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カテゴリー「新譜」の記事

2019年10月10日 (木)

"3 Nights in L.A.":コンベンショナルなセッティングではここ暫くで最もしびれたかもしれないアルバム。

_20191008”3 Nights in L.A." George Garzone / Peter Erskine / Alan Pasqua / Darek Oles (Fuzzy Music)

Peter ErskineがFBにアップしていて,これは気になるということで,ストリーミングでチェックしたら,実に素晴らしい演奏だったので,急ぎ米国から飛ばした3枚組である。リリースはPeter Erskineが主宰するFuzzy Musicからだが,私としてはここ暫く聞いた現代のストレート・アヘッドなジャズ・アルバムとしては屈指の作品と思えてしまった。

私がこのアルバムが気になったのは偏にメンツゆえである。Peter Erskineのレギュラー・トリオに加わるのがGeorge Garzoneなのだ。そもそもPeter ErskineのトリオはベースにDave Carpenterを加えたアメリカン・トリオと,John Taylor,Palle Danielssonから成るヨーロピアン・トリオがあったが,どちらも捨て難い魅力を持っていた。前者はDave Carpenterが亡くなった後をDarek Olesが埋めているが,後者はJohn Taylorに代わる人なく,もはや再編の余地はないというところか。

アメリカン・トリオはベースが変わっても,基本的な質の高さは不変であるものの,私としては結構ご無沙汰感があった。だが,今回はGeorge Garzoneが加わることによって,何らかの化学変化を来すと思っていたら,これが大当たりである。George Garzoneという人はトレーン・ライクな演奏もすれば,ほぼフリーのようなFringeだったり,ストレートな演奏もこなすオール・ラウンド・プレイヤーと言ってよいかもしれないが,本作での味わいの深さは半端ではない。メンバーのオリジナルも含めながら,全編に渡って4ビートでの演奏が展開され,おぉっ,これはいいと思わせる快演の連続である。

_20191008-2

このライブがレコーディングされたSam FirstというクラブはLA空港のそばに最近開いた店らしいが,およそジャズ・クラブらしからぬ内装に驚かされる。キャパも60~70人というインティメートな空間でこんな演奏を生で聞けた聴衆は幸せと言いたくなるが,とにかくこれは聞いてもらえばわかると言いたくなるライブ演奏である。一晩に2セット,3日間に渡って行われた演奏のいいとこ取りなのだろうが,それにしてもこれはええですわぁ。各々の日の演奏を各々のディスク3枚に分けて収録していて,全てのディスクに"Have You Met Miss Jones?"が収められているのが面白いが,それ以外は曲の重複はない。いずれにしても,ゆっくり時間を掛けて楽しみたい傑作。星★★★★★。

Recorded Live at Sam First on January 17-19,2019

Personnel: George Garzone(ts), Peter Erskine(ds), Alan Pasqua(p), Darek Oles(ds)

2019年10月 9日 (水)

話題沸騰必至。John Coltraneの未発表音源。

_20191006-2"Blue World" John Coltrane(Impulse)

今年の発掘音源の最大の話題作はMiles Davisの"Rubberband"か,本作と言って過言ではないと思うが,"Rubberband"が現代的なアドオンを行っているのに対し,こっちは何も手を加えていないところが大きな違い。テナーの聖地,新橋のBar D2が健在であれば,絶対リリース直後から大音量で聞いていたはずのこのアルバムを,まずはストリーミングで聞いて,そして現物が届いてCDで聞いていることにはある種の感慨を覚えずにはいられないが,それはさておきである。

