2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

カテゴリー「ロック」の記事

2017年6月11日 (日)

もはや裏Fleetwood Macの趣:"Lindsey Buckhingham Christine McVie"

"Lindsey Buchngham Christine McVie" (East West/Warner)

Buckingham_mcvie私はなんだかんだ言ってFleetwood Macのアルバムを結構保有しているし,Beb Welchのいた時代から,彼らの持つポップさが好きなのだが,その中でも特に好きなのがChristine McVieなのだ。特に彼女のソロ・アルバム(邦題「恋のハートビート」だったか...)なんて本当に好きである(記事はこちら)。

そんなFleetwood MacからChristine McVieからはかなりの期間離れていたが,現在は復帰しているが,そこでLindsey Buckhinghamと彼女がデュオ・アルバムを出すとは想像していなった。Buckinghamが組むなら,当然Stevie Nicksだと思うのが人情だが,Christine McVieの方が圧倒的に好きな私には嬉しい驚きであった。

そしてデリバリーされたアルバムのクレジットを見ると,バックはJohn McVieとMick Fleetwoodではないか。それにMitchell Froomがキーボードで加わるという布陣は,ほとんど裏Fleetwood Macである。更に音を聞いてみると,どうしてもバッキング・ヴォーカルがStevie Nicksに聞こえてしまうから不思議である。私としてはクレジットされていないだけで,彼女が参加しているようにさえ思えてならない。Buckinghamにはベース,ドラムスのクレジットもあるから,Macのリズム隊は一部参加と考えてもよいが,それでもこれはファンにとっては,ほとんどFleetwood Macのアルバムとして聞いても問題はなさそうに聞こえる。

まぁ,それはさておきである。彼ららしいポップさを持ったアルバムは予想通りであるが,随分とLindsey Buckinghamの声がハスキーになった感じがして,時の流れを感じてしまう。Christineは古希を過ぎ,Buckinghamも今年で68歳なのだから,声の衰えは当然あって然るべきであるが,Chrisitineの声が以前と大して変わらないように思えるのは驚異的である。昔からChristineの声は渋い声だったということもあろうが,まだまだ若々しさを感じさせるのは立派だと思う。

曲は彼らしい曲だとは思えるが,今一歩のキャッチーさが不足しているような気がするのはやや残念だとしても,長年のChristine McVieのファンとしては,彼女が歌ってくれるだけでもうれしいのである。"Game of Pretend"なんてそのイントロを聞いただけで"Songbird"を思い出してしまうしねぇ。まぁそれでも評価としては星★★★★てところだろうなぁ。

Personnel: Lindsey Buckingham(g, key, b, ds, perc, vo), Christine McVie(key, vo), Mick Fleetwood(ds, perc), John McVie(b), Mitchell Froom(key)

2017年4月28日 (金)

Paul McCartney@東京ドーム参戦記

Paul_at_td1_2

今年もやってきたPaul McCartneyを見るために,東京ドームに行ってきた。相変わらずの優れたエンタテインメント性を感じさせるライブだと思ったが,ここ数年で3回目ともなると,やはり以前見た時のような高揚感は得にくくなっているのも事実ではあるが,Paulが74歳だということを思えば,やっぱり凄い老人だと言わざるをえない。

正直に言ってしまえば,これまで見た中では最も喉の調子が良くなかったように思えたが,それでも映像を含めた演出を考えれば,スタジアム級のライブのやり方を本当によくわかっている人たちである。

これは前にも書いたことだが,ライブの演奏を5人の近年不動のバンドで,テクノロジーに依存することなく聞かせるのは本当に立派だし,ロック・バンドというのはそういうものだという矜持を感じさせるものであった。ネットによれば,今回のセット・リストは下記の通り。

01. A Hard Day’s Night
02. Junior’s Farm
03. Can’t Buy Me Love
04. Letting Go
05. Temporary Secretary
06. Let Me Roll It
07. I’ve Got a Feeling
08. My Valentine
09. 1985
10. Maybe I’m Amazed
11. We Can Work It Out
12. In Spite of All the Danger
13. You Won’t See Me
14. Love Me Do
15. And I Love Her
16. Blackbird
17. Here Today
18. Queenie Eye
19. New
20. The Fool on the Hill
21. Lady Madonna
22. FourFiveSeconds
23. Eleanor Rigby
24. I Wanna Be Your Man
25. Being for the Benefit of Mr. Kite!
26. Something
27. Ob-La-Di, Ob-La-Da
28. Band on the Run
29. Back in the U.S.S.R.
30. Let It Be
31. Live And Let Die
32. Hey Jude
encore
33. Yesterday
34. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
35. Hi, Hi, Hi
36. Birthday
37. Golden Slumbers
38. Carry That Weight
39. The End

