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2019年3月31日 (日)

改めてBill Evans@Blue Note東京を振り返る。

Bill-evans-at-blue-note

先日行ったBill Evansのバンドのライブの模様については詳しく書いている時間がなかったので,ここで改めて書いておきたい。Bill EvansはJazzCityレーベルから,Blue Note東京でのライブ盤を2枚リリースしているので,同クラブとは縁が深い人である。そのBill Evansが初めてBlue Note東京に登場して30年となるのを記念したバンドで来日を果たした訳だが,このメンツならばもっと客が入ってもよさそうなものだと思っていたのだが,フルハウスとは言えない状態だったのはちょっとした驚きであった。

そのメンツとはリーダーBill Evansに,Robben Ford,James Genus,そしてKeith Carlockが加わるという強力なバンドである。それでもって,今回のバンド,Robben Fordのギターが非常によかったと思う。ブルージーであっても,ロック・タッチであっても,非常に魅力的なフレージングを聞かせた。歌もうまいしねぇ。そしてKeith Carlockのドラムスは相変わらず強力。以前,私は彼のドラムスを聞いて歌っているようだと評したことがあるが,パワーと歌心を兼ね備えたドラミングは今回も実に魅力的であった。

もちろん,Bill Ebansのプレイもよかったが,特にいいと思ったのがテナー・サックスのプレイであった。この人はソプラノよりテナーの方が魅力的に響くと今回は思えた。James Genusは彼にしてはやや控えめなプレイぶりだったかなとも思うが,この4者による演奏は実に楽しいものであった。Blue Note東京のWebサイトには私が行った前日のセット・リストが出ているが,おそらく私が行った日も同じだろう。

1. STAR TIME
2. SOMETHING IN THE ROSE
3. PIXIES
4. FAIRCHILD
5. CATCH A RIDE
6. YOU CAN SEND ME FLOWERS
7. BIG MAMA
8. BOTTLE OPENER
EC. GOLD ON MY SHOULDER


Robben-ford-and-i_1
そして,先日の記事にも書いた通り,当日は同じメンツによるCDが限定盤として発売されていたが,改めて聞いてみると,ミックスがかなり軽い感じで,ライブで聞かせたヘヴィーな感覚が不足しているように思えたが,結局はデモ音源みたいなものだから文句は言うまい。それほどライブにおけるダイナミズムが魅力的に響いたということにしておこう。写真は上がBlue Note東京から拝借したもの。右の写真がサイン会でのRobben Fordと私(いつものようにモザイク付き)。

Live at Blue Note東京 on March 25, 2019,2ndセット

Personnel: Bill Evans(ts, ss, p, vo), Robben Ford(g, vo), James Genus(b), Keith Carlock(ds)

2019年3月30日 (土)

Bar D2最後の夜...。

Last-night-at-bar-d2-mosaic

ついにこの日が来てしまった,と思った。私が10数年に渡ってお邪魔させて頂いた「テナーの聖地」こと新橋のBar D2が惜しまれつつ閉店の日,3月29日を迎えた。思えば,会社の同僚,八木くんから,新橋に凄い店があると聞いて,お邪魔するようになった訳だが,そこから幾星霜,何度この店に通ったかわからない。

後年になると,月1回開催されるワイン会にも参加させて頂くようになり,マスターの河上さんによると,私が飲ませて頂いたワインの種類は500を越えるはずとのこと。私本人としてはそんなに?って感じだが,確かにワイン会への出席の回数を考えれば,それぐらいになるのかもしれない。私が自分のワインの好みというのがわかったのはこのお店のおかげと言っても過言ではない。

それに加えて,何と言ってもなぜ「テナーの聖地」なのかは,行った人ならすぐ理解できる驚きのCDコレクション。以前にも書いたが,河上さんに「これお持ちですか?」と問われ,大概の場合は保有していないばかりか,その存在すら知らなかったアルバムをご紹介頂き,何度店内でポチったかわからないぐらいだ。そうした意味では,テナー・サックス音楽に関する造詣も深めさせて頂いたお店なのだ。

現在の住まいに引っ越してからは,帰り道ということもあり,会社帰りに途中下車してプラっと寄らせて頂き,ハイボール2~3杯で帰るというパターンを繰り返した私だったが,これからの私はどうすればいいのだろうか。時を同じくして,私の娘は大学進学のため地方に旅立ったのだが,これからの妻と二人の生活の中で,夫婦の会話を充実させよという天の思し召しだったと解釈することにしよう。

12時の公的な閉店時間後も,名残を惜しむ面々はお店の中で飲み続けたことは言うまでもない。公的な営業時間の最後の曲として河上さんがプレイバックされたのはJohn Coltraneの"Dear Lord"だったが,涙なしには聞けなかった。また,途中で私の帰り際のテーマ曲,Jukkis Uotilaのライブ・アルバムから"The Individualist"もかけて頂いたが,Bob Bergのフレーズを聞いていたら,そこでも涙が止まらなくなってしまった。Bob Bergで泣くとは思わなかったが,これまでの想い出が蘇ってきて,どうしようもなくなってしまったことを告白しておこう。

この記事を書きながら,またもセンティメンタルな気分になっている私だが,これまでお世話になったBar D2というお店と,そのオーナーである河上さん,そしてお店でご一緒させて頂いた常連の皆さん,特に一昨年惜しくもこの世を去られたMさんに改めて感謝申し上げたい。最後に一緒に写真を河上さんと撮らせて頂いたが,いつも通りモザイクで私の顔は隠すが,実は泣き過ぎて目が腫れぼったくなっている。それほどの心情をもたらすお店であった。私としては寂しい限りではあるが,今後の河上さんの更なるご多幸とご活躍を祈念したい。

