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カテゴリー「現代音楽」の記事

2018年10月22日 (月)

Hans Otte: このミニマルな響きがたまりまへん。

"Das Buch der Klänge" Herbert Henck(ECM New Series)

_20181019_3Hans Otteという作曲家については今まで聞いたこともなかったが,Herbert HenckがECMで弾いているんだから,これも買ってしまうのが「性」である。

一体どんな音楽なのかということで,プレイバックした瞬間から,美しい和音に彩られたミニマルな響きに思わず嬉しくなってしまった私である。この音,私の好物なのだ(笑)。Hans Otteという人は作曲家でありながら,同時代の現代作曲家を招聘したコンサート・シリーズも開催していたようだ。そうした点を考えれば,このミニマルな響き具合はどういうことなのかとも思えるが,ネット上の情報によると,この人のほかの曲は結構小難しい中,この作品だけが例外のようにも受け取れる。

だが,例外だったとしても,この美しい響きに身を委ねれていれば,私は満足してしまうのだが,Hans Otte自身,この音楽について,"Rediscovers the listners as a partner of sound and silence, who in the quest for his world, wishes for once to be totally at one with sound"なんて言っているようだから,これってやっぱりECMのコンセプトに合致するよなぁなんて思ってしまう。一部アブストラクトな響きも出てくるが,それも含めて心地よい。

この曲のタイトルは英語にすれば,"The Book of Sounds"である。「響きの書」とはまさに言い得て妙。ECMらしいサウンドと相まって,私はこのアルバムのプレイバック中,結構な至福感に浸っていたことを告白してしまおう。いや~気持ちよかった。星★★★★★だ。

Recorded in September, 1997

Personnel: Herbert Henck(p)

2018年10月13日 (土)

Michael Nyman, アンビエントだ...。

"Decay Music" Michael Nyman(Obscure)

_20181010同じようなことをしょっちゅう書いているような気もするが,つくづく私もいろいろなCDを持っているものだ。保有していることは認識していても,ほとんど聞かない。そんなCDは実はいくらでもある訳だが,これなんか,クロゼットの奥深くに眠っていた訳ではなく,比較的取り出しやすいところに置いておきながら,ほとんど聞いたこともないのではないかと思えるアルバムなのだ。

もともとこのアルバムはEnoが主宰したObscureレーベルからリリースされたもので,基本的には現代音楽として捉えていいものだろう。かつ,これがMichael Nymanのデビュー・アルバムである。冒頭に収められた"1-100"は100種類の和音を延々弾き続けるというものであり,このゆったりしたテンポは,まさにアンビエントと呼ぶに相応しい。ひたすら奏でられる和音は,どうやってもリスナーに睡魔をもたらす。それが心地よいと思えるか,退屈と感じるかで,この音楽に対する感覚は全く違うものになってしまうだろう。因みに私は当然のことながら前者である(きっぱり)。

2曲目のパーカッションのみで演じられる"Bell Set No. 1"になると,ややアブストラクトな感覚が増すが,それでも音量を落とせば,これも完全にアンビエントの世界である。本CDにはボーナス・トラックとして"1-100"の"Faster Decay"が収録されているが,全然高速感はなく,ここでもアンビエントそのものである。こういう音楽って評価が難しいよなぁと思いつつ,環境と一体化した音楽としては確かにそんな感じである(笑)。

後々,Michael Nymanは映画音楽への取り組みを強化していくが,これが彼のもともとの音楽性の一つってことで,興味深いアルバムである。ただ,これって本当に誰が聞くのかと思いつつ,CDは廃盤らしく,とんでもない値段がついているが,ストリーミングで簡単に聞けるので,何も購入する必要もないかもしれないなぁ。星★★★★。

Personnel: Mychael Nyman(p, perc), Nigel Shipway(perc)

2018年9月30日 (日)

ECM New Seriesから今日はMosolovのピアノ曲集。

"Alexandr Mosolov" Herbert Henck (ECM)

_20180923ここのところ,ボックス・セット聞きが続いていたので,ちょっと気分を変えよう。私はECM New Seriesについては長年手を出さずにいた。Steve Reichは基本的にNew Seriesに入ると思うが,最初はNew Seriesが存在していなかったはすであるから,普通にECMの作品としてリリースされていたと記憶する。昔からReichが結構好きだった私は,ECMのReich作品は買っていたものの,そのほかのNew Seriesについては,Andras Schiffが吹き込むようになるまで,ほとんど購入していなかったと言ってもよい。しかし,いつの頃からか,現代音楽のピアノ曲に関しては,ECM New Seriesからリリースされる音楽が素晴らしいと感じるようになって,今では現代音楽のピアノ曲に関しては,せっせと買うようになっているのだから,人間は変われば変わるものである。

