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2019年11月29日 (金)

静かに時を過ごすには最適な音楽。

_20191128"Bach: Sonatas & Partitas" Hopkinson Smith(Astree/Naive)

このアルバムがリリースされたのが2000年ぐらいだと思うが,滅多に聞かない割に,聞きだすとやめられなくなってしまう音楽である。これはバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」をバロック・リュートで演奏したアルバムなのだが,これが実に落ち着く。もちろん,ヴァイオリンで聞いても極めて魅力的な曲であるが,リュート版は,時にヴァイオリンの音色に感じることのある尖った感じがないのだ。逆に言えば刺激が薄いと感じたり,鋭さを感じないと言うリスナーもいるだろうが,主題の通り,静かに時を過ごしたいと思う際には,これほどぴったり来る音楽はなかなかない。

思うに,音楽には刺激を求めることも多い私だが,その対極にあるような音楽も時には必要だということだ。このアルバムに多言は無用。ただただ音楽に身も心も委ねたいと思ってしまう。そして,これを聞くと,ヴァイオリン版も聞きたくなるという効果もあるのだ。この心地よさに星★★★★★。しかし,どうしてこれを買う気になったか,どのようにして買ったのかは全く覚えていない(苦笑)が,以前,銀座にあったHMVのクラシック・コーナーで買ったのではないかなぁ。

Recorded between September and November, 1999

Personnel: Hopkinson Smith(lute)

2019年11月28日 (木)

これを聞くのはいつ以来か?まさに短編小説集のような「時のないホテル」

_20191124-2_20191126153601「時のないホテル」松任谷由実(EMI)

ごくまれにこのブログに登場するYumingネタである(笑)。

主題の通りなのだが,私はこのアルバムをフルで聞いたのがいつ以来か全く記憶がない。Yumingのアルバムの中では比較的地味な位置づけにあると言ってもよいこのアルバムを久しぶりに聞いて,恐るべきストーリーが展開されていたことを改めて感じてしまった私である。まさにこれこそ音楽で描く短編小説と言えばよいだろうか。曲ごとに様々なストーリーが設定されていて,そこにミディアム・テンポの曲が被さるこのアルバムは,今にして思えば実によく出来ている。

確かにキャッチーな曲はないかもしれないが,そこかしこに聞かれるまさにユーミン節のようなメロディ・ラインを聞いていて,新たな感銘に浸っていた私である。ここに感じられるそこはかとない,あるいは明確な暗さは,人によっては抵抗があるかもしれないが,私のような元来ネクラの人間にとっては彼女の音楽世界に没入するには丁度いいぐらいだ。私としては長きに渡って聞かれるべき作品として改めて評価したい。星★★★★☆。私の保有するCDにはパーソネルが記載されていないので,情報はWikipediaから拝借。

Personnel: 松任谷由実(vo),松任谷正隆(key), 林立夫, 青山純, 渡嘉敷祐一(ds), 斎藤ノブ(perc), 高水健司, 後藤次利(b), 松原正樹, 鈴木茂, 今剛, 安田裕美(g), 吉川忠英(g, mandolin), Jake H. Conception, 斉藤清, 砂原俊三(sax), 衛藤幸雄(fl), 山田栄, 沖田晏宏(fr-h), 日色純一(vln), 杉真理, Lilica, Leona, Clara(vo), 松武秀樹(prog)

2019年11月27日 (水)

Amazon Primeで見たら意外に面白かった「ラスト・スタンド」

The-last-stand 「ラスト・スタンド("The Last Stand")」('13,米,Lions Gate)

監督:Kim Jee-woon

出演:Arnold Schwalzenegger,Johnnie Knoxville,Forest Whitaker, Luiz Gusman, Rodrigo Santoro,Eduardo Noriega

「ターミネーター」シリーズの新作はイマイチだったが,だったらArnold Schwalzeneggerの映画なんて見なきゃいいだろうという声も飛んできそうだが,私も懲りないというか,暇にまかせてAmazon Primeでこの映画を見た。すると予算は「ターミネーター:ニュー・フェイト」より圧倒的に低いはずにもかかわらず,そこそこ面白く見られるということで,こっちの方がいいのではないのかとさえ思ってしまった一本。

逃亡した死刑囚がコルベットZR-1というぶっ飛びマシンで街にやって来るって感じで,この辺は「真昼の決闘(”High Noon")」辺りへのオマージュ感が出た,舞台は現代でも,西部劇ライクなストーリー展開と言ってよい映画であった。もちろん,痺れるようなサスペンスを感じさせるわけではないのだが,まぁB級西部劇的に,ワルは徹底的にワルに描かれ,描写はマカロニ・ウェスタン的なところも感じられるし,アクション・シーンも特に転落シーンなどまさに西部劇的な部分を感じてしまう。最後の決闘シーンなんて,バックドロップか!みたいなプロレス的な格闘場面が見られ,笑ってしまいそうにもなるが,こういう映画ではそれでいいのだ(バカボンのパパ風)。

ここでのArnold Schwalzeneggerの役回りは,LAPDの麻薬捜査官を引退し,アリゾナの片田舎の保安官になっているって役どころなのだが,日頃は何もないような平穏な田舎でドンパチをやってしまうってのも笑える。それにしてもFBIのエージェントを演じるForest Whitakerはなんでお前はそんなにアホなのかみたいに敵役に裏ばかりかかれる役回りだが,よくあんな役を引き受けたよなぁとさえ思わせる。あれではオスカー俳優としての面汚しみたいな役だが,まぁいいか。

ということで,どこからどう見てもB級の香りがプンプンしてくるが,くだらねぇ~と思いつつ,単純に楽しめばいいやってことで星★★★☆。たまにはこういうシャビーな感覚もいいのよねぇ(笑)。

2019年11月25日 (月)

これは凄い!Lookout Farmの未発表ライブ音源。

_20191124”Lookout Farm at Onkel Pö's Carnegie Hall" Dave Liebman / Richie Beirach / Frank Tusa / Jeff Williams / Badal Roy (NDR Info)

未発表のライブ音源をリリースするこの"At Onkel Pö's Carnegie Hall"シリーズは,これまでもWoody ShawやらFreddie Hubbardのアルバムを当ブログで紹介してきたが,今回リリースされたのは何と,Lookout Farmである。今から10年以上前にこのブログで彼らのブートレッグを紹介したことがあるが,それも無茶苦茶燃える演奏だった(記事はこちら)のだが,今回発掘された演奏も実に強烈。凄いとしか言えない私の表現力の稚拙さを恨みたくなるような演奏なのだ。まずは皆さんに申し上げたい。買いましょう!(笑),あるいはストリーミングで聞きましょう!

