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2017年おすすめ作

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カテゴリー「新譜」の記事

2019年1月15日 (火)

Quatrette Oblique:ベタな選曲って話もあるが,このメンツには魅かれる。

"Quartette Oblique" (Sunnyside)

_20190112_2FBのお知り合いが取り上げられていて知ったアルバム。昨年秋口のリリースだが,新譜扱いとさせてもらおう。バンド・リーダーのMichael Stephansには申し訳ないが,そのほかのメンツに魅かれて購入したことは間違いない。だってDave Liebman,Marc CoplandにDrew Gressでっせ。

やっている曲はMiles関連が3曲にスタンダード2曲,そして,ジョンアバことJohn Abercrombieと,Drew Gressのオリジナルがそれぞれ1曲ずつ。Milesとスタンダードは相当にベタな選曲と言ってもよいのだが,このメンツでやるとどうなるのかは極めて興味深いのだ。そして,まさにこれが一筋縄ではいかない作りである。中でもDave Liebmanのプレイぶりはやはり突出した感じがある。馴染みの曲をやっても普通にはならないのである。同じ"Nardis"でもBill Evansがやる"Nardis"とここでの"Nardis"の違いの顕著なことよ(当たり前だが...)。

Marc Coplandについては,私は相当のファンだと言ってもよいが,正直なところ,管入りのアルバムはあまり食指が動かないというか,私が保有しているアルバムのほとんどはソロかベースとのデュオかトリオという極端な聞き方をしていると言っても過言ではない。それはDave Liebmanとて例外ではない。Marc CoplandはこれまでもDave Liebmanとのアルバムを何枚か残しているが,それでさえ頑ななまでに買わずにおいてきた。そんな私がこのアルバムに興味を抱いたのは,このベタな選曲によるところが大きいのだ。

ここでのMarc Coplandは相変わらずの美的なトーンと言えて,ここでのLiebmanとの共演ぶりには,私がMichael Breckerとの共演盤に感じたような違和感(記事はこちら)はなかった。特にジョンアバ,Drew Gressのオリジナルにおいて,そうしたMarc Coplandの美感が際立ってところだろう。しかし,"So What"ではかなり激しいフレージングを聞かせて,いろいろできるっところを実証している。

惜しむらくは,公式盤にしては録音状態がイマイチなことか。特にドラムスが奥に引っ込んだ感じだが,別に音楽を聞く上では大した問題ではない。ということで,このメンバーによるユニークな解釈を楽しんだ私である。星★★★★。

Recorded Live at the Deer Head Inn on June 3, 2017

Personnel: Michael Stephans(ds), Dave Liebman(ts, ss), Marc Copland(p), Drew Gress(b)

2019年1月12日 (土)

これよ,これよ,これなのよって感じのOndřej Štveráčekのライブ盤

"Live in Prague" Ondřej Štveráček (Stvery)

_20190111 ジャズ界の「おんどれ」君こと,Ondřej Štveráčekの新作がリリースされた。例によって,入手が大変なのかなぁと思っていたら,何のことはない,DUに大量に入荷し,結構売れているではないか。おんどれ君のアルバムについては,前作"Sketches"もDUでは売れていたみたいなので,ついに日本においても,彼にも陽が当たる時が来たかって感じである。

おんどれ君はJohn Coltrane愛を隠さない人だが,この人のアルバムを聞いていると,いつもColtrane的な熱量を感じるところがあって,自分にエネルギーを充填したいと感じる時などには聞きたくなるのが常である。昨今は自身のクァルテットのドラムスにGene Jacksonを迎えて,ますます充実感が強まっているところに,そのクァルテットでのライブ盤が登場した。

一聴して,おんどれ君のテナーはもちろん,ピアノもドラムスも往年のJohn Coltrane Quartet的に響く。冒頭からこれは燃える。おんどれ君のライブと言えば,10年近く前に"Jazz na Hrade"をこのブログで取り上げた(記事はこちら)が,その時と同様の興奮を覚えると言っても過言ではない。まさにこういう音を求めていたって感じのサウンドであり,完全にツボに入ってしまった私である。

