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カテゴリー「ポップス」の記事

2019年1月18日 (金)

今日はFleetwood Macの全盛期のライブ盤でも...。

"Live" Fleetwood Mac (Warner Brothers)

_20190114_3私がFleetwood Macのアルバムを結構保有していることは,前にもこのブログに書いたことがある。70年代にLindsey BuckhinghamとStevie Nicksが加入して,一気にポップ度を増して人気がぐっと上がった訳だが,私は結構Bob Welch在籍時のアルバムも好きなのだ。そして,私がFleetwood Macで一番惹かれるのはChristine McVieの歌であり,私は彼女が聞きたくてFleetwood Macのアルバムを聞いていると言っては言い過ぎかもしれないが,彼女のスモーキーなヴォイスが好きなのだ。

そうは言っても,やはり彼らの人気のピークは70年代後半ということになり,このアルバムはそうした時期に行われた"Tusk"ツアーの模様を収めたライブ盤である。ライナーにはツアーで訪れた場所と,会場のキャパが書かれているが,米国においてはアリーナ級のヴェニューが多いのに対し,当時の日本は武道館はさておき,大阪,京都,岐阜,仙台でライブが行われているが,キャパは3,000人程度の会場が多く(って言うか,大阪にも武道館級の適当な会場がなかった。今なら大阪城ホール辺りか。),そういうところで見たかったよねぇと思ってしまう。まぁ,でもその頃の私はジャズに目覚めていた頃で,こういうポップな音への興味は薄れていた頃で,今にしてみれば,もったいないことをしたなぁって気がする。

それはさておき,この全盛期のライブ,いろいろなところでの演奏を収めているが,一部はサウンド・チェック時の音源であることがちゃんとライナーに書いてあるってのも珍しいなぁと思わせる。いずれにしても,彼らのヒット曲満載ではあるのだが,ライブとしての荒っぽさもあるところが評価の分かれ目だろうなぁ。コーラスなんて,結構クォリティの低いまま収録されているような曲もある感じがするし,Lindsey Buckhinghamの絶叫がうるさい"Not That Funny"のような曲を聞かされると冷める。会場では盛り上がるかもしれないが,鑑賞音楽としてはいけてないという典型がこの"Not That Funny"だ。こっちとしては「ちっともおかしくないわ!」と毒づきたくなる。そういう意味でライブ盤ってのは結構難しいと思わされてしまう。

同じラインアップによるライブ盤としては後の"The Dance"ってのがあるが,プロダクションとしては"The Dance"の方が上で,やっぱりこのライブは粗さが目立つ。まぁ,素の彼らのライブの雰囲気を味わうならこっちの方がいいのかもしれないが。まぁ,それでも人気バンドのライブだけに,そこそこ楽しめるとしても,これを聞くならスタジオ盤の方を聞くだろうなぁと思ってしまう私であった。星★★★。

Personnel: Stevie Nicks(vo), Christine McVie(vo, key),, Lindsey Buchingham(g, vo), John McVie(b), Mick Fleetwood(ds) with Ray Lindsey(g), Tony Todaro(key), Jeffery Sova(key)

2018年12月10日 (月)

またもユーミン。今日は「悲しいほどお天気」。

「悲しいほどお天気」 松任谷由実(東芝EMI)

_2018120812月に入り,新譜もそうは入ってこないってことで,なぜかユーミンをプレイバックする機会が増えているのは,単なる気まぐれなのだが,今日は「悲しいほどお天気」である。

このアルバムは結構地味な感じがするのだが,ユーミンのファンの中ではこのアルバムが結構好きな人がいるのではないか?ライブでも定番のように演奏されていた(と言っても,彼女のライブなんて何年も見たことはないので,現在はどうかは知る由もないが...)"DESTINY"のような人気曲もあるが,印象的な佳曲の多いアルバムだと思っている。そして,各々の曲に英語タイトルがついているのが面白いが,ちゃんと歌詞と連動したタイトルになっていて,なるほどねぇと思わせる。

