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2016年おすすめ作

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カテゴリー「新譜」の記事

2018年9月21日 (金)

Barre Phillips,最後(?)のソロ・アルバム。

"End to End" Barre Phillips(ECM)

_20180916Barre Phillips,私にとっては高いハードルとなってきた人である。ベース・ソロでアルバムを作った最初の人はBarre Phillipsらしいが,結構若い頃からECMのアルバムは聞いていても,ベース・ソロというのはさすがに厳しいという感じで敬遠してきたというのが実際のところである。そうしたところもあって,彼のリーダー作は"Mountain Scape"しか保有していない。じゃあ,何枚も保有しているDavid Darlingのチェロ・ソロならいいのか?と聞かれれば,返す言葉もないのだが,まぁはっきり言ってしまえば食わず嫌いである(爆)。

本作のSteve Lakeのライナーによれば,本作はBarre Phillipsからの直々に総帥,Manfred Eicherに連絡があって,最後のソロ・アルバムを作りたいのだが,ECMとしてはどうよ?って聞いてきたらしい。Eicherとしては断る理由もないということで,本作がレコーディングされることになったようである。私も年を重ねて,いろいろな音楽に接してきていて,ベース・ソロだからと言ってビビることはなかったし,現代音楽も結構好んで聴いているので,今回は「最後のベース・ソロ・アルバム」ということとあっては,発注せざるをえまいと思ってしまった私であった。

そして流れてきた音は,決してアブストラクトではないベースの響きを聞かせるものであり,43分余りの時間はあっという間に過ぎていったという感じである。もちろん,聞き易いなんて言うつもりはないし,一般の人にとっては,それはハードルが高い音楽であることは間違いない。しかし,ライナーを書いているのがSteve Lake,そしてライナーの多くの写真を撮っているのがSun Chungってことからしても,それだけでBarre PhillipsのECMにおける立ち位置がわかるってものだ。それだけ「最後のベース・ソロ・アルバム」の意味合いは重いということを表している。Barre Phillips単独名義でのECMでのリーダー作は91年の"Aquarian Rain"以来だと思うが,それでもこうしたレコーディング機会を提供されるBarre Phillips。それをどう捉えて,この音楽に対峙するかが,少なくともECMレーベル好きにとっては重要だろう。

いずれにしても,私はこのアルバムを聞いて,これまで食わず嫌いでいたことを大いに反省した。ミニマルとは全く違いながら,簡潔にして,深遠。何回も聞くようなものではないかもしれないが,聞いておかねばならないと思わせるに十分な音であった。星★★★★☆。私の中でのハードルも若干下がったので,ストリーミングで,過去のBarre Phillipsのベース・ソロも聞いてみることにしよう。

Recorded in March, 2017

Personnel: Barre Phillips(b)

2018年9月19日 (水)

Tord Gustavsenによるピアノ・トリオの新作は期待通りの出来。そして彼の信仰心を感じさせる。

"The Other Side" Tord Gustavsen Trio(ECM)

_20180915_3総帥Manfred Eicherにより,新世代のピアニストも続々と紹介されており,私も結構その世界にはまってはいるが,現在のECMレーベルにおいて,確実に期待できるピアニストとして評価を確立しているのは,私は先日記事をアップしたMarcin Wasilewskiと,このTord Gustavsenだと思っている。

Tord Gusravsenに関しては,全部が全部いいという訳ではないと思っていて,例えば私の中では,"Restored Returned"なんかはちょいと評価が低い(記事はこちら)。しかし,それは例外的なものであって,ほかの作品は極めて高く評価している。そうした中で,この人の魅力はピアノ・トリオだけではないということは,テナー入りの"Extended Circle"でも,ヴォイスの入った"What Was Said"でも実証されている。しかし,やはりピアノ・トリオも聞きたいと思うのがファンの心理であることも事実であった。本作は2007年リリースの"Being There"以来という,実に11年ぶりのピアノ・トリオ作である。

