カテゴリー「ロック」の記事

2008年11月14日 (金)

Jeff Beckの新作はまたまたライブだが,前作と何が違うねん?

Beck ゛Performing This Week: Live at Ronnie Scott's" Jeff Beck (Eagle Rock)

Jeff Beckの新作がいきなりの登場であるが,ロンドンの名門ジャズ・クラブ,Ronnie Scott'sでのライブというのにまず驚かされる。クラブでBeckを見られるなんていいよなぁ。日本ではそもそも考えられないではないか。そこでのライブの模様を収めたものであるが,これがちょいと微妙である。

何分,Jeff Beckの日本における前作は"Official Bootleg USA '06"(前作のレビューはこちら)であるが,それはそもそもコンサート会場やWebサイトで販売されていたものをマーケットに出したものである。よって,そんなに流通量はないのかもしれないが,それでも今回の新作は前作との曲のかぶりがあまりに多過ぎるのである。確かにベーシストはThe WhoでもプレイするPino Palladinoから小柄ながらエネルギッシュなベースを弾くTal Wilkenfeld嬢に代わっているが,演奏のトーンや雰囲気に大きな違いはないので,前作を買ってしまったファンにとっては,敢えてこれをまた買うかというとこれはかなり微妙であろう。Vinnie Colaiutaは前作よりずっとタイトでいいと思うが,録音のバランスがギターに偏り過ぎで,そのパワーの全貌を捉えられているかというとそれもちょっと微妙である。

まぁこのアルバムの演奏の模様はDVDでも発売されるようだから,敢えてこのCDを買うならば,DVDを購入した方がよいだろう。このバンド,特にJeff BeckのカッコよさはCrossroad FestivalのライブDVDでのたった2曲の演奏だけでも実証されているから,彼らだけの演奏をフルに楽しめるなら私もDVDを買ってもいいかなと思う。ということで,演奏そのものはかなり荒っぽいところもあるが,相変わらずのカッコよさで,音源としてだけ考えれば,前作同様星★★★☆ぐらいだろう。しかし,消費者の弱みにつけこむような音源のリリースの仕方は糾弾したくなるよなぁ。

Recorded Live at Ronnie Scott's in London between November 27 and December 1, 2007

Personnel: Jeff Beck(g), Tal Wilkenfeld(b), Vinnie Colaiuta(ds), Jason Rebello(key)

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2008年11月 7日 (金)

Rip Rig + Panic:ファンクとフリー・ジャズの折衷

I_am_cold ゛I Am Cold" Rip Rig + Panic (Virgin→Progressive Line)

私はパンク・ロックというものに昔も今もほとんど関心がない。よってSex PistolsもSlitsもPop Groupも全く聞いたことがないと言っても過言ではない。例外はClashぐらいだろうか。Pop Groupについては大学時代のサークルの先輩が聞いていて,何とも不思議な音楽だと思っていた記憶があるが,それでも主体的に聞く気にはならなかった。

このRip Rig + PanicはそのPop Groupから派生したグループであり,そういう意味では私も買ったことがあるPig Bagと同系列である。Pig Bagも結局のところ,ファンク・ミュージックをベースにしていた記憶があるのだが,いかんせん何年も聞いたことがないし,もはや手許にもないので何とも言えない。このRip Rig + Panicも基本はファンクにフリー・ジャズのフレイバーを加えた音楽と言ってよいのだろうと思う。

ここまで書いて,では私がなんでこのアルバムなのかが不思議なわけだが,実はこのアルバム,先日,中古で拾ったものである。私はこのピカソによるジャケが長年気になっていたこともあるのだが,このアルバムを購入した最大の要因はDon Cherryの参加である。このグループにはDon Cherryの娘,Neneh Cherryが所属している縁でDon Cherryも参加となったものと思われるが,このDon Cherryがかなりよい。この人はECMでのユニットCodonaではかなり民族音楽的なアプローチも見せれば,このアルバムのようにファンク・アプローチにも溶け込んでしまうという幅広さを持ち合わせていて,このアルバムは結構楽しめてしまった。

私が購入したのはオーストラリアで再発されたボーナス・トラック入りのものだが,これももはや廃盤らしい。今聞いても,彼ら,あるいはA Certain Ratioのようなブリティッシュ・ファンク的な乗りの音楽は楽しめるだけに,マーケットから消えてしまうのは惜しいようにも感じるし,ここではやはりDon Cherryの演奏を楽しみたい。今の私ならば,パンク・ロックに関心がなくても抵抗なく受け容れられる音楽となっている。再発を期待して星★★★★☆としよう。

それにしてもこのグループ名があるから,その元ネタであるRoland Kirkと私はずっと縁がないまま来てしまったのかもしれないなぁ...。反省。

Personnel: Gareth Sager, Mark Springer, Bruce Smith, Sean Oliver(composers, producers), Don Cherry(tp), Neneh Cherry(vo), Jez Parfit(bs), Flash(sax), David De Fries(tp), Andrea Oliver(vo), Giles Leaman(perc), Steve Noble(ds), Sarah Sarahandi(viola), Debbile(cello), Alph Wait(tb)

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2008年11月 1日 (土)

祝来日!Billy Cobhamの゛Spectrum゛を改めて聞く

Spectrum ゛Spectrum゛ Billy Cobham(Atlantic)

11月に゛Spectrum゛ツアーと題して来日するBilly Cobhamであるが,そのツアー・タイトルとなったアルバムを久々に聞いてみた。これが1973年のCobhamの初リーダー作であるが,全編に渡って千手観音Billy Cobhamのドラミングが爆裂している。このダブル・バスドラを聞いて燃えないリスナーはCobhamとの相性が悪いと思って諦めた方がよい。

全曲がCobhamのオリジナルっていうのも凄いが,さすが初リーダー作,とことんドラムスを叩いていて,やかましいことこの上ないが,決して嫌みを感じさせないやかましさであり,私はここまで行くと爽快感さえおぼえる。かつメンツがメンツだけにどうやってもロック的になる。ギターは後にDeep Purpleに加入するTommy Bolin,キーボードはMahavishnuの同僚,Jan Hammerだからこれはロック的になっても当たり前である。ベースのLee Sklarというのはやや意外な人選とも言えるが,今やTOTOでもプレイするSklarであるから,問題なくロックをぶちかましている。だいたい゛Stratus゛なんて曲は後にJeff Beckがカバーしたというロック・チューンであるから支配的なサウンドがどんなものかは聞かずとも明らかであろう。特にシンセの響きに1973年という時代は感じさせるが,今でも十分に楽しめるヘビーなジャズ・ロックである。但し,若干異なったメンツで演じられる"Le Lis"はCTIレーベルや70年代の映画音楽のような趣もありである。まぁこれも悪くない。星★★★☆。

