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2016年おすすめ作

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カテゴリー「ワールド・ミュージック」の記事

2018年4月 3日 (火)

CODONA3部作からまずは1枚目。

"CODONA" Collin Walcott / Don Cherry / Nana Vasconceros (ECM)

Codona_2ある意味,これほどリリース当時のECMレーベル的な組み合わせもないだろうと思わせるのがCODONAである。メンバーの名前の2文字を組み合わせたバンドによるこのアルバムがリリースされたのは1979年だが,その頃はさすがに私もこっちの世界までは入り込んでいなかった(笑)。その後,1枚目は買っていたものの,2nd,3rdは買い損なっていたのだが,Trilogy Boxとしてリリースされたものを遅ればせながら購入したものである。だが,なかなか聞く時間が取れず,今頃になって改めての記事のアップである。

このメンツがやっている音楽をジャズとカテゴライズしていいかどうかについては,間違いなく議論があるところである。私ならどちらかと言えば,ワールド・ミュージックと呼びたい。ジャズ的なビートは全然出てこないし,楽器編成だって到底ジャズ的とは言えない。そもそも,それって何の楽器?みたいなのがクレジットされているし...。

曲目として"Colemanwonder"なんて曲があって,Ornetteの曲2曲とStevie Wonderの"Sir Duke"が組み合わされているのだが,確かに"Sir Duke"は最後の最後に出てきてるねぇ。4曲目"Mumakata"なんて明らかにアフリカ的だしねぇ。やっぱりこれって面白いんだけれども,普通の人が聞いたら「何ですか,これは?」となること必定であろう。このバンドは前述の"Colemanwonder"以外の曲を提供しているCollin Walcottが主導したと考えるのが妥当だろうが,それにしても面白い。彼らがもたらすこのメンツならではの「間」の具合が,疲れた都会人を癒すって感じもあるなぁ。

ということで,一体何が言いたいのかわからなくなってきたが,ECMらしさってのは十分に感じられるアルバムである。星★★★★。

Recorded in September 1978

Personnel: Collin Walcott(sitar, tabla, hammered dulcimer, kalimba, vo), Don Cherry(trumpet, wood flute, doussn' gouni, vo),Nana Vasconceros(percussion, cuica, berimbau, vo)

2018年1月25日 (木)

更にRy Cooder参加のアルバムは続く(笑):今日はAli Farka Toure。

"Talking Timbuktu" Ali Farka Toure with Ry Cooder(Hannibal/World Circuit)

_20180121インド,ハワイと続いたRy Cooderのワールド・ミュージックの3枚目はアフリカである。マリ出身のAli Farka ToureのアルバムのプロデュースもRy Cooderが行って,多くの曲で共演も果たしたアルバムである。なんでもこの二人,ロンドンで出会って,意気投合,アルバムの制作までしてしまったということらしい。

久しぶりに本作も聞いたのだが,1曲目を聞いていて,何となく砂漠のブルーズことTinariwenを思い出してしまった。Tinariwenの活動拠点がマリってこともあるかもしれないが,アフリカ系ブルーズ的な響きを濃厚に感じさせる。その後,ブルーズ的なサウンドだけでなく,多彩な音楽が収められていて,これはいいねぇと思わせる。更に,ゲストとしてClarence "Gatemouth" Brownが登場すると,途端にブルーズ色が濃厚になるのは,当たり前と言えば当たり前だが,さすがなのである。Gatemouthは"Ai Du"ではヴィオラを弾いているのだが,何を弾いても,この人の生み出す雰囲気ってのが絶妙って気がする。

いずれにしても,ここで強調しなければならないと思うのは,所謂セッション・アルバムでありながら,非常に質の高い音楽に仕上がっていることだということである。有能なミュージシャン同士の邂逅と言ってしまえばその通りだが,やはりここはRy Cooderがプロデューサーとして果たした役割が大きいと言うべきだろう。適材適所のゲスト,そしてRy Cooder自身のプレイぶりも含めて,これは実によかった。こういうのはもっと取り出しやすいところに置いとけよ!という反省も込めて星★★★★☆。