ここでは,Gustavsenのオリジナルに加えて,トラッド,更にはバッハの曲をアダプテーションした演奏が聞けるが,さすがに1月のオスロ,Rainbow Studioでの録音と感じさせるような,静謐で,内省的な音の連続である。これこそがECM,あるいはTord Gustavsenの美学であると言ってもよいかもしれない。まぁ,冬のオスロでじゃかじゃかした演奏はやってられんと言う話もあるが...(笑)。それでも,こうした音楽をやられてしまうと,私のようなリスナーは無条件によいと思ってしまう。それが一般的なリスナーの感覚とは必ずしも合致しないところはあるだおるが,こうしたサウンドには全面的にOK!と言ってしまうのである。

バッハのアダプテーションでは,宗教的な響きさえ感じさせるが,それはモテットやカンタータの原曲なのだから当たり前なのだが,トラッドや,2曲目に入っているノルウェイの作曲家Lindemanの"Kirken, den er et gammelt hus"も讃美歌みたいなものであるから,ここでのテーマには宗教を感じる。そして,そこに加わるGustavsenのオリジナルが,何の違和感もなくブレンドして,この音世界を作り上げている。

私からすれば,この音楽は決して刺激を求める音楽ではない。そこに不満を感じるリスナーが聞くべきものでもない。これは冬のオスロの気候に思いを馳せながら,信仰の音楽による表出とは何かということを考えるに相応しい作品だと思う。Tord GustavsenはSolveig Slettahjellと"Natt I Betlehem"という素晴らしいホリデイ・アルバムを作り上げているが,この人の根底には宗教感が根差していることを強く感じさせる作品。Marcin Wasilewskiのアルバムと比べれば,私はWasilewskiに軍配を上げるが,これはこれで,私の心を十分に捉えたと言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in January, 2018

Personnel: Tord Gustavsen(p), Sigurd Hole(b), Jarle Vespestad(ds)

2018年9月18日 (火)

安定のJLFだが,このジャケはなんとかならなかったのか?

"Impact" Jeff Lorber Fusion (Shanachie)

_20180915_2私の情報収集が足りないだけなんだろうが,何の前触れもなくリリースされたJeff Lorber Fusionの新作である。"Now Is the Time"で復活したJLFのアルバムも,早くも6作目ということで,結構なペースでリリースされていることはファンにとっては喜ばしい。しかし,不思議なことに,本作はJeff LorberのWebサイトにも告知がされていない状態なので,まぁ私が気がつかなくたって仕方ない。

収録されている音楽は,どこから聞いても,JLFらしいグルーブの,典型的なフュージョンである。テンポが同じような曲が揃っていて,ちょっと変化が少ないかなぁって気がしないでもないが,さすがの安定度であることには間違いない。そうした意味で私の彼らへの信頼は揺るがない。今回は,ゲストなしのほぼ固定メンツで演奏しているのも珍しい。1曲でギターがPaul Jackson, Jr.からMichael Thompsonに,もう1曲でAdam Hawleyに代わるだけってのは,メンバーを固めて活動していくという宣言なのかもしれない。前作"Protitype"もそんな感じであったが,全面参加のGary Novakはもうレギュラーって感じだよなぁ。

だが,このジャケットは何なのかねぇ。正直に言ってしまえば,これだけで購入意欲が下がる。今までのJLF,あるいはJeff Lorber単独名義のアルバムでも,これだけ意味の分からないジャケはいまだかつてないはずである。ダウンロード音源ならばさておき,CDはパッケージングを含めたかたちで評価されるものであって,このジャケはあまりにも印象が悪い。と言うよりも購入者をバカにしているのかとさえ思いたくなるような噴飯ものである。

今回も,まとめ買いのついでで購入したが,パッケージとしては保有の意味はないと断言したくなるようなアルバム・デザインである。音だけ聞くならダウンロード音源で十分であって,それによって,私はこのアルバムへの評価を下げざるを得ないのだ。私は定常的にJLFのアルバムは星★★★★としているが,今回はどうしてもこのジャケへの怒りがおさまらず,半星減点して星★★★☆。プロデューサーとしてのJeff Lorberはジャケット・デザインにも責任を負うべきなのだ。

Personnel: Jeff Lorber(p, el-p, synth, g), Jimmy Haslip(b), Andy Snitzer(ts, as, ss), Gary Novak(ds), Paul Jackson, Jr.(g), Michale Tompson(g), Adam Hawley(g), Dave Mann(horn)

2018年9月16日 (日)