お馴染みのナンバーが多い中で,改めて"My Valentine"は曲の素晴らしさを感じさせた。BeatlesやWingsのナンバーの演奏は,予定調和だと言われればその通りかもしれないが,一緒に歌える幸せを感じられればそれでいいのである。しかも,こっちは約2.5時間超立ちっぱなしなだけで,膝や腰が痛いとか言っているのに対し,ショー全体を通して歌い通す,74歳のPaulはいやはや立派としか言いようがないとずっと思っていた。今回も,いつもの演出だと思いながらも,"Something"を聞いて,ウクレレ・パートから"Abbey Road"的な演奏に移行する瞬間と,そのバックに映るGeorgeとPaulの姿に涙し,"Live and Let Die"の炎の熱量に圧倒されて帰ってきた私であった。ということで,その2枚の映像をアップしておこう。

Live at 東京ドーム on April 27, 2017

Personnel: Paul McCartney(vo, b, g, p, ukulele), Rusty Anderson(g, vo), Brian Ray(g, b, vo), Paul Wickens(key, hca, vo), Abe Laboriel, Jr.(ds, perc, vo)

Paul_at_td2

2017年4月26日 (水)

John Mayerの約4年ぶりの新譜。不思議なリリース形態である。

"The Search for Everything" John Mayer(Columbia)

_20170423_2_2John Mayerの"Paradise Valley"に続く新作である。前作が2013年のリリースであるから,約4年ぶりということになるが,その間に来日したり,ほかのミュージシャンのアルバムに客演したりしているから,久しぶりという感覚はあまりしなかった。 

その感覚のもう一つの要因は,本作に収められている12曲のうち,8曲は既に"The Search for Everyting:Wave One/Wave Two"として,ネット上でEP扱いながらリリースされていたからにほかならないが,昔に比べると,John Mayerは渋い路線になったなぁと思わせることは本作でも同じである。

いずれにしても,12曲中8曲を先にリリースして,フル・アルバムをリリースという形態は非常にユニークなものではあるが,予告編としてのEPとして,期待を盛り上げるやり方ってのはあるだろうなぁと思わせた。しかし,2/3もさらしてしまっては,フル・アルバムの売れ行きが心配になるのは余計なお世話か(笑)。

本作の音を感覚的に捉えると,前作のフォーク路線というよりは,"Continuum"のソウル的路線に若干近いように思えるが,いずれにしても,バリバリとギターを弾きまくるという感じではなく,レイドバックした感覚が勝っている。私としてはよりロック的なアプローチのJohn Mayerを聞きたい気もするが,アラフォーにしてはどんどん枯れた味わいを増しているのはどうしてなんだろうかと思ってしまう。しかも基本のメンツはPino PaladinoとSteve Jordanとのトリオなのである。

まぁ,それでもやはりこの人の歌やギターには相応の魅力はあるわけで,今回もそれなりに楽しんだ私である。星★★★★。しかし,このジャケはなぁ...。

Personnel: John Mayer(vo, g), Pino Paladino(b), Steve Jordan(ds, perc), Larry Goldings(key, org), James Fauntieroy(key), Greg Leitz(pedal steel, dobro), Mike Elizondo(b), Jim Keltner(ds), Aaron Sterling(perc), Davide Rossi(strings), Gary Grant(tp), Chuck Findley(tp), Andy Martin(tb), Daniel Higgins(sax), Al Jardine(vo), Matt Jardine(vo), Tiffany Palmer(vo)

2017年4月20日 (木)

お約束通り,今日は"Massacre"である(笑)。

"Killing Time" Massacre(Recommended Music/Celluloid)

_20170416_2昨日,The Golden Palominosを取り上げて,そこに次はMassacreでも聞くか,と書いてしまったので,お約束通り(笑)のMassacreである。

メンツからすれば,Material一派ということになるが,このハードなインプロヴィゼーションは,Bill Laswell主導のファンク・フレイヴァーもあるMaterialより,Fred Frithの音楽系統ということになるだろう。思い返せば,大学のサークルのアヴァンギャルド好きの先輩が,部室でこれを掛けていたのを記憶しているが,当時はなんじゃこれは?と思っていたが,今でもその感覚は大して変わらない(爆)。もともとのMassacreは短命なバンドだったが,後に,ドラムスをCharles Haywardに交替して,90年代後半に再編しているが,さすがにそこまでは追っていない。だってなんじゃこれは?なんだもん(笑)。

