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2019年9月30日 (月)

歌うBensonか,歌わぬBensonか...。

_20190927-2 "Tenderly" George Benson (Warner Brothers)

"Breezin'"がヒットしてから,George Bensonのヴォーカルの傾斜は更に強まったって感じだろうが,彼が歌った方がいいか,ギタリストに徹した方がいいかってのは議論があるところだと思う。このアルバムを久しぶりに聞いても,冒頭の"You Don't Know What Love Is"とか3曲目の"Stardust"を聞いていて,私は「う~む」となってしまったのだが,甘~く歌うのはいいとしても,これじゃさすがにイージー・リスニングではないかと突っ込みを入れたくなる。その間に挟まれて,軽くバウンスする”Stella by Starlight"の方がはるかにいいと思うのはきっと私だけではないだろう。

基本的に全編を通じての甘々な感じをどう捉えるかによって,このアルバムへの評価は極端に変わるはずだが,George Bensonのヴォーカルにある意味での軽薄な響きすら感じる私のようなリスナーにとっては評価できないアルバム。まぁ,"Here, There and Everywhere"のような曲はまだ許せるとしても,こういうアルバムにMcCoy Tynerを客演に迎えるまでもないのである。ギターももう少し弾いてくれればよかったのだが。星★★。結局のところ,私は歌わないGeorge Benson派ってことで。

Personnel: George Benson(vo, g), McCoy Tyner(p), Ron Carter(b), Herlin Riley(ds), Louis Hayes(ds), Al Foster(ds), Lenny Castro(perc)

2019年9月29日 (日)

心底驚かされ,感動させてくれたラグビー日本代表。

Photo_20190929094801

記憶がヴィヴィッドなうちに書いておこう。戦前から今回の予選リーグにおけるおそらくは最大の難敵,アイルランドに日本代表が勝つと思っていた人は多分少ないはずだろう。しかし,いみじくもスタンドオフ,田村が明かした「誰も勝つと思ってないし、誰も接戦になるとも思ってないし、誰も僕らがどんだけ犠牲にしたか分からないし、信じてるのは僕たちだけ」というジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチの弁(俳句?)に従ったような19-12での勝利は,まさに驚きと感動を多くの日本国民に与えたはずだ。

初戦のロシア戦では緊張からかミスを連発しながらも勝ち点5をゲットした日本代表だったが,私自身もさすがにアイルランドは厳しいだろうと思っていた。しかし,前半を12-9で折り返して,なかなかの善戦と思わせ,そしてもしかすると...という気持ちになってきた。実は前半はゴルフ場からの移動の車中で見ていて,その後,19番ホールたる居酒屋へ移動したのだが,店に入ってテレビのチャンネルをラグビー中継をしているNHKに勝手に変えたのは言うまでもない(爆)。ほかのメンバーが来るまでの間,先行して入っていた3人は横並びでTVを見ながらビールを飲んでいて,「家族ゲーム」かよ?と言い放つ私も私だが,それぐらい入れ込んだ状態になっていたことは間違いない。逆転トライを福岡が決めた瞬間は,店にいるほかのお客さんも完全に無視した状態で興奮していた私たちであった。前半に思っていた「もしかすると」から,「絶対勝って欲しい」に変ったのはその後のPGを田村が決めた瞬間だった。

そして危ないシーンも何度かありながらも,フォワード戦も互角以上の戦いを展開したのは見事であった。そして,終盤,ゴール前に押し込まれた日本代表だったが,そこでアイルランド代表の「ノット・リリース・ザ・ボール」のペナルティを誘った瞬間に,私は勝利への期待は一気に高まったのであった。最後にアイルランド代表がタッチに蹴り出した瞬間にノーサイドとなったが,あれはアイルランド代表が時間を間違えたのか,あるいはミスキックだったと思われ,ある意味呆気ない幕切れとなったが,いずれにしても勝ちは勝ちである。4年前のひた向きさによる南アフリカ戦での勝利とは一味違う勝利と言ってよい試合で,ゴルフによる疲れもあったし,ゴルフのスコアは全然いけていなかったものの,格別の「勝利の美酒」を味わうことができたと言えよう。

試合会場にいられた人は幸せだなぁとつくづく思うが,その瞬間をTV中継とは言え,ライブで共有することができた私も幸せであった。こうなったら4戦全勝で予選リーグを1位突破して欲しいところだが,サモア戦もスコットランド戦も簡単に勝てる訳ではなかろう。だが,アイルランド戦のような戦いぶりを示せば悲願の予選リーグ突破は可能と思いたい。

次の日本代表の相手はサモアだが,9/30に1勝のサモアは1敗のスコットランドと対戦するが,スコットランドは予選リーグ突破を掛けてもう負けられない状態なので,必死で来るはずである。そこでの戦いっぷりを見ながら,サモア戦を楽しみに待つことにしよう。

尚,上の写真はネットから拝借。

<追補>このブログにはサッカーのカテゴリーがあるが,ラグビーの記事は4年前の南アフリカ戦以来(その時の記事はこちら)となった。まぁ学生の頃から大学ラグビーは結構見ていたし,正月の大学選手権とかも中継では見ていて,それなりにラグビーも好きなのだが,この記事をご覧になって意外に感じた人もいらっしゃるかもしれないとついつい思ってしまった。

<更に追補>アイルランドが最後に蹴り出して呆気なく試合が終わったように見えたのはボーナス・ポイント1を確実に取るためだったらしい。ということは負けてもBP1点を取りに行き,予選リーグ突破を確実に狙うという作戦だったとは...。アイルランド恐るべし。奥が深い。

Tarantinoの映画と全然違うBrad Pittが見られる「アド・アストラ」。

Ad-astra 「アド・アストラ("Ad Astra")」(’19,米/中,Fox)

監督:James Gray

出演:Brad Pitt,Tommy Lee Jones,Donald Sutherland,Ruth Negga, Liv Tyler

先日観た「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」では可笑しささえ感じさせたBrad Pittが,ずっとシリアスな表情で演技を続ける映画である。そういう意味で,役者としての幅が広いと思わせてくれる映画だが,結構これがBrad Pittの表現からも感じられるように,シナリオ的には静的な部分が多い映画である。