またも素晴らしい作品をリリースしたMarcin Wasilewski。痺れた。

"Live" Marcin Wasilewski Trio (ECM)

_20180915私はこれまでも,Marcin Wasilewskiのアルバムが出るたびに,最高だ!と連呼してきたように思う。とにかく,ECMレーベル好きとしての心はもとより,ピアノ・トリオの魅力を感じさせるという点では,私にとってはBrad Mehldau,Fred Herschと同じぐらいのポジションを占めていると言っても過言ではない。とにかく私の心を捉えて離さない音楽をECMでリリースし続けてきた。

そんなMarcin Wasilewskiが前作"Spark of Life"から約4年ぶりにリリースしたのが本作で,一部サックスを入れた前作から,従来のピアノ・トリオに戻してのライブ盤である。毎度のことながら,冒頭の"Spark of Life / Sudovian Dance"から,今回も私は心を鷲掴みにされてしまった。

今回のアルバムは,"Faithful"所収の"Night Ttain to You"を除いて,前作"Spark of Life"からのレパートリーである。ライブ盤とは言え,新曲もないのか?って思う部分もないわけではないが,これが彼らのレパートリーを熟成させ,昇華させた音楽を聞かせようという取り組みだと思えば文句はない。ここでの演奏は,オリジナルの演奏よりは長尺になっていて,曲に対するトリオとしての解釈や表現は更に深化していると思う。

とにかく,全編に渡って,静謐さとダイナミズムを両立させた音楽が展開されていながら,美的であることこの上ない。一聴して,私はこれまで聞いたMarcin Wasilewskiのアルバムよりも,このアルバムが一番優れているかもしれないとさえ思えるほどであった。久々に音楽を聞いて「さぶいぼ」が立った気がする。美しさとテンションとスリルを共存させる音楽にはそう簡単に出会える訳ではない。これには心底まいった。これには星★★★★★しかありえない。

こんな音楽を聞かされたら,彼らの再来日,そして真っ当なヴェニュー,更に真っ当なPAでのライブを体験したいと思うのが筋である。間違いなく今年のベスト作候補の一枚となった。まじに最高である。

Recorded Live in Antwerp on August 12, 2016

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz (ds)

2018年9月15日 (土)

超強烈!John McLaghlinとJimmy Herring合体によるMahavishnu集。

"Live in San Francisco" John Mclaghlin & the 4th Dimension / Jimmy Herring & the Invisible Whip (Abstract Logix)

_20180913Abstract Logixに発注していた本作が早くも到着である。まぁ,私が購入したのはCD/LP/Tシャツのボックスというオタク向けで,発送もFedExゆえ,送料は無茶苦茶高かったが,早く聞けるのはいいことである。

John McLaughlinは昨年US Farewell Tourと題して,Jimmy Herringのバンドとのダブル・ビルで演奏していたのだが,これはツアーからの引退ということらしく,レコーディングももうしないかどうかはわからない。いずれにしても,これはその最終公演1つ前のサンフランシスコで,両バンドが合体してMahavishnu Orchestraの曲を演奏するという模様を収めたものだが,これが実に激しい。「内に秘めた炎」,「火の鳥」,「エメラルドの幻影」,そして"The Lost Trident Session"の曲から構成される音は,強烈と言わずして何と言うという感じである。うるさいと言えばその通り。やかましいと言えばそれもその通り。だがこれは燃える。濃い~メンツの2つのバンドが合体して,Mahavishnu Orchestraの曲を演奏すれば,濃いに決まっているのだ(笑)。

そして,今回のライブ盤において,特筆しなければならないのは,Jimmy Herringのバンド・メンバーであるJason Crosbyのヴァイオリンだろう。Mahavishnu Orchestraと言えば,ヴァイオリンがサウンドにおいて重要な位置づけにあることは間違いないが,McLaughlinのバンドである4th Dimensionにはヴァイオリニストはいないところで,このJason Crosbyの働きが非常に効いている。御大McLaughlinが強烈なのはもちろんだが,Mahavishnu再演に仕立てられたのは,このJason Crosbyによるところが大きいと言ってよいだろう。