いずれにしても,MaterialやGolden Palominos同様,フリー・ジャズ的な要素は表れてくるが,ファンク度が低い分,更に実験的な色彩が強くなる。CDの盤面には"Play It Loud"なんて書いてあるが,我が家でこれを大音量で聞いたら,それこそ家人の大顰蹙を買うこと必定なので,地味なヴォリュームで聞いている私である。

このCDはオリジナルの音源に,ライブ音源なんかも加えたものだが,今でもカタログに残っているから,ニーズはあるんだねぇ。私もよくもまぁ,こんなもんまで持っているもんだと,逆の意味で感心してしまったが,これも聞く頻度は極めて低いアルバム。それでも,まぁ,あの頃のアヴァンギャルド感を思い出させるということで,面白いと言えば面白いんだが...。まぁ,今の感覚で言えば,Golden Palominosの方が私にとっての聞きやすさを持っており,星★★★ぐらい。ボーナス・トラックはロック的なところも感じられてなかなか面白いが,さて,これも次に聞くのはいつになるのやら(苦笑)。

しかし,Fred Maherって,MaterialやMassacreからScritti Polittiへ軸足を移すって,どういう頭の構造や?と思うのは私だけ?

Recorded in April, June, July and August, 1981

Personnel: Fred Frith(g, vo, cassiotone), Bill Laswell(b, pocket-tp), Fred Maher(ds, perc)

2017年4月19日 (水)

これも引っ張り出してきた"The Golden Palominos"

"The Golden Palominos" (Celluloid)

_20170416これもクロゼットにしまったまま,なかなか聞かないアルバムである。本作は中古番屋でMaterialと一緒に買った(笑)ものである。Materialにしても,このGolden Palominosにしても,時代の徒花と言ってしまえば,その通りだが,1980年代ってのはこういうのが結構もてはやされたこともあったのである。今にして思えば,ちょっと笑ってしまうが。

このアルバムもMaterial同様,ファンクとフリー・ジャズの融合みたいな感じがするが,参加しているメンバーを見れば,さもありなんって感じである。ここでもBill Laswellが共同プロデュースを行っており,こういう音楽を仕切っていたのがLaswellであることがはっきりするわけだが,この音楽をジャズとして捉えることには抵抗のあるリスナーも多いだろうなぁ。

しかし,このアルバムの5曲目"Cookout"を聞いていると,これが明らかにHerbie Hancockの"Future Shock"で聞かれたスクラッチやリズム・フィギュア導入に向けての実験だったという気がしてくる。その一方,このアルバムが,ある一定の筋のリスナーに訴求するのは,Arto Lindsayの参加によるところが大きいと思う。私は,プロデューサーとしてのArto Lindsayは評価しているが,ミュージシャンとしては,ノイズをまき散らすよりも,Ambitioous Loversのような音楽の方が好きである。だが,やはり,Arto Lindsayのヘタウマ・ヴォーカルと,ノイジーなギターは個性を発揮していて,Material的ファンクに乗っかっても,別のグルーブを与える要因にはなっていると思う。

まぁ,しょっちゅう聞こうという気にはならないが,今を去ること,35年ほど前にはこういう音楽もあったのだということを改めて振り返るために,保有することには相応の意義はあるが,でも次に聞くのはいつになるのやら...(苦笑)。でもこういうのも結構好きなわたしもかなりの変態ってことで(爆)。星★★★★。それにしても,Slap HappyのPeter Blegvadがヴォーカル・コーチとしてクレジットされているのはどういうこと?(爆)

こうなったら,次は"Massacre"でも聞くか(笑)。

Personnel: Anton Fier(ds, perc, synth),Arto Lindsay(vo, g), Fred Frith(g, vln, vo), Nicky Skopeltis(g), Michael Beinhorn(synth, b-ds), Bill Laswell(b, p, turntable), Jamaaladeen Tacuma(b), David Moss(perc), John Zorn(as, cl, game calls), M.E. Miller(vo, turntable), Thi-Linh Le(vo), Roger Trilling(records)

2017年4月16日 (日)

武道館ライブを思い出させるTedeschi Trucks Bandの新作ライブ盤。

"Live from the Fox Oakland" Tedeschi Trucks Band(Fantasy)

