",そして本作)が出るたびに,私はその年のベスト盤に選んでいるが,私の琴線をとことんくすぐってくれるバンドである。より多くの人に聞かれるべき音楽として,改めて強く推薦したい。

Fever_dreamそして今年,Deacon Blueと並ぶ瑞々しさを感じさせたのがBen Wattの新譜"Fever Dream"である。ライブの回顧でも取り上げたBen Wattであるが,一時期のDJ三昧の生活から,ミュージシャンとしての生活に軸足を移してくれたことは本当に歓迎すべきことである。前作"Hendra"も2014年のベスト盤に選んでいるし,その年にはDeacon Blueの"A New House"も選んでいて,いつもお前のチョイスは変わらないではないかと言われるかもしれないが,いいものはいいのである(きっぱり)。私としては"Hendra"よりも"Fever Dream"の方が更にいい作品だと思っている。ライブとの合わせ技もあり,今年もBen Wattを選出である。

Otis_reddingソウルやクラシック,そしてブラジル音楽は今年はあまり縁がなかった年であった。クラシックでは年末にAndras Schiffのベートーベンのピアノ・ソナタ・ボックスもリリースされているが,あれは純粋新譜ではないので,ここには選びづらい。現代音楽では今年の新譜ではないが,Kate Mooreの"Dances and Canons"を演じた Saskia Lankhoornのアルバムが印象に残った。そして,ソウルは新作はあまり聞いていない中で,Corrine Bailey Raeの久々の新作もよかったのだが,それを上回るインパクトを持っていたのはOtis Reddingの"Live at the Whisky a Go Go: The Complete Recordings"の6枚組である。Corrineには申し訳ないが,Otisと比べられてはこっちを取らざるをえない。ブラジル音楽ではRoberta Saぐらいしか購入していないが,彼女の"Delírio"は実にいいアルバムだったと言っておきたい。

そのほかにもRachael Yamagataの新作もよかったし,King Crimsonのライブ2作品は,彼らが現役バリバリであることを実証したものであった。そのほかにも印象に残るものは多々あるが,私としては順当なチョイスってところだろうな。

2016年12月19日 (月)

2016年の回顧:ライブ編

年の瀬もだいぶ押し詰まってきて,そろそろ今年の回顧をしなければならない時期となった。今年,もう行く可能性がないのはライブなので,まずはライブの回顧からしたいと思う。

ここ数年,私がライブに出掛ける回数が増えていて,一昨年,昨年は22本ずつ行ったが,今年はそれを上回る25本ということになった。これはNYCに2回出張して,各々3回ずつライブを見たのが大きいと思うが,それにしても月2本以上行っていることになるから,結構な頻度なのは間違いない。まぁ,その分,CDを買う枚数は大きく減少しているから,まぁいいってことにしよう。

そして,今年もいろいろなライブに行ったわけだが,回数からすれば,Wayne Krantzである。NYCで2回,東京で1回の都合3回見ているわけだから,私も好きだなぁと思うが,いつも興奮させてくれるので,Krantzは見るに値する人なのである。東京での客入りの悪さは本当に同情したくなるレベルだったが,その分,NYCでの大人気ぶりを見て,安堵した私である。そして,今年最後のライブとなった55 BarにおけるKrantz~Lefebvre~Carlockの凶暴なライブは,出張先での最後の夜を記憶に残るものにしてくれた。ということで,MVPはWayne Krantzである。

一方,今年最高のライブと思えたのはPatti Smithのビルボードでのライブであろう。私は従来からPatti Smith教の信者であると書いてきたが,彼女の歌の持つパワーは半端ではなく,ライブの場で本当に涙してしまったのである。そして,彼女と一緒に歌った"People Have the Power"の記憶は今でも鮮明だ。今,思い出しても,感激に打ち震えるだけのライブだったと思う。

