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2019年4月30日 (火)

Branford Marsalisのアルバムは相変わらずレベルは高いが,もう少しハード・ドライヴィングにやって欲しい。

_20190429-2 ”The Secret Between the Shadow and the Soul" Branford Marsalis Quartet (Marsalis Music/Okeh)

前々からこのブログには書いてきたが,私はWynton Marsalisの才能は評価しつつも,音楽としては兄貴であるBranford Marsalisの方が圧倒的に好きである。クラシックまでやってしまうのは弟同様だが,兄貴の方がいろいろな音楽への目配りがされていて,原理主義的な弟よりも好感度が高いし,アルバムの出来もだいたい間違いなく高いと言ってよい。思えば,Branfordのキャリアも初レコーディングから40年近くになるってところに時代の流れを感じるが,初リーダー作,"Scenes in the City"から一貫してレベルの高い音楽をやってきたことを否定する人はいないだろう。そもそもの存在感は弟の方が上だったかもしれないが,私はやっぱり兄貴であるBranfordがやっていることの方が好きだなぁ。とは言え,このブログでBranfordのアルバムを取り上げた回数はそれほど多くないので,「なんでやねん?」と突っ込まれたら返す言葉はない(爆)。

それでもって今回のアルバムだが,メンバーのオリジナルに加え,Andrew Hillの"Snake Hip Waltz",そしてKeith Jarrettの"Belonging"からThe Windup"という意表を突いた選曲である。冒頭の"Dance of the Evil Toys"から実に激しい演奏で,私は嬉しくなってしまった。しかし,その後がややルースな曲調もあったりして,私としてはよりハード・ドライヴィングが演奏にこそ,Branford,そしてJoey Calderazzoの魅力が表れると思うだけに,そこがちょっと惜しい。演奏のレベルは高いので,相応に楽しめることは事実だが,"Dance of the Evil Toys"や,5曲目"Nilaste"後半に聞かれるような高揚感がもっとあってもよかったと思う。そして,最注目は"The Windup"ってことになるだろうが,アレンジもオリジナルをほぼ踏襲した結構ストレートな演奏と言ってよいだろう。彼らならではの仕掛けを施してもよかったようにも思うが,Keithの音楽はそれを受け入れない力を持っていたってことか。

ところで,本作は録音がオーストラリアの大学ってのはツアー中に機運が盛り上がったってことなのだろうが,メンバーを固定して結構な時間が経っているので,コンビネーションは練れているのは当然なのだが,リスナーなんて勝手なもので,私は彼らにはもう少し動的な感覚,換言すれば「イケイケ感」を求めてしまうのである。いい演奏なんだけどね。星★★★★。

Recorded on May 28-30, 2018

Personnel: Branford Marsalis(ts, ss), Joey Calderazzo(p), Eric Revis(b), Justin Falkner(ds)

2019年4月29日 (月)

Giovanni Guidiの新作は美的な毒とでも呼びたい。

_20190429 "Avec Le Temps" Giovanni Guidi(ECM)

Giovanni Guidiは今年1月末のイタリア文化会館でのライブにおいて,実に甘美な音楽を聞かせた(記事はこちら)が,その記憶もまだ新たなこの春に,ECMでの4作目となるアルバムを届けてくれた。一言で言えば,美しさの中に毒を持った音作りと言える。美的なだけではなく,フリーなアプローチも交えながら,音楽的なクォリティは実に高いと思わせる。

ソロでのライブはそれはそれは甘美な響きに満ちていたが,冒頭のタイトル・トラックもそれに近い印象を与える。Léo Ferréが1971年にリリースした曲の歌詞は実に悲哀に満ちたものだが,そうした感情的な機微を音で表すとこうなるって感じか。メンバー4人の共作となっている3曲目,4曲目はコレクティブ・インプロヴィゼーションの趣であり,フリー度がやや高まるものの,その他の曲では静謐なる美学というECMレーベルならではと思える特徴が示されたアルバムと言ってよいと思う。

バックを支えるリズムのThomas MorganとJoão LoboはGiovanni GuidiのECMでのトリオ作にも参加しているから,これが今のレギュラーってところだろうが,こういう音楽にThomas Morganは絶妙の相性を示すって感じがする。Jakob Broのライブで見たThomas Morganはジャズ・ミュージシャンらしからぬ(?)シャイな好青年であったが,ああいうキャラだからこそ,こういう音って気もする。そして,このアルバムで効いているのがRoberto Checcettoのギター。実にGuidiトリオとのいい相性を示す響きである。

こういう音楽に魅力を感じてしまうと,抜け出すことができないというのがECMのマジックというか,その特性だと思うが,今回もまんまとManfred Eicherの術中にはまってしまった私であった。星★★★★☆。それにしても,ラストの亡きTomasz Stankoに捧げたと思しき"Tomasz"の美しいことよ。

Recorded in November, 2017

Persoonel: Giovanni Guidi(p), Francesco Bearzatti(ts), Roberto Cecchietto(g), Thomas Morgan(b), João Lobo(ds)

2019年4月27日 (土)

更に感動的だった映像版”Joni 75”

_20190324_2 "Joni 75: A Birthday Celebration" Various Artists(Rhino)

韓国から帰ったら,アメリカから飛ばしたDVDがデリバリーされていたので,早速見てみた。そうしたら,これがマジで素晴らしい出来である。この時のライブの音源がリリースされた時にも,私は「どの歌唱にもリスペクトが感じられる」と書いた(記事はこちら)が,映像で見ると,そのリスペクト具合がよりヴィヴィッドに伝わってきて,感動してしまったのである。

どの歌唱も真剣にJoniの生誕75周年を祝うだけでなく,彼女へのリスペクトが如実に表れているのである。マジでチャラチャラしたところは皆無であり,ステージに立ったミュージシャンがそれぞれ真剣に取り組んでいる姿が捉えられていて,私は映像を見ながら大いに感動していたのであった。CD音源の時にも,お祭り騒ぎにするよりも,こうした取り組みの方が好ましいと思ったが,それこそ出演している歌手陣,伴奏陣は極めて誠実かつ真面目にこのライブに取り組んだことが手に取るようにわかってしまうのである。

DVDにはCDに収録されなかった音源も入っているが,それにも増して,ここに参加したミュージシャンの取り組みを見るだけで感動できることを保証したい。私が特に映像版で素晴らしいと思ったのがDiana Krall。本当にJoni Mitchellの音楽への敬愛をにじませた素晴らしいパフォーマンスであった。