  1. ジャコビニ彗星の夜(The Story of Giacobini's Comet)
  2. 影になって(We're All Free)
  3. 緑の町に舞い降りて(Ode of Morioka)
  4. DESTINY
  5. 丘の上の光(Silhouetts)
  6. 悲しいほどお天気(The Gallery in My Heart)
  7. 気ままな朝帰り(As I'm Alone)
  8. 水平線にグレナディン(Horizon & Grenadine)
  9. 78
  10. さまよいの果て波は寄せる(The Ocean And I)

冒頭の「ジャコビニ彗星の夜」からして,しっとりしたいい曲だが,2曲目の「影になって」なんて,メロウ・ソウルっぽいアレンジも決まっていて,心地よいのだ。そして爽やかな感覚の「緑の町に舞い降りて」の後に来る"DESTINY"の曲調は,ある意味このアルバムの中では浮いている。このディスコ的な感じを持つベース・ラインも現れるノリのよいバックの演奏に対して,歌われる歌詞の暗いことよ(笑)。だって,「冷たくされていつかは見返すつもりだった それからどこへ行くにも着かざってたのに どうしてなの 今日に限って やすいサンダルをはいてた」って凄い歌詞だよねぇ。このギャップが強烈なのだ。それに続く「丘の上の光」との曲調の落差も大きい。

LP時代ならばB面に移ってからの構成もA面と似ている感じがする。A面の"DESTINY"に相当するのが"78"ってことになるが,上田正樹がアレンジを担当したバックのコーラスが,ほかの曲との違いを際立たせている。タイトル・トラック「悲しいほどお天気」というしっとりした佳曲で始まり,「気ままな朝帰り」に聞かれる「家なんか出てしまおう」の部分のフレージングや歌いっぷりなんて,おぉっ,ユーミン的って思わせるのも微笑ましい。「水平線にグレナディン」なんて高水健司のベース・ソロが入るというのも珍しいが,「海を見ていた午後」を彷彿とさせる。そこへタロットをテーマにした"78"は"DESTINY"同様の異質感があるのだ。アルバムの構成にメリハリをつけるという点では,まさにメリハリがついているのだが,メリハリつき過ぎって感じもする。そして最後が「さまよいの果て波は寄せる」だもんなぁ。Eaglesの"Hotel Claifornia"で言えば,"Last Resort"的なエンディングって感じ。

これも実は久しぶりに聞いたのだが,それでもやっぱり好きだなぁ。

2018年12月 5日 (水)

久しぶりにユーミンでも。

"流線形 ’80" 松任谷由実(東芝EMI)

_20181204なぜか突然のユーミンである。このアルバムがリリースされたのは1978年。ってことはもう40年前になってしまうのかと感慨にふける私である。

私がユーミンの音楽に目覚めたのはかなり遅く,基本的には後追いである。どの辺りからリアルタイムで真っ当に聞き始めたかと言えば,多分"Pearl Pierce"だったろうか。あのアルバムはマジで好きだった。なので,このブログにも記事をアップしている(記事はこちら)。そして,彼女の最高傑作は"Misslim"と疑わない私である(記事はこちら)。それでもって今日は本作なのだが,40年前のアルバムにしては,全然古い感じがしないのは大したものである。そして,いい曲が揃っているわ。

このアルバムでは「埠頭を渡る風」が最大のヒット曲だろうが,「ロッヂで待つクリスマス」なんて改めて聞いてみるとマジで懐かしいだけでなく,実によく出来た曲である。"Corvett 1954"にゲストで出てくる来生たかおのヴォーカルもいいよねぇ。その後お,徐々にユーミンもバブル的な音楽になっていく中で,この辺りのアルバムの感覚ってのは懐かしくも,今でも甘酸っぱい感覚を思い出させる。

さすがにリリースから40年も経つと,特にホーン・セクションのアレンジとかにはいかにも昭和歌謡的なところを感じさせる部分もあるが,今となってはそれがまたいいのである。やっぱりこの頃のユーミンは魅力的であった。"Misslim"と"Pearl Pierce"を最高としたとしても,これは十分星★★★★☆にできるな。さて,次は何を聞くかなぁ(笑)。

