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カテゴリー「ジャズ(2019年の記事)」の記事

2019年1月23日 (水)

ヴォーカルを大して聞かない私でさえ痺れるIrene Kralのバラッド集。

"Where Is Love?" Irene Kral(Choice)

_20190114_5主題の通りである。私はジャズ・ヴォーカルを大して聞かない。前にも書いたが,大御所はある程度聞くが,決してジャズ・ヴォーカルが音楽鑑賞の中心になることはない(と開き直る)。そんな私にはジャズ・ヴォーカルを語る資格なんてないだろうと言われれば,その通りである。

だが,私にも夜の帳が降りた後に,しっとりとした音楽を聞きたくなることもあるのだ。そんな時に,ふとプレイバックしてしまう代表はAnn Burtonだったりする。Ann BurtonにはAnn Burtonなりのよさがあるが,それをはるかに凌駕するアルバムがこれだと思っている。

まさに夜,一人で聞くのにこれほど適した音楽があるだろうか。ウイスキーでも片手に聞けば,ついついグラスの数を重ねてしまうのではないかと思える,実に素晴らしいバラッド集である。

名手Alan Broadbentのピアノだけをバックに歌われるここでの歌は,カクテル的に響くのではないかと思えるが,声,歌唱,そしてBroadbentのピアノのどれもが一級品であり,しかも選曲が渋い。まさしく芸術品である。そして,収められているのが決して有名な曲ばかりではないところがいいのだ。このアルバムで初めて聞いたような曲もあるが,こんなアルバムを聞かされたら,傾聴するもよし,聞き流すもよし,そしてこのアルバムは,私にとっては,ほかにノイズの極力入らない環境で,小音量で聞くのが最適なのだ。

誤解を恐れずに言えば,こういう音楽は子供や若者には理解できなくてよい。ある程度年齢を重ねた大人にこそ訴求する音楽。星★★★★★。まじで痺れる。最高だ。

Recorded in December, 1974

Personnel: Irene Kral(vo), Alan Broadbent(p)

2019年1月22日 (火)

重量級トリオなのだが,結果は微妙なKenny Barronの"Wanton Spirit"。

"Wanton Spirit" Kenny Barron(Verve/Gitanes)

_20190114_4Kenny Barronは1943年生まれなので,今や大ベテランの領域に入ったと言える。しかし,私の中ではStan Getzとの"People Time"の印象が強く,それ以外の彼の代表作は何だろうと思ってしまう。もちろん,Charlie Hadenとの"Night and the City"とか,自身のトリオによる"Live at Bradley's"のような素晴らしい作品はあるのだが,そのほかのアルバムは私にとってはやや印象が薄いのは事実である。

そんなKenny BarronがCharlie HadenとRoy Haynesという重量級のリズムを得て吹き込んだのが本作である。本作の特徴はまず選曲である。Kenny Barronのオリジナルは1曲だけに留め,Duke Ellingtonが2曲選ばれている以外では,有名無名のジャズ・オリジナルが並んでいる。

冒頭の"Take the Coltrane"から軽快なノリで始まり,2曲目はなんとTom Harrellの"Sail Away"である。この辺の選曲はわかってるねぇと思わず言いたくなってしまうが,もうちょっと美的にできるのではないかという感触もある。その後がDizzy Gillespieの"Be Bop"で,これをミディアム・テンポでやって,どうも私には違和感が生じてくる。Kenny Barronとハードな演奏というのは,あまり結びつかないが,かと言って美的でリリカルなピアニストという印象でもないKenny Barronゆえ,一般的な急速調"Be Bop"を避けたのかもしれないが,やっぱりこの曲はミディアムにはあまり合っていない。その一方で,Kenny Barronのオリジナル,その名も"Madman"を相当激しくやっているのだが,これもどうも居心地が悪い。