そんなECM New Seriesにおいて,ピアノ曲のアルバムを最も吹き込んでいるのは,多分このHerbert Henckだろうと思う。カタログには8枚載っているが,Jean Barraquéのピアノ・ソナタだけは廃盤状態のようである。だが,私はそれ以外のアルバムは保有していて,直近で入手したHenckのアルバムの一枚がこれである。

不勉強にして,ここでHenckが取り上げたAlexandr Mosolovという作曲家については,初めて聞いたが,調べてみると,旧ソ連時代には反体制の疑いをかけられ,相当シビアな生活を強いられた人のようである。1900年に生まれて,ここに収められた曲は1920年代中盤に書かれているので,かなり若い時期の作品となる。だが,その後強制労働に送り込まれてしまったようなので,作曲家としてのキャリアは30年代以降停滞してしまうことになる。だが,20代半ばで書かれた音楽としては,構造がしっかりしたピアノ曲であり,そんなにアバンギャルドな感じはしないが,ロシア的な重量感はあるかなぁって気がする。

どちらかと言うと,私が好む現代音楽のピアノ曲は,もう少し「間」を重視した曲が多いので,本作に収められた曲は,ちょいとタイプが違うように思えるのだが,それでもこうして全く聞いたこともない(そして,自分では決して見つけることのない)ような音楽に出会えるのも,ECM New Seriesゆえってことになるだろう。それはそれでありがたいことである。星★★★★。

Recorded in March 1995

Personnel: Herbert Henck(p)

2018年6月23日 (土)

数々のピアノ曲とSufjan Stevensのオリジナルにしびれる「君の名前で僕を呼んで」のサントラ。

"Call Me by Your Name:Original Motion Picture Soundtrack" Various Artists (Madison Gate)

_20180623以前映画に関する記事もアップした「君の名前で僕を呼んで」(記事はこちら)のサントラである。そこには私は「本作は音楽が素晴らしく,久しぶりにサントラ盤が欲しくなってしまうものであった」と書いたが,有言実行である。

まず,この映画を見ていて,そう思ったのは,映画で流れるピアノ曲の美しさであった。特に冒頭に流れるJohn Adamsの"Hallelujah Junction"に痺れてしまって,サントラが欲しいと思ったのだが,そのほかにも坂本龍一の曲も非常にいい感じであった。だが,この本当にこのサントラを欲しいと思わせたのは,Sufjan Stevensがこの映画のために書き下ろした曲の素晴らしさであったと言っても過言ではない。この映画のためにSufjan Stevensが書いたのは"Mystery of Love"と"Visions of Gideon"の2曲だが,これが本当にいい曲なのだ。更に旧作"The Age of Adz"に収録されていた"Futile Devices"のリミックス・ヴァージョンであるが,こんなにいい曲だったか?と思わせるに十分である。

それ以外は映画の時代背景を反映したディスコ調の曲であるが,それらはさておき,私にとってはピアノ曲とSufjan Stevensがあればこのアルバムは成立である。映画と音楽が一体化した優れた事例である。とにかくここでのSufjan Stevensのオリジナルを聞いて頂ければ,わかってもらえると思う。星★★★★☆。せっかくなので,Sufjan Stevensによる書下ろし2曲を貼り付けておこう。 

2018年5月28日 (月)

Morton Feldman:これぞミニマルの極北って感じ。

"Morton Feldman: For Benita Marcus" Marc-André Hamelin(Hyperion)

_20180527今まで私はMorton Feldmanが書いた曲を聞いたことはないと思うが,先日デリバリーされたこの作品を聞いて,これこそミニマルの極致だと感じてしまった。Steve ReichやTerry Rileyがミニマルと言われるのとは異なる意味でのミニマルである。それは音数も決して多くないのだが,延々とピアノ・ピアニシモのような音量で,淡々とピアノが演奏されるのである。

これって一聴しただけで,ピアニストには異常な集中力を求めるのではないかと感じさせるに十分である。作曲者のMorton Feldmanは「静かな音が興味を引く唯一のもの」と語っていたそうだが,まさにその通りだとしか思えない静謐な音楽が延々と続けられる。

