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2019年8月15日 (木)

久しぶりに本を読んだ:「むらさきのスカートの女」

Photo_20190812121101 「むらさきのスカートの女」今村夏子(朝日新聞出版)

現在の住まいに引っ越してからというもの,通勤環境の変化もあって,昨今はあまり本を読まなくなってしまった私であるが,久しぶりに読んだのがこれである。第161回の芥川賞を受賞した作品として,結構注目された作品だろう。

なかなか面白いストーリーだと思うのだが,シュールな展開と言ってもいいかもしれない。「むらさきのスカートの女」をストーカーのように追う一人称の「私」の感情にストーリー中の変化はない一方,「むらさきのスカートの女」の生活パターンの変化により,誰がまともで,誰がまともでないのかがわからなくなるというところに面白さがあると言ってもよい。そういう意味で,私は全然作風は違うが,一体誰が一番の善人なのかと考えさせられた吉田修一の「悪人」をちょっと思い出したりしていた。

淡々とストーリーが展開する前半から,激しくストーリーが動く後半と,展開はよく考えられているように思える。そうした意味ではエンタテインメント性を持った純文学と言ってもよいかもしれない。だからと言って,今村夏子の既出の作品まで読みたいという気持ちにまではさせてもらっていないが,読む人によって,いろいろな解釈ができてしまうところが面白いところである。いずれにしても,この一人称で語るような人間とは絶対お近づきになりたくないが(笑)。そういうかたちでも感情移入させるところがうまいんだろうなぁ。星★★★★。

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