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カテゴリー「ジャズ(2018年の記事)」の記事

2018年1月14日 (日)

ジャズ系ブログ界で話題沸騰?今年最初の新譜は本田珠也のIctus Trio。

"Ictus" 本田珠也Ictus Trio(Song X Jazz)

Ictus今年になって全然新譜を買っていなかったのだが,これが今年初の新譜に関する記事ということになる。本作は私のお知り合いの皆さんが取り上げられており,これは聞いておいた方がいいだろうということでの購入である。

本田珠也に関しては以前"Planet X"についてこのブログに記事をアップしたことがある(記事はこちら)が,そこでの音楽とは全く異なるもの。違い過ぎやろと言ってしまえばその通りであるが,むしろこういう音楽が日本のミュージシャンによって作られたことに,ある種の驚きさえ感じた私である。ブログのお知り合いのkenさんは「初期ECMの味わいに実に近い」と評されているが,まさにそういう感じなのだ。

そもそもレパートリーの中心を構成するのがCarla Bleyの曲というのが素晴らしい試みであり,そこにスタンダード2曲と,ピアノの佐藤浩一のオリジナルを交えるという構成も,明確な狙いを感じる。Carla Bleyのオリジナルの持つ「甘い毒」みたいな部分と,アバンギャルドな部分を見事に表出しながら,そこにはさまれたスタンダードとオリジナルが何の違和感もなく混在しているのは結構凄いことではないか。スタンダードさえも,彼らの感覚で再構築されたものとなっており,こういう「筋の通った」アルバムは,ミュージシャンたちの強い意志を感じさせて,無条件に支持したくなる。

ただ,誤解を恐れずに言えば,これはある程度ジャズに接してきたリスナーには受け入れられても,これからジャズを聞いてみようというようなリスナーにはちょっと勧めにくいのも事実である。しかし,この心地よさというよりも,ヒリヒリするような緊張感をもたらしながら,美学も兼ね備えた音楽にはしびれてしまった私である。

繰り返しになるが,こうしたアルバムが日本から生まれたことを喜びたい。そして非常に生々しい音で録音されている点も評価して星★★★★★としてしまおう。新年早々縁起がいいわいと言いたくなってしまった。

Recorded on May 16, 2017

Personnel: 本田珠也(ds),佐藤浩一(p),須川崇志(b, cello)

 

2018年1月13日 (土)

保有していることすら忘れていたStefano Bollani盤(爆)。

"Les Fleurs Bleues" Stefano Bollani(Label Bleu)

BollaniCDの保有枚数が増えてくると,どうしてこのCDを保有しているのか全く思い出せないものも出てくる。だからいつも家人に「一生のうちにもう聞かないCDって結構あるんじゃないの?」と聞かれても否定できない。このCDもどういう風に買ったのか全く思い出せないのだが,たまたま棚から発見してプレイバックしてみた。よくよく見れば,リズムはScott ColleyにClarence Pennという魅力的なメンツ。へぇ~(笑)。だが,ソロ・ピアノでの演奏も多く,全面参加ではないので注意が必要である。

Stefano BollaniについてはECMのアルバムやら,Venusレーベルのアルバムを聞いてきたが,本作を聞いて思ったのは,うまいねぇということである。その一方で,多様な要素が詰め込まれた感じがして,Bollaniの本質はどこにあるのか実はよくわからないというのも事実であった。美的な要素,ダイナミズム,アブストラクトな感覚等が混在して,どうも落ち着かない。Juliette Grécoで知られる"Si Tu T'Imagines"では歌っちゃうし...。

私はStefano Bollaniについては,正直言って"Stone in the Water"とか"Mi Ritorni in Mente"のような美感,あるいは甘さを備えたアルバムが好みなので,この多様性はちょっとなぁって感じがする。一曲ごとのクォリティは結構高いので,何でもできてしまうStefano Bollaniってのはわかるのだが,これを聞くなら,私は上述の2枚を聞き続けた方がいいと思える作品。やっぱりどうして買ったのかよくわからん(苦笑)。ということで星★★★が精一杯。

Recorded on May 23,October 21 & 22, 2001

Personnel: Stefano Bollani(p), Scott Colley(b), Clarence Penn(ds)

2018年1月12日 (金)

Franck Avitabileって最近は何をやっているのだろうか?