Recorded in September 1993

Personnel: Ali Farka Toure(vo, g, banjo), Ry Cooder(g, b, mandolin, marimba, mbira, cumbas, tamboura), Hamma Sankare(calabash, vo), Oumar Toure(bongo, conga, vo), Clarence "Gatemouth" Brown(g, viola), John Patitucci(b), Jim Keltner(ds)

2018年1月24日 (水)

Ry Cooder参加のセッション・アルバム,次はGabby Pahinuiだ。

"The Gabby Pahinui Hawaiian Band" Gabby Pahinui(Panini)

Gabby昨日取り上げたRy CooderとV. A. BhattのアルバムがGabby Pahinuiに捧げられていたこともあって,久しぶりにこのアルバムを取り出してきた。聞くのは何年ぶりだろうか。まぁ,典型的なハワイアン・ミュージックだからねぇ。

Gabby Pahinuiがハワイアンの巨匠だってのはわかっていても,このアルバムを私が購入した動機は,またもRy Cooderになってしまう。ここでのRy Cooderは基本的にマンドリンを演奏しており,時折ティプレも演奏しているようだが,どの曲でってところまでは認識できていない。ティプレという楽器はコロンビアを中心に使われているようだが,3弦4コースの12弦という珍しい楽器だってのは初めて知った。へぇ~って感じである。Gabby Pahunuiは12弦ギターを弾いているが,ギターだってあれだけ特殊な響きがあるのに,3弦張るってのは結構凄いなぁなんて思ってしまう。弦を2-3-3-2の10弦とするティプレもあるそうだが,Ry Cooderはどっちだったのか?

それはさておき,私はハワイアンにはうといので,この音楽がどの程度優れているのかってのはなかなか評価できないのだが,この弦楽器が重なって生み出される音楽の心地よさはわかるつもりである。いずれにしても,聞いていてゆったりした気持ちになれるのがハワイアンのいいところって気がする。何曲かでNick DeCaroがアレンジしたストリングスが入るが,そうした観点でこれは蛇足って気もするなぁ。ってことで,星★★★★。

尚,アメリカでリリースされた盤のジャケットにはGabbyのポートレートが上記のジャケットに付加されているので,念のため。

Recorded in August and September 1974 and April 1995

Personnel: Gabby Pahinui(g, b, vo), Leland "Atta" Issacs(g, vo), Sonny Chillingworth(g, vo), Manuel "Joe Gang" Kupahu(g, vo), Bla Pahinui(g), Cysil Pahinui(g, b), Randy Lorenzo(g, b, vo), Ry Cooder(mandolin, tiple)

2018年1月23日 (火)

こんなのもあったねぇ。Ry Cooder Meets Indiaみたいな”A Meeting by the River"

”A Meeting by the River" Ry Cooder & V. M. Bhatt(Water Lily Acoustics)

_20180120先日,百数十枚のCDを処分して,私もいろいろなCDを保有しているものだと今更ながら思うが,生き残ったアルバムも改めて見直すとへぇ~と思うようなCDがある。これもそんな一枚である。

私は昔から結構なRy Cooderのファンだったが,その流れで購入したことは間違いない。それがこれだが,Ry Cooderのボトルネック・ギターとV. M. Bhattの弾くこれもスライドさせるらしいMohan Veena (アルバムのカヴァーにはVinaと書いてあるがVeenaが一般的のようだ)を中心にタブラとドゥンベクが加わるという構成だが,これは完全にインド音楽を基調としたものなので,まぁ異色と言えば異色である。そこにRy Cooderのギターが織り込まれるというのが何とも聞いていて面白い。あらゆる音楽を吸収してきたRy Cooderだからこそ成り立つ音楽という感じである。

