カテゴリー「ブラジル」の記事

2008年9月 1日 (月)

Sarah Vaughnブラジルを歌う

Sarah "O Som Brasileiro De Sarah Vaughan" Sarah Vaughn (RCA)

このアルバム,曲違いでPabloレーベルから゛I Love Brazil"としても発売されたことがあるはずだが,原題を訳せば「Sarah Vaughn,ブラジルを歌う」って感じか。私は冒頭にMilton Nascimentoとの゛Bridges゛が入っているがゆえに,このブラジル・オリジナル盤の方をずっと聞いてきたのだが,最近はPablo盤にもボーナス・トラックとしてこの曲が収められるに至って,このオリジナル盤のありがたみはだいぶ下がってしまったかもしれない。

いずれにしても,大歌手Sarah Vaughnがあの野太いヴォイスでボサノバやブラジリアン・ミュージックを歌うと一体どうなってしまうかという一抹の不安がこのアルバムを実際に聞く前にあったことは事実であるが,一旦聞き始めてしまえば,それが完全に杞憂であったことがすぐわかる素晴らしい歌唱集である。リオデジャネイロで録音されたこのアルバムに参加しているブラジルのミュージシャンたちも,Sarahに対するリスペクト溢れる好伴奏,好アレンジで貢献しており,Sarahの作品にしては比較的コンテンポラリーな響きを持つところがまた実によい。

まぁそれでもこの音楽にはやっぱりSarahの声はやや太過ぎるかなと感じさせるところもないわけではないが,ブラジル音楽さえも自らの世界で見事に表現してしまうSarahの圧倒的実力の前には,そんなことはどうでもよくなってしまう。不世出の名歌手による素晴らしいアダプテーションとして記憶に留めたいアルバムであり,うまい人は何を歌ってもうまいということを見事に実証している(逆に言えば,下手な歌手がいくら策を労しても無駄という話もある)。

本作をSarahの最高傑作とは思わないので星★★★★☆とするが,満点をつけてもいいと思える作品。35分という収録時間も一気に聞き通すのに丁度よい(最近のCDは収録時間が長過ぎて疲れるのだ)が,どこから聞いてもよいというのは大したものである。でもやはり私はNascimento参加の2曲かな~。

Recorded on Oct 31, Nov. 3, 4, 5 & 7, 1977

Personnel: Sarah Vaughn(vo), Milton Nascimento(vo, vln), Dorival Caymmi(vo), Jose Roberto Bertrami(el-p, org), Tom Jobim(p), Edson Frederico(p, arr), Novelli(b), Sergio Barroso(b), Claudio Bertrami(b), Helio Delmiro(g), Roberto Silva(ds), Wilson Das Neves(ds), Danilo Caymmi(fl), Paulp Jobim(fl), Chico Batera(perc), Ariovaldo(perc), Luna Marcal(perc), Marucio Eihorn(hca)

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2008年3月21日 (金)

DeodatoのWarner時代の快作

Love_island_2 "Love Island" Deodato (Warner Brothers)

Deodatoと言えば,今も昔も「ツァラトゥストラ」が代表曲になってしまって,キワモノ的扱いを受けてしまうのがこの人の不幸なところである。しかし,私は彼のライブ盤を昨年のベスト盤の1枚に推しているぐらいだから,本質的には私はDeodatoが好きなのである(苦笑)。本作は,1978年のDeodatoのWarner移籍第一作としてそのDeodato本人とTommy Lipumaの共同プロデュースにより制作された軽快なフュージョン・アルバムとして,非常に心地よい感覚を残すアルバムである。

冒頭の"Area Code 808"のギターによるリズム・カッティングからフュージョン好きにはゾクゾクするような期待感を抱かせる。全編に渡ってDeodatoらしいメロディ・ラインやストリングスが楽しむことができるこのアルバムは,Deodatoがクラシック音楽のアダプテーションだけのミュージシャンではないことを多くのリスナーに認識させるものである。