"Lumières" Franck Avitabile(Les Vents de Vanves)

_20180106_2私がこのブログでFranck Avitabileの"Paris Sketches"を酷評したのももはやほぼ9年前に遡る(記事はこちら)。ライブ活動はしているようだが,それ以来,彼のリーダー作は途絶えているようだし,最近は何をやっているのかねぇと思ったところで,久々のプレイバックである。

前述の記事にも書いたが,昔の私の同僚が,個人的にもやり取りをされるぐらいのFranck Avitabileのファンで,このアルバムもその方からの頂きものである。ちなみにその方,Avitabile以外ではBarney Wilenのファンという,なかなかのフレンチ・ジャズのマニアであった(笑)。本作はAvitabileの正式デビュー前のもので,中古盤屋でも結構な高値がついている作品であるが,現在は本人のサイトでも手に入るようなので,稀少性はなくなったかもしれない。

だが,ここで聞かれる演奏を聞けば,非常に才能のあるピアニストだってことがよくわかる。私はフランスのジャズというのは若干癖が強いと感じることが多いのだが,ここで聞かれる演奏は極めてストレート・アヘッドなものであり,アドリブで展開されるFranck Avitabileのメロディ・センスも立派なものである。久しぶりに聞いてみて,これなら評価されて然るべきだと再認識したが,それにしては"Paris Sketches"はいけてなかったねぇ。あれが今のところの最新リーダー作というのは惜しい気がするが,やはりミュージシャンはブレてはいけないということの証ということにしよう。いずれにしても,本作はオリジナル曲も粒ぞろいで,なかなかいいと思う。星★★★★。

Recorded on March 22 and 23,1997

Personnel: Franck Avitabile(p),Louis Petruciani(b), Thomas Grimmonprez(ds)

2018年1月11日 (木)

リズムは同じでピアノが変わるとどうか?:ずっと聞いてなかったCarsten Dahl盤

"In Our Own Sweet Way" Carsten Dahl / Mads Vinding / Alex Riel (Storyville)

_20180104_2このメンツを見るだけで反応される方もいるだろう。私が昨年のベストの一枚に挙げた"Yesterdays"のピアノがEnrico PieranunziからCarsten Dahlに代わっただけで,リズムは同じMads VindingとAlex Rielである。ピアノが変わるだけでどんな違いが出るのかが興味深いところであるが,このトリオは3人とも同じデンマーク出身ということで,おそらくはリズム隊にとっても,Pieranunziよりも共演回数は多いだろうし,頻度も高いはずである。それはこのアルバムが2005年から2007年にかけて,Copenhagen Jazzhouseという同じヴェニューにおいて録音されていることからもうかがわれる。

デンマークには優秀なミュージシャンは多数いるが,このトリオはデンマークを代表するジャズ・ミュージシャンにより構成されたトリオということができるであろう,彼の地におけるオール・スターのバンドと言ってよいだろう。

Carsten Dahlについてはこのブログで,Arild Andersen,Jon Chtistensenとのトリオによる"Space Is the Place"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,あちらがECM的クールさを持つ演奏だったのに対し,こちらはどちらかと言えば暖かいサウンドと言ってよい。はるかに聞き心地がよく,そしてより多くの層に魅力的に響くはずである。それは本作がDahlのオリジナルで占められた"Space Is the Place"と異なり,トラッドの"Maria gennem torne går"を除いて,よく知られたジャズ・オリジナル,スタンダードを演奏しているからということもあるだろう。

いずれにしても,このアルバムはバラッドとスウィンガーをうまくブレンドさせて,結構楽しめるアルバムである。Enrico Pieranunziほどの抒情性は感じられないかもしれないが,相応に美的センスにも溢れ,寝かしておいたのはよくなかったなぁと反省した次第。まぁ埋もれていたのだから仕方がないが。私としては,やはりEnrico Pieranunziとの共演の方を高く評価するが,これはこれで聞いて損はないアルバム。星★★★★。

