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カテゴリー「映画」の記事

2019年5月20日 (月)

出張中に見た映画:「ハンターキラー 潜航せよ」

Hunter-killer 「ハンターキラー 潜航せよ("Hunter Killer")」('18,米/英/中)

監督:Donovan Marsh

出演:Gerald Butler,Gary Oldman,Common, Michael Nyqvist,Linda Cardellini

先日,短期で韓国に出張したのだが,搭乗したのは成田~釜山便。沖縄に行くより搭乗時間は短いので,映画を見るには中途半端。基本的に往復で1本を見られればいいって感じである。そこで選んだのがこの映画である。

潜水艦ものってのは映画のネタとして,結構な数がある。私の中では「眼下の敵」が最高と思っているが,「レッド・オクトーバーを追え!」も面白かったねぇ。潜水艦ものってまぁそれなりに楽しめる作品もあると思いつつ,実は機内エンタテインメントで見るには結構厳しいという実感が私にはある。以前出張時に「真夏のオリオン」という日本の潜水艦映画を見たことがあるのだが,当然のことながら,海中/海底シーンが多いと画面が暗い。機内エンタテインメントのモニター画面は以前に比べれば改善しているが,そこはエコノミー・クラスの画面に多くを求めてはいかん。だから,この映画を選ぶ時にも「真夏のオリオン」同様に見づらいところがあるだろうなぁと思っていた。結局はそれは今回も同じだったが...。

この映画,それでもって潜水艦映画によくある「男の友情」みたいなものが描かれてしまうところは極めて予定調和的。一方でロシアでクーデターが起こって,現職大統領が拉致されるというある意味無茶苦茶な展開もあるが,海側からだけでは不足と感じたか,陸上側の対応もかなりの時間を割いて描かれている。

ではあるのだが,このストーリー展開の遅さは一体何なのかと思ってしまった。往路で見ていて,どれぐらい時間が経過したかと確認してみるとまだ30分しか経っていない。トータル2時間越えの映画の中で,この緩い展開にはさすがに何とかしてくれと思っていた。まぁ,それでも現在の潜水艦技術,あるいは対魚雷対策ってこんな感じなのねぇと妙なところで感心する部分もあった。それにしてもこれはやはりストーリーに無理があるし,ご都合主義的展開も感じられる凡作。星★★☆。

それにしても,このポスターを見ると,Gary Oldmanが主役級の扱いになっているが,基本的には特別出演的な感じで,別にGary Oldmanじゃなくたっていいじゃんというレベル。

2019年5月 6日 (月)

連休中後半に見に行った「アベンジャーズ/エンドゲーム」。なるほどねぇって感じの展開。

Avengers-end-game 「アベンジャーズ/エンドゲーム("Avengers: Endgame")」(’19,米,Marvel Studios)

監督:Anthony Russo, Joe Russo

出演:Robert Downey, Jr., Chris Evans, Mark Ruffaro, Chris Hemsworth, Scarlet Johansson,Jeremy Renner, Paul Rudd, Brie Larson, Josh Brolin, Gwyneth Paltrow

2008年の「アイアンマン」から始まったMarvel Cinematic Universe(MCU)の一旦の最終作は「スパイダーマン」シリーズの次作となるはずだが,その前の大団円とでも言うべき作品である。そのため,とにかく登場人物の多さに驚かされてしまうような映画であるが,これまでのシリーズの逸話をうまくストーリーに絡めた感じの脚本であり,このシリーズのファンは結構楽しめるだろう。ただ,これまでのシリーズ作品を見ていない人々(例えば我が家人)にとっては,何が何だかわからないストーリーであろう。だから,ある程度予備知識を持ってこの映画を見るか,そうでないかによって,全然受けとめ方は異なってくるはずである。

シリーズ前作「キャプテン・マーベル」でも想定されていたが,この映画でもBrie Lason演じるキャプテン・マーベルは重要なキャラクターとなっており,「困った時のキャプテン・マーベル」みたいな登場の仕方をするのはある程度想定されていたし,ストーリー展開もだいたい予想がつくものだったと言ってよい。しかし,シナリオはなるほど,こう来るかって感じのものであり,MCUの締めくくり的な位置づけでの製作方針が方針が明確だったと言えよう。

そうは言いつつ,これだけキャラが登場してくると,お腹いっぱいって感じで,戦闘シーン等も含めて,私にはやり過ぎ感があったのも事実。まぁある意味,こうしたキャラクターの逸話をまとめようとすると3時間超の上映時間は仕方がないのかもしれないが,私としてはやはり過剰な気がした。Marvelのコミックのキャラを総登場させるようなかたちとは言え,今後,どうするのよと気にもしたくなる。

