カテゴリー「ポップス」の記事

2008年11月23日 (日)

最近巷で耳にする機会の多いBee Gees

Number_ones ゛Number Ones゛ Bee Gees(Polydor)

昨日無事アメリカ出張から帰国したのだが,行きの飛行機でも荷物のディレイに見舞われたことは既にこのブログにも書いた。1回だけならよくあることと,笑って済ませるが,驚いたことに帰国便でも荷物がディレイしていると成田の地上係員から話があった。シカゴのトランジットは2時間弱あったはずで,ラゲージの積み替えに支障があるとは思えないのだが,一体,シカゴの空港のオペレーションはどうなっているのか?いくら何でも往復で荷物がディレイするというのはあってはなるまい。全く困ったものである。私も出張回数は決して少ない方ではないと思うが,こんな目にあったのは初めてである。航空会社には苦言を呈さざるをえまい。

閑話休題。久々に音楽ネタである。最近,巷で何かとBee Geesの音楽を耳にするのはホンダのオデッセイのCMに゛Styin' Alive゛が使われているせいだと思うが,当初バージョンはイントロだけの使用で,George Clooneyも画面には登場していなかったと思うのだが,Clooneyが出ている現在のバージョンで,歌をかぶせるというのはなかなかうまいよなぁ。自動車の売上げが伸び悩む中,Bee Geesと同時代を過ごしたオジサンたちの購買意欲を刺激するところまではいかずとも,耳目は集めるだろう。

まぁ,Bee Geesと言えば懐かしい存在である。私は゛Saturday Night Fever"のサントラがメガヒットする前の゛Masssachusetts゛や「小さな恋のメロディ」における゛Melody Fair゛の方にむしろ思い入れがあるが,それでも゛Stayin' Alive゛等は当時,本当に集中的にエアプレイされていたから,やはり懐かしい曲ではある。

私が現在保有するBee Geesのアルバムはここに取り上げたベスト盤であるが,これとて,580円だか,780円という破格の安値でなければ買ったかどうか疑問はあるものの,久々に取り出して聞いてみるとやはり懐かしい。打からと言ってしょっちゅう聞きたくなるかというとそうでもないが,ナツメロは琴線を刺激するのだ。帰りの飛行機の中でも1960年代から80年代の歌謡曲のプログラムをずっと聞いていた私である。そういうのってあまりに懐かしくて思わずカラオケで歌いたくなってしまったではないか。Bee Geesの場合,彼らのハイトーンはとても真似できないから,まぁ聞くだけにしておこう。ディスコ調の曲もよいが,ミディアムあるいはスロー・チューンにも佳曲が多いと再認識させられた。星★★★★。

彼らはMaurice Gibbの死によってグループとしての活動には終止符を打ったわけだが,音楽はきっちり生き残るということを示した好例である。Gibb兄弟と言えば,末弟のAndy Gibbも゛Shadow Dancing゛等を大ヒットさせながら,88年に急逝をとげており,人の人生わからんものだと言わざるをえない。

Greatest 尚,蛇足であるが,今日紹介したアルバムは本年,若干曲を入れ替えて再発されているようである。そちらのジャケットはグレー基調らしい。また,昨年Rhinoレーベルから゛Greatest゛と題し2枚組ベストが発売されている(ジャケをアップしておく)が,収録曲数には大差がないので,私のような人間には1枚もので十分である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月27日 (月)

Burt Bacharachのライブは究極のイージーリスニング

Bacharach ゛Live at the Sydney Opera House" Burt Bacharach with the Sydney Symphony Orchesra (Verve)

今年2月に来日したBurt Bacharachのライブを見逃したことは,彼の年齢を考えれば再来日は難しいであろうから,私にとってはかなりの痛恨事であったが,そんな私の渇きを癒してくれるアルバムが登場した。ジャケには記載はないが,これは来日直前(のはず)のオーストラリア公演の模様を収めたライブ盤である。これが何とも緩やかに時間が流れていくかのような,究極のイージー・リスニング,あるいはヒーリング・ミュージックだと言ってもよい音楽である。

ここに収められているのはBurt Bacharachの代表的な曲ばかりである。それもメドレーで多数の曲が演奏されているが,上述のように本当にゆったりした気分でそうした曲を楽しむことができるのは,曲のテンポやリズムが決して激しいものにならないせいもあろう。そういう意味では刺激はゼロ(本当にゼロだ)なので,若い人たちにはこのゆるやかさには耐えられない部分もあるに違いない。しかし,私のような中年以上の人間にとっては,曲の懐かしさもあるが,このゆったり感こそが極上のリラクゼーションを提供してくれるものと言えよう。もちろん,私だって毎日この音楽を聞いていたいとは思わないが,ストレスがたまったときにはこういう音楽を聞いてリラックスすることもよきチェンジ・オブ・ペースになるに違いない。