それに次ぐのがBen Wattだろうか。非常にインティメートな環境で聞くBen Wattの音楽は非常に瑞々しく,バンドもタイトな演奏で楽しめるものであった。

もちろん,このほかにもFred Hersch Trio,Joshua Redman~Brad Mehldau,Billy Childs,Jeff Lorber Fusion,五十嵐一生~辛島文雄,Pat Metheny,Mike Stern,Egberto Gismonti等,素晴らしいライブは何本もあった。しかし,いろいろな点を考慮して,どれがよかったかと言えば,Patti Smith,Ben Watt,Wayne Krantzってことになると思う。さすがにPatti SmithのBillboardでの映像はないが,ノーベル賞のセレモニーで歌った"A Hard Rain's A-Gonna Fall"の映像(歌詞を忘れるPatti様)と,私がスマホで撮影したWayne KrantzとBen Wattの映像を貼り付けておこう。Krantzは不完全ながら結構激しい(このKeith Carlockを見よ!),Ben Wattの方は,ほぼ1曲"Nathaniel"を完全に撮影できている。こちらは当ブログでは初公開のものだが,お楽しみ頂ければ幸いである。

2016年4月21日 (木)

素晴らしかったEgberto Gismontiソロ。

Egbertogismonti
Nana Vasconcelosとのデュオ・ライブとして演じられるはずだった今回の公演が,Nanaの急逝によりEgberto Gismontiのソロとなったライブを観に,練馬文化センターに行ってきた。西武池袋線に乗るのは一体何年ぶりになるだろうか。大学時代に家庭教師をしていた頃だから,30数年ぶりってことになるが,その練馬駅前に会場はあった。

どうも会場は知り合いの集いみたいな感じの人々が多く,あちこちで挨拶を交わす声が聞こえたが,私は今回は完全単独行であった。前回,Gismontiを聞いたのは2007年の晴海でのライブだったが,晴海も珍しいヴェニューなら,今回の練馬も珍しいヴェニューである。駅に近いのはいいが,ちょっと通路が狭いので,動線には問題あるよなあなんて,ついつい商売(の一つ)に近いことを考えてしまったが,席は2列目センターやや右寄りというナイスなポジションであった。ギターを弾く姿はばっちり見られたが,ピアノを弾く手が見えなかったのはちょっと残念だった。しかし,それはないものねだりってことで。

演奏は第一部がギターと笙に似たタイのケーンという楽器,そしてノルウェーのウイロー・フルートの持ち換え,第二部がピアノによる演奏ということで,晴海も第一部がギター,第二部がピアノという構成だったので,これが通常パターンと言ってよいのだろう。

演奏はギターのパートはややミスタッチもあったが,まさに技のデパートというような感じで,どうやったら,あんなにハーモニクスを効かせられるのかとか不思議に思いながら聞いていたが,私が最も惹かれたのは唯一スチール弦の12弦ギターで弾かれた曲であった。聞いたことがあるように思えるが,曲名が思い出せない。しかし,オープン・チューニングで奏でられるこの曲が本当に気持ちよかった。Ralph Townerが弾く12弦ギターの音が好きな私ゆえ,こういう音には本当に簡単にまいってしまうのである。演奏を聞きながら,久しぶりにスチール弦を張り替えて,オープン・チューニングの曲を弾きたくなっていた私である。写真は今回のものではないが,雰囲気はほとんど同じである。

そしてピアノで演じられた第2部は,ギターでは土俗的な響きを感じさせる部分もあったGismontiが,メロディアスなフレーズを炸裂させるという展開であった。この人,ピアニストとしても相当のテクニシャンで,左手が強烈だと思ったが,そこから見た目とは異なる美しいフレーズが出てくるのだから,意外性もあると言ってよい。そして"Maracatú"を聞いて,この曲の魅力を再認識していた。本当にいい曲である。

Tenugi_2ということで,音楽的な満足度は極めて高かったが,アンコールで演じられたNanaの映像との「共演」はちょっと蛇足かなとは思っていた。それまでの演奏でも,十分Nanaを追慕/追悼する気持ちは表れていたのだから,あれはなくてもよかったように思う。もちろん,あっても問題はないのだが,敢えてあのようなかたちを取る必要はなかったというだけである。