もの凄い物量で撮られている映画なので,相応に楽しめることは楽しめるとしても,私のような年齢層の観客にはそれほどの感慨をもたらさないだろう。今後もストーリーとして続いていく仕掛けは施してあるが,私もMCUの作品を観に行くのはこれを以て打ち止めにするのか,また観に行ってしまうのかは微妙なところである。尚,タイム・パラドックス含め,本作にはシナリオには決定的な穴があると思うのは私だけではないはずだ。まぁ,この手の映画にそう固いことは言わなくてもいいんだが。星★★★☆。

2019年5月 5日 (日)

実にくだらなかった「エアポート’77:バミューダからの脱出」。

Airport-77 「エアポート ’77:バミューダからの脱出("Airport '77")」(’77,米,Universal)

監督:Jerry Jameson

出演:Jack Lemon, Lee Grant, Joseph Cotten, Olivia de Havilland, James Stewart

休み中にAmazon Primeでこの映画を見た。私は「大空港」は最初はテレビで見て,実に面白いと思い,「エアポート ’75」は劇場に見に行った。そしてがっくり来たので,この作品は劇場に見に行く気は起こらず,見たのは今回が初めてである。

多くのシリーズものの作品は,数を重ねるごとにつまらないものになっていくというのはよくある話である。オリジナル「猿の惑星」然り,「エイリアン」然り。もちろん,例外もある。私の中では「ジェイソン・ボーン」のシリーズと,Christopher Nolanが撮った「バットマン」のシリーズは許せる部類である。しかし,この「エアポート」シリーズは,今回3作目の本作を見て,あかんやろうという気分にしかなれなかった。

所謂「グランド・ホテル」形式の登場人物の多さは相変わらずなのだが,人物の造形が曖昧に過ぎるという問題もあれば,そもそもサスペンスがちっとも盛り上がらないという映画としての決定的な弱点は最後まで何も変わらずであった。今回初めて見てみて,映画館に足を運ばなくてよかったと思った私である。結構いい役者を揃えながら,それを活かせない脚本と演出であった。

ほとんど美点を見出せない凡作中の凡作であり,こんな映画は星★で十分だ。まぁ,Amazon Primeでただで見られるからいいようなものだが,実にしょうもない映画であった。暇つぶしにしかならん。暇だからいいんだが(爆)。

2019年5月 4日 (土)

休み中に見た「邪魔者は殺せ」。

Photo_16「邪魔者は殺せ("Odd Man Out")」(’47,英)

監督:Carol Reed

出演:James Mason,Kathleen Ryan,Cyril Cusack,Robert Newton

連休の間に見ていなかったDVDでも見るかってことで見たのがこの映画である。私が購入したのは¥500の廉価DVDであるが,古い映画を見る分には全然問題ない。

この映画,「邪魔者は殺せ」と書いて「じゃまものはけせ」と読むところに時代を感じる。この映画を撮ったCarol Reedと言えば,何と言っても「第三の男」なわけだが,それに先立つ作品として本作と「落ちた偶像」がある。「落ちた偶像」もDVDを購入したまま全然見ていないので,そのうち見ようと思うが,まずはこれを見てみた。

ポスターには"The Most Exciting Motion Picture Ever Made!"なんてあるが,決してそんな派手派手しい映画ではない。基本はサスペンスなのだが,出てくる登場人物を見ていると,人情もののようにも思える一方,喜劇的な要素,そして悲劇的な要素も含めた映画で,実に不思議なストーリーと言ってもよい。とにかく,登場人物が一筋縄でいかない。ある意味「邪魔者は殺せ」というタイトルが誤解を招くと言ってもよいぐらいだ。そんな映画ではあるが,私にとってこの映画の魅力は,白黒映画における陰影を活かした撮影にあると思えた。とにかく登場人物の「影」が効果的に使われているのだ。よくよく調べてみれば,撮影は「第三の男」も撮ったRobert Kraskerと知れば,なるほどと思わざるをえない。

映画としては「第三の男」には及ばないというのが私の評価だが,それでもこういう時代を感じさせる映画をたまに見ると,逆に新鮮で部分がある。ストーリーがイマイチだなぁと感じるというのが正直なところだが,温故知新ということでちょっと甘めの星★★★★にしておこう。

時間がないとなかなか見られないのがDVDなのだが,今回の連休はそういう時間を与えてくれたということでも意味があったな。さて,次に見るのは「落ちた偶像」か,それとも別の映画か?(笑)。