私が知らないだけかもしれないが,参加しているミュージシャンに有名どころは見当たらない。しかしヴォーカリスト3人のうち,男性のJohn PaganoはまるでQuincy Jonesとやっていた頃のJames Ingramのような魅力的な声を聞かせていてうっとりさせられてしまった。この人,随分昔にソロ・アルバムも出しているようだが,決してメジャーな人ではないと思う。それでもこんなに魅力的な歌唱を聞かせるのだから,アメリカのポピュラー音楽界は人材が豊富である。

まぁ,最後に聴衆にまで歌わせる"Raindrops Keep Fallin' on My Head"等は明らかに鑑賞音楽としては蛇足だが,その場にいた人にとっては記憶に残るものとなろう。日本でも同じようなことをやっていたのかと気になるところだが,これはCDとしてはやり過ぎである。しかし,それでもBacharachの素晴らしい曲を楽しめ,行けなかった彼のライブを追体験できるアルバムとしては歓迎したい。いろいろケチの付けようはあるが,星★★★☆ぐらいにしておこう。

ところで,クレジットを見ていて気がついたのだが,このバンドにはギタリストがいない。なるほど。Bacharachのサウンド・カラーはギターを入れないことにも秘密があるのかもしれないと今更ながら思ってしまった。

Recorded Live at the Sydney Opera House, Australia on February 6, 2008

Personnel: Burt Bacharach(p, vo), David Coy(b), David Crigger(ds, perc), Bob Shrock(key), Dennis Wilson(reeds), Tom Ehlen(tp, fl-h), Josie James(vo), John Pagano(vo), Donna Taylor(vo) with the Sydney Symphony Orchestra

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月17日 (木)

Rickie Lee Jones:今聞いても素晴らしい"Pirates"

Pirates ゛Pirates゛ Rickie Lee Jones (Warner Brothers)

私はJoni Mithchellはじめ女性ボーカリストのアルバムを結構愛聴しているのだが,その中でもプレイバック回数が非常に多いアルバムの一つである。そもそもこのアルバム・カバー(Brassaiという人の作品だそうだ)からして素敵なこのアルバム,出てくる音もそれに輪を掛けて素敵である。

Rickie Lee Jonesがセルフ・タイトルのデビュー・アルバムを発表したのが1979年,それに続くこのアルバムが1981年で,私がアメリカン・ロック/SSW系の音にもはまり出した時期とも重なっている。もちろん,Norman Seeff撮影のポートレートもよかったデビュー・アルバムもいいのだが,このアルバムの持つクォリティの高さには一歩譲るような気がする。

そのクォリティの高さは冒頭の゛We Belong Together゛から顕著で,私はこの曲こそRickie Lee Jones最高の名作と今でも思っているぐらいである。イントロから何から何までが素晴らしい。また,タイトル・トラックのホーン・セクションなんてまるでSteely Danだが,Donald Fagenが参加しているからそれも当然と言えば当然だが,これまたSteely Danも好きな私にとってはたまらん。そのほかにもスタジオ・ライブ一発録りとは思えないような゛Living It Up"ほかの曲も含め,これはよい。

もちろん,Rickie Lee Jonesの声はかなり個性的でもあるため,実は好き嫌いも分かれるところだとは思うのだが,それでも本作を含めた初期2作品は普遍的な魅力を今でも持つ傑作と評価してよいと思う。これらの作品をプロデュースしたLenny WaronkerとRuss Titelmanはバーバンク・サウンドの元締めのような人たちであるが,私は彼らのプロデュース作はほぼ例外なく気に入ってしまうので,私の音楽的な嗜好とばっちり相性がいい人たちなのだろうと思わざるをえない。そんなことも含め,ジャケを含めたアルバムの持つ雰囲気,歌唱や演奏のクォリティを含め非常によくできたアルバムである。間違いなく星★★★★★。このアルバムを知らない人生は味気ない,と言っては言い過ぎだが,私には潤いをもたらす音楽だと言っておこう。

Personnel: Rickie Lee Jones(vo, key, synth), Buzzy Faton(g), Dean Parks(g), Steve Lukather(g), Davis Kalish(g), Neil Larsen(key), Russell Ferrante(key), Clarence McDonald(key), Randy Kerber(key), Donald Fagen(synth), Rob Mounsey(synth), Mickael Boddicker(synth), Chuck Rainey(b), Steve Gadd(ds, perc), Art Rodriguez(ds), Randy Brecker(tp), David Snaborn(as), Tom Scott(ts, bs), Jerry Hey(tp, fl-h), Sal Barnardi(hca, vo), Arno Lucas(vo), Leslie Smith(vo), Joe Turano(vo)

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年7月14日 (月)

Sade:次回作はいつになるのか

Sade "Lovers Rock" Sade(Epic)

何ともSadeらしいタイトルのアルバムである。そしてファンの期待に応え,Sadeの音楽のイメージを崩していないところが立派である。2000年にリリースされたこのアルバムが今のところ,Sadeの最新スタジオ・アルバムのはずだが,それを考えれば何とも寡作な人たちである。何てたって1984年のデビュー以来およそ四半世紀になろうと言うのに,オリジナルのスタジオ盤は5枚しかない。しかもこのアルバムがリリースされてからもはや8年である。しかし,米国出張中に聞くスムーズ・ジャズ専門FM曲ではSadeが掛からない日はないと言ってもよいぐらいだから,そんなにリリースに間が空いたと思わせないのがこれまた大したものである。ある程度時間が経過しても彼らの音楽は普遍的なのだ。