2018年10月29日 (月)

Simply Red: これまた懐かしいねぇ。

"A New Flame" Simply Red (Elektra)

_20181023_2このピンクを基調としたジャケは懐かしい。このアルバムがリリースされて,もはや30年近くなっているのだから,私もノスタルジーをくすぐられるのも仕方ない年齢になったってことである。本作については,私が在米中に,盛んに"If You Don't Know Me by Now"がエアプレイされていて,おぉっ,いい曲だと思っていたのも懐かしい。その"If You Don't Know Me by Now"はTeddy PendergrassがいたHarold Melvin and the Blue Notesがオリジナルだが,曲の持つ力は大きいなぁと思わせるに十分である。

Simply Red,誰がどう聞いてもBlue-eyed Soulである。黒人音楽にあこがれる白人がソウルを歌うとこうなるって感じだが,やっぱり軽いよねぇっていう感じはぬぐえない。この曲と,冒頭の"It's Only Love"(オリジナルはBarry White!)以外は,Mick Hucknallが曲作りに関わっているが,それっぽい雰囲気はちゃんと生み出しているが,黒人のグルーブとは違いが感じられるのは仕方ないところ。それでも,なかなかいい曲を書くと思わせる。

アルバムの最後に収められた"Enough"はなんとMick HucknallとJoe Sampleとの共作である。これって意外な感じがするものの,後年のアルバム"Home"でも"Something for You"と言う曲を共作しているから,何らかの縁があったってことだろう。そして,このアルバムでも2曲はLamont Dozierとの共作ってことなので,かなり念が入っている。強烈なシンパシー,あるいはリスペクトって感じだろう。

今聞いても,なかなかよく出来たアルバムだと思うが,先述の通り,軽いって感じはあるし,黒人だったらもっとねっとりした表現をするだろうなぁと思ってしまうのはまぁ仕方ないところである。まぁ,それでも結構曲は粒ぞろいだし,私としては結構好きなアルバムである。私は彼らのアルバムは本作と,次作"Stars"ぐらいしか保有していないが,この辺りが彼らのポピュラリティとしても絶頂期だったのだろうなぁと思う。今回,久しぶりに聞いてみて,何となくCulture Clubのデビュー・アルバム"Kissing to Be Clever"みたいだなぁと思った瞬間があったのは面白かった。つまりCulture Clubも元はBlue-eyed Soulだったてことだ。

そんな思いを抱えつつ,懐かしさも手伝って星★★★★。

Personnel: Mick Hucknall(vo), Fritz McIntyre(key, vo), Tim Kellett(tp, key), Chris Joyce(ds), Tony Bowers(b), Heitor T.P.(g), Ian Kirkham(sax), Lenny Castro(perc), Stephnie Spruell(vo)

2018年10月28日 (日)

保有していることすら忘れていたWilson Phillipsのアルバム。

"Dedicated" Wilson Phillips(Sony)

_20181023_2CDラックを漁っていて,なんだこれ?って思うことはあまりないのだが,このアルバムは保有していたことすら全く忘れていたアルバム。リリースされたのは2012年だからそんな前ではないのだが,どうしても思い出せない。聞いた記憶もあまりない(爆)。

そんな本作だが,企画アルバムである。彼女たちの親ゆかりの曲を歌う。つまりMamas & Papas,Beach Boysの曲を歌ってしまうという作品である。まぁ,"Dedicated"ってタイトル通りの作品ということもできる訳だが,安易と言えば安易この上ない。だからついつい斜に構えて聞いてしまうのだが,それだったら,買わなきゃいいじゃん!と言われれば返す言葉なしである。

まぁ曲についてはクォリティには全然心配ないのは当たり前だが,それをどう料理するのかというところにカヴァー・アルバムの価値が出るのだが,一聴して普通だなぁと思わせる。コーラス・ワークは彼女たちらしいが,これって親の七光りだろうって思われても仕方ないぐらい平凡な出来なのが気に入らない。曲の力が強さゆえの部分があるのはわかるが,チャレンジする気概が感じられず,一丁上がり的な出来と思えてしまうのが残念。彼女たちの復活作"California"もカヴァー・アルバムだったが,あっちの方がはるかに楽しめたと思うのは私だけか?あっちはやはりPeter Asherという名プロデューサーを得たのが大きかったと思わざるをえない。曲のよさに免じて星★★☆とするが,これははっきり言って失敗作。