尚,今回は来場者に結構可愛い手ぬぐいが配られたが,これはNanaの逝去で浮いたギャラを還元したのかなぁなんて「しけた」ことを考えていた私である(笑)。でもなかなかよいデザインだと思うので,写真もアップしてしまおう。

Live at 練馬文化センター大ホール on April 20, 2016

Personnel: Egberto Gismonti(g, p, vo, khaen, willow-fl)

2016年4月11日 (月)

遅ればせながら,Getz / Gilbertoのライブ盤を。

Getz / Gilberto '76" Stan Getz / João Gilberto (Resonance)

Getz_gilberto_76オリジナル"Getz / Gilberto"にはいろいろな評価や諸説があるのは承知しているが,音楽ビジネスにおいて,ボサノバという音楽を広く知らしめたことの功績は認めなければならないし,私も長年聞いてきたアルバムである。

このアルバムはStan GetzとJoão Gilbertoが1976年,SFのKeystone Kornerで収録したライブだが,一部の音源はレコード・ストア・デイに10インチ盤アナログ・ディスクとしてリリースされていたもの。多くのリスナーにとっては,こうしてフル・アルバムというかたちでリリースされただけでも喜ばなければならないというものだと思えるが,結局のところはJoão Gilbertoは客演って感じがあることは否めない。ただ,Stan Getzのクァルテットも,Joãoを立てる努力はしている感覚があり,演奏としてはクォリティは確保されているので安心して聞ける。逆に言えば,Getz以外のメンバーはJoãoの伴奏者としての役割しか果たしていないので,地味な感じは否めない。まあ,それでもJoão Gilbertoを聞くという意味ではこれぐらいでいいのだが。そもそも,猛女(笑),Joanne BrackeenとJoãoでは名前の発音は似ていても,音楽は全然違うから(爆),Brackeenの方がちゃんと合わせたってところであろう。

だが,こうしてライブ音源を聞いてみると,彼らの生を観る(聴く)ってのは,非常に貴重な経験であり,聴衆の盛り上がり(ある意味過剰反応のオーディエンスもあり)も理解できる。アルバムとして聞いても演奏はいいと思う。そうは言っても,私はこの時の演奏であれば,Getzクァルテットだけの演奏を収めた"Moments in Time"の方を評価したくなってしまうのである。それが私の天邪鬼なところと言われればその通りなのだが,最後は好みの問題である。ということで,星★★★★。それにしても,ちょっとGetzの音がでかいなぁ。

Recorded Live at Keystone Korner on May 11-16, 1976

Personnel: João Gilberto(vo, g),  Stan Getz(ts), Joanne Brackeen(p),  Clint Houston(b),  Billy Hart(ds)

2016年2月15日 (月)

週末に楽しむには凄くいいと思えたRoberta Sá(週末じゃなくてももちろんいいが...)。

"Delírio" Roberta Sá(Som Livre)

Roberta_sa最近,ブラジル系のアルバムを購入する機会に恵まれていなかった私だが,直感的にこれはよさそうだということでゲットしたのが本作である。私はブラジル音楽は結構好きだとしても,情報はブログのお知り合いの皆さんの情報に依存していることがほとんどだが,本作はジャケの感じでピピッと来たものだ(笑)。だっていかにもよさげな,ナイスなポートレートなんだもんなぁ。

正直言ってしまうと,一聴してこの人の声は私にはやや清楚に過ぎるかなって気がしないでもなかったのだが,繰り返し聞いていると,伴奏の心地よさ,そして曲の魅力により,このアルバムには彼女の声こそ相応しいと思えてくるから不思議なものである。

こういう音楽はサンバ・ノヴァと呼ぶそうだが,私にとってはMarisa Monte的な,私の好きなブラジル音楽,所謂MPBって感じである。結局私が好きなブラジル音楽っていうのは,Marisaはじめ,Maria Rita,Paula Santro,そしてAdriana Calcanhotto等の魅力的な女性ヴォーカルが多いが,彼女,そしてこのアルバムも完全にその系列に入ってしまった。

