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2016年おすすめ作

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2018年10月31日 (水)

Lars DanielssonとPaolo Fresuが紡ぐショート・ストーリーズって趣。

"Summerwind" Lars Danielsson & Paolo Fresu (ACT)

_20181028今年の秋,私が聞いている新譜はほとんどECMで占められてしまっているが,それらがすべからくいい出来であり,まさに豊作と言ってもよい状態だ。そうした中で,ECMの諸作以上に,私の中で期待値が高まっていたのが本作。何と言っても,Lars DaielssonとPaolo Fresuのデュオなのだ。期待するなって方が無理なのだ。聞く前からこの二人による詩的な世界が広がることは大いに期待できた。

そうした中で,組み合わせの関係でなかなかデリバリーがされなかった本作がようやく届いたのだが,こちらの期待通りと言うか,想定通りの音が出てきて嬉しくなってしまう。そして,本作では最長の「ローズマリーの赤ちゃん」からの"Sleep Safe And Warm"でさえ,4分24秒,多くの曲が2分台という短い曲が並んでいて,二人の静かな対話によって紡ぎだされる短編小説集のような趣である。

やや,エレクトロニクスの風味も加えながら,演じられる15曲は穏やかな演奏に終始するが,秋口から冬場への音楽生活を,瑞々しいものにすること必定と言いたくなるような演奏群なのだ。もちろん,本来のジャズ的な強烈な刺激のある音楽ではない。しかし,こうした音楽を受け入れられないことの,度量の狭小さこそ馬鹿馬鹿しいと言いたくなるような優れたデュエット作品。間にバッハのカンタータ「目覚めよと我らに呼ぶ声あり」なんて曲(ってより,私にとっては「シューブラー・コラール」と言った方がわかりやすい)が挟み込まれるが,これこそそうした原理主義的リスナーに聞かせたいって感じである。

これだけ琴線に触れる演奏をされてしまっては,私としては星★★★★★とせざるをえない。たまらん。まいりました。

Recorded on May 14 & 15, 2018

Personnel: Lars Danielsson(b, cello), Paolo Fresu(tp, fl-h)

2018年10月30日 (火)

感動した!Joni Mitchellのワイト島ライブ。

"Both Sides Now: Live At The Isle Of Wight Festival 1970" Joni Mithchell (Eagle Rock)

Joni_mitchell_isle_of_wight_2デリバリーされてから結構な時間が経過していたのだが,ようやくこのBlu-rayのライブ部分のみを見る時間が取れた。

ワイト島のライブはいろいろな問題を提起した野外フェスティバルだった。無料なのか,有料なのかでもめにもめ,諍いが絶えなかったというのは後々知ったことであった。そのワイト島で開かれた第3回のフェスティバルは,MilesやEL&P,The Whoも出演したものだったが,そこにJoni Mitchellも登場し,彼女が相当ひどい目にあったということは,以前から知られていた。

フェスティバルの模様は“Message to Love: The Isle of Weight Festival"としてまとめられていて,コンピレーション音源としてもリリースされているが,そこで撮影された素材を使って再編集されたのがこの映像ということになるだろう。このディスクもコンサート部分と,Joniのインタビューを交えたドキュメンタリーの2つの映像から構成さえている。まずは私が見たのがライブの部分である。

全編を通じて,古い映像ゆえに画像は粗いし,音もPAはかなりハウリングしているし,サウンドそのものも貧弱なのはまぁ仕方がない。そこで展開されるJoniの演奏には,特に前半に相当に神経質になっているJoniの姿が捉えられている。そして,"Woodstock"を歌い終えた後のヒッピー,Yogi Joeの乱入によって,騒然となった聴衆に向かってJoniの放った,"Pay respect to us."等々の言葉により,聴衆は静まり,Joniも落ち着きを取り戻して更に歌うというプロフェッショナルぶりを示す。Joniが語ったのは「ネイティブ・アメリカンが行っている神聖な儀式の最中に,それに敬意を払わない観光客とあんたたちは同じよって!」ってことだが,まさに「毅然とした」とはこういう態度であって,その後のプロとしての演奏に,聴衆がスタンディング・オヴェイションを与えるのは当然のことのように思えた。

