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カテゴリー「ポップス」の記事

2018年10月29日 (月)

Simply Red: これまた懐かしいねぇ。

"A New Flame" Simply Red (Elektra)

_20181023_2このピンクを基調としたジャケは懐かしい。このアルバムがリリースされて,もはや30年近くなっているのだから,私もノスタルジーをくすぐられるのも仕方ない年齢になったってことである。本作については,私が在米中に,盛んに"If You Don't Know Me by Now"がエアプレイされていて,おぉっ,いい曲だと思っていたのも懐かしい。その"If You Don't Know Me by Now"はTeddy PendergrassがいたHarold Melvin and the Blue Notesがオリジナルだが,曲の持つ力は大きいなぁと思わせるに十分である。

Simply Red,誰がどう聞いてもBlue-eyed Soulである。黒人音楽にあこがれる白人がソウルを歌うとこうなるって感じだが,やっぱり軽いよねぇっていう感じはぬぐえない。この曲と,冒頭の"It's Only Love"(オリジナルはBarry White!)以外は,Mick Hucknallが曲作りに関わっているが,それっぽい雰囲気はちゃんと生み出しているが,黒人のグルーブとは違いが感じられるのは仕方ないところ。それでも,なかなかいい曲を書くと思わせる。

アルバムの最後に収められた"Enough"はなんとMick HucknallとJoe Sampleとの共作である。これって意外な感じがするものの,後年のアルバム"Home"でも"Something for You"と言う曲を共作しているから,何らかの縁があったってことだろう。そして,このアルバムでも2曲はLamont Dozierとの共作ってことなので,かなり念が入っている。強烈なシンパシー,あるいはリスペクトって感じだろう。

今聞いても,なかなかよく出来たアルバムだと思うが,先述の通り,軽いって感じはあるし,黒人だったらもっとねっとりした表現をするだろうなぁと思ってしまうのはまぁ仕方ないところである。まぁ,それでも結構曲は粒ぞろいだし,私としては結構好きなアルバムである。私は彼らのアルバムは本作と,次作"Stars"ぐらいしか保有していないが,この辺りが彼らのポピュラリティとしても絶頂期だったのだろうなぁと思う。今回,久しぶりに聞いてみて,何となくCulture Clubのデビュー・アルバム"Kissing to Be Clever"みたいだなぁと思った瞬間があったのは面白かった。つまりCulture Clubも元はBlue-eyed Soulだったてことだ。

そんな思いを抱えつつ,懐かしさも手伝って星★★★★。

Personnel: Mick Hucknall(vo), Fritz McIntyre(key, vo), Tim Kellett(tp, key), Chris Joyce(ds), Tony Bowers(b), Heitor T.P.(g), Ian Kirkham(sax), Lenny Castro(perc), Stephnie Spruell(vo)

2018年10月28日 (日)

保有していることすら忘れていたWilson Phillipsのアルバム。

"Dedicated" Wilson Phillips(Sony)

_20181023_2CDラックを漁っていて,なんだこれ?って思うことはあまりないのだが,このアルバムは保有していたことすら全く忘れていたアルバム。リリースされたのは2012年だからそんな前ではないのだが,どうしても思い出せない。聞いた記憶もあまりない(爆)。

そんな本作だが,企画アルバムである。彼女たちの親ゆかりの曲を歌う。つまりMamas & Papas,Beach Boysの曲を歌ってしまうという作品である。まぁ,"Dedicated"ってタイトル通りの作品ということもできる訳だが,安易と言えば安易この上ない。だからついつい斜に構えて聞いてしまうのだが,それだったら,買わなきゃいいじゃん!と言われれば返す言葉なしである。

まぁ曲についてはクォリティには全然心配ないのは当たり前だが,それをどう料理するのかというところにカヴァー・アルバムの価値が出るのだが,一聴して普通だなぁと思わせる。コーラス・ワークは彼女たちらしいが,これって親の七光りだろうって思われても仕方ないぐらい平凡な出来なのが気に入らない。曲の力が強さゆえの部分があるのはわかるが,チャレンジする気概が感じられず,一丁上がり的な出来と思えてしまうのが残念。彼女たちの復活作"California"もカヴァー・アルバムだったが,あっちの方がはるかに楽しめたと思うのは私だけか?あっちはやはりPeter Asherという名プロデューサーを得たのが大きかったと思わざるをえない。曲のよさに免じて星★★☆とするが,これははっきり言って失敗作。

