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カテゴリー「ジャズ(2019年の記事)」の記事

2019年6月27日 (木)

今更ながらNina Simoneにしびれる。

_20190623-3 "Jazz as Played in an Exclusive Side Street Club" Nina Simone(Bethlehem)

日本においては「ファースト・レコーディング」として,海外においては"Little Girl Blue"としても知られるNina Simoneのデビュー・アルバムである。私はこのブログにも何度も書いているように,ジャズ・ヴォーカルの熱心な聞き手ではないが,その一方ではソウルにしろ,シンガー・ソングライター系は男声/女声問わずちゃんと聞いているし,好きなミュージシャンも沢山いるから,やはり嗜好の問題ってところかもしれない。一方,Nina Simoneはその後の活動を踏まえれば,ジャズ・ヴォーカルの範疇に留めることには抵抗があるし,事実Rock & Roll Hall of Fameの殿堂入りもしているから,米国においてもそういう捉え方をされていると言ってよい。

しかし,Nina Simoneについて,私が保有しているアルバムはこれだけなのである。これは中古で入手したはずだが,そのまま放置しており,ほとんど聞いた記憶がないという体たらくである。なので,Nina Simoneとはほぼ縁のない生活を送ってきた私だが,今回改めて聞き直してみて,このアルバムをちゃんと聞いてこなかったことを深く後悔した私である。素晴らしい歌唱,そして声である。とても録音当時24歳だったとは思えない成熟ぶりではないか。

そして,その成熟度合いは,本作に含まれている"I Loves You, Porgy"が英国The Guardian誌が選ぶNina Simoneのトップ10ソングの第1位に選ばれていることからしても明らかだろう。本作はその後のNina Simoneのキャリアの出発点となり,基盤となったということで,実に意義深いアルバムであったということになる。

こういうアルバムをまともに聞いてこなかったことを反省し,この期に及んでではあるが星★★★★★としよう。とにもかくにも素晴らしく,渋い。

Recorded in 1957

Personnel: Nina Simone(vo, p), Jimmy Bond(b), Al Heath(ds)

 

2019年6月26日 (水)

Leszek MożdżerによるKomeda集。何とも美しい。

_20190623-2 "Komeda" Leszek Możdżer(ACT)

タイトル通り,Leszek MożdżerがKrzysztof Komedaの曲を演奏したソロ・ピアノ集である。Komedaの曲では最も知られているのは映画「ローズマリーの赤ちゃん」の中の”Sleep Safe and Warm"だろうが,ちゃんとそれも収録されている。

私にとって,ポーランドと言えば,Marcin Wasilewskiである。なので,ファンの方には申し訳ないが,Leszek Możdżerについては何枚かアルバムは保有していても,私にとってはMarcin Wasilewskiを上回る存在とは言えない。なので,プレイバック回数もそんなに多い訳ではないのだが,久しぶりにこのアルバムを聞いてみて,その美しさには改めて驚かされてしまった。さすがショパンを生んだ国である。激しいタッチを示す瞬間もあるにはあるのだが,基本的にはロマンティシズムに満ちたアルバム。そう言えば,Marcin WasilewskiもKomeda曲集を吹き込んでいるが,やはりポーランドのピアニストに対するKomedaの影響力は絶大ってことだろう。そうは言いながら,私はWasilewskiもECMに吹き込むようになってからが基本(例外的に保有しているのはライブ・アルバムだけ)なので,Komeda集は聞いていないのだが...。

いずれにしても,本作はピアノの美しい響きに身を委ねていればOKみたいな感じだが,ライナーにもある通り,これならクラシック好きのリスナーにも十分受け入れられるものと思う。美しくて,うまい。大したものである。星★★★★☆。

Recorded on March 8-11, 2011

Personnel: Leszek Możdżer(p)

2019年6月25日 (火)

本当はLPで欲しかったが,CDでゲットした”Alternate Spaces”。

_20190623 "Alternate Spaces" Cecil McBee(India Navigation)

