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カテゴリー「ライブ」の記事

2017年11月21日 (火)

Some Thoughts on NewSound Live at Bobo, KL

先頃のシンガポール~マレーシア出張の合間に,私の同僚である最強サラリーマン・サックス・プレイヤー,八木敬之君の参加するNewSoundのライブに寄せてもらった。バンマスのJohn Dip Silasからのリクエストもあり,今回も私なりの感想を書かせてもらおう。面倒なので最初から英語で書いてしまうが,悪しからず。

During my business trip to Singapore and Malaysia, I had a chance to drop by Bobo, which is located in Bangsar, KL. It is said that Bangsar is a fashionable place and I actually saw a bunch of Westerners hanging around in the neighborhood. The reason why I visited there was to see the live performance by the band called NewSound, which is led by a talented pianist John Dip Silas and my friend, Hiroyuki Yagi is a member of the band. This is my second time to see their live performance, and here is what I thought at that time.

In the live performance held on November 11, 1st set was instrumental and in the second set, a singer, Aina Abdul joined.

On this occasion, the band's regular drummer, Terrence Ling was not there and the replacement drummer (Gibien Guan is his name, Yagi noted later.) seemed to have a very simple drum set. It made me feel that they sounded slightly different from the one I heard in June. Terrence Ling is a very tight drummer, while the guy at the gig sounded more loosely. And the band's selection at the first set sounded delicately, rather than technically or complicatedly. I assume that replacement of a drummer and the difference in play style of the drummers surely affected to the performance or tunes they played. They played originals by the members along with the songs by Dayna Stephens and Alan Pasqua. The selection of these musicians' songs definitely showed the delicate direction of the band on that night. And John Dip Silas played beautiful solos especially in his original entitled "For Brad" which is dedicated to my favorite pianist, Brad Mehldau.

Hiroyuki Yagi only played soprano sax while Scott Murphy played tenor. Frankly speaking, I wanted to hear their tenor battle because Scott Murphy's phrasing sounded more attractive and aggressive than the last time I heard him. The guitar player, Hor Chee Seng once again reminded me of Kurt Rosenwinkel with his clean tone and phrasing and his sound matched with the song selection. The bassist, Icco Elnoel showed his high solo skills along with backing capability.

In the 2nd set, Aina Abdul started to sing, I was surprised by her attractive voice, singing capability, and the articulation. She sometimes sang powerfully, sometimes emotionally, and sometimes delicately. It proves her singing capability and everybody would instantaneously know that she is a capable singer. She impressed me by singing Rachell Ferrell's "Why You Wanna Mess It Up?" which is not well known but deserves wider recognition, and delivered it very beautifully. And my friend Hiroyuki Yagi played a very melodious and nice solo. Video is attached below for your reference.

Their play was quite attractive all through the set, but if I can say one thing to make it better, I would say that I heard too much fake in “I Wish” sang as an encore, With Aina Abdul’s attractive voice and capability, she should have sung that song more straightly. Sometimes, audience wants some excitement in the live gig, though, she could satisfy and excite audience even with less gimmick. I would rather believe that excitement should made by NewSound in that situation. For that purpose, I want John to play Rhodes in some occasions.

However, I enjoyed that night and as always drank too much because of the comfortable atmosphere at Bobo and the sound by NewSound. I expect their upcoming album release from Japan.

Live at Bobo, KL on November 11, 2017

Personnel: John Dip Silas(p),Hiroyuki Yagi(ss), Scott Murphy(ts), Hor Chee Seng(g), Icco Elnoel(b), Gibien Guan(ds), Aina Abdul(vo)

2017年11月13日 (月)

出張中の一コマ

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現在,シンガポール出張中の私が,週末にマレーシアを訪問中にお邪魔したのが,現地Boboで行われたNewSoundのライブ。詳しくは改めて記事を書くが,最強サラリーマン・サックス・プレイヤー,八木君は相変わらずの吹きっぷりであった。どっちが本業?(笑)

2017年9月29日 (金)

RH Factor@Blue Note東京参戦記

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Roy Hargrove率いるRH Factorのライブを見るために,Blue Noteに出掛けた私である。RH Factorとしては何と4年半ぶりの来日だそうである。もうそんなに経ったのかと知った時はちょっとしたショックを覚えたが,前回の記憶は鮮明であった。前回も大いに楽しませてもらった(記事は
こちら)だけに,今回も期待して行ったが,その期待が裏切られることはなかった。