Recorded Live at Copenhagen Jazzhouse between 2005 and 2007

Personnel: Carsten Dahl(p), Mads Vinding(b), Alex Riel(ds)

2018年1月10日 (水)

Bobby Watson入りの永井隆雄4のライブ盤が楽しい。

"Live at the Someday" 永井隆雄 (Someday)

_20180104私にとってBobby Watsonについての記憶は結構鮮烈である。まずはその時の話から。私がNYCに在住していたのは1990年8月から1992年の6月という短い期間であったが,そんな期間においても,数多くのライブに接する機会があったことは私にとっては幸せなことだった。当時はニューポート・ジャズ・フェスティバルがJVCジャズ・フェスティバルと言われていたころで,91年のフェスにおけるライブにも何本か足を運んだ。当時のNY Timesの記事をWebで検索してみて,私がBobby Watsonを見たのは”Be-Bop: 40 & Younger"だったことがわかる。40歳以下の中堅,若手ミュージシャンによるセッション・ライブであったのだが,そこにいたのがBobby Watsonである。

NY Timesの記事を紐解いてみると,出演予定者としてはIra Coleman, Billy Drummond, Jon Faddis, James Genus, Christopher Hollyday, Christian McBride, John Marshall, Mulgrew Miller, Lewis Nash, Billy Pierce, Wallace Roney, Renee Rosnes, Bobby Watson, James Williams, Kenny Washington,そしてRoy Hargroveとある。ここに書いてあるメンツが全部出たかについては記憶が定かではないが,その中で最も強烈な印象を残したのがBobby Watsonだったことは間違いない事実なのである。サーキュラー・ブリージングも使った強烈なソロ・フレーズでは,同じアルトのChristopher Hollydayを圧倒し,格の違いを見せつけた。もちろん,Bobby Watsonは早くからJazz Messengersにも参加していたから,キャリアとしても違うって感じだったが,それにしても強烈だったのである。

そんなBobby Watsonであるが,本人のアルバムには正直言ってあまり面白いものがなく,この人は,特にライブの場において,共演者として場をさらう感じがいいのではないかと思っている。本作もそんな感じだと言ってよい。

歯科医との二足の草鞋を履く永井隆雄が,新大久保SomedayにBobby Watsonを迎えたこのライブは,ブローイング・セッション的と言ってしまえばその通りであるが,まぁFeaturingとは言いながらも,実際の主役はBobby Watsonであったということになるだろう。MCもBobby Watsonがやってるしねぇ。いずれにしても,ここに聞かれるBobby Watsonの歌心溢れるソロを聞いていて,91年夏のことを思い出してしまう私である。通常バラッドで演奏される"In a Sentimental Mood"でこれだけ盛り上げてしまうのがBobby Watsonらしい。そして,"E.T.A."の強烈なことよ。いずれにしても楽しいことこの上ないアルバムである。甘いの承知で星★★★★☆。

Recorded Live at Someday on November 29, 1988

Personnel: 永井隆雄(p),Bobby Watson(as), 鈴木良雄(b),磯見博(ds)

2018年1月 8日 (月)

私にとってはジョンスコ前史って感じのライブ盤

"Live '81" John Scofield / Steve Swallow / Adam Nussbaum(Enja)

Shinola私がジョンスコの音楽に惹かれたのはGrammavisionレーベルにおける"Electric Outlet"や"Still Warm"の頃だと思う。それはMiles Davisのバンドへの参加や,Marc Johnsonの"Bass Desires"への参加の時期とも重なるが,それ以降の活躍ぶりについては,皆さんはよくご存じの通りのところである。だが,ジョンスコは70年代半ばぐらいから活動が活発化しており,日野皓正のバンドの一員として日本に招聘されたこともあった。そもそもジョンスコの名前を初めて聞いたのは日野の「ヒップ・シーガル」か「メイ・ダンス」あたりではなかったか。そして,初リーダー作は日本のトリオ・レーベルから,日野皓正を迎えてリリースされており,その後の活躍ぶりを知る我々にとっても,なかなか感慨深い事実である。