ここに収められた音源は映画に使用することを目的として吹き込んだものということであるが,録音された時期が「クレッセント」と「至上の愛」の間という時期を鑑みれば,Coltrane絶頂期と言ってもいい時期であり,映画音楽用とは言え,どういう演奏を展開しているのかが関心の中心になる。この音源が使われた映画そのものはストリーミングでも見られる(https://www.nfb.ca/film/cat_in_the_bag/)が,ちょっと見た感じの音楽の使われ方からして,既発音源を使ったと思われても仕方がないかなってところであり,それが本作が長年に渡って埋もれてきた理由かもしれない。しかし,ディスクで改めて聞いてみて,おぉっ,やっぱりColtraneだと思ってしまうようなしょうもない見解しか述べられない演奏が収められている。

"Naima"は2テイク,"Village Blues"は3テイク含んだ全8曲,36分余りという収録時間の短さはあるが,こういう未発表音源が出ること自体が重要であるのに加え,1959年以降のColtraneはスタジオでは常に新しいレパートリーに取り組んでいて,過去の作品をスタジオで再録することがなかったらしい中,本作は例外的な位置づけにあるということであり,実に珍しい演奏集なのである。

いずれにしても,演奏は紛うことなきJohn Coltrane Quartetのものであり,短い時間ながら過去の遺産に触れられる至福を時間を過ごせる。歴史的な価値を含め星★★★★★としてしまおう。

Recorded on June 24, 1964

Personnel: John Coltrane(ts), McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)

2019年10月 8日 (火)

Mike SternとJeff Lorber Fusionの共演とあっては聞かない訳にはいかない。

_20191006"Eleven" Mike Stern / Jeff Lorber Fusion(Concord)

私にとってはMike SternもJeff Lorber Fusion(JLF)も贔屓にしている人たちである。そんな彼らが共演するとなれば,聞かない訳にはいかない。よって,このアルバムのリリースがアナウンスされてから,本作を楽しみにしてきたし,媒体が届くまではストリーミングで聞いていた私である。

このアルバムが楽しみだったのはもちろんなのだが,その一方で彼らの共演が合うのかなぁという漠然とした不安もあったのは事実である。音楽性としてはマイキーの方がはるかにヘヴィである。JLFはタイトなリズムに乗りながらも,マイキーほどヘヴィな感覚はなく,前にも書いたことだが,いい意味で「中庸」なのだ。即ち,スムーズ・ジャズではないし,ハード・フュージョンでもないが,その中間を行く,いかにもフュージョンというサウンドが彼らの良さと思っている。

ストリーミングで聞いていても明らかだったのだが,どれがマイキーの曲で,どれがJLFの曲かはすぐわかってしまうのがある意味おかしい。マイキーの曲はほぼ既発曲なので,そういうところも影響しているかもしれないが,それにしてもやはり個性というのは出るのねぇと思ってしまった。マイキーにとっては,フル・アルバムでの別のバンドとの共演というのはYellowjackets以来だと思うが,Yellowjacketsとのアルバムが意外なフィット感を示していた(記事はこちら)のに対し,こっちはどうかと言うと,よく言えば双方の個性を活かしながらの共演って気がする。

彼らは私の贔屓であるから,彼らのやっている音楽に対しては全然文句はない。それはそうなのだが,彼らがせっかく共演するならば,もう少しシナジーが効いた感じを打ち出して欲しいって気もするのである。そうは言いつつ,マイキーは相変わらずのマイキーだし,JLFは相変わらずのJLFなので,やっぱり好きなのだが...。でももう少しできることがあったかもしれないというところもありながら,彼らにはついつい甘くなってしまい星★★★★。

ついでに言っておくとこのジャケは...と思うのは私だけではないだろう。微笑ましいのは事実だが,もう少しセンスをよくして欲しいなぁ。尚,彼らはこのアルバム・リリースを受けてライブ活動も行うが,是非この組み合わせ,日本でも見てみたいということは強く言っておきたい。

Personnel: Mike Stern(g, vo), Jeff Lorber(key, b, g), Jimmy Haslip(b, vo), Vinnie Colaiuta(ds), Gary Novak(ds), Dave Weckl(ds), Dave Mann(horn), Bob Fransechini(sax), Leni Stern(harp), Chelsea Maull(vo)