このアルバムを聞いて冒頭の゛By Your Side゛からしてその曲のクォリティにノックアウトされること必至である。もはやこれは現代のスタンダードと言ってよい素晴らしい曲である。この1曲でアルバムとしてのペースはセットされ,あとはいつもながらのSadeワールドに浸るのみである。Sadeの魅力はもちろん,ヴォーカリストとしてのSade Aduの声に依存するところは大だとしても,彼女の魅力を最大限に活かす術を知っているバンド・メンバーもきっちりほめなくてはならないだろう。

音楽をカテゴライズすることにはあまり意味がないことは承知しているが,この音楽は何に分類すればいいのだろうか?ソウル?Sade Aduの声は確かにソウルっぽいが,音楽の全体感はソウルではないなぁ。ジャズ?もちろん,純粋ジャズ・ボーカルとは呼べないなぁ。ポップス?ポップな感覚はあまりないなぁ。ということで,これはあらゆるジャンルを超越したアダルト・オリエンティッド・ミュージックとしか呼べないのである。そうした観点でリスナーがやや年齢の高い層(高齢者ではない)と思われるスムーズ・ジャズ専門局がSadeを流し続けるのは当然なのである。

誤解をおそれずに言えば,ある意味この音楽は「清冽な空気」のような音楽である。刺激には乏しいが,流れていても決して害悪にはならないばかりか,流れていたらつい耳をそばだててしまうのである。例えば谷川岳の一の倉沢で吸う空気や立山室堂の空気が都会と違うのと当然な感覚であるが,そこに行けば必ず違いがわかるし,「うまい」と思わされる感覚にSadeの音楽は似ている。しかも,一聴して「あっ,Sadeだ」とわからせるこの個性。こういう人たちはなかなかお目に掛かれない。

私としてはサウンド・プロダクションから打ち込み臭さ(ドラマー不在もあるし,おそらくは意図的にそのようにプロデュースされているはずだが...)をもう少し減らしてくれて,より生音に近い感覚でやってもらうとなおよいのだが,それでもこれはよくできた大人のためのアルバムと評価してよいと思う。私のような中年はやはりたまに聞くとはまるが,逆にこの音楽が好きという若者がいると,それはそれで怖いようにも思えるなぁ。星★★★★☆。

Personnel: Sade【Sade Adu(vo), Andrew Hale(key), Stewart Matthewman(g, woodwinds), Paul S. Denman(b)】 with Leroy Osbourne(vo), Karl Vanden Bossche(perc), Janusz Podrazik(key), Andy Nice(cello), Nick Ingman(strings arr)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月 8日 (木)

Hear Music恐るべし:今度はCarly Simonだ

Carly_simon ゛This Kind of Love" Carly Simon (Hear Music)

Starbucksが運営するHear MusicレーベルはPaul McCartneyを手始めに,Joni Mitchell,James Taylorと契約を結び,ある一定の年齢層以上のオーディエンスにターゲットを絞る姿勢を示してきたが,今度はCarly Simonの新作が同レーベルから発売された。

私がCarly Simonを聞くのは非常に久し振りのことである。私はCarlyと言えば゛Boys in the Trees" と゛Torch゛を愛聴してきたクチだが,特にCarlyの大ファンという訳ではない。そんな私が今回のアルバムを購入したのはJimmy Webbがプロデュースに関わっているからにほかならないのだが,このアルバム,Jimmy Webbの個性というよりも,ブラジリアン・フレイバーが強く出ている。ライナーによれば,Jimmy WebbがCarlyにブラジル音楽のアルバム制作を持ちかけたらしい。確かにこのアルバム,2007年に亡くなったコラムニストのArt Buchwaldと並んで,Antonio Carlos Jobimに捧げられているから,やはりブラジル音楽がアルバムの底辺を支える基盤となっているのは事実である。但し,全部が全部ブラジルというわけではないのだが...。

このアルバムを聞いていると,随分とCarlyの声も渋くなったものだと思わざるをえないが,全体的に見ればやはりこれは「大人向け」の「落ち着いた」アルバムである。私は必ずしもCarlyの声がブラジル系音楽に合っているとは思わないのだが,午後のひとときをお茶でも飲みながらバックに流すには適切な音楽ではある。そうした意味ではStarbucksの戦略に合致した音楽と言ってもよいのである。但し,Carlyのラップで始まる3曲目゛People Say a Lot゛はかなり浮いているが...。

私としてはもう少しJimmy Webbとのコラボレーション色を出して欲しかったような気もするが,これはこれで十分楽しめるアルバムではある。ただ,私がこのアルバムをプレイバックする頻度が゛Boys in the Tree"や゛Torch゛を上回るかと言えば,必ずしもそうではないだろうというのが正直な感想である。ただ,Art Buchwaldに捧げられた最後に収められた゛Too Soon to Say Goodbye"は泣ける出来である。この曲,Buchwaldが死期を悟りながら,ホスピスで書き上げた最後の著作と同じタイトルを持つが,アルバムの最後にこういう曲を持ってこられるとやはり涙腺がゆるむ。この曲ゆえに半星追加して星★★★☆。

