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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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カテゴリー「新譜」の記事

2017年9月19日 (火)

Gregg Allmanの白鳥の歌。素晴らしき置き土産と言うべきか。

"Southern Blood" Gregg Allman (Rounder)

Southern_bloodGregg Allmanが惜しくも亡くなったのは今年の5月のことだったが,そのGregg Allmanの遺作がリリースされた。Don Wasがプロデュースしたこの作品は,おそらくは死期を悟ったGregg Allmanが歌いたいと思った曲を歌ったアルバムと思える。そして,Don Wasの感動的なライナーによれば,これらの曲はGregg Allmanの人生を投影したものであったとのことである。こんなライナーや家族から寄せられた言葉を見てしまっては,涙なくして聞けない作品である。

今やBlue Noteレーベルの社長を兼ねるDon Wasがプロデュースしていることが,このアルバムがスペシャルなものであることを物語っているが,Don Wasは2014年に開かれたGregg Allmanのトリビュート・コンサートでも,バック・バンドのバンマスを務めていたので,付き合いは相応にあったのだろうが,本作の制作においてもひと肌脱いだというところだろう。素晴らしきミュージシャンの友情である。

Don Wasのライナーにはこんなことが書いてある。"He spent his final night listening to the latest mixes and closed eyes for the last time knowing that his vision had been realized." この一文を読んでしまっては,もうこのアルバムには文句をつけてはいけないということである。まさにGregg Allmanの白鳥の歌であり,辞世の句。マジでJackson Brownとの"Song for Adam"は泣ける。星★★★★★以外にはありえない感動作。

Personnel: Gregg Allman(vo, org, g), Steve Potts(ds), Ronald Johnson(b), Scott Sharrard(g), Peter Levin(key, p, el-p, vib), Mark Quinones(perc), Jay Collins(ts, bs, fl), Mark Franklin(tp), Art Edmaiston(ts, bs) with Greg Leisz(pedal steel), Jackson Brown(vo), Buddy Miller(vo), The McCrary Sisters(vo), Stephanie Brown(vo), Val McCallum(g)

2017年9月18日 (月)

Bill Evansの未発表音源:これも全然記事にしていなかった。

"Another Time: The Hilvversum Concert" Bill Evans(Resonance)

Another_timeレコード・ストア・デイでこのアルバムがLPとしてリリースされた後,なかなかCD化されなかったのだが,先日ようやくCDでリリースされたものの,全然記事にできていなかった。

Resonanceレーベルで発掘されたEvans~Eddie Gomez~Jack DeJohnetteのトリオの音源として,"Some Other Time"に続く音源は,あのモントルーのライブから1週間後の演奏のライブ・レコーディングである。この発掘音源が価値があるのは,ひとえにこのトリオによる録音の存在がほとんど認知されていなかったことにあるが,驚愕度は"Some Other Time"に比べると落ちたとは言え,その価値が下がることはない。

まぁ,そもそもBill Evansのレコーディングは安定度抜群で,平均点は極めて高いところに,モントルーと同じメンツによる演奏であれば,悪いはずはない。お馴染みのレパートリーを,いつものようなBill Evansのフレージングを積み重ねて作り上げていく様子をヴィヴィッドに捉えていて,やはりこれは満足度が高い。スタジオ・ライブ形式であるが,こんな場に身を置けた聴衆は幸せである。

正直言って,私はEddie Gomezのベースが苦手なので,Scott LaFaroは別格として,Marc Johnsonとの共演盤の方が好きなのは事実だが,これぐらいならまだ許せるって感じの音で録られているのはよかった。いずれにしても,これはやはり貴重な発掘音源として,半星オマケして星★★★★☆としてしまおう。

Recorded Live at Netherlands Radio Union VARA Studio 8 on June 22, 1968

Personnel: Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Jack DeJohnette(ds)

2017年9月13日 (水)

Fred Herschの新譜がこれまた素晴らしい。

"Open Book" Fred Hersch(Palmetto)

Open_book_2ここのところ,毎年のようにアルバムをリリースしているFred Herschであるが,その新譜は前々作に続いてソロ・ピアノである。これがまた,リスナーの期待値に応え,心を鷲掴みにするような魅力溢れるソロ作となっている。冒頭の"The Orb"から完全につかみはOKである。