冒頭の"Naponoch"のイントロからして私は金縛り状態だったと言ってもよいが,もはやフリー・ジャズ一歩手前と言ってもよいようなLiebmanのテナーにまず痺れる。家人がいないのをいいことに,ついついボリュームを上げた私である(爆)。続く"The Iguana's Ritual"のファンク・ビートに乗ったRichie Beirachのエレピを聞いて燃えなければ,この手の音楽と相性は悪いと言い切ってしまおう。もはやエグイと言ってもよいようなバンドのサウンドはリスナーを興奮させるに十分。これが時代の勢いと言うべきものかもしれないが,もの凄い爆発力である。そこからほぼLiebmanとBeirachのデュオで演じられる"I am a Fool to Want You"へと移行する,この動と静の転換の見事さに改めてゾクゾクさせられる。そして,ここでのLiebmanの無伴奏カデンツァの何と素晴らしいことよ。眼前でやられたら悶絶必至である。

それに続いてJohn Coltraneの"Your Lady"へなだれ込むのだが,Frank Tusaのベース・ソロは増幅感が強過ぎるが,このバンドにおいてはこれぐらいでないとサウンド的に対抗できないってことにしておこう。ここでのBeirachのエレピでのソロの部分は,ちょっとReturn to Forever的なところも感じさせるが,それもRhodesの音色ゆえか。最後に"Fireflies"で締めるこの時のプログラム,最高である。ファンクとロックが相俟ったようなサウンドに最後まで興奮が収まらないではないか。一瞬たりとも弛緩する瞬間がないこのアルバム,やはり音量を上げて聞くべきだ。

それにしても,何という破壊力。聴衆の反応もむべなるかな。LiebmanとBeirachの共演はまだQuestで聞けるが,このバンドのライブを見てみたかったというのももはや見果てぬ夢であるが,こうして40年以上の時を経て,改めて音源として振り返ることができる私たちは幸せである。この音源がリリースされたことには最大限の賛辞を送りたい。星★★★★★。いやぁ,まじで燃えた。私としてはこれをJohn Coltraneの"Blue World"さえ凌駕する,今年最高の発掘作とせざるをえないな。

Recorded Live at Onkel Pö's Carnegie Hall on June 6, 1975

いPersonnel: Dave Liebman(ts, ss, fl, perc), Richie Beirach(p, el-p), Frank Tusa(b), Jeff Williams(ds), Badal Roy(perc)

2019年11月24日 (日)

なんだかんだ言ってまた「ターミネーター」シリーズを見てしまう私。

Terminator-dark-fate 「ターミネーター:ニュー・フェイト("Terminator: Dark Fate")」('19,米/西/ハンガリー,Fox/Paramount)

監督:Tim Miller

出演:Linda Hamilton, Arnold Schwalzenegger, Mackenzie Davis, Natalia Reyes, Gabriel Luna

私も好きだなぁと思ってしまうが,なんだかんだ言って,私はこのシリーズ,全作を見ている。徐々にストーリーに無理が出てきてしまうのはシリーズものの難点であるが,本作はJames Cameronが"T-2"の正当な続編と位置付けているそうである。だったら今までのシリーズは何だったんじゃい?と言いたくなるが,完全に"T-2"と"T-3"の関連性をリセットしてしまって,新しいストーリーを展開しているのだ。"T-3"にはLinda Hamiltonは出演していなかったから,James Cameronにとっては前妻Linda Hamilton演じるSarah Connorがこのストーリーには欠かせないというところだったのだろう。

"T-2"の後の本作の展開はネタバレになるので,詳しく書くことが憚られるが,Arnold Schwalzeneggerのここでの役回りは一体どうなのよ?と言いたくなる人も多いだろう。まぁ,本作の主役はLinda Hamiltonであり,Natalia Reyesであり,Mackenzie Davisでありという女性陣3人ということだと言ってよいと思うので,まぁそれも仕方ないってところか。

アクション・シーンはド派手であるが,ちょっとやり過ぎって感じも強い。移動手段が車だ,ヘリだ,更には大型輸送機だってさすがに無茶苦茶だろう。ストーリーとしてはわからない訳ではないのだが,唐突感が否めない展開であることは間違いないから,オリジナルの持っていたチープな感じではありながら,そこはかとなく感じられるサスペンスみたいなものがここでは弱体化してしまっているのが残念としか言いようがない。逆に言うと私はそういう感覚をこのシリーズに求めて続けているのかも知れないが(苦笑)。

おそらくはこれにてこのシリーズも打ち止めということだろうが,相変わらずのLinda Hamiltonを見られたのはよかったとしても,イマイチ感はぬぐえないそういう映画である。星★★★。

2019年11月23日 (土)

まさに三位一体:"Good Hope"。

_20191123"Good Hope" Dave Holland / Zakir Hussain / Chris Potter(Edition)

記事にするのが遅く成ってしまったが,またの名をCCrosscurrents Trioという3人による待望のアルバムである。Dave HollandとクリポタはHolland Quintetの時代から長きに渡って共演を続ける仲であるが,そこにタブラのZakir Hussainが加わるという異色と言えば異色な編成による演奏がどうなるかは実に興味深いものがあった。