また,4th Dimensionのメンバーはいつも通りだが,Jimmy Herringのバンドは,ベースは昨今Wayne Krantzとよく共演しているKevin Scott,そしてドラムスはAlex MachacekともやっていたJeff Sipeである。そりゃあ濃いわけだ(笑)。

ここでの演奏を聞いて,John McLaughlinがツアーから引退するってのは,正直言って信じ難いと言いたくなるほど,枯れたところは皆無。しかし,この録音当時で既に76歳だったことを考えれば,ツアーは確かにきついのかもしれない。今にして思えば,昨年12月にChick Coreaとのデュオという,激しさはないが,2大巨頭によるデュオ・ライブに接することができたこと(記事はこちら),そして4th Dimensionでの来日公演を観られたこと(記事はこちら)はラッキーだったと思わざるをえない。そんな思いも含めて,星★★★★★としよう。やっぱり惜しいなぁ。

Recorded Live at the Warfield on December 8, 2017

Personnel: John McLaughlin(g), Ranjit Barot(ds, konokol, vo), Gary Husband(el-p, synth),Etienne M'Bappe(b, vo), Jimmy Herring(g), Jason Crosby(vln, rhodes, vo), Kevin Scott(b), Jeff Sipe(ds, gong), Matt Slocum(org, clavinet)

2018年8月29日 (水)

凄い老人としか言いようがないBuddy Guyの新作

"The Blues Is Alive and Well" Buddy Guy(Silvertone)

_20180826_4冒頭の"A Few Good Years"を聞いただけで私はぶっ飛んだ。何なんだ,これは。1936年7月30日生まれであるから,既に82歳である。録音時でも81歳とは到底思えぬパワー,ヴォーカル,そしてギター・プレイに圧倒された。凄い。凄過ぎる。まさにアルバム・タイトル通りと言うべきだろうが,とにかくこれは驚きである。

本作はJeff Beck,Keith Richards,そしてMick Jaggar(但し,ハーモニカでの参加)をゲストに迎えているが,そんなことは関係なしに強烈なブルーズ魂を聞かせるBuddy Guy,一体何を食って生きているのかと思わざるをえない。もちろん,Buddy Guy本人の健康状態があってのアルバムであるが,それを支えるのがプロデューサー,ドラマーを兼ねて,そして多くの曲を提供しているTom Hambridgeである。この人がこのアルバムで果たした役割は相当大きいはずだ。そこにBuddy Guyの衰えることのないエネルギーが加わってできたこのアルバムって,まさに信じがたいレベルと言ってよい。

どこから聞いても真正ブルーズであり,ロック魂すら感じさせる強烈なアルバム。今年屈指の興奮度を以て聞いた私であった。文句なし。星★★★★★以外なし。素晴らしい。

Personnel: Buddy Guy(vo, g), Tom Hambridge(ds, loop, vo), Rob McNelley(g), Kevin McKendree(p, org), Willie Weeks(b), Tommy McDonald(b), Keith Richards(g), Jeff Beck(g), James Bay(g, vo), Mick Jaggar(hca), Emil Justian(hca), Charles Rose(tb), Steve Herrman(tp), Doug Moffett(ts), Jim Hoke(bs), Regina McCary(vo), Ann McCary(vo), Rachel Hambridge(vo)

2018年8月28日 (火)

Al Di Meolaの最新ライブ盤を聞く。

"Elegant Gypsy & More Live" Al Di Meola (ear Music)

_20180826_3Al Di Meolaが"Elegant Gypsy"40周年記念ということで,ツアーに出て,日本にもやって来た。その時にもついつい聞きに行ってしまうのが,長年"Elegant Gypsy"を聞き続けてきたオッサンの性って感じだが,そのツアーの模様を収めたライブ盤が出たとあっては,これもついつい買ってしまった私である。本来ならストリーミングで聞けばいいやって話もあるが,いつまで経っても音源がアップされないので,まぁいいやって感じでの購入である。

音源としては,昨年,ビルボードライブ東京で聞いた時の感覚に近く,変わりようがないねぇと思ってしまうが,そうした中で,同じライブ盤でも,"Elegant Gypsy"に近いメンツを集めた"Tour de Force Live"なんかより,こっちの方がはるかによく聞こえてしまった。それはこちらは完全なDi Meolaのワンマン・バンドでありながら,響きがより本作の方がハードボイルドな感じが強いからではないかと思える。まぁ,それは私がDi Meolaの近作"Elysium"を結構高く評価したこととも関係あるようにも思える(記事はこちら)。全体的には結構楽しく聞けると思う。特に前半はそういう感じである。