そして,先日Chick Coreaとのライブを観た時も思ったが,Brian Bladeは本当に楽しそうにドラムスを叩く。そしてそれが的確な演奏なのだから,やはりこの人半端ではない。

いずれにしても,いいものを見せてもらった。私は音楽については映像よりも音源指向だと思うが,これに関しては,映像の凄さがCDを上回った稀有な事例として挙げたい。こんな映像を見せられたら星★★★★★以外ありえない。DVDはリージョン・フリーなので,さぁ皆さん,これは買いましょう(笑)。

2019年4月26日 (金)

ソウル出張完了。

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一昨日からソウルに出張していたのだが,それも終了し,これから帰国。

今回は現地でのコンベンションでの講演及びパネル・ディスカッションと,打合せが3本。短いのだが,結構疲れた〜。搭乗前のラウンジでのBGMはWeather Reportの“8:30”。

それにしても当地のWiFi環境はかなり充実していて,空港はもちろん,ホテルでもモールでもほとんどストレス・フリーの快適なネット環境が利用できた。こうした点では日本は改善余地が大きいな。ってことで,写真はコンベンション会場となったホテルのロビーからの写真。霞んでいるのはPM2.5の影響かもなぁ。

2019年4月24日 (水)

本田珠也の新作は熱い本田竹広トリビュート・バンド・ライブ。

_20190422 "Save Our Soul: Live at Shinjyuku it Inn" 本田竹広トリビュート・バンド(Pit Inn Music)

昨年本田珠也がトリオでリリースした"Ictus"は鮮烈なアルバムであった。あのヒリヒリするような感覚はなかなか味わえるものではないと思えた私は,昨年のベスト作の1枚に選出したのであった。それから約1年,本田珠也が今回リリースしたのは,亡父,本田竹広のオリジナルを演奏する濃い~メンツによって構成された本田トリビュート・バンドによるライブである。これが冒頭から実に熱い。いや,それこそ暑苦しいと言っても過言ではない。

オープナーの"The Way to Brooklyn"はそれこそ血沸き肉躍るハードなナンバーだが,2曲目"Rippling"はゆるいボッサ的な感覚を聞かせながら,メロディ・ラインの美しい曲で,同じ本田竹広が書いたとは簡単に思えないような転換である。そして,3曲目は懐かしの"Savanna Hot-Line "である。本田竹広が渡辺貞夫クインテットを辞して,Native Sonを結成したのが1978年。結構売れたバンドだよなぁと同時代を過ごした私なんかは感じてしまうが,この曲は2ndアルバムから。守谷美由貴のソプラノがいいねぇ。そして,板橋文夫のソロがやっぱり彼っぽい響きを出すのは結構笑える。

4曲目の"Save Our Soul"はなんと本田竹広と小室等の共作。"Save Our Soul"なんてタイトルからも感じられるように,ゴスペル的な響きさえ感じさせてしまう素晴らしい曲。5曲目は"Second Country"。この曲と冒頭の"The Way to Brooklyn"は1970年リリースの「浄土」からの曲だが,本田珠也にも思い入れのあるアルバムなのかもしれない。ここでは本田珠也の煽りと峰厚介のテナーがいい感じである。そして6曲目はNative Sonの1stアルバムからあの"Super Safari"である。おぉっ,何と懐かしいメロディ・ライン。そして,最後は"Hey Jude"で大団円。こういうのを聞かされるとその場にいた聴衆に嫉妬したくなってしまった私である。

ライブらしい荒っぽさもあるが,その荒さもジャズ的な響きと言えるもので,"Ictus"とは全く違う世界が繰り広げられるのが面白く,本田竹広の曲の良さとも相俟って,これは実に楽しめるアルバムであった。星★★★★☆。

Recorded Live at 新宿Pit Inn on August 19, 2018

Persoonel: 本田珠也(ds),峰厚介(sax),守谷美由貴(sax),橋本信二(g),板橋文夫(p),米木康志(b)

2019年4月23日 (火)

Jesper Bodilsenのアルバムでも,ついついStefano Bollaniを聞いてしまうアルバム。

_20190418 "Mi Ritorini in Mente" Jesper Bodilsen Trio(Sundance)

いつも書いているが,私はかなり遅れてきた欧州ジャズのリスナーである。例外的にEnrico Pieranunziを聞いたり,ECMのアルバムで欧州のミュージシャンに触れる以外は,正直言って欧州系のミュージシャンは長い間,私のスコープ外であったと言ってもいいと思う。しかし,このブログを始めて,いろいろな方との交流を通じて,欧州ジャズにもかなり食指を伸ばすようになった私である。これなんかは比較的早い時期に購入したアルバムで,ブログを始める以前に買っていたと思う。

こういう音を聞けば,誰だって欧州のミュージシャンのレベルが高いということはわかるという意味で,結構重要なアルバムであったのではないかと思ってしまう。あまりにStefano Bollaniの露出が大きいので,彼のアルバムのように思われることもあるようだが,あくまでもベースのJesper Bodilsenがリーダーのピアノ・トリオによるアルバムである。

リーダーのBodilsenとドラムスのLundがデンマーク,ピアノのBollaniがイタリアという構成だが,ここではBollaniがラテンの血により,「俺が,俺が」となっていても不思議ではなかったが,ここではバランスの取れた演奏に終始しているのが興味深い。それでもついついBollaniのピアノの響きに耳を奪われてしまうのは仕方がないところかもしれない。

そして,このアルバムが日本のリスナーの琴線に特に触れる瞬間は,彼らが"Se non avessi più te"や,Bollaniのオリジナル"Dark Valley Serenade"における美的なメロディ・ラインを紡ぎ出された際にやって来ると思ってしまう。特に後者冒頭のピアノ・ソロによるテーマ部の美感はたまりまへん。また美的なだけでなく,スウィンギーな感覚も兼ね備えたなかなかの好盤という評価でいいと思う。星★★★★。でもやっぱり美的な方が好きだが...(笑)。ついでに言っておけば,「おもいでの夏」は弾き過ぎでしょ(爆)。

Recorded on April 4, 2003

Personnel: Jesper Bodilsen(b),Stefano Bollani(p),Morten Lund(ds)

2019年4月22日 (月)

石黒ケイかぁ~。よくもまぁこんなものを持ってたねぇ。

Photo_15 「アドリブ」石黒ケイ(Victor)

主題の通りである。なんでこんなLPを持っているのかと思ってしまった。このアルバム,ポイントはArt Pepperが2曲で唄伴をやっていることにつきるのだが,私が買ったのも多分それだけが理由。しかし,Art Pepperをはじめとして,Toots Thielmansや日本ジャズ界の立派な面々がバックを固めているのだが,いかんせん私には石黒ケイの歌が普通の歌謡曲,あるいはムード演歌にしか聞こえないということで,ちっともポイントが上がらないアルバムである。