前回の来日から,ベースだけが交代しただけの布陣でのライブは,前回より更にファンク度が高まったようにさえ思えた。Roy Hargroveはトランペットにラップも交え,どファンクの世界を聞かせてくれた。Bobby Sparksがキーボードで聞かせたワウワウ・ギター的な音にもついつい燃えてしまった。聴衆もあれだけではなく,彼らの演奏には興奮させられるよなぁ。

ミュートをつけてのRoy HargroveのラッパはMiles Davisを彷彿とさせる瞬間もあったが,そんなことよりもこの完成度の高いファンクが,基本はジャズ・ミュージシャンである彼らから生まれるのは凄いことだと感じていた私である。とにかくこれだけのノリを堪能させてもらえたら全く文句はない。本当に素晴らしいバンドである。また見たいと思わせるに十分。完全にもとは取った(笑)。

本来なら最終日の9/29(金)の2ndセットに行きたかったところであるが,都合がつかず初日の演奏を見たわけだが,今回も90分以上はやっていたので,大満足の私であった。ってことで,上の写真はテーブルからの隠し撮り。写真を撮るために,敢えてステージ正面に座らない私(爆)。よくやるわ。

Live at Blue Note東京 on September 27, 2017, 2ndセット

Personnel: Roy Hargrove(tp, key, vo), Renée Neufville(vo, key), Bobby Sparks(key), Brian Hargrove(key), Bruce Williams(as), Keith Anderson(ts), Todd Parsnow(g), Reggie Washington(b), Jason "JT" Thomas(ds)

2017年9月21日 (木)

Brecker Brothers Band@Cotton Club東京参戦記。

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結論から言ってしまうと,いや~,楽しかった。あの"Heavy Metal Bebop"のメンツからMike Breckerを引いて,Ada Rovattiを足したこのリユニオン・バンドによるライブは,懐メロと言われればその通りだが,それが何か?と開き直りたい。

今年の11月で72歳になるRandy Breckerをはじめ,みんな歳を取ったわけだが,やっている音楽は極めてパワフルで,聞いている聴衆を飽きさせることがなかったのは本当に立派である。エンタテインメントとしてちゃんと成り立っていた。例えば,"Some Skunk Funk"でのRandyのプレイはゆるさを感じさせたが,それを補って余りあるTerry Bozioの爆裂ドラミング,そしてRandyの愛妻,Ada RovattiのMike Breckerを彷彿とさせるテナー・プレイにはまじで興奮させられた私である。

正直言って,今回,Ada Rovattiのプレイぶりには大いに感心させられたが,この人の実力は尋常ではない。Mike Breckerをアイドルにしていたと思って間違いないプレイぶりは,Phil WoodsがCharlie Parker未亡人と結婚したのと同じ感覚で,Randyと結婚したのではないかとさえ思えるほどだった。だが,そうした下世話な話を感じさせないほどの実力を感じさせたと思う。

Terry_bozzio_drums_setそしてTerry Bozzioである。この人のドラムス・セットの「異常さ」は昔からだが,写真で撮ると,凄いと思わせたSimon Phillipsの比ではない。圧倒的な物量作戦って感じである。しかし,バッキングはパワフルでありながら的確で,この人の頭はどうなっているのかとさえ思ってしまった。いずれにしても,今年の誕生日で67歳になる人のドラミングではなかった。完全年齢不詳のパワフル・ドラミングを口を開けて見ていた私であった。

今回の演奏は多分こんな感じと思う。曲順は違うかもしれないが,まぁいいや(爆)。
1. Sponge
2. First Tune of the Set
3. Ghost Story(Ada Rovattiオリジナル)
4. Straphangin'
5. Mikey B(Barry Finnertyオリジナル)
6. Funky Sea, Funky Dew
7. Some Skunk Funk
Encore:East River

Bbb_at_cotton_club_3私はサイン会でもRandyに言ったが,まさかの"East River"であった。いずれにしても,年齢は重ねても,これだけタイトな演奏ができるってのは凄いことである。右の写真はサイン会の模様だが,Randy,Barry Finnerty,そしてAda Rovattiの揃い踏みである。Ada Rovattiは気さくな女性で,好感度高かったなぁ(笑)。ライブでは彼女のテナーのPAのバランスが悪く,Bozzioのドラムスに消されそうになっていたのは残念だったが,それでも実力は十分に感じさせるプレイぶりであった。まじで大したものだ。繰り返すが,あぁ,楽しかった。ライブはこうでなくっちゃねぇ。