2019年3月25日 (月)

休み中に見た映画:「キャプテン・マーベル」はまさにマンガの世界であった。

Captain-marvel_1「キャプテン・マーベル(”Captain Marvel")」('19,米,Marvel Studios)

監督:Anna Boden, Ryan Fleck

出演:Brie Larson, Samuel L. Jackson, Jude Law, Ben Mendelsohn, Annette Benning, Lashana Lynch

休暇中の映画館通いで,昨日取り上げた「ブラック・クランズマン」の前にはしごの1本目で見たのがこの映画である。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でも次作での登場が示唆されていた,キャプテン・マーベルの誕生を描く前日譚であるが,Marvelの映画の中でも,マンガ度が高いと思ったのは私だけではあるまい。

描かれる時代は1995年のはずだが,その時代に合わせて,アベンジャーズ・シリーズに登場するSamuel L. JacksonやClark GreggがCGで若作りされて姿で登場するのには笑ってしまうが,技術の進歩は凄いねぇとも思わざるをえない。しかし,CG偏重は特殊メイク等の技術を衰退させるのではないかと考えると,複雑な心境ではあるが...。

Marvelの映画は,コミックスが原作なのだから,そもそもマンガ的であることは当たり前なのだが,今まで見たどのMarvelの映画よりもマンガ的な表現を感じるのは私だけだろうか?誰が敵で,誰が味方かわからないようなところはまぁいいとしても,Brie Larsonが突如キャプテン・マーベルとして覚醒してからはアホみたいに強いキャラになってしまうのにはとにもかくにも笑える。逆に言えば,強過ぎである。ここまで強いと,「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」でも相当に重要な役割を担っちゃうよねぇって感じなのだ。

まぁ,こういう映画に小難しいことを言っても仕方ないってのはあるが,目くるめくような映像には感心しながらも,このストーリーはなぁ...と感じていた私であった。面白く見られることは否定しないが,このストーリー展開は結構無理があるんじゃないのって思いは否定できず,これはおそらく2時間で描くにはプロットが多過ぎたってところが否めない。だからと言って2部作にするのも何だかなぁってのもあるし,「アベンジャーズ」への登場で,そのバランスを取るって算段に思えてしまった。ってことで,星★★★ぐらいてっところか。いずれにしてもこの後に見た「ブラック・クランズマン」の方が圧倒的に面白かった。

まぁ,この「強過ぎる」キャプテン・マーベルについては「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」でどういう活躍を見せるかに期待しよう。

2019年3月24日 (日)

休み中に見た映画:「ブラック・クランズマン」は痛快にして,考えさせられ,そして最高に面白い映画であった。

Blackkklansman「ブラック・クランズマン("BlackkKlansman”)」('18,米,Universal)

監督:Spike Lee

出演:John David Washington, Adam Driver, Laura Harrier, Ryan Eggold, Topher Grace, Harry Belafonte, Alec Baldwin

リフレッシュ休暇を使って,結局劇場で4本映画を見たが,これは休暇最終日(平日)にはしごして見た2本のうちの1本。もう1本は「キャプテン・マーベル」なのだが,この「ブラック・クランズマン」があまりに面白かったので,こっちから記事を書くことにしたい。

この映画はエンタテインメント性の高い映画である一方,監督Spike Leeの米国の分断を生み出すドナルド・トランプに対する怒りが打ち出されていて,私のようなリベラルな人間にとっては,実に痛快である一方,強烈な批評性が感じられて極めて楽しめる一編となった。

そもそも,これが実話に基づくというのはもの凄い事実であるが,それを背景としながら,多民族国家としての米国における白人至上主義を打ち出すKKK(Ku Klux Klan)とトランプなんて同質だっていう強烈な皮肉を打ち出している。だからこそ,映画の中でやたらにKKKのメンバーに"America First!"と連呼させているが,こうした部分にリベラルなアメリカ映画人の矜持と政治に対するポジショニングの自由度を感じていたのは私だけではあるまい。そして,映画の最後にはヴァージニア州シャーロッツビルにおける対立が描かれているが,そこで発生した事件には心の痛みを感じない人間はいないだろうと言いたくなる。

その一方で,Spike Leeはこの映画が描かれた当時の黒人の動向を全面的に肯定しているわけではないところには,バランス感覚も感じる訳だが,それでも映画冒頭に"Saturday Night Live"において,トランプをいつもおちょくっているAlec Baldwinを,白人至上主義を煽るアホな学者(?)役で登場させるところが,また皮肉っぽくて笑える。