それは私が昭和歌謡の世界を嫌いだと言っているのではない。私がカラオケで歌うのはもっぱら筒美京平の書いた昭和歌謡である。このアルバムは伴奏こそジャズ界の面々が対応しているが,それと石黒ケイの歌唱そのもの,そして歌われる曲が「アンマッチ」なのである。そして,石黒ケイの声は私にはまったく魅力的に響かないので,伴奏にしか耳がいかないという珍しいアルバムなのだ。

日頃からほとんど手に届かないような場所に置いてあるこのLPを久々に再生してみても,この感覚は変わりようがない。正直言ってもはや保有していてもしょうがないかなっていう位置づけになってしまった感を強くした。なんだかねぇ。伴奏だけの評価に留まり,星★★。しかし,今更このLPを売っても,大した値段もつきそうになく,手許に残すしかないって感じだな(苦笑)。

Personnel: 石黒ケイ(vo),Art Pepper(as), 鈴木宏昌(key),岡沢章(b),村上秀一(ds),松木恒秀(g),Toots Thielmans(hca), 渋谷毅(key),小杉敏(b),渡辺文男(ds),前田憲夫(p),荒川康夫(b),猪俣猛(ds),北村英二(cl),熊坂明(p),小西徹(g),須永ひろし(ds),池沢ゆきお(b),杉本喜代志(g),高水健司(b),大徳俊之(key),Donald Baily(ds), 沢田治行(tp)

2019年4月21日 (日)

実は結構好きな“Hollywood Madness“(笑)。

Richie-cole-hollywood-madness "Hollywood Madness" Richie Cole(Muse)

あれほど一時期はブームを巻き起こしたのに,今はどこへ行ってしまったのか?ってような代表がRichie Coleだと言ってもいいかもしれない。とは言え,まだ現役でアルバムもリリースし続けているので,完全に過去の人って訳ではないのだが,それでもやっぱり往時の勢いが強烈だった

だけに,「あの人は今?」感はぬぐえないところ。しかし,エンタテインメント性の強い彼の演奏が,一時オーディエンスの注目を浴びたのも事実であった。逆に言うと,実力はあっただけにもったいないと思える。

そんなRichie Coleのキャリアにおいて,最も売れたのはこのアルバムではないだろうか。亡くなったManhattan TransferのTim Hauserをプロデューサーに迎え,そのマントラ,Eddie Jefferson,そしてTom Waitsまでもゲストに迎えてリリースしたのが1980年のこのアルバムだが,これが実に楽しいアルバムなのだ。まぁ,ジャケはふざけているし,音楽は軽薄に響くところもあれば,調子に乗り過ぎという批判もあるだろうが,この楽しさが私は結構好きなのだ。そういうところは以前記事にしたライブ盤と同じ(記事はこちら)。楽しいばかりではなく,"Tokyo Rose Sings the Hollywood Blues"なんてなかなかいけている曲だと思ってしまう。

私がこのアルバムを初めて聞いたころは,Richie Coleのアルトに加えて,Bruce Formanのギターがなかなかいいではないかと思っていたが,そのBruce Formanも今も現役で活動している。とは言え,この当時の勢いがあるとはこちらも言えないが...。

いずれにしても,このアルバムは全体を通じて賑々しく展開するが,とにかくご陽気な演奏が続くので,ジャズにシリアスさを求めるリスナーには全く受け入れがたいものとも言える。しかし,ゲストが一気に登場する"Waitin' for Waits"なんて聞いていて笑えるし,これはこれでいいじゃんと思える。Tom Waitsなんて酔いどれモードで最後に語りで出てくるだけだが,この演芸的なところも楽しい。

そして,最後は冒頭の"Hooray for Hollywood"をテンポを落として,しっとりマントラが歌う演出は,当時の彼らのアルバムをアカペラで締めくくるのと同様。まぁ,それでもやっぱり軽いのは軽いのだが,たまに聞くにはいいと思えるアルバム。その辺りはライブ盤と全く同じだなぁ。甘いかなと思いつつ星★★★★としよう。

Eddie Jeffersonはこのレコーディングから約半月後,Richie ColeともどもデトロイトにあるBaker's Keyboard Loungeを出たところで,射殺されてしまったのだが,その時のRichie Coleのショックは想像を絶する。しかし,このアルバムでEddie Jeffersonを明るく送ったということにしよう。

Recorded on April 25, 1979

Personnel: Richie Cole(as), Bruce Forman(g), Dick Hindman(p), Marshall Hawkins(b), Bob Magnusson(b), Les DeMerle(ds), Michael Spiro(perc), Jeep Dequesne(cowbell), Eddie Jefferson(vo), The Manhattan Transfer: Tim Hauser, Janis Siegel, Alan Paul, Cheryl Bentyne(vo), Tom Waits(vo)

2019年4月20日 (土)

これまた久々に聞いたTom Jans。いいねぇ。

Tom-jans "The Eyes of an Only Child" Tom Jans(Columbia)

私はブラックホークの99枚として挙げられているアルバムの中でも,アメリカ,カナダ系のシンガー・ソングライターの音楽がずっと好んできた。それはジャズを聞き始めるのとほぼ同時期からだったようにも思うが,どちらかと言えば,SSWのアルバムでも渋いアルバムを偏愛してきた。このTom Jansのアルバムは,そうした中では渋さというよりも,ややロック・フレイヴァーの強い中での,曲のよさにずっと魅かれてきたアルバムである。今では本作もCDで簡単に手に入るというのが日本というマーケットの凄いところであるが,私は本作については長年LPで聞いてきたが,CDで改めて購入するところまではいっていない。でも相当好きなアルバムであることは間違いない。

上述の通り,このアルバムのよさはTom Jansの書く曲の質の高さにあるが,それに加えて,Lowell Georgeをエグゼクティブ・プロデューサーに据え,「その筋」のミュージシャンが集結した感のあるタイトなバッキングも実に魅力的。そしてこのジャケである。ジャケの暗い部分には煙草を片手に座り込む子供の姿が...。今の時代であれば許されないであろうこうしたジャケには時の流れを感じさせるが,何とも雰囲気のあるジャケットではないか。音楽とジャケが相俟って強い印象を残すというアルバムなのである。B面に入って,1曲目の"Out of Hand"からカントリー色が強くなり,やや感覚が異なってくるが,それでも本作は全編を通して実に楽しめるもので,私をSSW系アメリカン・ロックの道に誘ったものの一枚と言ってもよい。ラストに収められたタイトル・トラックなんて実にしみるねぇ。

