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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2017年3月25日 (土)

ようやく読了:「騎士団長殺し」

Photo

「騎士団長殺し」 村上春樹(新潮社)

長年,村上春樹の本に接している人間としては,昨今のノーベル賞騒ぎや,発売日のカウントダウンなど,「おい,おい」と言いたくなるのも事実であるが,そうしたムーブメントを起こす作家がいるかと言えば,多分そんなこともないのだろう。いずれにしても,私はそうした「騒ぎ」に対しては斜に構えて見ているわけだが,いずれにしても,村上春樹が長編を発行するとなれば,「1Q84」以来なのだから,やっぱり期待はしてしまうのが,長年のファンってものだろう。一方で,これだけファンも多い人だけに,アンチも多数存在するのも世の常ってことで,世間にも賛否両論であることは間違いない事実である。

私は現在の家に引っ越してから,通勤環境が変わったので,読書に割ける時間は,以前に比べれば大幅に短くなっているから,読書量も昔に比べると激減しているため,今回の新作も結局1カ月近く要してしまった。それでも,暇を見つけては読ませるだけの面白みは感じさせるものだったと思う。

相変わらず,なんのこっちゃ的なシュールなストーリーとも言えるが,今回のテーマは副題にも見られる通り,「イデア」と「メタファー」なのだろうと思う。村上春樹の小説は,エンタテインメント的に読ませる力を持ちつつ,解釈を読み手の各々に委ねる部分が特徴的だと私は感じているのだが,今回特に私は,これって何の「メタファー」なのよ?と思いつつ読んでいたというのが正直なところだった。この何が現実で,何が現実でないかがわからない世界っていうのは,村上春樹に特徴的なスタイルだと思うが,「メタファー」については,やはり個々人の解釈によって大きく異なると思うし,現実と現実ならざるものの境界線も人それぞれってことになるわけだ。それはおそらく登場人物にも当てはまる。

いずれにしても,私には書評としてこの記事をアップすることはできないが,このある意味訳の分からない世界は,村上春樹の真骨頂って気もする。登場人物の造形も非常に面白かった。「白いスバルフォレスターの男」っていう表現からして,普通の人では絶対思い浮かばないものだろう。

毎度のごとく,音楽ネタも豊富だが,私が大いに笑ったのが,主人公の友人,雨田政彦のカーステレオのカセットに入っているAOR群だったかもしれない。懐かしい名前の総動員みたいな感じであった。

ということで,私にとっての村上春樹の最高傑作ではないとしても,大いに楽しませてもらった。星★★★★☆。

2017年3月14日 (火)

出張の友は「騎士団長殺し」と現代音楽(笑)。

昨今の仕事柄,これまで多かった地方出張を抑制している私である。地方出張が全然ないわけではないのだが,今年に入って,飛行機で行くような場所にはほとんど行っておらず,もっぱら新幹線で出張できる範囲にぼちぼち行っているような感じである。

そんな中,久しぶりに連続の出張に出ている私だが,こういう時は,旅の友が必要ということで,村上春樹の新刊「騎士団長殺し」の第2部「遷ろうメタファー編」と,iPhoneに突っ込んだPeter Serkinを中心とするピアノによる現代音楽が今回の私の旅の慰みということになる。

本はさておき,音楽については,ジャズでもロックでもいいのだが,最近,私は好んで現代音楽のピアノを聞くようになっている。先日もとち狂って,John Cageの作品をまとめ買いしているのだが,それもほとんどがピアノである。最近買ったCageの作品も,今回iPhoneに入れたので,旅の道すがらで聞くことにしようと思うが,最近,私は現代音楽の持つ「間」がフィットしているのである。もちろん,iPhoneにはほかにもいろいろな音楽が入っているので,そればかりということにはならないだろうが,集中的にそんな音楽に身を委ねることも必要と感じる今日この頃。

新しく仕入れた音楽及び「騎士団長殺し」については改めて記事をアップすることにしたい。

2016年7月29日 (金)

久しぶりに本の話:「マチネの終わりに」

「マチネの終わりに」 平野啓一郎(毎日新聞出版)

Photoこのブログに本の話を書くのはほぼ一年ぶりのことである。通勤環境が変わってからというものの,私の読書量は激減してしまったわけだが,小説は買っていないわけではないとしても,なかなか集中して読む時間がないというのが正直なところである。

そんな私が出張の道すがらに読むために手に取ったのが,この平野啓一郎の新作である。彼の小説を読むのは「決壊」以来だと思うが,これは全然「決壊」と異なる大人の恋愛小説である。主人公二人の恋愛模様はよく書けているし,非常に感情移入のしやすい小説である。しかし,彼らが破局するシチュエーションはなんだかTVドラマを見ているみたいだなぁと思って,若干疑問に感じたものの,その後の展開で持ち直し,途中で投げ出さなくてよかったと思ってしまった。