今年,私が見た映画は相応に面白いものが多いと思っているが,その中でもこの映画はダントツに面白くて,私としては全面的に支持したくなる。喜んで星★★★★★としてしまおう。甚だ気が早いが,私にとって,今年の最高の映画はこれで決まったようなものである。いやいや,マジで最高であった。

2019年3月23日 (土)

出張中に見た映画:真面目に撮られた「ファースト・マン」

First-man「ファースト・マン("Fitst Man")」(’18,米/日,Universal)

監督:Damien Chazelle

出演: Ryan Gosling,Claire Foy,Jason Clarke,Kyle Chandler

先日のタイ~シンガポール出張の復路の夜行便で,眠い目をこすりながら見たのがこの映画である。監督のDamien Chazelleは「セッション」で注目され,「ラ・ラ・ランド」でオスカーの監督賞を獲得して完全ブレイクし,そして今回はこのNeil Armstrongによる月面着陸という実話の映画化で,キャリアの積み上げが著しい。まだ30代半ばというのに大したものである。

そして,今回の作品は実話に基づいて,かなり真面目に撮られていて,実にしっかりした作品であった。逆に言えば,心に余裕を与えてくれない部分もあり,機内エンタテインメントとは言え,気楽に見られるって感じでもなかったが,いずれにしてもちゃんとした映画なのだ。冒頭にはChuck Yeagerを演じる役者が教官みたいな役回りで登場するところに,「ライト・スタッフ」世代の私は嬉しくなってしまう。

今年は人類初の月面着陸から50年ということになり,月日の経つのは早いと思う。70年の大阪万博で,アメリカ館の「月の石」を見るのも大変だったなぁなんて感慨にふけるところに,自分の年齢も感じざるを得ない。しかし,ここでRyan Goslingが演じたNeil Armstrong船長の「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」というセリフが,この映画でも出てくるに至って,改めていいこと言うねぇなんて思っていた私である。

ちょっと真面目に撮られ過ぎていて,遊びがもう少しあってもいいかなぁと思えるが,それでもこれはこれで十分に見ごたえのある映画であったと思う。睡魔と戦いながらというコンディションでなければもっとよかったかもしれないが(苦笑)。星★★★★。

ところでだが,この映画,米/日の合作となっているが,電通とフジテレビの資本が参加しているようだ。彼らとしてはもっとエンタテインメント性を高めることを期待したのかもしれないが,興収面からはどうだったのかねぇ。まぁ,どうでもいいけど。

2019年3月21日 (木)

Clint Eastwoodの「運び屋」,今回もいい仕事であった。

The-mule_1「運び屋("The Mule")」('18,米,Warner Brothers)

監督:Clint Eastwood

出演:Clint Eastwood, Bradley Cooper, Lawrence Fishburne, Dianne Wiest, Alison Eastwood

今や巨匠の地位を欲しいままにした感のあるClint Eastwoodであるが,自身の監督作に出演するのは「グランド・トリノ」以来のはずである。「グランド・トリノ」にも心底感心させられた私であったが,Eastwoodが出演していようがいまいが,彼の映画は非常に信頼できる。「15時17分,パリ行き」はさすがにあまり感心できなかったが,「アメリカン・スナイパー」にしろ,「ハドソン川の奇跡」にしろ,本当に素晴らしい映画が多い。

そんなClint Eastwoodが俳優として出演するのも「人生の特等席」以来だが,今回は年老いた運び屋を自ら演じたこの映画でも,やっぱり私は痺れてしまった。ストーリーとしては正直起伏は激しくないのだが,そこに家族の逸話を交えるところもうまいねぇ。特に奥さんを演じるDianne Wiest,元から凄い役者であるが,本当に演技がうまいと思わせる。まぁ,これも実話にインスパイアされたものではあるが,ストーリーはフィクションらしい。しかし,こういうこともあるんだろうと思わせるに十分。いずれにしても,Clint Eastwoodが枯れた味わいを示しながら,James Stewartに似ているってセリフが確か2回出てくるところから,老境のEastwoodはJames Stewartを意識しているのかなぁなんて思ってしまった。

とにかく,今回も実によく出来た映画だと思わせてくれたClint Eastwood,さすがである。星★★★★☆。

2019年3月18日 (月)