タイトル曲の"Love Island"や"San Juan Sunset"に顕著な何ともユル~いグルーブ感で"Take the A Train"をカバーするのも凄いが,このサウンドはある意味麻薬的であり,Deodatoならではのテイストとして再評価に値するものと言えるだろう。尚,3曲目の"Tahiti Hut"はEW&FのMaurice WhiteとDeodatoの共作であるが,ここだけがいかにもEW&Fっぽく"That's the Way of the World"的になってしまうのはご愛嬌。逆に言えばEW&Fの曲の個性はそれだけ強かったということにもなって,妙に感心してしまった。

Deodatoなんぞもう過去の人という感覚もあるが,30年前(!)のこの作品を聞いて,その心地よさはあまり時代なんて関係ないなぁとつくづく思ってしまった。こうした音楽に心地よさを感じるのは私のような中年以上かもしれないが...。星★★★★。

ところで,このアルバムには"Pina Colada"という曲が入っているが,それを「パインのコーラ」と訳すセンスは頂けないというか,そんなもんカクテルの名前に決まっとろうがと思わず言いたくなってしまった。こうなると一般常識の問題である。

Personnel: Eumir Deodato(key, vo, perc), Larry Carlton (g), George Benson(g), John Tropea(g), Al McKay (g), Ray Gomez(g), Pops Popwell (b), Harvey Mason(ds), Rick Marotta(ds), Joe Correro(ds), Philip Bailey(perc), Ray Armando(perc), Jimmy Maelen(perc) and Others

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2008年3月13日 (木)

これが本当の婦唱夫随?

Fleurine_san_francisco "San Francisco" Fleurine(Sunnyside)

Brad Mehldauの奥方,Fleurineのアルバムが出た。今回も旦那のMehldauが3曲のみながら参加しているので,早速聞いてみた。今回のアルバムはブラジリアン・テイスト溢れるものであり,ある意味Fleurineにとっては新機軸と言ってもよいだろう。要はブラジルの曲に,Fleurineが英詞を付けて歌うというのが今回のコンセプトである。それもかなり編成を絞ったブラジリアン・アルバムなので,リズム的な興奮を求めると肩透かしを食うが,そんな編成でもブラジルのフレイバーが出てくるところが,ブラジル音楽の凄いところである。

Fleurineには申し訳ないのだが,正直なところ,私の関心はあくまでもBrad Mehldauのプレイということになってしまっていたのだが,Mehldau参加の3曲が一番ブラジルっぽくないというのがこのアルバムの特徴と言えるかもしれない。ある意味,ここでの演奏はまさにMehldauぽいのであるが,"The Roses"以外の2曲はブラジルと全然関係ないかのように響くのはやや問題があるようにも思える。Mehldauとブラジルと言えば,Vinicius Cantuariaのアルバムにも参加していたが,そこでも確かにブラジル風味は乏しかったようにも思えるしなぁ。ということで,Brad Mehldauはブラジル音楽(あるいはリズム)の演奏が苦手なのではないかという仮説も成り立つのであるが,まぁ何でも器用にこなす万能プレイヤーよりも,際立つ個性を見せる方がいいかということにしておこう。こういうのをファンの贔屓目と言う(と開き直る)。

むしろ,このアルバムではFleurineがちゃんとブラジル音楽と向き合っていることに好感をおぼえてしまい,これをまさしく「随」と呼びたくなってしまったのである。Fleurineの頑張りを評価して星★★★★。プロデューサーと渋いバッキングを見せたChico Pinheiroにも拍手。

Recorded on February 12-14, 2007

Personnel: Fleurine(vo), Brad Mehldau(p), Chris Potter (sax, a-fl), Freddie Bryant(g), Chico Pinheiro (vo, g), Doug Weiss(b), Gilad (perc), Erik Friedlander (cello)

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2008年1月25日 (金)

Dori Caymmi:なごみのブラジリアン・フュージョン

Dori "Kicking Cans" Dori Caymmi(Qwest)

以前,Toninho Hortaについて書いたとき,私はこのアルバムが結構好きなのだと述べた。久し振りにこのアルバムを聞いてみたが,やはりこれは何とも心地よいものであった。