思うに,Kenny Barronのピアノは,奇をてらったり,突出感を持たせるよりも,落ち着いた感じの品の良さを持っているぐらいの方が私には馴染むってことだと思う。だから私は"Live at Bradley's"のようなアルバムが好きな訳だ。なので,Richie Beirachのオリジナル"Nightlake"や,ドラマーのVictor Lewisが書いた"The Loss of a Moment"のような曲の方がはるかにしっくりくるのだ。こうした特性はおそらく,Charlie Hadenにも当てはまると考えるべきで,だからこそ"Night and the City"のような素晴らしいアルバムが生まれた訳だ。それに対してRoy Haynesがそういう感じではない,むしろハードに叩きたい方だろうというところに,私はこのメンツのミスキャスト感を覚える。

これだけのメンツである。もちろん悪い演奏ではないのだが,曲ごとのバラつきが気になってしまう。だからプレイバックされる回数が少ないのねぇってのを,被災ぶりに聞きながら実感した私。私にとってのこのアルバムの問題は,"Be Bop"と"Madman"の2曲だと言い切ってしまおう。だからこそ惜しいのだ。星★★★☆。

Recorded on February 22, 23, 1994

Personnel: Kenny Barron(p), Charlie Haden(b), Roy Haynes(ds)

2019年1月21日 (月)

"Stan Getz Quartet Live in Paris"と言っても,こっちは82年録音。

"Live in Paris" Stan Getz Quartet (Dreyfus)

_20190114_2昨日,Stan Getzの1966年のパリでのライブを取り上げたが,今日は同じタイトルでも,後年の発掘音源である。本作がリリースされたのは1996年のことであるが,私が保有しているのはジャケ違いの多分99年の再発盤。こんな短期間でジャケ違いで出さなくてもいいのではないかと思わせるが,その真意は不明。

同じクァルテットと言っても,こちらはピアノ入りの典型的ワンホーン編成。ピアノは80年代前半にGetzと共演しているJim McNeely。リズムはその後,結構長期に渡ってパートナーを務めるドラムスのVictor Lewisに,ベースはMarc Johnsonである。Jim McNeelyって正直なところ印象はそれほど強烈ではないが,現在もVanguard Jazz Orchestraでピアノを弾いているし,同バンドでGrammyも受賞している。GetzやPhil Woodsともやっているが,私の印象が薄いのは,私があまり聞かないビッグバンド系のアルバムが多いせいかもしれない。だが,ここでは1曲,オリジナルの"On the Up and Up"を提供しているが,なかなかいい曲を書く人である。

Stan_getz_in_paris_1982そうは言っても,Stan Getz Quartetとなれば,主役はGetzに決まっている(きっぱり)。 ここでのレパートリーをGetzがどう吹くかが最大の関心事であることは間違いない。珍しいなぁと思うのは"Airegin"とか,"Tempus Fugit"のようなバップ,ハード・バップの代表的な曲をやっていることだろうか。"Tempus Fugit"については80年代に何度か吹き込んでいるようだが,バッパーとしての血が騒いだのか?とも思いたくなる。しかし,ここでもStan Getzの音で,熱い吹奏を聞かせるではないか。やはり何でもできるのだと思いたくなるような演奏。

あまり目立たないアルバムかもしれないが,これは結構聞きどころもあって楽しめるアルバム。Getzは奥が深いねぇ。星★★★★。66年のライブより私はこっちの出来の方がいいと思う。

尚,上のジャケが私が保有している盤で,下が多分オリジナルのジャケ。上は色調が暗いし,下はなんてことないって感じで,う~むってところだなぁ。

Recorded Live at New Morning in Paris in 1982

Personnel: Stan Getz(ts), Jim McNeely(p), Marc Johnson(b), Victor Lewis(ds)

2019年1月20日 (日)

"Stan Getz Quartet in Paris"をこれまた久々に聞く。

"Stan Getz Quartet In Paris" (Verve→Gitanes)