しかし,このアルバムだけを聞いて,Billy Cobhamをロック主体のドラマーだと思ってはならないと付け加えておきたい。Gil Evansと共演すれば,非常にサトルなドラミングを聞かせることもできるし,ノルウェーのミュージシャンたちと極めてモダンなジャズ・アルバムも作っているのである。そのことを分かった上でこのアルバムを楽しむというのがCobhamに対する礼儀である。繰り返すがCobhamは「猛爆」だけのドラマーではない。そうした意味ではDennis Chambersとも共通した部分を見出せると思う。

それにしてもである。まぁよくも叩いたり。ライブでもこういう音楽を再現してくれるなら行ってみたいような気もするなぁ。来日メンツはCobhamにTom Coster,Dean Brown,Victor Baileyらしいので,相応には期待できるが,う~む,どうしようかなぁ。困った。

Recorded on May 14-16, 1973

Personnel: Billy Cobham(ds), Tommy Bolin(g), Jan Hammer(key), Lee Sklar(b), Joe Farrell(fl, ss, as), Jimmy Owens(tp, fl-h), John Tropea(g), Ron Carter(b), Ray Barretto(congas)

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2008年10月26日 (日)

これはいい!:吉田美奈子と渡辺香津美のデュオ・アルバム

Nowadays ゛Nowadays゛ 吉田美奈子/渡辺香津美(ewe)

これは素晴らしいアルバムである。吉田美奈子のヴォーカルと渡辺香津美のギター(多重録音あり)のデュオで演じられたロック,ジャズ・フィールドにまたがる曲の数々が何ともスリリングな響きを醸し出している。

この編成だからと言って静謐な響きを予想すると,軽く裏切られる。何てたって冒頭はDoorsの゛Light My Fire゛である。これまた吉田美奈子のディープ・ヴォイスが魅力的に響き,それを香津美の適確なバッキングが支えている。そしてDuke Ellingtonの゛Sophisticated Lady゛をはさんで演じられる3曲目のHarace Silver作゛Opus De Funk゛は吉田のスキャットにユニゾンでかぶさる香津美のギターがカッコよ過ぎで,ここで私は悶絶した。その後も次から次へと展開されるめくるめくデュオ・ワールドである。これはたまらん。

このアルバムのよいところは,渡辺香津美が時ににディストーションをぶちかまし,ヴォリューム・ペダルもうまく使いながら,単なるデュオ・アルバムに終らせていない点である。ギターとヴォーカルと言えばJoe PassとEllaか,Jack WilkinsとNancy Harlowかという感じだが,このアルバムは全く違うオリジナリティを感じさせる。

選曲としてはDuke Ellington関係の4曲というのが突出しているが,Joni Mitchell関係も2曲(゛Both Sides Now゛と゛Goodbye Pork Pie Hat゛)をやっていて,吉田美奈子の声を聞いていると,煙草の吸い過ぎでディープな声になってしまったJoni Mitchellその人を想起させると言ってはほめ過ぎか。

私はこのアルバムを全面的に支持するが,一点だけ問題があるとすれば,吉田美奈子の英語の発音である。彼女は子音が連続すると(F-R等が典型的),途端にカタカナ英語のように母音がさし込まれるように聞こえてしまうのが難点である。これさえなければ満点でもよかったが,そこを減点して星★★★★☆。しかし,私の中では間違いなく今年のベスト・アルバム候補の一つとなった。ジャズ,ロック,ポップス等を幅広く聞いている人は確実に気に入るタイプの音楽と思う。

Recorded on July 6, 7, 8, 9, 28, 29 and 30, 2008

Personnel: 吉田美奈子(vo),渡辺香津美(g)

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2008年10月22日 (水)

恥ずかしながら初めて聞いた゛Rainbow on Stage"

Rainbow_on_stage "Rainbow on Stage" Rainbow (Polydor)

私は小学生の頃Deep Purpleの゛Live in Japan (Made in Japan)"を聞いてハードロックに目覚めてしまったことは以前,このブログにも書いた(Deep Purple:私の洋楽の原点の一つ)。その原体験が強過ぎたということもあり,徐々にプログレに関心が移っていった私としては,Richie Blackmoreが脱退後のPurpleには興味が持てなくなっていたし,ましてやRainbowにも関心はなかったと言ってよい。

しかし,私はストレスがたまるとハードロックが聞きたくなる性向があるようで,先週仕事が結構きつかったところに,日頃よく利用するCDショップで,本アルバムの再発盤を手頃な価格で見つけるに及び,妙にムラムラとしてきてゲットしてしまった次第である。

それでもって結論はと言えば「Ritchie,私が悪かった」と言いたい。このアルバムが発売されてから30年以上になるわけだが,その間,このアルバムを無視してきたとは何とももったいない限りである。何ともよくできたハード・ロックのライブ・アルバムではないか。特にその後のPurpleにある意味飽きを感じてきた人間にとっては,このバンドでのRonnie James DioやCozy Powellとの共演が妙に新鮮に響くのである。

そもそもRainbowのレパートリーに特化し,昔のPurpleやBlack Sabbathでの名前にほとんど頼っていないことも好感が持てる。そうは言ってもRitchie Blackmoreの演奏はどう聞いてもBlackmoreのままであり,バンド変われど「三つ子の魂百まで」状態である。ハードでスピーディなリフやハンマリングに時折叙情性を見せるところが何ともRitchie Blackmoreである。

録音は日本と欧州でのものが混ざっているらしいが,確かに雰囲気が違うように思えてやや違和感はあるが,結構楽しめてしまったので星★★★★。

Personnel: Ronnie James Dio(vo), Ritchie Blackmore(g), Cozy Powell(ds), Tony Carey(key), Jimmy Bain(b)

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2008年10月20日 (月)

待望!Rachael Yamagataのセカンド・アルバム

Elephants "Elephants...Teeth Sinking Into Heart" Rachael Yamagata (Warner Brothers)

あの傑作デビュー・アルバムから4年,Rachael Yamagataのセカンド・アルバムはメジャーのWarner Brothersからであるが,こんなアルバムをレーベル初作にして大丈夫なのかと思わせるイメージを持つアルバムである。

このアルバム,オリジナルは2枚組で1枚目が゛Elephants゛,2枚目が"Teeth Sinking Into Heart゛というコンセプチュアルな作りになっているのだが,日本盤はRachaelが曲順を変更して敢えて1枚ものとして発売されている。私が購入したのは輸入盤の2枚組であるが,どちらがいいのかは微妙としても,Rachaelやプロデューサーの意図を理解するためには私は輸入盤の方がいいと思う。

ではなぜ微妙なのか。1枚目の゛Elephants゛はストリングスも交えたかなり静謐系の内省的サウンドであるのに対し,2枚目の゛Teeth Sinking Into Heart゛はロック的なバンド・サウンド主体であるからである。この1枚目がある意味ではかなり「暗い」と思われても仕方がないところがあり,これを1枚続けて聞かされると辟易としてしまうリスナーがいても不思議ではない。よって,曲順を変えてある程度メリハリをつける国内盤のやり方もありだとは思わされるのである。しかし,私のように1枚目の内省的な音楽にも強い魅力を感じる人間にとっては,やはり輸入盤仕様でも全く問題ない。面倒なのはディスクを代える手間だけである。iPodに突っ込んでしまえば,それも問題にならない。1枚目のサウンドは私が結構ひいきにしているRay LaMontagneとの連関性も見出せる(彼も参加している)ということで,やはりこれはたまらん。そう言えばほぼ時を同じくしてRay LaMontagneの3rdアルバムも発売されたし,こちらも早く聞きたい!!