ECMレーベルは「沈黙の次に美しい音」というのが売り文句であるが,ここでのMorton Feldmanの音楽はよく聞いていないと,ほぼ沈黙に近いと言っても過言ではない。実を言うと,最初はオーディオ・セットが壊れたと思ったぐらいである。

Morton Feldmanはもともとは図形楽譜を始めたらしいが,解釈の自由度を許容するであろう図形楽譜とは対極的な位置づけにあるように思える。ピアニストはピアノ・ピアニシモでがちがちに締め上げられる感じだし,聞いているこっちもそうなのだ。世の中にはこういうのもあるのねぇと感心した訳だが,鑑賞音楽としてのハードルは相当に高いとは言っておこう。こっちの集中力も続かないので,これは聞き流すのが一番ということで,これはもはやアンビエントだな。ということで,私のような凡人には採点不能だが,決してひどいということではなく,まだその本質を理解できていない。一生掛かっても無理かもしれんが(爆)。

Recorded June 6 & 7, 2016

Personnel: Marc-André Hamelin(p)

2018年2月14日 (水)

Steve Reichの新作が出た。

"Pulse / Quartet" Steve Reich(Nonesuch)

_20180212Steve Reichの作品は結構な頻度でNonesuchレーベルからリリースされているが,今回は近年初演された2曲を,その初演を行った人たちによる演奏で収録したものである。"Pulse"は2016年11月にInternational Contemporary Ensemble,"Quartet"は2014年10月にColin Currie Groupによって,それぞれNYCのカーネギー・ホール,ロンドンのクイーン・エリザベス・ホールで初演されたものとのことである。

1曲目の"Pulse"は弦にフルート,クラリネット,ピアノという室内楽的な編成,そして2曲目の"Quartet"はピアノ2台,ヴァイブラフォン2台といういかにもReichらしい編成によるもの。編成そのものはReichらしいのだが,特に"Pulse"の方はミニマル感はいつもよりも控えめって気がする。もちろん,どちらもミニマルであることは否定しないが,メロディ・ラインがより明確なのが今回の特徴ってところではないかと思える。ミニマル的な響きは,通奏低音的に流れるバックエンドの響きの方に感じられる。

また,"Quartet"はピアノとヴァイブの組合せということもあって,ついついChick CoreaとGary Burtonのデュオを想起してしまう。ユニゾンに聞かれる美的感覚はCorea~Burtonと相通じるものがあるが,ここはReichなので,彼らの音楽ほどのスリルを求めてはならない。でも美しいものは美しいのである。

本作は,2曲合わせても31分強という収録時間ではあるが,いまだSteve Reichが新作を書き続けていることに触れられるだけでもよしとしなければならないだろう。一聴して,万人向けなのは"Quartet"だと思うが,何度か繰り返し聞いていくうちに,各々の曲の要素が自ずと明らかになってくるように思える。ということで,"Pulse"が星★★★★,"Quartet"を星★★★★★として,間を取って星★★★★☆。

Recorded on May 28, 2017 & May 30, 2016

Personnel: International Contemporary Ensemble<Josh Modney, Gabby Dioz, Michi Wiancko, Pauline Kim(vln), Kyle Armbrust, Wendy Richman(vla), Claire Chase, Alice Teyssler(fl), Joshua Rubin, Campbell MacDonald(cl), Jacob Greenberg(p), Greg Chudzik(b),Colin Currie Group<Colin Currie, Sam Walton(vib), Phillip Moore, Simon Crawford-Phillips(p)>

2018年2月13日 (火)

久しぶりにショップに行って仕入れた一枚:Peter Serkin

"Works by Igor Stravinsky, Stefan Wolpe, Peter Lieberson" Peter Serkin (New World)

Serkin昨今は,CDの購入もほとんどネットで行うようになり,そもそも中古盤を漁りに行くことも,Apple Musicで聞けばいいやと思うようになると,ほとんどなくなってしまっている私である。しかし,先日,横浜に行くことがあって,ちょいと用事の帰り道にショップに立ち寄ってみた。新譜にはあまり魅力的なものもなく,中古盤も5枚買えば1枚あたり200円オフと聞けば,以前の私なら絶対そのディスカウントのために意地でも5枚以上買っていただろうが,全然購買意欲がわかない。これは気になる中古盤があまりなかった(それでもMitchell FormanとかMetroとかは結構迷った)ということもあるが,私の生活/行動パターンが変わったからだと思わざるをえない。