Tom Jansは1983年には交通事故により腎臓に重傷を負い,更にはドラッグのオーバー・ドーズで1984年に36歳で亡くなってしまったが,生前彼のアルバムが売れることはなかったとしても,今でも彼の音楽は魅力を放っている。星★★★★☆。やっぱり好きだなぁ,これ。

Personnel: Tom Jans(vo, g, p), Bill Payne(p, synth), Mike Utley(org), Fred Tackett(g), Lowell George(g), Jesse Ed Davis(g), David Lindley(g, slide-g), Jerry McGee(g), Colin Cameron(b), Chuck Rainey(b), Jeff Porcaro(ds), Jim Keltner(ds), Harvey Mason(ds), Sam Clayton(congas), Valerie Carter(vo), Lovely Hardy(vo), Herb Pedersen(vo)

2019年4月19日 (金)

久々に宮沢昭の復活作「マイ・ピッコロ」を聞く。

My-piccolo "My Piccolo" 宮沢昭(Next Wave)

1970年代を越路吹雪の伴奏を中心に過ごしていたらしい宮沢昭の,ジャズ界への本格的な復帰作が本作のはずである。このアルバムが出たのは1981年だから,私が大学に入った頃であり,まだまだ日本のジャズまで目配りができる状態ではなかった頃ではないか。正直言って,浪人中のジャズ喫茶通いでようやくジャズという音楽の本質を理解し始めていたとは言え,まだまだ修行中って感じだったのである。そのうち,このアルバムも廃盤となってしまい,本作をLPで入手したのは随分後になってから,それも宮沢昭が既にこの世を去ってからのことではなかったか。

復帰後の宮沢昭はスウィング・ジャーナルにおいても非常に高く評価されていた(本作も1981年度のジャズディスク大賞で日本ジャズ賞を受賞している)が,結局私は後追いで宮沢昭を聞いてきたように思える。リアルタイムで聞いていれば,また別の感慨もあったかもしれないが,いずれにしても今聞いても実によく出来た演奏だと思う。本作は宮沢昭のオリジナルで占められているが,非常にメロディアスでいい曲を書く人だと思うが,演奏としてはアルバムB面に収められた曲の出来がいいと感じさせ,宮沢のテナーと2本のベースで演じられる”Doctor U"といい,タイトル・トラック"My Piccolo"といい,悠揚たるテナーを楽しめる。そして,ラストの"Dandy Fisherman"のなんと軽快なことよ。

1981年という時代においては,まだまだフュージョンが盛んだった頃だが,そうした時期にこうしたコンベンショナルな演奏が,非常に良質なかたちで行われていたということは,今にしてみれば実に感慨深い。今からもう40年近く前の演奏であるが,今でも実に魅力的に響く傑作。星★★★★★。こういうアルバムは常にカタログに載せておくべきだと思うだけどねぇ。

Recorded Live at 名古屋スタジオ・ウィング for 名古屋ヤマハ・ジャズ・クラブ on March 21, 1981

Personnel: 宮沢昭(ts),佐藤允彦(p),井野信義(b),稲葉国光(b),日野元彦(ds)

2019年4月18日 (木)

Kraftwerk@オーチャード・ホール! いやぁ,楽しかった。

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Kraftwerkのライブを観るためにオーチャード・ホールに行ってきた。私が若い頃はKraftwerkの何がいいのか全然わかっていなかったのだが,それが突然変化したのは在米中に"The Mix"を買って,彼らの音楽にはまって以来だということはこのブログにも書いた(記事はこちら )。それ以来,何かにつけて彼らの音楽はiPodとかで再生してきたが,これまで彼らのライブを観る機会はなかった。そして今回が初の彼らのライブ体験となったが,いや~,実に楽しかった。

ほぼベスト的な選曲で,過不足なしであったが,なぜ彼らが3-Dツアーと呼ぶかは,現場に行かないとわからない。3-D眼鏡をかけて観るステージ後方のスクリーンには立体画像が投影され,それこそ目が回るような気分さえ味わいつつ,Kraftwerkの音楽の持つノリを満喫した私であった。

面白かったのは,演奏はライブ感が強かったことだが,特に”Tour de France"のあまりのカッコよさには悶絶した私である。ちゃんと聞き直さねば。あと,あれだけ結構な重低音を響かせる中で,私はウトウトした瞬間があったことは告白しておかねばならない。それは退屈だからでなく,心地よかったからなのは言うまでもない。

今回のライブを観て,Kraftwerkの面々はステージ上での動きが少ないのを映像で補うってのはよくわかるものだが,それにしても面白かった。いや、面白過ぎであった。買ったまま,開封もしていない"3-D The Catalogue"のBlu-rayで復習することにするか。

上の写真はネットから拝借したものだが,全く同じ映像が使われていたので,雰囲気は感じられると思う。

Live at オーチャード・ホール on April 17, 2019

Personnel: Kraftwerk<Ralf Hütter, Fritz Hilpert, Henning Schmitz, Falk Grieffenhagen>

2019年4月17日 (水)

Steve Kuhnのライブ盤:こんなものも持っていたねぇ。

Steve_kuhn_live_in_new_york "Live in New York" Steve Kuhn(Cobblestone)

LPが聞ける環境が整って,改めて聞いているアルバム。このアルバム,いつどうやって買ったのか記憶が曖昧なのだが,町田のDUで中古で買ったような気がする。いずれにしても,カット盤だし(笑)。カット盤って結構懐かしい響きのように思ってしまうのは私だけ?