Out_like_a_lightそうは言いながら,私にとってはやはりGrammavisionレーベル以降のジョンスコこそが彼の真骨頂を発揮していると思うが,EnjaやAristaでのアルバムもそこに至る道のりとして聞いてきた私である。本日取り上げるアルバムはEnjaから出たライブ盤"Shinola"と"Out Like a Light"を2 in 1にしたお徳用アルバムだが,こういう編集方針なら大歓迎である。メンツもSteve SwallowとAdam Nussbaumというのはなかなかに魅力的。私にとってはジョンスコ前史とでも言うべき時期の演奏であるが,久しぶりに聞いてみるとかなり面白かった。

本作を聞いてみて,ジョンスコらしい変態的フレージングは既に出来上がっていると思えるが,それよりも,この自由度の高いフォーマットでの演奏には現在のWayne Krantzと重なる部分を感じてしまったのは意外である。もちろん,Krantzの方が自由度は高いし,ロック的なフィーリングもはるかに強い。そして,私が現在ではジョンスコよりWayne Krantzの音楽を好んでいることは間違いないが,私がGrammavisionレーベル前,そして,私がもう少し若い頃にこうした音楽にリアルタイムで接していたら,現在私がKrantzに感じるような魅力やらシンパシーを,もっと早い段階でジョンスコにも感じていたのではないかと思わされてしまった。それは偏に自由な感覚という点に同質性をおぼえてしまったからである。特にそういう感覚が強いのは,演奏時間は短いが完全にロックな"Shinola"だろう。

それ以外はそんなに激しいという感じはしないのだが,ジョンスコのウネウネ感はこの段階でよく出ている。例えば,デニチェンとやっているようなファンクとも異なりながら,やっぱりジョンスコのギターだと感じさせるところが個性ってやつだよねぇ。Milesがジョンスコを雇ったのもそうした点を評価してのことと思う。お得感も込みで半星オマケで星★★★★。

Recorded Live in Munich on December 12, 13 & 14, 1981

Personnel: John Scofield(g), Steve Swallow(b), Adam Nussbaum(ds)

2018年1月 7日 (日)

遅ればせながらAlessandro Galatiの"Cold Sand"を聞く。

"Cold Sand" Alessandro Galati (Atelier Sawano)

_20180102_2ブログのお知り合いであり,ジャズ界のスズニカ伯爵夫人ことSuzuckさんが,昨年のインスト部門のナンバー・ワンに挙げられていたアルバムである。となれば聞いておかねばなるまいということで,Apple Musicをチェックしたがない!ってことは購入する以外に手がない(爆)。ってことで,遅ればせながら入手したものである。

私はAlessandro Galatiについては"On a Sunny Day"についても,ブログのお知り合いの皆さんの情報に基づき,後付けで聞いて非常に素晴らしいアルバムだと思っていた(記事はこちら)。だからと言って,リアルタイムで追っかけるほどの思い入れもないという適当なリスナーである。だが,この人のアルバムの持つ「抒情的で静謐で美しい音楽」としての特性は,こうして聞いてみるとやはり捨て難い魅力を持っている。ひとくちに「抒情的で静謐で美しい音楽」と言ってしまえば,Enrico Pieranunziだってそういう感じがする部分もあるが,同じイタリア人でも奏でられる音楽はEnrico Pieranunziとはかなり違うと言ってよい。Pieranunziはもう少しビートを明確にする部分もあると思うが,Galatiの作品はよりアブストラクトな中から美感を浮かび上がらせるって感じだろうか。

前々から思っていることを改めて書いてしまえば,この人の音楽は美しさだけを追求するのではなく,一種独特な毒があると思えるのだ。「綺麗な花には棘がある」ではないが,この単なる耽美的な響きには陥らないところに,今回もこの人の音楽の特性を感じてしまった。毒を感じさせた後に,とろけるようなメロディ・ラインを紡ぎだされたら,それが快感になってしまうという感じだろうか。