とにかく,私の耳はほとんどRy Cooderのギターに行ってしまうのだが,それは仕方ないってことで(笑)。まぁ,多くの人に勧められるような音楽ではないが,一種のアンビエント・ミュージック的なところも感じてしまった私である。完全なセッション・アルバムにしては実によくできている気がする。ただ,音楽の一般的な訴求力を考えれば星★★★★ぐらいか。こういう音楽がGabby Pahinuiに捧げられているのは不思議な感じだな。

Personnel: V. M. Bhatt(mohan veena), Ry Cooder(g), Sukhvinder Singh Namdhari(tabla), Joachim Cooder(dumbek)

2017年12月29日 (金)

2017年の回顧:音楽編(その1)-ジャズ以外

今年も大詰めが近づき,いよいよ今年の回顧も音楽に突入である。まずはジャズ以外の音楽について取り上げよう。私が高く評価したアルバム(★★★★☆以上)については,2017年のおすすめ作としてブログの右側に掲示しているので,大体予想がついてしまうという話もあるが,まぁそれはさておきである。

Vkingur_lafsson私が今年ジャズ以外の音楽で聴いて,最も感銘を受けたのはVíkingur ÓlafssonのPhilip Glassのピアノ作品集であることは疑いのない事実である。この清冽な響きには正直ノックアウトされてしまった。私は今年は現代音楽のピアノを結構聞いたと思うが,ほとんどはECMレーベルの作品であり,それはピアノの響きと演奏が一体化していて心地よいということがあるのだが,このVíkingur ÓlafssonはDeutsche Gramophoneからの作品であり,ECMでないということが重要なのだ。これはまじで最も感動した作品の一枚であった。

Graceそしてそれと双璧なのがLizz Wrightの"Grace"である。本作はジャズのカテゴリーに入れてもいいと思ったが,本質的にこれはルーツ・ミュージック,あるいはソウルの世界である。よって,ここに取り上げることにするが,記事を書いた時の「Cassandra Wilsonを越えた」という表現に私には揺らぎはない。Lizz Wrightはこれまでも優れた作品をリリースしてきたが,これこそこれまでの彼女にとっての最高傑作と言ってもよい出来である。傑作という表現以外思いつかないぐらいの超絶作品。素晴らしい。

Moonchild心地よさという点ではMoonchildの"Voyager"が最高であった。メロウ・グルーブっていうのはこういうのを言うのだと思わせるに十分なアルバム。音楽に何を求めるかっていうのはいろいろあるところではあるが,心地よさ,身体が揺れるという感覚を感じさせてくれるに十分なアルバムであった。彼らのライブを見逃したのは痛かったが,こうした演奏に触れる機会を与えて頂いたブログのお知り合い,kenさんには大いに感謝したい。本当に気持ちいいアルバムである。

Southern_blood_2こうした作品に加えて,今年涙なくして聞けなかった作品というのが一枚ある。それがGregg Allmanの遺作,"Southern Blood"である。作品としての質がどうこうということではなく,私は本作に純粋に感動してしまったのである。加齢により涙もろくなっているということも影響しているが,本作は死期を悟ったミュージシャンのまさに"Swan Song"である。ある程度年齢を重ねたリスナーにとっては,これはツボに入ってしまうこと確実な音楽と言える。私は決してAllman Brothers Bandに思い入れのある人間ではないにもかかわらずの感動なのだ。これは本物だと思っている私である。

そのほかにもいろいろ面白いアルバムはあったが,いずれにしても,先日発表された「ミュージック・マガジン」のベスト10とは見事なほどに全く無縁のセレクションになってしまったなぁ。まぁ,自分の嗜好で音楽を聞いているので,違うのは当たり前だが。いずれにしても,来年も自分の好みに忠実に過ごしていければと思っている。プロじゃないからね(笑)。だが,上に挙げた4枚はどれを聞いてもはずれはないと言っておこう。

ここに挙げていないアルバムにもいいものはあった。Joe Henry,Tangerine Dream,Rose Cousins等は無視するには惜しかったのだが,自分の中での感覚を重視したらこういうチョイスになったということである。おっと,忘れてはいけないが,今年入手して嬉しかったものはGeorge Harrisonの"All Things Must Pass"のアナログ再発盤とKraftwerkの3-D Box。我ながらオタクである(爆)。