2枚目のディスクは1枚目に比べると完全にロック化していて,このギャップに驚かされると言えばその通りである。しかしこういうコンセプトだと思えばいいのである。しかし,冒頭に書いたように,レーベル移籍第1作でこうしたコンセプト・アルバムを打ち出すことにはかなり勇気が必要だったはずであり,そうであるがゆえに,セールス的にもどうなのかと余計な心配をさせられてしまう。デビュー・アルバムに比べるとキャッチーさにはやや欠けるような気もするし,これで売れなくてまたレーベルを転々とさせられ,次のアルバムはまた4,5年後っていうのは勘弁してっもらいたい。女性シンガーソングライター好きの私としては,今後のシーンを支える存在として彼女にはもっともっと活躍して欲しいのである。

ということで,2ndアルバムの発売を喜び,今後の彼女の活躍を期待してちょいと甘いが星★★★★☆としよう。贔屓目入り過ぎかな~。

ところで,ジャケットにはパーソネル情報が記載されているが,文字が小さ過ぎて,最近明らかに老眼が入っている私には読み取れないので,別のサイトからの情報を転載するが,間違っていたらごめんなさい。

Personnel: Rachael Yamagata (vo, g, hca, p, glockenspiel), Ray LaMontagne (vo,  g), John Alagia (g), Mike Bloom (g, dobro); Cameron McGill (g, p), Mike Mogis (g, org, key),  Josh Grange(g), Mark Goldenberg(g), James Valentine(g), Michael Chavez (g), Kevin Salem(dobro), Kimberly Salistean(vln), Donna Carnes(vln), Lorenza Ponce(vln), Antoine Silverman(vln), Becky Doe(vln), Chris Cardona(viola), Cynthia Ricker(viola), Jane Scarpantoni(cello), Oliver Kraus(cello), Tracy Sands(cello), Peck Allmond(fl), Owen Kotler (cl), Marilyn Coyne (oboe), Robert Carlisle (Fr-h), Daniel Clarke (el-p), Nate Cambell(marimba), Pete Donovan (b), Catherine Popper (b), Davey Faragher(b), Jen Condos(b), Chris Giraldi(ds), Jon O'Reilly(ds), Sean O'Keefe(ds), Jay Bellerose(ds), Jason Boesel(ds), Than Luu(perc), Matthew Cullen (gong), Maria Taylor (vo)

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2008年10月16日 (木)

Pretendersの新作は正統派ロックだが,曲のクォリティがなぁ...

Pretenders "Break up the Concrete" The Pretenders (Shangri-la)

私にとってはPretendersと言えば今も昔も"Learning to Crawl"である。あの名曲満載のアルバムこそが,私は彼らの最高傑作だと信じているが,その後は彼らの活動をフォローしてきたわけではない。しかしCrissie HyndeはBob Dylanの30周年記念ライブとかでもカッコいいおばちゃんぶりを発揮していたし,私の中ではやはり気になる人たちではあった。

そんなPretendersの新作であるが,私をこのアルバムの購入に走らせたのはJim Keltnerの全面参加という点である。Jim KeltnerとPretendersの組み合わせはやや意外ながら,上述のDylanのライブにもKeltnerは参加して,Crissieとも共演しているはずだから,まぁ考えられないことはない。Keltnerはオールラウンドなプレイヤーであるから,ここでもバンドにきっちり同化しているのは大したものである。もう一つのポイントはJames Walbourneというギタリストとの共演だが,この人Pernice Brothersというバンドのメンバーらしいが,ここでは非常にソリッドなギターを聞かせていて,このロック魂あふれるアルバムに貢献している。

冒頭からいきなりの「南無妙法蓮華経」には思わずのけぞるが,その後は正統派ロック・サウンドが全面的に展開されている。サウンド的には私は文句はないのだが,このアルバム,いかんせん曲のクォリティが今一歩なのが残念である。ここに"Learning to Crawl"所収の曲のクォリティが加わればよかったのに...と惜しまれる。星★★★☆。

ところで,このCDには帯が付帯されていて,そこには"Soak this Handmade seed paper in water overnight and plant under a thin layer of sil. Keep moist. Seedlings may sprout in 1-4 weeks."と書いてある。ってことはこれを植えると何かが生えてくるということだが,一体何が生えるのやら。裏ジャケに映った可憐な白い花だろうか?ものは試し,やってみることにしよう。結果は追ってご報告としたい。

Personnel: Crissie Hynde(vo, g), James Walbourne(g, p, accordion, vo), Jim Keltner(ds, vo), Eric Haywood(pedal steel, vo), Nick Wilkinson(b, vo)

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2008年10月 9日 (木)

やはり強烈だったKing Crimsonの゛USA゛

Usa ゛USA゛ King Crimson(Island / E.G.)

King Crimsonの音源は次から次へと出てくるし,このアルバムも何度も再発されているから,最近では全然ありがたみはなくなった。私が購入したのはこのアルバムの30周年記念盤であるが,当時はこのアルバムがずっと廃盤状態だったので,ようやくという感覚が強かったと記憶している。

まぁこのアルバム,なんでDavid Cross入りの演奏なのに,Eddie Jobsonがオーバーダビングしているんだとか,なんだかんだと批判が多いのも事実であるが,昔はCrimsonのライブはこれとあの音のヒドい゛Earthbound゛しかなかったわけだから,普通のセンスでいけばこちらに依存するということになるわけである。私は中古盤LPでこの演奏を聞いていたが,やはりCD化されたときは嬉しかったものだ。

もちろん,今となってはこのアルバムでなくても,更に強烈な゛Great Deceiver゛というボックスが出てしまっているから,このアルバムの意義は大分下がったとは言え,久々に聞いてみたらやっぱり燃えてしまった。このアルバムは,(おかしな表現だが...)最初の解散前の演奏ということになり,演奏もロックの境界を越えつつあるような領域に入り込んでしまったまさにバンドとしての爛熟期のものと言うことができるかもしれない。インスト・ナンバーなんて,完全なインプロビゼーションであり,どこまで行ってしまうのかという感じなのである。