この「毒」と「蜜」のバランスに多分多くの人はやられてしまう。そういう中毒性を感じさせるのがAlessandro Galatiの音楽なのではないかと,訳のわからないことを考えている私である。いずれにしても,Galatiのピアノ・タッチは基本的に美的であり,甘美さは最後に収められた"Uptown"でピークに達する(そこにもちょっとした毒は感じるが...)が,この芸風にはやっぱりやられてしまうなぁと思ってしまった。それに"Here, There and Everywhere"の配置が絶妙過ぎて参ってしまった私。星★★★★☆。

Recorded on September 13 & 14, 2016

Personnel: Alessandro Galati(p), Gabriele Evangelista(b), Stefano Tamborrino(ds)

2018年1月 6日 (土)

今年最初のライブはSimon Phillips Protocolだったのだが...。

_20180106今年最初のライブとしてブルーノート東京で行われたSimon Phillips Protocolを観に行ってきた。

今回は年始ということもあり,まだ世の中は休みを継続している人も多いらしく,客席は7割程度の入りって感じだったのは意外であった。私は私で仕事始めの後の会社の新年会(1時間程度のものでガッツリの飲み会ではない)に参加してからの参戦となったのだが,これがよくなかった。

Protocol_at_blue_note正直言って,演奏後半の記憶が飛んでいる。新しいギタリスト,Greg Howeを迎えての彼ららしいタイトな演奏を聞いていたにもかかわらず,私は睡魔に襲われていたようだ。だいたいが飲み過ぎッて話があって,いつもは見とがめられることもないステージの隠し撮りをスタッフに見つかってしまったのは,座席からSimon Phillipsの表情がうかがえず,真剣にアングルを考えていたからに相違ない。それによって,緊張感も切れたって感じで,眠りに落ちたということだろう。

ということで,今回は真っ当な感想を書けないのは実に情けないし,公演終了後のサイン会でも正直呂律が回っていなかったのは恥ずかしい限りであるが,Greg HoweにはAndy Timmonsよりよかったぜぃなんて軽口を叩いているのだから,相当な酔っ払いである。しかし,彼らの演奏はいつもながらのタイトで強力な演奏だったことは間違いない。

次回のライブは飲み会の後というシチュエーションは回避して,ちゃんと聞くことにしよう。新年早々ゆえの失敗ということで。それでもきっちり戦利品はゲットしたが,キーボードのOtmaro Ruizはサイン会の時に,自分はアルバムには入っていないけどいいのかなんて実に謙虚なことを言っていたが,そんなことを気にする私ではない。ということで,今回もバンド4人分のサインを頂いた。写真もほとんど撮れなかったが,数少ないものの一枚をアップしておこう。

いずれにしても,山火事で自宅が焼失し,米国ツアーの一部をキャンセルしていたSimon Phillipsの姿を拝めただけでもよしとすることにしよう。年初から大いに反省してる私である(爆)。

Live at ブルーノート東京 on January 5, 2018

Persoonel: Simon Phillips(ds), Greg Howe(g), Otmaro Ruiz(key), Ernest Tibbs(b)

2018年1月 5日 (金)

Petruciani入りのCharles Lloydのライブ盤を聞く。

"A Night in Copenhagen" Charles Lloyd Quartet(Blue Note)

_20180102ECMレーベル時代のCharles Lloydのアルバムにはいいものもあったし,"Mirror"なんて非常に優れた作品だと思っている。しかし,それよりもBlue Noteに移籍してからのLloydはもっと凄いと思っているのは,きっと私だけではないと思う。おそらくはManfred Eicherにより多少自由度を抑制していたと思われるCharles Lloydが,Blue Noteに移籍して弾けたって感じではないかとも思える。あるいは全く年齢を感じさせない恐るべき創造力を発揮しているだけって話もあるが...。

そんなChales LloydがECMに移る前に,Blue Noteからリリースしたアルバムが,1983年にレコーディングされた本作である。本作はMichel PetrucianiとCharles Lloydの共演を収めた数少ない音源の一つである。正直言って私はMichel Petrcianiに対する思い入れが強い方ではないので,彼らが共演した"Montreux '82"がリリースされた時も,その後においてもほとんど関心を抱いたことはないし,そもそもCharles Lloydが半引退状態から,Petrucianiとの出会いを経て復帰したからと言っても,「へぇ~」ぐらいにしか思っていなかったのも事実である。だから,LloydとPetrucianiの共演盤というのはこれまで真っ当に聞いたこともほとんどない(あるいは全くない)というのが実態なのである。