いずれにしても,この小説のラストは非常に爽やかな読後感を与えるものであり,大げさに言えば,恋愛→破局→再生という道筋を描いている。私がこの小説に猛烈に感情移入してしまうのは,自分の過去の恋愛体験をこの小説に投影してしまうからかもしれない。事情は全然違うが,私も同じような経験をしたことがあるということが,フィクションと思えなくなってしまった原因だと思う。

そのため,読んでいる途中で,あの時自分はどう思っていたのだろうか?あるいは当時のガールフレンドはどういう風に感じていたのだろうか?という思いが何度も去来したということは告白しておかねばならない。私が過去の経験をいまだに引きずっているのは事実であり,それは一生消えることはないが,そうした感情を改めて呼び覚まされてしまったと言うべき作品である。そんな思いを抱えながら読んでいた作品ではあるが,上述の通り,この作品のラストにはほっとさせられる。自分だったらどうなってしまうかと,またも自身に再投影してしまうのだが,ここでは爽やかな余韻を楽しみながら,本を閉じることができたと思う。ストーリーに若干の瑕疵はあろうとも,この作品,私は好きである。

ということで,ついつい点も甘くなり,星★★★★★を謹呈してしまおう。

我ながら何だか赤面ものの記事を書いてしまったが,私をそうした行動に至らしめたのはまぎれもなく本作である。この記事を読んで,私の知人たちは「人は見かけによらない」と改めて思うかもしれないなぁ(苦笑)。

2015年8月 2日 (日)

「教団X」とは全く毛色が違う中村文則の警察小説

Photo「あなたが消えた夜に」 中村文則(毎日新聞出版)

このブログに本のことを書くことも非常に少なくなってしまったのは,通勤時間に本を読めなくなったことが大きく影響していることは前にも書いた通りであるが,前回,このブログに取り上げたのは同じ中村文則の「教団X」であった。あのような強烈な本が,今かなり売れているということには非常に驚いているわけだが,今回は毎日新聞の夕刊に連載されていた警察小説で,随分前作とは毛色が違う。

この本は,警察小説という体裁を取っていても,エンタテインメントと呼ぶにはやや難しいところがある。小説は三部構成になっているが,第三部になって,非常に重々しくなってしまうところは,純文学的な部分と言ってもよいかもしれないが,それをよしとするか否かによって,大分感触が違うはずである。とにかく,これは重苦しい。ある意味「陰気」,「沈鬱」,あるいは「辛気臭い」と言ってもいいぐらいの感覚を与える。だが,人間の「性(さが)」というものを踏まえて書かれていて,いい加減さは全くないのだが,それにしても重苦しいのである。

そういうことを踏まえれば,警察小説にエンタテインメント性を求める読者にはなんじゃこれはと思われても仕方がないが,これは純文学的な人が,題材を警察に取ればこういうかたちはあっても不思議ではない。ただ,端的に言えば,「負の連鎖」的なものが描かれているから,それが非常に暗くて重い印象を与えてしまうのである。そこをどう評価するかだと思うが,私は重々しさを覚えながら,出張の道すがらに結構なスピードで読了したのであった。これは悪くないと思うし,こういうのもありだと思う。但し,ちょっと重いだけである。星★★★★。

それにしても,「教団X」のAmazonのユーザ・レビューを見ていると,ぼろくそに書いている人が多いが,私は比較的好意的な捉えているのはこのブログにアップした記事(記事はこちらの通りである。

2015年5月 9日 (土)

「教団X」:入院中に読むにはどうなのよ(笑)。

X「教団X」 中村文則(集英社)

買ったまま「積んどく」状態だった本を入院に合わせて病院に持ち込んでいた私である。しかし,600ページ近い大作なので,病床で読むには結構しんどかったし,内容も結構しんどかったなぁと思わせる作品である。

ストーリーはさておき,私がこの本を読んでいて感じたのは,著者中村文則による現政権への危機感ではなかったかと思わせる。言葉の端々にそういうトーンを感じてしまうのは私だけではないと思う。私はいつも言っている通り,リベラルな人間であり,現政権に対して徹底的に批判的な態度を取る人間であるから,そうした記述には首肯できる部分が多いのだが,いかんせん,小説としてはここまでの大冊としなくても書ける内容であるようには思う。そうしたところがアンビバレントな感覚を生み出す。ついでに言うと,カルト教団Xにおける信者たちのエロ・シーンはなんじゃそれはというレベルに達しているが,それも今の社会の風潮をデフォルメしているものだという気がするとしても,ちょいと行き過ぎではないかと感じるのも事実である。