2017年9月15日 (金)

小曽根真"The Trio"@ブルーノート東京参戦記。

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小曽根真がThe Trio名義で"Dimensions"をリリースした時,そのアルバムはあまり評価できなかった私である(記事は
こちら)。しかし,「夜の部活」メイトからのご要望もあり,ライブに行ってきた。

結論から言えば,アルバムよりずっとライブの方がよかったと感じる。新作,旧作からのレパートリーを交えて演奏される曲は,ダイナミズムを感じさせ,フレージングもよかった。そして,Clarence Pennのドラミングはサトルさとパワーを併せ持つ素晴らしいものであった。James Genusのベースも音,フレージングともにいけていて,このトリオ,そもそものレベルが高いということを再認識した。

ブルーノートは完全フルハウス状態で,小曽根真は終始ご機嫌だったし,最終日ということもあり,MCもノリノリな感じがしたが,ピアノ・トリオとしては非常に楽しめるライブだったことは間違いない。サイン会まであるとは思っていなかったが,丁寧な応対ぶりも好感度が高かったと言っておこう。

写真は客席からスマホで隠し撮りをして,若干の編集を施したものだが,画像は粗いが,なかなかのナイス・ショットである(自画自賛)。

Live at Blue Note東京 on September 13, 2017,2ndセット

Personnel: 小曽根真(p),James Genus(b),Clarence Penn(ds)

2017年9月14日 (木)

今日は戦利品だけ。小曽根真のブルーノート・ライブ。

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今日は小曽根真のトリオ・ライブに行ってきた。本人たちは相当にご機嫌だったと思える。サイン会は期待していなかったのだが,機嫌のよさに助けられたのはラッキーであった。ってことで,今日は戦利品だけ。Clarence Pennは誰のCD?とかとぼけていたが,まぁいいや。私は「冗談はよせ!」と言っておいた(嘘)。

いずれにしても,この人たちはスタジオ録音より,ライブで価値を発揮すると思った(きっぱり)。

2017年9月 2日 (土)

Al Di Meola@ビルボードライブ東京参戦記

Di_meola1

私がAl Di Meolaの"Elegant Gypsy"を聞いたのはアルバムが出てすぐぐらいなので,高校1年ぐらいだったと思う。初めて聞いた時のショックというか,驚きは今でも覚えているぐらいのインパクトだったが,その頃の私は,とにかくどうやったらこんなギターが弾けるのか?としか思えなかったというのが実態である。

それから40年。Al Di Meolaは米国各地でその"Elegant Gypsy"40周年のライブを行っており,日本には来ないのかなぁとずっと思っていた私である。そしてようやく実現したのが今回のライブである。Di Meolaを見るのは,1983年のReturn to Forever再編時以来だからほぼ35年ぶり。その間にはDi Meolaに失望したこともあったし,持ち直したことを喜んだこともあった。ワンパターンだと思いつつも,それでも結局好きなのだ(爆)。

そして今回のヴェニューはビルボードライブ東京である。いつものようにカジュアル・シートに陣取ってライブを聞いていたのだが,まぁ,やっぱりワンパターンである。だが,これがDi Meolaの芸風なのだから,それを楽しめばよいと割り切っていた私である。"Elegant Gypsy"40周年ツアーと言っているのだから,同作の曲は全部やってくれと言いたいところだが,結局は3曲で,そのほかにRTFやアルバム"Casino",更には最新作"Elysium"からの曲も交えての約1時間半は相応に楽しめた。

ただ,バック・バンドはややリズムがぶれる感覚もあったし,いまいち感はあったが,Di MeolaがスカウトしたヴァイオリンのEvan Garrは,Di Meolaの音楽をよく理解しているのがわかって,非常に良かったと思う。つい数年前までは単なる素人,単なるファンだったとは思えない協調ぶりであった。

しかし,やはりファンとしてはもっと"Elegant Gypsy"の曲を聞きたかったのではないかとも思えるし,"Race with the Devil on Spanish Highway"は正直やって欲しかったが,まぁ贅沢は言うまい。Di Meolaの芸風を楽しんだことでよしとしよう。