まぁ,それでも私は歴代Crimsonの中では,John Wetton~Bill Bruford入りのCrimsonが一番好きなので,ここに収められている演奏でも十分に楽しめてしまう。リズムは強烈だし,Frippのソロは切れている。よって,"Fracture゛と゛Starless゛が追加収録された新装版CDにはやはり興奮してしまったのである。但し,追加曲とクレジットされている冒頭の"Walk On...No Pussyfooting ゛は演奏前のサウンド・エフェクトに過ぎないのであって,これを追加曲と言い張るFrippの商魂には思わず引いてしまう。

いずれにしても,私は復活後のCrimsonも評価しない訳ではないが,ボーカリストというか,声についてはAdrian Belewより,John Wettonの方が絶対いいよなぁと思っているので,やはり復活前のCrimsonの方が聞く頻度は高い。それでもちょっとテンションが高過ぎてしょっちゅう聞いていたら発狂しそうになるというのも一方では事実である。だからこのアルバムも頻繁に聞いているわけではないのだが,久々に聞いたらやっぱり燃えてしまったというのが正直なところである。つくづくレベルも高いが,テンションも高いバンドであった。星★★★★。

Recorded Live in June, 1974

Personnel: Robert Fripp(g), David Cross(vln, key), John Wetton(b, vo), William Bruford(ds), Eddie Jobson(vln, key)

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2008年10月 7日 (火)

"Draw the Line":今聞いてもイケている

Aerosmith ゛Draw the Line" Aerosmith (Columbia)

一時の低迷期を経て,完全復活を遂げたAerosmithであるが,バンドとしての黄金期は゛Rocks゛からこのアルバムに至る時期であることに異議を唱える人はそう多くはあるまい。しかし,Steven Tylerなんてもう還暦なのにまだまだ現役なのだからそれも大したものである。

このアルバム,冒頭のスライド・ギターをうまく使ったタイトル・トラックの心地よい緊張感に痺れる。ロックはこうでなくてはならないと思わせる演奏である。そこからアルバムは約35分というこれまた適切な長さのパッケージを通して,何ともカッコいい演奏が続く。ただ,いつ聞いてもこのアルバム,私にとってはタイトル・トラックの印象が強過ぎて,ほかの曲がかすんでしまうのがやや残念と言えば残念である。それほど"Draw the Line"という曲は優れものなのである。

いずれにしてもヘビーなロック・アルバムとして,この作品の魅力はリリースから30年以上経過した今日でも変わっていないと思うし,今聞いてもイケているのである。星★★★★。

ところで,Aerosmithと言えば私にとっては米国NBCのTV番組,゛Saturday Night Live゛の人気エピソード"Wayne's World゛への出演が忘れられない。Mike MyersやDana Carveyが出ていた頃のSNLはまだまだ本当におかしかったが,番組出演時のAerosmithをクスリ・ネタでおちょくるMike Myersは最高であった。私にとってAerosmithは"Wayne's World゛と切り離して考えることはできないのである。映画版゛Wayne's World゛にも出ちゃったぐらいだから,やはり反応はアメリカでも同じだったということであろう。

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2008年10月 5日 (日)

゛I am Sam":Beatlesトリビュートとしても素晴らしいサントラ

Iam_sam ゛I Am Sam: Music from and Inspired by the Motion Picture" Various Artists (V2)

私の音楽リスナー人生においてThe Beatlesが果たした役割は大きい。ステレオ装置がまだ買えなかった頃,FMのエア・チェックで全曲録音を目指したことも今となっては懐かしい。それでも゛Revolution No.9゛とかが放送されることはなかったので,それは果たせなかったが,結構いい線まではカバーできていたはずである。彼らの曲が全て名曲だとは思わないし,今となっては私は゛Rubber Soul゛以降のアルバムしか聞かないが,それでもやはり彼らの音楽はエバー・グリーンであることは間違いない。ある意味思い入れが強過ぎるために,彼らの音楽をこのブログで彼らの音楽を取り上げることはなかった。

そこでこのアルバムの登場であるが,これもThe Beatkes自身のアルバムではない。しかし,本作は映画のサントラという体裁を持ちながら,非常に優れたBeatlesトリビュート盤となっている。そもそも本作に参加しているメンツを見ると,決してビッグ・ネームばかりではないものの,アメリカン・ロックやSSW好きは反応すること間違いなしである。また,彼らがかなり原曲アレンジに忠実にBeatlesナンバーを歌うのはかなり好感度が高い。どの曲がいいかはリスナーの嗜好に任せればいいと思うが,冒頭のAimee MannとMichael Pennの゛Two of Us"からしてかなりいいし,全編を通じていい演奏が続くので,最後まで安心して聞けるのである。これはやはりよく出来たトリビュート盤,サントラ盤である。

確かに原曲アレンジを重んじ過ぎという指摘もあるかもしれないし,参加するミュージシャンならではの解釈で聞きたいという考え方もあるだろう。しかし,The Beatlesの原バージョンがそれを越えた位置にあると思えば腹も立たないし,私はこのやり方で正解だったと思う。星★★★★☆。

私は残念ながら映画は未見なのだが,かなり泣かせてもらえるそうだから,DVDでも買ってみることにするか。泣ける映画にこんなサントラが付いたら更に泣いてしまうではないか。

Participating Artists:Aimee Mann, Michael Penn,SarahMcLachlan,Rufus Wainwright,The Wallflowers,Eddie Vedder,Ben Harper,Sheryl Crow,Ben Folds,The Vines,Stereophonics,The Black Crowes,Chocolate Genius,Heather Nova,Howie Day,Paul Westerberg,Grandaddy,Nick Cave,Neil Finn, Liam Finn

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2008年10月 1日 (水)

David Gilmourの新作ライブで亡きRichard Wrightを偲ぶ

David_gilmour ゛Live in Gdansk" David Gilmour (Clumbia)

Pink Floydのという接頭辞がどうしても付いてしまうDavid Gilmourであるが,彼が2006年にリリースした゛On An Island"に合わせて行ったツアーのライブ音源が発売になった。しかもツアーの最終公演として、ポーランドのグダニスク造船所で5万人の観客を前に行われたそうだが,伴奏にはオーケストラまでついているというまぁ何とも豪華な演奏である。

私が購入したのはDVD付きの3枚組輸入盤であるが,このDVD,少なくともライブ映像には日本語字幕までついている。しかし,演奏中大したMCもないので,字幕はあって困るというものではないが,別になくてもよいという程度である。

Wright このライブが重要なのは,今は亡きRichard (Rick) Wright(2008年9月15日逝去,享年65歳)の姿を収めていることである。ここでのWrightは2年後の死を全く想像させない演奏ぶりであり,こういうのを見ていると人の人生はつくづくはかないと思わされてしまう。私はPink Floydに関しては,大した思い入れはないが,彼らのファンはこの映像を見て,Wrightを偲ぶべきであろう。Pink Floydのライブ映像は壮大な規模を誇ったが,Wrightの死により今後のPink Floydとしての演奏はかなり厳しくなったのではないだろうか。Live 8でRoger Watersも入れてPink Floydを再編していただけに,Pink Floydの本格的な復活を願う人々にとってはこの死は惜しまれるものであろう。