こういう音楽は週末の昼下がりに冷えたワインでも飲みながら,まったりしながら聞くと,丁度よいって感じかもしれないが,もちろんこれはいつ聞いても魅力的な音楽であることには間違いない(きっぱり)。昨年10月ぐらいのリリースなので,新譜扱いとさせて頂くが,直感を信じて買ってよかったと思えるアルバム。星★★★★★。いやぁ,ええですわ。

Personnel: Roberta Sá(vo), Alberto Continetntino(b), Jorge Heider(b), Armando Marcal(perc), Luis Barcelos(mandolin), Marcos Susano(perc), Rodrigo Campello(g, cavaco), Jon Luz(cavaquinho), Arthur Dutra(vib), Rodrigo Tavares(org), Leandro Braga(p), Everson Moraes(tb), Jaques Morenbaum(cello), Bernardo Couto(g), Ricardo Cruz(b), Chico Buarque(vo), Martinho Da Vila(vo), Antonio Zambujo(vo), Xande De Pirales(vo, banjo), Cacilia Spyer(vo), Anna Ratto(vo), Antonia Adnet(vo), Joao Cavalcanti(vo), Pedro Holanda(vo)

2015年11月 3日 (火)

Deodato@ビルボード東京:正直言ってガックリきた。

Deodato_live2_1_2私は常々Deodatoの生み出すグルーブ感が心地よいと思っているし,このブログにも彼に関する記事をアップしてきた。だから,彼が来日してビルボードでライブをやると知って,一回は見ておきたいという気持ちから今回,福岡の日帰り出張から六本木へ直行という無理なスケジュールの中で現地に駆けつけた。

今や,Deodatoなんて過去の人だと言われればその通りであるし,今回の客入り(見たところ6割程度)もそういう感じだと思える程度だった。だが,誰が何と言っても,Deodatoが生み出すグルーブについては,本当に心地よいと思っているから結構期待してのライブだった。

しかしである。結論から言えば,あれだけ"Best of Deodato"のような選曲で演奏しながら,イタリア人のリズムの2人は頑張っているにもかかわらず,Deodatoのキーボードが私の期待するグルーブを生み出せていなかったのである。どうも本人の体調も芳しくなかった節はあるのだが,Deodatoのキーボードに全く覇気(というか力強さと言ってもよい)が感じられなかったのである。だから,私が期待するようなグルーブはあまり感じられなかったというのが正直なところである。それは聴衆の反応にも表れていて,熱狂からは程遠い感じの反応しか得られなかったというのが実感である。そもそもなぜ「ツァラトゥストラ」をオープニングとアンコール前の2回演奏するのかも理解できないし,MCも最初はポルトガル語で通すという,何を考えているのかわからん対応も疑問であった。途中から英語でMCをやるようになったが,その英語も何を言いたいのかさっぱりわからないって感じだったのである。そうした点もオーディエンスの反応に少なからず影響を与えていたはずである。

人間のやることであるから,演奏においてミスタッチがあるのは仕方がないが,Deodatoの生命線はグルーブなのであって,それが生み出せないのであれば,元来ピアニスト(あるいはソロイスト)として認められているわけではないDeodatoにとっては,それは凡百のミュージシャンと変わらないってことを意味することになってしまう。アンコール後,ステージ前のオーディエンスはスタンディング・オベーションを送っていたが,彼らがどう感じようが勝手だとしても,私にとっては全く期待外れの演奏だったと言わざるをえないのである。演奏中から「こんなはずではなかった」という感じで,私の頭の中に?が飛び交っていたと言っておこう。