そんな中,拾ってきたのがこの作品である。私はPeter Serkinの弾く現代音楽のアルバムを長年愛聴しているが,このアルバムは保有していなかったので,ちょっと高めではあったが購入したものである。SerkinはLiebersonの作品は結構吹き込んでいるが,Stravinskyは記憶にない。Wolpeはドイツの作曲家らしく,オペラも書いているそうだ。ナチスの迫害を逃れて,ドイツから脱出した人のようであるが,私にとっては初めての作曲家である。

この3人の作曲家の曲を並べてみると,Stravinskyは現代音楽的な響きというよりも,はるかにクラシカルに真っ当な音楽に聞こえる。逆に言えば,現代音楽的なプログラムとして据えるにはやや無理があるチョイスと言えるかもしれない。私はSerkinの古典音楽演奏も好きだが,どちらかを取れと言われれば,現代音楽を取るだろう。よって,私にとってはもう少しエッジが立った感じで統一してくれた方が好みである。また,Stravinskyの曲が,やや残響過剰に思えてしまうことも,Peter Serkinのピアノ・タッチと合わないような感覚もあった。録音全体に言えるが,もう少しクリアな音で録って欲しかったって気がする。

しかし,やはりこういう曲を弾かせると,Peter Serkinのピアノは非常に私への訴求力は高い。演奏自体は悪くないと思えるので,やっぱり私はこういうのが好きなのねぇってことで,星★★★★。

それにしても,これと一緒に買ったのがNeil Youngの新譜の"The Visitor"ってところには,CDを買う枚数は減っても,私の変態度は変わらんということを示しているなぁ(爆)。

Recorded in December 1985

Personnel: Peter Serkin(p)

2017年12月29日 (金)

2017年の回顧:音楽編(その1)-ジャズ以外

今年も大詰めが近づき,いよいよ今年の回顧も音楽に突入である。まずはジャズ以外の音楽について取り上げよう。私が高く評価したアルバム(★★★★☆以上)については,2017年のおすすめ作としてブログの右側に掲示しているので,大体予想がついてしまうという話もあるが,まぁそれはさておきである。

Vkingur_lafsson私が今年ジャズ以外の音楽で聴いて,最も感銘を受けたのはVíkingur ÓlafssonのPhilip Glassのピアノ作品集であることは疑いのない事実である。この清冽な響きには正直ノックアウトされてしまった。私は今年は現代音楽のピアノを結構聞いたと思うが,ほとんどはECMレーベルの作品であり,それはピアノの響きと演奏が一体化していて心地よいということがあるのだが,このVíkingur ÓlafssonはDeutsche Gramophoneからの作品であり,ECMでないということが重要なのだ。これはまじで最も感動した作品の一枚であった。

Graceそしてそれと双璧なのがLizz Wrightの"Grace"である。本作はジャズのカテゴリーに入れてもいいと思ったが,本質的にこれはルーツ・ミュージック,あるいはソウルの世界である。よって,ここに取り上げることにするが,記事を書いた時の「Cassandra Wilsonを越えた」という表現に私には揺らぎはない。Lizz Wrightはこれまでも優れた作品をリリースしてきたが,これこそこれまでの彼女にとっての最高傑作と言ってもよい出来である。傑作という表現以外思いつかないぐらいの超絶作品。素晴らしい。

Moonchild心地よさという点ではMoonchildの"Voyager"が最高であった。メロウ・グルーブっていうのはこういうのを言うのだと思わせるに十分なアルバム。音楽に何を求めるかっていうのはいろいろあるところではあるが,心地よさ,身体が揺れるという感覚を感じさせてくれるに十分なアルバムであった。彼らのライブを見逃したのは痛かったが,こうした演奏に触れる機会を与えて頂いたブログのお知り合い,kenさんには大いに感謝したい。本当に気持ちいいアルバムである。

Southern_blood_2こうした作品に加えて,今年涙なくして聞けなかった作品というのが一枚ある。それがGregg Allmanの遺作,"Southern Blood"である。作品としての質がどうこうということではなく,私は本作に純粋に感動してしまったのである。加齢により涙もろくなっているということも影響しているが,本作は死期を悟ったミュージシャンのまさに"Swan Song"である。ある程度年齢を重ねたリスナーにとっては,これはツボに入ってしまうこと確実な音楽と言える。私は決してAllman Brothers Bandに思い入れのある人間ではないにもかかわらずの感動なのだ。これは本物だと思っている私である。