India Navigationというレーベルは,いかにも1970年代を感じさせる音のアルバムを出していて,見つければ買うようにしているレーベルである。私が保有しているところで言うと,Chico Freeman,Hamiet Bluiett,Arthur Blythe,そしてDavid Murrayって感じで,全然追っかけているうちにも入らないが,あくまでも見つければ買うと思ってもらえればよい。

そうしたIndia Navigationレーベルのアルバムの中で,何とか入手したいと思っているのが,Pharoah Sanders盤と本作であった。Pharoahの方はアホみたいな値段がついているし,そもそも現物も見たことがない。その一方,このCecil McBee盤も中古市場では結構な高値がついているので,ほとんど諦めムードみたいなところもあったのだが,結構格安な価格で出品通知を受信したので,即発注である。国内盤で帯がなかろうが,ソフトケースに入れ替えてあろうが,そもそも私がソフトケース利用者だけに何の問題にもならない(笑)。

このアルバムに惹かれるのは,まずもってこのジャケットである。何とも雰囲気のある写真ではないか。だからこそ,このアルバムは本当はLPで入手して,部屋にこのジャケを飾りたいと思ってしまうようなアルバムである。

音楽に関しては,決して取っつきやすいものではない。半ばフリー的な感覚を残しながら,しかし決して「ど」フリーではない。いかにもIndia Navigationレーベルらしい演奏と言ってもよい。所謂ロフト・ジャズの時代を切り取った音楽。そうした中で魅力的に響くのがChico Freeman。フルートはイマイチながら,バスクラ,テナー,ソプラノでは実にいい感じの音とフレージングを提供している。ラッパのJoe Gardnerはよりフリー的なアプローチを聞かせるって感じか。Don Pullenがあまり暴れていないのは意外と言えば意外。

そうした中で,Cecil McBeeはリーダー,コンポーザーとしてきっちりアルバムをまとめたって感じだが,私にとってはやはりChico Freemanの存在感が大きいアルバム。まぁ評価としては星★★★★ってところだろう。

Personnel: Cecil McBee(b), Don Pullen(p), Chico Freeman(ts, ss, b-cl, fl), Joe Gardner(tp), Allen Nelson(ds), Famoudou Don Moye(perc)

2019年6月24日 (月)

発掘音源その3はWoody Shaw。

Basel-80 "Basel 1980" Woody Shaw(Elemental Music)

発掘音源という観点で,このところのWoody Shawの音源ラッシュはかなり凄いことだと思う。早いもので今年で没後30年ということになるWoody Shawであるが,彼の評価を改めて高めるに値する音源が続々とリリースされるのは非常にいいことだと思う。これも先日リリースされたアルバムであるが,ライブにおける彼の演奏の質の高さを改めて実証するような音源である。タイミングで言えば,Columbiaレーベルで"For Sure"をリリースした時期のライブ音源であるが,脂が乗り切った感じとはまさにこのことか。出る音源のほとんどが満足の行くレベルにあるってのは,結構凄いことだし,どれだけ彼らのライブが充実していたかの証左であろう。

冒頭の"Invitation"からして実に渋い。普通ならばもう少し速いテンポでやりたくなるところをミディアムで演奏して,つかみはOKという感じである。そして"Stepping Stone"でもやっていたVictor Lewisのオリジナル"Seventh Avenue"でギアを上げる。次の"In Your Own Sweet Way"でフリューゲルホーンに持ち替え,一転してリリカルなプレイを聞かせるが,ソロになると熱いフレーズも交えた演奏に転じていく。こういうのを聞くと,ライブの筋書き,あるいはメリハリをちゃんと考えているねぇってのがよくわかる。そして,1stセットの締めは"Stepping Stone"である。ちょいとメロディ・ラインは軽く響くが,Woody Shawのソロの切れ味の鋭いことと言ったら...。Carter Jeffersonとのソロ交換もたまりまへん。聴衆が燃えるのも当然である。そして,それに煽られたかのようなLarry Willisのピアノ。お~いぇい!の世界である。