2017年8月 1日 (火)

Judit Neddermann:これはいいねぇ。

"Tot El Que He Vist" Judit Neddermann(Temps)

Totelqhevistショップをうろついていて,目についたアルバムである。ついでに試聴ができたので,冒頭の2曲を聞いて,即購入決定であった。

Judit Neddermannという名前は,不勉強にして初めて聞いたが,カタルーニャ出身のシンガー・ソングライターである。カタルーニャと言えば,バルセロナであるが,現在はスペインからの独立運動で盛り上がっている。スペインはもともと各地域ごとの独立心が旺盛な土地柄であるが,そうした要素はこの人の音楽とは無関係である。

そもそもスペインの音楽と言えば,単純な私の頭の中では即フラメンコとなってしまうわけだが,ここで聞かれる音楽はフラメンコとは全く異なり,ブラジル的なサウンドと言ってもよい。そして,私がこのアルバムに魅かれたのは,Judit Neddermanの声そのものにほかならない。なんと素敵な声だろうか。

この声と,控えめなバッキングが相まって,非常に爽やかな時間が優雅に過ぎて行く。この感覚はPaula Santoroのアルバムを初めて聞いた時の感覚に近いように思える。

全編に渡って素晴らしい声を聞くことができるが,最後の"Luesia"だけ,パーカッションが賑やかに鳴り響き,ちょいと感じが違うのがやや惜しく感じてしまうが,それでもこのアルバムのよさはより多くの知ってもらいたいと思えるものであった。

参加ミュージシャンが多いので,パーソネルは省略するが,いずれにしてもこれは嬉しい発見であった。星★★★★☆。ついでにYouTubeに映像がアップされているので,それも貼り付けておこう。直感を信じて買ったが,これはやっぱりええですわぁ。

2017年2月21日 (火)

Tinariwenの新譜が出た。どれを聞いても同じって話もあるが,このグルーブには抗えない。

"Elwan" Tinariwen(Wedge/Anti)

_20170219_2早いもので,私がこのブログでTinariwenの記事を初めて書いてから,7年半近くの時間が過ぎてしまった。その間にアルバムが出るたびに,「砂漠のブルーズ」と称される彼らが生み出すグルーブが聞きたくて,必ず購入しているのだから,私の音楽的な嗜好とフィットしているってことになるだろう。

昨年リリースされたライブ盤から約1年という短いインターバルでリリースされた新作は,相変わらずのTinariwenである。主題にも書いた通り,どのアルバムを聞いても,同じに聞こえるって気がしないでもないが,このグルーブには抗いがたい魅力がある。もちろん,アルバムの収録曲には結構メリハリがついているので,全然退屈するような音楽ではないし,歌詞を読んでいると,結構プロテスト・ソングだなぁなんて思わせるものもある。しかし,言葉は別にして,私を惹きつけるのはやはり彼らの生み出すゆったりしたグルーブなのである。

彼らのサウンドは相変わらず呪術的とも思えるが,こういう音楽に魅力を感じる欧米のミュージシャンが多いことは,Tinariwenのアルバムにゲスト参加するミュージシャンが結構多いということからも明らかだが,ある意味では普遍的な魅力を有していることの裏返しと捉えることもできると思う。彼らが参加した曲はやや異なる雰囲気を作り出す瞬間もあるが,それがTinarwenの音楽ときっちりブレンドしている。例えば,"Talyat"に聞かれるアコースティック・ギターは,ゲストの影響もあってかむしろ欧米的な響きを持っている。また,"Nannuflay"にはMark Laneganがヴォーカルで加わるが,彼の歌は完全にアメリカンだが,Tinariwenのグルーブに乗った英語詞の響きも面白かった。そうしたヴァリエーションも含めて,何度聞いてもやはり魅力的な響きである。ということで,星★★★★☆。