とにかく燃える一枚であり,どよ~んとした正月疲れを吹き飛ばすアルバム。概して私はおんどれ君のアルバムへの評価が甘いと思うが,これは星★★★★★としてしまおう。

Recorded Live at Jazz Dock, Prague on October 12, 2017

Personnel: Ondřej Štveráček(ts, ss),Klaudius Kováč(p), Tomáš Baroš(b), Gene Jackson(ds)

2019年1月10日 (木)

"Trilogy 2":これを今年の新譜と言ってよいのかはさておき...。

"Trilogy 2" Chick Corea(Stretch)

_20190106本作は昨年12月にリリースされたものであり,昨年のベスト・アルバムに挙げられている方もいらっしゃるので,これを新譜として紹介することには若干の抵抗があるが,発売されてから1カ月しか経っていないので,まぁよしとしよう。

Chick CoreaがChristian McBride,Brian Bladeというトリオで"Trilogy"をリリースしたのは2013年のことであったが,私はそのアルバムを購入したものの,このブログに記事もアップしていないし,ちゃんと聞いたかもはっきりしない。実にいい加減なものである。しかし,まぁこのメンツであれば,食指が動くのは当然ってことになるが,音源としては2010年から2016年までの複数のヴェニューでの演奏が収められており,純粋に新しい演奏ばかり集めた訳ではない。

だが,このメンツである。時間が経過しようと,演奏の質に大きな違いが生まれる訳ではなく,全編に渡って,Chick Coreaの超有名オリジナルに加え,スタンダードやモダン・ジャズ・オリジナルが満遍なく収められて,これは十分に楽しめるアルバムとなっている。このトリオで4月には日本にやって来るが,生でも聞いてみたいと思わせる(でもチャージが高いので悩む...)。特にここで聞かれるBrian Bladeの歌心に満ちたドラミングを聞いたら,これは間違いなくよいライブになるだろうと思わせるのだ。

その中でも注目は”Now He Sings, Now He Sobs"のオリジナル以来の再演ということになるらしい。これがなかなかにスリリングな演奏であり,Brian Bladeの鋭い切込みにぞくぞくさせられる。16分を越えるアルバム一番の長尺であり,そして最も聞きごたえがあると言っても過言ではない。

もう1曲,Chick Coreaのこれまでのレパートリーとは明らかに異なる,Stevie Wonderの"Pastime Paradise"も注目されるところであったが,正直なところ,これはChick Coreaに合っていると思えなかった。Christian McBrideがアルコのソロで頑張りを見せようと,私にとっては,これを聞くぐらいならStevie Wonderのオリジナルを聞いている方がずっといいと思えてしまったところに限界も感じる。

もちろんここに収められた演奏が非常によく出来たものであり,質の高い演奏であることは否定しないが,予定調和って言ってしまえばそうとも言える訳で,このメンツならではの,もう一段上の驚きがあってもいいように思えなくもない。特にそう思わせるのはMonkの2曲かなって気がする。なので,私としては満点の演奏とは言えないが,星★★★★には十分値する。ってことで,4月のライブに行くかどうかが悩ましい私である。

Recorded Live at Various Venues in 2010, 2012 and 2016

Personnel: Chick Corea(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

2018年12月25日 (火)

年末になって届いたFred Herschの未発表ライブ音源がいいねぇ。

"Trio '97@ the Village Vanguard" Fred Hersch (Palmetto/King International)

_20181224Fred Herschにとって,名門Village Vanguardはホームグラウンドのようなもので,来年も新年早々に出演が決まっている。そんなFred Herschが自身のトリオでVanguardに初出演したのが1997年のことだそうである。その時の音源が残っていて,それがこの度めでたくリリースされた。

録音されてから既に20年以上の時が経過しているので,現在のFred Herschのスタイルよりはやや力感が強いように感じられる。まぁ,その間には昏睡状態に陥っていた時期がはさまれているので,違いがあるのは当然と言えば,当然かもしれない。