今回の新作は韓国ソウルでレコーディングされたもので,1曲だけソウルのライブ音源となっている。そのライブ音源は,昨年私が見に行ったトリオでの日本公演の前日に録音されたものであり,韓国ではソロでやっていたのかと思ってしまった。そしてここに収められたソロは,Fred Herschらしい美的な感覚と,一部に聞かれるアブストラクトな感覚を同居させながらも,結果的にはFred Herschらしいアルバムになっている。

ライブで録音された"Through the Forest"は19分を越える長尺であるが,Herschはライナーにこの曲について"an example of improvising with no safety net or preconceived ideas"と書いている。つまり,完全即興ということであろうが,これは心身ともに充実していないと,こなせないものと考えられ,Fred Herschの健康状態の回復を如実に示すものと思える。もちろん,"Through the Forest"や"Whisper Not"に聞かれるアブストラクトな響きには抵抗感を覚えるリスナーもいると思うが,トータルで捉えれば,これは優れたソロ・ピアノ・アルバムと言ってよいと思う。

Fred HerschはJoni Mitchellをはじめとするポップ・チューンを演奏することも多いが,今回はBilly Joelの"And So It Goes"が選ばれている。原曲はアルバム"Storm Front"に収録されているが,シンプルなメロディ・ラインを持つこの曲を,Fred Hersch節に転換していると言ってよいだろう。"Strom Front"でもエンディングに据えられていたこの曲は,本作の最後を締めくくるにも相応しい演奏である。素晴らしい。

Fred Herschのここのところの充実ぶりには本当に驚かされるが,この調子でずっと元気で演奏を続けて欲しいものである。星★★★★☆。多分今年はソロで来日するのではないかと思うが,私の出張日程と重ならないことだけを祈る。

Recorded on April 1-3 and November 1, 2016

Personnel: Fred Hersch(p)

2017年9月11日 (月)

メロウ・グルーブが超気持ちいいMoonchild

"Voyager" Moonchild (Tru Thoughts)

Moonchildブログのお知り合いのkenさんも取り上げられていた本作をApple Musicで聞いて,メロウなグルーブの心地よさにまいっていた私である。そのままストリーミングだけで聞いていてもいいという話もあるが,この心地よさはたまらんということでCDを購入した私である。

このアルバムを聞いた時の感覚は,私にとってはRobert Glasper Experimentが"Black Radio"をリリースした時に感じたものに近いが,これは理屈抜きで心地よくもゆるいグルーブに身を委ねればいいアルバムだと思っている。エレピを核にしたサウンドはとにかく気持ちいい。そういうところにも私のRhodes好きの性癖が表れるが,一本調子と言われれればその通りと言われかねないものであっても,だからこそ気持ちよいのである。よって,こうしたサウンドがツボに入ってしまうリスナーにとっては抗い難い魅力に溢れたアルバムになると言ってしまおう。星★★★★☆。たまらん。

彼らは間もなく来日が予定されているが,日程が合わずライブに行けないのが誠に残念と感じさせるに十分な心地よさ。ライブで体感できる人が羨ましい。

Moonchild: Amber Navran, Andris Mattson, Max Bryk

2017年9月10日 (日)

全然ECMっぽくないが,極めてスリリングなVijay Iyerの新作

”Far from Over" Vijay Iyer Sextet(ECM)

_20170910_2デリバリーからちょっと間が空いてしまったが,Vijay Iyerの新作である。どうも私はこの人のアルバムはデリバリーされても暫く間を置いてしまって,後々になって,もっと早く聞いておきゃよかったといつも反省している感じだ。前作のWadada Leo Smithとのデュオもそうだったし,今回もそうである。全く懲りていない(苦笑)。

本作でECMからは第4作となるVijay Iyerであるが,今回は3管入りのセクステット,それもSteve LehmanやらTyshawan Soreyやらの強面(笑)メンツを揃えているということで,どういうことになるのかという不安もあって,聞くのが遅くなったというところもあるのだが,これがECMらしさとはちょっとかけ離れた非常にスリリングなアルバムになっている。ライナーにはManfred Eicherがプロデューサーとしてクレジットされているし,ミキシングも,エンジニアのJames Farber,Vijay Iyer,そしてEicherの共同となっているので,ちゃんと制作には関わっていると思われるが,それでもいつものECMの感じではない。まさにこれは現代ジャズのスリルを体現したアルバムと言ってよく,ECMがどうこうという観点は意識する必要ないぐらいの出来である。