尚,このアルバムではCarlyの息子Ben Taylor及び娘Sally Taylorが曲を提供しているが,やはり蛙の子は蛙である。才能は遺伝する(もちろん環境もあろうが)ということを実証しているようである。

Personnel: Carly Simon(vo, g, p, key, perc), Jimmy Webb(p, key, b, vo), Robbie Ameen(ds), Lincoln Goines(b), Peter Calo(g, vo), David Saw(g), Ben Taylor(g, vo), Cyro Baptista(perc), Rick Marotta(perc), Aaron Heick(sax, a-fl, english-horn), ben Mauro(g), William Galison(hca), Sherree Brown(vo) & Others

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2008年3月 8日 (土)

しみじみするEverything But the Girl

Acoustic "Acoustic" Everything But the Girl (Atlantic)

私がこのアルバムを買ったのはNYC在住中(それも帰国直前)のことである。Ben WattやTracy Thornのことは昔から知っていたが,バンドとしてのEBTBに目覚めたのは,ファンの間ではオーバー・プロデュース作としてあまり評判のよろしくない゛Language of Life゛でのことである。私はそこに入っている゛Driving゛に心底痺れていたし,そもそもそのアルバムにはTommy LiPumaプロデュースということもあり,Stan Getz(!)やMichael Breckerをはじめとするジャズ系ミュージシャンも結構参加していたのである。そうした流れで,次作"Worldwide"も聞いていたが,私をさらにディープに捉えたのがこのアルバムである。

何と言っても収録曲,特に冒頭5曲に収められたカバー曲が素晴らしい。Micky & Sylviaの"Love Is Strange",Bruce Springsteenの" Tougher Than the Rest",Cyndi Lauperの"Time After Time",Elvis Costelloの"Alison",Tom Waitsの"Downtown Train"ときてはこれはたまらん。それをしかも最小限の伴奏でやられては無条件降伏である。特に"Alison"が最高である。

このほかの曲はEBTBのオリジナルを基本的に2人だけでプレイするというのを原則としている(2曲のライブも含まれる)が,ここには先述の"Driving"のピアノ伴奏バージョンが入っており,これでまた私は参ってしまうのである。

とにかく歌がうまい人が,いい曲を歌えばそれだけでも悪いわけがないのである。しかもあのTracy Thornの声でやられては何をかいわんやである。本作はいつ聞いても私はしみじみあるいはほのぼのしてしまうし,EBTBのEBTBらしさが最もピュアなかたちで感じられるように思う。コアなファンには別の意見もあるが,実は私は彼らのアルバムでこれが一番好きかもしれない。ということで,皆さんにも聞いて欲しいという思いも込めて星★★★★★。

Personnel: Everthing But the Girl: Ben Watt (g, p, vo), Tracy Thorn(vo) with Steve Pearce(b), Damon Butcher(key), Martin Ditcham(perc), Dick Oatts(ss)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月 7日 (金)

なんともミスマッチなIsley Meets Bacharach

Isley_meets_bacharach "Here I Am: Isley Meets Bacharach" Ronald Isley & Burt Bacharach (DreamWorks)

先日奇跡的な来日を果たした米国ポピュラー音楽界の真の巨匠,Burt Bacharachであるが,私は仕事の都合がつかず,今回のライブに行くことができなかったのは痛恨事である。おそらく,この先日本で彼のライブを見る機会はもうあるまい。返す返すも残念である。

このアルバムはそのBacharachがIsley BrothersのRonald Isleyとコラボレーションしたものだが,Bacharachのアレンジに乗って,Isleyが数々のBacharachヒットを歌い上げるという作品である。伴奏はどこから聞いてもBacharach節と言うべきものなのだが,IsleyとBacharachの相性は若干微妙である。Ronald Isleyの声はファルセットを交えたスイートなものだが,そのボイスも節回しもBacharachのメロディとの相性がいいとは私には思えないからである。やはり私にとってはDionne WarwickこそがBacharachメロディに相応しいように思えるのである。これだけの名曲が揃っているのに,Isleyの声ゆえに私にとっては何とも居心地が悪いこと甚だしい。

バックの演奏の質は非常に高いので,Ronald Isleyには悪いが,私はこのアルバムは,彼の声を抜きにしてカラオケで出してもらいたいぐらいである。それか誰か別のシンガーに置き換えてくれと言いたい。これに比べれば,意外の極致だったElvis Costelloの方がはるかにBacharachとは合っていた。そういう意味ではCostelloは偉い。Bacharachの伴奏に免じて星★★★。

