久々のライブはOz Noyのトリオだったが,私の眼はKeith Carlockにくぎ付けであった...。
更新がまたも滞ってしまった。師走だけに公私ともに何かと忙しいのだ(とまずは言い訳)。それにも増して,なんとライブに行ったのは9月のCamila Meza以来ということで本当に久しぶりの参戦となった。その間には仕事でScott Hendersonに行きそこなったというアクシデントもあったとは言え,3か月以上空いたというのは私にとっては実に久しぶりな気がする。
それでもって今回行ったのがOz Noy Trio@Cotton Clubである。正直言ってしまえば,私はOz Noyだけだったらライブには行っていない。今回は何と言ってもそのメンツゆえというところである。だって,ベースはJohn Patitucci,そしてドラムスはKeith Carlockなのだ。このメンツであれば,パワフルな演奏を期待しない方がもぐりだ(きっぱり)。
それはそうなのだが,私の注目を一身に浴びたのはKeith Carlockだと言っても過言ではない。私はかつて,Wayne Krantzと来た時にも書いたが,彼のドラムスは「歌っている」のである。もはや単なるリズムの領域を越えている。Oz Noyはエフェクターを使って,いろいろなパターンの音と演奏を聞かせていたが,基本はハードになる。そのバックで,まさに変幻自在のドラミングを聞かせたのがKeith Carlockであったと言ってよいだろう。変な例えだが,今回のような演奏は演奏における振幅が激しく,ほとんどプログレみたいな展開すら聞かせた訳だが,そうした演奏を聴きながら,Keith CarlockならKing Crimsonでもやっていけるなんて演奏中独り言ちた私である(笑)。
逆に言うと,このバンドではJohn Patitucciの実力を十分に発揮させられたかというところには若干の疑問がある。John Patitucciはエレクトリックでもアコースティックでも素晴らしいテクニックを披露する人だが,今回のようにずっと6弦エレクトリックで通すなら,こっちとしてはギターとの高速ユニゾン・フレーズを期待したくもなるところである。しかし,Oz Noyの曲,あるいはアレンジにおいてはそういう感じにはなっておらず,ソロはちゃんと聞かせるフレーズを展開していたとしても,John Patitucciならではの高揚感をもたらさないところには,もったいないって感じ,更に極端に言えば,宝の持ち腐れって感じが強かった。だからこそ,私の注目はKeith Carlockに向いてしまったのだが,それにしてもである。
パワフルでありながら,微妙さも見事な兼ね備えたKeith Carlockのドラミングには,誰しもが興奮させられたことは間違いないところだろう。それゆえ,私の中では今夜のライブはKeith Carlock Bandかっ!?と言いたくなりそうになるほど,Keith Carlockに惹きつけられた夜であった。
もちろん,演奏に破綻はなかったし,ライブとしてのクォリティは保っていたので文句はないのだが,本当に誰を見に行ったのかわからないというのが正直なところであった。Keith Carlockは,来月にはWayne Krantz,Tim Lefebvre との最凶トリオでの来日を控えており,ますますそれが楽しみになってきた。4月にはBill EvansやRobben Fordとまた来るらしいし,私にとってはKeith Carlockのドラミングを拝めるチャンスはそこそこあるということになりそうだ。
最後にひとつOz Noyに苦言を呈しておくと,CDを買えばサインをするとステージでアナウンスしておきながら,サイン会はやらず,CDは一旦店で預かるってのはどういう了見か?私は別にCDを購入していないからいいようなものの,そういう対応はないだろう。その辺りに聴衆を大事にするかどうかのミュージシャンとしての姿勢が見て取れる。こういうファンを大事にする姿勢を示せない人は絶対好きになれないな。ほかのミュージシャンの名誉のために言っておけば,Oz Noyのようなのが例外であり,大概のミュージシャンはずっとフレンドリーだし,ファンを大切にしている。反省させろよ,Cotton Club!
Live at Cotton Club東京 on December 11, 2019
Personnel: Oz Noy(g), John Patitucci(b), Keith Carlock(ds)
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