2019年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

2017年おすすめ作

無料ブログはココログ

« 2018年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外) | トップページ | 皆さん,よいお年をお迎え下さい。 »

2018年12月30日 (日)

2018年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)

2018_albums_4

今年を回顧するのも今回が最後。最後はジャズのアルバムに関する回顧で締めよう。今年もジャズに関してはそこそこ新譜も購入したし,相応の枚数を記事にした。もちろん,聞いても記事にしていないものもあるが,それは優先順位を下げてもまぁいいだろうというものである。

そんな中で,ブログの右側に掲載している今年の推薦盤が,かなり高い比率でECMレーベルによって占められていることは明らかで,私のCD購入の中心がECMになってしまっていることの裏返しと言っても過言ではない。そんなECMにおいて,私が今年最も感銘を受けたのがMarcin Wasileuski Trioの"Live"であった。彼らの音楽の美的な部分と,ライブにおけるダイナミズムが結びついて,これが実に素晴らしい作品となった。彼らのアルバムのレベルは総じて高いが,ますますこのトリオが進化していることを如実に示したものとして,今年の最高作はこれを置いてほかにないと思えた。今回,改めて本作を聞いたが,来年1月の来日が実に楽しみになってきた私である。

ECMにおいては,Bobo Stensonの"Contra la Indecisión"も素晴らしかったし,Norma Winstoneの映画音楽集もよかった。Barre Phillipsのベース・ソロ作にはECMレーベルの愛を感じたし,Ben Monderが効いていたKristijan Randaluの"Absence"も印象深い。そのほかにも優れたアルバムが目白押しだった。そうしたECMにおける次点のアルバムを挙げると,暮れに聞いたAndrew Cyrilleの"Lebroba"ではないかと思っている。記事にも書いたが,このアルバムの私にとっての聞きどころはWadada Leo Smithのトランペットであったわけだが,この切込み具合が実にいいと思えた。

中年音楽狂と言えば,Brad Mehldauなのだが(爆),今年も彼自身のアルバムや客演アルバムがリリースされて,非常に嬉しかった。リーダー作が2枚,Charlie Hadenとの発掘音源,ECMでのWolfgang Muthspiel作,奥方Fleurineのアルバムで4曲,そしてLouis Coleのアルバムで1曲ってのが,今年発売された音源ということになるはずだが,その中ではチャレンジングな"After Bach"を推すべきと思っている。ジャズ原理主義者からすれば,こんなものはジャズとは言えないってことになるだろうが,ジャンルを越境するのがBrad Mehldauなのだということを"After Bach"は強く感じさせてくれた。

ジャズという音楽に興奮度を求めるならば,これも年末に届いたAntonio Sanchezの新作"Lines in the Sand"が凄かった。SanchezはWDR Big Bandとの共演作"Channels of Energy"もリリースしたが,興奮度としては,"Lines in the Sand"の方が圧倒的であり,これぞAntonio Sanchezって感じさせるものであった。このエネルギーを生み出したのはトランプ政権への怒りだが,メッセージ性がどうこうというレベルをはるかに越えた興奮度を生み出したことは大いに評価したい。

もう一枚の興奮作はJohn McLaughlinとJimmy Herringの合体バンドによるMahavishnu Orchestraの再現ライブ,"Live in San Francisco"であった。McLaughlinももはや後期高齢者であるのだが,何なんだこのテンションは?と言いたくなるのは,以前4th DimensionのライブをBlue Note東京で見た時と同様である。いずれにしても,ロック的な興奮という点では,このアルバムを越えるものはないだろう。

そのほかに忘れてはならないアルバムとしてあと3枚。1枚は本田珠也の"Ictus"である。これは2018年の新年早々ぐらいにリリースされたものであり,記憶が風化しても仕方がないのだが,このアルバムを聞いた時の印象は実に鮮烈であった。こうした素晴らしいアルバムが日本から生まれたことを素直に喜びたい。実に強いインパクトを与えてくれた傑作であった。

そしてCharles LloydとLucinda Williamsの共演作,"Vanished Gardens"を挙げたい。アメリカーナ路線を進むCharles LloydがLucinda Williamsという最良と言ってよい共演者を得て,かつ80歳を越えたと思えぬ創造力を維持しながらリリースした本作は,前作"I Long to See You"には及ばないかもしれないが,今年出たアルバムにおいて,決して無視することができない存在感を示している。ここにWayne Shorterのアルバムを入れていないのは,あのパッケージ販売が気に入らないからであって,音楽だけならもっと高く評価していたと思えるが,Shorterの分までCharles Lloydを評価したい。