ディスク2は"Love Dance"で幕開けである。Joe Bonnerが書いた,曲名とはややアンマッチと思えるダークでモーダルな曲は,実にWoody Shawにフィットした感じがする曲である。Larry Willisのソロが先発するが,これまたカッコいい。しかし,やはりこの曲での主役はWoody Shawのソロである。ラッパのフレーズってこうあるべきだとさえ言いたくなるような見事なソロと言いたい。Woody Shawに比べるとStafford Jamesのベース・ソロなんかは冗長な感覚が増してしまうのは仕方ないところか。そして,"'Round Midnight"でも曲とのフィット感が半端ではない。この曲は何と言ってもMilesのヴァージョンが有名なので,Woody Shawも例のブリッジの部分等,アレンジメントはかなりの部分で「採用」しているが,このWoody Shawヴァージョンも十分に魅力的。そこからいきなりStafford Jamesのオリジナル"Teotihuacan"へなだれ込む。ここでも火を噴くようなWoody Shawのフレーズを聞いているだけで,多くのリスナーは満足してしまうはずである。そして,それがCarter Jeffersonのソプラノにも火をつけるって感じだ。カッコよ過ぎである。エンディングは”Theme for Maxine"。最後にオマケで翌年のオーストリアにおける"We'll Be Together Again"が入っているが,これはメンツが変わって,ワンホーン。ブレーメンでの同じクァルテットでのライブにはこの曲は含まれていなかったから,これもよしとしよう。

ってことで,ブレーメンのライブとほぼ同列に捉えてもいいと思える出来のアルバムであるが,ブレーメン盤をより高く評価して,これは星★★★★☆としよう。

いずれにしても,私としてもこういうWoody Shawの発掘音源ばかり聞いていないで,Columbiaのボックスを再聴して,改めて彼の楽歴を振り返るも必要だと思ってしまった。

Recorded Live at Foyer Stadtthater, Basel, Switzerland on January 16, 1980 and in Lustenau Austria on June 20, 1981

Personnel: Woody Shaw(tp, fl-h), Carter Jefferson(ts, ss), Larry Willis(p), Stafford James(b), Victor Lewis(ds), Mulgrew Miller(p), Tony Reedus(ds)

2019年6月20日 (木)

今更ながらのHadrien Féraud(笑)。

_20190619 "Hadrien Féraud" Hadrien Féraud(Dreyfus)

近々Dean Brown,Dennis Chambersとの強力トリオで来日することが決まっているHadrien Féraud。名前は昔から知っているし,音も聞いている。しかし,日本には何度か来ているはずだが,ライブでは見たことがない。しかし,これだけのバカテク・ミュージシャンである。見たくなるのが当たり前ということで,今回こそはということでライブに参戦する気満々の私である。

本作はストリーミングでも聞けるが,保有していてもいいだろうってことで,中古でゲットしたものだが,改めて今回聞いてみて,この人のベースのフレージングは,一般的なベースのそれではない。まるでスパニッシュ・ギターのようなフレージングさえ聞かせる技はまさにバカテク。正直言って,やり過ぎだろうって気もする。Dominique Di Piazzaのような別のバカテク・ベーシストとソロ合戦までやらなくたって...と思われても仕方がないが,録音当時,まだ20代前半だったHadrien Féraudの「若気の至り」感ありありである。しかし,超絶技巧ハード・フュージョンの快感みたいなものを感じずにはいられないのも事実で,私としては快感の方がやり過ぎ感をはるかに上回ってしまう。

参加しているミュージシャンは一部ゲストを除けば,あまり知らない人の名前が並んでいるが,これだけまぁよくハードにやるわって感じである。75分に渡ってこういう演奏を聞かされると,最後にはどっと疲れが出てしまうが,それでもJohn McLaughlinは誰がどう聞いてもJohn McLaughlinであったということを改めて感じさせる個性炸裂を楽しむことも一方でできてしまう。その一方で"Giant Steps"を入れてしまうのはJacoの"Donna Lee"にあやかったか?みたいなところもあり,やっぱり若いねぇって思ってしまう。

それでもついつい耳をそばだたせるだけの魅力はあるアルバムであり,今回,30代半ばになったHadrien Féraudの生の演奏を聞くのも楽しみであるが,その前のお勉強ってことで。この激しさについつい評価も甘くなり,星★★★★。