私の隣に座っていたおじさまは,演奏の途中にいつの間にかいなくなっていたのだが,途中で席を立ちたくなっても仕方ないと思わせた演奏であった。但し,Deodatoの名誉のために言っておけば,彼の演奏は通常ならもう少しましなはずである。やたらにドラムスにソロ・スペースを与えていたのも体調の悪さの裏返しだということだろう。でも今回がこれでは次に来日しても行くことはないなと思ってしまった一夜。彼の音楽は今後はCDで楽しめばいいやってことにしておこう。

ライブについては当たりはずれがあるのは仕方がないとしても,今回はやっぱりいただけないできだったということははっきり言っておきたい。

Live at ビルボードライブ東京 on November 2, 2015, 1stセット

Personnel: Deodato(key), Pierluigi Mingotti(b), Stefano Paolini(ds)

2015年8月11日 (火)

Gal Costaの新作:多才さを示していても,ちょっとこれはとっ散らかり過ぎに感じる。

Gal_costa"Gal Estratosférica" Gal Costa(Sony Music)

Gal Costaのアルバムは,私は大して保有していないが,持っているアルバムについては結構気に入っているので,やはり気になる人である。ここでも今年で古希を迎えるとは思えない若々しい声を聞かせている。

アルバムの冒頭から,想定外のロック・サウンドが響き,思わずのけぞった私である。本作は,ブラジルの有名どころがおそらくは彼女のために書いた曲を歌っていると想定されるが,それはGal Costaというシンガーの,ブラジルにおける人間国宝的(?)ポジションを示していると思うが,彼女をリスペクトするであろう書き手がバラバラだけに,アルバムとして一本筋を通すのが難しいように思える作品となった。

正直に言ってしまえば,各々の曲で聞かれるGal Costaの歌は,彼女の多彩さ,多才さ,多様性を実証していると思うが,次から次へといろいろなタイプの出てくるので,悪く言えば出来のイマイチのコンピレーションを聞かされるような気分になってしまい,落ち着かないのである。ブラジル音楽に私が求める要素と違うっていうところが,そうした気分を生み出すのは間違いないので,それはあくまでも個人的な感覚だとしても,私にはやはりどうも居心地が悪かった。

逆に言えば,こうした作品は歌手としては非常にチャレンジングなものであると思えるが,Gal Costaの進取の精神で仕上げた作品として評価はしなければならない部分もある。だが,やはり私としては求めるサウンドとの乖離が大きく,ちょっと残念な作品。Gal Costaの責任というより,プロデューサーであるKassinとMoreno Velosoの手腕が不足しているって感じだろうな。星★★★。

Personnel:Gal Costa(vo), Guilherme Monteiro(g), Kassin(b, g, synth), Pupillo(ds, perc), Andre Lima(key, org), Armando Marcal(perc), Moreno Veloso(g, cello, ukulele, vo), Joao Donato(rhodes) & Others

2014年12月29日 (月)

2014年の回顧(その3):音楽編(ジャズ以外)

いよいよ年の瀬も押し迫ってきたので,今日は今年のジャズ以外の音楽に関する回顧である。

正直言って,以前よりも,アルバムの購入枚数は減ったという実感が強い私である。これはリアルのショップに出没する頻度が低下したため,新譜や中古盤との接点が減少したからだと言ってもよいと思うが,それでもブログのお知り合いの皆さんの記事や,ネット情報を参考としながら,購入を進めてきた。そうした中で,ジャズ以外の音楽で,私の印象に残ったものを挙げておきたい。実を言えば,ジャズ以外のカテゴリーにおいて,今年聞いたアルバムでは決定的なアルバムというのが簡単に思い浮かばないというのが実態なのだが,そうは言っても記憶に残る作品もそれなりにあったと思う。

Hendra まずはロックであるが,今年何と言っても嬉しかったのはBen Wattが31年振りにリリースした"Hendra"である。この人の持つ瑞々しさは何年経っても健在であった。しかもライブでもサマソニ,そして単独公演と1年に2回も来日していることにも驚かされた。残念ながら,そのライブに行きそこなったのは私には痛恨事であったが,まぁ,それはそれで仕方がない。このアルバムを改めて聞き直しているが,やっぱりこれはいい作品である。

