Arild Andersen:かなり完成度の高いライブ盤
"Live at Belleville" Arild Andersen(ECM)
このアルバムは拍手がなければ,スタジオ録音だと言われてもわからないほど緊密度の高いライブ演奏を展開したアルバムである。ピアノレスのサックス・トリオであるから,自由度が高いのはある意味予想通りであるが,フリーなアプローチと高速の4ビートがうまくブレンドしていて,私は結構嬉しくなってしまった。
このアルバムを聞いていて思うのは,何とも絶妙なエコーによって生み出される「場」の空気である。Andersenは時にエレクトロニクスを交えながら(あくまでも地味にだが...),雰囲気たっぷりのベースを聞かせる一方,Tommy Smithのテナーにもこれまた何とも言えないエコーがかかっていて,音楽的には結構ハードな部分もあるのに,聞いていてとにかく心地よいのである。そこに鋭く突っ込んでくるのがPaolo Vinacciaのドラムスであるが,この人,ライナーの写真からしてロック畑の人と思わせるのであるが,サウンド的にも確実にロック的なドラミングである。Wikipediaにはジャズ・ドラマーとして紹介されていたが,私はこの人にはロック的なアプローチを強く感じるのである。このVinacciaのドラムスがスパイスとして効いてきて,このトリオのサウンドを魅力的なものにしているように感じる。
このハードな音楽はある意味ではECMらしからぬサウンドと言ってもよいが,プロデューサーはAndersenが兼ねており,Manfred Eicherはミキシングと編集に関わっているだけだから,そう聞こえるとも言えるのだが,このアルバムにエコー感を加えたのはEicherではないかと私には思えるのである。音楽の質はECM的でなくとも,エコーでECM的サウンドにしてしまうということである。これは私だけの思い込みかもしれないが,私の想像が当たっているとしたら,それこそマジックではないか。
収録時間が70分超と長いので,ずっと集中できるわけではないのだが,それでも私はこのアルバムについては結構楽しめたし,評価したいアルバムである。ちょっと甘いかもしれないが星★★★★☆。
Recorded Live at Belleville, Oslo and Drammen Theater in September, 2007
Personnel:Arild Andersen(b, electronics), Paolo Vinaccia(ds), Tommy Smith(ts)
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