2019年10月 1日 (火)

"Abbey Road" リリース50周年。Anniversary Editionの2枚目について。

_20190929-3 ”Abbey Road 2CD Anniversary Edition" The Beatles(Apple)

実質的なBeatlesのラスト・アルバム"Abbey Road"がリリースされたのは今から50年前の1969年9月26日。それを記念してまたも出ました新エディションということで,もうええやんと思いつつ,またまた買ってしまうのが音楽ファンの性であろう。オリジナル・アルバムについては今更何も言うことがないものであることは論を待たない。そこで,ここでは2枚組版に収められたオリジナルの曲順通りに別テイク,デモ・ヴァージョンを収めたディスク2について書いておこう。

このディスク2を聞いていると,あの傑作"Abbey Road"の制作過程においては多くの試行錯誤が行われたであろうことをうかがわせる。ファンとしてそうした過程にまで関心を待つということは自然なことであることは否定しない。しかし,これを聞いているとオリジナル版に近いレベルのものもあれば,まだまだいけてないねぇと思わせるものもある。いずれにしても完成度は決して高くないものもあったのである。当たり前のことであるが,Beatlesとて数少ないテイクでアルバムを完成させていた訳ではなく,積み重ねが傑作に結実したという側面も受けとめてこれは聞くべきものと思う。

そうしたことを踏まえて,オリジナル・アルバムを聞けば,新たな感慨も生まれるに違いないが,私がBeatlesのアルバムを買うのもこれが最後かもなぁ。アルバムとしては全部揃っているのに,まだ買ってんの?って声が家人から飛んでくるしねぇ(爆)。まぁ,それでもミックス違いの効果は確認しなければね。

2019年9月27日 (金)

Woodstock Boxついに来る。こりゃ~重い(苦笑)。

Woodstock-box 発売後,いつまで経ってもデリバリーされず,ついにはRhinoに問合せのメールを入れたら,あっという間に到着したのがWoodstock Boxである。とにかく重い。そもそも木箱が嵩張る(苦笑)。いつ聞くの?って聞かれれば,そのうちとしか言えないが,よくもまぁこんなもんを買うわってところ。散らかっているのがバレバレの私の部屋に置かれたボックス,一体どこに収納すればいいのやら(爆)。

2019年9月18日 (水)

ずっと放置していたMarvin Gayeの「幻のアルバム」。

_20190916-2"You're the Man" Marvin Gaye(Tamla Motown)

新譜と呼ぶにはリリースされてから既に5カ月近く経過してしまったが,まぁよかろう。これはMarvin Gayeが”What's Going on"と"Let's Get it on"の間にリリースするつもりで吹き込んだ音源を,アルバムの形態として改めてリリースした「新作」である。とは言え,ほとんどが既発音源らしいので,純粋に「新作」と言い切ってしまうのは若干抵抗があるものの,こうしてリリースされることが重要ということにしておこう。

早いもので,Marvin Gayeが亡くなってから今年でもう35年である。正直言って,私が同時代でMarvin Gayeを意識して聞いていたのは"Midnight Love"ぐらいなので,彼の音楽に関しては完全に後追いである。だが,その後,(私の場合,決して多くはないが,)彼の音源に接すると,その音楽的な魅力,特に彼の書く曲,そしてその声の素晴らしさは理解していたつもりである。

そんなMarvin Gayeの「幻のアルバム」と聞いてはついつい手が出てしまう訳だが,遅ればせながら,改めてこの拾遺的なアルバムを聞いてみると,これが実に素晴らしい。正式なアルバム化が為されてこなかったとしても,この曲のクォリティである。正当ソウル,ファンク,スイート,更にはゴスペル的なところも感じさせたり,なんでもござれのようなアルバムであるが,駄曲がないってのが凄い。逆に言えば,このアルバムに収録された音源を録音している時期のMarvin Gayeの凄さというのを改めて感じさせられる。陳腐な言い方をすれば,「創造力のピーク」ってことになるのかもしれないが,それにしてもまぁ...って感じである。