しかし,ここで聞かれる音楽は,その後に通じるFred Herschの美学が表れていて,実に素晴らしい。私にとってはホリデイ・シーズンのギフトとして大いに楽しんだ。それはFred Herschのファンにとっても同様のはずで,彼のキャリアを振り返る時に,非常に意味のある音源の発売を素直に喜びたい。

今回,私が珍しくも国内盤を購入したのは,それは偏にボートラの"The Neaness of You"が聞きたいがゆえである。ライブの場でなら,アンコールとしてソロで演奏されてもよい曲だと思うが,ここでのしっとりしたトリオ演奏で締めくくられるディスクは,行く年を送るに相応しい余韻を残すと言えるだろう。リリースされたことを喜ぶという意味も込めて,甘いとは知りつつ星★★★★★としよう。

Recorded Live at the Village Vanguard on July 18, 1997

Personnel: Fred Hersch(p), Drew Gress(b), Tom Rainey(ds)

2018年12月23日 (日)

年末で記事の更新が滞ってしまった。ってことで,今日はECMのAndrew Cyrille作。

"Lebroba" Andrew Cyrille(ECM)

_20181223先日,海外出張から帰国してから,体力的な限界を感じる中,年末の飲み会とか,ゴルフとかもあり,音楽をゆっくり聞いている暇もなかったというのが実感だ。そのため,記事の更新が滞ってしまったが,ここにも何度か書いているように,以前だったら,投稿の間を空けることに抵抗があったが,最近はそうでもなくなってきたというところに,私も加齢を感じるとともに,ブログへの向き合い方にも若干の変化を感じる。できるときにやればいいのであって,無理に書く必要もないってところである。それによって,PV数は伸びなくなるが,まぁ素人なので,別にそれは大したことでも,クリティカルなことでもない。そうは言いつつ,やめる気もないのだが...。ってことで,今日はこのアルバムである。

Andrew CyrilleってECMとあまり結びつかないイメージだったのだが,Ben Monderのアルバムに参加して,更にはリーダー作として,"The Declaration of Musical Independence"を発表して,そして本作につながる訳だが,全てが総帥Manfred Eicherではなく,Sun Chungのプロデュースという共通項がある。Eicherが引退した後のECMレーベルは,このSun Chungに引き継がれていくと思うが,以前にも書いた通り,この人のプロデュース作には独特なアンビエンスが感じられるという印象が強い。

そして,今回はドラムス~ギター~トランペットという変則的な編成で演じられるが,前作にも参加していたビルフリはさておき,このアルバムのキモは私はWadada Leo Smithのラッパだと思う。比較的静謐な音場を切り裂くWadada Leo Smithのトランペットは静かな中にも,独特の興奮を生み出していて,これはいいと思えてしまう。以前のECMにもこういう変則的な組み合わせのセッション・アルバムが存在したが,そうした感覚を思い出させるものとも言える。

ビルフリはベースレスでも関係ないわって感じで,独特な音場を構築しながら,フレージングはらしさをとことん打ち出してきて,Andrew Cyrille名義のアルバムでありながら,3者のコラボ的な部分が強く感じられるし,曲も持ち寄りであるから,緊密な連携作であることは間違いない。

いずれにしても,このアルバム,ECM的なカラーを持たせながらも,こういうアンビエンスはどうよ?って感じの音作りで,私は大いに気に入ってしまった。でもやっぱり本作はWadada Leo Smithがその価値を高めたのは間違いない。星★★★★☆。

Recorded in July, 2017

Personnel: Andrew Cyrille(ds),Wadada Leo Smith(tp), Bill Frisell(g)

2018年12月19日 (水)

Antonio Sanchez同様に,怒りを音楽へと昇華させたWayne Escoffery。

"Vortex" Wayne Escoffery(Sunnyside)

_20181218このアルバムを新譜と呼ぶには,リリースから時間が経ち過ぎているが,まぁ今年のリリースだから許してもらうことにしょう。正直言って,このアルバム,ほかのアルバムとの抱き合わせで購入したものなのだが,これを見逃していた(聞き逃していた)ことは実にもったいないことだったと反省した一枚である。