尚,アルバムには11曲しかクレジットされていないが,隠しトラックが2曲あるので,最後までちゃんと聞きましょう(笑)。

Personnel: Ibrahim Ag Alhabib (g, vo), Abdallah Ag Alhousseyni (g, vo), Alhassane Ag Touhami (vo, g, clap), Iyad Moussa Ben Abderahmane(g), Elaga Ag Hamid (g, vo, clap), Eyadou Ag Leche (b, g, vo, clap), Said Ag Ayad(perc, vo, clap), Iyad Moussa Ben Abderahmane(g), Mina Wallet Oumar(you-you), Amar Chawoui(perc), Kurt Vile(g), Matt Sweeney(g), Alain Johannes(g), Mark Lanegan(vo) and Others

2016年3月23日 (水)

Piazzolla芸術極まれりと思えるハイ・テンションのライブ

"Tristeza de un Foble A" Astor Piazzolla y su Quinteto Tango Nuevo (Messidor)

Aa私はAstor Piazzollaの熱心な聞き手という訳ではないが,それでも彼の"Tango: Zero Hour"には心底痺れているのは事実である(同作に関する記事はこちら)。それがあまりに物凄い緊張感を持った音楽であるため,そんなしょっちゅう聞こうとは思わないのだが,先日,いつもお邪魔している新橋のテナーの聖地,Bar D2で突然この作品がプレイバックされて,マスターにまたもチャレンジされたって感じになってしまった(笑)。とにかく,このアルバム,冒頭の22分に及ぶタイトル・トラックが強烈で,正直言って,これ一曲のためだけに手に入れる価値があると感じてしまった。ということで,いつものように,私が廃盤となっている本作の中古盤を求めてネットを徘徊の上,クリックして発注したのであった(爆)。

そして,海外のセラーから届いたこのアルバムを改めて聞いたのだが,アルバム全体を通じて素晴らしい出来であることは紛れもない事実であるが,それでも本作はタイトル・トラックこそが白眉と言ってもよいだろう。Piazzollaのソロからアンサンブルに転じていくが,ここで聞かれるPiazzollaのソロを名演と言わずして何と言うか?という感じである。それは聴衆の熱狂的な反応からも明らかだろう。

更に,バンドとしての緊密性も高く,いつものようにテンションが高い。本作が吹き込まれたのは"Tango: Zero Hour"と同年ということになるが,この年,Astor Piazzollaの創造力はほとんどマキシマムになっていたと思わざるをえない傑作ライブ。いやいや,それにしても凄いや。ってことで,星★★★★★しかあるまい。こんな作品が3年前に国内で再発されても,今や入手困難というのは悲しいねぇ。まぁ,大した枚数も売れないのだろうが,こういうのは文化遺産として常に聞けるようにしておく必要があると思うなぁ

Recorded Live at Konzerthaus, Vienna in November 1986

Personnel: Astor Piazzolla(bandoneon), Fernando Suárez Paz(vln), Pablo Ziegler(p), Horacio Malvicino(g), Héctor Console(b)

2016年2月 8日 (月)

祝祭的/儀式的な響きさえ感じさせるTinariwenのライブ。これははまる。

"Live in Paris 2014" Tinariwen(Anti)

Tinariwen

私がTinariwenの音楽に初めて触れたのは2009年8月に彼らの"Aman Iman"を取り上げた頃ってことになるので,もう6年半近くの時間が経過している。その後リリースされたアルバムは入手しているし,そのどれもが彼ららしいグルーブに満ちていて,私は彼らの音楽に結構はまっていると言ってよいだろう。とにかく所謂「砂漠のブルース」と呼ばれる彼らの音楽は本当に私の魅惑するグルーブに満ちている。

本作は彼らの前作"Emmaar"の付随するツアーの音源として,パリで録音されたものであるが,まず最初に聞いて驚かされるのが,Lalla Badi(75歳だそうである)のヴォイスによって導かれる儀式的な"Tinde"である。ギターが加わらないので,いきなり強烈な民族的な響きには面喰うが,これをプレリュードに,2曲目以降はいつものTinariwen的な音楽になっていく。そして,中盤にインタールード的に,更に最後にもLalla Badiが登場することには明確なメッセージというか,明確なライブとしての構成を感じざるをえない。意図的にやっているのである。