今にして思えば,こんなことになっていたのかと感じるが,音楽というものが生み出していた幻想を完膚なきまでに打ち砕いたフェスティバルだったと思える。若々しいJoniの姿を見ることができるのは実に素晴らしいことであるが,ドキュメンタリーゆえの「現実の辛さ」というものも表れている。双方の意義を認めて,私としては星★★★★★とするが,とにかく,痛々しささえ感じさせながらも,Joniの態度,歌いっぷりには本当に感動させられた。すべての人に必見とは言いにくいところもあるが,これが優れたドキュメンタリーであるという評価は揺るがない。

ここでの毅然としたJoni Mitchellの態度は,現代ならば,それこそ渋谷界隈でハロウインでバカ騒ぎする「他者への敬意を欠いた」うつけ者どもにこそぶつけられるべきものではないかと,映像を見ていて思ってしまった。

2018年10月29日 (月)

Simply Red: これまた懐かしいねぇ。

"A New Flame" Simply Red (Elektra)

_20181023_2このピンクを基調としたジャケは懐かしい。このアルバムがリリースされて,もはや30年近くなっているのだから,私もノスタルジーをくすぐられるのも仕方ない年齢になったってことである。本作については,私が在米中に,盛んに"If You Don't Know Me by Now"がエアプレイされていて,おぉっ,いい曲だと思っていたのも懐かしい。その"If You Don't Know Me by Now"はTeddy PendergrassがいたHarold Melvin and the Blue Notesがオリジナルだが,曲の持つ力は大きいなぁと思わせるに十分である。

Simply Red,誰がどう聞いてもBlue-eyed Soulである。黒人音楽にあこがれる白人がソウルを歌うとこうなるって感じだが,やっぱり軽いよねぇっていう感じはぬぐえない。この曲と,冒頭の"It's Only Love"(オリジナルはBarry White!)以外は,Mick Hucknallが曲作りに関わっているが,それっぽい雰囲気はちゃんと生み出しているが,黒人のグルーブとは違いが感じられるのは仕方ないところ。それでも,なかなかいい曲を書くと思わせる。

アルバムの最後に収められた"Enough"はなんとMick HucknallとJoe Sampleとの共作である。これって意外な感じがするものの,後年のアルバム"Home"でも"Something for You"と言う曲を共作しているから,何らかの縁があったってことだろう。そして,このアルバムでも2曲はLamont Dozierとの共作ってことなので,かなり念が入っている。強烈なシンパシー,あるいはリスペクトって感じだろう。

今聞いても,なかなかよく出来たアルバムだと思うが,先述の通り,軽いって感じはあるし,黒人だったらもっとねっとりした表現をするだろうなぁと思ってしまうのはまぁ仕方ないところである。まぁ,それでも結構曲は粒ぞろいだし,私としては結構好きなアルバムである。私は彼らのアルバムは本作と,次作"Stars"ぐらいしか保有していないが,この辺りが彼らのポピュラリティとしても絶頂期だったのだろうなぁと思う。今回,久しぶりに聞いてみて,何となくCulture Clubのデビュー・アルバム"Kissing to Be Clever"みたいだなぁと思った瞬間があったのは面白かった。つまりCulture Clubも元はBlue-eyed Soulだったてことだ。

そんな思いを抱えつつ,懐かしさも手伝って星★★★★。

Personnel: Mick Hucknall(vo), Fritz McIntyre(key, vo), Tim Kellett(tp, key), Chris Joyce(ds), Tony Bowers(b), Heitor T.P.(g), Ian Kirkham(sax), Lenny Castro(perc), Stephnie Spruell(vo)

2018年10月28日 (日)

保有していることすら忘れていたWilson Phillipsのアルバム。

"Dedicated" Wilson Phillips(Sony)

_20181023_2CDラックを漁っていて,なんだこれ?って思うことはあまりないのだが,このアルバムは保有していたことすら全く忘れていたアルバム。リリースされたのは2012年だからそんな前ではないのだが,どうしても思い出せない。聞いた記憶もあまりない(爆)。