さらば,Bar D2,ありがとう,Bar D2。

2019年3月27日 (水)

どの歌唱にもリスペクトが感じられるJoni Mitchell生誕75周年記念コンサートのライブ・アルバム。

_20190324_1"Joni 75: A Birthday Celebration" Various Artists(Decca)

私のブログのカテゴリーにはJoni Mitchellというものがある。ミュージシャン単位でカテゴリーとなっているのはJoni MitchellとBrad Mehldauだけだが,それほど私はJoni Mitchellの音楽が好きなのである。そんな私が彼女の生誕75周年記念のトリビュート・コンサートが開催されることを知った時には,それこそ臍を噛む思いをしたわけだが,その時の模様がこうしてライブ・アルバムとしてリリースされることは実にありがたい。

それはさておきである。ここには相応に豪華なメンバーが揃っているのだが,Joni Mitchellへのトリビュートということであれば,更に豪華なミュージシャンが揃ってもいいように感じるというのも正直なところである。しかし,ここに収められた各々のミュージシャンによる歌唱,演奏を聞いていれば,まさに本当のリスペクトが込められており,妙にお祭り的にチャラチャラしたところがないのが実に素晴らしい。

歌われるのは,Graham Nashが"Our House"を歌う以外は,Joni Mitchellのオリジナルである。しかも"Nothing Can Be Done"と"The Magdalena Laundries"以外は70年代のレパートリーであり,やっぱりこうなるわねぇって感じの選曲である。どれも魅力的な歌唱だが,私にとって意外なほどの魅力を感じさせたのがSealによる"Both Sides Now"だろうか。Sealはある意味クセのある歌い手だと思っているが,ここでの歌唱は,ある意味ベタな選曲である「青春の光と影」を非常にストレートに歌っていて,Joniへのシンパシーを強く感じさせるのだ。正直これには驚いたが,実にいい歌いっぷりであった。本作では貫禄のChaka Khanもいいが,更にいいのがRufus Wainwrightのように思えた。正直言って,Graham Nashの聴衆に歌わせるという演出はあまり好かんが,歳の割には結構声が出ている。その一方で年齢を感じさせるのがKris Kristoffersonだが,彼のデュエット相手であるBrandi Carlileが補ってバランスを保っている。James Taylorがいいのは当たり前だが,いずれにしても,全曲捨て曲がないって感じなのが素晴らしい。

これだけのクォリティを維持したのは,このコンサートのプロデューサーを務めたBrian BladeとJon Cowherdの功績と言ってもいいかもしれない。彼らが,ここに登場したミュージシャンの選定を行ったのだとすれば,まさに適材適所,あるいはちゃんとわかっている人間だけを選んだって感じが素晴らしいのだ。更にScarlet Riveraなんて懐かしい名前を見つけたのも嬉しかった。

残念ながら,現在モルジェロンズ病(ある種の精神疾患と言ってよいだろう)を患っていて,音楽活動を行うことはままならないため,本作においても歌ってはいない。ライナーにはステージには立ったことを示す写真が掲載されているが,彼女が歌っていようがいまいが,ここで聞かれる歌唱,演奏を聞けば,彼女の偉業を振り返るには十分なクォリティを保っていることは特筆に値する。やはり曲の持つ力が偉大だというのが一番だとしても,こうしたパフォーマンスを引き出すJoni Mitchellの磁力ってものを強く感じた私であった。これはやはりDVDも買わなきゃねって思わせるに十分。尚,日本盤にはDiana Krallによる"For the Roses"がボーナス・トラックで付くらしいが,私は輸入盤でも十分楽しんだことは言うまでもない(でもちょっと聞いてみたい...)。ここに参加したミュージシャンへの感謝も込めて,星★★★★★としてしまおう。

Recorded Live at the Music Center, Los Angeles on November 7, 2018

Personnel: La Marisoul(vo), Chaka Khan(vo), Diana Krall(vo, p, rhodes), Rufus Wainwright(vo), Glen Hansard(vo, g), James Taylor(vo, g), Seal(vo), Graham Nash(vo, p), Kris Kristofferson(vo, g), Brandi Carlile(vo), Norah Jones(vo, p), Emmylou Harris(vo), Steve Berlin(clave, key), Cesar Castro(requinto jarocho, quijada), Xochi Flores(tarima), David Hidalgo(leona, g), Louie Perez(jarana, g), Ambrose Akinmusire(tp), Brian Blade(ds), Jon Cowherd(p, rhodes), Jeff Haynes(perc), Greg Leisz(g, pedal steel), Marvin J. Sewell(g), Bob Sheppard(sax), Christopher Thomas(b), Ricky Rouse(g), Eve Nelson(p),Scarlet Rivera(vln)

2019年3月26日 (火)

Bill Evans@Blue Note東京:取り急ぎ今回の戦利品を。

_20190325Bill EvansはBlue Note東京と縁の深いアーティストであるが,その彼がおそらく"Let the Juice Loose"録音時以来の30周年記念ライブを開催した。これがいいメンツであった。詳しくは改めて書くが,本日の戦利品は,今回の来日メンバーによるスペシャルCDである。Special Limited Editionとジャケにはあるが,おそらくは今回のライブのリハーサル音源を録音したものだろうが,本当ならマジで聴衆にとってはスペシャルだよな。私が購入したことは言うまでもないが,早速iTunesにダウンロードして聞くことにしよう。

今日は全員がいい演奏ぶりであったが,Robben FordとKeith Carlockが実に効いていた。本当に楽しめるライブであった。

2019年3月25日 (月)