それはさておきである。本作は1972年の作品であるが,詳細の録音データは明示されていないが,ジャケ裏に引用されているVariety誌の記事によれば,おそらくNYCのWest VilligeにあったFolk Cityってところで吹き込まれたのではないかと思われる。

Steve Kuhnは耽美的なスタイルでも,モダンなスタイルでも弾きこなすピアニストであるが,ここでは時代を感じさせるエレピも駆使したプレイぶりである。こんな演奏もしていたのか~って感想が一番適切だと思うが,ついでに歌まで歌ってしまうのだから,今のSteve Kuhnからは想像もできない(はっきり言ってヘタウマだが)。このアルバムにはそういうスタイルもありながら,現在のSteve Kuhnと本質的には変わっていないと思わせるようなフレージングを聞かせる部分もある。だが,やはりややリヴァーブが聞いたエレピの音がこのアルバムを印象づけると言っては言い過ぎか。例えば,それはB面1曲目の"Chicken Feathers"なんかがそんな感じである。

リズムはGeorge Mrazは比較的コンベンショナルな演奏をしている(それでも"Ida Lupino"の8ビートには驚く)が,Gil Evansとも共演歴のあるBruce DitmasとSue Evansがよりアグレッシブって言うか,ロック的な感じも出していて,それとSteve Kuhnのエレピが混じり合うところが面白いアルバムと言える。だからと言って,これがSteve Kuhnのアルバムでいの一番に聞くべきアルバムなんてことはないのだが,たまに取り出して聞く分には結構楽しめるアルバムであった。星★★★☆。

Personnel: Steve Kuhn(p, el-p, vo), George Mraz(b), Bruce Ditmas(ds), Sue Evans(perc)

2019年4月16日 (火)

Coltrane愛炸裂,早くも今年2枚目のOndřej Štveráčekの新譜。

_20190413-3 "Plays Mostly Standards" Ondřej Štveráček Quartet(Stvery)

ジャズ界のおんどれ君ことOndřej Štveráčekの新譜が早くも登場である。今年の初頭にライブ盤をリリースして,そっちもいつもながら私としてはおんどれ君に甘い調子でほめた(記事はこちら )が,今回はライブ盤と全く同じメンツでのスタジオ録音で,ライブ音源の5日後の録音であるから,コンビネーションも熟したところってところか。そして,"Plays Mostly Standards"のタイトルが気になる。まぁ"Mostly"って書くぐらいだから全部がスタンダードではないが,それでもどこから聞いてもおんどれ君のColtrane愛が如実に表れる演奏と言ってよいだろう。

思えば,このブログに初めておんどれ君を取り上げたのが2011年12月,初めて聞いたのは今はなきテナーの聖地,新橋Bar D2であった。その後,彼のアルバムを入手するのには結構苦労させられることもあったが,今やDUにこのアルバムも平積みである。まぁ,店でこういう音が流れていれば,手に取りたくなる気持ちはわかるし,本作も含めて,昨今のアルバムはおんどれ君の自主レーベルと思しきStveryレーベルからのリリースなので,DUのバイヤーが改めて目を付けたってところであろう。そして相応に売れているのを見ると,何とも感慨深い。

そして演奏であるが,誰もColtraneにはなれないとしても,ここでのおんどれ君,相当善戦していると感じる私である。曲によってはイマイチかなぁと思わせる曲(特に3曲目,Gene Jacksonのオリジナル,"Great River"は曲がなぁ...ってのもあるし,ソプラノがあまり魅力的に響かない)もあるが,冒頭の"Summertime"からして,かなりいい感じで吹いている。ここでスタンダードと呼ばれるものは,どれもColtraneゆかりのものであり,おんどれ君も気合いが入るってところか。

それでもって,やっぱりおんどれ君の演奏を聞いていると,どうしてもこの人を応援したくなるような演奏,そして音ってところなのではないか。今回もついつい評価も甘くなり星★★★★☆。しかし,いつまでこういうスタイルを続けるのかってところもあるが,今後彼がプレイ・スタイルにブレイクスルーを迎えるのかはわからないとしても,今後のおんどれ君にも注目していきたい。おんどれ君には来日経験もあるのだが,その時は神戸だけだったはずなので,今度来るときは是非東京にもってことで,彼の来日を待ちたい。

Recorded on October 17, 2017

Personnel: Ondřej Štveráček(ts, ss),Klaudius Kováč(p), Tomáš Baroš(b), Gene Jackson(ds)

2019年4月15日 (月)

Vijay IyerとCraig Tabornという才人2人によるフリー・ジャズと現代音楽のハイブリッドって感じの素晴らしい作品。

_20190413-2"The Transitory Poems" Vijay Iyer / Craig Taborn(ECM)

どちらもECMにおいてリーダー・アルバムを持つVijay IyerとCraig Tabornがピアノ・デュオでのライブを行った際の音源である。私なんかの世代でピアノ・デュオと言えば,Herbie HancockとChick Coreaのそれを思い出してしまうが,あっちとは随分と雰囲気が違う。まぁ,HerbieとChickのデュオにおいても,バルトークの「オスティナート」とかをやっていたが,Vijay IyerとCraig Tabornによる演奏は,より現代音楽的なアプローチを感じさせる。主題ではフリー・ジャズと現代音楽のハイブリッドと書いたが,基本的には調性の枠内なので,フリー感はそんなに強いわけではない。しかし,6曲目の"Clear Monolith"と7曲目の"Luminous Brew"はそれぞれフリー・ジャズ界の巨人,Muhal Richard AbramsとCecil Taylorに捧げられているので,やはりフリー的な感覚と言ってもよいかもしれない。

そして2曲目"Sensorium"とラストのメドレーも,2018年に亡くなったJack Whitten(芸術家)とGeri Allenに捧げられており,このライブ全体を彼らへのオマージュとして捉えているとライナーにも書いている。アルバム収録時にはCecil Taylorはまだ存命だったので,オマージュというのは後から生まれてきた感覚だろうが,このアルバムを聞いていると,少なくともこのライブ以前に亡くなった3名に対してはそうした彼らの思いが打ち出されている感覚が強く,決して聞き易い音楽とは言えないこの演奏が,実に心に響いてくる。そして,彼らにとってみれば,よくよく考えてみると,演奏中にCecil Taylorが降りてきたような気が後になってしたのかもしれない。確かに7曲目の冒頭の低音部には私もTaylor的なところを感じた。

Roscoe Mitchellのバンドで共演歴があった彼らにとっても,このライブは特殊な機会,あるいは一期一会的なものだったのかもしれないが,ここで聞かれる集中力は大したもので,私はこの響きに大いに感動したのであった。星★★★★★。やはり才人たちのやることはレベルが違う。

Recorded Live at Frantz Liszt Academy of Music, Budapest on March 12, 2018

Personnel: Vijay Iyer(p),Craig Taborn(p)

2019年4月14日 (日)

“Solomon’s Daughter”:こんなものの拡大盤が出るとは...

