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カテゴリー「ジャズ(2018年の記事)」の記事

2018年9月22日 (土)

Chick Coreaのボックスから,改めてBob Bergとの共演を聞く。

"Music Forever & Beyond(Disc 5 "That Old Feeling: Stadards and More")" Chick Corea(GRP)

Chick_corea_music_forever_and_beyon先日,Chick CoreaとBob Bergの共演盤として,"Time Warp"を取り上げた時に,ブログのお知り合いのKi-maさんから,彼らの共演盤として,Chick Coreaの5枚組ボックス・セットのディスク5に,"Time Warp"と同一メンツでの演奏が収められていることをお知らせ頂いた。私はすっかり失念していたのだが,そう言えばそんなこともあったかもと思って,クロゼットから引っ張り出して,まずはそのディスク5から聞いてみた。

そもそもこのボックスが出て,もう20年以上になるが,正直言って,何回プレイバックしたのかと聞かれれば,多分大した回数ではないことは間違いない。それには実は理由があって,このボックスの目玉として言われていたMiles DavisとChickの"I Fall in Love Too Easily"なのだが,それがたったの3分ちょっとの演奏では詐欺的だよなぁなんて思っていたからである。その音源は後にMilesのBootleg Series("Live in Europe 1969")で正式リリースされたので,もはや存在意義も薄れたが,その一方で,Bob BergとChick Coreaの共演についてはすっかり忘れていたのだから,私もいい加減なものである。

それはさておき,ここではChick Coreaのオリジナル"Story"を除いて,有名スタンダード,ジャズ・オリジナルを"Time Warp"の面々でやっているのだから,実に興味深いではないか。因みに収録曲は次の通りである。

  1. That Old Feeling
  2. Trinkle Tinkle
  3. Monk's Mood
  4. Stella by Starlight
  5. Summer Night
  6. Straight No Chaser
  7. Story

この曲目を見れば,まぁ聞きたくなるのが人情だが,このメンツだけに,こうした有名曲をやっても,それっぽくならず,よりコンテンポラリーな感覚が強くなる。それをよしとするか否定するかはリスナー次第ってことになるが,私のようなBob Berg好き(かつChick Coreaも相当好き)にとっては,こういう演奏を聞けるだけでよしなのである。

ではなんでこれを放置していたか?と聞かれれば,返す言葉がない。そして,よくよくブックレットを見れば,Stan Getzとの未発表音源とか,おいしい音源がまだまだ入っているではないか。う~む。反省して,ちゃんと手許に置いて聞き直すことにしよう。

Personnel: Chick Corea(p), Bob Berg(ts, ss), John Patitucci(b), Gary Novak(ds)

2018年9月21日 (金)

Barre Phillips,最後(?)のソロ・アルバム。

"End to End" Barre Phillips(ECM)

_20180916Barre Phillips,私にとっては高いハードルとなってきた人である。ベース・ソロでアルバムを作った最初の人はBarre Phillipsらしいが,結構若い頃からECMのアルバムは聞いていても,ベース・ソロというのはさすがに厳しいという感じで敬遠してきたというのが実際のところである。そうしたところもあって,彼のリーダー作は"Mountain Scape"しか保有していない。じゃあ,何枚も保有しているDavid Darlingのチェロ・ソロならいいのか?と聞かれれば,返す言葉もないのだが,まぁはっきり言ってしまえば食わず嫌いである(爆)。

本作のSteve Lakeのライナーによれば,本作はBarre Phillipsからの直々に総帥,Manfred Eicherに連絡があって,最後のソロ・アルバムを作りたいのだが,ECMとしてはどうよ?って聞いてきたらしい。Eicherとしては断る理由もないということで,本作がレコーディングされることになったようである。私も年を重ねて,いろいろな音楽に接してきていて,ベース・ソロだからと言ってビビることはなかったし,現代音楽も結構好んで聴いているので,今回は「最後のベース・ソロ・アルバム」ということとあっては,発注せざるをえまいと思ってしまった私であった。