Ttb_oaklandTedeschi Trucks Bandの新作はまたもライブ盤である。ほぼ年1作のペースでアルバムをリリースしているが,"Everybody's Talkin'"というライブ盤もあったので,バンドとして5作目にして2作目のライブというのは,どこかライブ盤が多いAllman Brothers Bandを彷彿とさせる。

この人たちのライブは,昨年の武道館でもそうだった(記事はこちら)が,非常に楽しめるものであり,ジャム・バンド的な要素もあるから,アルバムもライブ盤を出したくなるのかなぁって気もするが,今回も安心して聞ける。まぁ,いつも通りということではあり,どれを聞いても同じだという感覚は今回も残っているのだが,それでもLeonard Cohenの"Bird on the Wire"とか,George Harrisonの"Within You Without You"なんかもやっていているし,"I Want More"のアウトロには,Santanaの"Soul Sacrifice"なんかを入れているのが面白い。更には,Miles Davisの"Jack Johnson"ボックスに入っていた"Ali"なんてのもやっている。

ここでも,演奏は快調そのもの。1曲当たりの演奏時間が長いのも,ジャム・バンド的彼らの体質を反映したものと言えるだろう。やはり,彼らの演奏を聞いていて,私の耳を捉えて離さないのはDerek Trucksのスライドの技である。ここでも弾きまくっていて,彼のギターを聞いているだけでも満足度が高い。バンドがタイトにまとまっていたのは,武道館同様であるが,ツアーを重ねて更にまとまりが増しているように感じる。

まぁ,正直言うと,Susan姉さんの声にはちょっと飽きてきたかなぁって気がしないでもなくて,強力な男性ヴォーカリストとのバンドを,Derek Trucksには組んで欲しいような気がしないでもないが,仲よきことは美しきことなりってことで,まぁ許す(爆)。ということで,いつも彼らには甘いなぁと思いつつ星★★★★☆としてしまおう。

本作が録音されたFox Theaterってのはキャパ2,800人のホールらしいが,下の写真のように,見るからにいい感じである。彼らにはこれぐらいの箱の方がフィットしていると思うのは私だけではないだろう。映像は未見だが,そのうちよくチェックしてみよう。

Recorded Live at Fox Theater, Oakland on September 9, 2016

Personnel: Susan Tedeschi(vo, g), Derek Trucks(g), Kofi Burbridge(p, key, org, fl), J.J. Johnson(ds, perc), Tyler "Falcon" Greenwell(ds, perc), Tim Lefebvre(b), Mike Mattison(vo), Mark Rivers(vo), Alecia Chakour(vo), Kebbi Williams(sax), Elizabeth Lea(tb), Ephraim Owens(tp), Alam Khan(sarod)

Fox_oakland

2017年4月 3日 (月)

ようやく到着:"All Things Must Pass"のアナログ盤。

"All Things Must Pass" George Harrison(Apple)

All_things_must_pass_1970_cover何も言うことのないGeorge Harrisonの代表作であり,傑作である。今回,Georgeのアルバムがアナログで復刻されるに際して,全アルバム集成ボックスはさすがに高くて手が出なかったが,CDも持っているんだから何も購入しなくてもよい本作を改めて購入してしまったのには訳がある。

私が現在,保有しているのは30周年記念盤のCDであるが,あっちはあっちでいいのだが,Apple Jamの順番がオリジナルと変わっていたり,ディスク1最後へのボーナス・トラックの挿入によって,どうも流れが分断される感覚があったのも事実である。やはり,このアルバムはアナログで聞いた方がいいのだと思ってしまったのである。

そもそも私は以前,このアルバムをアナログで保有していたのに,今にして思えばCD(30周年記念盤ではない,それ以前のヴァージョン)を購入した際に売ってしまったのは,残念というか惜しいという感じだが,それをまた買っているのだから,私も相当のアホである(苦笑)。

改めてアナログで聞いてみて,作品の素晴らしさは言うまでもないが,アナログの質感というか,オリジナルのボックスを細かく再現した新ボックスとして保有することの嬉しさを改めて感じてしまった。だから家人からも馬鹿にされるわけだが,やはりこれは最高である。