_20190413 "Solomon's Daughter" Franklin Kiermyer(Dot Time)

このアルバムのPharoah Sandersには心底まいった。この咆哮を聞いて興奮しない人間なんていないと思うということで,かなりの熱量の記事を以前アップしたことがある(記事はこちら)。今はなき新橋のテナーの聖地,Bar D2で聞かせてもらって即発注したアルバムであったが,そのアルバムが,リリースから25年の時を経て,なんと未発表音源を3曲追加して再リリースとはまさに驚きであった。そう言えば,FBにもBar D2のマスター,河上さんが情報をアップされていたなぁなんてことを思い出し,すっかり失念していたこのアルバムを慌てて発注した私であった。まぁ,未発表音源はストリーミングで聞いていりゃいいじゃんって話もあるのだが,やはりこれは「買い」なのであった。

そして,注目は7曲目以降の未発表音源ということになるが,家人のいない隙を狙って(爆),結構な音量で改めて最初から聞き直しても,これはやっぱり凄いわ。さすがにBar D2でのような音量でってのは遠慮したが,それでもこれは強烈に燃える。6曲目までのオリジナル・アルバムに収録された曲が燃えるのは当然だが,7曲目以降の未発表音源も全く遜色はないと思わせる。7曲目の"Esra'elwi"でもPhroah Sandersの咆哮はやむところはなく,オリジナルの最後の"Birds of the Nite"が比較的おとなしく終局を迎えたのを再度高揚させるに十分。8曲目"Ibn Al-Hakim"も超激しいいブロウぶりが収められるが,いかんせん3:47と演奏時間の短さがもったいないとさえ思ってしまうほどの強烈さ。ほとんどPharoahのワンマン・ショウである。もっとやって~(笑)。そして最後の"I Pray My Soul to Take"はPharoahとKiermyerのデュオで締めて,おぉっ「惑星空間」へのオマージュかとさえ思ってしまう。

ということで,今回の再発を機に,このアルバムも久々に聞いた訳だが,未発表3曲も含めて,大いに燃えさせてもらった。いやいや,改めて興奮させられた熱く燃え上がるジャズ。これからやって来る夏場の暑い時期に改めて取り出して,更に燃えたい私である。星★★★★★。

Personnel: Franklin Kiermyer(ds), Pharoah Sanders(ts), John Esposito(p), Drew Gress(b)

2019年4月13日 (土)

これぞ本物のブルーズと思わせるAlberta Hunter。

Alberta-hunter "Amtrak Blues" Alberta Hunter(Columbia)

部屋の片づけをして,アナログ・ディスクが再生できる環境を整えてからは,もっぱら手持ちのLPを聞いている私である。このアルバムはリリースされてから久しくしてから,中古盤でゲットしたものだが,これが実に素晴らしいブルーズ・アルバムである。このアルバムを吹き込んだ頃は83歳とか84歳ぐらいのはずだが,年齢を感じさせない歌唱とはこれのことである。もちろん,年相応の枯れた味わいも出しているのは言うまでもないが,聞けば聞くほどいいアルバムである。

ある意味,このレコードを聞いていると,時間がゆったり流れていくような感覚さえ覚えるが,そうした感じを生み出すのも,この人のキャリアの成せるわざ,あるいは余裕から来るってところか。聞いていて思うのは,これぞ本当のブルーズだってことだが,聞けば聞くほど味が出る。とにかくこれは持っててよかったと思えるブルーズ・アルバム。喜んで星★★★★★としよう。本物ってのはこういうものだ。

Personnel: Alberta Hunter(vo), Gerald Cook(p), Aaron Bell(b), Jackie Williams(ds), Billy Butler(g), Vic Dickenson(tb), Doc Cheatham(tp),Frank Wess(ts, fl), Norris Turney(ts, cl)

2019年4月11日 (木)

意表を突いたところにあったBrad Mehldauのデジタル音源。

Thank-you "Thank You." Mark Guiliana Featuring Brad Mehldau(ダウンロード)

ブログのお知り合いのkenさんからの情報でその存在を知った音源である。これはMark Guilianaの名義でBandcampで販売されているのだが,作曲はGuilianaながら,演奏はBrad Mehldauが一人で行っているようである。この曲は亡くなったMark Guilianaのお母さんの生前に,Mark Guiliana自身が演奏した最後の曲だそうである。それを演奏するのに最適なのはBrad Mehdauということで,演奏を依頼したものらしい。

これが実にしっとりした演奏である。Mark Guilianaの母への感謝が静かに表現されていて,それをBrad Mehldauが演奏するのだから,これは痺れる。誰よりもMark Guiliana自身が,この演奏を聞いて感涙にむせんだかもしれないと思うのは私だけか。いずれにしても美しい友情と親子愛が生んだ麗しい演奏。

kenさん,ご紹介ありがとうございました。

Personnel: Mark Guiliana(composer),Brad Mehldau(p, synth)

2019年4月10日 (水)

“Con Brio“,我が家に来る。

Con-brio "Con Brio" Con Brio(Plug)

このアルバムは,先月末で惜しくも閉店となった新橋のテナーの聖地,Bar D2で何度も聞かせて頂いたものである。マスターの河上さんがお持ちのLPからCD-Rに落とされたものを,お店でプレイバックされていたのだが,Jerry Bergonziが強烈なアルバムとしてそれはそれは燃える演奏なのである。

本作は非常にマイナーなアルバムなので,CD化もされていないが,少なくとも中古盤屋で見たことはなかった。だが,お店の閉店が近づく中,改めてこのアルバムを聞かせて頂いて,猛烈に欲しくなってしまったのであった。そうすると,探せばあるものである。というか簡単に見つかり過ぎて拍子抜けしてしまった。しかも安い。未開封盤が$9.99なのだ。送料が多少かかろうともこれは「買い」なのであった。でもほぼ価格の2.5倍の送料にはまいったが,まぁいいや。

そのアルバムがようやく米国からデリバリーされたのだが,本当にシールドである。35年以上前のアルバムが未開封で残っていたこと自体奇跡的だが,早速聞いてみると,やっぱりこれは素晴らしいと思えるサウンド。しかも我が家のしょぼいオーディオでも,家人がいない隙に結構なボリュームで再生すると,これが燃える。もうこれは手に入れられただけで星★★★★★にしたくなる作品。くぅ~っ,たまりまへん。

Recorded in October 1982 and March 1983

Personnel: Jerry Bergonzi(ts), Mick Goodrick(g), Bruce Gertz(b), Jeff Williams(ds)

2019年4月 9日 (火)

部屋を片付けて久々にLPを聞く。今日はBarney Kessel。

On-fire "On Fire:The Fantastic Guitar of Barney Kessel" Barney Kessel(Emerald)