だが,突然のようにこのアルバムが聞いてみたくなり,ネットで中古をゲットしたものである。本作も長年入手が難しい状態となっていたものが日本において2013年に再発されているが,現在ではまたカタログからは消えている状態のようである。だが,Michel Petrucianiというミュージシャンをある意味世に出したという観点で,彼らの共演作を手に入りやすい状態にしておいた方がいいように感じさせるに十分なアルバムだと思う。

ここでのCharles Lloydには正直言って,後年のような深みはまだ感じられないが,Michel Petrucianiとの相性は非常に良かったと思わせる。もちろん,Charles Lloydの演奏は相応に楽しめるものではあるが,それよりもMichel Petrucianiのピアノに耳が行ってしまうのがリスナーの勝手なところである。そして,ここに聞かれるPetrucianiのフレージングは確かに魅力的なのだ。Charles Lloydに復帰を促すだけのことはあったというのが実感。

そして本CDには2曲のボーナス・トラックが加わっているが,これによってオリジナルのLPフォーマットよりダイナミズムが増したように思えるので,この追加トラックは成功と言ってよい。また,Bobby McFerrinが2曲でゲストとして加わっているが,それが単なるゲストという位置づけを越えた魅力的歌唱を聞かせることも非常に素晴らしい。インプロヴァイザーとしてのMcFerrinというのは結構凄いんだねぇというのも改めて感じさせてもらえた。星★★★★。

Recorded Live at Copenhagen JazzFestival on July 11, 1983

Personnel: Charles Lloyd(ts, fl, chinese oboe), Michel Petruciani(p), Palle Danielsson(b), Son Ship Theus(ds), Bobby McFerrin(vo)

2018年1月 4日 (木)

社会復帰に向けての音楽はLee Morgan(笑)。

"Here's Lee Morgan" Lee Morgan (Vee Jay→Koch)

Lee_morgan正月休みも終盤なので,そろそろ社会復帰に向けて,和みの音楽からよりヴィヴィッドな音楽も聞かねばということで,選んだのが本作である。私が保有しているのは別テイクを丸ごと1枚のCDに収めた2枚組の再発盤であるが,こういう編集方針はいいよねぇと思わせる。別テイクは理由があって別テイクになっているのであって,オリジナル・テイクはオリジナルのフォーマット,並びでちゃんと聞きたいと思うからである。

Lee Morganと言えば「私が殺したリー・モーガン」という映画が上映されているが,Lee Morganが内縁の妻,Helen Morganにより撃たれて亡くなったが1972年。まだ33歳だったわけだが,逆に言えば50年代後半から活動をしていたLee Morganの早熟ぶりを示しているように思える。

Lee MorganはほぼBlue Note専属みたいなキャリアだったが,1960年だけこのアルバムを含むVee Jayへのリーダー作を吹き込んでいるのはどういう理由なのかよくはわからないが,メンツからしてもほとんどBlue Noteじゃんって感じで,よき時代のハードバップが楽しめる。後々になって,1964年の"The Sidewinder"がヒットしたことで,ロック・ビートを取り入れた演奏が増えるLee Morganであるが,まだこの頃は正調ハードバップって感じである。こういう軽快かつノリもよく聞けるハードバップというのは,仕事はじめに向けては丁度いいって感じである。

そうした中で,ミュートで吹かれる"I'm a Fool to Want You"のバラッド表現が素晴らしく,20代前半でこういう演奏をしてしまうってのが凄いセンスだと思う。安易に天才という言葉は使いたくないが,まさに天賦の才能と言わざるをえない表現力と言えると思う。

ということで,仕事への臨戦態勢はまだ整っていない(笑)が,助走期間に聞くには適した音楽であった。星★★★★。

Recorded on February 8, 1960

Personnle: Lee Morgan(tp, fl-h), Clifford Jordan(ts), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Art Blakey(ds)

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