カテゴリー「現代音楽」の記事

2007年8月28日 (火)

富樫雅彦:またも追悼記事は寂しい

Togashi ゛Spritual Nature" 富樫雅彦(East Wind)

先日のMax Roachに続いて,8/22に富樫雅彦も亡くなったそうである。享年67歳。最近は体調が悪かったらしく,演奏活動からは遠ざかっていたような富樫ではあるが,それにしてもまだ若過ぎる死である。謹んで冥福を祈りたい。

富樫が不慮の事故により下半身の自由を失ったのは極めて不幸なことだと言われているが,いかんせん,ドラマーとしての富樫の凄みを知るすべもない私としては,本日紹介している"Spritual Nature"のような音源に頼らざるをえない。

しかし,私は決して富樫にとっていいリスナーであったわけではない。いまだに私はこのアルバムのよさを理解できずにいるし,富樫は私にとって結構敷居の高いミュージシャンであることは間違いのない事実である。私がこのブログを始めた当初,富樫の"Session in Paris Vol.1: Song of Soil"を取り上げたことがあるが,あのアルバムはDon Cherry,Charlie Hadenというメンツもあり,比較的とっつきやすいものだったのに対し,本作を含めた多くの富樫の音源はリスナーを跳ね返してしまう厳しさにあふれている。この゛Spiritual Nature"は私の理解を越えた世界にあり,フリー・ジャズとも言いきれず,時折顔を出す牧歌的なサウンドもジャズ的ではない。これはもはやジャズというよりも現代音楽だというのが私の解釈である。

世評では高く評価されたこのアルバムも,そうした意味では決してポピュラーにはなりえない音楽である。私はプロの批評家ではないので勝手に言わせてもらうが,素人でこの音楽がFavoriteという人は私のセンスではありえない世界である。もしそうした人が本当にいるとしても,かなり「スノッビッシュ」な感じを与える。

いずれにしても,このアルバムは私にとっての「踏み絵」のような存在であり,相変わらず微妙である。久し振りに再聴してもやっぱり何がいいのかよくわからなかった。私の修行が足りないということだろうか...。しかし,時折顔を出すスリリングな瞬間と,追悼の意味を込めて星★★★☆。尚,追記しておくが,翠川のベースの音が素晴らしい。

Recorded on April 9 and 29

Personnel: 富樫雅彦(perc),渡辺貞夫(fl, sn, al-fl),鈴木重男(fl, as),中川昌三(fl, b-fl),佐藤允彦(p, perc),翠川敬基(cello, b),中山正治(perc),豊住芳三郎(perc),田中昇(perc)

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2007年2月 1日 (木)

Steve Reichの格安ノンサッチ・ボックス

Reich "Phases: A Nonesuch Retrospective" Steve Reich (Nonesuch)

ミニマル・ミュージックの巨匠,Steve ReichがNonesuchレーベルに残した音源をまとめて,Reich生誕70周年を記念して発売された5枚組ボックス・セットである。

Reichのミニマル・ミュージックは一度はまると癖になってなかなか抜け出せなくなってしまうのだが,このボックス・セットの魅力は何と言ってもその価格である。米国でのリスト・プライスは$34.99と1枚$7未満で,Reichの代表的な曲の数々を楽しめるのだから,これはお買い得と言えるだろう。日本でも相当の格安価格で購入可能である。

私のようなジャズ・ファンにとっては,Pat Methenyのために書かれた"Electric Counterpoint"に注目が集まるのは当然だが,そもそも"First Circle"で,Reichの"Clapping Music"へのシンパシーを感じさせたMethenyであるから,この組み合わせは特に驚くには値しないし,MethenyもここではあくまでもReichの世界でギターを弾いている。そう言えば,東京ミュージックジョイ(?)とかいうコンサート・イベントでMethenyがこの曲を弾いていたのも懐かしい。

しかしながら,それだけに留まらずReichのミニマル・ワールドが"Drumming"のような70年代の曲から,2005年発売の”You Are(Variations)"まで幅広く堪能できるアルバムとして,大いに推薦したい。ミニマル初心者にもお薦めでき,裾野を広げるのに貢献しうるセットとして星★★★★★。

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