Wrightのことはさておき,演奏についても触れよう。ここでの演奏はある意味アダルト・オリエンティッド・ロックだと言ってよい。なぜならば,テンポはミディアムが中心でロックの強烈なビート感はないからである。一言で言うとたおやかなのである。よって,私のような中年オヤジには気持ちよく聞けるが,逆に刺激には欠けるのも事実である。しかし,共同プロデュースも兼ねるPhil Manzaneraを含むバンドのクォリティは極めて高く,演奏は楽しめてしまうので私としては文句はない。オケを入れる意味がどのぐらいあるのかよくわからない部分もあることはあるが,まぁ最終公演としてのお祭り的な感覚だと思えば,それも気にならない。

この作品を評価するポイントは,本作に何を期待するかによって大きく変わるはずである。ちゃんとPink Floydナンバーも演奏されているし,とにかく見ていて安心,聞いていて安心,絶対損はさせませんという感覚は確実にあるから,私のような人間にはこれでも結構である。しかし,音楽に新奇性を求めたり,強いアタックを求めるリスナーには確実にスリルが足りない。よって,私は映像込みで星★★★★は付けてもいいと思うが,おそらくは賛否が分かれるのではないかと思わせる作品である。

Gilmour 尚,余談だが,映像に映るDavid Gilmourの顔はその筋の方のようで結構恐いものがある。紳士然としたRichard Wrightとえらい違いで,この2人がバンド・メイトというのは笑える。

Recorded Live at the Gdansk Shipyard on August 26, 2006

Personnel: David Gilmour(g, as, vo, banjo, etc.), Richard Wright(key, vo), Phil Manzanera(g, vo), Jon Carin(key, g, vo), Guy Pratt(b, vo), Steve DiStanislao(ds, vo), Dick Perry(ts, key) with the Baltic Philharmonic Symphony Orchestra, Zbigniew Preisner(cond), Leszek Mozdzer(p)

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2008年9月28日 (日)

渡辺香津美が強烈なYMOライブ

Ymo ゛Faker Holic゛ YMO(アルファ)

永らく廃盤の憂き目にあっているYMOのライブ盤゛Faker Holic゛を結構長い間,私は探していたのだが,Amazonマーケットプレースでもかなりの高値なので,そこまでして買うほどでもないということで,中古盤屋でチェックをするに留めていた。先日,近所の中古盤屋で本盤を見つけ,即ゲットである。

私がこのアルバムを探していたのは,私がYMOのファンだからという訳ではない。DVD゛Visual YMO゛で見た渡辺香津美の姿があまりにカッコよく,忘れられないものとなっていたからである。渡辺香津美が参加したYMOのワールド・ツアーにはライブ盤「公的抑圧」があるが,その盤では見事にギターの音が消されており,香津美のギターが聞けるこの゛Faker Holic"こそが,私が聞きたい音源だったのである。

それでもって結果はどうだったかというと,音楽は完全にYMOのものなのだが,渡辺香津美のギターは,本当にこれがジャズ・ギタリスト?と思わせるほどロックしまくっていて,ある意味浮いている。しかしそこが笑えるところなのである。YMOのライブでこんなに弾きまくったら,「公的抑圧」で音を消されても仕方がないわとも思わせるような暴れっぷりであった。よって,正調YMOのファンにはこのアルバムにおける香津美の音に違和感が生まれても仕方がないとも思えてしまうのである。

しかし,渡辺香津美のファンにとっては,このアルバムはかなり楽しめる。しょっちゅう出てきては場をさらっていくソロはもちろん,バッキングのリズム・パターンも楽しめるからである。こういう演奏を聞いていると,香津美の音を削除させた当時の香津美の契約先である日本コロムビアは心が狭い!と思わざるをえない。渡辺香津美はアルファにはLee Ritenour & His Gentle Thoughtsが来日した時に吹き込んだ「マーメイド・ブールヴァード」というアルバムも残っているんだから,レーベル枠越えぐらい大した問題ではなかったはずなのだが...。よっぽど「マーメイド...」が売れてコロムビアが臍を噛む思いでもさせられたということか。

いずれにしても,このアルバムはYMOが1979年当時,どういう演奏をしていたかを知るのに最適なアルバムとも言えるが,テクノロジがまだまだ進歩する前の時代なので,結構なライブ感があるのも大いに結構である。とにかく懐かしいのと,渡辺香津美のギターゆえに星★★★★☆としてしまおう。

Recorded Live at Venue in London on October 16, 24 in 1979, at Theatre Le Palace in Paris on October 18, 1979 and at the Bottomline in NYC on November 6, 1979

Personnel: 坂本龍一(key),細野晴臣(b),高橋幸宏(ds, vo),松武秀樹(prog),渡辺香津美(g),矢野顕子(key, vo)

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2008年9月24日 (水)

出張中に見た映画(2):08/09編

Shine_a_light ゛Shine a Light゛('08,米,Paramount)

監督:Maritin Scorsese

出演:The Rolling Stones

出張中の飛行機で映画を見る場合,日本ではまだ公開されていない映画を見ることができるというのが嬉しい要因の一つである。この映画も日本の公開は2008年末に予定されているはずだから,それを随分早く見ることができたのはありがたい。そうは言っても,米国では既にDVD化されているから,リージョン・フリーのDVDプレイヤーを保有している私は見ようと思えば見られたのだが,まずは飛行機の中は試写会モードである。

私はこの映画のサウンドトラック盤が出たときにもすかさずゲットしていたのだが,どうもピンとこなくて,このブログにも結局記事を上げなかった。結局この映画を見て,これは映像が伴わなければ,その魅力が十分には理解できないということがよくわかった。即ち,もはやStonesの音楽は聴覚だけではおそらく刺激が足らず,それを補う視覚的要素を必要としているということなのではないかと思ってしまった。あるいは音楽CDは所詮は「サウンドトラック盤」に過ぎなかったのである。

もちろん,演奏はそれなりによくできているのだが,私としては音楽そのものよりもMick Jaggerの鍛えぬかれた体(いったい体脂肪率は何パーセントなのか?)やKeith Richardsの永久不良ぶりばかりに目が行ってしまったのである。なんともはやカッコよすぎのオヤジなのだが,いくらなんでも音楽的には手慣れすぎてやしないか。これがライブの場にいれば,絶対そんなことは言えないだろうが,映画で見ている限りは冷静な私である。

この映像が収録されたNYCのBeacon Theaterは,東京で言えば新宿厚生年金会館ぐらいのキャパシティのホールであるが,そんな場所でStonesが見られるということはファンにとってはまさに一大イベントのはずである。しかし,映像を見ていると,どうもこれはHillary Clintonのためのチャリティだったと思わせる節もある。彼らのコネで,Stonesの「ス」の字も知らないような各国要人が,Bill Clintonとともにバルコニーの最前列に鎮座しているのを見ると,いくら共和党嫌い,(米国の)民主党シンパの私でもちょっと冷めてしまったのも事実である。