休み中に見た映画:「キャプテン・マーベル」はまさにマンガの世界であった。

Captain-marvel_1「キャプテン・マーベル(”Captain Marvel")」('19,米,Marvel Studios)

監督:Anna Boden, Ryan Fleck

出演:Brie Larson, Samuel L. Jackson, Jude Law, Ben Mendelsohn, Annette Benning, Lashana Lynch

休暇中の映画館通いで,昨日取り上げた「ブラック・クランズマン」の前にはしごの1本目で見たのがこの映画である。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でも次作での登場が示唆されていた,キャプテン・マーベルの誕生を描く前日譚であるが,Marvelの映画の中でも,マンガ度が高いと思ったのは私だけではあるまい。

描かれる時代は1995年のはずだが,その時代に合わせて,アベンジャーズ・シリーズに登場するSamuel L. JacksonやClark GreggがCGで若作りされて姿で登場するのには笑ってしまうが,技術の進歩は凄いねぇとも思わざるをえない。しかし,CG偏重は特殊メイク等の技術を衰退させるのではないかと考えると,複雑な心境ではあるが...。

Marvelの映画は,コミックスが原作なのだから,そもそもマンガ的であることは当たり前なのだが,今まで見たどのMarvelの映画よりもマンガ的な表現を感じるのは私だけだろうか?誰が敵で,誰が味方かわからないようなところはまぁいいとしても,Brie Larsonが突如キャプテン・マーベルとして覚醒してからはアホみたいに強いキャラになってしまうのにはとにもかくにも笑える。逆に言えば,強過ぎである。ここまで強いと,「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」でも相当に重要な役割を担っちゃうよねぇって感じなのだ。

まぁ,こういう映画に小難しいことを言っても仕方ないってのはあるが,目くるめくような映像には感心しながらも,このストーリーはなぁ...と感じていた私であった。面白く見られることは否定しないが,このストーリー展開は結構無理があるんじゃないのって思いは否定できず,これはおそらく2時間で描くにはプロットが多過ぎたってところが否めない。だからと言って2部作にするのも何だかなぁってのもあるし,「アベンジャーズ」への登場で,そのバランスを取るって算段に思えてしまった。ってことで,星★★★ぐらいてっところか。いずれにしてもこの後に見た「ブラック・クランズマン」の方が圧倒的に面白かった。

まぁ,この「強過ぎる」キャプテン・マーベルについては「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」でどういう活躍を見せるかに期待しよう。

2019年3月24日 (日)

休み中に見た映画:「ブラック・クランズマン」は痛快にして,考えさせられ,そして最高に面白い映画であった。

Blackkklansman「ブラック・クランズマン("BlackkKlansman”)」('18,米,Universal)

監督:Spike Lee

出演:John David Washington, Adam Driver, Laura Harrier, Ryan Eggold, Topher Grace, Harry Belafonte, Alec Baldwin

リフレッシュ休暇を使って,結局劇場で4本映画を見たが,これは休暇最終日(平日)にはしごして見た2本のうちの1本。もう1本は「キャプテン・マーベル」なのだが,この「ブラック・クランズマン」があまりに面白かったので,こっちから記事を書くことにしたい。

この映画はエンタテインメント性の高い映画である一方,監督Spike Leeの米国の分断を生み出すドナルド・トランプに対する怒りが打ち出されていて,私のようなリベラルな人間にとっては,実に痛快である一方,強烈な批評性が感じられて極めて楽しめる一編となった。

そもそも,これが実話に基づくというのはもの凄い事実であるが,それを背景としながら,多民族国家としての米国における白人至上主義を打ち出すKKK(Ku Klux Klan)とトランプなんて同質だっていう強烈な皮肉を打ち出している。だからこそ,映画の中でやたらにKKKのメンバーに"America First!"と連呼させているが,こうした部分にリベラルなアメリカ映画人の矜持と政治に対するポジショニングの自由度を感じていたのは私だけではあるまい。そして,映画の最後にはヴァージニア州シャーロッツビルにおける対立が描かれているが,そこで発生した事件には心の痛みを感じない人間はいないだろうと言いたくなる。

その一方で,Spike Leeはこの映画が描かれた当時の黒人の動向を全面的に肯定しているわけではないところには,バランス感覚も感じる訳だが,それでも映画冒頭に"Saturday Night Live"において,トランプをいつもおちょくっているAlec Baldwinを,白人至上主義を煽るアホな学者(?)役で登場させるところが,また皮肉っぽくて笑える。

今年,私が見た映画は相応に面白いものが多いと思っているが,その中でもこの映画はダントツに面白くて,私としては全面的に支持したくなる。喜んで星★★★★★としてしまおう。甚だ気が早いが,私にとって,今年の最高の映画はこれで決まったようなものである。いやいや,マジで最高であった。

2019年3月23日 (土)

出張中に見た映画:真面目に撮られた「ファースト・マン」

First-man「ファースト・マン("Fitst Man")」(’18,米/日,Universal)

監督:Damien Chazelle

出演: Ryan Gosling,Claire Foy,Jason Clarke,Kyle Chandler

先日のタイ~シンガポール出張の復路の夜行便で,眠い目をこすりながら見たのがこの映画である。監督のDamien Chazelleは「セッション」で注目され,「ラ・ラ・ランド」でオスカーの監督賞を獲得して完全ブレイクし,そして今回はこのNeil Armstrongによる月面着陸という実話の映画化で,キャリアの積み上げが著しい。まだ30代半ばというのに大したものである。