結論から言えば,"Crosscurrents"というトリオの名前と相反するような彼らの協調ぶりに思わず嬉しくなってしまう。"Crosscurrents"とは「相反する傾向」というような意味だが,そうした相反する要素が混じり合うことによって,最高の音楽を作り出してしまうことが彼らのミュージシャンとしてのレベルを示している。

ここでのクリポタは私が通常期待するイケイケなクリポタではない。しかし,どのようなフォーマットでも,個性を打ち出しながら素晴らしいフレージングを繰り出すクリポタは健在である。クリポタに限らず,このトリオの演奏は一聴地味だと思わせる部分があるの。だが,それはステレオタイプの「激しさ」がないからだという言い方もできようが,ここでの音楽はそういうタイプの音楽を目指していないのだから当たり前と言えば当たり前なのである。Dave Hollandの見事なベース,そしてZakir Hussainの名人芸のようなタブラに乗ったクリポタのテナー(及び一部ソプラノ)を聞いて,このトリオの力を再確認し,実に嬉しくなってしまった私であった。

タブラが入ることによって,インド的なフレイヴァーが強まるという想定も成り立つわけだが,ここにはそうした民族的な要素はほとんど出てこないと言ってよい。あらゆるジャズ・ファンには容易に受け入れ可能な音楽であると同時に,あらゆる音楽ファンにとっても聞かれるべき傑作と思う。三位一体を具現化したようなこの一体感,実に恐るべしである。星★★★★★。

Recorded on September 21 & 22, 2018

Personnel: Dave Holland(b), Zakir Hussain(tabla, kanjira, chanda, madal), Chris Potter(ts, ss)

2019年11月21日 (木)

アブストラクト度の更に高まったKeith Jarrettの2016年ライブ。

_20191119 ”Munich 2016" Keith Jarrett(ECM)

これはなかなか厳しい音楽である。Keith Jarrettの昨今のソロは,昔に比べるとかなり抽象度が高まったと言うか,ほとんど現代音楽的な感覚さえ与えるものとなっている。しかし,昨年出た"La Fenice"は録音時期が本作より10年も前ということもあるだろうし,場所柄ということもあって,もう少し聞き易い演奏だったと思う。それに比べると,この2016年のミュンヘンで録音された音源は,これはKeith Jarrettとピアノの対峙の瞬間を捉えた音源に思える。特に前半部はとにかくテンションが高く,実に厳しいのである。

ミュンヘンの聴衆たちは万雷の拍手を送っているが,私が会場にいたらどう思っていたかなんて想像をしてしまった。おそらくはこのテンションと音の厳しさによって,どっと疲れが出ていたのではないかと思えてならないのである。ここで奏でられる音楽は芸術として評価しなければならないのは承知していても,冒頭の2曲などはもはや孤高の世界に入り込み過ぎではないのかとさえ言いたくなる。

こうしたパターンは最近のKeith Jarrettのライブには共通しているが,やっぱりPart IIIあたりで美的な感覚を打ち出してきて,聴衆をほっとさせるのはある意味演出と言っても過言ではない。こうしたところに若干の反発を覚えるのは,私が天邪鬼なせいだが,やはり一定のパターンというものが出来上がってしまっているように思える。Part IVがフォーク・ロック的な感覚を打ち出すのもこれもお約束みたいなものだ。まぁ,Keithとしては,最初の2曲で集中力を高めておいて,徐々に聴衆に寄り添っていくって感じなのかもしれないが,こういう感じだが毎度続いてくると,もう出れば買うみたいなことは必要ないかなとさえ思ってしまうし,ストリーミングで十分って気もしてきてしまうのだ。

ディスク2に移行すると,多少聞き易さは増してくるのだが,不思議なことにこちらのディスクには聴衆の拍手が収められていない。なんでやねん?だが,聞き続けていると,結局多くのリスナーにとってはアンコール3曲が一番の聞きものになってしまうのではないかと皮肉な見方をしたくなる。今回やっているのは"Answer Me, My Love",そして"It's a Lonesome Old Town"という渋いチョイスに「虹の彼方に」であるが,これらは実に美しく,このためにライブを聞いているのだと言いたくなってしまっても仕方がないのである。完全即興から解放された感覚がこれらの演奏に表れると言ってもよいような,実にしみる演奏なのだ。

ということで,正直言って私はアンコール・ピースを集成したアルバムを出してもらった方がいいとさえ思ってしまう。もちろん,全体のクォリティの高いことは否定するものではないが,やっぱりこう同じような感じの演奏パターンを聞かされると,さすがに微妙だと感じてしまった。星★★★★。全体としては前作"La Fenice"の方が私の好みだな。

Recorded Live at Philharmonic Hall, Munich on July 16, 2016

Personnel: Keith Jarrett(p)

2019年11月20日 (水)

ワイト島のMiles Davis。超カッコいいねぇ。

_20191117-2 "Isle of Wight" Miles Davis (Columbia)

英国のワイト島におけるフェスティバルに関しては”Message to Love"という映像があり,その中にはMilesの演奏も”Call It Anything"という名前で編集された演奏が収められていたし,この時のMilesの映像は個別にも発売されていて,私も確か保有していたように思うのだが,どこにあるかさっぱりわからない(爆)。しかし,音源となると,正式にリリースされたのは,MilesのColumbiaボックスが初出のようである。ボックスの中では"Filmore"と"Live Evil"の間のディスク#39として格納されている。ということで,久々にそのボックスからこの時の演奏の模様のCDを引っ張り出してきた。

この当時のMilesバンドの演奏は,公式盤では編集を施されたものがほとんどだが,未編集の演奏は数多くのブートレッグで聞けるから,別に珍しいものでもない。よって,このアルバムは,ワイト島の演奏が音源として「公式に」リリースされたことにこそ意義があると言える。そして,このカッコよさ。ロックの世界を凌駕するインパクトを持っていると言っても過言ではない。