その一方で,そうしたスタティックな感覚を補うために,アクション・シーンも交えるが,ここにちょっと無理が生じていて,何とも不可思議な感覚を与えてくれる映画である。ある意味,哲学的な要素させ組み込もうとした監督,共同脚本のJames Grayの野心は理解できる。しかし,それだけでは映画として辛気臭くなって,興行として成立しないという感覚から,シナリオに無理を施した感覚が露骨に出過ぎて,私としては見ていて結構居心地が悪い部分もあった。頭でっかちな感覚もありながら,ネタバレになるので詳しくは書かないが,見ればわかる通り,何じゃそれは?って感じの意味不明な部分もあるところが何とも中途半端なのだ。

視覚効果は結構よく出来ているとしても,やはりここにはシナリオの無理がたたって,私としては評価しにくい映画になってしまった。星★★☆で十分だろう。Brad Pitt目当てで見るなら,間違いなく「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の方がはるかに楽しめることを保証する。

2019年9月28日 (土)

久々に聞いたThad Jones。リラクゼーションとはこれだなぁ。

_20190927 "The Magnificent Thad Jones" Thad Jones (Blue Note)

実に久しぶりにこのアルバムを聞いた。Thad Jonesは後のビッグバンド活動に比べると,自身のアルバムって結構地味な感じもするが,よくよく聞いてみると実に味わい深いアルバムを残している。これもそんな一枚。

ちょっと変わった感じの”April in Paris"で始まるが,全編ほぼミディアム・テンポで通すこのアルバムを表現するのに最適な言葉は「リラクゼーション」にほかなるまい。やや渋めのメンツを集め,普通ならもう少し叩きそうなMax Roachが楚々としたドラミングを聞かせるのは,ちゃんとリーダーの意図に沿った演奏をしたってところかもしれない。

選曲も渋い。Thad Jonesのオリジナル2曲に加えて,スタンダード”April in Paris",そしてあまり演奏される機会の少ない"If I Love Again"や”If Someone Had Told Me"のような曲を選んでいるが,そこにはそれぞれThad Jonesの地味ではあるが,優れた歌心を感じざるをえないのだ。ジャズに求めるものがスリルであるとするならば,このアルバムはそうしたニーズにはフィットしないが,くつろぎながらいい音楽を聞きたいというニーズには完全フィットだと言いたくなる。

繰り返しになるが,本当にこれは味わい深く,滋味に溢れた好アルバム。星★★★★☆。

Recorded on July 14, 1956

Personnel: Thad Jones(tp), Billy Mitchell(ts), Barry Harris(p), Percy Heath(b), Max Roach(ds)

2019年9月27日 (金)

Woodstock Boxついに来る。こりゃ~重い(苦笑)。

Woodstock-box 発売後,いつまで経ってもデリバリーされず,ついにはRhinoに問合せのメールを入れたら,あっという間に到着したのがWoodstock Boxである。とにかく重い。そもそも木箱が嵩張る(苦笑)。いつ聞くの?って聞かれれば,そのうちとしか言えないが,よくもまぁこんなもんを買うわってところ。散らかっているのがバレバレの私の部屋に置かれたボックス,一体どこに収納すればいいのやら(爆)。

2019年9月25日 (水)

富樫雅彦はハードルは高いが,襟を正して聞きたくなる。

_20190922-2 "Song for Myself" 富樫雅彦(East Wind)

富樫雅彦が脊椎損傷による下半身不随というトラブルがなかったら,どういう演奏をしていただろうかと想像すらできないが,もともとやっている音楽は相当尖っていた人であるから,かなり先鋭的な音楽に走っていたかもしれないし,JJ Spiritsのような4ビート路線に向かっていたかもしれない。いずれにしても,富樫雅彦という人は,私がジャズを聞き始めた頃,とてつもなく高く評価されていていて,「スピリチュアル・ネイチャー」は買ったものの,高校生の私には何のこっちゃ?という反応しか示せなかったのも懐かしい。

今や富樫はこの世を去り,私も歳を取って,富樫の音楽の本質には触れられるようになってきたとは思う。それでもやはりプレイバック頻度は決して上がらないということで,相変わらずハードルは高い人である(苦笑)。

では日本ジャズ界の大物3人とデュオ演奏を繰り広げたこのアルバムはどうか?これだって,相当ハードルは高い。それでも以前だったら全く理解を越えていた音楽も,今や真っ当に対峙することはできるようになったのは年の功ってところだ(爆)。それでもついつい襟を正したくなるようなところはあるので,音楽的な楽しさは乏しいが,それでも聞くに値する音楽なのだ。

そして,ここに感じるのは実に日本的な響きってところではないかと思う。それは単なるオリエンタリズムとか,悪い意味ではなく,この音は日本人にしか出せないのではないかと思えるのだ。日本の伝統芸能に通じる幽玄ささえ感じさせる渡辺貞夫との"Haze"に始まり,佐藤允彦の打鍵のバックで,これも日本的な響きを感じさせる"Fairy Tale",そして独奏のタイトル・トラック,そして音楽性において強いシンパシーを感じさせる菊地雅章との"Song for My Friends"の全編に渡って,そうした響きが一貫しているのが感じられる。このアルバムを聞いていると,改めて富樫雅彦がもの凄いミュージシャンだったのだなと感じさせるに十分。星★★★★☆。

Recorded on July 25, September 23, 30 and October 10, 1974

Personnel: 富樫雅彦(ds, perc),渡辺貞夫(fl),佐藤允彦(p),菊地雅章(p)

2019年9月24日 (火)

休日の昼下がりに聞くギターによるサティ集。

_20190922 "Erik Satie” Anders Miolin(BIS)

このアルバムはスウェーデン出身のAnders Miolinがサティの楽曲を編曲し,アルト・ギターという11弦ギターで演奏したもの。本作がリリースされたのは1993年ぐらいのはずなので,既にリリースから25年も経過している。それだけの時間が経過すると,なぜこのアルバムを購入する気になったのかは記憶の彼方であるが,まぁ私もギタリストのはしくれなので,そういう観点ではサティをギターで弾くとどうなるかには相応に関心があったってことだろう。