そして,今回の作品は実話に基づいて,かなり真面目に撮られていて,実にしっかりした作品であった。逆に言えば,心に余裕を与えてくれない部分もあり,機内エンタテインメントとは言え,気楽に見られるって感じでもなかったが,いずれにしてもちゃんとした映画なのだ。冒頭にはChuck Yeagerを演じる役者が教官みたいな役回りで登場するところに,「ライト・スタッフ」世代の私は嬉しくなってしまう。

今年は人類初の月面着陸から50年ということになり,月日の経つのは早いと思う。70年の大阪万博で,アメリカ館の「月の石」を見るのも大変だったなぁなんて感慨にふけるところに,自分の年齢も感じざるを得ない。しかし,ここでRyan Goslingが演じたNeil Armstrong船長の「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」というセリフが,この映画でも出てくるに至って,改めていいこと言うねぇなんて思っていた私である。

ちょっと真面目に撮られ過ぎていて,遊びがもう少しあってもいいかなぁと思えるが,それでもこれはこれで十分に見ごたえのある映画であったと思う。睡魔と戦いながらというコンディションでなければもっとよかったかもしれないが(苦笑)。星★★★★。

ところでだが,この映画,米/日の合作となっているが,電通とフジテレビの資本が参加しているようだ。彼らとしてはもっとエンタテインメント性を高めることを期待したのかもしれないが,興収面からはどうだったのかねぇ。まぁ,どうでもいいけど。

2019年3月22日 (金)

リリースさえ認識していなかったWasserfuhr兄弟のアルバム。これが実にいい。

_20190321_1"Relaxin' in Ireland" Julien & Roman Wasserfuhr(ACT)

ブログのお知り合いのmonakaさんが取り上げられていて,その存在を知り,慌てて購入したアルバムである。昨年のリリースだが,まだ新譜扱いをしてもいいだろう。

私はこの兄弟のアルバムは結構保有していて,彼らの生み出す詩的な世界に結構痺れさせられてきた。だから,新譜が出ればせっせと購入していたが,本作についてはその存在すら認知していなかったのだから,適当なものである。しかし,これは私の新譜購入のペースのスロー・ダウンとも無関係とは言えないだろうし,情報収集そのものをちゃんとしなくなっているのは,ほとんどショップにも行っていないことからも明らかなのである。だが,気になるものは気になるということでの購入であったが,これが実にいいアルバムである。

彼らの持つ詩的なサウンドはここでも健在であり,しかも今回はチェロのJorg Brinkmannを加えたトリオ編成ということであり,ある意味室内楽的なサウンドになることは必定であった。それにより彼らのリリシズムに拍車がかかるというのも想像通りであったが,これが実に美しい。彼らのオリジナルもいいが,そこに加わるVan MorrisonやGilbert O'Sullivanの曲がなんと魅力的に響くことか。

このアルバムに感じる感覚は,昨年同じACTからリリースされたLars DanielssonとPaolo Fresuのデュオ,"Summerwind"と同質の美しさである。これはマジで琴線をくすぐるアルバム。実にいい作品である。喜んで星★★★★★としてしまおう。

Recorded on June 25-27, July 3-6, 2018

Personnel: Julien Wasserfuhr(fl-h, tp), Roman Wasserfuhr(p),Jorg Brinkmann(cello) 

2019年3月21日 (木)

Clint Eastwoodの「運び屋」,今回もいい仕事であった。

The-mule_1「運び屋("The Mule")」('18,米,Warner Brothers)

監督:Clint Eastwood

出演:Clint Eastwood, Bradley Cooper, Lawrence Fishburne, Dianne Wiest, Alison Eastwood

今や巨匠の地位を欲しいままにした感のあるClint Eastwoodであるが,自身の監督作に出演するのは「グランド・トリノ」以来のはずである。「グランド・トリノ」にも心底感心させられた私であったが,Eastwoodが出演していようがいまいが,彼の映画は非常に信頼できる。「15時17分,パリ行き」はさすがにあまり感心できなかったが,「アメリカン・スナイパー」にしろ,「ハドソン川の奇跡」にしろ,本当に素晴らしい映画が多い。

そんなClint Eastwoodが俳優として出演するのも「人生の特等席」以来だが,今回は年老いた運び屋を自ら演じたこの映画でも,やっぱり私は痺れてしまった。ストーリーとしては正直起伏は激しくないのだが,そこに家族の逸話を交えるところもうまいねぇ。特に奥さんを演じるDianne Wiest,元から凄い役者であるが,本当に演技がうまいと思わせる。まぁ,これも実話にインスパイアされたものではあるが,ストーリーはフィクションらしい。しかし,こういうこともあるんだろうと思わせるに十分。いずれにしても,Clint Eastwoodが枯れた味わいを示しながら,James Stewartに似ているってセリフが確か2回出てくるところから,老境のEastwoodはJames Stewartを意識しているのかなぁなんて思ってしまった。

とにかく,今回も実によく出来た映画だと思わせてくれたClint Eastwood,さすがである。星★★★★☆。

2019年3月19日 (火)

ココログのシステム変更によるコメントの扱いについて。

<追記>リリースから時間が経過して,反映されていなかったコメントの返信が画面上に表示されるようになった。だったら最初からやってくれよというところだが,いずれにしてもネット企業のデバッグの適当さに辟易とさせられた私。いい加減にして欲しものだ。

ココログがシステム変更を行って,コメントへの返信が管理画面から行えるようになったものの,ブログのコメント欄に返信が反映されないというのは知らなかった。

記事の作成についても,当面戸惑いそうだが,まぁそのうち慣れるだろう。

2019年3月18日 (月)