そのほかにもいろいろ面白いアルバムはあったが,いずれにしても,先日発表された「ミュージック・マガジン」のベスト10とは見事なほどに全く無縁のセレクションになってしまったなぁ。まぁ,自分の嗜好で音楽を聞いているので,違うのは当たり前だが。いずれにしても,来年も自分の好みに忠実に過ごしていければと思っている。プロじゃないからね(笑)。だが,上に挙げた4枚はどれを聞いてもはずれはないと言っておこう。

ここに挙げていないアルバムにもいいものはあった。Joe Henry,Tangerine Dream,Rose Cousins等は無視するには惜しかったのだが,自分の中での感覚を重視したらこういうチョイスになったということである。おっと,忘れてはいけないが,今年入手して嬉しかったものはGeorge Harrisonの"All Things Must Pass"のアナログ再発盤とKraftwerkの3-D Box。我ながらオタクである(爆)。

2017年9月26日 (火)

ユニークだが,やっぱりReichはReichと感じさせる"Kuniko Plays Reich"

"Kuniko Plays Reich" 加藤訓子(Lynn)

_20170924_2このブログにも何度も書いているように,私はSteve Reichの音楽が結構好きである。そのReichの音楽を日本のパーカッショニスト,加藤訓子が編曲して演奏したアルバムが面白そうだなぁと思って購入した。

冒頭に収められているのは,Pat Methenyにより初演された"Electric Counterpoint"をスティール・パン,ヴァイブ,マリンバとテープで演奏したものであるが,楽器は変われどReichはどうやってもReichであり,その次は"Six Marimbas"をこれまた多重録音で聞かせるという力業。そして,もともとはフルートのために書かれている"Vermont Counterpoint"をヴァイブで演奏というプログラムであるが,どこを切り取っても,Reichの音楽なのは,加藤訓子のReichの音楽への理解の深さとも言えるし,Reichの音楽の個性とも言えるだろう。

いずれにしても,ここに収められた音楽は,Steve Reichの音楽を好む人間にとっては,極めて心地よく,そしてユニークでありながら,期待に応えるものと言ってよいと思う。これはこうした試みを行った加藤訓子を褒めるべきであり,海外での本作への高い評価もその表れということだと思う。星★★★★☆。いずれにしても,私にはReichの音楽が心地よいことを再確認した。

Recorded on January 28, 29, November 24, 25,2009 and on March 28. 29, 2010

Personnel: 加藤訓子(vib,marimba, steel pan)

2017年3月19日 (日)

アイスランドのピアニストが生み出す素晴らしく美しいピアノの響き

"Philip Glass Piano Works" Víkingur Ólafsson (Deutsche Grammophon)

_20170318先日,出掛けるついでにショップのクラシック売り場に行って,現代音楽のコーナーを漁っていたら(笑),ドイツ・グラモフォンからの名前も聞いたことのないピアニストのアルバムが目に入った。しかもPhilip Glassのピアノ曲集である。試聴はできないものかと,試聴機を探していたら,あった,あったということで,冒頭の1曲聞いただけで「買い」を決めたアルバムである。

Philip Glassと言えば,ミニマル・ミュージックと呼ばれることが多いが,ここではミニマル的ではありながら,美しいピアノ作品となっていて,私はMichael Nymanの作品,"The Piano(「ピアノ・レッスン」と言った方が通りがよいかもしれない)"を思い起こしていた。いずれにしても,疲弊した精神や肉体を癒す効果が非常に感じられる作品。

ここでピアノを弾くVíkingur Ólafssonはアイスランド出身の33歳のピアニストであるが,アイスランドという環境がこうした美しさに貢献しているように思えるのは,オスロのレインボー・スタジオで録音されたECMの作品の美しさみたいなものと同質のようにも感じられる。もちろん,Philip Glassが書いた曲がもともと美しいのだってのは事実だが,この清冽な響きはたまらないねぇ。

2曲にストリング・クァルテットが加わるが,これがまた素晴らしいアクセントになっていて,しばらく私はこのアルバムから離れられそうにない。そんな一作である。非常に気持ちいいので,星★★★★★としてしまおう。まじでたまらん。

Recorded on October 24 & 25, 2016

Personnel: Víkingur Ólafsson(p),Siggi String Quartet(on 7&13)

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