Personnel: Wison Phillps(Carnie Wilson, Wendy Wilson and Chynna Phillips: vo), David Levita(g), Zac Rae(key), Simon Smith(b), Blair Sinta(ds, perc), Rob Bonfglio(g, synth, perc, vo)

2018年10月21日 (日)

聞いていて嬉しくなってしまうPedro AznarとDavid Lebonのデュオ作。

"Teatro ND Ateneo Marzo 2007 Vol.1" Aznar Lebón (Tabitz)

_20181019_2歌手としてのPedro Aznarはあの声の魅力が何よりだと思う。このアルバムはDavid Lebónとのコンビで残したライブ盤だが,キーボードを加えた小規模な編成で,彼らのヴォーカルが聞けるのは何とも嬉しいものである。

Pedor AznarはPat Metheny Groupでの活動でもよく知られているが,ここで相方を務めるDavid Lebónはよく知らないので,調べてみると,Pedro Aznarと同じくアルゼンチン出身のマルチ奏者,歌手ということである。ギターを主楽器にしていて,ここでの演奏もいいソロが並んでいて侮れないと思わせる。彼の声がAznarと重なると,これが実に心地よく,響きとしてはAORと言ってもよいような曲が並んでいてカテゴリーが難しいが,アルゼンチンを代表するミュージシャンの共演という気がする。

私がこのアルバムを購入した動機は間違いなく,Pedro Aznarだったとは思うが,予想を越える良さだったという気がする。並んでいる曲は彼らのオリジナルで,知っている人は知っているのだろうが,私にとっては新鮮な曲ばかりである。いずれにしても,このアルバムは彼らの声にまいるというのが,正直なところ。リリースから10年以上経過しているが,私がこれを聞くのも実に久しぶりのことであった。そのうち,Vol.2も聞くことにしよう。星★★★★。

Recorded Live at Teatro ND Ateneo in March, 2007

Personnel: Pedro Aznar(vo, g, b, p), David Lebón(vo, g, hca), Andres Beeuwaert(key, vo)

2018年10月16日 (火)

Dionne Warwickのデュエット集だが,さすがにこれは安直過ぎたねぇ。

"My Friends & Me" Dionne Warwick(Concord)

_20181013_3Dionne Warwick,誰も彼女が素晴らしいヴォーカリストであることに異論はないだろう。彼女が歌ったBacharach~Davidのコンビの名曲の数々は,時が過ぎようと,その輝きが失せることはないと言いたい。

Dionne Warwickのような往年の名歌手たちが,いろいろな人とデュエット・アルバムを作るって言うのは,Frank Sinatoraがまずやったように思うが,その後も同じような企画が見受けられる。そうした中で,このDionne Warwickのアルバムは,女性ヴォーカリストだけとデュエットしたという点がちょっと新しいと言えば新しいかもしれないが,正直言ってあまり感心ができない出来に留まっているのは残念である。

曲は,彼女のオールタイム・ベストみたいな選曲であり,その魅力は不滅のはずなのだが,どうも盛り上がらない。驚きがないというのが一番の問題で,特に私にとってこのアルバムが魅力的に響かないのは,打ち込みを多用したバッキングにあるように思える。Dionne Warwickの歌う曲は,誤解を恐れずに言うならば「昭和歌謡」みたいなものなのだ。「昭和歌謡」には「昭和歌謡」としての魅力がある訳で,それを打ち込みで現代的にアレンジするのは絶対ないとは言わないが,アルバム全編でそれをやれば,やはり違和感があるはずだ。このアルバムのおかした愚はそういうところにあると思える。