出張中に見た映画: タイへの移動中に見た「グリーン・ブック」は実にいい映画であった。

「グリーン・ブック(”Green Book”)」(‘18, 米, Dreamworks)Bced404f186348ea9d6b066873bf310d

監督: Peter Farrelley

出演: Vigo Mortensen, Mahershala Ali, Linda Cardelini

今回の出張の往路で見たのが,先日のオスカーで3部門を受賞したこの映画である。劇場で見てもよかったのだが,機内エンタテインメントで見られるなら見ない手はない。

この映画を見ていて思ったのは純粋に「いい映画」ってことである。アメリカという国には厳然たる人種差別という負の歴史がある訳だが,それをシリアスに描くこともできれば,この映画のようにあまり重々しくなることなく描くこともできる。

まぁ,昔の南部なんてこんなもんだったんだろうなぁと思わせつつ,それはそれとして描いてしまうところが実にリベラルな感じがする。ある意味,アカデミー好みとも言える訳で,作品賞の本命不在と言われた今年のオスカーで,本作が作品賞のウィナーとなったのはうなずけない話ではない。メディアの予想では「ローマ」優勢って話もあったが,あっちには外国語映画賞,監督賞等を与えてバランスを取ったって気がする。

それはさておきである。この映画に対する批判が,多少の事実との相違向けられているが,映画なんてフィクションの要素があって当たり前で,そんなことを言ったら「ボヘミアン・ラプソディ」のライブ・エイドのシーンが実際と違うと批判するのと同じぐらいつまらない。純粋にストーリーとして楽しめばいいのである。そもそも”Inspired by a True Friendship”とポスターにも書いてある。あくまでも“Inspired”なのだと理解して見るべきなのだ。

そしてこの映画を見るとこれが実にいい映画である。笑いもありつつ,ほろっとさせてくれるところもあり,実に後味のいい映画であった。今回,Don Shierleyを演じたMahershala Aliは「ムーンライト」に続いてのオスカーとなったが,「ムーンライト」が短い出番で強いインパクトを残したのに対し,これはほぼ主演といっても良い役回りであった。何れにしても変幻自在の演技力と言って間違いなく,オスカーに値する見事な演じっぷりであった。

もし本作がオスカーを取っていなければ,日本ではヒットすることは期待できなかったであろうが,こういう映画が多くの人の目に触れる機会が増えたのは実にいいことであった。機内エンタテインメントを見ていて実に得した気分にさせてもらった作品。星★★★★☆。

2019年3月16日 (土)

中年音楽狂 in タイ

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年度末,期末というのにまだまだ海外出張中の私である。今回はバンコク〜シンガポールの出張だが,珍しくも週末をはさんだので,シンガポールへの移動前にゴルフに出掛けてきた。既にタイは乾季に入り,強烈に暑い気候でのラウンドを覚悟していたのだが,朝に雨が降って,曇り空ゆえ,気温もそれほど上がらず,実に快適なラウンドであった(スコアは別であることは言うまでもない)。

これも出張者の役得って話もあるが,南国でのゴルフは緑が濃いし,キャディがプレイヤーごとにつくことなど,日本の環境と違い過ぎだろう。更に水はむちゃくちゃ多くて,各ホールの右側もしくは左側に必ず水があるというセッティングは日本ではまず考えられない。しかもスティンプ11フィートってのもありえない(笑)。当然速〜いグリーンにも苦しめられたが,いずれにしてもいい経験をさせてもらった。

ホテルに帰って,昼寝で爆睡してしまったことは言うまでもないが,明日にはシンガポールに向けて移動なので,今日はさっさと寝ることにしよう。

2019年3月14日 (木)

Lee Ritenour@Blue Note東京参戦記

Lee_ritenour_at_blue_note 出張先から戻り,プレゼンを1本こなしてから,Lee Ritenourのライブを観るために,Blue Note東京に行ってきた。私はLee Ritenourが参加しているライブは何回も見ているが,彼が単独リーダーのライブは初めてだったかもしれない。

今回は4ピースのバンドということもあり,やはりLee Ritenourが主役としてギターを弾きまくるって感じを期待したが,その通りだったと言ってよいだろう。いずれにしても,私は彼の演奏を聞いていて,なんと引き出しの多いギタリストだろうと思っていた。今回はLes Paulとフルアコの2本のギターでの演奏であったが,カッティングと言い,フレージングと言い,エフェクター使いと言い,とにかくうまいわ。そしてどんなタイプの音楽でも弾けてしまうのは凄い。とにかくヴォキャブラリーが違うとしか言いようがないと思えた。

演奏した曲は馴染みのある曲がほとんどなのだが,曲名が思い出せない。だが,彼のリーダー作から満遍なく選曲したって感じだった。バンドのメンバーとしては,ピアノ,キーボードのJesse Millinerがなかなか趣味のよいフレージングを聞かせるとともに, ベースのMelvin Davisはスラッピングでどファンク路線を炸裂させ,場を盛り上げていた。

ただ,このバンドの難点はドラムスのWesley Ritenourだろうとずっと思っていた。明らかにドラムスに関してはPAのヴォリューム過剰だったのは,グルーブの不足を補うためではないのかと皮肉な聞き方をしていた私である。端的に言えば,ドタドタ感が強く,ビートがずれるような感覚をもたらして,どうにも乗れないのである。それが私にとってはグルーブの不足,あるいはちょっとした気持ちの悪さにつながっていたと思える。これがもう少し真っ当なドラマーであれば,このバンドの演奏は更に優れたものになっていたと思ってしまう。2015年にDave Grusinと来た時のドラマーはWiill Kennedyだったが,明らかに違うと思ってしまった。まぁ,息子だからしょうがないってところもあるが,ここはやはりもう少し厳しい目で見る必要があると思えた。