Personnel: Hadrien Féraud(b,key),Jean-Pierre Como(p, synth), Gerald Féraud(key), Thierry Eliez(p, synth), Michael Lecoq(key), Jim Grandcamp(g), John McLaughlin(g), Bireli Lagrane(g), Jean-Marie Ecay(g), Dominique Di Piazza(b), Linley Marthe(b), Jon Grandcamp(ds),Julien Teleyan(ds, perc), Damien Schmit(ds), Mokhtar Samba(ds, perc), Vincent Peirani(accor), Marc Barthoumieux(accor), Flavio Boltro(tp)

2019年6月17日 (月)

もはやカテゴライズ不能:Esperanza Spauldingの“12 Little Spells“。

_20190615-2 ”12 Little Spells" Esperanza Spaulding(Concord)

先日,ショップに久々に行ったときに,併せ買いのディスカウントをゲットするために,最後に付け足したのが実はこのアルバムであった。昨年,ストリーミングでリリースされ,音源は以前から聞けたし,今でもストリーミングで聞けるのだから,別に媒体を買わなくてもいいではないかと言われればその通りだが,まぁいいや。

それでもって,既にストリーミングで聞いていても,そこかしこに現れるのは,いかにもEsperanza Spauldingらしいフレージングであったり,彼女の歌いっぷりな訳だが,もはやこれはジャズにカテゴライズする意味はほとんどないと思えるアルバムだと思った。もともと公開されていた12曲に,本作は4曲を追加してフィジカルでリリースしたものだが,強烈なコンセプト・アルバムと呼べるもので,相当好き嫌いはわかれるはずである。

私はこの人の前作"Exposure"(世界7,777枚限定だそうだ)は存在すら知らなかったからもちろん聞いていないし,その前の"Emily's D+Evolution"も保有はしているものの,ブログの記事にはしていない。その一方で,オーチャード・ホールやBlue Note東京でのライブは見ているので気にはしているのだが,どちらかと言えば,私にとってはこの人はライブの方がフィットする感じである。今回のアルバムも,実に良質の音楽とは思えるが,Esperanzaの持つ心地よいファンク・フレイヴァーが明確には打ち出されていないところが,私としては残念にも思えてしまう。

どちらかと言えば,昨今のEsperanza Spauldingは,アーティストとしての創造への欲求が強まっていて,いろいろな取り組みをしているという感じがするが,それが私のようなリスナーの受容度を越えてしまったような気がするということである。そういう意味では全面的には支持できないというのが本音だが,メンバーによる演奏は実によく出来ていて,特にレギュラーで活動しているギターのMatthew Stevensの貢献度が大きい。ということで,私としては試みは評価して星★★★★ぐらいってところか。こういう風に書いていると,私の音楽の嗜好というものが,以前ほど何でもありではなくなって,好みってのが明確になっているように感じるのはやはり加齢のせいってことだろうなぁ(苦笑)。

Personnel: Esperanza Spaulding(vo, p, org, b, orchestral bass drums), Mathew Stevens(g, b, vo), Justin Tyson(ds, org, synth, beats, prog), Aaron Burnett(sax), Burnis Travis(b, vo), Morgan Guerin(b, synth, vo), Corey King(vo), Rob Schwinner(continuum), Eric Reed(fr-h), Laura Weiner(fr-h), Brandon Ridenour(tp), John Blevins(tp), Richard Harris(tb, b-tb), Julietta Curenton(fl, piccolo), Katie Hyun(vln), Sami Merdinian(vln), Margaret Dyer Harris(vla), Yves Dharamraj(cello), Reiki Choir(vo)

2019年6月12日 (水)

中古で仕入れたジョンスコ,77年のライブ。

_20190611 "Live" John Scofield(Enja)