この時のメンツで珍しいのはGary Bartzぐらいだろうが,演奏の感じとしてはまさにいつものこの当時のMilesバンド。ジャケ写真のカッコよさも含めて文句のつけようはないわねぇ。問題があるとすれば,件のボックス以外で公式盤としてこれを入手する術がないってことか。まぁ,映像はYouTubeでいくらでも見られるので,それで補完はできるが...。いずれにしても,超カッコいいMiles Davisを浴びるのは至福の瞬間である。できれば大音量で浴びたい訳だが,家庭環境がそれを許さず...(苦笑)。

Recorded Live at the Isle of Wight Festival on August 29, 1970

Personnel: Miles Davis(tp), Gary Bartz(ss, as), Chick Corea(el-p), Keith Jarrett(org), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds), Airto Moreira(perc)

2019年11月19日 (火)

Amazon Primeで「容疑者Xの献身」を見た。

X「容疑者Xの献身」('08,東宝)  

監督:西谷弘

出演:福山雅治,柴咲コウ,堤真一,松雪泰子,北村一輝,真矢みき

私はなんだかんだと言って,「ガリレオ」シリーズの本を読んだり,通常はTVドラマはほとんど見ないのに,例外的にこのシリーズを見たりしていた。本作は原作は読んだが,映像版を見るのは初めてか,あるいは一度見たことがあるぐらいだろう。その辺の記憶は実に曖昧なのだが,もはや本作も10年以上前のものとなり,今となっては福山雅治が若いねぇなんて思ってしまった。

ネタがネタだけに,詳細のストーリーを書くわけにはいかないが,そう言えばこんな話だったなぁなんてAmazon Primeでこの映画を見ていて思い出していた私である。福山雅治は相変わらずのガリレオっぷりであるが,この映画のポイントは,堤真一のいい意味での「辛気臭い」演技だろう。興行収入は50億円近くに及んだらしいのはTVとのタイアップもあるだろうし,原作が直木賞を受賞したことも影響しているだろうが,「ALWAYS 三丁目の夕日」の鈴木則文役と全く違う堤真一の貢献も大きいように思えた。

まぁそこそこ面白く見られるのがこのシリーズのいいところだと思うのだが,深い印象を与えるかというと,見たか見ていないかの記憶も曖昧な現実を考えると星★★★☆ぐらいでいいだろう。ただ,映像的にはいかにもなので,敢えて映画じゃなくてもいいよなぁなんて思ってしまうが,まぁいいか。

2019年11月18日 (月)

またも出た!Woody Shawのライブ発掘音源。

_20191117 "At Onkel Pö's Carnegie Hall Vol. 1" New Woody Shaw Quintet (NDR Info)

全く同じタイトルのアルバムを昨年,このブログに取り上げた(記事はこちら)が,あちらは1982年の演奏に対し,こちらは1979年である。それだけWoody Shawのアルバムはここのところ,発掘ライブ音源として続々とリリースされているが,このアルバムを購入せねばと思わされたのは,録音があの"Stepping Stone"の翌年,メンツもベースを除いて同じというところが非常に気になったからである。その当時はWoody Shawが最も輝きを放っていた頃と言っても過言ではないと思うが,どのような演奏をするのか気になるのは当然なのだ(きっぱり)。しかも今回は2枚組である。

Woody Shawのライブ音源は1曲当たりの演奏時間が長くなる傾向があるが,このディスク1なんて,2曲で47分余りという長尺。ディスク2も3曲で45分越えというライブならではの演奏時間である。さすがに1曲20分越えは長いかなぁと思わせるディスク1であるが,Woody Shawのラッパを聞いていると,そういう時間が気にならないと思わせるほど素晴らしい。このストレート・アヘッドな響きを聞いて燃えない訳がないのだ。ある意味,ここでの演奏においてはWoody Shawが突出し過ぎているという感覚さえ与えるし,演奏の粗さも気にならない訳ではない。

しかし,私としてはディスク2に収められている演奏とかを聞くと,自然に燃えてしまうのである。私としてはディスク1よりディスク2の方を強く推したくなるのは,演奏のエネルギー量もあるかもしれないが,"Stepping Stone"との近似性もあるのは事実だろう。ディスク2に比べると,ディスク1はややルースな感覚が強いように思えてしまう。そうしたことを考えるとトータルで考えれば星★★★★ぐらいでいいと思う。それでも次から次へと出てくるものは追い掛けたくなってしまうと思わせるのはやはりWoody Shawである。

Recorded Live at Onkel Pö's Carnegie Hall on July 7, 1979

Personnel: Woody Shaw(tp, fl-h), Carter Jefferson(ts, ss), Onaje Allan Gumbs(p), Stafford James(b), Victor Lewis(ds)

2019年11月17日 (日)

Marc Coplandの新作は注目のメンツによるピアノ・トリオ。

And-i-love-her "And I Love Her" Marc Copland(Illusions Mirage)

Marc Coplandの前作"Gary"をこのブログで取り上げたのが約半年前のことだったが,それから短いインターバルでリリースされた新作はピアノ・トリオである。Drew Gress,Joey Baronとの組み合わせは,それぞれがこれまでMarc Coplandとの共演歴があるため,コンビネーションとしては鉄壁だろうと想像するに難くなく,リリースがアナウンスされた時から注目していた。ストリーミングでは結構早くから聞いていたのだが,ようやく現物を入手した。

結論から言ってしまえば,いかにもMarc Copland的な演奏である。いきなりミステリアスな雰囲気から始まるのは"Afro Blue"。そこかしこにMarc Copland的な感覚やフレージングがあって,やっぱりMarc Coplandだと思ってしまう。そして2曲目はこれまでもCoplandがやったことがあるHerbie Hancockの"Cantaloupe Island"であるが,原曲と全然イメージを変えてしまうのがMarc Coplandらしい。それに続くDrew Gressのオリジナル"Figment"はこのトリオの美学を感じさせる演奏になっていて,わかってるねぇと思ってしまう。そして,Marc Coplandのオリジナル"Might Have Seen"なんて,Marc Coplandしかこういう曲を書かんだろうという響きなのだ。