このアルバムは1993年にDori Caymmiが何とQuincy JonesがオーナーのQwestレーベルに,結構豪華なソロイストを迎えて発表したおそらくはアメリカ市場を強く意識したアルバムである。よって曲名も全て英語である。アルバムのタイトルは「缶蹴り」である。何のこっちゃという気がしないでもないが,どことなく郷愁を誘うという考え方も可能か。

ところで,QuincyとCaymmiというのはなかなか結びつきそうにないコンビネーションだが,QuincyがCaymmiの父のDorival Caymmiの音楽を聞いて感銘を受けたと話したのをきっかけにするものとライナーには書いてあるが,まぁそうした背景情報はさておいてもこれはよくできたブラジリアン・フュージョンであり,Caymmiのソフトな(ヘタウマとも言える)ボーカルを聞いていると,時が本当に心地よく流れていって,何とも言えずなごめるアルバムとなっている。まぁ"Brazil"なんてベタな選曲もあるが,ちょいとひねってそこはかとなくマイナー調で演奏をしている。

そして驚かされるのがソロイストの面々(詳しくは下記パーソネルを参照願いたい)。冒頭のBranford Marsalisなんて,非常にソフトにそれっぽく吹いているし,上述の"Brazil"で出てくるHerbie HancockはどうやってもHerbieだったという演奏で,相応に適材適所の配置と言ってよいように思う。

繰り返しになるが,これはフュージョン・ミュージックがブラジル音楽といい感じでクロスしたアルバムとして私は大いに楽しめたし,やはりこの心地よさは捨て難い魅力を今でも持っている。ブラジル音楽の本質からは離れているという批判もあるかもしれないが,よい意味でイージー・リスニング的な香りを漂わせる佳作である。これはフュージョン界の名エンジニア,Don Murrayの録音によるところも大だろう。星★★★★。

Personnel: Dorri Caymmi(g, vo), Don Grusin(key), Gregg Karukas(key), Billy Childs(p), Abraham Laboriel(b), Jerry Watts(b), John Patitucci(b), Claudio Solon(ds), Maichael Shapiro(ds), Paulinho da Costa(perc), Everaldo Ferreira(perc), Yutaka Yokokura(koto), Susi Katayama(accr), Ivan Lins(vo), Arnold McCuller(vo), Kevyn Lettau(vo), Kate Markowitz(vo) with Feautured Soloists: Branford Marsalis(ss), Ricardo Silveira, Teco Cordoso(al-fl), Herbie Hancock(p), Dave Grusin(p)

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2008年1月13日 (日)

Toninho Horta:ギターの技が素晴らしい

Toninho_horta "Toninho in Vienna" Toninho Horta (Pao)

ブログのお知り合い,oza。さんがご紹介されていたのを契機に購入したアルバムである。これが相当よい。冒頭から思わず膝を乗り出す素晴らしさのこのアルバム,基本的にToninhoの1本に彼の鼻歌のようなスキャットが加わるという形態のスタジオ録音であるが,Toninhoのギターのうまさをつくづく感じられるアルバムになっている。一部でバイオリンが加わったり,ギターの多重録音があったりするが,あくまでこれはToninhoのソロ・アルバムであり、彼のギターを楽しむべきアルバム。曲も"Summertime"と"Cry Me a River"以外はオリジナル。

このアルバムのToninhoの声を聞いていると,Dori Caymmi(私は彼の"Kicking Cans"というアルバムが好きなのだ)を思い起こしてしまったが,ブラジリアンにはそれなりに共通項があるということだろうか。ただ,このスキャットというか鼻歌,多少好き嫌いがわかれるところではないかと思う。私は決して嫌いではないが,あんまりやり過ぎてもねぇというところはある。Toninhoのギター・テクニックをすれば,ギター1本でも勝負できるはずであり、私はもう少し減らしてもいいように思う。

それにしても,oza。さんも書かれているとおり,このアルバムでは録音の良さゆえに左手の運指がかなりリアルに伝わってくる。私のような凡庸なギタリストには,一体どう弾いてんねんというところもあるが,これも楽しみの一つであろう。