もちろん,曲はいいものばかりだから,それなりには楽しめるってところもあるのだが,印象は決してよくない。ベテラン勢と若い世代を混在させようとしたところにも,無理を感じてしまうのである。例えば,Lisa Tuckerってのは"American Idol"のファイナリストらしいが,こういう人を敢えて入れるというところは,後進の育成って感じではいいとしても,プロダクションとしてのあざとさを感じさせるのだ。新人ちゃんたちは,Dionneとデュエットできるだけで舞い上がるのかもしれないが,こっちはどんどん冷めていくってところか。どうせなら,最後の最後でCelia Cruzと"Do You Know the Way to San Jose"をやったように,サルサに仕立てる方が潔いし,ずっと楽しいと思うのだが。

ということで,久しぶりに聞いたこのアルバムだが,ケチばかりつけたくなるような作品であった。まじでつまらん。曲に免じて星★★。これは売りだな(爆)。

Personnel: Dionne Warwick(vo), Gloria Estefan(vo), Cindi Lauper(vo), Mya(vo), Gladys Knight(vo), Kelis(vo), Reba McEntire(vo), Wynonna Judd(vo), Lisa Tucker(vo), Olivia Newton John(vo), Cheyenne Elliott(vo), Angie Stone(vo), Chante Moore(vo), Deborah Cox(vo), Da Brat(vo), Celia Cruz(vo), Grecco Burratto(g), Teddy Harmon(b, key, prog), Damon Elliott(key, ds, prog)

2018年10月14日 (日)

今更ながら超豪華な作りに驚くLinda Ronstadtの”Cry Like a Rainstorm, Howl Like the Wind"

"Cry Like a Rainstrom, Howl Like the Wind" Rinda Ronstadt Featuring Aaron Neville(Elektra)

_20181013今から30年近く前にリリースされたアルバムである。私の記憶に間違いがなければ,私は本作がリリースされてすぐに入手しているはずだ。Aaron Neveilleとのデュエット曲も収められていて,前々からいいアルバムだとは思っていたが,ここ数年はトレイに乗せる機会もなかったので,改めて聞いてみた。

そして驚かされるのが,その豪華な作りである。ほとんどの曲に,映画音楽等でもおなじみのSkywalker Symphony Orchestraがフル・オケで伴奏をつけているのだ。更にはゴスペル・コーラスは80人近い陣容を揃えているのだ。これを「無茶苦茶豪華な作り」と言わずして何と言う,と思いたくなるほどゴージャスな作りである。これはより多くのオーディエンスに訴求することを目的としたアルバムであり,製作費が掛かっても,300万枚以上米国で売れれば,完全に元を取っているという作品である。プロデューサーのPeter Asherのビジネス・センス恐るべしというところだろうか。

タイトル・トラックはEric Justin Kazが残した名曲だが,オリジナルとは全然雰囲気が違うが,こういうのもありだと思わせる。それ以外の曲も,Jimmy Webb,Barry Mann,Karla Bonoff,そしてPaul Carrackといい曲を揃えてくるねぇと思わせる。 "Trouble Again"みたいなKarla Bonoffの曲とのフィット感なんてたまりませんなぁ。そうした中で異色と言えるのはIssac Hayesの"When Something Is Wrong with My Baby"だ。これはAaron Neveilleに花を持たせるための選曲って気もするが,ほかの曲に全く違和感なく混じっているのは結構凄いことのように思える。

まぁ,ある意味バブリーな作りって気がしないでもないが,それでもこの選曲眼,この歌唱力は認めざるをえないと思える佳作。星★★★★。このジャケにはちょいと引くが,やっぱりLinda,歌うまいわ。

Personnel: Linda Ronstadt(vo), Aaron Neville(vo), Jimmy Webb(p), Don Grolnick(p), Robbie Buchanan(org, key), William Smith(org, key), Dean Parks(g), Michael Landau(g), Andrew Gold(g), Lee Sklar(b), David Hungate(b), Carlos Vega(ds), Russ Kunkel(ds), Mike Fisher(perc), Peter Asher(perc), Rosemary Butler(vo), Arnold McCuller(vo), Jon Joyce(vo), Brian Wilson(vo) with Skywalker Symphony Orchestra, Oakland Interfaith Gospel Choir and Tower of Power Horn Section