このアルバム,昔から存在は知っていても,なかなか縁がなかったものである。それでも,結構ジョンスコらしからぬバンドのメンツも気になるところであったし,一部Apple Musicでも聞けるこのアルバムの曲を聞いて,おぉっ,こんなによかったのかと思って,隙あらば(笑)購入するかと思っていたのも事実である。そして,先日ショップに久しぶりに行ったら,丁度適当な値段での中古があった,あった,ってことでの購入である。

このアルバム,ジョンスコがトリオ・レーベルから初リーダー作を吹き込んだのが1977年だと思うが,それとほぼ時期を同じくして,ドイツのEnjaからリリースされたライブ・アルバムである。だが,私はこのアルバムをジャズ喫茶でもあまり聞いた記憶がないというのが不思議だが,既にこの段階で,ジョンスコの変態的なフレージングは出来上がってしまっている。元からこういう人なのだ。実はEnjaに吹き込んだ81年のライブは既に保有している私だが,ライブ盤としての熱量としてはこっちの方が上ではないかと,今回聞いて思ってしまった。特にCD化の際追加された"Air Pakistan"は強烈。リリカルなピアノと思われがちなRichie Birachが激しいピアノ・プレイを聞かせており,バンドとしてのドライブ感が実にいいねぇ。

Milesのバンド,あるいはデニチェンとのファンク・バンドとも響きは違っても,最初からジョンスコはジョンスコだったのだと改めて感じさせられ,そして実にいいアルバムだと思ってしまった私。私がジョンスコをちゃんと聞き始めたのはGramavisionレーベルの時代からだが,このアルバムを聞き逃していたのは失敗だったと強く感じてしまった。反省も込めて星★★★★☆としよう。

それにしても,"Softly as in a Morning Sunrise"冒頭でのピアノのカデンツァは,実にRichie Beirachらしいと思ってしまった。これも個性ってところだな。

Recorde Live at "Domicile" in Munich on November 4, 1977

Personnel: John Scofield(g), Richie Beirach(p), George Mraz(b), Joe LaBarbera(ds)

2019年6月10日 (月)

久々にショップに行って仕入れたアルバムから,今日はMatt Slocum。

_20190609 "Sanctuary" Matt Slocum(Sunnyside)

最近はほとんどショップに行くこともなくなり,CDを購入する場合でもほぼ通販に依存しているが,先日,久しぶりにライブ前に時間があったので,ショップを覗きに行った。覗きに行くとついつい手が出てしまうということで,何枚かゲットしてきたのだが,そのうちの一枚がこれである。

Matt Slocumって名前は認識していたが,アルバムを購入するのはこれが初めてのはずである。今回は明確にメンツ買い。先日のジョンスコとのライブの記憶も新しいGerald Claytonがピアノ,そしてBrad Mehldau Trioを支えるLarry Grenadierがベースとあっては,これはちょっと期待してしまう。まぁ,よくよく見てみれば,Matt SlocumとGerald Claytonは結構共演作が多く,結構レギュラーに近いかたちで活動しているって感じだろうか。

本作やこれまでのアルバムのジャケを見ると,この人の美的なセンスみたいなものを感じさせるが,ある意味ECMのアルバムにも共通するようなテイストがジャケからは感じられる。当然,ゴリゴリのジャズではないだろうと思って聞き始めてみると,なるほど静謐な響きの中に,リリシズムを感じさせる演奏である。これがなかなかいい。決してダイナミズムに溢れた音楽だとは思わないが,決してカクテル的でもない。丁度いいぐあいのリリシズム,美的感覚と言えばよいだろうか。趣味がいいのである。逆に言えば,ドラマーがリーダーのアルバム,あるいは冒頭のSufijan Stevensの"Romulus"を覗いてMatt Slocumのオリジナルで固められたとはなかなか想像しがたい音が連続する。即ち,これがMatt Slocumの音楽性ってことになるだろう。

全編を通して,響きは一貫しているが,逆に言えば刺激に乏しいって言い方もできるかもしれない。しかし,これは3者のタッチもあるが,相当に趣味のいい音楽として,認知度を高めるためにもちょっと甘いと承知で星★★★★☆としてしまおう。それにしてもGerald ClaytonもMatt Slocumも30代だから,若手と言うよりは中堅って感じかもしれないが,なかなかやるもんだ。