まぁMartin Scorseseの演出は手堅いし,演奏も楽しめるのだが,飛行機の個人用TVで見ていて,この映画の魅力が本当にわかるとは言えまい。やはりこれは超大画面を売りにするIMAXシアターで,できるだけの大音量で見るべき映画だろう。但し,Stonesの名誉のために繰り返し言っておくが,CDよりは映像版の方がはるかに楽しめることは保証するので,ファンは劇場公開されたら足を運ぶ価値はある。でも映画としても星★★★ぐらいだが...。

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2008年9月22日 (月)

買ってしまったLed Zeppelin究極のCDボックス・セット

Led_zeppelin 私はLed Zeppelinに関してはかなり遅れてきたファンだと言ってもよいかもしれないし,オリジナル・アルバムではなく,ずっと゛Led Zeppelin 4CD Box 1968-1980゛という90年代初頭にリリースされた箱ものや,その後リリースされたライブ音源だけで彼らの音楽を楽しんできただけなので,ファンと名乗ることもできない程度の聞き方しかしていないとも言える。

こういう人間が,これから彼らの音楽を全部聞き通そうと思うと,なかなか背中を押してくれるファクターがないと難しいだろうが,今回発売された紙ジャケ,SHM-CDボックスはそういう人間にとってはある意味ありがたいボックス・セットである。いろいろな付加価値がついているから,これなら買ってもいいかと思わされてしまったのである。

とは言っても28,000円という価格がどうなのよという話もあるし,こうしたレコード会社の商魂には賛否両論渦巻いているということも理解してはいるのだが,おそらくこうした機会でもない限り,私がLed Zeppelinの音楽に改めて向き合おうということはなかったであろう。もちろん,前述の4枚組やライブだけでも十分とも言えるし,何を今更Zeppelinだという声もあろう。

ということで,こんなものに28,000円を払って買っている自分のアホさ加減にあきれつつも,同梱された゛In through the Out Door"の6種のジャケット・レプリカをながめながらニヤニヤしている私である。やはりビョーキと言われても仕方ないかもしれないなぁ。

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2008年9月 8日 (月)

Journey:出張に引っ掛けたわけではないが...

Journey ゛The Journey Continues゛ Journey (SME)

本日から出張に出るのに引っ掛けたわけではないのだが(十分意図的?),本日はJourneyである。最近はヴォーカリストを変えて新譜を出し,結構好調なチャート・アクションを示しているJourneyだが,やはり70年代後半から80年代前半までが彼らのピークであったということに異論のある人はあまりいないだろう。このアルバムはそうした時期の曲を中心に収録した日本編集のナイスなベスト盤で,はっきり言って今の私にはJourneyはこの1枚で十分と言っても過言ではない。

JourneyはもともとがSantanaの分家みたいなバンドとしてスタートしていたわけだが,初期のインスト重視(それは演奏能力の裏返しのようなものである)のややプログレ的な作風だったものが,Steve Perryがヴォーカルとして参画してから,急速にポップ度を増し,人気も急上昇したという感じである。業界では産業ロックと揶揄されることも多い彼らだが,このアルバムに収録された曲を聞けば,いやいやよい曲を演奏していると言うことがわかる。時代の徒花と言われようが,いいものはいいのだから,私はそうした批判には与しない。時代が変わってもよいと思われるからこそ゛Open Arms゛はMariah Careyにカバーされ,更にはなぜか「海猿」の主題曲に選ばれて,リバイバル・ヒットを遂げるわけである。

まぁやや持ち上げ過ぎという気がしないでもないが,私としては同時代の音楽の一つであるから,ここに収められた曲はそれなりに懐かしいし,カラオケでもいくつかの曲は歌ってしまうという暴挙に出るわけである。

彼らの音楽はしょっちゅう聞きたいというものでもないが,たまに聞くとつい口ずさんでしまう自分が怖い。やはり同時代を過ごすというのは影響力が大きいのである。コスト・パフォーマンス含め,よくできたコンピレーションなので星★★★★。それにしてもドラムスのSteve Smithがジャズ(というかフュージョン)に走ったのには驚いたのも懐かしい。それつながりで,Steps Aheadの東京ライブでも聞くことにするか。

次回は順調ならばロンドンから珍道中日記だろうか。無理かな~。

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2008年8月30日 (土)

Elvis Presley Comeback Special超拡大盤!

Elvis "Complete '68 Comeback Special - 40th Anniversary" Elvis Presley (RCA)

Elvis Presleyが高らかに音楽界への復帰を宣言したと言われるNBCでの特別番組の模様を収録したアルバムの超拡大盤である。

60年代のElvisと言えば,はっきり言ってしまえば毒にも薬にもならない青春映画(若大将シリーズと同じで,それはそれで楽しめるが...)に出演して,もはや50年代の危険で悪~い感じから離れたイメージを打ち出していたのだが,やはりElvisは゛King of Rock'n Roll゛であるべきであって,健康優良児的というより,皮ジャンが似合う男でなければならないということを実証しているドキュメンタリー・アルバムである。

私はElvisに思い入れがあるわけではない(特に一国の首相経験者が選曲したコンピレーションが出たときは冷めた)が,ここでの彼の様々な音楽への取組みは,その音楽性の幅広さを知らしめて非常に楽しめる。激しいロックからバラード,ゴスペルまで何でもござれである。この芸の広さというのがそもそも素晴らしい。例えはちょっと違うかもしれないが,日本で言えば美空ひばりの芸風のようなものである。

このセットは超拡大盤4枚組ということで聞くのも大変だが,Sit Down Show,Stand Up Showに留まらず,リハーサルの模様まで入っているというのだから恐れ入りました。しかも某ショップでならば,1枚900円以下(!)である。一家に1枚Elvisというのであれば,このアルバムでなくてもよいかもしれないが,久々に勢いを取り戻すとともに,まだまだ若々しいElvisの声や歌唱を楽しむには好適なアルバム。但し,女性観客の悲鳴がやかましくてげんなりする瞬間もあるし,歌唱も荒いところはあるのだが,これだけのセットが出たということを評価して星★★★★☆。

尚,どうでもよいことだが,ボックスを開けると赤いリボンが入っているのは何なのだろうかねぇ。

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2008年8月14日 (木)

Yazooボックスがやってきた

Yazoo ゛In Your Room゛ Yazoo(Mute)

注文していたYazooボックスが遂に到着である。Yazooと言えばVince ClarkeとAlison Moyetの名エレクトロ・ポップ・ユニットであるが,このボックスは,本年彼らが゛Reconnected Tour゛と題する再結成ツアーを実施したのに伴う発売と考えていいだろう。それにしても懐かしいバンドである。Yazooは同名のブルース・レーベルの商標に引っ掛かって,米国ではYazというバンド名称となっているが,ここはやはりYazooと呼ばねばなるまい。