余談ながらRonald Isleyは現在脱税の罪で収監中である。やっぱりそういうところも含めてバブリーなのよねぇ。

Personnel: Ronald Isley(vo), Burt Bacharach(p, arr, cond), Jim Cox(key), Rob Shrock(key), Neil Stubenhaus(b), David Coy(b), Harvey Mason(ds), Vinnie Colaiuta(ds), John Robinson(ds), David Crigger(ds), Dean Parks(g), Ted Perlman(g), Dan Greco(perc), Gayle Levant(harp), Warren Luening(tp, fl-h), Gary Grant(tp, fl-h), Dave Duke(fr-h), Phillip Yao(fr-h), Brian O'Conner(fr-h), Dan Higgins(reeds), JS-Kandy(vo), Kim Johnson(vo), Josie James(vo), Donna Taylor(vo) with Strings

| | コメント (5) | トラックバック (1)

2007年10月29日 (月)

Keiko Leeによるポップ・ソング・カバー集

Keiko_lee ゛In Essence゛ Keiko Lee(Sony)

私はKeiko Leeのファンというわけではないのだが,前作のHank Jonesと吹き込んだ「ベイシー」でのライブは素晴らしい出来だった。そのKeiko Leeによる新作は私は完全に収録曲で買ってしまったようなものである。目が点になるようなポップ・チューン揃いであり,Keiko Leeのディープ・ボイスでこれらの歌を歌ったら一体どうなるのだという興味があったからである。

オリジナルを歌っている人々の名前を挙げれば,Bill Withers,Michael Jackson,Bonnie Raitt,Patti Austin,James Ingram,George Benson,Stevie Wonder,Donny Hathaway,Boz Scaggs,Doobie Brothers,Carol King,Bee Gees,Simon & Garfunkelである。これは参ったかという曲目である。全体的にKeiko Leeは力を入れずに軽く歌っているように思えるが,出来はいいものもあれば,悪いものもあって,全体的な評価は微妙。

特にいかんのが,Michael Jacksonの゛Off the Wall゛からの゛I Can't Help It゛である。これは全く彼女の声とミスマッチで,どうも居心地が悪いこと甚だしい。逆によかったのが,"That's Enough for Me゛で,私はこの曲はLee Ritenourのインスト・バージョンで聞いていたが,このボーカル版はなかなかよい。オリジナルのPatti Austinのアルバム゛Havana Candy゛が聞きたくなってしまった。そのほか,゛I Can't Make You Love Me"は彼女の声にぴったり(Bonnie Raittもハスキー・ボイスだから当然か)だし,ギターだけをバックに歌うという意表を突いたアレンジの゛One Hundred Ways゛も面白い。゛Someday We'll All Be Free゛もはまっている。ということで,ポップス・ファンも結構聞けるアルバムとして,評価としては星★★★☆としておくが,これをジャズ・ボーカルと呼ぶのにはやや無理があるように思う。私はこのアルバムを聞いていて,70年代のGRPレーベルのような雰囲気を感じてしまった(Angela Bofillのアルバムの伴奏だけ残して声をKeiko Leeに変えたという感じである)と言えば,わかる人にはわかってもらえるかもしれない。よって,カテゴリーなんて関係ないという人にはある程度受けるだろうということである。

尚,ゲスト・ソロイストとしてDavid SanbornとRandy Breckerが参加しているが,Sanbornは昔のような歌心が感じられなくなったように思う。むしろRandy Breckerの方が好演と言えるだろう。

Recorded on June 3-8, 2007

Personnel: Keiko Lee(vo, p, key), 吉田次郎(g), 松木恒秀(g), RomeroLubambo(g), A.T.N. Stadwik(key), 野力奏一(key), Carl Carter(b), Oliver Gene Lake, Jr.(ds), Cyro Baptista(perc), David Sanborn(as), Randy Brecker(tp), Ole Mathisen(ss, ts), Marlon Saunders(vo), Lenora Zenzarai Helm(vo)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月17日 (水)

Wilson Phillips復活作:Carnieはどこへ?

Wilson_phillips "California" Wilson Phillips (Sony)

私は女性ボーカルが結構好きである。と言ってもジャズ・ボーカルではなく(嫌いなわけではないが...),基本的にはアメリカン・フォーク,SSW,ロック系のシンガーを好んでいる。Joni Mitchell,Laura Nyro,Ricky Lee Jones,Fleetwood Mac(特にChristine McVie),Tracy Thorn等それこそ枚挙に暇がないのだが,Wilson Phillipsもそうした範疇に入れてよい。一時期,Chynna Phillipsが抜けてWilson Sisters(親父のBrianを入れてThe Wilsonsと呼んでもよい)で活動していた彼女たちが2004年に久々(12年振りだったそうだ)にリリースしたのがこのアルバムである。

アルバム・カバーを見て,まずブルネットで太っちょのCarnie Wilsonはどこへ行ってしまったのかと思うのだが,情報によれば,Carnieは胃のバイパス手術により,何と体重をほぼ半減させたとのことである。このアルバムのジャケの中央に写るブロンドがCarnieと気づく人はそう多くはなかったはずである。それにしても何たる変わりようか。