_20190114本作も久しぶりに聞いたって感じである。本作はVerve原盤のライブ盤を,"Jazz in Paris"シリーズの1枚としおて仏Universal傘下のGitanesが再発したもの。このシリーズは数多くのミュージシャンのレコーディングを集したものであり,ライナーには81種のレコーディングから構成されると書いている。今となってはそうだったのかぁって感じだが,購入した当時はライナーも多分読んでないし...(爆)。

収録された曲を見ていると,"Edelwess"なんてのが入っているではないか。そう。あの「サウンド・オブ・ミュージック」の「エーデルワイス」である。Stan Getzがそんなのやってたっけ?と思っていたら,何のことはない,Gary Burtonによるソロ・ピースとして演奏されている。それならわかる(笑)。

Stan_getz_quartet_in_parisこの時の演奏は,Getz,BurtonにSteve Swallow,そしてRoy Haynesというなかなかに魅力的なメンツによるものだが,よくよく考えると,Getzを抜いて,Larry Coryellを加えると,ロック色の強いと言われたGary Burton Quartetになる訳だ。今にしてみれば,そのGary Burton Quartetのどこがロック色が強いのかと思ってしまう(敢えて言えばCoryellのフレージングか)が,当時はGetzとやっていた面々がどうしてこうなるの?って感じだったのかなと思う。

それはさておき,ここでのGetzの演奏は,まぁいつも通りって感じであるが,"On Green Dolphin Street"なんてもっといい演奏ができそうにも思える。また,"The Knight Rides Again"に顕著なように,Roy Haynesは明らかに叩き過ぎで,正直Getzの演奏に合っているとは思えないところもあって,素晴らしく高い評価を与えることはできないってところ。ってことで,星★★★☆。

尚,上のジャケが再発盤,下のジャケが一般に知られているVerve盤のジャケ。

Recorded Live at the Salle Pleyel on November 13, 1966

Personnel: Stan Getz(ts), Gary Burton(vib), Steve Swallow(b), Roy Haynes(ds)

2019年1月19日 (土)

Pat Methenyの新バンドをブルーノートで聞いた。

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今年の初ライブとして,Pat Methenyが新しいバンド,“Side Eye"を結成し,そのお披露目ライブが日本で開催されるということで,ブルーノート東京に行ってきた。今回のバンドのキモは私にとってはドラムスのNate Smithである。

Nate SmithがPat Methenyとどのような相性を示すのかについては,冒頭の“All the Things You Are”での二人のバトルのような演奏を聞かされた段階で,私は大いに興奮させられたことからも明らかな通り,全く問題なしである。素晴らしくタイトなNate Smithのドラミングは,Antonio Sanchezに勝るとも劣らないと言ってよいだろう。。

そして,Pat Methenyとしては珍しいブルーズの演奏や,”Little Wing“的に響く曲での,Eric Claptonを彷彿とさせるフレージング等は大いに楽しめた。これが新バンドの新機軸なのか,手慣らしなのかはわからないが,実に興味深い演奏であった。

しかし,今回のライブには大きな問題があった。PAの不調である。それはPat Methenyがセミアコでソロで美しいフレーズを弾きだした時に起こった。ノイズを拾っているのか,エフェクターの接点が不調なのかのような音が,フレージングに被さってきて,気持ち悪いこと甚だしく,私は一気に冷めた。ギター・シンセの演奏時には問題なかったので,セミアコ側の問題だろうが,あれではせっかくの演奏が台無しである。

そもそもPAについては,James Franciesのピアノのイコライザーを効かせまくったような,キンキンした音がした段階で印象が悪かったが,あのギターのノイズで私のストレスは高まってしまった。バカ高いチャージを取るなら,サウンド・チェックぐらいちゃんとやってもらいたいものだ。ファースト・セットはどうだったのかと思ってしまう。専属のPA担当者を連れてきていたようだが,あれではプロの仕事とは言えないだろう。