そんな購入動機はさておき,久しぶりにこの音楽を聞いていて,休日の昼下がりにゆったりと時間を過ごすには随分とマッチした音楽だと思ってしまった。私は決してサティの熱心な聞き手ではないとしても,高橋悠治のピアノによる作品集3枚で聞くぐらいはしている。

サティの音楽が,彼の生きていた時代には多分変わったものだったろうと思うのだが,現代人の耳には全く普通の音楽に聞こえてしまうのは時代の流れに沿ったものだとしても,ここでのギター演奏は実に心地よい。かつてサティは「家具の音楽」という曲を書いたが,それは生活に溶け込むという観点で,アンビエント・ミュージックの源流みたいなものだとすれば,心地よく,あるいは意識を刺激することなく音楽が流れるのは当たり前ということになる。

そして特殊なチューニングのギターによって奏でられるサウンドは心地よさを更に強くするというところだろう。久しぶりに聞いたがなかなか魅力的な演奏であった。じっくり聞くにもよし,BGMにもよしってことで星★★★★だが,私は完全に聞き流し派だな(笑)。

Recorded in 1992

Personnel: Anders Miolin(alto-g)

2019年9月23日 (月)

Artist HouseのChet Bakerやいかに。

_20190921 ”Once upon a Summertime" Chet Baker (Artist House)

先日,Chet Bakerについては”You Can't Go Home Again"を取り上げたが,あれの前半はChet Bakerとしては極めて異色なアルバムだと思えた。それとほぼ同じような時期に吹き込まれながら,全然違うテイストを持ったアルバムがこれである。

振り返ってみれば,Artsit Houseというレーベルはなかなかいいアルバムを残していた。私にとって代表的なのがPaul DesmondやJim HallとRed Mitchellのデュオ盤であるが,そのほかにもCharlie HadenとHampton Hawesのデュオもあれば,Ornette,更にはJames Blood Ulmerの初リーダー作まで出している不思議なレーベルである。プロデューサーのJohn Snyderはいいアルバムを残すのだが,商売っ気がないという代表みたいな人で,Artist Houseもいつもながらナイスなアルバムでありながら,爆発的に売れたなんて話は聞いたことがない。そこから出たアルバムが本作である。

John Snyderのことなので,どのようになるかはわからない部分はあったとしても,ここは2管のクインテット編成ということで,実にコンベンショナルな響きを持つものとなっている。一方,Chet Bakerが"E.S.P."のような曲をやるのはちょっと不思議な感じもするが,このアルバムは痺れるような感覚こそ薄いものの,なかなかくつろぎながら聞けるアルバムというところだろう。ここに参加しているテナーのGregory Herbertはなかなかの好プレイを聞かせているが,このアルバム録音の翌年,オーバードーズで若くして亡くなっている。ここでのプレイを聞いていると,30歳そこそこでの若死には実にもったいない気がする。ここへの参加はHerbertの当時のボスであるMel Lewisの推薦と思われるが,ここでの演奏はちゃんと期待に応えているってところだろう。

そしてリーダーのChet Bakerであるが,結構好調な響きを聞かせている。まぁいつものChet Bakerと言えばその通りであるが,これはこれで楽しめるアルバムであった。ただねぇ,やっぱりRon Carterのベースの音は馴染めないなぁ。好き嫌いで言えば,嫌いなんだから仕方がないが(爆),ここでは明らかなミスキャストだと思う。それにしても,タイトル・トラックにおけるChetのミュートは沁みる...。星★★★☆。

Recorded on February 20, 1977

Personnel: Chet Baker(tp), Gregory Herbert(ts), Harold Danko(p), Ron Carter(b), Mel Lewis(ds)

2019年9月22日 (日)

恥ずかしながら「キル・ビル」を初めて見た。

Kill-bill1 「キル・ビル Vol.1/Vol.2(”Kill Bill Vol.1/Vol.2)」(’03/04,米,Universal/Miramax)

監督:Quentin Tarantino

出演:Uma Thurman, David Carradine, Lucy Liu, Daryl Hannah, Michael Madsen,千葉真一,栗山千明

私がQuentin Tarantinoの映画をちゃんと見るようになったのは「ジャンゴ 繋がれざる者」からのことである。一時期私は本当に映画から遠ざかっていて,ある特定の時期はほとんど出張中の機内エンタテインメントを除けば映画を見ていないと言ってよい。だから,この映画も恥ずかしながらこれまで劇場はおろか,DVDでも見たことがなかった。私が躊躇してきた理由として,この映画に感じるイロモノ感ゆえってところが強い。

Kill-bill-2 だが,「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にもやられてしまった立場の私としては,やっぱりQuentin Tarantinoの映画はちゃんと見ておいた方がいいだろうということで,中古でDVDを格安にゲットして初めて見ることとなった。一言で言ってしまえば,アニメを実写化したような「劇画」感あるいは比類なき荒唐無稽さってところか。相変わらずのQuentin Tarantinoらしいエグイ表現満載で,血しぶきが炸裂しているが,それゆえ欧米版は若干ソフトな表現になっているらしい。しかし,血しぶきと言っても私などはどちらかと言えばゲラゲラ笑いながら見ていたようなものなので,恐れるほどのものではない。

その荒唐無稽さゆえ,シナリオにおけるリアリティが欠如していると言ってしまえばその通りなのだが,これはこれでそういう映画として見ればいいものだろう。様々な映画へのオマージュやら,アニメの採用,シルエットや白黒シーン,更にはワイヤー・アクション等,様々な手立てを繰り出すQuentin Tarantinoの娯楽への感覚を楽しんでればいい話だと思う。

なので,この映画には小難しい話は不要。この無茶苦茶感を楽しめばいいというのが私の実感。星★★★★。それにしても,出演者それぞれのキャラが笑えるシナリオを描くQuentin Tarantinoの頭の構造は一体どうなっているのやら...(苦笑)。いずれにしても,ここに出ているDavid Carradineを見ていると,懐かしの「燃えよカンフー」を思い出してしまった私であった。そして映画における最高のセリフはLucy Liuの「やっちまいな!」だろうねぇ(爆)。