だからと言って,彼女らの音楽が変わったわけではない。このアルバムでは,60年代~70年代の曲をカバーしているが,これが結構よい。Peter Usherという大物プロデューサーの手腕と,彼女たちの音楽性がマッチして,アメリカン・ミュージック好きには特に楽しめる出来となったと思う。音楽的な深みがないとか,軽いとかいう批判もあろうが,彼女たちの声とハーモニーで,いい曲を歌えばそれなりのアルバムができるということである。私にとっては十分楽しめるアルバムであったし,それぞれの曲の魅力を再認識する契機とすればいいのだ。ということで,難しいことは言いっこなしで,このアルバムを楽しもう。星★★★★。尚,最後に収められたWilson姉妹の親父との共演゛In My Room゛に続いて,シークレット・トラックとしてEaglesでおなじみの゛Already Gone゛のアコースティック・バージョン(本編にはエレキ・バージョン収録)が収められているので為念。

Personnel: Wison Phillps(Carnie Wilson, Wendy Wilson and Chynna Phillips), Dean Parks(g), Dean Rolfe(g), Larry Klein(b), Lee Sklar(b), Russ Kunkel(ds), Dan Dugmore(pedal steel), Roger Manning(p), Jon Gilutin(org) and Others

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 5日 (金)

Mariah Careyのデビューから数年は本当に凄かった

Mariah ゛MTV Unplugged EP゛ Mariah Carey (Columbia)

今やかなり太ったオバチャンと化してしまったMariah Careyであるが,彼女のデビュー当時は本当にキュートなシンガーであったと思う。その容姿もそうだが,音楽的にもソウル/R&Bの枠を超え,ポップスの領域に入っていたのは事実である。私も90年代は相当彼女に入れあげていたものだが,それも今は昔。今やほとんど興味がなくなってしまった。しかし,彼女のデビューから数年間は,本当に時代の先端を走る歌手としての輝きがあったと思う。

その中で,私が今だにちょくちょく聞いているアルバムはこのMTV Unplugged出演時の記録である7曲入りのEPである。ここでのMariahは美貌も音楽もそのピークにあったと今でも思える素晴らしい歌唱の数々である。私がMariahに対する関心を維持できるのは今やデビュー・アルバムから本作までの3作だけである。

私は゛Daydream゛はまだしも,"Butterfly゛ぐらいになると,彼女の曲に魅力を感じなくなってきたわけだが,ここに収められている7曲は全く違う。今でもその曲の力は健在なのである。このアルバムには今でも私は躊躇なく星★★★★★である。素晴らしい。

私がMariahへの関心をなくしたもう一つの理由は,彼女の初来日公演(それ以降もだが)に,東京ドームという彼女の音楽性に全くマッチしない場所を選んだことにある。いかに人気絶頂であろうが,ミュージシャンには適切な箱があるはずである。それを見誤った彼女及びプロモーターの罪は大きい。彼女にはもっとIntimateな空間が適しているはずである。せめて武道館どまりにすべきであった。あるいはチケット料金を上げてでも,東京国際フォーラムAぐらいが適切だったはずである。あれで私は完全にガックリきてしまったのである。ということで,最近のアルバムは全然買っていない私である。

Personnel: Mariah Carey(vo), Walter Afanasieff(p), Dan Shea(key), Vernon Black(g), Randy Jackson(b), Gigi Gonaway(ds), Sammy Figueroa(perc), Ren Klyce(perc), David Cole(p) and Strings, Horns, and Chorus

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年9月10日 (月)

豪華ゲストを迎えたManhattan Transferのカバー・アルバムは楽しく聞けるのだが...

Tonin_2゛Tonin'゛ The Manhattan Transfer (Atlantic)

最近はメンバーによるソロ活動が活発化しているManhattan Transfer(以下は親しみを込めてマントラと呼ぶ)であるが,私が彼らに対する興味を失ったのはいつ頃だろうか。最近はアルバムが出ても全く買わなくなってしまった。グループとしての実力は誰しも認めるところだろうが,やはりこういうグループゆえにマンネリズムに陥りやすいのも事実である。゛Vocalese゛のような冒険たっぷりな取組みばかりも続けられないだろうし,彼らとしても苦しいところである。

そんなマントラがArif Mardinプロデュースのもと,豪華ゲストを招いて制作した「起死回生の」ためのカバー・アルバムである。ゲスト陣がゲスト陣だけに相当の制作費をかけて吹き込まれたものであることは容易に想像できるし,なかなかに楽しい出来となっている。

しかし,このアルバム,楽しいことは楽しいのだが,マントラ色が希薄過ぎはしないだろうか。ゲストとリード・ボーカル・パートを分け合い,あとはマントラがバック・コーラスをつとめているだけのように聞こえると言ってしまうとそれこそ身も蓋もないが,そう感じさせるのも事実である。これはゲストが豪華過ぎるために,彼らに花を持たせなければならないという事情こそあれ,ややそれが行き過ぎたように思えるのは残念である。