そんなこともあって,終演後,彼らにスタンディング・オベーションを贈る聴衆を横目に見ながら,座ったまま,内心毒づいていた私であった。

ということで,Nate Smithの優秀さを再確認できたのはよかったし,Pat Methenyのギター・プレイはいつもながらではあったが,やはりあのPAは許しがたい。ということで,私としては不満も残るライブであった。尚,写真はブルーノートのWebサイトから拝借したもの。

Live at ブルーノート東京 on January 17, 2ndセット

Personnel: Pat Metheny(g), James Francies(p, key, org), Nate Smith(ds)

2019年1月15日 (火)

Quatrette Oblique:ベタな選曲って話もあるが,このメンツには魅かれる。

"Quartette Oblique" (Sunnyside)

_20190112_2FBのお知り合いが取り上げられていて知ったアルバム。昨年秋口のリリースだが,新譜扱いとさせてもらおう。バンド・リーダーのMichael Stephansには申し訳ないが,そのほかのメンツに魅かれて購入したことは間違いない。だってDave Liebman,Marc CoplandにDrew Gressでっせ。

やっている曲はMiles関連が3曲にスタンダード2曲,そして,ジョンアバことJohn Abercrombieと,Drew Gressのオリジナルがそれぞれ1曲ずつ。Milesとスタンダードは相当にベタな選曲と言ってもよいのだが,このメンツでやるとどうなるのかは極めて興味深いのだ。そして,まさにこれが一筋縄ではいかない作りである。中でもDave Liebmanのプレイぶりはやはり突出した感じがある。馴染みの曲をやっても普通にはならないのである。同じ"Nardis"でもBill Evansがやる"Nardis"とここでの"Nardis"の違いの顕著なことよ(当たり前だが...)。

Marc Coplandについては,私は相当のファンだと言ってもよいが,正直なところ,管入りのアルバムはあまり食指が動かないというか,私が保有しているアルバムのほとんどはソロかベースとのデュオかトリオという極端な聞き方をしていると言っても過言ではない。それはDave Liebmanとて例外ではない。Marc CoplandはこれまでもDave Liebmanとのアルバムを何枚か残しているが,それでさえ頑ななまでに買わずにおいてきた。そんな私がこのアルバムに興味を抱いたのは,このベタな選曲によるところが大きいのだ。

ここでのMarc Coplandは相変わらずの美的なトーンと言えて,ここでのLiebmanとの共演ぶりには,私がMichael Breckerとの共演盤に感じたような違和感(記事はこちら)はなかった。特にジョンアバ,Drew Gressのオリジナルにおいて,そうしたMarc Coplandの美感が際立ってところだろう。しかし,"So What"ではかなり激しいフレージングを聞かせて,いろいろできるっところを実証している。

惜しむらくは,公式盤にしては録音状態がイマイチなことか。特にドラムスが奥に引っ込んだ感じだが,別に音楽を聞く上では大した問題ではない。ということで,このメンバーによるユニークな解釈を楽しんだ私である。星★★★★。

Recorded Live at the Deer Head Inn on June 3, 2017

Personnel: Michael Stephans(ds), Dave Liebman(ts, ss), Marc Copland(p), Drew Gress(b)

2019年1月12日 (土)

これよ,これよ,これなのよって感じのOndřej Štveráčekのライブ盤

"Live in Prague" Ondřej Štveráček (Stvery)

_20190111 ジャズ界の「おんどれ」君こと,Ondřej Štveráčekの新作がリリースされた。例によって,入手が大変なのかなぁと思っていたら,何のことはない,DUに大量に入荷し,結構売れているではないか。おんどれ君のアルバムについては,前作"Sketches"もDUでは売れていたみたいなので,ついに日本においても,彼にも陽が当たる時が来たかって感じである。

おんどれ君はJohn Coltrane愛を隠さない人だが,この人のアルバムを聞いていると,いつもColtrane的な熱量を感じるところがあって,自分にエネルギーを充填したいと感じる時などには聞きたくなるのが常である。昨今は自身のクァルテットのドラムスにGene Jacksonを迎えて,ますます充実感が強まっているところに,そのクァルテットでのライブ盤が登場した。