そんな本作だが,企画アルバムである。彼女たちの親ゆかりの曲を歌う。つまりMamas & Papas,Beach Boysの曲を歌ってしまうという作品である。まぁ,"Dedicated"ってタイトル通りの作品ということもできる訳だが,安易と言えば安易この上ない。だからついつい斜に構えて聞いてしまうのだが,それだったら,買わなきゃいいじゃん!と言われれば返す言葉なしである。

まぁ曲についてはクォリティには全然心配ないのは当たり前だが,それをどう料理するのかというところにカヴァー・アルバムの価値が出るのだが,一聴して普通だなぁと思わせる。コーラス・ワークは彼女たちらしいが,これって親の七光りだろうって思われても仕方ないぐらい平凡な出来なのが気に入らない。曲の力が強さゆえの部分があるのはわかるが,チャレンジする気概が感じられず,一丁上がり的な出来と思えてしまうのが残念。彼女たちの復活作"California"もカヴァー・アルバムだったが,あっちの方がはるかに楽しめたと思うのは私だけか?あっちはやはりPeter Asherという名プロデューサーを得たのが大きかったと思わざるをえない。曲のよさに免じて星★★☆とするが,これははっきり言って失敗作。

Personnel: Wison Phillps(Carnie Wilson, Wendy Wilson and Chynna Phillips: vo), David Levita(g), Zac Rae(key), Simon Smith(b), Blair Sinta(ds, perc), Rob Bonfglio(g, synth, perc, vo)

2018年10月27日 (土)

これまた久しぶりに山下洋輔の"Sakura"を聞く。

"Sakura" 山下洋輔(Verve)

_20181022前にもこのブログに書いたことがあるかもしれないが,高校生の頃,私は全く山下洋輔のやっている音楽が理解できなかった。若いくせに音楽は調性の範囲で生き,そして破壊する衝動なんかなかった,ある意味全然面白くない高校生であった(苦笑)。

そんな私がようやく山下洋輔の音楽に目覚めたのは"Montreux Afterglow"を聞いてからだが,その演奏ぶりはまさに爽快だと思うようになってしまうのだから,人間どう変わるかわからない。私にとっては,山下洋輔は,中村誠一~森山威男,あるいは坂田明~森山威男,もしくは小山彰太とやっている頃が最高の山下洋輔だと思っている。もちろん,武田和命,林栄一とのトリオ+1だっていいのだが,やはり山下洋輔はドシャメシャな音楽をやって欲しいのである。

今や大ヴェテランであり,巨匠の領域に入ったと言ってもよい山下洋輔であるが,私は最近の山下洋輔の音楽にはほとんど触れるチャンスがなくなってしまった。これは私の音楽的な嗜好の変化もあるし,ライブに足を運ぶための時間の調整の難しさゆえってこともあるが,多分,このニューヨーク・トリオの結成以来,やや保守化した感じがあることも影響しているのではないかと思っている。以前ほどの激しさは,このトリオ結成以来,あまり感じなくなったのは紛れもない事実なのだ。

真っ当なジャズとして聞いている限りは全然問題ない。だが,これは私が没入した山下洋輔の音楽とはちょっと違うのである。つまり,山下洋輔の音楽としてではなく,ジャズ・ピアニストの音源として聞けば,非常に魅力的に響くのだが,感覚的な違いと言うか,結局は受け手側の問題である(きっぱり)。「砂山」とか「うさぎのダンス」とかも再演しているが,やっぱりここにはもう少しの激しさと坂田明が欲しいと思ってしまうのだ。もちろん,多分今でもライブの場では,肘打ちもこぶし打ちもやるんだろうが,年齢からしてももはや洋輔も76歳なんだから,落ち着いてきても文句は言えない。それでもなのである。このアルバムがレコーディングされたのは30年近く前なのだ。多分,録音のせいもあるとは思うのだが...。

いずれにしても,そうした違和感はあるものの,この音楽は今回久しぶりに聞き直してみて,実によくできたピアノ・トリオのアルバムという感じであった。星★★★★。

Recorded on May 1-3, 1990

Personnel: 山下洋輔(p),Cecil McBee(b), Pheeroan akLaff(ds)