2019年9月21日 (土)

こんなのもあったなぁ...:Corea~Burtonの"Native Sense"

_20190916-4”Native Sense: The New Duets" Chick Corea / Gary Burton (Stretch)

Gary Burtonが引退した今となってはこのデュオの新作を聞く機会や生で見るチャンスはもはやない。しかし,デュオ第1作の"Crystal Silence"以来,彼らが作り上げてきた音楽に対する評価が下がることは決してないと思える。そうは言ってもアルバムが出るたび,毎度毎度購入してきたとは言え,私にとっては彼らの最高傑作はチューリッヒにおけるライブ盤であって,その後のアルバムは保有していても,聞く機会はあまりないというのが正直なところである。なので,恥ずかしながらではあるが,このアルバムなんてジャケのイメージは残存していたものの,保有していることすら忘れていたというのが実態なのである。このアルバムがリリースされて,20年以上経過しているが,その間に私がこのアルバムを何回聞いたかなんて疑問なのだが,おぉっ,こんなのものあったかってことで久しぶりに聞いてみた。

結論から言えば,実に安定のデュオであり,本作においてもそのコンビネーションは鉄壁と思える。特に#2~#5のChick Coreaの結構著名なオリジナル曲をどう料理するかってところが関心の対象となろうが,これが実にいい感じである。そもそもの曲が魅力的なところもあるが,それをこの2人が演奏するところに意義がある(きっぱり)。

それはそれでいいのだが,ずっとこの路線でやればよかったのにと思わせるところが,このアルバムの限界って気がする。もちろん,この二人のやることだから悪いってことはないのだが,ついついChick Coreaのバルトーク好きに付き合ってしまって"Bagatelle"から2曲やってしまうところとか,前半の路線からすると,どうも聞いていて高揚感が失われる。

日本盤のボートラとして収められた”I Loves You Porgy"なんて実に美しく,余韻に満ちているのだが,やや手遅れ館なきにしもあらずってところか(苦笑)。今やこれも媒体としては廃盤のようだが,廃盤にしなくてもよかろうとは思いつつ,やっぱりこの人たちはチューリッヒのライブが最高だったと改めて思ってしまった。まぁ星★★★☆ってところにしておこう。

Personnel: Chick Corea(p), Gary Burton(vib)

2019年9月19日 (木)

Dieter IlgとのアルバムはMarc Coplandの本質からちょっと外れる気がするなぁ...。

_20190916-3 ”What's Going On" Dieter Ilg / Marc Copland / Jeff Hirshfield(Jazzline)

以前,このブログでMarc CoplandとDieter Ilgの双頭作"Two Way Street"を取り上げたことがある(記事はこちら)。そのアルバムも私にとってはプレイバック頻度が低いと書いているのだが,本作はそれから約1年後にレコーディングされたトリオ・アルバムで,"Two Way Street"からはドラマーがRalph PenlandからJeff Hirshfieldに代わったものである。

そうした意味では,大きな変化はないのだが,ここでもタイトル・トラックであるMarvin Gayeの”What's Going On"が冒頭に収められていて,う~む,やっぱりちょっとMarc Coplandっぽくないなぁと思わせるものになっている。しかし,"Young And Foolish"なんてまさにMarc Coplandと思わせるような美しい響きであり,こっちが期待しているのはこういうものなのになぁと思わせてしまうところが実に惜しい気がする。

一方,その後に来るのが"Scrapple from the Apple"をちょっと変わった感じでやっているが,ソロの部分はまぁいいとして,曲そのものやアレンジがやっぱりCoplandっぽくないのだ。まぁ,よく言えばチャレンジなのだが,これも微妙。オリジナルの"Bigfoot"もそうなのだが,ロック・ビートを入れたがるのはDieter Ilgではないかと思ってしまうが,その後の”In the Wee Small Hours of the Morning"はCoplandのテイストか?私はやっぱりこっちがいい。そして,最後を締めるのがDori Caymmiの"Photograph”なんて,Marc Coplandかくあるべしなのだ。ということで,結局のところ"Two Way Street"と同じような評価になってしまって星★★★ってことになってしまうが,Coplandテイストで固めていてくれれば,私の評価は絶対に上がっていたと言える。ということで,Marc Coplandはやはり彼の美学のもとでアルバムを作るべきだと思ってしまうというのが,Dieter Ilgとの共演作を聞いていて感じてしまう正直なところである。

尚,Marc CoplandとDieter Ilgにはもう1枚,"Two Way Street"と同一メンバーによる"Tracks"という双頭アルバムがあるが,そっちもそのうち取り上げることにしょう。でもそれも実はプレイバック頻度は低い(爆)。

Recorded on November 21, 1993

Personnel: Dieter Ilg(b), Marc Copland(p), Jeff Hirshfield(ds)

2019年9月18日 (水)

ずっと放置していたMarvin Gayeの「幻のアルバム」。

_20190916-2"You're the Man" Marvin Gaye(Tamla Motown)

新譜と呼ぶにはリリースされてから既に5カ月近く経過してしまったが,まぁよかろう。これはMarvin Gayeが”What's Going on"と"Let's Get it on"の間にリリースするつもりで吹き込んだ音源を,アルバムの形態として改めてリリースした「新作」である。とは言え,ほとんどが既発音源らしいので,純粋に「新作」と言い切ってしまうのは若干抵抗があるものの,こうしてリリースされることが重要ということにしておこう。

早いもので,Marvin Gayeが亡くなってから今年でもう35年である。正直言って,私が同時代でMarvin Gayeを意識して聞いていたのは"Midnight Love"ぐらいなので,彼の音楽に関しては完全に後追いである。だが,その後,(私の場合,決して多くはないが,)彼の音源に接すると,その音楽的な魅力,特に彼の書く曲,そしてその声の素晴らしさは理解していたつもりである。