Deacon_blue001 瑞々しさっていう点ではDeacon Blueの"A New House"も同様に優れた作品であった。前作"The Hipsters"からの好調が持続されていて,これも本当によかった。どうも流通がよくないのか,あるいはそもそも日本で人気がないのかよくわからんが,このアルバムがほとんど話題にものぼらないってのはどういうことなのか?この音楽のよさをより多くの人に知って頂くためにも,改めてご紹介しておきたい。尚,写真は私がPledge Musicで取り寄せたサイン入りのアルバムのもので,通常盤にはこういうサインは入っていませんので,念のため。

Billy_childs 次に,これはどのカテゴリーに入れるか悩んだのだが,基本はジャズ的でありながら,Laura Nyroに捧げた大音楽絵巻として,Billy Childsの"Map to the Treasure: Reimagining Laura Nyro"をポップ部門で挙げることにしよう。私はこのアルバムに関する記事において『トリビュート作にありがちなとっ散らかった印象がなく,作品として一本筋が通っていることである。優れたオムニバス映画を見るかのような趣と言うか,多数の登場人物により物語を精妙に作り上げた「トラフィック」や「ナッシュビル」のような映画に通じると言えるかもしれない。そこに通奏低音のように流れているのが,私はBilly ChildsのLaura Nyroの音楽を愛する心だとさえ思ってしまった。』と書いたが,その印象は時間が若干経過した今でも全く変わらない。まさに愛に溢れた作品。

Leon_ware ソウルはLeon WareとD'Angeloが2強ということになるが,全体的な評価としてはD'Angeloが上ということになるだろうが,私の好みからすれば,Leon Wareを取りたい。これは完全に好みの問題であるが,74歳にしてこのスウィートさ加減ってのはまさに驚異的である。心地よいグルーブとはまさにこれのことである。12月になって,Leon WareとD'Angeloの2人のアルバムが出たことは,まさに音楽的なお歳暮であったと言いたい。

Antonio_loureiro ブラジル音楽については,大した数を聞いているわけではないが,聞いた瞬間には今年もMaria Ritaで決まりだと思っていた。しかし,そこに突如として割って入ってきたのが,Antonio Loureiroの"In Tokyo"である。日本人ミュージシャンとのセッション・アルバムという性格にもかかわらず,ここまで出来のよさを確保できるのは,Antonio Loureiroの音楽の質そのものが高いからだと思わざるをえない。私のMaria Ritaへの信頼はゆるがないが,今年はAntonio Loureiroを取ることにしよう。こういう作品が日本で作られたことは実に誇らしい。

Photo 最後にクラシックであるが,今年も大して枚数は買っていないが,AbbadoのRCA/Sonyボックス,同じくAbbadoの韓国で集成されたグラモフォンでのマーラー・ボックス,超弩級85枚組のSeonボックス,更にはLazar Bermanのドイツ・グラモフォンへの録音の集成ボックスなど,箱モノで精一杯みたいな感じであった。しかし,枚数が枚数なだけに,まだ全然聞けていないというのが実態なのだ(爆)。そうした中で,Myung-Whun Chungのピアノ小品集は疲れた身体を癒すには最適な音楽であった。だが,音楽的な感覚では児玉桃の"La Vallee Des Cloches"の印象が最も強い。もちろん,年末に出たFrançois-Xavier Roth / Les Sièclesによる「春の祭典」も忘れ難い作品であるが,そっちはレコードアカデミー大賞受賞で一気に世間の注目を浴びること必定なので,ここでは児玉桃を私のベストとしておこう。尚,蛇足ながら,Abbadoのマーラーは,再録よりも70~80年代に吹き込んだものははるかに素晴らしいものであったと言っておきたい。

それにしても,私も相変わらず何でもありだなぁと思いつつ,いい音楽は生活に潤いを与えるものとして,このスタンスは来年以降も変わらないだろうなぁ。

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