そうは言っても,読後に振り返ってみれば,中村文則としては小説のかたちを取りながらも,書かずにおけなかったというのが正直なところではないか。登場人物の関係性等,とっ散らかった印象もあるが,それでもこれはこれである程度は評価したいと思った作品である。ただ,やっぱりちょっと長いかなぁ。星★★★★。

最後に,これは万人には薦められないし,上記のような観点で読めば,確実に賛否がわかれるところであることは承知している。それでも物言わぬメディアよりは,ずっと健全だと思う。いずれにしても,ネット上で「だけ」お盛んなネトウヨくんたちの論理に楔を打ち込むような感覚が,彼等にはきっと気に入らないだろうねぇ(苦笑)。

2015年3月24日 (火)

映画を見ているような気分になる西川美和の「永い言い訳」

Photo 「永い言い訳」 西川美和(文藝春秋)

PCは取り敢えず外付けのKBとマウスで復活したので,また記事をアップすることにしよう。

先日もちらっと触れた西川美和の書き下ろしである。私は映画監督としての才能とともに,文筆家,特に小説家としての西川美和も評価しているが,この新作でもその才能は十分に発揮されていると思う。とにかく,映画を見るかのような感覚にとらわれるという感じであり,彼女は遅かれ早かれこれを映像化するのではないかと思われる。

登場する小説家,津村啓こと衣笠幸夫は相当に嫌らしい人物として描かれている。西川美和のエッセイ集「映画にまつわるXについて」に面白い記述がある。それによれば,西川は「凡そ人の風上にも置けないような主人公にばかり惹きつけられてきたような気がする。みんな人格も行動も間違いだらけで,賢人の忠告をはねのけ,自分の失態で人生が台無しになっている。けれど,まだ諦めきれない,もう一度闘うんだ,やりなおすんだ,と歯を食いしばっているような人物たち。」を描いてきたように書いているが,それってここでの主人公,衣笠幸夫そのものではないか。結局,こうした人間像に西川美和はとらわれ続ける,あるいは描き続けるということになるのだろうが,救いがないストーリーのようで,「やりなおすんだ」っていう感じが強く出ている。ある意味,首尾一貫というか,徹頭徹尾こういう人物像を描くのねぇって感じである。

西川美和が描くだけに,これを映画化した時のキャスティングが興味深いと思いつつ,映画にしたら,映画にしたで,随分と暗いストーリーになりそうな気がするのは西川美和だから仕方がないか(苦笑)。しかし,この人の映画人,そして小説家としてのストーリーテリングの才能と実力を改めて明らかにした立派な小説と思う。彼女への注目度を更に高めるために,オマケして星★★★★☆としてしまおう。

2015年3月19日 (木)

またも出張続き...

普通,年度末はクライアントも忙しいので,出張は減るはずなのだが,どうも今年はそうも行かないようだ。今週も滋賀に火曜午後から一泊出張して,水曜午前に現地で仕事をこなした後,東京に会議のため一旦戻って,すぐに木曜日から福岡に一泊出張という非常に効率の悪い生活をしている。

これだけ移動が多いと,身体にはあまりよろしくないが,それもまぁ仕方がない。折角福岡に行くんだから,うまいもんでも食べてこようっと(笑)。

Photo 今回の出張の友はiPodと西川美和の新作書き下ろし長編「永い言い訳」である。この人,映画監督としても才能ありだが,映画でもオリジナル脚本でいつも勝負していることからわかる通り,ストーリーテリングの才(あるいは話を作り出す創造力)も大したものである。それがここでは小説というかたちとなっているが,この本については改めて書くことにしよう。いずれにしても,私はこれが映画になったら,誰がキャスティングされるのかなんてことを想像しながら読んでいる。それもまた楽しからずやってことで。

2015年2月14日 (土)

久々に本の話題でも:柳広司の「ラスト・ワルツ」

_ 「ラスト・ワルツ」 柳広司 (角川書店)

亀梨和也主演で映画化された,「ジョーカー・ゲーム」の公開のタイミングを狙ってリリースされたとしか思えないシリーズ第4作である。私はこのシリーズを全て読んでいるが,短中編でのすっきりしたストーリー・テリングは魅力的ながら,シリーズを重ねるごとに少々まだるっこしい感覚が強まっていて,新機軸が必要なのではないかと思っていた。

結論から言えば,前作「パラダイス・ロスト」よりもひねりは効いている感じはするので,相応に面白くは読める作品となった。多分,それは「映画」をネタにしている部分があるからかなぁって気もするが,気楽にかつ手軽に読むには丁度よい。出張の移動時間中の暇つぶしには最適(笑)。星★★★★。