これが本人の意図したかたちのアルバム形態だったのかはもはやわからないとしても,こういうアルバムがこの時代に「新作」として聞けることの幸せを覚えるのは私だけではあるまい。彼のオリジナル・アルバムに比べた評価ではなく,この時代にもMarvin Gayeの音楽が十分な訴求力を有することに感謝して星★★★★★としてしまおう。まじでいいですわ。

尚,パーソネルは多数かつ不明な部分もあるので割愛。

2019年9月10日 (火)

"Rubberband":今年最大の話題作の一つだろう。

_20190908-2"Rubberband" Miles Davis(Warner Brothers / Rhino)

Miles Davisがこの世を去って間もなく28年になろうとしているが,そこに突如登場してきたのが,これまでお蔵入りを余儀なくされていた"Rubberband"セッションである。ここにはオリジナルの音源にヴォーカルが加えられているし,ミキシングもかなりいじってあるようなので,相当アップデートされた印象があるのは事実である。しかし,本作がレコーディングされた頃のライブでよくやっていたレパートリーも聞くことができて,そうだったのかって思わせる。

しかし,よくよく考えてみれば,アップデートされているとは言え,このオリジナル音源が吹き込まれていたのは1985年後半から86年前半にかけてのことである。その時からは既に30年以上経過しているというのは驚異的な事実。Miles Davisの音楽は現代にも通じる同時代性を持っていたなんて言うと,陳腐な表現にしか聞こえないが,まさにそういう感じなのである。そして,面白いのは当時のバンドのメンツとは異なる編成で製作されていることではないか。1曲だけ"Maze"はまさに当時のバンドそのものであるが,それ以外はいつもと違う面々を呼んでいるのは,それまでと違ったことをしたいと思ったMiles Davisの思惑だったのではないかと思える。

ここでカギを握っているのはRandy Hallであるが,Randy Hallと言えば,Milesのシーンへの復帰作,“The Man with the Horn"の中で,タイトル・トラックと"Shout"というほかの曲とはかなり異なるポップな感じの曲をやっていたが,その時からの縁はまだこの頃続いていて,彼に白羽の矢が立ったということのように思える。そして出てくる音はここでもかなりポップに感じられる。特にRandy Hallがヴォーカルを取る"I Love What We Make Together"なんて,全然Milesらしくない曲である(さすが,Al Jarreau向けに書いたと言われるだけのことはある)。そうした観点も含めると,長年のファンにとってはBob BergやMike Sternの入った"Maze"のメンツによる演奏の方がピンとくるはずだ。その辺が評価のわかれどころということになるのかもしれないが,アルバムとしてはこれはこれでありだとは思いつつ,Milesを聞くならこれでなくても全然問題ない。それが本作の限界というところでもあるのだが,まぁ話題作だから,これはちゃんと聞いて評価するのが筋である。

この時代にライブでよく演奏された曲としては,ここでは本人も参加したNeil Larsenの”Carnival Time"があるが,Milesのライブでのこの曲の演奏は,ここでのものよりはるかにカッコいいものであったことは言っておかなくてはなるまい。ここでの演奏はまだまだこなれていない感じが強いし,私がライブで感じたような高揚感が得られていない。そういうことで,非常に微妙って気がすることもあるが,ここはMilesに免じて星★★★☆ぐらいってことにしておこう。カッコいい曲もあるんだけどねぇ...。

最後に一点付け加えておけば,私がMilesのライブを最後に見たのは1991年のNYCにおけるJVCジャズ・フェスティバルにおけるAvery Fisher Hallにおける演奏であった(思えば亡くなるちょっと前である)が,その時のMilesは私にとって全然魅力的に響かなくなっていた。多分,Warner移籍後の音楽は,私にはあまり関心が持てなかったことの裏返しだが,このアルバムがリリースされても,そうした思いに変わりはあるまい。これを聞いて,84年,85年あたりのモントルーの音源が猛烈に聞きたくなってきた私である。