Personnel: Wison Phillps(Carnie Wilson, Wendy Wilson and Chynna Phillips: vo), David Levita(g), Zac Rae(key), Simon Smith(b), Blair Sinta(ds, perc), Rob Bonfglio(g, synth, perc, vo)

2018年10月21日 (日)

聞いていて嬉しくなってしまうPedro AznarとDavid Lebonのデュオ作。

"Teatro ND Ateneo Marzo 2007 Vol.1" Aznar Lebón (Tabitz)

_20181019_2歌手としてのPedro Aznarはあの声の魅力が何よりだと思う。このアルバムはDavid Lebónとのコンビで残したライブ盤だが,キーボードを加えた小規模な編成で,彼らのヴォーカルが聞けるのは何とも嬉しいものである。

Pedor AznarはPat Metheny Groupでの活動でもよく知られているが,ここで相方を務めるDavid Lebónはよく知らないので,調べてみると,Pedro Aznarと同じくアルゼンチン出身のマルチ奏者,歌手ということである。ギターを主楽器にしていて,ここでの演奏もいいソロが並んでいて侮れないと思わせる。彼の声がAznarと重なると,これが実に心地よく,響きとしてはAORと言ってもよいような曲が並んでいてカテゴリーが難しいが,アルゼンチンを代表するミュージシャンの共演という気がする。

私がこのアルバムを購入した動機は間違いなく,Pedro Aznarだったとは思うが,予想を越える良さだったという気がする。並んでいる曲は彼らのオリジナルで,知っている人は知っているのだろうが,私にとっては新鮮な曲ばかりである。いずれにしても,このアルバムは彼らの声にまいるというのが,正直なところ。リリースから10年以上経過しているが,私がこれを聞くのも実に久しぶりのことであった。そのうち,Vol.2も聞くことにしよう。星★★★★。

Recorded Live at Teatro ND Ateneo in March, 2007

Personnel: Pedro Aznar(vo, g, b, p), David Lebón(vo, g, hca), Andres Beeuwaert(key, vo)

2018年10月16日 (火)

Dionne Warwickのデュエット集だが,さすがにこれは安直過ぎたねぇ。

"My Friends & Me" Dionne Warwick(Concord)

_20181013_3Dionne Warwick,誰も彼女が素晴らしいヴォーカリストであることに異論はないだろう。彼女が歌ったBacharach~Davidのコンビの名曲の数々は,時が過ぎようと,その輝きが失せることはないと言いたい。

Dionne Warwickのような往年の名歌手たちが,いろいろな人とデュエット・アルバムを作るって言うのは,Frank Sinatoraがまずやったように思うが,その後も同じような企画が見受けられる。そうした中で,このDionne Warwickのアルバムは,女性ヴォーカリストだけとデュエットしたという点がちょっと新しいと言えば新しいかもしれないが,正直言ってあまり感心ができない出来に留まっているのは残念である。

曲は,彼女のオールタイム・ベストみたいな選曲であり,その魅力は不滅のはずなのだが,どうも盛り上がらない。驚きがないというのが一番の問題で,特に私にとってこのアルバムが魅力的に響かないのは,打ち込みを多用したバッキングにあるように思える。Dionne Warwickの歌う曲は,誤解を恐れずに言うならば「昭和歌謡」みたいなものなのだ。「昭和歌謡」には「昭和歌謡」としての魅力がある訳で,それを打ち込みで現代的にアレンジするのは絶対ないとは言わないが,アルバム全編でそれをやれば,やはり違和感があるはずだ。このアルバムのおかした愚はそういうところにあると思える。

もちろん,曲はいいものばかりだから,それなりには楽しめるってところもあるのだが,印象は決してよくない。ベテラン勢と若い世代を混在させようとしたところにも,無理を感じてしまうのである。例えば,Lisa Tuckerってのは"American Idol"のファイナリストらしいが,こういう人を敢えて入れるというところは,後進の育成って感じではいいとしても,プロダクションとしてのあざとさを感じさせるのだ。新人ちゃんたちは,Dionneとデュエットできるだけで舞い上がるのかもしれないが,こっちはどんどん冷めていくってところか。どうせなら,最後の最後でCelia Cruzと"Do You Know the Way to San Jose"をやったように,サルサに仕立てる方が潔いし,ずっと楽しいと思うのだが。