だが,瑕疵がない訳ではなく,どう考えても必要ないだろうと思わせるようなLed Zeppelinの"Black Dog"を"Midnight Tango"のイントロのように使ったりするのは,全く意味がないし,その"Midnight Tango"がゆるく響く瞬間があるのは全くいただけない。そしてそれに続く"Casino"からの"Egyptian Danza"ももう少し激しくやって欲しいと言うより,もっとヘヴィな感覚が欲しいと思うのは私だけではないはずだ。この辺りの曲がアルバムで一番盛り上がらなければならないところで,こうした感覚を与えてしまうのはもったいないと思ってしまう。ライブの場で聞いていれば気にならない瑕疵も,こうしてディスクになると気になってしまうのは仕方ないところであるが,やはりそれがこの現行バンドの限界ってことなのかもしれない。ということで,星★★★☆としておこう。でも,ねぇ,これぐらいだったら,"Elegant Gypsy"を聞いている方が圧倒的に楽しいだろうというのが本音である。

Personnel: Al Di Meola(g), Phil Magallanes(key), Evan Garr(vln), Elias Tona(b), Luis Alicea(ds),Gumbi Ortiz(perc), Phillip Saisse(key)

2018年8月12日 (日)

コレクターはつらいよ(22):Louis Coleの新譜に1曲客演及び長年の疑問について。

"Time" Louis Cole(Brainfeeder)

_20180811本作に関しては先日,ミュージックマガジン誌を読んでいて,情報を入手したもの。ここでの主役のLouis Coleとのインタビュー記事が載っていて,そこにBrad Mehldauの名があるではないか。

そもそもLouis Coleの名前は,Brad Mehldauのディスコグラフィでも上がっていたので,それがなければ今回も見逃しは確実であっただろう。そもそもLouis Coleの音源がBrad Mehldauのディスコグラフィに本当に関係があるのかという話はあった。Jens Linge氏が運営する世界で一番詳しいMehldauのディスコグラフィに掲載された時も,そもそもその掲載アルバムがダウンロード・オンリーということもあり,詳しい情報の入手が難しかった。そして,Brad Mehldauが参加しているという"Motel Sadness"を聞いても,そこで聞こえるピアノがそうだと言われればそうかもしれないが,本当にそうだという確信は持てなかった。

だが,今回のミュージックマガジンの記事には次のような記述がある。「友だちが僕の昔の曲("Motel Sadness")をBrad Mehldauに送ったことがきっかけなんだ。Mehldauはその曲を気に入ってくれたようで,キーボードとマックのガレージバンドで音を付け加えて,8~9年前にネットに上げてくれた。」

記事の内容を額面通りに受け取れば,ダウンロード・オンリーのアルバム"Louis Cole"の"Motel Sadness"にBrad Mehldauが参加していたという明確な情報はここにもなく,Brad Mehldauはネット上に"Motel Sadness"を素材として,音を付け加えてアップしたことがあるというのが正しい解釈だろう。その音源というのは多分下に貼り付けたものである。そもそもLouis Coleのアルバムの同曲は4分程度だが,貼り付けた音源は6分を越えている。おそらくはここで聞かれるMehlianaを彷彿とさせるシンセがそれってことになるだろう。

ということで,長年,喉に刺さっていた魚の小骨のような状態だったLouis Cole音源に関してはそれで解決ってことになるが,そこへLouis Coleの新譜にBrad Mehldauが参加である。確かに5曲目"Real Life"にはFeat. Brad Mehldauと書いてあるし,これは間違いない。これ1曲ってのがつらいところだが,この曲,ファンク及びロック・フレイヴァーの中で,Brad Mehldauが実にカッコいいピアノ・ソロを聞かせていて,イメージはいつもの彼とは明らかに異なる。ちょっと聞いた感じでは,Kenny Kirklandが弾きそうなソロ・フレーズのようなイメージすら与えるのである。どんな音楽にでも同調できてしまうというのが,Brad Mehldauというミュージシャンの凄いところであり,他流試合の多さの反映って気がする。