そして流れてきた音は,決してアブストラクトではないベースの響きを聞かせるものであり,43分余りの時間はあっという間に過ぎていったという感じである。もちろん,聞き易いなんて言うつもりはないし,一般の人にとっては,それはハードルが高い音楽であることは間違いない。しかし,ライナーを書いているのがSteve Lake,そしてライナーの多くの写真を撮っているのがSun Chungってことからしても,それだけでBarre PhillipsのECMにおける立ち位置がわかるってものだ。それだけ「最後のベース・ソロ・アルバム」の意味合いは重いということを表している。Barre Phillips単独名義でのECMでのリーダー作は91年の"Aquarian Rain"以来だと思うが,それでもこうしたレコーディング機会を提供されるBarre Phillips。それをどう捉えて,この音楽に対峙するかが,少なくともECMレーベル好きにとっては重要だろう。

いずれにしても,私はこのアルバムを聞いて,これまで食わず嫌いでいたことを大いに反省した。ミニマルとは全く違いながら,簡潔にして,深遠。何回も聞くようなものではないかもしれないが,聞いておかねばならないと思わせるに十分な音であった。星★★★★☆。私の中でのハードルも若干下がったので,ストリーミングで,過去のBarre Phillipsのベース・ソロも聞いてみることにしよう。

Recorded in March, 2017

Personnel: Barre Phillips(b)

2018年9月19日 (水)

Tord Gustavsenによるピアノ・トリオの新作は期待通りの出来。そして彼の信仰心を感じさせる。

"The Other Side" Tord Gustavsen Trio(ECM)

_20180915_3総帥Manfred Eicherにより,新世代のピアニストも続々と紹介されており,私も結構その世界にはまってはいるが,現在のECMレーベルにおいて,確実に期待できるピアニストとして評価を確立しているのは,私は先日記事をアップしたMarcin Wasilewskiと,このTord Gustavsenだと思っている。

Tord Gusravsenに関しては,全部が全部いいという訳ではないと思っていて,例えば私の中では,"Restored Returned"なんかはちょいと評価が低い(記事はこちら)。しかし,それは例外的なものであって,ほかの作品は極めて高く評価している。そうした中で,この人の魅力はピアノ・トリオだけではないということは,テナー入りの"Extended Circle"でも,ヴォイスの入った"What Was Said"でも実証されている。しかし,やはりピアノ・トリオも聞きたいと思うのがファンの心理であることも事実であった。本作は2007年リリースの"Being There"以来という,実に11年ぶりのピアノ・トリオ作である。

ここでは,Gustavsenのオリジナルに加えて,トラッド,更にはバッハの曲をアダプテーションした演奏が聞けるが,さすがに1月のオスロ,Rainbow Studioでの録音と感じさせるような,静謐で,内省的な音の連続である。これこそがECM,あるいはTord Gustavsenの美学であると言ってもよいかもしれない。まぁ,冬のオスロでじゃかじゃかした演奏はやってられんと言う話もあるが...(笑)。それでも,こうした音楽をやられてしまうと,私のようなリスナーは無条件によいと思ってしまう。それが一般的なリスナーの感覚とは必ずしも合致しないところはあるだおるが,こうしたサウンドには全面的にOK!と言ってしまうのである。

バッハのアダプテーションでは,宗教的な響きさえ感じさせるが,それはモテットやカンタータの原曲なのだから当たり前なのだが,トラッドや,2曲目に入っているノルウェイの作曲家Lindemanの"Kirken, den er et gammelt hus"も讃美歌みたいなものであるから,ここでのテーマには宗教を感じる。そして,そこに加わるGustavsenのオリジナルが,何の違和感もなくブレンドして,この音世界を作り上げている。

私からすれば,この音楽は決して刺激を求める音楽ではない。そこに不満を感じるリスナーが聞くべきものでもない。これは冬のオスロの気候に思いを馳せながら,信仰の音楽による表出とは何かということを考えるに相応しい作品だと思う。Tord GustavsenはSolveig Slettahjellと"Natt I Betlehem"という素晴らしいホリデイ・アルバムを作り上げているが,この人の根底には宗教感が根差していることを強く感じさせる作品。Marcin Wasilewskiのアルバムと比べれば,私はWasilewskiに軍配を上げるが,これはこれで,私の心を十分に捉えたと言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in January, 2018

Personnel: Tord Gustavsen(p), Sigurd Hole(b), Jarle Vespestad(ds)

2018年9月18日 (火)

安定のJLFだが,このジャケはなんとかならなかったのか?