そんなMarvin Gayeの「幻のアルバム」と聞いてはついつい手が出てしまう訳だが,遅ればせながら,改めてこの拾遺的なアルバムを聞いてみると,これが実に素晴らしい。正式なアルバム化が為されてこなかったとしても,この曲のクォリティである。正当ソウル,ファンク,スイート,更にはゴスペル的なところも感じさせたり,なんでもござれのようなアルバムであるが,駄曲がないってのが凄い。逆に言えば,このアルバムに収録された音源を録音している時期のMarvin Gayeの凄さというのを改めて感じさせられる。陳腐な言い方をすれば,「創造力のピーク」ってことになるのかもしれないが,それにしてもまぁ...って感じである。

これが本人の意図したかたちのアルバム形態だったのかはもはやわからないとしても,こういうアルバムがこの時代に「新作」として聞けることの幸せを覚えるのは私だけではあるまい。彼のオリジナル・アルバムに比べた評価ではなく,この時代にもMarvin Gayeの音楽が十分な訴求力を有することに感謝して星★★★★★としてしまおう。まじでいいですわ。

尚,パーソネルは多数かつ不明な部分もあるので割愛。

2019年9月17日 (火)

ここのところの出張続きで音楽を聞けていなかった中,今日はJoe Farrell。

_20190916 "Skate Board Park" Joe Farrell(Xanado)

ここのところの私の生活はお盆休みを挟んで,ライブ,出張,ゴルフの繰り返しみたいになってしまっていて,真っ当に音楽を聞いていない時間が結構長くなってしまっている。かろうじてストリーミングで音楽は聞いていたものの,あまり真剣に聞いていたとは言い難い。そんなところに届いたのがこのアルバムである。

本作は,今はなきテナーの聖地,Bar D2で聞かせて頂いたことがあるのだが,私がCTI時代のJoe Farrellのアルバムが結構好きなこともあり,これもいいなぁと入手の機会を狙っていたものである。そこに中古で未開封盤が出ていたので,すかさずゲットしたものである。しかし,デリバリー後もちゃんと聞く時間がなく,ようやくのアップというのが実態だ。

Skate-board-park-original 思えば,このアルバムが出たのは1979年のことで,私はジャズを聞き始めてまだ2~3年というところで,スウィング・ジャーナルに本作が掲載されたことは覚えているものの,その頃は全然レーダー・スクリーン外という感じだった。そもそも私がJoe FarrellのCTIのアルバムをちゃんと聞きだしたのも後年のことであるから,このアルバムに関心を示さなかったのも仕方がないが,当時の売りはChick Coreaの全面参加だったはずである。

もちろん,Chick Coreaの参加は大きな付加価値であるが,Joe Farrellがここではテナー1本に絞って演奏していることこそ,このアルバムが欲しくなった理由だったと言ってもよい。Joe Farrellは何かとReturn to Foreverという感じになりがちであるが,Chick Coreaとやったアルバムなら私はむしろ"Friends"の方が好きなぐらいなのだ。時に聞かせるテナーによるブロウは実に魅力的に響く。例えば"Mad Hatter"における"Humpty Dumpty"にしろ,"Friends"におけるテナー吹奏にはしびれたリスナーも多いはずである。

そんなJoe Farrellがテナーで勝負したアルバムではあるが,リリースされた当時は,少なくともメディアやリスナーからはほぼ黙殺されていたような気もする。しかし,それが時を経て聞くと実に魅力的に響くから不思議である。特にここには私の大好きな"Speak Low"が収録されていて,この軽快な演奏にはワクワクしてしまった。時代が時代なら,もう少し高く評価されてもよかったのではないかと思えるアルバム。星★★★★。尚,現在再発されているジャケが上で,オリジナルは下の写真。結構記憶に残っているもんだなぁ(笑)。

Recorded on January 29, 1979

Personnel: Joe Farrell(ts), Chick Corea(p, el-p), Bob Magnusson(b), Lawrence Marable(ds)

2019年9月16日 (月)

出張中に見た映画(19/09編):今回は移動が辛くて控えめになってしまった。

Dark-phoenix「X-Men:ダーク・フェニックス("Dark Phoenix")」('19,米,Marvel / Fox)

監督:Simon Kinberg

出演:James McAvoy, Michael Fassbender, Jennifer Lawrence, Nicholas Hoult, Sophie Turner,Jessica Chastain

X-Menのシリーズは2000年から続いてきたものだが,正直言っていけているものもあれば,全然面白くないものもあるって感じがあるのは確かである。これまでなら,私は劇場に観に行っていたかもしれないが,昨今のMarvel映画の連発にはさすがに付き合いきれず,今回は劇場では見ていなかった。今回,インド出張の道すがらで見たのがこの1本。今回は移動がきつく,結構疲労もたまっていたこともあって,往路,復路ともに1本ずつしか見ていない。途中まで見た映画もあるのだが,睡魔に負けた。ということで,往路で見たのがこの映画であった。尚,復路はマレーシア航空で帰ってきたのだが,久しぶりに「サウンド・オブ・ミュージック」を見た私であった。一体何回目?と言え,やっぱり好きだなぁと思っていた私である。

それはさておき,今回のこの映画,もうこのシリーズも終わりかなぁと思わせるに十分な内容になってしまった。こんなところに出てくるJessica Chastainももう少し仕事を選べば?なんて突っ込みたくなるような役回り。本人は楽しんでやっているのかもしれないが,敢えて彼女のような役者が演じなくてもいいだろうと思っていた。正直言ってしまえば,このストーリーは何だかなぁって感じだし,アクションは派手でも,もう少しX-Menのシリーズには,ミュータントの悲哀のような部分を感じさせる部分もあったはずだが,そういう要素が全然なくなってしまっているところのイマイチ感はぬぐい難い。

長年,私はこのシリーズを見てきたが,やはりHugh Jackmanが出てこないX-Menシリーズは,私にとっては魅力度が落ちたと言わざるをえないし,Jennifer Lawrenceはもはやゲスト出演みたいになってしまったのでは仕方ないのかもしれないなぁ。星★★。シリーズはこれからも続いていくようだが,「X-Men」としてはこれが最終作ということもあり,私にとってはもうこれで十分ということだと思う。

2019年9月15日 (日)