ちなみに映画版でD機関の元締め,結城中佐を演じるのが伊勢谷友介ってのは,どうもピンとこないねぇ(笑)。

2014年5月13日 (火)

中山康樹の本としてはましだった「キース・ジャレットを聴け!」

Photo 「キース・ジャレットを聴け!」 中山康樹(河出書房新社)

私は中山康樹の著作物はそこそこ読んでいるが,正直言って真っ当だと思ったのは「マイルスを聴け!」であって,その他の著作物や対談の類には,どうも納得がいかなかったり,首肯できない部分が多い。Keith関係で言えば,私は未読だが,「キース・ジャレットの頭のなか」という本を昨年暮れに出したばかりで,あたかもキースの来日に合わせるがごとく,またも新刊か?と言いたくなるような濫作ぶりである。だが,まぁKeithの来日も近いし,まぁいいかってことで,まんまと相手の術中にはまってしまったが,この本は比較的まともな出来だと思った。

なぜそう思うかと言えば,昨今の「スタンダーズ・トリオ」の作品にマンネリ感を感じ,一部の作品を酷評した私の考えにこの本の内容が合致している部分もあるし,近年のソロ・ライブについての考え方も概ね同様であることが大きかったように思う。であるならば,私と論調が合えば真っ当で,そうでなければダメと言っているようで,極めて不遜に聞こえるかもしれないが,そういう部分もないとは言わずとも,やはり首肯できる部分があるかないか(多いか少ないか)というのは,評価する上での一つの判断材料になってくるのは仕方がないと思う。相変わらずの極論も見受けられるが,私はこの本に書かれていることをニヤニヤしながらながめていたのも事実である。一番笑えたのはKeith JarrettとGarth Hudsonの関係性の記述かもしれない。

だが,論評対象からクラシックの作品を排除したというのは,「聴け!」というにはやはり不十分であり,一般的なクラシックのピアニストと違うKeithのアプローチについても論評すべきではなかったかと思う。裏を返せば,中山がクラシック音楽に関して論評を敢えて避けた(論評するだけのネタや比較対象がない?)とも言えるわけで,その辺りには中途半端さを感じる。そうは言いながら,多くのKeithのリスナーがジャズ側の人だとすれば,それもまぁ仕方がないかなぁなんて思うが,それでも,ショスタコービッチの演奏のよさや,八ヶ岳で録音された「ゴールドベルク変奏曲」におけるチェンバロの響きについてもカヴァーするべきだったと思えるのだ。

ということで,私個人としては中途半端さはぬぐえないが,中山の著作としてはまだましな方ということで,星★★★☆ぐらいにしておこう。

2014年4月 2日 (水)

"Six String Stories"到着! こりゃ重い(笑)。

Six_string_stories2 "Six String Stories" Eric Clapton (Genesis Publications)

世界2,000部限定で,Eric Claptonがこれまで使用してきたギターについて紹介する書籍である"Six String Stories"(Claptonのサイン入り)は,昨年3月ぐらいにはリリースされていたはずだが,その値段の高さもあって,私が見事に広告に引っ掛かった頃(今年の1月だっただろうか)にはまだ完売していなかったようである。私もバカだなぁと思いつつ,ついつい欲しくなって注文してしまったものの,送料込みでかなりのコストが掛かってしまった。この本には更に350部限定のデラックス版があったのだが,それは2日で完売したそうである。だが,私の注文した本だって,十分デラックスな価格である(苦笑)。

Six_string_stories1_2 その本が先日,私の手許に到着したのだが,これが無茶苦茶重い。というのは内容ではなく,重量がである(笑)。これほどずっしり重量を感じる書籍はあまりお目に掛かったことがないというぐらい重い。少なく見積もっても5kgはありそうである。私が入手した書籍のシリアルは1917番であるから,私が発注した段階でもはや新品の残りも少なかったはずだが,版元のサイトによれば,既に2,000部は完売となったようである。売り切れたとしても,オークション・サイトでも買えないわけではないと思われるが,それにしてもこの重量ではシッピング・コストが相当掛かること必定であろう。

それはさておきであるが,それにしても凄いギター・コレクションである。しかも貴重な写真集である。何だかんだと言って,私もClapton好きだが,先日買ったJoni Mitchellの楽譜集と並べて,家宝の一つとして持っておくことにしようという本である。写真は出版元のGenesis Publicationsから拝借。正直これも財布には痛かったが,ニヤニヤしながらこの本を眺める私の姿を想像して頂きたい(爆)。

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