そうした点を除けば,よく出来たポップ・ボーカル・アルバムであり,音としては相当楽しめる。それにしても,一音でそれとわかるギターのトーンで,曲を締めるB.B.Kingが入った゛Thrill Is Gone゛が素晴らしい。ついでに歌えばよかったのにと言ってはボーカルを務めたRuth Brownに失礼か。星★★★☆。

Personnel: The Manhattan Transfer; Cheryl Bentyne(vo), Tim Hauser(vo), Alan Paul(vo) and Janis Siegel(vo), with Frankie Valli(vo), Ferix Cavaliere(vo), Bette Midler(vo), Smokey Robinson(vo), Laura Nyro(vo), Phil Collins(vo), Ruth Brown(vo), B.B. King(g), Chaka Khan(vo), James Taylor(vo), Ben E. King(vo)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年8月 1日 (水)

感動に値しない秋川雅史

Photo 「千の風になって」 秋川雅史 (テイチクエンタテインメント)

このCD,今でも売れ続けているそうである。Amazonにアクセスすると,クラシックのおすすめとしてこのアルバムが表示されていた。私はクラシックも好きだが,この秋川なるテナーを紅白歌合戦で見て,私は家人にこのテナーは下手くそだと言ったおぼえがあるが,いまでもその気持ちには一切変わりはないし,それぐらいの審美眼はあるわと言いたい。

だいたいこんな音程がフラットしまくったテナーを聞いて,クラシックの歌手を聞いた気になられては困ると言わざるをえない。こんなものに金を払う余裕があるのならば,パバロッティでもドミンゴでも,カレーラスでもホセ・クーラでもいいから,もうちょっとましな歌手を聞いてからにして欲しいものである。歌詞に感動し涙するのは個人の勝手だが,歌に感動するのと歌詞に感動するのは全く次元の違う世界の話である。私はこの程度の歌手の下手くそな歌には一切感動できないし,感情移入も一切不可能である。「この程度」であるから,どうせすぐに化けの皮ははがれるであろうし,すぐ飽きられること必定である。ということで,秋川には稼げる時にどうぞお稼ぎをとだけ言っておこう。

そもそもこの歌は新井満が自由語訳として発表したものに,自ら曲をつけたものであり,聞くのであれば本質的には新井満バージョンから聞くのが本来の姿であるように思える。新井満はシンガー・ソングライターとしても一家言を持つ人だから私ならそうする(但し,この曲に興味はないので,金を出して聞く気はしない)。

それはそれでいいとして,私は作家としての新井満が好きだったが,最近やたらに所謂自由訳ばかりを連発し,印税を稼ぐ彼の姿勢には疑問を感じざるをえない。ちょっと「千の風になって」が売れたものだからいい気になっているのではないか。彼の小説を待ちつづける市井のファンもいることを新井は全く理解していないとしか思えない。John Lennonの゛Imagine゛まで自由訳するに至ってはいい加減にしてくれと言いたい。英語は英語で読むからこそ,自由な解釈が生れるのであって,何でもかんでも訳せばいいというものではない。最近では「般若心経」まで自由訳したらしいから,何をか言わんやである。解釈するのではなく,あるがままに(音としてだけでもよい)受けとめることの重要さもあるはずである。

これが最近のメディア・ミックスの成功例の一つだとしても,私には音楽的な意義は何も見出せないし,最近秋川の声がTVコマーシャルで流れるに至っては,不快感しか覚えないのである。商売繁盛は大いに結構だが,私個人にとっては不快極まりない音楽であり,声であり,メディア戦略である。私はこういう音楽(あるいは大したことのない歌手)がさっさとこの世から消えてもらうことを祈るばかりである。評価としては無星としか言えない。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年3月16日 (金)

家宝とすべき珠玉のBacharachポップス集

Bacharach "The Look Of Love: The Burt Bacharach Collection゛ Burt Bacharach (Rhino)

これは素晴らしいコンピレーションである。Burt Bacharachのキャリアをほぼ総括した3枚組75曲というボリュームも嬉しいが,ここに並ぶ顔ぶれ,曲の数々を見れば,Bacharachがアメリカン・ポピュラー・ミュージックに果たした役割の大きさを痛感せざるをえない。

日本で言えば筒美京平の集大成盤がそうであったように,優れた作曲家の仕事振りを回顧することが,その国の音楽界の歴史の一部を振り返るのに相当するということを実感させる出来である。さすがはRhinoレーベル,いい仕事をしている。こうした音楽は,長年聞き継がれていくべきポップス・スタンダードであり,このボックス・セットは我が家の家宝と言ってもよいぐらいである。私の娘にも将来この魅力がわかってもらえたら,音楽好きの父親冥利につきるのだが,さてどうなることやら。

閑話休題。3枚組のどこから聞いても素晴らしい出来の本CDには星★★★★★以外の評価はありえない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年2月14日 (水)

懐かしのJulie Andrews日本公演

Julie_andrews_1  ゛An Evening with Julie Andrews゛Julie Andrews (RCA)

Recorded on September 21, 1977 at Osaka Festival Hall, Japan

私のプロフィールにも書いているが,私が人生の中で最も多くの回数見た映画は「サウンド・オブ・ミュージック」である。私を知る人からすれば,「似合わない」という声も飛んできそうだ。