値段の高さ(送料込みで8,000円強)とデリバリーの遅さ(アメリカから飛ばしたので仕方ないが...)には辟易としたが,若かったころ,初めてこのアルバムを聞いた時の感覚を,ボックスを眺めながら思い出していた私である。本当にいい曲が揃っていて,George Harrisonというミュージシャンの実力が完全に発揮されていると思う。どの曲も好きだが,特に"Beware of Darkness"って最高だなぁって思っていた。Georgeのファンで改めてよかった至福のリスニング。当然,星★★★★★。

Personnel: George Harrison(vo, g), Ringo Starr(ds, perc), Jim Gordon(ds, perc), Alan White(ds, perc), Klaus Voorman(b), Carl Radle(b), Gary Wright(key), Bobby Whitlock(key), Billy Preston(key), Gary Brooker(key), Pete Drake(pedal steel), Eric Clapton(g), Dave Mason(g), Bobby Keys(ts), Jim Price(tp), Mal Evans(tambourin), George O'Hara Smith Singers(vo), John Barham(arr)

2017年3月29日 (水)

Esperanza Spalding@Blue Note参戦記

Esperanza_at_blue_note私が,Esperanza Spaldingのライブを見たのはほぼ4年前のオーチャード・ホールに遡る(その時の記事はこちら)。その後も昨年は"Emily's D+Evolution"のリリースを受けたツアーを行っているが,それは私は見ていない。だが,新作はミュージック・マガジン誌ではアメリカン・ロックとして評価されていて,へぇ~と思っていた私である。

そんなEsperanza Spaldingが突如,トリオで来日してBlue Note東京でライブをやると聞いては,やはり気になる。告知されたのが公演約1カ月前ぐらいだったはずなので,急きょ決定みたいな感じだったのではないかと思える。ということで,初日の2ndセットに参戦してきたのだが,この公演は,最近では最もネットの予約がつながりにくかったものの一つと言ってもよいかもしれない。それぐらいの大人気で,3日間,ほぼソールド・アウトのような状態のようである。

今回はEsperanzaのベース,ヴォーカルにギター,ドラムスという最小編成と言ってよいものであったが,際立つのがEsperanza Spauldingのベーシストとしての手腕である。とにかくうまい。アコースティック・ベース,フレットレス5弦エレクトリック・ベースをほぼ半々で弾いたEsperanzaであったが,ファンクであれ,ブラジル・フレイヴァーであれ,4ビートであれ,何でもござれである。しかもそれが素晴らしい音で奏でられるのだから,ベーシストとしてだけ活動しても間違いなくやっていけると確信させるに十分。そこにあの声がかぶさると,もはやジャズ界では無敵って感じがする。私は,ヴォーカルの魅力は認めつつも,今回は完全にベース・プレイヤーとしてのEsperanzaに圧倒されたというのが正直なところである。

そのEsperanzaを支えたギターのMatthew Stevensはリーダー作もリリースしているが,テレキャス1本,かつエフェクターにほとんど頼らない音で勝負するという感じであった。この人のフレーズのアウト感覚には,聞きながら,「変わってるわ~」と思わせつつも,聴衆には受けていた。ギターは変態的だが,1stと2ndの間に,トイレの脇でスマホをいじくっていた彼を目ざとく見つけた私は,ちょいと声を掛けたが,話しっぷりは好青年そのもの。握手の力強さが印象的なナイスガイだったということは付け加えておこう。

そして,ドラムスのJustin Tysonはサポートに徹するという感じの叩きっぷりであったが,非常にタイトなドラミングはバンドとしてのノリをプッシュする力強さがあったと思う。

曲は新旧取り混ぜて満遍なくって感じだったが,私はWayne Shorterの曲にEsperanzaが詞を付けた"Endangered Species"のファンク的な乗りがベース,ヴォーカルともに一番だったと思っている。ちなみにEsperanzaは途中で,聴衆がおとなしいって言っていたが,確かに普段の彼女のライブならば,もう少しワイルドなレスポンスがあるのかもしれない。まぁ,大部分はロックなノリの聴衆ではなかったので,まぁそれも仕方ないだろう。

演奏は本チャンが55分ぐらいの短めのセットだったが,アンコール2回で都合75分ということで,まぁ普通かなぁってところであったが,やはり日頃からエンタテイメントとしてのライブを行っていることを感じさせる演奏で,大いに楽しめた。これで私の体調がもう少しよければ,尚よかったんだけどねぇ(苦笑)。

Live at Blue Note東京 on March 27, 2017,2ndセット

Personnel: Esperanza Spalding(b, vo),Matthew Stevens(g),Justin Tyson(ds)

2017年3月 6日 (月)