このバンドの特徴はエレクトロ・サウンド上で,Alison Moyetが渋い声を聞かせるという何とも言えないギャップが素晴らしいと言う点に尽きると思うが,彼らのデビュー・アルバムが発売されてから四半世紀以上経過した今日においても,その魅力には色あせることがないというのが凄い。このボックス,まだ全部聞いていないが,デビュー・アルバム゛Upstairs at Eric's"を久々に聞いて(実はLPも家にまだ置いてあるぐらい好きなのだ),その良さを改めて再認識させられたのである。冒頭の゛Don't Go゛のようなスピード感あふれる曲から゛Only You゛のようなスローな曲まで,バランス良し,曲良し,演奏良し,歌声良しと私にとっては文句のつけようがないアルバムである。

Upstairs まだボックスが到着して間もないので,全部聞いていないので,今日はファーストだけということにするが,いずれにしても,リミックス等を収めたディスク3とDVDが楽しみになってきた。ということで,本日はファーストのジャケ写真だけでも載せておこう。やはり傑作である。星★★★★★。それにしてもクレジットにClarkeがNoisesと書いてあるのには笑えるなぁ。

Personnel: Alison Moyet(vo, p), Vince Clarke(Noises)

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2008年8月 5日 (火)

Daniel Lanois:これも原野を思わせる

Lanois ゛Here Is What Is゛ Daniel Lanois(Red Floor)

Daniel Lanoisと言えば,プロデュースするアルバムがどれも素晴らしいという名プロデューサーとしての顔の方が目立っているが,自身のアルバムも何枚かリリースしている。Brad Mehldauも参加しているインスト・アルバム゛Belladonna゛というのもあったなぁ。これはそのLanoisのリーダー・アルバムとしては最新作になるものだが,今までは全くノーマークだったのを,地元の某CDショップで掛かっていたのにまんまと引っ掛かって購入してしまったアルバムである。

この音楽を店頭で聞いていて思ったのは,Brian Bladeのアルバムのようにアメリカの原風景的な感覚の強い音だということだったのだが,家に帰ってクレジットを見るとちゃんとBrian Bladeも参加している。なるほど...。このアルバム自体はLanoisのドキュメンタリー映画のサウンドトラックとしての位置付けのようであるから,別にBladeの音楽とは直接的な関係はないのだが,私が大好きなBrian Bladeの1stアルバムはLanoisのプロデュースだったし,2ndにもLanoisは参加していたから,やはり縁深い人たちなのである。

この原風景的サウンドは,Lanoisのスチール・ギターに依存するところが多いと思うが,この音はBill Frisell的でもあるなぁと感じてしまったが,やはりこの音楽は私に何とも言えない落ち着きを与えてくれるような気がして,結構気に入ってしまった。それぐらい刺激は少ないとも言えるが,たまにはこうした音楽でクールダウンするのも必要だろう。特に現在のような酷暑の時には...。これから暫く猛暑が続く間は世話になりそうなアルバムである。星★★★★。

尚,Brian Enoがあたかも参加しているように書かれているポップがあるが,Enoは会話の相手として喋っているだけなのでご注意あれ。また,クレジットにはミュージシャンの名前しか書いていないので,楽器までは調べきれていないため,下記のようにさせて頂く。

Personnel:Daniel Lanois, Brian Brade, Garth Hudson, Brady Blade Sr., Tony Garnier, Jim Wilson, Marcus Blake, Steven Nistor, Daryl Johnson, Ada Small, Shawn Stroope, Tony Mangurian, Willie Green, Aaron Embry

Brian Eno: Dialogue

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2008年8月 3日 (日)

更に注目のJohn Zornの"The Stone゛シリーズ第3弾

Issue_3 ゛The Stone: Issue Three゛ Lou Reed/Laurie Anderson/John Zorn(Tzadik)

昨日に続いてJohn Zornによる゛The Stone゛ベネフィット・シリーズ第3弾である。第2弾はFred Frithによるもののはずだが,それはパスしていきなりの第3弾。世間の目からすれば,このアルバムはIssue OneやTwoより注目度ははるかに高いはずである。何と言ってもLou ReedとLaurie Andersonという最強夫妻(この2人が夫婦というのも信じ難いが...)にJohn Zornの組合せであるから,これは一体どうなるのかと期待が高まるのは当然であり,それが人情というものだ。

これは3者によるコレクティブ・インプロビゼーションという感じであるから,どちらかと言えばReedは畑違いと言えばその通りのようにも思えるが,ここでのReedの歪んだギターはZornの鋭いアルトと相性が良いように聞こえるから不思議である。ReedはOrnette Colemanさえもうまくアルバムで使う(限定盤2枚組゛The Raven゛のColemanは素晴らしかった)人だけに,本当に音楽的な懐が深いミュージシャンだと思わざるをえない(と言うかOrnette ColemanもJoe Henryに客演したりして,それも素晴らしい出来なので,こちらの懐の深さも相当であるが...)。

それでも,私はLou Reedのボーカルが結構好きなだけにギターだけというのは惜しい気もするが,これはあくまでも番外編の活動であるから仕方あるまい。それでもこのギターを聞いていると十分Reedらしさは出ているから,Lou Reedファンは必携だろう。

まぁ,ただこのアルバムを繰り返し聞く気になるかと言えば,何年かに一回程度というものだろうと思う。次に聞くときに私がこのアルバムに対してどういう感想を持つかは興味深いところであるが,現在の心境では結構楽しめた。しかし,現在のように猛暑厳しき折には,暑苦しさが増すことはあれども,涼やかな気分にさせてくれるアルバムでは決してないので念のため。星★★★★。

Personnel: Lou Reed(g), Laurie Anderson(vln, electronics), John Zorn(as)

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2008年7月30日 (水)

渡辺香津美のロックごころ爆発

Spice_of_life_4 ゛Spice of Life゛ 渡辺香津美 (domo)

何とも懐かしいアルバムである。私がこのアルバムの冒頭に収められた゛Melancho゛を聞いて「King Crimsonかっ!」と叫んだのも今は昔であるが,それぐらいロックを感じさせるアルバムである。もちろん,Brufordがドラムスを叩いているからCrimsonぽく聞こえるのは当然なのだが,それだけでなく,Andy SummersとRobert Frippとの共演盤や,Jeff Beckをも想起させるアルバムである。だいたい,私がこの人たちのライブを見に行ったときのアンコールはJeff Berlinのボーカルによる゛Crossroads゛だったから,心根はロックな人たちなのである。