"Impact" Jeff Lorber Fusion (Shanachie)

_20180915_2私の情報収集が足りないだけなんだろうが,何の前触れもなくリリースされたJeff Lorber Fusionの新作である。"Now Is the Time"で復活したJLFのアルバムも,早くも6作目ということで,結構なペースでリリースされていることはファンにとっては喜ばしい。しかし,不思議なことに,本作はJeff LorberのWebサイトにも告知がされていない状態なので,まぁ私が気がつかなくたって仕方ない。

収録されている音楽は,どこから聞いても,JLFらしいグルーブの,典型的なフュージョンである。テンポが同じような曲が揃っていて,ちょっと変化が少ないかなぁって気がしないでもないが,さすがの安定度であることには間違いない。そうした意味で私の彼らへの信頼は揺るがない。今回は,ゲストなしのほぼ固定メンツで演奏しているのも珍しい。1曲でギターがPaul Jackson, Jr.からMichael Thompsonに,もう1曲でAdam Hawleyに代わるだけってのは,メンバーを固めて活動していくという宣言なのかもしれない。前作"Protitype"もそんな感じであったが,全面参加のGary Novakはもうレギュラーって感じだよなぁ。

だが,このジャケットは何なのかねぇ。正直に言ってしまえば,これだけで購入意欲が下がる。今までのJLF,あるいはJeff Lorber単独名義のアルバムでも,これだけ意味の分からないジャケはいまだかつてないはずである。ダウンロード音源ならばさておき,CDはパッケージングを含めたかたちで評価されるものであって,このジャケはあまりにも印象が悪い。と言うよりも購入者をバカにしているのかとさえ思いたくなるような噴飯ものである。

今回も,まとめ買いのついでで購入したが,パッケージとしては保有の意味はないと断言したくなるようなアルバム・デザインである。音だけ聞くならダウンロード音源で十分であって,それによって,私はこのアルバムへの評価を下げざるを得ないのだ。私は定常的にJLFのアルバムは星★★★★としているが,今回はどうしてもこのジャケへの怒りがおさまらず,半星減点して星★★★☆。プロデューサーとしてのJeff Lorberはジャケット・デザインにも責任を負うべきなのだ。

Personnel: Jeff Lorber(p, el-p, synth, g), Jimmy Haslip(b), Andy Snitzer(ts, as, ss), Gary Novak(ds), Paul Jackson, Jr.(g), Michale Tompson(g), Adam Hawley(g), Dave Mann(horn)

2018年9月17日 (月)

これも当時は未発表音源の発掘だったStan Getzのライブ。

"My Foolish Heart: Live at the Left Bank" Stan Getz (Label M)

_20180902_4昨今のStan Getz聞きの流れで,これも久しぶりに聞いた。このアルバムがリリースされたのは2000年頃のことのはずだが,これも当時は未発表だったライブ音源がリリースされたものである。このアルバムにおいては,Stan Getzのハード・スウィンガーぶりがよく感じられると言ってよい。

基本的にバラッドはタイトル・トラックと"Spring Is Here"ぐらいで,あとはリズム・セクションもあって,結構ハードに吹いている。バックを支えるRichie Beirach,Dave Holland,Jack DeJohnetteと言えば,Dave Liebmanの"First Visit"のバックのメンツと同じなのだ。そりゃ,いつものGetzとは違うわな~。だからと言って,GetzがLiebmanのようになるかと言えばそんな訳はないのだが(笑)。

しかし,冒頭の"Invitation"から始まって,全編を通じて快調そのもののGetzだ。Jack DeJohnetteはそんなに暴れている感覚はなく,どちらかと言えば,しっかりとGetzを支えているって感じだが,それでもやはりこのリズム・セクションは強烈で,私にはDave Hollandが効いているように感じられた。

いずれにしても,こういう音源も隠れていたのだから,まだまだジャズの巨人たちの未発表音源(特にライブ)なんていくらでもあるのかもしれないなぁと思ってしまった。実にいい演奏である。星★★★★☆。

ところで,このアルバムの最後にはChick Corea作の"Fiesta"という曲が入っているのだが,これは明らかに"La Fiesta"と異なる別曲に聞こえるのだが,これは一体どういうことなのか?う~む...。