出張中に見た映画: タイへの移動中に見た「グリーン・ブック」は実にいい映画であった。

「グリーン・ブック(”Green Book”)」(‘18, 米, Dreamworks)Bced404f186348ea9d6b066873bf310d

監督: Peter Farrelley

出演: Vigo Mortensen, Mahershala Ali, Linda Cardelini

今回の出張の往路で見たのが,先日のオスカーで3部門を受賞したこの映画である。劇場で見てもよかったのだが,機内エンタテインメントで見られるなら見ない手はない。

この映画を見ていて思ったのは純粋に「いい映画」ってことである。アメリカという国には厳然たる人種差別という負の歴史がある訳だが,それをシリアスに描くこともできれば,この映画のようにあまり重々しくなることなく描くこともできる。

まぁ,昔の南部なんてこんなもんだったんだろうなぁと思わせつつ,それはそれとして描いてしまうところが実にリベラルな感じがする。ある意味,アカデミー好みとも言える訳で,作品賞の本命不在と言われた今年のオスカーで,本作が作品賞のウィナーとなったのはうなずけない話ではない。メディアの予想では「ローマ」優勢って話もあったが,あっちには外国語映画賞,監督賞等を与えてバランスを取ったって気がする。

それはさておきである。この映画に対する批判が,多少の事実との相違向けられているが,映画なんてフィクションの要素があって当たり前で,そんなことを言ったら「ボヘミアン・ラプソディ」のライブ・エイドのシーンが実際と違うと批判するのと同じぐらいつまらない。純粋にストーリーとして楽しめばいいのである。そもそも”Inspired by a True Friendship”とポスターにも書いてある。あくまでも“Inspired”なのだと理解して見るべきなのだ。

そしてこの映画を見るとこれが実にいい映画である。笑いもありつつ,ほろっとさせてくれるところもあり,実に後味のいい映画であった。今回,Don Shierleyを演じたMahershala Aliは「ムーンライト」に続いてのオスカーとなったが,「ムーンライト」が短い出番で強いインパクトを残したのに対し,これはほぼ主演といっても良い役回りであった。何れにしても変幻自在の演技力と言って間違いなく,オスカーに値する見事な演じっぷりであった。

もし本作がオスカーを取っていなければ,日本ではヒットすることは期待できなかったであろうが,こういう映画が多くの人の目に触れる機会が増えたのは実にいいことであった。機内エンタテインメントを見ていて実に得した気分にさせてもらった作品。星★★★★☆。

2019年3月 7日 (木)

休暇中に見た映画:「女王陛下のお気に入り」。

「女王陛下のお気に入り("The Favourite")」('18,アイルランド/米/英,Fox Searchlight)

The_favourite 監督:Yorgos Lanthimos

出演:Olivia Colman, Emma Stone, Rachel Weisz, Nicholas Hoult, James Smith

今年,私はリフレッシュ休暇の対象となっており,本来であれば,5営業日連続で休みを取ることになっているのだが,スケジュール的に無理があり,1日ずつ取るような形になってしまった。そうは言っても,休みは休みなので,映画でも見るかってことで,観に行ったのがこの映画であった。

今年のオスカーの主演女優賞はGlenn Closeが本命と言われていたし,確かに「天才作家の妻 40年目の真実」における彼女の演技は優れたものであったことは事実である。その下馬評をひっくり返したのが,本作におけるOlivia Colmanだったのだが,私がこの映画をチョイスしたのは,その演技を見てみたいと思ったからにほかならない。そして,製作は昨今,オスカーの獲得率が高いFox Searchlightであるから,更に注目度が高まる。

舞台は18世紀,アン女王時代の英国であり,時代背景は事実に即しているが,Rachel Weiszが演じたSaraも,Emma Stoneが演じたAbigailも実在の人物である。しかし,ここでのストーリーが本当だとしたら,実にえげつないと思いつつ,こうしたコスチューム・プレイは実に面白く,ストーリーラインは英国版「大奥」みたいな感じである(笑)。そうした中でOlivia Colmanが演じるQueen Anneはやはり強烈な演技であり,これならオスカーの主演女優賞を受賞したことも肯かせる演じっぷりであった。

そして,彼女を囲むEmma StoneもRachel Weiszもこれまた強烈。二人揃って,オスカーの助演女優賞候補となったこともわかるって感じだが,どちらかと言えば,Emma Stoneが放送禁止用語も連発して,実にエグい。彼女って何でもできるねぇって感じである。Rachel Weiszも実に嫌らしい感じを出していて,ある意味では,3人そろって主演だろうって気もする。

ラスト・シーンはウサギをどう解釈するかにもよるが,わかったようでわからない気がする。しかし,これは映画的にもよく出来ていて,実に楽しめる。この映画をコメディと評することもあるようだが,私にとっては全くコメディでも何でもない極めてまじめに作られた映画だと思えた。これをコメディと考えるならば,相当ブラックだよねぇ。星★★★★☆

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