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2019年9月10日 (火)

"Rubberband":今年最大の話題作の一つだろう。

_20190908-2"Rubberband" Miles Davis(Warner Brothers / Rhino)

Miles Davisがこの世を去って間もなく28年になろうとしているが,そこに突如登場してきたのが,これまでお蔵入りを余儀なくされていた"Rubberband"セッションである。ここにはオリジナルの音源にヴォーカルが加えられているし,ミキシングもかなりいじってあるようなので,相当アップデートされた印象があるのは事実である。しかし,本作がレコーディングされた頃のライブでよくやっていたレパートリーも聞くことができて,そうだったのかって思わせる。

しかし,よくよく考えてみれば,アップデートされているとは言え,このオリジナル音源が吹き込まれていたのは1985年後半から86年前半にかけてのことである。その時からは既に30年以上経過しているというのは驚異的な事実。Miles Davisの音楽は現代にも通じる同時代性を持っていたなんて言うと,陳腐な表現にしか聞こえないが,まさにそういう感じなのである。そして,面白いのは当時のバンドのメンツとは異なる編成で製作されていることではないか。1曲だけ"Maze"はまさに当時のバンドそのものであるが,それ以外はいつもと違う面々を呼んでいるのは,それまでと違ったことをしたいと思ったMiles Davisの思惑だったのではないかと思える。

ここでカギを握っているのはRandy Hallであるが,Randy Hallと言えば,Milesのシーンへの復帰作,“The Man with the Horn"の中で,タイトル・トラックと"Shout"というほかの曲とはかなり異なるポップな感じの曲をやっていたが,その時からの縁はまだこの頃続いていて,彼に白羽の矢が立ったということのように思える。そして出てくる音はここでもかなりポップに感じられる。特にRandy Hallがヴォーカルを取る"I Love What We Make Together"なんて,全然Milesらしくない曲である(さすが,Al Jarreau向けに書いたと言われるだけのことはある)。そうした観点も含めると,長年のファンにとってはBob BergやMike Sternの入った"Maze"のメンツによる演奏の方がピンとくるはずだ。その辺が評価のわかれどころということになるのかもしれないが,アルバムとしてはこれはこれでありだとは思いつつ,Milesを聞くならこれでなくても全然問題ない。それが本作の限界というところでもあるのだが,まぁ話題作だから,これはちゃんと聞いて評価するのが筋である。

この時代にライブでよく演奏された曲としては,ここでは本人も参加したNeil Larsenの”Carnival Time"があるが,Milesのライブでのこの曲の演奏は,ここでのものよりはるかにカッコいいものであったことは言っておかなくてはなるまい。ここでの演奏はまだまだこなれていない感じが強いし,私がライブで感じたような高揚感が得られていない。そういうことで,非常に微妙って気がすることもあるが,ここはMilesに免じて星★★★☆ぐらいってことにしておこう。カッコいい曲もあるんだけどねぇ...。

最後に一点付け加えておけば,私がMilesのライブを最後に見たのは1991年のNYCにおけるJVCジャズ・フェスティバルにおけるAvery Fisher Hallにおける演奏であった(思えば亡くなるちょっと前である)が,その時のMilesは私にとって全然魅力的に響かなくなっていた。多分,Warner移籍後の音楽は,私にはあまり関心が持てなかったことの裏返しだが,このアルバムがリリースされても,そうした思いに変わりはあるまい。これを聞いて,84年,85年あたりのモントルーの音源が猛烈に聞きたくなってきた私である。

Recorded between October, 1985 and January, 1986

Personnel: Miles Davis(tp, key), Michael Paulo(as, ss, ts, fl), Bob Berg(sax), Glenn Burris(ts, as), Randy Hall(g, key, vo, prog), Isiah Sharkey(g), Mike Stern(g), Attala Zone Giles(key, g, b, vo, prog), Adam Holzman(key, synth), Wayne Linsey(key), Anthony "Mac Nass" Loffman(key, prog), Javier Linares(p), Robert Irving, III(key, synth), Neil Larsen(key, synth, prog), Arthur Haynes(b), Felton Cruz(b), Angus Thomas(b), Vince Wilburn, Jr.(ds, perc, prog), King Errisson(perc), Steve Reid(perc), Munyungo Jackson(perc), Steve Thornton(perc), Marilyn Mazur(perc), Kevin Santos(edit, sound design), Ledisi(vo), Medina Johnson(vo), Lalah Hathaway(vo), Rick Braun(tp, tb)

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