これからの衣替えに備えて,散らかり放題の部屋を片付けた。部屋を片付けないと,大体アナログ・プレイヤーの上にうず高くCDが積まれていくというパターンを私は繰り返しているが,今回もCDはプレイヤーの上に乗り放題,置かれ放題(爆)。まずは床一面にとっ散らかった服だの,出張用の鞄だのを片付け,それが終わった段階でその他の部分を片付けていったのだが,今回,アナログ・プレイヤーの上に乗っていたCDは50~60枚ってところか。聞いたらすぐ片付ければいいのに,それをしない。そして,枚数は減ったとは言え,それなりに新規購入のCDも届くということで,結局はそれぐらいの枚数になっていた。とにかく,今回はアナログ・プレイヤーの上をすっきりさせようということで,対応を進めた私である。

それでもって,一旦の片付けも終了し(完璧に片付いたとは決して思っていないが...),プレイヤーが使える状態になったので,早速何枚かLPを聞いてみた私である。今や,我が家のLPの枚数も少なくなったが,それでも残っているものも相応にはあるということで,今日はBarney Kesselのアルバムである。

私がBarney Kesselがサイドマンではなく,リーダーとしてのアルバムで保有しているものは実は非常に少なくて,あとはPoll Winnersの1枚目ぐらいではないかと思う。そんな中で,このアルバムは昔で言えば「幻の名盤」って呼ばれることが多かったものだろう。私は確かこれを今はなき町田の「オスカー」で買ったと記憶しているが,当然オリジナルなどではなく,国内再発盤である。まぁ,これがディスク起こし盤なので,スクラッチ・ノイズが入ったりするのがご愛敬だが,まぁそれはどうこう言うまい。要は演奏がよければいいのである。

Barney Kesselと言えば,テクニシャンって感覚が強いが,ここで聞かれるハード・スウィンガーぶりは,これなら人気が出るのも不思議はないと思う。ハード・ドライヴィングな演奏だけでなく,バラッドもちゃんと弾けるところはちゃんと認めなければならないだろう。まぁ,だからと言って,私が聞くとすれば,WesやKenny Burrellが優先されてしまうが,それでもこのアルバムはたまに聞くにはいいと感じるものである。60年代はスタジオでの仕事が多かったようだが,どうも不勉強な私の中では決定的なアルバムが見つからないミュージシャンってことになってしまうのである。だが,このライブ・セッティングの中で,聴衆を相応に盛り上げる術を知っているねぇって感じの演奏は結構楽しめる。まぁ,点数としては星★★★★ってところだろうが。

さて,次は何を聞こうかねぇ(笑)。

Recorded Live at P.J.'s on January 10, 1965

Personnel: Barney Kessel(g), Jerry Scheff(b), Frank Kapp(ds)

2019年4月 8日 (月)

Brad Mehldauの新作,"Finding Gabriel"は5/17リリース予定。これはまたまた問題作と言われそうだ。

Finding-gabriel NonesuchレーベルのWebサイトでも告知されているが,Brad Mehldauの新作"Finding Gabriel"が5/17にリリースされる予定である。本作はシンセサイザーとMarc Giulianaのドラムスでベース・トラックが構成されたようであるが,そこにAmbrose AkinmsireのトランペットやJoel Frahmのテナーが加わるだけでなく,今回のアルバムのキモはおそらくはヴォーカリストの参加であろう。

既にアルバムからは"The Garden"の1曲だけ,ストリーミングで聞けるし,映像もついたものがYouTubeでも公開されているが,これだけ聞いていると,プログレと言ってもよいような響きと言っては言い過ぎか。ヴォーカルはあくまでもサウンドの一部としてのものであり,歌詞はない。アルバムではBrad Mehldauの完全独演(オーバーダビングあり)による演奏も3曲あるようだ。Brad Mehldauの音楽の多様性は前々からわかっていることではあるが,これは問題作扱い確実なアルバムとなるだろう。

そしてこのジャケである。何がBrad Mehldauに起こったのかと言われても仕方ないような,いまだかつてないテイストであるが,YouTubeで公開されている"The Garden"の映像を見ても何のこっちゃって気もするので,これは確信犯だろうなぁ。いずれにしても5/17を楽しみに待つことにしよう。

2019年4月 6日 (土)

やっぱり凄いトリオだったChick Corea Trilogy@Blue Note東京。

Trilogy

Chick Corea Trilogyのライブを観るためにBlue Note東京に行ってきた。これだけのメンツである。超高度な演奏を聞かせるのは想定内であるが,これが実に半端ではない演奏であった。正直言って,聴衆にChick Coreaのソロ・フレーズを歌わせる最近のお決まりのパターンが"Tuning"だと言って最初から始まった時には少々辟易とした気分になっていた私だが,そこから”500 Miles High"になだれ込むと,そんな不満は消え去った。とにかく名人3人の芸を見ていれば,時間はどんどん過ぎていくって感じであった。

そして,私にとって一番印象的だったのが,実はBrian Bladeのドラミングであった。決して剛腕という感じではなく,パワーで押すのではない。Brian Bladeのドラミングはとにかくニュアンスの塊みたいな感じなのである。ピアニシモの部分では,普通ならブラシで叩きそうなところを,スティックで超弱音を生み出す様にはまさに惚れ惚れとさせられてしまった。Chick Coreaのピアノは素晴らしいし,Christian McBrideのソロだって抜群だと思っていながら,私はBrian Bladeに見とれ,そして聞き惚れていたのであった。ライブとしては非常に満足できるものであったのは厳然たる事実だが,その中でも私にとってのキモはBrian Bladeだったと断言してしまおう。演奏中の表情を含めて実に素晴らしい。

Blue Noteのサイトにはセットリストもアップされているが,6曲目は懐かしや「抒情組曲」からPart 2の"Waltz"を演じたのには驚いたが,実に美しい演奏で,久しく「抒情組曲」も聞いていない私に,改めてアルバムを聞きたくさせるような演奏であった。また,その後にやった"Fingerprints"は,Wayne Shorterの"Footprints"へのアンサー・ソングのようなことをChick Coreaが言っていたが,なるほど,そう言われてみれば,ベースのラインとか共通項があるなぁと思っていた。アンコールの"Blue Monk"は”Matrix"のようなイントロで始まったはずだが,そこでまた聴衆に歌わせたのは,私にとっては完全に蛇足としても,それでも大いに楽しんだ一夜であった。やはり実力が違うわと思わせるに十分。それにしてもBrian Blade,マジに凄いわって思わせてくれたライブであった。

Blue Noteのサイトによれば,1stと2ndですべて曲目が違うってのもプロだねぇと思わせた。通しで見るには高過ぎるが,通しで見たくなるそんなトリオである。尚,上の写真とセットリストはBlue Noteのサイトから拝借。