私が初めてこの映画を見たのは中学生の頃にリバイバル公開された時であった。それ以来,私は主演のJulie Andrewsのファンとなり,一時期はファンクラブにも属していたことはほとんど知る人もいない(当然だが...)。

そのJulieが初来日公演を行ったのが1977年。当時の高校生にとっては確か7,500円というチケット代は負担が大きかった(小遣い3ヶ月分ぐらい?)が,私もそのライブに駆けつけた。このLPは私が行った大阪公演の模様をほぼ完全に収録していると記憶する。第一部のバックバンドのインスト演奏が終り,Julieが登場した時の熱い思いを今でも強烈に記憶している。

収録曲はJulieの映画出演作の曲を交えたものとなっているが,実はそれら以外の曲の方が印象に残る出来になっている。冒頭の゛I'll Play for You゛やStephen Sondheim作の゛Being Alive゛,更にはしっとり最後を締めくくる゛I'd Rather Leave While I'm in Love゛などはポピュラー・シンガーとしてのJulieの実力を知らしめる名歌唱である。もちろん聴衆に受けたのは映画からの曲の方だが,しっかりとしたポリシーを持った選曲は評価されるべきだと思うし,日本公演だからと言って,一切の手抜きがないのは彼女の人柄を表しているように思えてならない。

今後,このアルバムがCD化されることなどはほぼ期待できないだろうが,私の青春の想い出として密かに楽しむレコードとして紹介した。やや歌唱に乱れが見られるところもあるが,星★★★★には相当する出来。それにしても゛Being Alive゛は名曲である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年2月 7日 (水)

輝かしきカーペンターズの時代

Carpenters "Twenty Two Hits of the Carpenters゛ Carpenters (A&M)

1970年代初頭,日本でも圧倒的な人気を誇ったCarpentersのベスト盤である。アルバム単位でCarpentersを聞きたいと思ったことは私にはないが,この見事なばかりのシングル曲コレクションを聞けば,彼らが時代の寵児であったことは間違いのない事実だと再認識できる。

1970年初頭と言えば,私が小学校の高学年の頃であるが,ラジオ(AMの深夜放送)でのエアプレイの頻度は,洋楽ではCarpentersがダントツであったと記憶しているが,ここまで日本での人気が高まった理由は,彼らの音楽の「わかりやすさ」ではなかったかと思う。Karen Carpenterのディクションが日本人の感覚にフィットしたこともあるだろうし,音楽がかかっていても生活の妨げにならないという「ながら族」にとっての適切性(刺激の少なさ)もあろう。

いずれにしても,今,彼らの音楽を聞いて思うのは,ここに収められている曲のほとんどを歌えてしまうということに対する驚きであるが,まだまだ未成熟であった私の音楽体験に,ある意味洋楽のよさを教えてくれたのはCarpentersであったように思う。なんでこんな曲がヒットするのか疑問に思える曲がないわけではないが,私の洋楽の原体験の一つとして,彼らには改めて感謝せざるをえない。その意味でこのアルバムは星★★★★★に相当する。

しかしながら,あれほど圧倒的な人気を誇った彼らが,日本での人気にかげりが生じたのは,あまりに期待の大き過ぎた日本公演からだったのは皮肉なことである。私は今でも当時TV放送された武道館公演でのひばり児童合唱団を伴った最悪の゛Sing゛のことが忘れられない。あの日本の聴衆に媚びるような演出による「がっくり感」は,子供心ながら私にもショックを与えたし,多くのファンに失望感をおぼえさせたように思う。

そうは言っても,ここに収められた曲の数々はエバーグリーンと言ってもよいものであるし,今でもその輝きは失せていない。まさしく一つの時代の断面を切り取った音楽であり,このベスト盤を聞くとカラオケで歌いたくなってしまうのが私の中年たる所以か...。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年2月 6日 (火)

Dionne Warwickの超お買い得コンピレーション

Dionne "Legends" Dionne Warwick (Arista→Sony BMG)

Dionne Warwickが1979年から1993年までにAristaレーベルに残した数々の楽曲を収めた3枚組コンピレーションである。本CDセットは英国盤であるが,破格の安値(9ポンド弱!)がついているのは驚きであると同時に,この値段でこれだけのボリュームの音楽を楽しめるとは全くもってありがたい。

Dionneの全盛期がこのアルバムに収められた時代だとは思わないが,それなりにその時代にフィットしたAOR的なサウンドを聞かせており,なかなかの佳曲揃いなので,これはこれで楽しめる。ここに60年代を中心とするBurt Bacharachとのコンビによるベスト盤を揃えれば,Dionneのキャリアは総括できると言っても過言ではない。

いずれにしても全52曲,ネットなら日本でも2,500円程度で買えてしまうこのアルバム,1曲あたり50円とは何とお買い得か!詳細なクレジットやライナーノートがないのは,画竜点睛を欠くとのそしりは免れないとしても,このハイ・コスト・パフォーマンスだけで星★★★★★に値する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)