そして,よくよく考えてみれば,このトリオ,John Abercrombieの最後のクァルテットを支えたトリオである。バンマスのAbercrombieを偲んで(?)のジョンアバ・オリジナル,"Love Letter"をやって,それに続くのがこれまた実に美しくも動的な魅力にも溢れたMarc Coplandのオリジナル,"Day and Night"である。こういう演奏をされてしまうから私はこの人のファンをやめられない。そして,本作で最も注目されるであろう"And I Love Her"であるが,和声の使い方はMarc Coplandらしいものの,曲の崩しは限定的。この曲は崩しようがなかったってところかもしれないが,これも十分に美しい演奏である。私としてはついついBrad Mehldauの演奏と比較してしまうが,それでも個性の違いは明確に出るものだ。それに続くのはトリオ・メンバー3者の共作となっているので,即興で仕立てたものだと思われる"Mitzi & Jonny"。ほかの演奏と比べると,ちょっとこの曲は浮いた感じがするのはちょっと違和感がある。しかし,最後を締めるのはCole Porterの”You Do Something to Me"である。3者のソロ交換で締めるところはアルバムのクロージングとしては適切と思わせた。やっぱりいいねぇ。

一点補足するとすれば,このアルバムで特筆すべきはその音のよさだと思う。私はオーディオ・マニアでも何でもないし,家のオーディオ・セットも正直言ってしょぼいものだが,ここでの楽器音のリアリティは素晴らしいと思った。どこかのエロ・ジャケのレーベルとは全然違う,これが本当の趣味のよさ。相変わらずMarc Coplandに甘いと言われそうだが,星★★★★☆。

Recorded in August 2017

Personnel: Marc Copland(p), Drew Gress(b),Joey Baron(ds)

2019年11月16日 (土)

ちょっとしたTommy Flanaganとの逸話。

Mooses

更新が滞ってしまった。

Tommy Flanaganが亡くなったのは2001年11月16日。即ち今日はTommy Flanaganの命日である。純粋に音楽の話ではないのだが,私にはちょっとしたTommy Flanaganとの思い出がある。

多分,2000年ぐらいのことだと思うが,私は仕事でサンフランシスコに出張しており,私の友人にして,コンサルをしてくれていたMikeとノース・ビーチにあったMoose'sに食事に繰り出していた。Moose'sは食事が非常に美味しいレストランで,趣味のいいピアノ音楽を生で聞かせてくれることもあるいい店だった。サンフランシスコに行く機会があると,毎度毎度の如くMoose'sに行っていたのも懐かしい。大概の場合,ノース・ビーチは車を停めるスペースを見つけるのが大変で,Moose'sに入るまでも実は結構時間を要した記憶がある。そんな2000年の出張の折,食事を待つ間にバーで一杯引っ掛けていたのだが,何とも趣味のよいソロ・ピアノが聞こえてきた。誰が弾いているのかなぁと思って見ていたら,どう見てもTommy Flanaganだったのである。

その時,Tommy Flanaganが前の週にブルーノート東京に出演していたはずだと認識していた私だが,そもそも移動もきついし,Tommy Flanaganがこの店に出るとは思ってもいなかったので,正直なところ私自身も半信半疑だった。しかし,MikeにあのピアニストはTommy Flanaganのはずだと言ったところ,そこはアメリカ人,演奏が終了した件のピアニストに歩み寄り,"Are You Tommy Flanagan?"とストレートに聞くではないか(笑)。そして結果はやっぱりTommy Flanaganだったのだが,その後,ちょこっと本人と話す機会があり,貴方もタフだねぇなんて話をした記憶がある。

その頃のTommy Flanaganは体調が思わしくなかったと知ったのは後になってのことだが,ミュージシャンとは言え,当時のスケジューリングには無理があったのではないかと,今更のように思っている私である。そしてその翌年,Tommy Flanaganはこの世を去り,その時一緒だったMikeも2年前にこの世を去った。そしてMoose'sも今やそこにはない。それでもその時の記憶はいつまでも残るということで,ちょっとした逸話である。上の写真はMoose'sのピアノ。ここでTommy Flanaganがピアノを弾いていたと思うと,何とも感慨深い。私が生でTommy Flanaganのピアノを聞いたのは後にも先にもこの時だけ,ということで,今にして思えば非常に貴重な遭遇であった。

2019年11月13日 (水)

Joni Mitchellの幻の書籍の再リリース版,ついに到着。実に素晴らしい!

Morning-glory-on-the-vine-cover

”Morning Glory on the Vine: Early Songs and Drawings" Joni Mitchell

かねてから告知されていた,Joni Mitchellがかつて友人にギフトとして100部限定で制作した書籍がようやくデリバリーされた。1971年に手書きの歌詞に,彼女の絵画を添えたこの本の現物は,まず世の中に出ることはないだろうが,Joni Mitchellの生誕75周年を記念して,こうして誰にでも手に入るようになったのは実に喜ばしい。

私はJoni Mitchellの絵画展のカタログや,Norman Seeffが撮った彼女の写真集,彼女の全曲楽譜集も保有しているが,私にとってはかけがえのない書籍がもう1冊加わったというところである。彼女の書く絵画のヴィヴィッドな色遣いを見ているだけで,本当にく~っとなってしまった私である。これぞちょっと気は早いが,私にとっては今年最高のホリデイ・ギフトと言ってよい。

どうせなら彼女のサイン入りの本を買えばよかったかなぁなんて思っているが,さすがにそこまでは手が出なかった。しかし,そのうちやっぱり欲しくなるかもなぁ...。いずれにしても,Joni Mitchellファンは必携の書籍である。素晴らしい。星★★★★★以外ありえない。

Morning-glory-on-the-vine-2

2019年11月10日 (日)

これも久々に聞いたManuel Barruecoの”Sometime Ago”。

_20191110 ”Sometime Ago" Manuel Barrueco(EMI)