Susan姉さんのカヴァー集を久しぶりに聞いた

"Hope and Desire" Susan Tedeschi (Verve Forecast)

_20170304_2今や,Tedeschi Trucks Bandのと言った方がよさそうなSusan Tedeschiであるが,バンド結成前には自身の名義でアルバムをリリースしていて,このブログでもバンド結成前の"Back to the River"を取り上げたことがある(記事はこちら)。その時から「姉御っ!」と言いたくなると書いている私だが,予想通り,その後は夫婦バンド結成を果たし,ライブ活動に明け暮れている感じである(近々,またもライブ盤がリリースされる)。

本作は"Back to the River"より前の,2005年にリリースされたものであるが,注目はJoe Henryのプロデュースということである。Joe Henryは自身のアルバムも渋いが,プロデュースした作品にもしびれるような作品が多い。Loudon Wainwright III然り,Ramblin' Jack Elliott然り,Allen Toussant然りである。もちろん,Hugh Laurieのようなダメダメ盤もあるが,平均点は極めて高く,信頼するに値する人である。

そのJoe Henryがプロデュースするのだから,期待するのが当たり前なのだが,私にとってはこれがちょっと微妙である。バックのサウンドとSusan Tedeschiの声がちょっとアンマッチな感じがするのである。こういう感覚はTedeschi Trucks Bandでは感じたことがないものだ。ここには旦那のDerek Trucksや,バンド・メイトと言ってもよいDoyle Bramhaul IIもいるにもかかわらずなのである。これはおそらく,レパートリーがSusan Tedeschiの声に余り合っていないのではないかと思わせる。

ここで取り上げられたような曲は,もう少し渋いというか,枯れた声で歌われた方が魅力的だと思わせる部分がどうしても残ってしまう。現在のSusan Tedeschiが歌えば,もう少し違った感覚があるかもしれないが,やはりこれはちょっと青臭い感覚が残るのが残念。ということで,新作のライブ盤を期待することにしよう。星★★★。

Recorded on April 1-14, 2005

Personnel: Susan Tedeschi(vo), Derek Trucks(g), Doyle Bramhall II(g),David Palmer(p, el-p, org), Jebin Bruni(org), Paul Bryan(b), Jay Bellrose(ds, perc), Jean McCain(vo), Niki Harris(vo), The Blind Boys of Alabama(vo)

2017年3月 4日 (土)

先日取り上げたGrace Jonesの"Hurricane"のダブ・ヴァージョン。

"Hurricane Dub" Grace Jones(Wall of Sound)

_20170226先日,このブログでも取り上げたGrace Jonesの"Hurricane"であるが,オリジナルのリリースからやく3年後,このオリジナルにこのダブ・ヴァージョンを加えた2枚組としてリリースされており,今や2枚組の方が安く手に入る場合もあるという不思議な状態になっている。ジャケはオリジナルと全く違うものになっているが,こっちはこっちでGrace Jonesっぽいよねぇ(笑)。

まぁ,ダブ・ヴァージョンと言えば,歌を極力排除したリミックスみたいなものなので,これをGrace Jonesの音楽と言ってよいかどうかは微妙なところもあるが,オリジナルに対するオマケだと思えば腹も立たないし,そもそも安いからいいではないか。

本作は,オリジナルのプロデュースも行っていたIvor Guestが中心となって作り上げたヴァージョンであるが,なぜ3年後?という疑問は残る。違う形で,自身のプロデュース作品を残そうという欲求でも働いたのかもしれないが,真相は謎である。

こういうタイプの音楽は,家で聞くというよりも,我ながらワンパターンな表現だが,NYCのイースト・ヴィレッジ辺りにあるこじゃれたバーでかかっていると丁度いいのではないかというものであって,ある意味,環境音楽と言ってもよいと私は思っている。なので,本記事のカテゴリーにもアンビエントを加えたのはそのためである。

私としてはこういう音楽を評価対象とするのかどうかというと,これはあくまでも派生的なものであって,音楽の本質ではないということで,あくまでも聞き流すためのものだと思う。だが,こういう音がフィットする環境もあるだろうし,適切なロケーション,時間帯,あるいは雰囲気でプレイバックされていたら,なんかいい感じだよねえって思うんだろうなぁ。但し,家でこれを大音量でプレイバックしたら,家人から「また訳の分からない音楽の垂れ流し」(爆)と顰蹙を買うこと必定であろう。

でも嫌いじゃないけどね(笑)。

より以前の記事一覧

Amazon検索

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)