ということで,久しぶりに聞いたこのアルバムだが,ケチばかりつけたくなるような作品であった。まじでつまらん。曲に免じて星★★。これは売りだな(爆)。

Personnel: Dionne Warwick(vo), Gloria Estefan(vo), Cindi Lauper(vo), Mya(vo), Gladys Knight(vo), Kelis(vo), Reba McEntire(vo), Wynonna Judd(vo), Lisa Tucker(vo), Olivia Newton John(vo), Cheyenne Elliott(vo), Angie Stone(vo), Chante Moore(vo), Deborah Cox(vo), Da Brat(vo), Celia Cruz(vo), Grecco Burratto(g), Teddy Harmon(b, key, prog), Damon Elliott(key, ds, prog)

2018年10月14日 (日)

今更ながら超豪華な作りに驚くLinda Ronstadtの”Cry Like a Rainstorm, Howl Like the Wind"

"Cry Like a Rainstrom, Howl Like the Wind" Rinda Ronstadt Featuring Aaron Neville(Elektra)

_20181013今から30年近く前にリリースされたアルバムである。私の記憶に間違いがなければ,私は本作がリリースされてすぐに入手しているはずだ。Aaron Neveilleとのデュエット曲も収められていて,前々からいいアルバムだとは思っていたが,ここ数年はトレイに乗せる機会もなかったので,改めて聞いてみた。

そして驚かされるのが,その豪華な作りである。ほとんどの曲に,映画音楽等でもおなじみのSkywalker Symphony Orchestraがフル・オケで伴奏をつけているのだ。更にはゴスペル・コーラスは80人近い陣容を揃えているのだ。これを「無茶苦茶豪華な作り」と言わずして何と言う,と思いたくなるほどゴージャスな作りである。これはより多くのオーディエンスに訴求することを目的としたアルバムであり,製作費が掛かっても,300万枚以上米国で売れれば,完全に元を取っているという作品である。プロデューサーのPeter Asherのビジネス・センス恐るべしというところだろうか。

タイトル・トラックはEric Justin Kazが残した名曲だが,オリジナルとは全然雰囲気が違うが,こういうのもありだと思わせる。それ以外の曲も,Jimmy Webb,Barry Mann,Karla Bonoff,そしてPaul Carrackといい曲を揃えてくるねぇと思わせる。 "Trouble Again"みたいなKarla Bonoffの曲とのフィット感なんてたまりませんなぁ。そうした中で異色と言えるのはIssac Hayesの"When Something Is Wrong with My Baby"だ。これはAaron Neveilleに花を持たせるための選曲って気もするが,ほかの曲に全く違和感なく混じっているのは結構凄いことのように思える。

まぁ,ある意味バブリーな作りって気がしないでもないが,それでもこの選曲眼,この歌唱力は認めざるをえないと思える佳作。星★★★★。このジャケにはちょいと引くが,やっぱりLinda,歌うまいわ。

Personnel: Linda Ronstadt(vo), Aaron Neville(vo), Jimmy Webb(p), Don Grolnick(p), Robbie Buchanan(org, key), William Smith(org, key), Dean Parks(g), Michael Landau(g), Andrew Gold(g), Lee Sklar(b), David Hungate(b), Carlos Vega(ds), Russ Kunkel(ds), Mike Fisher(perc), Peter Asher(perc), Rosemary Butler(vo), Arnold McCuller(vo), Jon Joyce(vo), Brian Wilson(vo) with Skywalker Symphony Orchestra, Oakland Interfaith Gospel Choir and Tower of Power Horn Section

2018年6月23日 (土)

数々のピアノ曲とSufjan Stevensのオリジナルにしびれる「君の名前で僕を呼んで」のサントラ。

"Call Me by Your Name:Original Motion Picture Soundtrack" Various Artists (Madison Gate)

_20180623以前映画に関する記事もアップした「君の名前で僕を呼んで」(記事はこちら)のサントラである。そこには私は「本作は音楽が素晴らしく,久しぶりにサントラ盤が欲しくなってしまうものであった」と書いたが,有言実行である。

まず,この映画を見ていて,そう思ったのは,映画で流れるピアノ曲の美しさであった。特に冒頭に流れるJohn Adamsの"Hallelujah Junction"に痺れてしまって,サントラが欲しいと思ったのだが,そのほかにも坂本龍一の曲も非常にいい感じであった。だが,この本当にこのサントラを欲しいと思わせたのは,Sufjan Stevensがこの映画のために書き下ろした曲の素晴らしさであったと言っても過言ではない。この映画のためにSufjan Stevensが書いたのは"Mystery of Love"と"Visions of Gideon"の2曲だが,これが本当にいい曲なのだ。更に旧作"The Age of Adz"に収録されていた"Futile Devices"のリミックス・ヴァージョンであるが,こんなにいい曲だったか?と思わせるに十分である。