1. 500 MILES HIGH
2. A SPANISH SONG
3. ONCE UPON A SUMMERTIME
4. JITTERBUG WALTZ
5. WORK
6. LYRIC SUITE
7. FINGERPRINTS
EC. BLUE MONK

Live at Blue Note東京 on April 4, 2019, 2ndセット

Personnel: Chick Corea(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

2019年4月 3日 (水)

久しぶりに聞いたKeith Jarrettの"Inside Out"。

_20190331 ”Inside Out" Keith Jarrett / Gary Peacock / Jack DeJohnette(ECM)

Keith Jarrettのアルバムは結構保有しているが,実はあまり家で再生する回数は多くない。大概の場合,クォリティが確保されているから,まぁ聞かなくてもわかったような気になっている部分はあるし,所謂Standards Trioによる演奏は,若干マンネリ化してきた部分も感じていたのは事実だからと言ってもよい。なので,私がこのアルバムを聞くのは実に久しぶりってことになる。本作は久々にスタンダードから離れて,完全即興で演じられた音楽集である。

Keithが突然,なぜこうした完全即興に臨む気になったかは知る由もないが,クリエイティビティを維持する一環としてやっているのではないかと勝手な想像をしている。完全即興だからと言って,どフリーという訳ではなく,ほぼ調性の範囲内での演奏が多いので,何も怖がることはないのだが,スタンダードをやっている時よりは若干敷居が高いと感じる人がいても不思議はない。しかし,これもこのトリオの本質であることに変わりはない。変幻自在に変化するメロディ・ラインとそれに呼応するリズムって感じの演奏は,スタンダードをやっていても,完全即興でも違いはないからだ。

ここでは"341 Free Fade"や"Riot"において,多少フリー色が強くなるが,ブルーズ的,ゴスペル的な響きを持たせた完全即興は,私にとってはスリリングな感覚さえもたらすものであり,実にジャズ的な響きだと思ってしまう。Standards Trioがやや予定調和的に感じている私にとっては,こういうサウンドの方が実はしっくりくる部分もあるのだ。しかし,その後にアンコールとして演じられる"When I Fall in Love"の美しさを際立たせるような演奏をしてくるのが,ある意味反則(もちろんいい意味でだ)。テンションが高まったところで,それをスローダウンさせながらも,別の感動を与えてしまうこのトリオ,やはり恐るべしである。星★★★★☆。

それにしても,ライナーにはKeithはこういう感じの演奏を今後もリリースするなんて書いているが,トリオでこういう即興って出てないと思うが...。まだまだ音源は眠っているのかもしれないねぇ。

Live at Royal Festival Hall, London on July 26 and 28, 2000

Personnel: Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Jack DeJohnette(ds)

 

2019年4月 2日 (火)

くすっと笑える一方,しんみりもさせてくれる「続 横道世之介」。

Photo_14 「続 横道世之介」吉田修一(中央公論新社)

久しぶりの本のネタである。本作に関しては,前作での展開を知る人間にとっては,まさかの続編の登場であった。本編の「横道世之介」は私も好きな本で,2010年のベストにも選んでしまったぐらいだ。吉田修一という作家は面白くて,実にシリアスな本を書くかと思えば,「横道世之介」のような本も書いてしまうところがユニークである。あまりに「悪人」や「さよなら渓谷」等とのトーンの違いは,本当に同じ作家かと思わせる(記事はこちら)。

今回も前作のトーンは引き継ぎながら,本の中にも出てくる「善良」なるキャラクターとしての横道世之介の姿が淡々と描かれるが,くすりと笑わせてくれる一方,本の後半なんて,私はカフェで読みながら実はしんみりとしてしまっていた。これは時節柄というか,私個人の現在の心象を反映してしまったかなと思えるところもあるが,それでもこれは面白い本であった。

この本の魅力は出てくる登場人物が全て善良に思えるという,性善説に則ったようなところにあって,自分で言うのもなんだが,強面の割にお人好しな私の性格に訴求してきてしまうのである。過去と現在が交錯する描き方となっているが,ここでは経緯が描き切れていない部分があるのも事実であるが,そこは読者の想像力で補えってことと解釈しておこう。

実に爽やかな読後感を与えてくれるこういう書物は,殺伐とした現代にとって実に貴重なものだと言いたい。大いに楽しんだ私である。星★★★★☆。好きだなぁ,こういう本。って前作にも同じような感想を書いているが,やっぱり好きなのだ(笑)。

2019年4月 1日 (月)

Bar D2延長戦(?)で聞いた"The Great Pretender"。これぞ本当のゴスペルだ。

Great-pretender "The Great Pretender" Lester Bowie(ECM)

3/29に新橋のBar D2が閉店となったが,翌日,私は人形町で海外からの客人の相手をする用事があり,そこへ向かっていた。その道すがら,常連のGさんとマスターの河上さんからD2へのお誘いのメっセージが届き,会食終了後にちょこっとお邪魔してきた。ほぼ何もなくなった店内で頂くウィスキーは,寂しさを募らせるものであったが,そこでGさんが河上さんに頼んでプレイバックしてもらっていたのがこのアルバムである。

Lester Bowieと現在のECMではやや結びつきにくい部分があるが,先般購入したAEOCボックスの1枚となっているこのアルバムを,家に帰って改めて聞いてみた。アルバム全体としては,様々なタイプの音楽が収められており,フリー・ファンクのように響く瞬間や,哀愁すら感じさせる瞬間もあったりして,かなりバラエティに富んだものとなっており,実に面白い。しかし,このアルバムは冒頭のタイトル・トラックこそ白眉であり,この1曲のためにこのアルバムを保有していてもよいと思えるような素晴らしい演奏である。

一言で言えば,これこそ真のゴスペルだと言いたくなるような強烈なソウルを感じる。この演奏には多言を要しないが,それにしても素晴らしい演奏である。心の叫び,魂の咆哮,神への畏怖等々,様々な言葉で表現することは可能だろう。だが,この演奏を聞くと,楽器で語る,あるいは音楽で語ることが可能だと思わせるに十分な強烈な演奏なのだ。感情を直接刺激すると言ってもよい。こうした曲をBar D2というスペースにおいて,改めて,そして最後にお店(であった場所)に伺う機会に聞くことができたことを感謝したいと思う。この1曲は星がいくつあっても足りないぐらいの感動をもたらすものと断言してしまおう。

Recorded in June 1981

Personnel: Lester Bowie(tp), Hamiett Bluiett(bs), Donald Smith(p, org), Fred Williams(b), Phillip Wilson(ds), Fontella Bass(vo), David Peaston(vo)

 

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