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2018年12月 8日 (土)

随分と印象が変わってきた平野啓一郎:「ある男」

「ある男」 平野啓一郎(文藝春秋)

Photo平野啓一郎が「日蝕」でデビューした時,なんと敷居の高い小説だろうと思ったのも随分前のことだが,その後,「決壊」のようなキリキリするような話を書いたかと思えば,「マチネの終わりに」のような恋愛小説を手掛けて,私の中で,この人の印象は随分と変わってきた。その平野啓一郎が「マチネの終わりに」に次いで発表した小説を先日読み終えた。

一言で言えば,随分この人の書く小説はわかりやすくなったと思う。そして,この本,非常に面白く読める。「愛したはずの夫は、まったくの別人であった。」というキャッチコピー通りの展開なのだが,そこに挿入される主人公である弁護士,城戸の夫婦間のやり取りや,その他の登場人物の造形が一つ一つ考えさせられるところがある。やや,ストーリーの展開に,そんなことあるか?と思わせる部分もあるが,そこは話の面白さに目をつぶることとしよう。

ネット上では,主人公の城戸が,在日三世から帰化をしたというプロファイルに文句をつけているネトウヨみたいな連中もいるが,そうした設定がなければ,ヘイト・スピーチに関するくだりも全く意味をなさなくなる。そもそも作家が自身の思想や考え方を小説に投影して何の問題があるのかと思ってしまうが,そうした社会の不寛容さが,この小説を執筆する際のボトムラインにあったのではないかと思ってしまう。

いずれにしても,ストーリーの展開についついページをめくらされ,そして,読後感はある種の清涼感を覚えさせるのは「マチネの終わりに」同様である。感情移入の点では,私にとっては「マチネの終わりに」の方が好きだが,この小説もよくできていると思わせてくれて,満足感のあるものであった。星★★★★☆。結局,この人の小説は,私にフィットするってことかもしれないなぁ。

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