いずれにしても,やっぱり黒のベストを着るのねぇと思ったのは私だけではあるまい。ってことで,客席から撮影した写真をアップしておこう。

Live at ビルボードライブ東京 on September 1, 2017,2ndセット

Personnel: Al Di Meola(g), Phil Magallanes(key), Evan Garr(vln), Elias Tona(b), Luis Alicea(ds),Gumbi Ortiz(perc)

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2017年8月26日 (土)

Mike Stern~Bill Evans Band@Cotton Club参戦記

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私はMike Sternのファンである。よって,彼が来日したら,基本的にライブには駆けつけるが,今回のメンツは強烈であった。

Mike Sternのバンドのドラマーと言えば,Dennis ChambersかDave Wecklが思い浮かぶが,基本はデニチェンだろう。マイキーの場合,ドラマーは超タイトな人選をすることの表れだが,そこに今回はSimon Phillipsが参加していることは,どう考えても注目度が高い。

Simon Phillipsについては彼のバンド,Protocolでのライブについても当ブログに記事をアップしている(記事はこちらこちら)が,ライブの場においても,強烈なドラミングを聞かせてくれるSimon Phillipsのことであるから,今回もマイキーを煽るに違いないと思っていたが,全くその通り。マイキーのみならず,Bill Evansも煽られて,今まで聞いた彼の生演奏では一番よかったと思わせた。また,Darryl Jonesがバックに徹する感じではありながらも,このファンク度はいいねぇと思わせるベースで支えるのだから,これは本当によかった。ほかの聴衆にとってもそうだったのだろうということは,自然なスタンディング・オヴェイションが物語っている。

驚いたことに,Bill Evansが歌ったのだが,これが結構いけていた。Kevin Hayesも歌がうまくて驚いたが,何でもできるのねぇと感じさせるに十分。キーボードはまぁオマケみたいなもんだったが,歌はへぇ~と思わせた。マイキーも歌ったり,鼻歌的にギターとユニゾンをしたりしていたが,歌はBill Evansの方がうまいな(笑)。

_20170824いずれにしても,強烈なバックにも恵まれて,今回のライブは非常に楽しめるものだった。2年前にWill Calhounを連れてきたときの違和感が嘘のような激烈ライブであった。やっぱりマイキーはドラマーによって変わる。今回のライブを見れば,Simon Phillipsとはまたやって欲しいと思うのは私だけではないだろう。ということで,先日の戦利品の写真をもう1枚アップしておこう。尚,上の写真はBlue Noteのサイトから拝借したものだが,当日のセットリストも掲載されており,おそらくは今回と同じだと思うので,そちらもアップしておこう。

1. Cool Eddie
2. Soulbop
3. All You Need
4. Kings and Queens
5. Untitled
6. Wing and Prayer
7. Chromazone
Encore: Red House

Lvie at Cotton Club on August 23, 2017, 2ndセット

Personnel: Mike Stern(g, vo), Bill Evans(ts, ss, key, vo), Darryl Jones(b), Simon Phillips(ds)

2017年8月24日 (木)

Mike Stern~Bill Evans Band@Cotton Clubの戦利品

Mike_stern_bill_evans_at_cotton_clu

久々にジャズのライブに行った。6月にはマレーシアで我が同僚,八木くん入りのNewSoundのライブは見ているが,日本では振り返れば5/25にPat Martinoを見て以来ということになるので,結構久しぶりである。

詳しくは改めて書くが,今回のライブの肝は,Darryl JonesとSimon Phillipsのリズム隊ということになるだろう。この超タイトなリズムに乗って,レベルの高いグルーブを聞かせてもらった。

ということで,今夜は取り敢えず今回の戦利品であるが,マイキーのCDを持参するのを忘れるという失敗を犯してしまったのは申し訳なかった。それでもマイキーとDarryl Jones入りのSteps Aheadのライブ盤はきっちり持って行っていたのだが(笑)。

しかし,今回,バンド・メンバーの中で,私が持って行ったCDに一番興奮していたのはSimon Phillipsだろうなぁ。写真のうち,下の2枚がSimonが参加したRMS(Ray Russell,Mo Foster,Simon Phillipsの頭文字を取ったもの)のアルバムだが,左のライブ盤も珍しいし,右側はGil EvansとRMSの共演という更にレアなアルバムなのだ。これを見て,Simonはマイキーと興奮気味に話を始め,サイン会の待ち行列を長くしてしまったのはほかのお客さんには申し訳なかった。でも,それは私のせいではなく,Simonがライナーをしげしげと見始めたからだもんね(爆)。