静謐な部分を感じさせる部分には,60年代後半以降のエレクトリック期のMiles Davis的な部分も感じさせるが,それらはインタールード的に響き,このアルバムのキモはあくまでも3管によるアンサンブル/ユニゾンの部分とそこから生まれるジャズ的興奮にこそあると思われる。聞きものはそうした興奮度を生み出すVijay Iyerの作曲にもあるが,サウンド的にはフロントではテナーのMark Shimが強烈であり,更にそれを煽るTyshawn Soreyがえげつない。私がこういう興奮を覚えたところで記憶にあるのは,Antonio Sanchezのアルバムであるが,本作は少なくとも私にとっては今年一番の興奮度をもたらしたと言ってもよい。

Antonio Sanchezも新作のリリースを控える中で,年末には私はどちらを高く評価しているかが楽しみになってくるが,とにかくこれは現代のジャズ・シーンってのはこういうものよってことを見事に体現したアルバムと言ってよい。このアルバムがもたらした興奮度に喜んで星★★★★★としてしまおう。まじで痺れた。

Recorded in April, 2017

Personnel: Vijay Iyer(p, el-p), Graham Haynes(tp, cor, electronics), Steve Lehman(as), Mark Shim(ts), Steve Crump(b), Tyshawn Sorey(ds)

2017年8月29日 (火)

Marc Coplandを伴ったGary PeacockのECM新作は前作踏襲って感じだが,相変わらずいいねぇ。

"Tangents" Gary Peacock Trio (ECM)

TangentsGary PeacockがMarc Coplandを迎えて,前作"Now This"をリリースしたのが今から約2年前のことである。そして,今回,全く同じメンツでアルバムがリリースされたのだが,私としてはMarc Copland入りってことで今回も期待を込めての購入となった。

"Now This"もしばらく聞いていないので,あくまでも直感的な感じではあるが,基本的には前作と似たような感じを受ける。前作でも聞かせた静謐系で,美的なピアノ・トリオの演奏はここでも健在である。フリーなアプローチを交えながらの演奏は,ECMレーベル・ファンにとっては直球ど真ん中な路線だろう。

そんな中で,私がまいってしまったのが"Spartucus"である。Alex Northが映画「スパルタカス」のために書いたこの曲は,Marc Coplandはこれまでにも"Poetic Motion"でやっているが,Marc Coplandのようなピアニストにこそぴったり(Fred HerschもJordan Hallでのライブ”Let Yourself Go"で演奏している)な美的な曲である。この曲が流れてきたときに,やっぱりこの人たちにはこういう演奏が相応しいと思ったが,これとか"Blue in Green"がこれほどはまるのは,このトリオだと思わってしまった。Marc Coplandとは長い共演経験を持つGary Peacockであるが,Marc Coplandの個性をちゃんと理解しているし,古希を過ぎても全然衰えを感じさせないのは立派である。

そして,このトリオが"Rumblin' Talkin' Blues"でブルーズを演奏しても,ちっともブルーズっぽく聞こえないのには笑えるが,そういう個性の人たちなのだから,それでいいのである。誰も彼らにどブルーズを期待してはいまい(きっぱり)。

ということで,この手の音楽が好きな人が気に入ること必定。それにしても,Gary Peacockのベースの音がいい感じで捉えられている。いいねぇ。ということで,ちょっと甘いと思いつつ星★★★★☆。いっそのこと,このトリオで日本に来てくれないかなぁ。

Recorded in May, 2016

Personnel: Gary Peacock(b), Marc Copland(p), Joey Baron(ds)

2017年8月28日 (月)

これは素晴らしい。Barry Mann & Cynthia Weillのオリジナル・デモ等の音源集。

"Original Demos, Private Recordings and Rarities" Barry Mann & Cynthia Weill(Vivid)

_20170827_2Barry Mann & Cynthia Weillという稀代のライター・チームが残した名曲は数知れずであるが,彼らの曲のデモやプライベート録音等の音源を集成したアルバムがリリースされた。