Wayne EscofferyはTom Harrellのバンドで,その名前が知られるようになったというのが妥当なところだろうが,昨今はリーダーとしてもアルバムをリリースしていて,私も彼のアルバムは結構買っているし,Cotton Clubでのライブも見に行った(その時の記事はこちら)。このアルバムはその時のライブとベース以外は同じメンツで吹き込まれているが,メンツゆえにライブでも激しさを打ち出した彼らだったが,本作の演奏も相当の熱量で迫ってくる。それはDavid KikoskiにRalph Petersonという剛腕を従えているということもあるが,この熱量を生んでいるのがWayne Escofferyの差別への怒りである。そうした観点ではAntonio Sanchezの新作同様に,この音楽を生み出すモチベーションは怒りなのである。

だが,そうした怒りは露骨に表現されるというよりも,非常に活力のあるジャズ・アルバムとして出来上がったところがよい。こういう熱い演奏を聞いていると,やっぱりジャズにはこういうエネルギーが必要な時もあるよなぁと思う。美的なジャズもまたよしではあるが,たまに聞くフリー・ジャズや,こうしたタイプの演奏を聞いていると,ジャズという音楽の懐の深さを改めて感じた私である。正直言ってこのジャケは購買意欲をそそるものではないが,それでもこの音楽を聞いたら,その魅力はすぐにわかるってところである。

なので,私も結構贔屓にしているJeremy Peltの1曲でのゲスト参加が不要にさえ思えてしまうという具合なのだ,いずれにしても,Wayne Escofferyの実力,そしてサイドマンの力量も十分に感じられる力作。もっと早く聞いておくべきであった。星★★★★☆。

Recorded on March 4, 2016 and March 7, 2017

Personnel: Wayne Escoffery(ts, ss), David Kikoski(p), Ugonna Okegwo(b), Ralph Perterson, Jr.(ds), Jeremy Pelt(tp), Kush Abadey(ds), Jaquelene Acevedo(perc)

2018年12月 9日 (日)

Art Ensemble of Chicagoのボックスが届く。いつ聞くねん?(苦笑)

"The Art Ensemble of Chicago and Associated Ensembles" Various Artists(ECM)

Aec_and_associated_ensembles一部の好き者の間(爆)で話題のボックス・セットである。ECMにおけるArt Ensemble of Chicago(AEC)のアルバムと,AECのメンバーが参加したアルバムを集成したものであり,18アルバム,21枚組のセットである。正直なところ,これを全部聞くのは大変だなぁと思いつつ,私はECM好きの割に,ここに入っているかなりの数のアルバムを保有していなかったので,丁度ええわということで購入である。

なぜ,かなりの数を私が保有していないか?それは不勉強ゆえにAECの音楽の魅力がよくわかっていなかったということが一番大きい。そうは言いながら,AECが山下洋輔と共演した"First Time"やら,Brigitte Fontaineとやった「ラジオのように」とかも聞いているし,Lester Bowieのリーダー及び参加アルバムは比較的持っている。結局のところ,AEC単独での活動,あるいはそこで展開される音楽にやや苦手感があったのかもしれないなぁと思っている。ということで,今日は18アルバム中"I"となっている"Nice Guys"をプレイバックしている。

"Nice Guys" The Art Ensemble of Chicago(ECM)

Nice_guys思えば,私はこのアルバムを,昔LPで保有していた。多分買ったのは10代の後半だったと思うが,その頃には全くこういう音楽を理解できていなかったというのは上述の通りである。だから売り払うのも早かった。その後,私はどっぷりとECMというレーベルにはまっていくわけだが,それでもAECはフォローの対象からははずれていたのである。

ということなので,このアルバムを聞いたのは何十年ぶりってことになってしまうが,やっぱり変わっているというか,この人たちにしかできない音楽だなぁって気がする。完全なフリーではなく,それこそ「アンサンブル」として演じられるところが,この人たちの面白さなのかなぁと改めて感じた私である。でも,最後に収められた"Dreaming of the Master"とかの路線は非常によかった。多分,以前はB面のこの曲まで行きつかなったんだろうなぁ(笑)。星★★★★。