一聴して,おんどれ君のテナーはもちろん,ピアノもドラムスも往年のJohn Coltrane Quartet的に響く。冒頭からこれは燃える。おんどれ君のライブと言えば,10年近く前に"Jazz na Hrade"をこのブログで取り上げた(記事はこちら)が,その時と同様の興奮を覚えると言っても過言ではない。まさにこういう音を求めていたって感じのサウンドであり,完全にツボに入ってしまった私である。

とにかく燃える一枚であり,どよ~んとした正月疲れを吹き飛ばすアルバム。概して私はおんどれ君のアルバムへの評価が甘いと思うが,これは星★★★★★としてしまおう。

Recorded Live at Jazz Dock, Prague on October 12, 2017

Personnel: Ondřej Štveráček(ts, ss),Klaudius Kováč(p), Tomáš Baroš(b), Gene Jackson(ds)

2019年1月10日 (木)

"Trilogy 2":これを今年の新譜と言ってよいのかはさておき...。

"Trilogy 2" Chick Corea(Stretch)

_20190106本作は昨年12月にリリースされたものであり,昨年のベスト・アルバムに挙げられている方もいらっしゃるので,これを新譜として紹介することには若干の抵抗があるが,発売されてから1カ月しか経っていないので,まぁよしとしよう。

Chick CoreaがChristian McBride,Brian Bladeというトリオで"Trilogy"をリリースしたのは2013年のことであったが,私はそのアルバムを購入したものの,このブログに記事もアップしていないし,ちゃんと聞いたかもはっきりしない。実にいい加減なものである。しかし,まぁこのメンツであれば,食指が動くのは当然ってことになるが,音源としては2010年から2016年までの複数のヴェニューでの演奏が収められており,純粋に新しい演奏ばかり集めた訳ではない。

だが,このメンツである。時間が経過しようと,演奏の質に大きな違いが生まれる訳ではなく,全編に渡って,Chick Coreaの超有名オリジナルに加え,スタンダードやモダン・ジャズ・オリジナルが満遍なく収められて,これは十分に楽しめるアルバムとなっている。このトリオで4月には日本にやって来るが,生でも聞いてみたいと思わせる(でもチャージが高いので悩む...)。特にここで聞かれるBrian Bladeの歌心に満ちたドラミングを聞いたら,これは間違いなくよいライブになるだろうと思わせるのだ。

その中でも注目は”Now He Sings, Now He Sobs"のオリジナル以来の再演ということになるらしい。これがなかなかにスリリングな演奏であり,Brian Bladeの鋭い切込みにぞくぞくさせられる。16分を越えるアルバム一番の長尺であり,そして最も聞きごたえがあると言っても過言ではない。

もう1曲,Chick Coreaのこれまでのレパートリーとは明らかに異なる,Stevie Wonderの"Pastime Paradise"も注目されるところであったが,正直なところ,これはChick Coreaに合っていると思えなかった。Christian McBrideがアルコのソロで頑張りを見せようと,私にとっては,これを聞くぐらいならStevie Wonderのオリジナルを聞いている方がずっといいと思えてしまったところに限界も感じる。

もちろんここに収められた演奏が非常によく出来たものであり,質の高い演奏であることは否定しないが,予定調和って言ってしまえばそうとも言える訳で,このメンツならではの,もう一段上の驚きがあってもいいように思えなくもない。特にそう思わせるのはMonkの2曲かなって気がする。なので,私としては満点の演奏とは言えないが,星★★★★には十分値する。ってことで,4月のライブに行くかどうかが悩ましい私である。

Recorded Live at Various Venues in 2010, 2012 and 2016

Personnel: Chick Corea(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

2019年1月 9日 (水)

Will Vinson:意欲作=傑作ではないという典型。

"It's Alright with Three" Will Vinson(Criss Cross)