最後に文句を一つ。このアルバムのライナーは一体何が言いたいのかよくわからないもので,このアルバムとほとんど関係のないことがずらずらと書いてあるのはいかがなものか。ライナーもCDの一部だということを全く理解していないライターが書いたとしか思えぬまさしく駄文(だから無署名なのだろう)なので,これは減点対象とせざるをえない。Toninhoには何の責任もないが,半星減点して星★★★★。

Recorded on May 12, 2005 and May 15, 2006

Personnel: Toninho Horta(g, vo), Rudy Berger(vln)

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2007年12月31日 (月)

私も今年のベスト盤を...

いよいよ大晦日となった。世の中ではいろいろな方が今年のベスト盤をブログ等でも挙げておられるので,私もあやかって今年のベスト盤を考えてみたい。そもそも私が今年何枚のCDを買ったのかもはっきりしないのだが,純粋な新譜はあまり多くなかったような気もするし,そうした私が今年のベスト盤を語る資格があるのかというと疑問ではある。しかし,いろいろなジャンルの音楽を聞いてきて,私のヘビー・ローテーションとなったアルバムをいくつか挙げておきたい。必ずしもこのブログで紹介していないものや発掘ものも含まれているが,まぁそれはご勘弁願いたい。

別格:Michael Brecker "Pilgrimage"

ジャズ:Antonio Sanchez "Migration",Chris Potter Underground "Follow the Red Line: Live at the Village Vanguard",Dave Douglas Keystone "Moonshine"

ロック/フォーク/SSW:Neil Young "Live at Massey Hall 1971",Joe Henry "Civilians"

ソウル/R&B:Mavis Staples "We'll Never Turn Back", Chaka Khan "Funk This",Aretha Franklin "Rare & Unreleased Recordings from the Golden Reign of Queen of Soul"

ブラジル:Eumir Deodato "Ao Vivo No Rio"

そして私にとっての今年のMVPはFred Hersch以外はありえない。新作"Night & the Music"もよかったが,何よりもカザルス・ホールでの彼のライブが私の心を鷲掴みにしたのである。あまりにその演奏がよかったものであるから,今年の後半最も聞いたのは彼のアルバム群ということになってしまった。また,今年最も嬉しかったのはJoni Mitchellへのシーンへの復帰。アルバム"Shine"は悪くはないが,Wayne Shorterの不在は痛く,私が求めるレベルには達していなかったのは残念。しかし,彼女が戻ってきてくれたのは何よりも嬉しかった。また,見られると思っていなかったEgberto Gismontiのライブは今年起こった奇跡の一つ。

(オマケ)映画:「ボーンアルティメイタム」(劇場,飛行機で見たものの中で,一番面白かった。)

(オマケ)書籍:吉田秀一 「悪人」(結局この本が新刊では一番面白かったような...)

ということで,今年になって始めたこのブログであるが,いろいろな方とお知り合いになる機会も与えてくれたし,それなりに私としては満足している。本年は都合359本の記事で打ち止めである。ほぼ毎日よく続いたものだが,来年以降もできる限り同様のペースにて続けていきたいと思う。

それでは皆さん,よいお年をお迎えください。また,来年もご愛顧のほどをよろしくお願い致します。

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2007年11月 6日 (火)

Deodatoの新作ライブ:このグルーブはたまらん

゛Ao Vivo No Rio゛ Eumir Deodato(Biscoito Fino)Deodato

これはたまらんアルバムが出た。Deodatoが今年の4月にリオデジャネイロで録音したライブ・アルバムだが,Deodatoのキーボードにベース,ドラムスという最小編成で,Deodatoのヒット曲やボサノバの名曲満載である。