Recorded Live at the Left Bank, Baltimore on May 20, 1975

Personnel: Stan Getz(ts), Richie Beirach(p), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds)

2018年9月16日 (日)

またも素晴らしい作品をリリースしたMarcin Wasilewski。痺れた。

"Live" Marcin Wasilewski Trio (ECM)

_20180915私はこれまでも,Marcin Wasilewskiのアルバムが出るたびに,最高だ!と連呼してきたように思う。とにかく,ECMレーベル好きとしての心はもとより,ピアノ・トリオの魅力を感じさせるという点では,私にとってはBrad Mehldau,Fred Herschと同じぐらいのポジションを占めていると言っても過言ではない。とにかく私の心を捉えて離さない音楽をECMでリリースし続けてきた。

そんなMarcin Wasilewskiが前作"Spark of Life"から約4年ぶりにリリースしたのが本作で,一部サックスを入れた前作から,従来のピアノ・トリオに戻してのライブ盤である。毎度のことながら,冒頭の"Spark of Life / Sudovian Dance"から,今回も私は心を鷲掴みにされてしまった。

今回のアルバムは,"Faithful"所収の"Night Ttain to You"を除いて,前作"Spark of Life"からのレパートリーである。ライブ盤とは言え,新曲もないのか?って思う部分もないわけではないが,これが彼らのレパートリーを熟成させ,昇華させた音楽を聞かせようという取り組みだと思えば文句はない。ここでの演奏は,オリジナルの演奏よりは長尺になっていて,曲に対するトリオとしての解釈や表現は更に深化していると思う。

とにかく,全編に渡って,静謐さとダイナミズムを両立させた音楽が展開されていながら,美的であることこの上ない。一聴して,私はこれまで聞いたMarcin Wasilewskiのアルバムよりも,このアルバムが一番優れているかもしれないとさえ思えるほどであった。久々に音楽を聞いて「さぶいぼ」が立った気がする。美しさとテンションとスリルを共存させる音楽にはそう簡単に出会える訳ではない。これには心底まいった。これには星★★★★★しかありえない。

こんな音楽を聞かされたら,彼らの再来日,そして真っ当なヴェニュー,更に真っ当なPAでのライブを体験したいと思うのが筋である。間違いなく今年のベスト作候補の一枚となった。まじに最高である。

Recorded Live in Antwerp on August 12, 2016

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz (ds)

2018年9月15日 (土)

超強烈!John McLaghlinとJimmy Herring合体によるMahavishnu集。

"Live in San Francisco" John Mclaghlin & the 4th Dimension / Jimmy Herring & the Invisible Whip (Abstract Logix)

_20180913Abstract Logixに発注していた本作が早くも到着である。まぁ,私が購入したのはCD/LP/Tシャツのボックスというオタク向けで,発送もFedExゆえ,送料は無茶苦茶高かったが,早く聞けるのはいいことである。

John McLaughlinは昨年US Farewell Tourと題して,Jimmy Herringのバンドとのダブル・ビルで演奏していたのだが,これはツアーからの引退ということらしく,レコーディングももうしないかどうかはわからない。いずれにしても,これはその最終公演1つ前のサンフランシスコで,両バンドが合体してMahavishnu Orchestraの曲を演奏するという模様を収めたものだが,これが実に激しい。「内に秘めた炎」,「火の鳥」,「エメラルドの幻影」,そして"The Lost Trident Session"の曲から構成される音は,強烈と言わずして何と言うという感じである。うるさいと言えばその通り。やかましいと言えばそれもその通り。だがこれは燃える。濃い~メンツの2つのバンドが合体して,Mahavishnu Orchestraの曲を演奏すれば,濃いに決まっているのだ(笑)。

そして,今回のライブ盤において,特筆しなければならないのは,Jimmy Herringのバンド・メンバーであるJason Crosbyのヴァイオリンだろう。Mahavishnu Orchestraと言えば,ヴァイオリンがサウンドにおいて重要な位置づけにあることは間違いないが,McLaughlinのバンドである4th Dimensionにはヴァイオリニストはいないところで,このJason Crosbyの働きが非常に効いている。御大McLaughlinが強烈なのはもちろんだが,Mahavishnu再演に仕立てられたのは,このJason Crosbyによるところが大きいと言ってよいだろう。