しかし,演奏全体としては,十分楽しめたのは間違いなく,やはりLee Ritenourは優れたギタリストだと思っていた私である。トータルなミュージシャンとして,本当に大したものだと思う。単なるセッション・ギタリストの範疇で捉えてはいけないと改めて思った一夜であった。これで,エレアコで1曲ぐらいやってくれたら,更によかったかなぁってのは贅沢か。下の写真はBlue Noteのサイトから拝借。尚,当日のセットリストは下記の模様。

1. GET UP, STAND UP
2. A LITTLE BIT OF THIS & A LITTLE BIT OF THAT
3. SOARING
4. PEARL
5. STONE FLOWER
6. OOH YEAH
7. NIGHT RHYTHMS
EC. WILD RICE

Live at Blue Note東京 on March 13, 2019

Personnel: Lee Ritenour(g),Jesse Milliner(p, key), Melvin Davis(b), Wesley Ritenour(ds)

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2019年3月12日 (火)

Bryan Ferry@なんばハッチ。楽し過ぎた大人のロック。

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Bryan Ferryがソロで来日するのは17年ぶりぐらいだそうだ。だとすれば日本のファンにとって待望,3/13のオーチャードの公演がSold Outになるのも首肯できる。私も東京で行ってもよかったのだが,大阪のVenueがなんばハッチでは,どうやっても大阪で観たいと思ってしまった私である。詳しくは改めて書くが,キーは多少下がっても,これぞBest of Bryan  Ferryだという選曲を大いに楽しませてもらった。

Ferryを入れて9ピースのバンドは優秀だが,中でもChris Speddingは最高であった。気持ちよく時間を過ごした大人のロックの時間としか言いようのない至福の90分。オーチャードに行かれる皆さんも確実に楽しめると思う。乞うご期待。セットリストはこちらと同じはず。

https://www.setlist.fm/setlist/bryan-ferry/2019/spark-arena-auckland-new-zealand-b92cdee.html

2019年3月10日 (日)

年度末は忙しい...。

記事を書いている暇がない...。公用,私用取り混ぜて,家にあまりいないのだから仕方ないが,ゆっくり音楽を聴いている暇がないのだから,ブログを書く暇は更にない。

週明けからは国内,海外出張が続き,暫くは更新の頻度が下がる可能性が高い。まさに貧乏暇なしである。

2019年3月 7日 (木)

休暇中に見た映画:「女王陛下のお気に入り」。

「女王陛下のお気に入り("The Favourite")」('18,アイルランド/米/英,Fox Searchlight)

The_favourite 監督:Yorgos Lanthimos

出演:Olivia Colman, Emma Stone, Rachel Weisz, Nicholas Hoult, James Smith

今年,私はリフレッシュ休暇の対象となっており,本来であれば,5営業日連続で休みを取ることになっているのだが,スケジュール的に無理があり,1日ずつ取るような形になってしまった。そうは言っても,休みは休みなので,映画でも見るかってことで,観に行ったのがこの映画であった。

今年のオスカーの主演女優賞はGlenn Closeが本命と言われていたし,確かに「天才作家の妻 40年目の真実」における彼女の演技は優れたものであったことは事実である。その下馬評をひっくり返したのが,本作におけるOlivia Colmanだったのだが,私がこの映画をチョイスしたのは,その演技を見てみたいと思ったからにほかならない。そして,製作は昨今,オスカーの獲得率が高いFox Searchlightであるから,更に注目度が高まる。

舞台は18世紀,アン女王時代の英国であり,時代背景は事実に即しているが,Rachel Weiszが演じたSaraも,Emma Stoneが演じたAbigailも実在の人物である。しかし,ここでのストーリーが本当だとしたら,実にえげつないと思いつつ,こうしたコスチューム・プレイは実に面白く,ストーリーラインは英国版「大奥」みたいな感じである(笑)。そうした中でOlivia Colmanが演じるQueen Anneはやはり強烈な演技であり,これならオスカーの主演女優賞を受賞したことも肯かせる演じっぷりであった。

そして,彼女を囲むEmma StoneもRachel Weiszもこれまた強烈。二人揃って,オスカーの助演女優賞候補となったこともわかるって感じだが,どちらかと言えば,Emma Stoneが放送禁止用語も連発して,実にエグい。彼女って何でもできるねぇって感じである。Rachel Weiszも実に嫌らしい感じを出していて,ある意味では,3人そろって主演だろうって気もする。

ラスト・シーンはウサギをどう解釈するかにもよるが,わかったようでわからない気がする。しかし,これは映画的にもよく出来ていて,実に楽しめる。この映画をコメディと評することもあるようだが,私にとっては全くコメディでも何でもない極めてまじめに作られた映画だと思えた。これをコメディと考えるならば,相当ブラックだよねぇ。星★★★★☆

2019年3月 6日 (水)

Elvis CostelloとSteve Nieveのデュオ・ライブの最終回はNY。

"New York" Elvis Costello & Steve Nieve(Warner Brothers)

Costello__nieveElvis CostelloとSteve Nieveのデュオ・ライブEPも最後になった。5枚目はNew YorkのThe Supper Clubでのライブである。これまで紹介してきたEPも含めて,"All This Useless Beauty"のプロモーションを目的としたものだった訳だが,今回はアルバムから1曲しかやっていない。"Trust"期の曲や懐かしや"Alison"もやっている。

ここでの注目は最後の"Alison"から始まるメドレーである。John Hiattとの共演曲である"Living a Little, Laughing a Little"に加えて,Smokey RobinsonやStevie Wonderの曲も交えてのメドレーはCostello作の"Clowntime Is Over"で終わるのだが,そもそも"Alison"でしっとりさせておいて,こういうメドレーをやられたら,誰だって参っちゃうよねぇと思いたくなる。まぁ,Costelloの2曲以外はちょっとした引用って気もするが,それでもこれはいい感じである。