Recorded in May 1978

Personnel: Lester Bowie(tp, celeste, b-ds), Joseph Jerman(ts, ss, as, sopranino, cl, fl, conch shell, vib, gongs, congas, whistles, vo), Roscoe Mithcell(as, ts, ss, piccolo, fl, oboe, cl, gongs), Malachi Favors Maghostut(b, perc, melodica), Famoudou Don Moye(ds, bells, bike horns, congas, tympani, marimba, bongos, chimes, conch shells\, whistle, wood blocks, cowbells)

2018年12月 3日 (月)

まだまだ出るんだろうなぁ,Keith Jarrettのライブ音源。

"La Fenice" Keith Jarrett(ECM)

_20181201_2Keith Jarrettのライブ音源はある程度のインターバルを置いて,いろいろな場所での音源がそれこそいろいろ出てくる。そして,録音からどうしてこんなに寝かしておく必要があるのかと思わせることも多いが,これもそんな作品である。録音は2006年7月19日であるから,12年以上前である。そして,クラシックの殿堂のようなところの音源もあって,ウィーン国立歌劇場やスカラ座やカーネギー・ホールでのアルバムもあって,これもそうした流れのアルバムである。

最近のKeith Jarrettのソロは,以前のように長大なソロ曲はやらず,だいたいセット当たり5,6曲の即興を行うのが一般的だと思う。前半は現代音楽的なアプローチを強く聞かせ,後半には美的なメロディを増やし,アンコールの小品で痺れさせるって感じの演奏が多いと思う。本作もおそらくはディスク1が前半部,ディスク2が後半ということだと思うが,やはり現代音楽的アプローチが前半は強く出ている。しかし,Part IIIにおいて,いかにもKeithらしいフォーク的な色合いが出てきて,安心感(笑)を結構早く感じられるようになる。そしてその後のPart IVも美しい演奏だし,Part Vはブルージーな感じで,最近の私が聞いたKeith Jarrettのライブより,はるかに聴衆に寄り添った感じがするのがよい。これも場所の成せる業か。ディスク2に移っても,聴衆を突き放す感覚はなく,これはイタリアの聴衆と,La Feniceという場所が影響しているとしか思えない(苦笑)。だって,2曲目には早くもオペレッタ「ミカド」から"The Sun Whose Rays"のような曲をやってしまうのである。

Keith Jarrettは2014年の大阪のライブで完全にキレたことからもわかるように,相当神経質な感じもする人だが,この時はどうも様子が違うと思いたくなるようなピアノの弾きっぷりである。もちろん,それは悪いことではなく,この時の聴衆にとってはまさに幸せなことであったと言わざるを得ない。

こんな調子でアルバムをリリースされるのは,こっちにとっても大変なのだが,こういう演奏なら大歓迎である。星★★★★☆。

それにしてもこのヴェネツィアにあるフェニーチェ劇場,素晴らしい造形である。こういうところで演奏した記録をアルバムとして出したくなるのはアーティストとしては当然か。劇場内部の写真もアップしておこう。美し過ぎるよなぁ。こんなところでオペラを見てみたいものだ。

Recorded Live at Gran Teatro La Fenice, Venice on July 19, 2006

Personnel: Keith Jarrett(p) 

La_fenice

2018年12月 2日 (日)

またも出た!Woody Shawの未発表音源。これはワンホーンだけに貴重。

"Live in Bremen 1983" Woody Shaw (Elemental Music)

Woody_shaw_bremen昨今,Woody Shawの未発表音源が続々とリリースされているが,このブログでも10月には"At Onkel Pö's Carnegie Hall Vol. 1"をアップしている(記事はこちら)し,あれもなかなかいいアルバムであった。あちらは本作の前年で,本作のメンツにSteve Turreを加えたクインテットであったが,こちらはWoody Shawのワンホーン。Michael Cascunaのライナーにもある通り,なぜSteve Turreがいないのかはわからないのだが,Woody Shawのワンホーン・アルバムはあまりないので,これは実に嬉しいリリースである。そしてこれがまたいい出来なのである。