最後に今年の最も美的なアルバムとして,Lars DanielssonとPaolo Fresuという好き者が聞けば涎が出てしまうような組合せによるデュオ・アルバム,"Summerwind"を挙げておこう。聞き手が想像し,期待する世界を体現するこの二人による超美的なサウンドにはまじで痺れてしまった。世の中がこのように穏やかなものとなることを祈念しつつ,今年の回顧を締めくくりたい。

« 2018年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外) | トップページ | 皆さん,よいお年をお迎え下さい。 »

ECM」カテゴリの記事

Brad Mehldau」カテゴリの記事

ジャズ(2018年の記事)」カテゴリの記事

コメント

 今年も楽しませて頂いて有り難うございました。
 ジャズ編では四点一致していました。
 中年音楽狂さんご推薦のMehldauに関しては、私も以前からの注目株というには恐れ多い今やジャズを背負うところですが、やはり"After Bach"が最も価値を感じました。
 来年も御活躍ください。良いお年を!

風呂井戸さん,おはようございます。4点がどれなのかは気になりますね。多分3点はわかりますが。

今年もなんだかんだ言って,振り返ってみればいい作品が多かったです。その一方で,Antonio SanchezやWayne Escofferyのように,作品の根源に怒りを感じる作品があったのも象徴的でした。

ということで,今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。よいお年をお迎え下さい。

中年音楽狂さんとは、お互いに持っているものの中では、一部を除いて、割と共通のものの好みが似ているような気もしています。今年はECMはじめ、ジャズ盤の収穫の多い年でした。またブログ参考にさせていただきます。

来年もよろhしくお願いします。

910さん,おはようございます。TBありがとうございます。

910さんのジャズ面でのカバレッジには遠く及びませんが,確かに嗜好は似ている部分はあるかもしれませんね。

いずれにしてもECMの強烈な作品群には驚かされた1年でした。

来年もよろしくお願いします。よいお年を。

この多様性が楽しいわけではありますが、まるっきりかぶりませんでした。

もっとも年末リリース盤は、良い作品がいろいろあったことは知っているにも関わらず、すべて聴ききっていたわけでもなく、
Antonio Sanchezの新作は手元にはあるがまだまともに聴いていないという体たらく。

今年は、突出して良い作品があったというよりは、おしなべて良い作品がずらりと揃った印象でしょうか。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64691148.html

そして、来年も引き続き、諸々よろしくお願いいたします。

oza。さん,こんばんは。リンクありがとうございます。

おっしゃる通り,突出した作品はそんなになかったかもしれませんが,その中で私にとってはMarcin Wasileuskiが頭一つ抜けていたって感じでしょうか。全部好きなんですけどね。

ベストがかぶらないのは,人それぞれってことで全然問題ないと思っています。選んでいる枚数も違いますしね。

ということで,今年もありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。

音楽狂さん、こんにちはmonakaです。コメントありがとうございました。
今年も10枚を選ぶことが出来ました。皆さん個性がでて面白いですね。これは自分だけだろうというのが入るのがいい。

来年もお体に気を付けてご活躍ください。

ありがとうございました。

閣下、トラバをありがとうございました。

そう、私は10枚えらんだのですが、結構かぶってるのかな?って、おもいました。
違うところも聴いていて、どうしようかな?って迷ったところに入っています。

今年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。m(_ _)m
あ、来年もどこかですれ違うことは、、すでに間違いないとおもいます。笑

monakaさん,こんにちは。

私の場合は,まぁ自分としては妥当な線に落ち着いたかなと思います。ECMレーベルの諸作が強力過ぎて,絞るのは大変でしたが,最後の最後のAndrew CyrilleはWadada Leo Smithにより滑り込んだって感じです。あれがなければ,Bobo Stensonだったかなって気がします。

いずれにしても,本年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

Suzuckさん,こんにちは。TBありがとうございます。

はい。かなり濃厚にかぶっていると思います。Norma Winstoneなんて入れたかったですしねぇ。

こちらこそ本年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

すれ違い候補はPMかMWですかね。後者であれば,私は2日目に通しで参戦です。またお目にかかれば幸甚です。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2018年の回顧:音楽編(その2:ジャズ):

» 私的2018年ジャズベスト3 [ジャズCDの個人ページBlog]
昨年12月から今年11月までに聴いたアルバムの私的なベスト3をあげる時期になって [続きを読む]

» ★ すずっく2018 ジャズ・インスト 編 ★ [My Secret Room]
★ すずっく2018 ジャズ・インスト 編 ★ 年末になって、ECMの総裁マンフ [続きを読む]

« 2018年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外) | トップページ | 皆さん,よいお年をお迎え下さい。 »

Amazon検索

2018年おすすめ作