2018年6月23日 (土)

数々のピアノ曲とSufjan Stevensのオリジナルにしびれる「君の名前で僕を呼んで」のサントラ。

"Call Me by Your Name:Original Motion Picture Soundtrack" Various Artists (Madison Gate)

_20180623以前映画に関する記事もアップした「君の名前で僕を呼んで」(記事はこちら)のサントラである。そこには私は「本作は音楽が素晴らしく,久しぶりにサントラ盤が欲しくなってしまうものであった」と書いたが,有言実行である。

まず,この映画を見ていて,そう思ったのは,映画で流れるピアノ曲の美しさであった。特に冒頭に流れるJohn Adamsの"Hallelujah Junction"に痺れてしまって,サントラが欲しいと思ったのだが,そのほかにも坂本龍一の曲も非常にいい感じであった。だが,この本当にこのサントラを欲しいと思わせたのは,Sufjan Stevensがこの映画のために書き下ろした曲の素晴らしさであったと言っても過言ではない。この映画のためにSufjan Stevensが書いたのは"Mystery of Love"と"Visions of Gideon"の2曲だが,これが本当にいい曲なのだ。更に旧作"The Age of Adz"に収録されていた"Futile Devices"のリミックス・ヴァージョンであるが,こんなにいい曲だったか?と思わせるに十分である。

それ以外は映画の時代背景を反映したディスコ調の曲であるが,それらはさておき,私にとってはピアノ曲とSufjan Stevensがあればこのアルバムは成立である。映画と音楽が一体化した優れた事例である。とにかくここでのSufjan Stevensのオリジナルを聞いて頂ければ,わかってもらえると思う。星★★★★☆。せっかくなので,Sufjan Stevensによる書下ろし2曲を貼り付けておこう。 

2018年3月19日 (月)

Tracey Thornの新作は驚きのシンセ・ポップ。

"Record" Tracey Thorn(Unmade Road)

_20180318Tracey Thornの新作がリリースされた。オリジナルとしては"Love and Its Opposite"以来8年ぶりということだが,その間にホリデイ・アルバム"Tinsel And Lights"やEP"Songs from the Falling"もあったので,それほどの久しぶり感はない。しかし,ここで展開されている音楽には驚かされた。まさにこれこそTracey Thornの声でシンセ・ポップって感じなのである。

Tracey Thornの声は,加齢ゆえなのかもしれないが,これまで以上に低くなっているように感じる。その魅力は不変ではあるが,これまでの彼女,あるいはEverthing but the Girlでの音楽を知る人間にとっては,ここでの音楽については違和感をおぼえても仕方がないものかもしれない。だが,純粋に音楽として聴いてみると,これが非常に優れたアルバムなのである。

そもそもここでプロデュースをしているEwan Pearsonという人は,ダンス・ミュージック系の音楽で知られている人だそうである。よくよく見れば,Tracey Thornの2007年のアルバム,"Out of Woods"のプロデューサーでもあるが,それに関しては私は「打ち込みを基調とした最小限の伴奏に,Traceyのボーカルが乗る」と書いている(記事はこちら)から,その頃からこのアルバムへの道筋はあったのかもしれない。

演奏はシンセ・ポップのようではあるが,ここで強調したいのは曲のよさである。EBTGのように響く"Babies"のような曲もあれば,Corrine Bailey Raeを迎えた"Sister"はマイナー・キーのメロディ・ラインが印象的な曲もあり,非常にクォリティが高い。こういう感覚は私にとってはYazooに感じたものと同質である。これは驚いたとともに,今後のTracey Thornの活動にも更なる期待を寄せたくなる一枚である。甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。それにしても"Record"ってタイトルは凄いねぇ(笑)。

Personnel: Tracey Thorn(vo, g, p, synth), Ewan Pearson(synth, prog), John Opstad(synth), Shura(g), Juno Ma(g, synth), Jenny Lee Lindberg(b), Stella Mozgawa(ds), Martin Ditcham(perc), Clare Wheeler(vln), Juno-60(vo), Corrine Bailey Rae(vo)

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