Recorded on August 7 & 8,2018

Personnel: Matt Slocum(ds),Gerald Clayton(p),Larry Grenadier(b)

2019年6月 9日 (日)

Simon Phillips@Blue Note東京参戦記

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またも更新が滞ってしまった。記事をアップするたびにライブ行ってんじゃね?みたいになっているが,仕事の合間に行っているのだ(笑)。Simon Phillipsが来日するとなんだかんだ言って見に行っている私だが,だからと言って上原ひろみとやっているのは見たことはない(きっぱり)。今回はProtocol初作発売30周年ということでの記念ライブみたいな感じだが,本人がそんな気分だったかどうかは謎である。

まぁ、そんなことは別にしても,実にタイトな演奏を聞かせてもらって,大いに楽しんだ私である。正直言ってバンドとしてはリーダーが目立ち過ぎではないかと思えるほどのミックスだったが,それでもSimonのドラミングは実に決まっていたと言っていいだろう。ギターの新人、Alex SillはAllan Holdsworth的あるいはFrank Gsmbale的なスムーズなピッキングで聞かせるところがあったし,サックスのJacob Scesneyだって,ちゃんとジャズのイディオムを吸収しているのはわかるのだが,Simon Phillipsの前では存在感が薄いというのは仕方がないかなぁと思っていた私である。そういうバンドなんだから問題はないのだが。いずれにしても「タイト」っていう表現はSimon Phillipsのためにあると言っても過言ではないと思った一夜。

セットリストはブルーノートのサイトによれば次の通りのようだ。上の写真も拝借。

  1. Narmada
  2. All Things Considered
  3. Azores
  4. Moments of Fortune
  5. Pentangle
  6. Celtic Rain(Encore)

Live at Blue Note東京 on June 5, 2019, 2nd Set

Personnel: Simon Phillips(ds), Jacob Scesney(ts, as), Alex Sill(g), Otmaro Ruiz(key), Ernest Tibbs(b)

2019年6月 5日 (水)

改めてのBrad Mehldau@よみうり大手町ホール

Brad-mehldau-solo

改めてBrad Mehldauのソロ・ライブのセット・リストがアップされたので,今一度振り返ってみたい。セット・リストからもわかる通り,冒頭3曲は完全即興だったようである。そこからはBeatles,と言うよりもPaul McCartneyの曲が3曲というのが目を引く。前回のホール公演でもPaulの曲は結構やっていたから,ミュージシャンとしてのシンパシーを感じる部分があるのだろう。私は"Dear Prudence"のようなJohn Lennonレパートリーもやって欲しいところだが,贅沢は言うまい。

そして意外な選曲としては"Linus and Lucy"だろう。今までレコーディングしたこともないはずだが,Brad Mehldauがこんな曲をやるとは思わなかった(と言いつつ,曲名が思い出せていなかった私)。

いずれにしても,前半を即興及びMehldauオリジナルで固め,後半にスタンダードやポップ・チューンを交えるというのがここのところのBrad Mehldauのルーティーンなのかもしれないが,今回は冒頭の3曲が相当の集中力を感じさせるものであり,後半は美的な部分と時折そこにダイナミズムを交えるという絶妙のバランスのライブだったと言ってよいだろう。因みにアンコールは"I Fall in Love Too Easily"からだったと思うが,最後まで集中力の切れないソロ・ピアノを堪能した私である。 ということで,行ってよかった,ファンでよかったと思える満足すべき一夜であった。

<Set List>
Untitled (B. Mehldau)

Untitled (B. Mehldau)
Untitled (B. Mehldau)
Waltz for J.B. (B. Mehldau)
Blackbird (J. Lennon/P. McCartney)
And I Love Her (J. Lennon/P. McCartney)
I Fall in Love Too Easily (J. Kern)
Get Happy (H. Arlin)
Linus and Lucy (V. Guaraldi)
Mother Nature's Son (J. Lennon/P. McCartney)

Live at よみうり大手町ホール on June 3, 2019

Personnel: Brad Mehldau(p)

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