_20190303_3 今回,このEPセットを改めて聞いてみて,Elvis Costelloという人のシンガーとしての魅力を再発見できたと言ってよいだろう。Elvis Costelloはまだまだ現役ではあるが,私にとってはまさに温故知新。非常に楽しい時間を過ごさせてもらったと思う。

Recorded Live at the Supper Club on May 22, 1996

Personnel: Elvis Costello(vo, g), Steve Nieve(p)

2019年3月 5日 (火)

ECMの次なる新譜はYonathan Avishaiによるピアノ・トリオ。

"Joys And Solitudes" Yonathan Avishai(ECM)

_20190303_2 昨日のMats Eilertsenに続いて,今日もECMである。しかも編成は同じくピアノ・トリオなのだが,だいぶ印象が違う。昨日取り上げたMats Eilertsenが美的で透徹な感覚を覚えさせるのに対し,Yonathan Avishaiの音楽はもう少し温度感が高めであり,美的ではあるが,ややウォームな感覚がある。これが北欧組のMats Eilertsenと,イスラエル出身のYonathan Avishaiの出自による違いと言っては言い過ぎかもしれないが,本当に感覚が違うのである。

オープナーはDuke Ellingtonの"Mood Indigo"であるが,イントロに続いて,この曲のメロディ・ラインが出てきたときのはっとさせるような感覚。曲の美感を強く感じさせるに十分な演奏であった。これでつかみはOKってところだろう。

比較的メロディアスな感覚が強く打ち出される中で,一番の大曲"When Things Fall Apart"なんかはやっぱりECM的だと思わせるが,それでもある意味現代音楽的に響くアルバムも多いECMにおいては,この感覚はやや通常と異なる感覚がある。それが悪いということではなく,私の嗜好との兼ね合いってところがあるように思う。

まぁ,それでもECMなので,一般的なピアノ・トリオとは一線を画するところは一緒であるし,本作も悪いアルバムだとは思わないのだが,私としてはYonathan AvishaiはAvishai Cohenとのアルバムでの演奏の方が魅力的だったように思える。私にとっては,ECMらしさがやや不足しているように感じられたってことで,星★★★☆ぐらいにしておこう。

Recorded in February 2018

Personnel: Yonathan Avishai(p), Yoni Zelnik(b), Donald Kontomanou(ds)

2019年3月 4日 (月)

いかにもECMらしいMats Eilertsenのピアノ・トリオ・アルバム。

"And Then Comes the Night" Mats Eilertsen (ECM)

_20190303 ノルウェイのベーシスト,Mats Eilertsenは,自身のアルバムに加えて,ECMの結構キーとなるプレイヤーのアルバムに参加していて,非常にレーベルでも活躍が目立つ人である。とか言いながら,彼のアルバム"Rubicon"は買っていないはずなので,偉そうなことは言えないが,それでも最近目にする機会が多い名前なのは事実である。

そんなMats Eilertsenの新作はピアノ・トリオによるアルバムであるが,これがまた何ともECM的な響きである。静謐にして美的な響きは,いかにもECMらしい。これまたレーベルではお馴染みのThomas Stronenに,オランダのピアニスト,Harmen Fraanjeを加えたトリオは,こちらが期待するサウンドを生み出していると言ってもよい。

聞く人によっては,これがほんまにジャズと呼べるのか?って評価もあるだろうが,いつもながらECMのサウンドに痺れているリスナーにとっては,これこそが期待値なのである。まぁ,段々どれがどれだかわからなくなってくるって話もあるが(爆),それでもこの実に美しいサウンドに身を委ねていれば,私には何の問題もない。

彼ら3人はほぼ同世代ということもあり,おそらくは日頃からうまが合うメンツということもあるが,それにしても見事な緊密度というか,こうしたある意味ミニマルな世界で音を紡いでいくには,阿吽の呼吸も必要なのかなぁと思ってしまう。

刺激は少ないが,ある種の幽玄ささえ感じさせる演奏。ここではStefano Amerioがエンジニアリングを担当しているが,やっぱりECMの音になっている。これは絶対レーベル・カラーに合わせているなと思わせるに十分。ちょいと甘いと思いつつ,星★★★★☆。ここで聞かれる美学はやはり沁みるねぇ。雨降りの日に,膝を抱えて聞くには最適(爆)。

Recorded in May 2018

Personnel: Mats Eilertsen(b), Harmen Fraanje(p), Thomas Stronen(ds)

2019年3月 3日 (日)

待望!Chris Potterの新作は強烈なエレクトリック路線へ。

"Circuits" Chris Potter(Edition)

_20190302 クリポタことChris Potterの待望の新譜である。ここ暫く,ECMからのリリースが続いていたが,今回は英国のEditionレーベルに移っての新作である。今回のアルバムのポイントはJames FranciesとEric Harlandとのトリオ編成を中心とするということだろうが,Pat Methenyが新プロジェクト"Side Eye"において,同じくJames Franciesを迎え,そしてクリポタとの共演も長いNate Smithがドラムスを叩いていたこととも,編成やメンツ的に重なるところが面白い。

そして,アルバムがリリースされる前から,一部の音源がストリーミングで聞けた訳だが,そこで聞かれるクリポタの超絶フレーズを聞いていれば,ファンとしては期待が高まるのが当然のことであった。