これは懐かしいアルバムである。リリースされたのは1994年だからもう四半世紀も前であるが,アルバム・タイトルからも窺い知れるし,ジャケには"Compositions by Corea, Jarrett, Simon & Harrison"とある。それらはChick Corea,Keith Jarrett,Paul Simon,そして現代音楽作曲家のLou Harrisonを示す。ジャズ,ポップ・フィールドからすれば,Lou Harrisonだけが異色に見えるが,Keith Jarrettはこの人のピアノ協奏曲を吹き込んでいるので,必ずしも無縁な訳ではない。

それはさておき,このアルバムを購入した一番の理由はギタリストの端くれとして,ギターで「ケルン・コンサートPart IIC」,即ちアルバム最後に収められたアンコール・ピースをどう料理するのかにあった。Paul Simonの「旧友」や「ブックエンズ」,あるいはChick Coreaの"Children's Song"あたりはまぁ想定できるが,「ケルン」については想像ができなかったからである。

だが,アルバム全体を通して聞いてみて,「ケルン」はなるほどねぇと思わせる演奏だが,本作は特に「ケルン」にこだわらなくても,美しくも優雅な時間を過ごすことができるアルバムだと思う。クラシックのギタリストが市井の楽曲に取り組むことに,あまり音楽のジャンルにこだわらない私は何の違和感もおぼえないが,いずれにしても,ここでは美しいメロディ・ラインと,美しいギターの音色を楽しめばいいのだと思えてしまう。

ということで,このアルバムも久しぶりに聞いた訳だが,その魅力を改めて感じることができた。企画の勝利みたいな部分もあるが,やっぱりいい曲はいいのだということを実感。星★★★★☆。

Recorded on September 13-15, 1993

Personnel: Manuel Barrueco(g)

2019年11月 8日 (金)

Alabama Shakesのという注釈不要と思わせるBrittany Howardのソロ・アルバム。これが実に素晴らしい。

_20191105 "Jamie" Brittany Howard(ATO)

本作をリリースしたBrittany Howardは,Alabama Shakesのヴォーカリストである。Alabama Shakesというバンドは,この時代においても私のような年代のリスナーにさえ強烈にロックを感じさせてくれる稀有なバンドであり,私は彼らのアルバムに賞賛を惜しまなかった(記事はこちら)。Alabama Shakesのアルバムはその"Sound & Color"からリリースされないままだが,そこへBrittany Howardのアルバムが出るからには聞かない訳にはいかない。とか何とか言いながら,ストリーミングでやり過ごしていたのだが,やっぱりこれは保有に値するということで,現物を発注したものである。

ここでの音楽を聞いていて,私が何となく想起したのがMe'shell N'degeocelloであったが,ロックとソウルの中間をうまく行き来する感じって言うのが最初の感覚であった。だが,繰り返し聞けば聞けるほど展開される音楽は実に濃密な魅力に溢れる感じがしてくるのである。端的に言えばチャラチャラとしたところ皆無。音楽に真剣に対峙したいリスナーにこそ勧めたい深みのあるアルバムに仕上がっている。

Alabama Shakesのバンド・メイトのZac Cockrellに加えて,Robert GlasperやNate Smithが参加していることから,このBrittany Howardという人の立ち位置が見えるような気がする。GlasperもNate Smithも,軽々とジャンルを越境してしまう人たちだが,ここでの演奏,歌唱もジャンル超越型であることは前述の通りである。それが単にジャンルという枠だけで捉えてはもったいない音楽になっているのが強烈なのである。

一聴ローファイなサウンドから聞き取れる音楽のディープな魅力は私の筆力,表現力の及ばないところではあるが,それでも実にレベルの高い音楽であることは明らかなのだ。実に素晴らしい。Brittany Howard,31歳にしてこの成熟度は末恐ろしいとさえ感じさせる。いずれにしても,今年聞いた中でも屈指のロック・アルバムの一枚と思いつつ,響きは完全にソウルだ。星★★★★★。

Personnel: Brittany Howard(vo, g, key, b, ds, perc), Zac Cockrell(b), Robert Glasper(key, celeste), Paul Horton(key), Nate Smith(ds, perc, vib), Lloyd Buchanan(org), Larry Goldings(key), Lavinia Meuer(harp), Rob Moose(strings)

2019年11月 7日 (木)

突然,Hank Jonesが聞きたくなって取り出してきたのが,Keiko Leeのアルバムって何のこっちゃ。

_20191104-4"Live at Basie with Hank Jones" Keiko Lee (Sony)

早いものでHank Jonesが亡くなって今年で9年になる。91歳まで現役で演奏を続けていたというのも凄いが,矍鑠とした演奏は多くの人の記憶に残っているはずだ。それでもHank Jonesと言えば,"Somethin' Else"やらGreat Jazz Trioの諸作がいの一番に挙げられてしまうのはまぁ仕方ないのかもしれない。晩年は自身の演奏が多くなったとは言え,Hank Jonesという人はむしろ裏方として様々な音楽を支えるまさに職人であった。同じ兄弟でも,Thad JonesやElvin Jonesとはキャラが違うのが面白い。

そんなHank Jonesのピアノを突然聞きたくなって,取り出したのがこのアルバムというのが,我ながら天邪鬼であるが,Keiko Leeのバックを楚々としたピアノで支えるHank Jonesには,その人柄が如実に表れていると言ってよいと思う。プロ中のプロであるHank Jonesにとっては,ここで演じられているような曲の歌の伴奏なんてのは,それこそ朝飯前ってことになるだろうが,単なる伴奏を越え,楽興をもたらすことができるのがまさにこの人の技だろう。

Keiko Leeのディープな声は,ここでのレパートリーをこなすには十分フィットしており,Hank Jonesのピアノと相まって,実に雰囲気のあるアルバムとなった。決して昼間に聞く音楽だとは思わないが,夜の帳が降りた後に,ひっそりと聞くには適したアルバム。そして,やはりHank Jonesのピアノは録音当時87歳とは思えぬ矍鑠としたもの。今年,ブルーノートで渡辺貞夫を聞いた時にも思ったが,音楽をやっている老人というのは凄いものだと改めて思わされた。いかにもの選曲,いかにもの歌唱,演奏だが,それでもいいものはいいのだ。星★★★★☆。