遅ればせながらCamila Meza@Blue Note東京参戦記

Camila-meza-at-blue-note
ライブ翌日から出張していたため,遅くなってしまったが,Camila Meza & the Nectar Orchestraのライブの模様を振り返っておきたい。彼女の音楽には"Traces"で感心させられ,更に新作"Ambar"で驚かされてしまった私としては,今回の来日がアナウンスされた以上,行かない訳にはいかないということで実に期待をしていた。新作はストリング・クァルテット入りの音楽であるが,それをライブで再現してしまうということで,ハードルは決して低くなかっただろうが,軽々とクリアして見せた彼女たちであった。

Camila Mezaは歌がうまいのはもちろん,ギターの腕も確かなものであるとともに,彼女を支えていたバックのメンバーも実によかった。ドラムスの小川慶太はSnarky Puppyのメンバーでもあるが,そっちでやっている音楽とは結構違うと思わせながら,コンテンポラリーな感覚を導いているのは彼のドラミングではなかったかと思わせる部分があった。非常にフィット感があるのである。

更に,ピアノ,キーボードのEden LadinもHerbie Hancock辺りからの影響も感じさせるフレージングを聞かせていたのが面白いが,このバンドで驚いたのは,ストリングスのアレンジをしていたベースのNoam Wiesenbergであろうか。彼のベースそのものは楚々としたものであり,しっかりとした下支えという感じであったが,そのアレンジ能力は実に高度。更に先日のサイン会の模様でも書いたが,まさに好青年という感じのミュージシャンであり,非常に好感度が高い。

ストリング・クァルテットは今回のライブのために集められた人たちであろうが,ややリハーサルが足らないかなぁと思わせる部分なきにしもあらずながら,演奏はちゃんとしていて,十分サウンドに溶け込んでいたと思う。

そんな彼らに支えられ,歌い,ギターをプレイするCamila Mezaは本当に実力あるわ~と思わせ,今後に対する期待も大いに高まる人であったと思う。ライブ全編を通じて,大いに楽しませてもらった私である。上の写真はBlue NoteのWebサイトからの拝借であるが,多分私のシルエットが写り込んでいる。それがどうした?と言われればその通りだが,いい思い出になるわってことで。

尚,Blue Noteのサイトによれば,当日のセットリストは下記の通り。
1. AMAZON FAREWELL
2. ALL YOUR COLORS
3. ATARDECER
4. OLHA MARIA
5. FALL
6. TRACES
7. THIS IS NOT AMERICA
8. LUCHIN
9. KALLFU
EC. AWAKEN

とにもかくにも,世の中にはレベルの高いミュージシャンが存在することを思い知らされたライブであった。彼女がメジャーな存在になることは必定。素晴らしい才能である。

Live at Blue Note東京 on September 9, 2019, 2ndセット

Personnel: Camila Meza(vo, g), Eden Ladin(p, key), Noam Wiesenburg(b), 小川慶太(ds, perc), 松本裕香(vln), 鈴木絵由子(vln),惠藤あゆ(vla),橋本歩(cello)

2019年9月10日 (火)

Camila Meza@Blue Note東京の戦利品

Camila

Camila Mezaのライブに行ってきた。詳しくは改めてとして,今日は戦利品だけ。Camilaは人当たり最高,ベースのNoam Wiesenbergは真面目な好青年,ドラムスの小川慶太は話しっぷりもファンキーな感じであった。ピアノのEden Ladinはサイン会にチラッといただけですぐ消えてしまったので,"Ambar"に彼のサインはなし。いずれにしても楽しいライブであった。

"Rubberband":今年最大の話題作の一つだろう。

_20190908-2"Rubberband" Miles Davis(Warner Brothers / Rhino)

Miles Davisがこの世を去って間もなく28年になろうとしているが,そこに突如登場してきたのが,これまでお蔵入りを余儀なくされていた"Rubberband"セッションである。ここにはオリジナルの音源にヴォーカルが加えられているし,ミキシングもかなりいじってあるようなので,相当アップデートされた印象があるのは事実である。しかし,本作がレコーディングされた頃のライブでよくやっていたレパートリーも聞くことができて,そうだったのかって思わせる。

しかし,よくよく考えてみれば,アップデートされているとは言え,このオリジナル音源が吹き込まれていたのは1985年後半から86年前半にかけてのことである。その時からは既に30年以上経過しているというのは驚異的な事実。Miles Davisの音楽は現代にも通じる同時代性を持っていたなんて言うと,陳腐な表現にしか聞こえないが,まさにそういう感じなのである。そして,面白いのは当時のバンドのメンツとは異なる編成で製作されていることではないか。1曲だけ"Maze"はまさに当時のバンドそのものであるが,それ以外はいつもと違う面々を呼んでいるのは,それまでと違ったことをしたいと思ったMiles Davisの思惑だったのではないかと思える。

ここでカギを握っているのはRandy Hallであるが,Randy Hallと言えば,Milesのシーンへの復帰作,“The Man with the Horn"の中で,タイトル・トラックと"Shout"というほかの曲とはかなり異なるポップな感じの曲をやっていたが,その時からの縁はまだこの頃続いていて,彼に白羽の矢が立ったということのように思える。そして出てくる音はここでもかなりポップに感じられる。特にRandy Hallがヴォーカルを取る"I Love What We Make Together"なんて,全然Milesらしくない曲である(さすが,Al Jarreau向けに書いたと言われるだけのことはある)。そうした観点も含めると,長年のファンにとってはBob BergやMike Sternの入った"Maze"のメンツによる演奏の方がピンとくるはずだ。その辺が評価のわかれどころということになるのかもしれないが,アルバムとしてはこれはこれでありだとは思いつつ,Milesを聞くならこれでなくても全然問題ない。それが本作の限界というところでもあるのだが,まぁ話題作だから,これはちゃんと聞いて評価するのが筋である。

この時代にライブでよく演奏された曲としては,ここでは本人も参加したNeil Larsenの”Carnival Time"があるが,Milesのライブでのこの曲の演奏は,ここでのものよりはるかにカッコいいものであったことは言っておかなくてはなるまい。ここでの演奏はまだまだこなれていない感じが強いし,私がライブで感じたような高揚感が得られていない。そういうことで,非常に微妙って気がすることもあるが,ここはMilesに免じて星★★★☆ぐらいってことにしておこう。カッコいい曲もあるんだけどねぇ...。