それ以外は映画の時代背景を反映したディスコ調の曲であるが,それらはさておき,私にとってはピアノ曲とSufjan Stevensがあればこのアルバムは成立である。映画と音楽が一体化した優れた事例である。とにかくここでのSufjan Stevensのオリジナルを聞いて頂ければ,わかってもらえると思う。星★★★★☆。せっかくなので,Sufjan Stevensによる書下ろし2曲を貼り付けておこう。 

2018年3月19日 (月)

Tracey Thornの新作は驚きのシンセ・ポップ。

"Record" Tracey Thorn(Unmade Road)

_20180318Tracey Thornの新作がリリースされた。オリジナルとしては"Love and Its Opposite"以来8年ぶりということだが,その間にホリデイ・アルバム"Tinsel And Lights"やEP"Songs from the Falling"もあったので,それほどの久しぶり感はない。しかし,ここで展開されている音楽には驚かされた。まさにこれこそTracey Thornの声でシンセ・ポップって感じなのである。

Tracey Thornの声は,加齢ゆえなのかもしれないが,これまで以上に低くなっているように感じる。その魅力は不変ではあるが,これまでの彼女,あるいはEverthing but the Girlでの音楽を知る人間にとっては,ここでの音楽については違和感をおぼえても仕方がないものかもしれない。だが,純粋に音楽として聴いてみると,これが非常に優れたアルバムなのである。

そもそもここでプロデュースをしているEwan Pearsonという人は,ダンス・ミュージック系の音楽で知られている人だそうである。よくよく見れば,Tracey Thornの2007年のアルバム,"Out of Woods"のプロデューサーでもあるが,それに関しては私は「打ち込みを基調とした最小限の伴奏に,Traceyのボーカルが乗る」と書いている(記事はこちら)から,その頃からこのアルバムへの道筋はあったのかもしれない。

演奏はシンセ・ポップのようではあるが,ここで強調したいのは曲のよさである。EBTGのように響く"Babies"のような曲もあれば,Corrine Bailey Raeを迎えた"Sister"はマイナー・キーのメロディ・ラインが印象的な曲もあり,非常にクォリティが高い。こういう感覚は私にとってはYazooに感じたものと同質である。これは驚いたとともに,今後のTracey Thornの活動にも更なる期待を寄せたくなる一枚である。甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。それにしても"Record"ってタイトルは凄いねぇ(笑)。

Personnel: Tracey Thorn(vo, g, p, synth), Ewan Pearson(synth, prog), John Opstad(synth), Shura(g), Juno Ma(g, synth), Jenny Lee Lindberg(b), Stella Mozgawa(ds), Martin Ditcham(perc), Clare Wheeler(vln), Juno-60(vo), Corrine Bailey Rae(vo)

2018年2月 8日 (木)

久々に聞いたGöran Söllscherが弾くBeatles曲集

"Here, There and Everywhere: Göran Söllscher Plays the Beatles"(Deutsche Grammophon)

Sollscher私はGöran Söllscherが弾くバッハの曲集を昔から愛聴しているのだが,そのGöran Söllscher が突然Beatles曲集を出すというのを知った時には驚いたものである。だが,Beatlesの曲の普遍性は,クラシック・ギター1本で演奏しても十分に表現可能であることは,ここでも明らかになっている。

ここでは,Göran Söllscher本人が6曲編曲するほか,武満徹が4曲,竹内永和が1曲,そしてBörje Sandquistが6曲のアレンジを施しているが,どれも楽しめる。その一方で,贔屓目もあるかもしれないが,武満徹がBeatlesの音楽の魅力を最もストレートに伝えているように思える。逆に言えば,Börje Sandquistの"Yellow Submarine"のような曲は,面白いのは事実なのだが,やや策に溺れた感がないわけでもない。

だが,しっかりと鑑賞するもよし,BGMとして流すもよしという点では,これはいいアルバムだと思うし,BGMとして流れていたとしても,ついつい耳をそばだててしまうだろうなぁと思える作品である。星★★★★。

尚,Göran Söllscherは4曲で11弦ギターを弾いているが,武満が編曲の4曲を含めたほかの曲については通常の6弦ギターなので,老後の楽しみに,私のクラシック・ギターでも演奏に取り組んでみようかなぁとさえ思わせてくれる。まぁ,いつになるかはわからんが(苦笑)。