曲のクォリティが高いのはもちろんだが,それを基本的にBarry Mannの歌で聞けるところにこのアルバムの価値はある。それにしても,何といい曲を書く人たちなのか。リリースされたことだけで快挙である。音源の録音時期にばらつきがあるので,テイストに違いがあるのは当然だが,そんなことが全く気にならない名曲の数々。特に中盤からのシンプルな伴奏による名曲群が心にしみる。

そして驚きは,Quincy Jonesがアルバム「愛のコリーダ」に収録したあの名曲"Just Once"のデモ音源。こちらを歌うのも,Quicyのアルバム同様,James Ingramである。Quincy版"Jusかt Once"も素晴らしかったが,このシンプルさから更に曲のよさが滲み出すという感じである。その後に収められたSergio Mendezがヒットさせた"Never Gonna Let You Go"もJames Ingramが歌う。これを聞いて私がくぅ~っとなってしまったことは言うまでもない。

いずれにしても,ここの収められた音楽は,米国音楽界の至宝と言ってもよいものであり,これらの音源をよくぞ発掘してくれましたとしかいいようがない。星★★★★★しかない。感動した。

2017年8月18日 (金)

小曽根真久々のThe Trioのアルバム。驚きがないなぁ。

"Dimensions" 小曽根真

_20170816_2今回のメンツによるThe Trioが復活するのは10年ぶりだそうである。しかも来月にはBlue Note東京にも出演することになっている(ライブは予約済みである:笑)から,予習として聞かないわけにはいかない。

最初からはっきり言ってしまうが,私は小曽根真の音楽に心底惚れ込んだことはない(きっぱり)。ある意味中庸,ある意味誰にでも受け入れられる音楽をやっているから,この人には尖ったところがないと思ってきたし,そういう感覚はこれまで変わったことはない。だが,例えば,Mike Sternとライブをやった時のように,オルガンでグルーブを炸裂させればいいのにと思えるのも事実だし,Lee Ritenourの"Twist of Rit"に客演した時には「小曽根たちとやった"W.O.R.K.n' IT"のなんとカッコよいことか。私は小曽根真がオルガンを弾いた時の魅力を,Mike Sternたちとのライブの場で体感しているので,これも期待していたのだが,期待以上のグルーブを生み出しているのが素晴らしい」と書いているぐらいなのだ。

しかしながら正直に言ってしまえば,私にとっては,小曽根真は器用な人であるがゆえに,何でもできてしまうのは事実なのだが,リスナーを桃源郷に導くだけのパワーが,ピアノでは不足しているように思える。だから,今回の新作を聞いても,普通じゃんという感触しか得られないし,魅力的なオリジナルに満ちているかと言えば決してそんなことはない。もっと挑発してくれないと,10年ぶりというのには不十分だと思えるのだ。はっきり言おう。私にとっては,このアルバムより,ドラマーのClarence Pennのリーダー作(記事はこちら)の方がずっとえぇわと思うのが正直なところなのだ。

多分,ブルーノートでのライブの場では文句は言わないだろうが,私はこのアルバムに対して高い評価を与えたいと思わない。小曽根がいるだけで,ブルーノートの客層は変わるが,彼ら(ほとんどは彼女たち)にとって文句なしの音楽に対しても,私はこの程度では満足できないと言ってしまうのである。正直言って国内盤だから仕方ないが,このアルバムに3,240円の大枚をはたくならば,安い輸入盤を私は3.5枚買う方がずっとましやと言っておこう。ということで星★★★が精一杯だ。標準的なレベルを脱していないのは致命的なのだ。

Recorded on February 8-10,2017

Personnel: 小曽根真(p),James Genus(b),Clarence Penn(ds)

2017年7月29日 (土)

Charles Lloyd New Quartet? まぁ,それはさておき...(笑)。

"Passin' Thru" Charles Lloyd New Quartet(Blue Note)

Passin_thru昨年,Charles Lloydがリリースした"I Long to See You"は素晴らしいアルバムであった。私は聞いた瞬間から,去年のベスト作の1枚になると確信していたが,結局昨年のナンバーワン・アルバムは"I Long to See You"だったと思っている。そして,今年の1月のBlue Note東京でのライブも,御大は少々お疲れではあったが,そこでもいい演奏を聞かせてくれたと思っている。