最後に一点付け加えておけば,私がMilesのライブを最後に見たのは1991年のNYCにおけるJVCジャズ・フェスティバルにおけるAvery Fisher Hallにおける演奏であった(思えば亡くなるちょっと前である)が,その時のMilesは私にとって全然魅力的に響かなくなっていた。多分,Warner移籍後の音楽は,私にはあまり関心が持てなかったことの裏返しだが,このアルバムがリリースされても,そうした思いに変わりはあるまい。これを聞いて,84年,85年あたりのモントルーの音源が猛烈に聞きたくなってきた私である。

Recorded between October, 1985 and January, 1986

Personnel: Miles Davis(tp, key), Michael Paulo(as, ss, ts, fl), Bob Berg(sax), Glenn Burris(ts, as), Randy Hall(g, key, vo, prog), Isiah Sharkey(g), Mike Stern(g), Attala Zone Giles(key, g, b, vo, prog), Adam Holzman(key, synth), Wayne Linsey(key), Anthony "Mac Nass" Loffman(key, prog), Javier Linares(p), Robert Irving, III(key, synth), Neil Larsen(key, synth, prog), Arthur Haynes(b), Felton Cruz(b), Angus Thomas(b), Vince Wilburn, Jr.(ds, perc, prog), King Errisson(perc), Steve Reid(perc), Munyungo Jackson(perc), Steve Thornton(perc), Marilyn Mazur(perc), Kevin Santos(edit, sound design), Ledisi(vo), Medina Johnson(vo), Lalah Hathaway(vo), Rick Braun(tp, tb)

2019年9月 9日 (月)

残暑の中で聞くMarilyn Crispell。室温が下がったような気にさせる。

_20190908 ”Storyteller" Marilyn Crispell(ECM)

9月に入っても,まだまだ暑い日々が続く中で,久しぶりに取り出したのがこのアルバム。およそ60分に渡って静謐な音楽が展開され,ある意味現代音楽的な響きさえ感じさせる部分もある音楽である。だからと言って,冷たい感じというよりも,比較的ウォームな感覚を与える部分もあるにはあるが,このジャケットのイメージが音と重なるってところか。

Marilyn Crispellという人は,結構な数のアルバムをECMに残しているが,私が彼女のアルバムをこのブログに取り上げたことはない。私にとってはちょっと敷居の高さを感じさせる人なのだ(笑)。そもそもECMだけでなく,LeoだとかPi Recordingsだとか,彼女がアルバムをリリースしているレーベルはハイブラウなレーベルであるから,そういう風に感じるのもまぁ仕方がない部分はあるのだ(開き直り)。しかし,久々にこのアルバムを聞いてみて,まぁ一般的なリスナーには決してハードルは低くないとして,これなら全然問題ないと思わせるに十分な作品であった。

正直言ってしまえば,これをしょっちゅう聞きたいという気持ちにはならないとしても,この厳しい残暑の中で,部屋をやや涼し気に感じさせるには十分だったというところ。星★★★★。

そう言えば,彼女が参加したJoe LovanoのECMでのアルバムも全然聞けていないねぇ。何とかせねば(笑)。

Recorded in February,2003

Personnel: Marilyn Crispell(p), Mark Helias(b), Paul Motian(ds)

2019年9月 8日 (日)

今回も実に面白かったTarantino新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

Once-upon-a-time-in-hollywood

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(”Once upon a Time... in Hollywood")」(’19,米/英/中,Columbia)

監督:Quentin Tarantino

出演:Leonardo DiCaprio,Brad Pitt,Margot Robbie,Emile Hirsch, Al Pacino, Dakota Fanning, Bruce Dern,Kurt Russell

Quentin Tarantinoの映画には裏切られることがないと思っているが,今回も実に面白かった。映画好きにとっては,突っ込みどころ満載のような映画であり,Tarantinoの当時に対する郷愁を強く感じさせる。実在の人物が登場するが,それがかなり本人の造形に似ていて実に笑える。Damian Lewisが演じたSteve McQueenなんて,まるで本人のようであったし,Mike Moh演じるBruce Leeも,本人の特徴をうまく出していて,マジで笑えてしまった。

この映画のいいところは毎度のことながら,Tarantinoの演出だけでなく,彼の書く脚本にあると言ってよいと思う。ある意味で言えば,見ている人間を「裏切る」展開こそが,この映画のキモである(これ以上はネタバレになるので,絶対書けない)。

本作については概ね高い評価をする人が多いと思うが,正直言って否定的な見解を述べる人たちもいるのも事実である。Quentin Tarantinoのいつもの映画に見られるエグい表現も抑制されているが,むしろ否定的な見解はおそらくそのシナリオによるところが大きいはずだが,映画に対する愛のようなものを感じさせ,そして実に面白く見せる術を見事に見せつけたQuentin Tarantinoには,私としてはケチのつけようがない。だいたい,Margot Robbie演じるSharon Tateがドライブをするシーンで,バックに流れるのがBuffy Saint-Marie版の"Circle Game"である。それだけで甘酸っぱい気持ちを感じる私のような人間には,もう「わかってるねぇ」という感覚しかないだろう。

私としては,またもQuentin Tarantinoに感心させられたと言ってよい傑作。とにかく,細部へのこだわりぶりも楽しい作品。星★★★★★しかないだろう。私は全面的に支持する。この見終わった後の幸福感こそ,この映画の価値である。

2019年9月 7日 (土)

百舌シリーズ完結か~。それにしても長く続いたシリーズであった。

Photo_20190906233701 「百舌落とし」 逢坂剛(集英社)