もう少し,ちゃんとメンバーと話ができればよかったのだが,正直時間切れって感じだったのは残念だったが,心地よい余韻とともに家路についた私である。

あぁ,楽しかった。

2017年8月 3日 (木)

Peter Serkin@すみだトリフォニーホール

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クラシックのコンサートに行くのは3年以上前にKrystian Zimermanを聞いて以来のことである。その前はKyung-Wha Chungで,更にその前はRadu Lupuだった。滅多にクラシックのコンサートに足を運ばない私が,珍しくも行きたいと思ったのが今回のPeter Serkinである。

私は彼の弾く現代音楽のアルバムが非常に好きで,結構な頻度でプレイバックしているが,その一方で,彼の弾くバッハも評価している。思い起こせば,今回のリサイタルにおけるメイン・プログラムである「ゴルトベルク変奏曲」の私が長年聞いてきた演奏が吹き込まれたのはもう20年以上前のことである。時の流れは早いとつくづく感じるが,聞けばPeter Serkinも既に70歳。その方が正直言って驚きだった私である。

世の中に「ゴルトベルク変奏曲」が嫌いだなんてリスナーがいるのかと思えるほど,この曲は素晴らしいと私は思っている。しかし,一般的な印象はGlenn Gouldの演奏が強烈過ぎるわけだが,ピアノ演奏においては,Gould以外では私はAndrás Schiff盤とこのPeter Serkin盤が好きなのだ。だから,今回,Serkinがこの曲をリサイタルで演奏すると知った時には,勢い込んでチケットをゲットしたのであった。

そして,今回のプログラムは次の3曲。

モーツァルト/アダージョ K.540
モーツァルト/ピアノ・ソナタ第17(16)番 変ロ長調 K.570
J.S.バッハ/ゴルトベルク変奏曲 BWV988

第一部はモーツァルトだった訳だが,冒頭から何とも深い音楽を聞かせてもらった気分である。K.540とK.570を連続して演奏し,曲間の拍手もなしという緊張感溢れる展開だったが,そこで聞かせたSerkinのピアノの何とも素晴らしかったことよ。私には深遠という表現しか思い浮かばなかった。こうなると当然,メインの「ゴルトベルク変奏曲」への期待は高まろうというものであった。

そして,休憩後の「ゴルトベルク変奏曲」である。Serkinは冒頭のアリアから繰り返しを行ったが,演奏はかなり自由度が高いというか,繰り返しが行われたのは一部の変奏に留まり,どういう理由でそうなるのか考えていた私である。そして,演奏そのものも,同じ変奏の中でもテンポが変わる場面もあるとともに,右手と左手の動きも微妙なずれを感じさせるような,かなり面白いものであり,実はSerkinの「ゴルトベルク変奏曲」はこんな感じだったっけ?と思っていたのである。ある意味,非常にユニークな響きだったとも言えるが,私個人としては違和感がなかったわけではない。

だが,Serkinはインタビューに答えてこう言っている。『《ゴルトベルク変奏曲》はあまたの可能性を秘めています。思い返せば、私はこの作品を1度たりとも、以前と同じように演奏したことはありません。ただし、その都度あらかじめ「こう弾こう」とすべてを決めて舞台に立つわけではなく、だからと言って、一時の気分に振り回されて恣意的にさまざまな奏法を「でっちあげ」ているわけでもありません。それはまるで即興のように、その場の自発性に委ねることを意味します。』

自発性に委ねる。まさしくそういう感じの演奏だったと言ってもよい。94年録音の演奏は比較的コンベンショナルな響きがあったが,今回の演奏はそれと違って当然ということなのであり,それがPeter Serkinのこの曲のプレイ・スタイルなのだということを後になって知って納得した私である。そういう意味で,今回のリサイタルも一期一会と言うべきものであり,私が感じた違和感も,一回性ということを考えれば,それはそれでありなのだと思える。

そんな演奏をしてしまえば,アンコールに応えることはおそらく不可能ということだったであろうし,ゴルトベルク変奏曲の演奏終了後,暫くの間,静止していたPeter Serkinの姿もさもありなんってところであろう。でも,私は前半のモーツァルトにより感動したが...(苦笑)。八ヶ岳でも聞いてみたかったなぁなんて,今頃思っている私。尚,上の写真はすみだトリフォニーホールのサイトから拝借したもの。

Live at すみだトリフォニーホール on August 1, 2017

Personnel: Peter Serkin(p)

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