Recorded between October, 1985 and January, 1986

Personnel: Miles Davis(tp, key), Michael Paulo(as, ss, ts, fl), Bob Berg(sax), Glenn Burris(ts, as), Randy Hall(g, key, vo, prog), Isiah Sharkey(g), Mike Stern(g), Attala Zone Giles(key, g, b, vo, prog), Adam Holzman(key, synth), Wayne Linsey(key), Anthony "Mac Nass" Loffman(key, prog), Javier Linares(p), Robert Irving, III(key, synth), Neil Larsen(key, synth, prog), Arthur Haynes(b), Felton Cruz(b), Angus Thomas(b), Vince Wilburn, Jr.(ds, perc, prog), King Errisson(perc), Steve Reid(perc), Munyungo Jackson(perc), Steve Thornton(perc), Marilyn Mazur(perc), Kevin Santos(edit, sound design), Ledisi(vo), Medina Johnson(vo), Lalah Hathaway(vo), Rick Braun(tp, tb)

2019年8月13日 (火)

The Bird and the Bee,4年ぶりの新作は何とVan Halenトリビュート。

_20190811-2 "Interpreting the Masters Vol.2: A Tribute to Van Halen" The Bird and the Bee (No Expectations/Release Me)

ポップな感覚で素晴らしい音源を出し続けるThe Bird and the Beeであるが,メンバーのGreg Kurstinのプロデューサー業が忙しいせいなのか,どうなのかよくわからないが,彼ら自身のアルバムは結構リリースのインターバルが長く,本作も前作の"Recreational Love"以来,約4年ぶりとなる。もともとストリーミングとLPでのリリースであり,CDでリリースされるのは日本だけらしい。

そして,驚いたのが今回の新作がVan Halenへのトリビュートだったことである。Vol.1がHall & Oatesトリビュートだったっていうのは心地よいポップを提供するThe Bird and the Beeとしては鉄板の選択だろうが,彼らがなんでVan Halenなのかとも思ってしまう。しかもVan HalenはVan Halenでも,あくまでもDavid Lee Roth入りのVan Halenというのがポイントだろう。確かにDavid Lee Roth在籍時のVan Halenはハード・ロックのフレイヴァーの中に,実にポップな曲調も聞かせていたのは事実だろう。"Jump"なんてその最たる事例だろうが,そういうところにThe Bird and the Beeの2人が強いシンパシーを感じたとしても不思議ではない。

ここでは彼らしいポップな感覚を失うことなく,オリジナルに結構忠実に対応しているのが面白い。逆に当時のVan Halenの音楽のポップな感覚と,現在のThe Bird and the Beeのよりコンテンポラリーなポップ感覚がシンクロしたというところだろうか。実に楽しい。これぞ正しいロックとポップの融合って気がした。このアルバムを聞いて,改めてVan Halenのアルバムを聞きたくなるという効能は間違いなくあるだろう。星★★★★☆。いやぁ,楽しいですわ。

Personnel: The Bird and the Bee【Inara George(vo), Greg Kurstin(p, key, b, ds)】, Beck Hansen(vo), Gabe Noel(b), Justin Meldel-Johnson(b), Omar Hakim(ds), Joey Waronker(ds), David Ralicke(bs, bass-sax, tb), Alex Lilly(vo), Samantha Sidley(vo), Wendy Wang(vo)

2019年7月28日 (日)

祝再発!小田切一巳の唯一のリーダー作「突撃神風特攻隊」。

_20190726

「突撃神風特攻隊」小田切一巳(Aketa's Disk→Octave Lab)