Deodatoと言えば,アレンジャーがメインというのが一般的な理解であろうが,ここではキーボード・プレイヤー兼アレンジャーとして勝負している。結果はどうか。急速調の曲で,キーボードのフレーズがややおぼつかなくなる瞬間はあるものの,全編を通して非常に心地よいグルーブを生み出しており,私は大いに楽しめた。何と言ってもアルバム゛Love Island゛収録の゛Whistle Bump゛で幕を開け,同じく同アルバム収録の゛San Juan Sunset゛で締めるというのも,゛Love Island゛を結構評価している私としてはたまらんものがあった。そのほか,「ツァラトゥストラ」(これはややショボい)も「ラプソディー」も「スカイスクレイパー」もやっているのだから,何をか言わんやである。

従来のイメージからすると,アレンジャーとしてのDeodatoはホーンやギターをうまく使いこなしていたと思うのだが,今回のように最小編成のピアノ・トリオ形式(と言ってもDeodatoはヤマハのエレピを全編で弾いているが)でも,ちゃんとDeodatoの個性を感じさせるのはある意味大したものである。また,ここで聞かれるエレピのサウンドが非常に心地よく,私は当分の間,このアルバムを愛聴することになると思う。

このアルバムは歴史的名盤でもないし,今年のベスト・アルバムに選出されるものでもない。しかし,私にとって重要なのはこのアルバムの「心地よさ」なのである。私が心地よいと感じるのはあくまでも個人の感覚的なものであるから,誰にも文句はないはずである。私はこのアルバムのグルーブに何も考えず身を委ねたいと思うだけだが,この気持ちよさはほかの人とも共有したいという思いにも駆られてしまった。ということで星★★★★。

Recorded Live at Sala Cecilia Meireles, Rio de Janeiro on April 3 and 4, 2007

Personnel: Eumir Deodato(key), Marcelo Mariano(b), Renato "Massa" Calmon(ds)

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2007年10月13日 (土)

コレクターはつらいよ(2)

Vinicius ゛Cymbals゛ Vinicius Cantuaria(Naive)

Caetano Velosoのバックでも鳴らしたVinicius Cantuariaの新作がなぜかフランスのNaiveレーベルから発売になったが,本作にはBrad Mehldauがピアノで2曲だけだが参加している。Mehldauのコンプリート・コレクターを目指す私としては買わないわけにはいかない。

ViniciusとBrad Mehldauの共演はこれが初めてではなく,2001年にTransparentmusicから発売された゛Vinicius゛でも2曲の共演経験があるから,今回のアルバムにMehldauが参加することに大きな驚きはない。しかしながら,彼らがどういう経緯で共演に至ったかは全くわからないのだが,こういうアルバムは結構フォローするのが厳しいので,今回も危うく見逃すところであった。

で,結果はどうなのよということになるが,全体としてはコンテンポラリーなボサノバ・アルバムとして楽しめるが,ここでの2曲のピアノの客演がMehldauでなければならないかと言うと,決してそんなことはないという程度のものである。Mehldau節が爆発している訳でもない(というよりごく普通なのだ)ので,こういうアルバムはコレクター泣かせということになると思う。

それでも,私はViniciusの結構なファンなので,Mehldau抜きでも買ったかもしれないが,こういうアルバムを聞くと,いずれにしてもやっぱりコレクターは辛いのだとつくづく思わざるをえない(そんならやめればええやんと言われても仕方ないが...)。星★★★☆。

Recorded in 2007

Personnel: Vinicius Cantuaria(vo, g, perc, others), David Binney(ts), Eric Frielander(cello), Michael Leonhart(tp), Brad Mehldau(p), Marc Ribot(ac-g), Marivaldo Dos Santos(perc), Jenny Scheinman(vln)

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2007年8月 8日 (水)

超豪華メンツによるFlora Purimのフュージョン作

Flora ゛Everyday Everynight゛ Flora Purim(Milestone)

いやはやそれにしても凄いメンツによるアルバムである。主要なPersonnelを書き出しただけでも強烈だが,そうしたメンツが適材適所で使われているところが,このアルバムの優れた点である。