それにしても,彼らの音楽が生み出すサウンドに私がどうしてここまで魅かれてしまうのか。歌っている歌詞の意味は全くわからないのだから,サウンドとヴォイスの魅力にやられているということになるだろうが,これはとにかく先入観なしに聞いてもらうしかないのである。彼らの音楽にはメロディ・ラインの振幅はあまりないので,ミニマルだとさえ思える部分もあるのだが,私にとっては複数のギターによって生み出される強烈な音と,ベースとパーカッションというシンプルなバックの生み出す心地よいビートに身体と心を揺らしていると言ってもいいかもしれない。

これは座ったまま聞く音楽ではなく,オール・スタンディングで身体を(私の感覚では「左右」に)揺らしながら聞くのが最も心地よいと思わせる音楽である。とにかくこれは気持ちよ過ぎる音楽である。ちょっとオマケして星★★★★★としてしまおう。だってまじで気持ちいいんだもん(爆)。

Recorded Live at Theatre Des Bouffes Nord on December 13, 2014

Personnel: Ibrahim Ag Alhabib (g, vo), Abdallah Ag Alhousseyni (g, vo), Hassane Ag Touhami (vo, g, handclaps), Iyad Moussa Ben Abderahmane(vo, g), Elaga Ag Hamid (g, vo),Eyadou Ag Leche (b, vo), Said Ag Ayad(perc, vo), Lalla Badi(vo, tinde), Tagmar Bad(vo, clap), Toulou Kiki Bilal(vo, clap)

2015年10月18日 (日)

Sokratis Sinopoulos: 何ともゆったりしたECMサウンドであることよ

Eight_winds"Eight Winds" Sokratis Sinopoulos Quartet(ECM)

つくづくECMレーベルというのは不思議なレーベルだと思う。極めてジャズ的なものもあれば,オーセンティックなクラシックのアルバムもあるし,民族音楽的なものや,Nik Bartschのようなミニマル・ファンク(リチュアル・グルーブとも言うらしい)まで何でもありの越境ぶりには,オーナーのManfred Eicherの趣味が反映していることは言うまでもない。

LyraそんなECMから先日リリースされたうちの1枚をようやくアップである。ここでSokratis Sinopoulosが弾いているのはLyraという楽器だが,クレタ島の伝統楽器とのことである。弓で弾かれるが,雰囲気的には二胡のような感覚もある楽器であるが,音色はもう少し渋くくすんだ感じと言えばいいだろうか。写真はネットから拝借したものだが,見た目としてはちょっとリュート的な感じもするが,弓弾きであることがリュートとは異なっている。

そうした楽器とピアノ・トリオというセッティングで演じられる音楽は,極めてゆったりとした川の流れのような音楽である。バックで流れていても何の邪魔にもならないところは,ほとんどアンビエント・ミュージックだと言ってもよいが,このゆったり感が実は非常に心地よいのだ。バックがピアノ・トリオなので,ジャズ的なセッティングと言ってもよいが,出てくる音にはジャズ的な要素は希薄である。それでもこういうゆったり感ってのも,たまにはいいと思える。

まぁ,こういう音楽が今聞けるとすれば,やはりECMになってしまうだろうなぁと思うが,不思議でならないのはManfred Eicherはこういう人たちにどうやって目配りをしているかってことである。おそらくはデモ・テープがしょっちゅう届いているのではないかと思うが,それにしてもこの幅広さ,やっぱり凄いことである。ということで,音楽的にどう評価するかは難しいところであるが,アンビエント的なところを評価して星★★★★としよう。但し,音楽に刺激を求める人には全くフィットしないこと必定の音なので,念のため(笑)。

Recorded in August,2014

Personnel: Sokratis Sinopoulos(lyra), Yann Keerim(p), Dimitris Tsekouras(b), Dimitris Emmanouil(ds)

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