_20190103アルトを主楽器とするWill Vinsonが,ピアノレス,ベースレスでサックス,ギター,ドラムス/パーカッションという変則的な編成で吹き込んだアルバムである。しかもバックを務めるのがGilad HekselmanとAntonio Sanchezなのだから,これは期待が高まるというのが一般的なリスナーであろう。

こうした変則的な編成でのアルバムであるから,意欲作と呼ぶに相応しいものであるということはわかる。だが,そうした意欲がアルバムのクォリティにまで反映されるかと言えば,決してそんなことはなかったという,よくあるパターンに陥ってしまった作品と言える。リーダーがアルバム・タイトルの如く,「3人でもOKよ」と言ったところで,こっちはそうは思えないのだ。

曲はスタンダードにリーダーのオリジナル,そして懐かしやMarc Johnson Bass Desiresの"Samurai Hee Haw"なんかが収録されている。この辺の選曲はまぁわからないでもないが,このトリオ,あるいはこの編成で何をしたかったのかってのがどう聞いてもよくわからないという感じで,意欲が空回りしている感覚を強く受けた私である。端的に言ってしまえば,必然性がないのだ。

もちろん,このメンツであるから,各々のフレージングには聞きどころもあると思えるものの,私にとっては魅力に乏しい失敗作であり,早くも売却対象となった残念なアルバム。Smalls Liveでの演奏を聞けばわかるように,真っ当な編成で勝負したってちゃんとしたアルバムを作れるのだから,こういうのは一枚で終わりにすべきだと思う。星★★☆。

Recorded on September 20, 2017

Personnel; Will Vinson(as, ss), Gilad Hekselman(g), Antonio Sanchez(ds, perc)

2019年1月 7日 (月)

久々に聞いたStan Getzの"The Dolphin"

"The Dolphin" Stan Getz(Concord)

Stan_getz_the_dolphin_2Stan Getzのアルバムってのはそれこそかなりの数が存在するわけだが,どれを取ってもそれぞれに聞きどころはあると思える。もちろん,全部が全部傑作ってことはないが,平均点は極めて高い人である。50年代の演奏ももちろん素晴らしいが,活動の後期に吹き込んだEmArcyのアルバムなんて実に味わい深い。

そんなGetzがConcordレーベルからアルバムを出すようになったのが80年代前半のことであるが,本作がConcordにおける第1作ってことになるはずだ。本作は,今はなきKeystone Kornerで吹き込まれたライブ音源だが,ライブではこの程度の演奏は当たり前にやっていたはずのGetzだと思うが,派手さはないが,極めて堅実な共演者を得て,Stan Getzらしいフレージングを連発していて,嬉しくなってしまう。

感ずるに,Stan Getzの演奏ってのはあまり熱くなることはないのだが,それでもジャズ的なフレイヴァーを濃厚に感じさせるところがGetzの真骨頂ではないかと思ってしまう。本作は選曲にまた趣味の良さがにじみ出てるよねぇって感じだが,優れた美メロを生み出すJohnny Mandelの2曲,"A Time for Love"と"Close Enough for Love"が選ばれているところがいいよねぇ。こういう演奏を聞くと,Fred HerschのJohnny Mandel集"I Never Told You"が聞きたくなってしまうという副次的な効果も大きいのだ(きっぱり)。それを考えると,Stan GetzとFred Herschの美学には接点があるのではないかとさえ思ってしまう。まぁ,贔屓の引き倒しと言われてしまえばその通りだが,それが何か?と開き直ろう(爆)。

そして,スウィンギーに歌うGetzの「夜千」も最高である。こういう演奏を聞いていると,Stan Getzの魅力に気づくのが私は遅過ぎたって気もするが,これからの人生において,Stan Getzが私の音楽生活を潤いに満ちたものにすることは間違いない。今からでも遅くないのだ。Stan Getzの魅力溢れる好盤として,星★★★★☆。

Recorded Live at the Keystone Korner in March, 1981

Personnel: Stan Getz(ts), Lou Levy(p), Monty Budwig(b), Victor Lewis(ds)

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