また,4th Dimensionのメンバーはいつも通りだが,Jimmy Herringのバンドは,ベースは昨今Wayne Krantzとよく共演しているKevin Scott,そしてドラムスはAlex MachacekともやっていたJeff Sipeである。そりゃあ濃いわけだ(笑)。

ここでの演奏を聞いて,John McLaughlinがツアーから引退するってのは,正直言って信じ難いと言いたくなるほど,枯れたところは皆無。しかし,この録音当時で既に76歳だったことを考えれば,ツアーは確かにきついのかもしれない。今にして思えば,昨年12月にChick Coreaとのデュオという,激しさはないが,2大巨頭によるデュオ・ライブに接することができたこと(記事はこちら),そして4th Dimensionでの来日公演を観られたこと(記事はこちら)はラッキーだったと思わざるをえない。そんな思いも含めて,星★★★★★としよう。やっぱり惜しいなぁ。

Recorded Live at the Warfield on December 8, 2017

Personnel: John McLaughlin(g), Ranjit Barot(ds, konokol, vo), Gary Husband(el-p, synth),Etienne M'Bappe(b, vo), Jimmy Herring(g), Jason Crosby(vln, rhodes, vo), Kevin Scott(b), Jeff Sipe(ds, gong), Matt Slocum(org, clavinet)

2018年9月14日 (金)

Arturo Sandoval@Blue Note東京:まさにエンタテインメントですな。

Arturo_sandoval_at_blue_note_2

Blue NoteにはJam Session会員というメンバーシップがあるが,今回のライブは会員+1名が半額で入場可ということもあり,私としては極めて珍しいタイプのライブに足を運んできた。元はIrakere出身のArturo Sandovalバンドに,ゲストとしてJane Monheitを迎えるというプログラムである。

As_blue_note最初からなんともエンタテインメントなジャズで,非常に楽しいライブではあるのだが,日頃私が行っているタイプのライブとは全然毛色が違って,やっぱり嗜好って出るよなぁと思ってしまった。

Arturo Sandovalは私が初めてNYCを訪れた1983年の8月に,Sweet BasilのGil Evans Orchestraに参加しているのを見て以来だと思うが,その時も超絶ハイノートを吹きまくっていて,聴衆には受けていたが,私としてはやり過ぎ感があったのも事実。だが,それから35年も経つと,Arturo Sandovalも私も年を取った。しかし,あっちは元気なものである。ラッパだけでなく,ピアノ,キーボード,パーカッションにヴォーカルと,まぁよくやるわって感じの69歳であった。まぁ,とにかく聴衆を盛り上げるのはうまいものだと思わせるが,"Bye Bye Blackbird"の一節を聴衆に歌わせるのは,ちょっと日本では厳しいかなぁって気もした。だが,キューバ出身らしいラテンのノリが,驚きのほぼフルハウスに近い聴衆を喜ばせていたのは間違いないところ。ラッパはちゃんと音も出てたしねぇ。立派なものである。

ゲストのJane Monheitはややコンテンポラリーな感じの曲を中心にしていて,やっぱりうまいよねぇと思わせるものの,世代の近い歌手で言うと,私はRoy Hargrove Big Bandで見たRoberta Gambariniの方が上かなと思っていた。今回の選曲が彼女に向いていたかどうかは判断できないが,ヴォーカルをあまり聞かない私の第一印象はそういう感じだったのである。まぁ,でも演奏に華を添えるという意味では,ちゃんと役割を果たしていた。

だが,むしろ私はテナーのMike Tuckerが,Breckerライクなソロを展開していて,うまいもんだと思わせたところに感心したし,あまり知った名前ではないバックの面々が,相当の実力を持つ人たちだということに驚かされたのも事実であった。

私の行った2日目はアンコールなしではあったが,オフ・ステージに行かないでやった"Seven Steps to Heaven"がアンコール代わりって感じだったのかもしれない。まぁ,私がリーダーだったら,Jane Monheitにスタンダードか,ラテン系の曲を歌わせたかもしれないが。