Recorded Live at ベイシー on March 10, 2006

Personnel: Keiko Lee(vo), Hank Jones(p), 坂井紅介(b)

2019年11月 6日 (水)

”Jatroit“:大西順子はこういう感じでやって欲しいというアルバム。

_20191104-3 "Jatroit" 大西順子(Somethin’ Cool)

正式には"Junko Onishi Presents Jatroit Featuring Robert Hurst & Karriem Riggins"と表記すべきだろうが,まぁよかろう。私にとって大西順子という人はおかしな言い方だが「愛憎半ばする」人である。私は本質的に大西順子の音楽については肯定的な見解を持っているのだが,くそのようなラップを伴ったとんでもない愚作"Tea Times"は到底評価できないとか,ライブでのPAの扱いや所作にどうも納得がいかなかったりとか,どうも気に入らないところもある人なのだ。だから,このライブ・アルバムの音源となったブルーノートの公演に足を運ぶこともなかったが,このメンツなら期待できるだろうとは思っていたのは事実である。でも2018年2月のブルーノートでの印象が悪く,彼女のライブにはもう行かないと決めたので,その意志を貫徹したに過ぎない。

だが,本作は24年ぶりのライブ音源らしいし,音だけなら聞くに値するということで,だいぶ遅れての入手となった。そして感じるのは,やはりというか,ここで演じられるCharles Mingus作の”Meditations for Pair of Wire Cutters"や,Jaki Byardに捧げた大西順子のオリジナル”The Threepenny Opera"なんかを聞いていると,大西順子のハード・ドライビングなピアノはリスナーを興奮させるに十分だということだ。私としてはやはりこういう路線の大西順子のピアノは最大限に評価してしまうってところだと思う。

それだけでなく,動と静をうまく組み合わせてたかたちで,全体のアルバムの構成もよく出来ていて,これはやはり期待通りのアルバムに仕上がったと言ってよい。そうは言っても,私にとっては"Baroque"あたりの強烈さへの郷愁があるが,これはこれで十分楽しめる。聞くなら極力ボリュームを上げたくなるような一枚と言っておこう。星★★★★☆。

まぁ,でもねぇ,どうなんだろう...。ステージの右側にピアノを置いて演奏していては,リズムとのアイ・コンタクトが取りにくいだろうと思ってしまうが,多分ライブを観に入ったら,その辺にきっと私は居心地の悪さを感じたのではないかと思う。アルバムを聞いている限りは別に問題なさそうなので余計なお世話か(苦笑)。

Recorded Live at Blue Note東京 in February, 2019

Personnel: 大西順子(p),Robert Hurst(b), Karriem Riggins(ds)

2019年11月 5日 (火)

今更ながら,フュージョンのライブかくあるべしと思ってしまったFrank Gambaleのライブ盤。

_20191104-2 ”Live!" Frank Gambale (Legato→Wombat)

何を今更って気はするのだが,先日,ストリーミングでこのアルバムを聞いていて,あまりのカッコよさにたまらんと思ってしまった私である。主題の通り,フュージョンのライブってのはこういう風にやられると,こっちとしては文句のつけようがないのだ。

Frank Gambaleについてはこのブログで,Virgil Donati, Ric Fierabracciと組んだバンドでのライブ盤について書いたことがある(記事はこちら)が,そちらもよく出来たアルバムだと思っている。しかし,フュージョンのライブ・アルバムという観点では,私としてはこっちの方が優れているように感じてしまった。とにかく,タイトでスピーディでスリリングという,その場にいたら悶絶必至のライブである。例えば,冒頭の"Credit Reference Blues"からして,そうした特性が溢れた演奏で,「この演奏を聞いたらクレジットを見たくなるだろ~?」なんてFrank Gambaleの自信が曲のタイトルに表れているように感じてならないし,実際そうなるリスナーは多いだろう。この曲を聞いているだけで,ついついボリュームを上げたくなる。

本作が録音されたBaked Potatoにおいては,日夜こういうセッション的な演奏も行われていると思われるが,このアルバムの演奏は,ユニゾンとか決まっているし,急造のバンドと思えないまとまりのよさも感じられる。ベースとドラムスのプレイヤーは名前を聞くのも初めて見たいな感じだが,ここに参加しているミュージシャンの室の高さの裏返しとも言えるし,やはりどう聞いてもカッコいいよねぇ。ある意味西海岸らしい抜けのよさ,あるいは軽ささえも感じさせるものの,私としてはこのアルバムはフュージョンのライブに限定すれば,かなり上位に位置させていいように思えるアルバム。星★★★★☆。

Frank-gambale-live_20191104114301 尚,現在再発されているジャケ(上写真)はオリジナル(下写真)と色使いが変更されているが,このアルバムにフィットしているのはオリジナルのように思うなぁ。

Recorded Live at the Baled Potate on August 21, 1988

Personnel: Frank Gambale(g), Steve Tavaglione(ewi, sax), Kei Akagi(key), Steve Kershisnik(b), Joe Heredia(ds)

2019年11月 4日 (月)

Alexei Lubimovの”Der Bote”:この曲の組合せはECM以外にできないだろう。

_20191104 "Der Bote" Alexei Lubimov(ECM New Series)

このアルバム,タイトルは"Der Bote"(英語にすると"The Messenger"らしい)であるが,これは最後に収められたシルベストロフの曲のタイトルから取られたものだろう。しかし,バック・インレイには"Elegies for Piano"とあり,そっちの方がずっとわかりやすいのではないかと思えるアルバムとなっている。

このアルバムが特異だと思えるのは,様々な時代の音楽,それこそバロックから現代音楽までの曲を並べておきながら,そこに全くの違和感をもたらさないことである。普通の人間であればC.P.E.バッハとジョン・ケージの音楽が続けて演奏されることなど夢想だにしないが,自然に耳に入ってきてしまうって実は凄いことではないのか。