冒頭の"You and the Night and the Music"こそ軽く始まる感じだが,2曲目のWoody Shawオリジナル"Rahsaan' Run"のスリリングな展開を聞いて燃えないジャズ・ファンはいないだろう。全編を通じて,このメンバーによる実力十分の演奏が収められていて,これは満足度が高い。特に急速調の曲におけるWoody Shawの火を噴くようなフレージングはどうだ!これぞWoody Shawと思いたくなるが,これほどエキサイティングな演奏は彼のキャリアでも珍しいのではないだろうか。クァルテットとしての爆裂具合も楽しい。ある意味,Mulgrew Millerってこんなピアノだったかと思わせるのも事実である。特に,彼のオリジナル,"Pressing the Issue"は強烈なアップテンポで,燃える~。

とにかくこういう音源は出してくれただけでもありがたい。これより前に出た東京のライブはFM放送の音源をCD化しただけで,ラジオでの紹介音声も入っていたりして,CDを買う気になれなかったが,これはそれとはレベルが違う。Woody Shawファン必聴の音源と評価したい。もちろん星★★★★★としよう。

Recorded Live at Post Aura,, Bremen on January 18, 1983

Personnel: Woodt Shaw(tp, fl-h), Mulgrew Miller(p), Stafford James(b), Tony Reedus(ds)

2018年12月 1日 (土)

Antonio Sanchezの怒りとスリリングな音楽への昇華。

"Lines in the Sand" Antonio Sanchez & Migration(CamJazz)

_20181201最近,ショップに行くことも滅多にない私だが,ちょっと空いた時間があったので,久しぶりにDUのJazzTOKYOに行った。中古は収穫なしに終わったが,新譜として本作がリリースされていたので,珍しくもショップで購入である。

Antonio Sanchezはメキシコから米国への移民として,日頃からTwitterなどでDonald Trumpへの批判を行っている。米国の国の成り立ちを考えれば,私のような「トランプ嫌い」のリベラルな人間は,彼が怒りを発露するのも当然だと思える。

それを音楽的なメッセージとして出してきたのが彼のソロ・プロジェクト作"Bad Hombre"だったと思うが,本作は更にそのメッセージを強固に打ち出したものとなっていることは,ライナーからも明らかである。裏ジャケにはライナーの最後の文章である"I'm a proud immigrant. A proud Mexican and a proud American that feels torn by the injustices that are being perpetrated against so many innocent people in search of a better life. This album is dedicated to them and their journey."が掲げられている。これこそがこのアルバムの意味を如実に表している。

そうしたメッセージをどう受け止めるかも重要だが,純粋に音楽だけを聴いていても,これは極めて高いテンションを以て制作されており,まさにAntonio Sanchezらしいスリリングな演奏を聞くことができる。Migrationとしての前作である"Meridian Suite"ではSeamus Blakeがサックスを吹いていたが,今回はサックスがChase Bairdに代わっている。

このChase Bairdという人,Sanchezに加えて,Brad Mehldau,Nir Felderなどとアルバムを吹き込んでいることは間違いないのだが,一向にリリースされる気配がない。おクラ入りの憂き目に遭わないことを期待したいが,本作ではAntonio Sanchezの強烈な音楽に十分貢献していて,このメンバー・チェンジは大きな影響を与えていないと感じられる。また,前作ではゲスト扱いだったヴォーカルのThana Alexaがバンド・メンバーとして名を連ねている。

70分に渡って発露されるAntonio Sanchezの怒りは,このスリリングな音楽へと昇華しているが,この音楽が現在のアメリカの状況の変化にどの程度貢献しうるかについては定かではない。しかし,Antonio Sanchezとは言わずにおれぬ,やらずにおれぬという切迫感からこうした音楽を生み出したと思え,私としてはその意気を評価するとともに,Antonio Sanchezの音楽のクォリティの高さに今回も圧倒されたと言わざるをえない。

今日から師走であるが,年末に現れた強烈な作品として高く評価したい。星★★★★★。

Recorded in August, 2018

Personnel: Antonio Sanchez(ds, vo, key), John Escreet(p, rhodes, synth), Matt Brewer(b), Thana Alexa(vo, effects),Chase Baird(ts, EWI),Nathan Shram(vla), Elad Kabilio(cello)

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