既にストリーミングで全曲聞けるようになってはいたが,ようやく英国から飛ばした現物が届いたので,今回記事を描いている。私としてはECMでのアコースティックな感覚も評価していたが,私にとって忘れられないのはUndergroundにおけるファンクなクリポタのサウンドなのである。今回は編成からしても,当然エレクトリック路線の強化が想定される中で,実にクリポタらしいサウンドというか,こちらの期待に完全に応える形の音になっているのには嬉しくなってしまう。クリポタかくあるべしなのだ。

冒頭の"Invocation"におけるサックス/クラリネットの多重録音によるアンサンブルにはちょいと戸惑うが,その後は完全にクリポタ節の炸裂である。思わずウハウハしてしまった私である。ちょっと惜しいなと思えるのが,エンジニアリングがイマイチで,もう少しエッジが立った音の方がいいように感じるが,それでもここでのクリポタのサウンドは実にカッコいいと思う。星★★★★☆。是非,このバンドのライブは見てみたいと思うのは私だけではあるまい。

余談だが,私のところにデリバリーされたCDには裏面に51/100とシリアル・ナンバーらしきものが手書きで書かれているが,普通にCDでもLPでもリリースするのだから,こういうのってあんまり意味ないなぁ。中古盤屋に持って行ったら,書き込みありとかで価格を下げられるだけである(爆)。まぁ,私が生きているうちに売る気はないが。

尚,ネット上にトリオでのライブ映像があったので,貼り付けておこう。結構長いので,ゆっくり見ることにしよう。

Recorded in September, 2017

Personnel: Chris Potter(ts, ss, cl, b-cl, fl, sample, g, key, perc), Eric Harland(ds), James Francies(key), Linley Marthe(b)

2019年3月 2日 (土)

Elvis CostelloとSteve Nieveのデュオ・ライブの4回目はボストン。

"Boston" Elvis Costello & Steve Nieve(Warner Brothers)

Costello__nieveElvis CostelloとSteve Nieveのデュオ・ライブEPの4回目はBostonのThe Paradiseでのライブである。"All This Useless Beauty"のプロモーションのため,今回もアルバムから3曲,そして"Imperial Bedroom"から"The Long Honeymoon",そして"My Aim Is True"から"The Angels Want to Wear My Red Shoes",それに大スタンダード"My Funny Valentine"というセレクションである。そのうち2曲はElvis Costelloの弾き語りだが,"Little Atoms"はCostelloの喋りが多くて若干冗長感ありって感じだ。

_20190224_4 やはりここでは"My Funny Valentine"をElvis Costelloがどのように歌うかが注目されるところとは思うが,前にも書いたが,Costelloのような魅力的な声を持っていれば,これは悪くなるはずはないのだ。3分そこそこで終わらせるのがもったいないかなとも思うが,それぐらいあっさりやってもちゃんと印象に残る仕事をするのがプロってことだろう。もう少し突出した個性を感じさせることもできたのではないかと思えるはちょいと残念だが,これぐらいで丁度いいのかもしれないな。

Recorded Live at the Paradise on May 20, 1996

Personnel: Elvis Costello(vo, g), Steve Nieve(p)

2019年3月 1日 (金)

Larry Grenadierの初リーダー作がベース・ソロ・アルバムとは...。さすがECMである。

"The Gleaners" Larry Grenadier(ECM)

_20190224_3 最近新譜を買う頻度が大幅に下がった私であるが,例外もあって,ECMレーベルのアルバムについては,全部とは言わないが,かなりの確率で購入している。先日,発注済みのものがようやくデリバリーされてきたので,順次聞いていくことにしたい。まずはBrad Mehldauのトリオでもお馴染みのLarry Grenadierの初リーダー作である。それが何とベース・ソロである。

ECMレーベルにはBarre PhillipsやMiroslav Vitous,Dave Hollandらによるベース・ソロのアルバムがあり,昨年もBarre Phillipsが「最後の」ベース・ソロ・アルバムをリリースしている。そんなことができるのは今やECMレーベル以外には考えられないが,そこにLarry Grenadierが初リーダー作としてソロでアルバムを出すとはまさに驚きである。

もちろん,ベース・ソロということなると,相当こちらも身構えてしまうところがあるのは事実だが,Barre Phillipsのアルバムでもわかったように,実はそれほどハードルは高くなく,ベースの音に身を委ねていればいいのである。そして,Larry Grenadierはアルコとピチカートを半々ぐらいで使い分けているが,かなりメロディアスなラインも出てくるので,聞きにくい音楽だとは思わない。私にとってはアンビエント・ミュージックのようなものだと言ってもよい。

面白いのはそのレパートリーである。Grenadierのオリジナルを中心に,奥方Rebecca Martin,Coltrane, Paul Motian,Wofgang Muthspiel,そしてGershwinの"My Man's Gone Now"等の曲が並んでいる。でもまぁ原曲がどうとか言っても,実はよくわからない部分もあるので,私としてはへぇ~,そうなんだぐらいの感じであった(爆)。

それにしても,Larry Grenadierもチャレンジャーである。ベース・プレイヤーのとしてのアイデンティティを発露するためには,別にベース・ソロでなくてもいいようにも思えるが,そこに敢えて挑むというのは簡単なことではないと思える。しかし,前述のとおり,即興におけるメロディ・ラインもアバンギャルドと言うよりも,真っ当な音楽となっていて,実に懐の深いプレイヤーだということを改めて感じさせる。

だからと言って,しょっちゅう聞きたいと思わせるようなアルバムだとは思わないが,ふとした瞬間,こうした音楽を欲するタイミングもあるのではないかと思わせる作品。星★★★★。

Recorded in December 2016

Personnel: Larry Grenadier(b)

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