これ1曲のために本作を買ったのは間違いない事実なのだが,Louis Coleの曲作りのセンスや,ほぼすべてを自分でこなすマルチなタレントぶりも楽しめて,これはなかなかよかったと言っておこう。 

2018年7月31日 (火)

Ray Lamontagneの新作は穏やかな響きって感じか。

"Part of the Light" Ray Lamontagne (RCA)

_20180729このブログには,アルバムに関して記事を必ずしもアップしている訳ではないのだが,私はRay Lamontagneという歌手を結構贔屓にしていて,出したアルバムは全部買っているはずである。これまた私が絶対的に贔屓にしているRachael Yamagataのアルバムにも参加したことがあるので,やはり通じるところがあるのだろう。

Ray Lamontagneはロック色を強めたアルバムもあった(と記憶する:笑)が,今回のアルバムは実に穏やかな感じがする。だが,この世知辛い世の中において,この穏やかな響きは貴重に思える。そして,この人の声,そしてソング・ライティングはやはり魅力的である。そして,ほぼ固定メンツで作り上げた音楽には安定感がある。そうした中で”As Black as Blood Is Blue"のような曲は,ロック・タッチのイントロにびっくりさせられるが,歌自体は,当然ハード・ロックのようにはならない。

米国においてはそこそこ人気もあると思われるRay Lamontagneだが,日本でこの人の名前を聞くことは実に稀なのはなんでなのか。やっぱりこの時代にこういう音楽はフィットしないということなのかもしれないが,私のようなオッサンには訴求力高く迫ってくる。改めて,彼のアルバムを聞き直したくなった私である。そんなこともあって,ちょっと甘めの星★★★★☆としてしまおう。

尚,このアルバム,最初に届いた時は,プレス・ミスで後半が再生できないディスクが届いたのだが,私が仕入れた海外のセラーは,交換に迅速に応じてくれて,非常に好感度が上がってしまった。ネット・セールスってのはこういう対応が必要だよなと改めて思ったことを付記しておこう。

Recorded between June 19 and July 7 and between September 23 and October 2, 2017

Personnel: Ray Lamontagne(vo, g, synth), Dave Givan(ds), John Stirratt(b, g, vo), Seth Kauffman(g, b, synth), Carl Broemel(g, vo), Bo Koster(synth, org, p, el-p), Kevin Ratterman(synth, perc)

2018年7月30日 (月)

てっきりブートだと思っていたらオフィシャル音源だったNeil Young,1973年のライブ。

"Roxy: Tonight's the Night Live" Neil Young (Reprise)

 _20180728ジャケだけ見てると,ブート音源のリリースかと思わせるものなのだが,れっきとしたオフィシャル盤であった。思い込みはいかんねぇ(苦笑)。

"Tonight's the Night"がリリースされたのは1975年のことだが,音源としてはこのライブが行われる前にはレコーディングされていたものであり,それをライブの場で再現したものと言ってよいだろう。

この時期のこのメンツの演奏である。Neil Youngが好きな人間が痺れない訳はないのだ(きっぱり)。そして,ライナーには"Tonight's the Night"の録音の様子が書かれていて,なぜこのバンドがSanta Monica Flyersと呼ばれるかについても書いてあるのが面白い。いずれにしても,"Tonight's the Night"の曲を,当時オープンしたばかりのL.A.のRoxyで演奏したライブは,長年のファンも納得間違いなしの素晴らしい発掘音源である。星★★★★★。

ところで,アルバムのジャケには,Neil Youngがテレキャスを抱えている姿が写っているが,バタやんみたいな抱え方だなぁ,なんて思って笑っている私はやはりアラカンである(爆)。でも多分,私自身もテレキャスを弾く時はこんな感じになっているはずだな(苦笑)。尚,Neil Youngが"My name is Glenn Miller."とかしょうもないジョークを言っているが,完全にすべっているのはご愛敬。

Recorded Live at Roxy on September 20-22, 1973

Personnel: Neil Young(vo, g, p, hca), Ben Keith(pedal steel, vo), Nils Lofgren(p, g, vo), Billy Talbott(b), Ralph Molina(ds, vo)

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