このアルバムが発売されてからもはや20年以上というのはある意味信じ難いが,それでも古臭いところを感じさせないのは大したものである。まぁBill Brufordが当時多用していたSimmons Drumsの音が時代を感じさせると言えばその通りだが,トータルな感覚では全く問題はない。Simmons Drumsというのは好き嫌いがわかれるところであるが,強弱のニュアンスを出すのは難しいはずである。だからこそ,ロック的なセッティングでしか使いようがないように思える。それでもこのアルバムのサウンドを特色付けているのはBrufordだと言ってもよい。さらにスラッピングを使わず指弾きに徹するJeff Berlinは本当に指がよく動くものだと感心させられてしまう。

そうしたメンツのバッキングに乗って,自由度高くロックする渡辺香津美をジャズ・ギタリストと呼ぶのは少なくともこのアルバムでは無理である。おそらく香津美が最もロックに傾斜した演奏と言ってもよいだろうが,この引出しの大きさがこの人を日本屈指のギタリストに位置付けている理由である。

「ロックが聞きたいなら,本物のロックのアルバムを聞いていればいいではないか」という話もあるが,これはこれでたまに聞きたくなるのだから仕方がない。もちろん,しょっちゅう聞きたいと思うものではないが,まぁそれでも楽しめるアルバムではある。収められた曲全部がいいというわけではないが,バンド全体の勢いとグルーブがそれを補って余りある。星★★★★。

Recorded between October and November, 1986

Personnel:渡辺香津美(g),Jeff Berlin(b),Bill Bruford(ds, perc)

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2008年7月29日 (火)

CSN&Y:久々のライブ音源だが,リリースのタイミングがなぁ...

Csny ゛Deja Vu Live゛ CSNY(Reprise)

だいぶ前になるが,私はこのブログに「私をアメリカン・ミュージックへと誘ったCSN&Yのライブ」ということで彼らの゛4 Way Street゛を紹介したことがある。このアルバムはそこにも書いたが,私の音楽の嗜好に大きなインパクトを与えたものであり,それ以来私はアメリカン・ロックやSSWの深みにはまっていったのである。

そうしたCSN&Yであるから,新譜が出るとなればやはり買ってしまう。このアルバムは2006年の再結成ライブのドキュメンタリー映画のサウンドトラックとなっているが,このライブそのものが,George W. Bushを批判するためのもののようだから,当時のYoungの新譜゛Living with War゛とリンクしたものと考えてよかろう。

しかし,この音源,George W. Bushの任期があと半年程度となった今発売する意義があるのかどうかは疑問である。もはやBushは任期を全うすることしか頭にないわけで,このタイミングでこんな音源が出たからと言って,米国内に改めてBush批判が高まるかと言えば若干疑問がある。よって,この音源を出すならば,映画のサウンドトラックという体裁ではなく,録音直後にリリースすべきであったと思うのだがどうだろうか。

こうした反Bushの動きの音楽界における急先鋒はYoungその人であったから,このライブもこれまでのCSN&Yの再結成アルバムと異なって,Youngの推進力が強く感じられる。Neil Youngのファンにとってはそういう観点では嬉しいアルバムである。ただ政治と音楽を結びつけることに必ずしも多くのリスナー(特に日本のリスナーはそうだろう)が賛同する訳ではなかろうから,そのあたりの評価は微妙である。私はBush嫌いであるから,こういうアルバムを聞いていると思わずニヤニヤしてしまうわけであるが,それでもやはりタイミングがなぁ...。

演奏はそれなりのものであるが,このメンツで゛Living with War゛のコーラスを聞かされてしまうと,それはそれでやはり感慨深いものがある。ただ,昔の彼らのハーモニー等を期待してしまうとやや肩透かしを食らってしまうだろう。ただ,゛Deja Vu Live゛というタイトルはやや疑問。確かにドキュメンタリーのタイトルもそうらしいのだが,ここはYoungもアルバム中で発する"Speech of Freedom"とすべきだっただろう。そうすると,セールスが...というのも当然の判断だが,やはりそれがミュージシャンとしての矜持であり,ポリシーってものではないかと思う。尚,2曲目のみNeil Youngによるスタジオでのソロ録音。完全に映画のテーマ音楽って感じである。星★★★☆。

Personnel:David Crosby(vo, g), Stephen Stills(vo, g, key), Graham Nash(vo, g, p), Neil Young(vo, g, b, p, key), Rick Rosas(b), Chad Cromwell(ds), Spooner Oldham(key), Ben Keith(pedal steel), Tom Bray(tp)

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2008年7月27日 (日)

夏と言えばレゲエである

Black_uhuru ゛Chill Out゛ Black Uhuru(Island)

先日,「夏と言えばハワイアンである」なんて書いたばかりだが,今日は舌の根も乾かぬうちにレゲエである。レゲエのビートは心臓の鼓動に一致しているから気持ちよいのだとよく言われるが,確かにそうである。しかし,冬場にレゲエを聞きたいと思うことはあまりなくて,私の場合,レゲエのアルバムの保有枚数は決して多くない中,原則夏にばかり聞いている気がする。

本来,レゲエと言えばBob Marleyだが,天邪鬼の私はここではMarleyではなく,Black Uhuruを取り上げることにしよう。このアルバムはBlack Uhuruの最高傑作に挙げられることも多いが,私はほかのアルバムを聞いたことがないので,バンドとしての比較はできないが,ボーカルとバンドのブレンド具合なんかはやはり優れたものだと思わせる出来である。何てたって,プロデュースはSly & Robbieであるからおかしな仕事にはならないのは当然と言えば当然である。彼らの名前は以前ほど耳にすることはなくなってしまったが,今は何をしているのだろうか。

Black Uhuruはボーカリスト3人のユニットであるが,クレジットを見るとSly & Robbieの扱いがほかのミュージシャンより大きくなっているから,このアルバムではその5人組を以ってBlack Uhuruだったと解釈してもよいかもしれない。それにしてもやはりこのビートの心地よさである。ここでのRobbie Shakespearの突き刺さるようなベース音に反応できなければ,そのリスナーはレゲエには向いていない。これこそレゲエの醍醐味である。これでビールに枝豆でもあれば,猛暑にも耐えられるという風に思ってしまう(嘘)。たまにしか聞かないレゲエであるが,夏と言えばやはりレゲエである。そう言えばレゲエ・サンスプラッシュってどうなってしまったのかな。行ったことはないが...。

いずれにしても,このアルバム,素晴らしいレゲエ・アルバムであることは間違いなく,Bob Marleyとは異なった個性を聞かせてもらえる私には貴重なアルバムである。Marleyが乾いた感覚とすれば,ややウェットな感覚も持ち合わせているところが好みが分かれるところかもしれないが,毎年の夏への貢献度を含めて星★★★★★。

Personnel: Michael Rose(vo), Duckie Simpson(vo), Puma Jones(vo), Sly Dumber(ds), Robbie Shakespear(b), Sky Juice(perc), Sticky Thompson(perc),  Ranchie McLean(g), Radcliff "Dougie" Bryan(g), Mickey Chung(g), Barry Reynolds(g), Ansell Collins(p), Robbie Lyn(p), Wally Badarou(synth)

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