Recorded in November 1994

Personnel: Göran Söllscher(g)

2018年1月18日 (木)

Art Garfunkelの"Watermark"に関する逸話。

"Watermark" Art Garfunkel(Columbia)

Watermark私はArt Garfunkelが結構好きだが,アルバム単位で言うと"Angel Claire"と"Scissors Cut"が好き過ぎて,ほかのアルバムはそれほどプレイバックする機会は少ないというのが実態。むしろほかのアルバムを聞くよりも,ベスト盤を聞いている方が多いかもしれない。

このアルバムに関しては基本的にArtieと相性のよいJimmy Webbの曲がほとんどを占めるということで,大いに期待できるものだったはずだが,曲のクォリティが思ったほど高くないのが意外というか,ちょいと痛い。まぁ,このアルバムにおいて,ひと際目立っているのはPaul SimonとJames Taylorと共演した"(What a) Wonderful World"ってことになるだろうが,Jimmy Webbの曲ではないので,ほかの曲と明らかにテイストが違う。また,この曲がオリジナル・プレスには入っていなかったというから驚きである。

そのオリジナル・プレスに入っていた曲が"Fingerpaint"という曲だが,これがYouTubeで聞いてみると地味。しかもオリジナルLPのB面の曲順は現在の並びと全然違っている。ということで,確かにセールス的には"(What a) Wonderful World"があるかないかで全然違うだろうなぁとは思わせる。こういうのはこのアルバムだけではなくて,"Scissors Cut"でも行われたが,"Scissors Cut"の曲変更は私は明らかに失敗で,オリジナルこそが"Scissors Cut"のあるべき姿と思っている。それに比べれば,まぁこっちはまだ許せると思うのは差し替えられた"Fingerpaint"が決定的な名曲,名演ではないということがある。まぁ,それでも貴重な音源であることは間違いなく,これが収録されているオリジナル盤はそう簡単には見つからないだろうから,ここにもYouTubeから音源を貼り付けておこう。

もう一つ,このアルバムには重要なポイントがある。このアルバムで私が一番いいと思っているのは"Mr. Shuck'n Jive"であるが,ここにPaul Desmondのアルト・サックスが入っていることは,長年のPaul Desmondファンの私としては見逃してはならない事実なのだ。なぜならば,これがPaul Desmondのラスト・レコーディングだからだが,まさに誰がどう聞いてもPaul Desmondと言うべきアルトが聞ける。しかもこういう泣ける曲での出番というのが素晴らしい。

アルバムとしては星★★★☆ぐらいでいいと思うが,いろいろな逸話が出てくるアルバムということになるなぁ。

Personnelは参加ミュージシャン多数なので省略するが,Jimmy Webbが全面的にキーボードを弾いていたり,ゲスト・ミュージシャンも多彩である。

2018年1月 3日 (水)

EBTGでくつろぐ。

"Worldwide" Everything but the Girl (Atlantic)

_20171230_2新年はくつろげる音楽を聞いて過ごしたいということで,今日選んだのはEverything but the Girlである。この"Worldwide"というアルバム,彼らのキャリアの中ではあまり目立たない一枚と言ってもよいかもしれないが,しみじみと聞かせるという点では,結構いいアルバムである。

比較的シンプルで抑制された伴奏の中で,Tracey ThornとBen Wattによって歌われる歌は,心に落ち着きをもたらしてくれるものである。中では"Twin Cities"のポップ度が群を抜いていていて,アルバムの中では若干浮いているような気もするが,これが実にいい曲なので許す(きっぱり)。

私はこの後に出た"Acoustic"というアルバムがかなり好き(記事はこちら)なので,それに比べるとプレイバック回数は少ないのだが,久しぶりに聞いてこの落ち着きに満ちた音楽はまさに「大人の音楽」だと思わせるに十分であった。それにしても本当にいい曲を書く人たちであるが,それを彼らの「声」で聞けることに,改めて幸福感をおぼえてしまった。

このアルバムが出て,もはや四半世紀を過ぎているが,その瑞々しさは不変であった。星★★★★。

Personnel: Tracey Thorn(vo), Ben Watt(vo, g, p, key, synth, prog), Greg Lester(g), Damon "The Doctor" Butcher(p), Peter Murray(org), Geoff Gescoyne(b), Steve Pearce(b), Ralph Salmins(ds, perc), Vinnie Colaiuta(ds), Martin Ditcham(perc), Dick Oatts(as, ss), Peter Whyman(ts), James McMillan(tp, fl-h)

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