ここでピアノを弾いているAlexei Lubimovは,様々な現代音楽の初演をしていることからしても,現代音楽には造詣が深いはずだが,ソ連時代に活動の制約を受けて,古典も演奏していたことを踏まえると,ここでの曲の並びは彼にとっては全然不思議はないのかもしれない。しかし,このようにいろいろな時代に作られた曲が演奏されながら,響きは極めて一貫性があって,私は一発でまいってしまった。響きにはもの悲しさをたたえているが,実に美しい音楽。Manfred Eicherの美学ってのをこういうところにも強く感じてしまった。星★★★★★。たまらん。

Recorded in December, 2000

Personnel: Alexei Lubimov(p)

2019年11月 3日 (日)

中古で拾ったArchie Shepp。結構味わい深い。

_20191102"Ballads for Trane" Archie Shepp(Denon)

Archie SheppがJohn Coltraneにゆかりのある曲をバラッド形式で吹くという,いかにもと言えばいかにもな企画ながら,これが想定以上に味わい深いのだ。

Archie Sheppがこのアルバムを吹き込んだ頃から少し後が,おそらく私がジャズを聞き始めた頃だと思うが,まだまだフュージョンから入っていたと言ってもよい程度だったので,このアルバムはリリースされたことは認識していたが,聞いたことはほとんどなかったように思う。だが,当時Sheppが自身のクァルテットで来日して,Howard Johnsonがチューバでゲストで加わるという演奏がFMで放送されて,エア・チェック(死語!)して結構聞いていたなぁなんて思い出もある。その頃は昔のArchie Sheppなんて知る由もなく,コンベンショナルな演奏をする人だと思っていたのだから,私も若い(爆)。

本作に関しては,数カ月前だったと思うのだが,ストリーミングで聞く機会があって,おぉ,これって結構いいじゃん,なんて思っていた私である。これなら保有していてもいいなぁなんて思っていたところにお手頃価格での中古CDをゲットしたもの。改めてCDを聞いている訳だが,まぁこれは夜にグラス傾けながら聞くのに最適な音楽だと思ってしまった。このフレージング,この音を聞いていれば,酒が進むこと必定なのである。

本来であれば,John Coltraneその人の音楽を聞いていればいいってことにもなるだろうが,これはこれで結構よく出来たアルバムだったと今更ながら思う。激しいSheppもいいが,こういうSheppもいいのである(きっぱり)。星★★★★。

Recorded on May 7, 1977

Personnel: Archie Shepp(ts, ss), Albert Dailey(p), Reggie Workman(b), Chelie Persip(ds)

2019年11月 2日 (土)

これでHenckのECMのアルバムが揃った。

_20191102-3 ”Jean Barraqué: Sonata pour Piano" Herbert Heck (ECM New Series)

私は現代音楽に関してはピアノ音楽が好きで,いかにもな響きを楽しんでいると言ってもよい。そうした中で,Herbert HenckがECMに吹き込んだアルバム群はほぼ揃っていたのだが,残っていたのが本作。ネット上では結構な値段がついていたりするし,ECMのサイトでもOut of Stock状態だったのだが,今回,ネットで中古をゲットできた。

現代音楽のピアノにもミニマルからアブストラクトまでいろいろある訳だが,私にとって,これはいかにも現代音楽的な響きの強い音楽だったと言ってもよい。これはおそらく12音技法によるものだと感じるが,こういう音楽を聞いていて,何がよいのかさっぱりわからんという人も多かろう。しかし,私の場合,こういう冷たい感覚の音楽に身を委ねることによって得られる快感っていうのもあると思っている。

HenckのECMのアルバムではJohn Cageのアルバムをまだちゃんと聞けていないが,これまで聞いたHenckのアルバムにおいては,最も前衛的な響きが強く,おぉっとなってしまった私である。まぁ,しょっちゅう聞く音楽ではないと思うが,やっぱりこういうのが好きだと言ってしまう私は変わり者ってことで。星★★★★。

Recorded in July 1996

Personnel: Herbert Henck(p)

2019年11月 1日 (金)

コレクターはつらいよ(25):突然フランス映画のサウンドトラックを担当したBrad Mehldau。

Mon-chien-stupide "Mon Chien Stupide" Original Soundtrack by Brad Meldau (My Music)

突然リリースされた映画のサウンドトラックをBrad Mehldauが担当していると知ってしまったからにはさぁ困った。この映画,以前Brad Mehldauが音楽を担当した「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」同様,Charlotte GainsbourgとYvan Attal夫妻主演の新作コメディとのことであるが,前の映画の縁もあって再登板となったのだろうか。

「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」のサントラはCDとしてもリリースされているが,本作の方は今のところダウンロードのみのようである。「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」 の方は別アーティストの音源も含んでいるコンピレーション的なものだったが,こちらは全面的にBrad Mehldauがピアノを弾いているように聞こえる。

冒頭の"Henri's Lament"から嬉しくなるようなトリオ演奏が聞こえてくるが,アルバムとしてはちゃんと曲として成立しているものと,あくまでも映画のバックを構成するための「サウンド」のような曲もあれば,弦を交えた室内楽のような曲もある。しかしソロで"And I Love Her"とかをやられると,6月のよみうり大手町ホールでのソロ公演の記憶が蘇ってしまう。電車の中で聞いていても思わずくぅ~っとなってしまった私である。

やっぱりサントラだよなぁと思わせる部分もあるが,これならCDで出してもいいのではないかと思えるような演奏ぶりであった。いずれにせよ,こういうのが突然出てくるのがコレクター泣かせってやつだよねぇ。ということで,ストリーミングでも全然かまわないのに,きっちりダウンロードもした私である。コレクターはつらいのだ。

尚,演奏者は全くデータがないが,トリオ演奏はレギュラー・トリオ,バスクラはJoel Frahmあたりだろうか。追って情報が出てきたらアップデートしたい。まぁ,普通の人はストリーミングで聞いて下さいってことで(笑)。

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