本作はフランス人コンポーザー,アレンジャー,Michel ColombierとFloraのコラボレーション作であるが,Michel Colombierという人は,映画音楽を書いても,かなりスリリングな音楽を書く人だったイメージが強い。私の中では「相続人」や「危険を買う男」などのイメージが強く残っているが,そこにはある意味でジャズ・フュージョン的な香りがあったことも事実である。彼が米国に活動拠点を移してからのことはよくわからないが,私にとってはそう言う人だったので,彼がリーダー・アルバムに多くのフュージョン系ミュージシャンを招聘したり,このアルバムを作ったことには大きな違和感はなかった。

本作の出来はと言えば,上述のとおり,有能なミュージシャンを適材適所に使って,Floraの魅力を引き出したことは評価してよいと思う。その好例が゛Samba Michel゛である。多くの曲でColombierはRhodsやピアノを弾いているのだが,この曲(これだけではないが...)では,伴奏をGeorge Dukeに任せている。この選択はまさに正しいと言わざるをえない鋭いバッキングをDukeが見せていることは見逃してはなるまい。ある意味,これだけのミュージシャンが集えば,「船頭多くして何とやら...」というリスクもあるが,ここではそうした問題は全く気にならない。

Flroa Purimにもっとブラジル色を期待すると,やや肩透かしを食らうかもしれないが,これはこれですぐれたフュージョン・ボーカル・アルバムとして認められて然るべきアルバムだと思う。星★★★★。

Personnel: Flroa Purim(vo), Randy Brecker(tp), Raul De Souza(tb), David Sanborn(as), Michael Brecker(ts), Lee Ritenour(g), Jay Graydon(g), Oscar Castro Neves(g), Herbie Hancock(p, el-p), George Duke(key), David Foster(p, el-p), Michel Colombier(p, key, arr), Jaco Pastorius(b, vo), Alphonso Johnson(b), Byrn Miller(b), Dennis Belfield(b), Havey Mason(ds), Chester Thompson(ds), Airto Moreira(perc, vo) & Others

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2007年7月 1日 (日)

Egberto Gismontiが来日するそうだ

Gismonti "Solo" Egberto Gismonti (ECM)

何とEgberto Gismontiが来日するそうである。8/20,第一生命ホール1回限りの公演で,結構Short Noticeなのが困りものだが,ネット上では既にいろいろな情報が飛び交っている。世の中,マニアは多いのねぇと感心してしまうが,それにしても久々である。情報によれば15年振りの来日らしい。この機を逃せば,次はいつになるかわからないので,ファンは何をおいてでも駆けつけるべきであろう。

と興奮気味に記事を書き始めたが,私はそれほどのGismontiフリークとは言えない。聞いているアルバムはECMレーベルのものだけである。一部の熱心なファンからは,それではGismontiを聞いたことにはならんとお叱りを受けそうだが,それでも既に結構な数のアルバムがECMにも残されているので,それなりの愛好者ではある。

私が初めてGismontiを聞いたのは,ECMのその名もずばり"Solo"というソロ・アルバムであった。当時のECMは結構な数のギタリストと契約をしており,私の記憶が確かなら,その頃,日本において売れる前のPat MethenyやJohn AbercrombieとECMギター・フェスティバルとかいうジョイント・ライブが開催されたのではなかっただろうか?いずれにしても,なぜ私がこのアルバムを買う気になったのかははっきりしないのであるが,私もギタリストのはしくれ(下手くそだが)として,聞く気になったのであろう。と言っても,ここではギターだけを弾いているわけではなく,得意のピアノも聞かせている。

このアルバムを聞いていて思うのは,特殊なギター(ライナーによれば,8弦ギターはRalph Townerから借用したものらしい)のサウンドがまるで天上からの響きのように聞こえてしまうと言っては大袈裟だろうか。とにかく,それまで聞いたことのない響きに「なんだこれは」と感じたのも,もう27~8年前のことになる。もし,今度の来日公演で,私が最初に感じたような響きを聞かされたら,どのように感じるかが楽しみである。今度の来日公演,ソロで来るらしいので,当然それを期待してしまう。来日へのご祝儀を含めて星★★★★★。

Recorded in November, 1978

Personnel: Egberto Gismonti (g, p, perc, vo)

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