いずれにしても,エンタテインメントとしては大いに楽しめるが,たまにはこういうのもいいとも思うものの,やっぱり半額だからこその参戦だったと思う私である。ラテンもいいが,やっぱり私はより美的か,メカニカルか,ファンクか,あるいはロックかって感じの方が好みってことである。正直言って客層も,私がいつも行くライブとは明らかに違っていたしねぇ。

いずれにしても,今回はギックリ腰を抱えての参戦であったが,何とか乗り切れたのはよかった。尚,上の写真はBlue NoteのWebサイトから拝借したもの。

Live at Blue Note東京 on September 12, 2018, 2ndセット

Personnel: Arturo Sandoval(tp, vo, key, p, perc), Jane Monheit(vo), Mike Tucker(ts), Max Haymer(p, key), John Belzaguy(b), Johnny Friday(ds), Tiki Pasillas(perc)

2018年9月13日 (木)

ECM豊作の秋ってところか。

先週のNYC弾丸出張から帰国した後,体調をおかしくしたりして,音楽について書いている暇も余裕もない。日本は自然災害にも襲われており,不謹慎な投稿は控えないといかんという気持ちもある。被災された皆さまには,ご無事と早期の復興をお祈りするばかりである。

その一方で,ECMレーベルを好む人間にとっては,この秋口は非常に芳醇な季節となること必定である。私が現在のECMにおけるピアノの2トップと思っているTord GusravsenとMarcin Wasilewskiの各々のトリオ・アルバムがリリースされたのである。まだ両方ともちゃんと聞けていないが,一聴でもどちらも素晴らしい出来と思えるものとなっていると思える。特にMarcin Wasilewskiのアルバムは印象が強烈で,今から記事にするのが楽しみである。それにしても,凄い人たちである。

2018年9月 9日 (日)

Stan Getzの"Apasionado"を改めて聞いて反省する。

"Apasionado" Stan Getz(A&M)

_20180902_3先日,Stan Getzの未発表音源について書いた時に,本作がどこにあるのかわからないとか書いてしまったが,今聞くとどんな感じなのかをどうしても確かめたくなって,クロゼットを漁っていたら,比較的短時間で見つかった。むしろ,見つけやすいところに置いてあったという感じか(苦笑)。

以前,このアルバムを聞いた時には,どうもピンと来なかったというのが正直なところである。別にStan Getzを聞くなら,こういう感じじゃなくてもいいのではないかと思えたように記憶している。だが,今回,改めてこの音源を聞いて,どうも感覚が違う。誤解を恐れずに言えば,これは極上のイージー・リスニングである。耳に心地よいことこの上ない。喧噪溢れる都会人の心を癒す音楽と言ってよいかもしれない。スムーズ・ジャズって言葉が世の中には存在するが,本当のスムーズ・ジャズってのはこういうものだと言いたくなるような演奏。ちょいとホーンがうるさく感じる部分もあるが,穏やかに時が流れていく,そういうアルバム。

ライナーには"Recorded Live"って書いてあるので,ホーンとストリングス以外は一発録音って感じなのかもしれないが,そういう意味ではStan Getzのテナーの歌い方って凄いよねぇと思わざるをえない。そして,こういうレコーディングを平気でやらせてしまうプロデューサーとしてのHerb Alpertの凄さってのもあるんだろうなぁ。

もちろん,これが,Stan Getzの音源において最も優れたものと言う気はないが,実はこの音楽を聞いて,音楽はその時々によって,感覚が大きく異なるということを考えれば,また改めて近いうちに,聞いてみる価値はあると思える音源であった。星★★★★。

ところで,ここで作曲やアレンジで貢献しているEddie del Barrioって,よくよく調べると,EW&Fの"Fantasy"の共作者である。多分,Calderaにもいた人だよなぁ。そういう発見もあったから,手持ちの音源はちゃんと聞かないといかんな。

Personnel: Stan Getz(ts), Eddie del Barrio(synth), Mike Lang(el-p, synth), Kenny Barron(p), Paulinho da Costa(perc), Jimmy Johnson(b), Oscar Castro Neves(g), Michael Landau(g), Jeff Porcaro(ds), George Bohanon(tb), Reginald Young(tp), Noland Smith, Jr.(tp), Rick Baptist(tp), Oscar Brasher(tp), William Green(sax), Tom Johnson(tuba)

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