そんなCharles LloydがNew Quartet名義でBlue Noteレーベルからリリースした新作である。ここで不思議なのは,このNew Quartetの面々は,ECMの時代から共演しているので,"New"でもなんでもないのだが,敢えて"New Quartet"を名乗る意味はどこにあるのかは全くの謎である。

このアルバムの1曲目は懐かしや"Dream Weaver"で幕を開けるが,イントロはフリー的な展開も示しながら続き,肝心のテーマが出てくるまでは結構時間が掛かる。この演奏でもそうなのだが,このバンドはフリーなアプローチが強いのが特徴と言える。おそらくこういう要素はJason Moranゆえって感じがする。誤解を恐れず言えば,Jason MoranはAndrew Hill的なのだ。前作はアメリカーナなルーツ・ミュージック的なサウンドも提示していたのに対し,このアルバムはよりジャズ的,そしてそれもかなりの熱量を持つ演奏だと言ってよい。これが来年80歳になろうとしているCharles Lloydによって生み出されているということ自体が凄い。

全編,昨年のライブ音源で占められているが,まさに老いてますます盛んとはこのことだろう。もちろん,これはバックを支える優秀な面々から,エネルギーをもらっているところはあるだろうが,Charles Lloydという人の創造力にはまさに恐れ入るしかない。"I Long to See You"と比べても遜色のないアルバムとは思うが,前作が私のツボにはまり過ぎたことから,本作は星★★★★☆とするが,それにしても大したものである。

Recored Live at Montreux Jazz Festival on June 30 and at The Lensic, Santa Fe, New Mexico on July 29, 2016

Personnel: Charles Lloyd(ts, fl), Jason Moran(p), Reuben Rogers(b), Eric Harland(ds)

2017年7月28日 (金)

Underground - クリポタ = Dice(笑)

"Dice" Adam Rogers(Agate)

DiceChris Potter Undergroundとしての活動は休業中のクリポタであるが,現行Undergroundの残り3人がAdam Rogersのリーダーシップのもとにアルバムを出した。その名も"Dice"。これはバンド名も兼ねているようである。

私はこのメンツにKevin Haysを加えたFima Ephron Groupのライブを昨年,NYCの55 Barで見ているが,その時には私は「クリポタがいないことにより,ややおとなし目の演奏だった」なんて書いている。まぁ,その時はFima Ephronがリーダーだったこともあるが,今回はどうか?その時の演奏が悪かったというのではない。ただ,セッション的な色彩が強く,ややルースに感じられたのは事実だったから,このアルバムのトーンについては不安がなかった訳ではない。

しかし,はっきり言ってしまえば,これはUndergroundの演奏を彷彿とさせるファンクネスに満ちた演奏であった。更に曲の途中でテンポが変わる様は,まるでWayne Krantzのようである。こういう音を出されては私のようなこの手のサウンド好きは何の文句もない。その一方で,ブルーズマン,Fred McDowellに捧げた"The Mystic"ではデルタ・ブルーズを想起させるような演奏を聞かせて,これも面白い。更になんとWillie Nelsonの"Crazy"もやっているが,この辺りは昨今のBill Frisellの方向性とも合致する部分があるのかもしれない。私にはこうした演奏はJoe Henryがプロデュースした作品のバックのギター・サウンドを想起させる部分があった。ルーツ・ミュージック的なのである。だが,彼らの演奏の本質的な魅力は,やはりファンク度が強い曲にこそ表れると思ってしまうのが,Undergroundファンの性というところか。

この演奏を聞いていると,こういう音は55 Barにピッタリだと言いたい。ここで聞かれるような演奏を,あの場所,あの空間で聞いていたら,確実に悶絶するだろうと思える演奏。甘いとは思いつつ,売れて欲しいので星★★★★☆。ついでに来日もしてくれぃ(無理か...)。それにしても,録音から3年近く経ってようやくリリースってのもどうなのかねぇ。やっぱり売れないのか(爆)。

ちなみにジャケ写真は"Grand Central 1990"というタイトルのもの。これもいいねぇ。

Recorded on October 17 & 18, 2014

Personnel: Adam Rogers(g, cl, b-cl, synth, org, el-p, perc, sample, loop), Fima Ephron(b), Nate Smith(ds)

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