1986年に「百舌の叫ぶ夜」が出版されて以来,30有余年。ほぼ私の社会人生活とも同期が取られる長きに渡って出版されてきた「百舌」シリーズの完結編である。思えば,私は逢坂剛の本は,「カディスの赤い星」を皮切りに,この百舌シリーズのみならず,イベリア・シリーズ,禿鷹シリーズ,岡坂神策シリーズ等,結構な数を読んできた。まぁ,結局のところ,逢坂剛のストーリーテリングのファンだったと言ってよいだろう。そうした中で,この「百舌」シリーズもテレビ・ドラマ化されたり,映画化されたりしたが,映画は機内エンタテインメントで見て,酷評した私だが,書物の方は,いいものもそうでもないものもありながら,ずっと読ませ続けてくれる作品だったと思う。

その「百舌」シリーズの完結編であるが,先日ここにアップした「ノースライト」に比べると,あっという間に読み終えてしまったのには結構驚いてしまった。ページをめくらせる力はまだまだ健在と思わせるが,ストーリーにはちょっと無理がある気もした。シリーズ完結というからには,まぁこういう結末かなぁと思っていた通りの展開ではあったが,非常に面白く読むことができたのは,やっぱり好きだからだろうなぁ。

長年のシリーズにおいて,登場人物の造形が変わることはないので,今回もお馴染みのキャラクターが,お馴染みの感じで登場して,ストーリーが展開されるが,前作との間隔が長くなり過ぎたり,シリーズ前半のストーリーの記憶が薄れているため,なんでそうなるの?みたいな部分がない訳でもない。しかし,そうは言っても,映画的な感覚を持っていて,読んでいて面白いシリーズだったなぁと改めて思った次第。まぁ,今回の作品は完結を記念して甘いと思いつつ星★★★★としてしまおう。いやいや,それにしてもお疲れさまでした。

2019年9月 5日 (木)

マジで感動した!Charles Lloyd@Blue Note東京参戦記。

Cl5-at-blue-note

正直に書いてしまおう。ライブで落涙したのは久しぶりだ。それぐらい素晴らしいライブだったのだが,私を泣かせたのはアンコールでのGerald Claytonのピアノ・ソロであった。あまりに美しく,クラシックの素養を充分に感じさせるそのソロは,なかなか聞けないレベルだと思った。

そして何よりも,リーダー,Charles Lloydが元気であった。音色は相変わらずソフトな感じなのだが,フレージングはキレている。そしてそれを支えるメンツが,御大へのリスペクトを感じさせる支えっぷりだったのは,Charles Lloydがまさに生きたレジェンドであることを実証したと言ってよい。

私が前回Charles Lloydのライブを観たのはほぼ2年半前になるが,その頃はステージ上で時差ボケを感じさせながらも,矍鑠としたプレイを聞かせていた。しかし,今回は更に元気になっているのではないかと思わせるような所作であった。演奏中,「Lloydが踊ってる!」なんて思っていた私である(笑)。

そして,Charles Lloyd,やはりリクルーティングの達人である。彼のバンドを去来した面々は相応に出世しているが,今回の新メンバー,Gerald ClaytonとJulian Lageは既に相応の地位は確立しているが,Lloydの許での演奏を通じて,更にステップ・アップすると思いたくなるような演奏であった。Julian Lageはテレキャス1本で勝負していたが,Bill Frisellを彷彿とさせるアメリカーナな感覚を打ち出して,大したものだと思わせたし,どブルーズを弾いてもちゃんと様になるところが立派。しかし,私は今回はバックのメンツではGerald Claytonの実力を改めて思い知らされたというところだ。それまでは冷静に聞いていたつもりだったのだが,アンコールでの彼のピアノ・ソロによるイントロは私を泣かせるほど晴らし過ぎた。Reuben Rogersは楽し気にベースをプレイしていたが,Eric Harlandはもう少し弾けてもよかったかとも思える。しかし,全体を通して考えれば,これは実に素晴らしいライブであった。

私は何でもかんでもスタンディング・オベーションを送るタイプの人間ではないが,今回は素直に身体が反応したと言える。それほどのライブはなかなかないということで,今年のベスト・ライブの一つに確実に入ると確信できる演奏であった。

Charles Lloyd恐るべし。今年81歳とは思えぬ驚異の老人。更に年上のナベサダも凄かったが,まさに化け物である。写真はBlue NoteのWebサイトから拝借。

Live at Blue Note東京 on September 4, 2019,2ndセット

Personnel: Charles Lloyd(ts, a-fl), Gerald Clayton(p), Julian Lage(g), Reuben Rogers(b), Eric Harland(ds)

2019年9月 4日 (水)

Dean Brown@Cotton Club参戦記

_20190903-2ちょっと時間が経ってしまったが,先日,久々にCotton Clubに行ってきた。今回はDean Brownの超強力なトリオである。何と言ってもHadrien FeraudDennis Chambetrsとのトリオなのだから,当然の如く期待は高まる。特に私は初Hadrien Feraudのライブだったので,彼のベース・プレイには大きな関心があった。

見ていて思ったのだが,彼のベース・プレイの根幹にはクラシック・ギターの素養があるのではないかと感じていた私である。ベースの構え方がそういう感じなのだが,あのベース・フレーズはアルペジオ的な部分もあるかなって思っていた。Dean BrownHadrien Feraudには結構なソロ・スペースを与えていたが,そうしたくなるのもわかる弾きっぷりってところである。

_20190903-4

Dennis ChambersNYCIridiumWayne KrantzOz Noyとのギグを終わらせた直後の来日と思うが,体力あるわと言わざるをえないドラミングで,強烈なビートを叩き出していたのはまさに驚愕。何を食って生きているのやら(笑)。

そしてDean Brownだが,私が今回感心させられたのが彼のカッティング。最近あれだけの高速カッティングを見た記憶はないと言いたくなるようなスピード感。フレージングはロック的なものとジャズ的なものをうまく交えたものだったが,私はカッティングに目が点になっていた。どういうピックで弾いているのかという関心事だけで,演奏終了後のサイン会でピックをねだった私であった(爆)。

ということで,今回の戦利品はDean Brown全面参加のBilly Cobhamの"Spectrum"40周年記念ライブの内ジャケとピック。

Live at Cotton Club東京 on August 28, 2019,2ndセット

Personnel: Dean Brown(g, vo), Hadrien Feraud(b), Dennis Chambers(ds)

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