一部の「好きもの」(笑)の間で異常な盛り上がりを示しているアルバムである。私はこのアルバムを,今はなきテナーの聖地,新橋のBar D2で何度も聞かせて頂いたことがあるのだが,日本にこんなサックス・プレイヤーがいたのかと思わせるに十分なハイブラウなアルバム。それにしても,よくもまぁこれが再発されたものだ。

小田切一巳はわずか31歳でこの世を去った夭折のサックス・プレイヤーであるが,残されたアルバムは本作と,森山威男との"Hush-a-Bye",そして宮間利行とニューハードに客演した2枚しかないはずである。そんな小田切一巳のリーダー作がアケタズ・ディスクに残されていた訳だが,まさかこれが再発されるとは夢想だにしなかったが,これはまさに快挙と言わざるをえない。

どこから聞いても,スリリングな演奏であるが,その筆頭は2テイク収められたFreddie Hubbardの"Intrepid Fox"である。本家のその曲もそれは非常にカッコいい曲だが,ここでの演奏は本家に勝るとも劣らない緊張感もありながら,スピード感も十分な演奏である。その一方で"When Sunny Gets Blue"では絶妙な歌心も感じさせる。このジャケだし,音も決してよくないが,この音源が残っていただけでも感謝すべきである。そして今回の再発を心から喜びたい。ということで,大いにこのアルバムの認知度を高めるためにも星★★★★★としてしまおう。そして,このアルバムを聞いたことがある人はそうそう多くないだろうってことも含めて,再発ではあるが,新譜扱いとさせてもらおう。

Recorded between August 1 and 15

Personnel: 小田切一巳(ts, ss), 山崎弘一(b),亀山賢一(ds)

2019年7月23日 (火)

突然リリースされたScott Hendersonの新作。

_20190721 "People Mover" Scott Henderson(自主制作盤)

前作"Vibe Station"がリリースされたのが約4年前のことであったが,あれはあれでScott Hendersonらしいカッコいいアルバムであったと思う。そんなScott Hendersonの新作が突然リリースされた。Scott Hendersonサイトに行けば,サイン入りCDも販売しているものの,基本的にはダウンロード/ストリーミング中心でのリリースだと思われるが,私はCD Babyで媒体購入したもの。今回も前作同様,レコード会社の記載がないので,自主制作ってことだろうが,面白いのは前作でドラムスを叩いていたAdam Hertzがエンジニアリングを担当していることか。結構こういう家内制手工業的なノリがこの筋のミュージシャンには多いよなぁ。

今回のアルバムを聴いてみると,いつものScott Hendersonに比べると,イケイケ感はやや抑制されているように思える。考えてみれば,スコヘンも今年で65歳ってことを考えれば,いつまでもキレッキレのイケイケってのも無理って話もあるが,抑制はされていても,何じゃこれは?みたいな変拍子もあり,十分変態なので長年のファンも満足であろう。

ベースのRomain Labayeはフランス出身のベースで,Nguyên Lêのバンドにも参加しているようである。ドラムスのArchibald Ligonniereもフランス出身のようだが,スコヘンがなぜ彼らと組んだのかは不明だが,市井のミュージシャンはスコヘンに憧れもあるだろうし,リズム側からのアプローチがあったのかもしれない。ってことで,私にとっては馴染みのないリズム隊なのだが,実力は十分に感じられるから大したものだと思った。

残念ながら,スコヘンのようなミュージシャンが自主制作でしかアルバムをリリースできないのが現実であるが,それでもちゃんとクォリティを保ってアルバムをリリースし続けることは立派なことである。こうした活動を支えるのもファンの責任というものである(きっぱり)。ただ,“Vibe Station”との比較という意味においては星★★★★。

因みにScott Hendersonのサイトには10月アジア・ツアーという記述があるが,日本には来るのだろうか?と言うより是非また来日して欲しいものである。

Personnel: Scott Henderson(g), Romain Labaye(b), Archibald Ligonniere(ds), Scott Kinsey(e-perc)

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