2018年10月26日 (金)

超懐かしいBenoit~Freeman Project

"The Benoit Freeman Project" David Benoit / Russ Freeman(GRP)

_20181021_3私がNYCに在住していた1990年~92年の期間,私の生活のかなりの部分(少なくとも自宅にいる時間帯)は,FM放送に相当世話になっていた。特にWQCD-NY,またの名をCD101.9には本当に世話になった。時はスムーズ・ジャズ全盛期。WQCDのジングルにもほとんどの場合,Smooth Jazzという言葉が差し挟まれていたのも懐かしい。

スムーズ・ジャズってのは結局のところ,クロスオーバー/フュージョンの耳心地を更によくして,イージー・リスニング的な要素を強めていた音楽だと言ってよいだろう。代表的なミュージシャンはKenny Gだったり,今回の主役であるDavid Benoitだったり,Russ Freemanだったりした。そういう意味では,ハイブラウなジャズを志向するリスナーにはかなりバカにされるタイプの音楽だったと言ってもよいだろう。だが,私にとってはRuss FreemanがRippingtonsでやっていた音楽は,リズムが結構強調されていて,心地よいドライビング・ミュージックだったと言ってよいと思う。一方のDavid Benoitの方は,Richard ClaydermanとBill Evansをミックスしたような感じだとずっと思っていた。そんなDavid BenoitがRuss Freemanのライブ盤に1曲ゲストで出てきたときには,へぇ~と思ったのも懐かしい。まぁ,ダブルビルでライブをやって,前半にBenoitが出て,後半のRippingtonsのライブに出てきたってことだろうが...。

そうした中で,当時,フュージョン系のミュージシャンを皆傘下に収めていたレーベルが,この2人を共演させるというのはわからない訳ではないが,本当にやってしまうか~っていうことで,実は大いに期待してこのアルバムを購入したのも非常に懐かしい。出てきた音楽は,まさにこの2人のハイブリッドって感じだったが,そこにKenny Logginsが華を添えたりということで,レーベルとしても相応のセールスを期待したことは間違いないだろう。

このアルバムも,多くの曲が2人による共作で占められていることから,単なるセッション・アルバムではなく,ちゃんと,「プロジェクト」として作ったアルバムであることは好感度を高める要素となっていると思うが,出てくる音はまぁ予定調和的である。それをよしとするかしないかでこの音楽に対する感覚は大きく違ってしまうのは当然である。私の場合は,まぁいいんじゃないって感じだが,それでも結構取り出しやすいところに置いてあるってことは,結構好きなのだ(笑)。正直言ってしまうと,このアルバムはずっと実家に置いてあったものを帰省のタイミングで持ち帰ったものなのだが,安定した音は今聞いても楽しいって感じか。不思議と古臭さを感じさせないのは,打ち込みとかを使わず,ちゃんと演奏しているからだろうと思うが,今の時代でもこういう音楽を作る人はいるよねぇなんて思ってしまう。

いずれにしても,リリースされてもはやほぼ四半世紀ってのも信じがたいが,それでもこういう音楽が,引き継がれて今はChris Bottiが当時の彼らの役割を果たしているってことなのかなぁなんて思ってしまった。今にして思えば,ちょっと甘めの星★★★☆ぐらいには評価してもいかなぁってところか。毒にも薬にもならないって声も上がりそうだが,それが何か?(爆)

Personnel: David Benoit(p), Russ Freeman(g, b, key, synth, perc), Nathan East(b), Abe Laboriel(b), John Robinson(ds, perc), Mike Baird(ds), Tony Morares(ds), Steve Reid(perc), Kenny Loggins(vo), Phil Perry(vo), Vesta(vo), Anjani Thomas(vo), Steven George(vo), Jerry Hey(tp, fl-h), Gary Grant(tp), Dan Higgins(as) with Strings

2018年10月25日 (木)

Rachael Yamagataの新譜EPにしびれる。

"Porch Songs" Rachael Yamagata (Download Only)

Porchsongs私はデビュー以来のRachael Yamagataのファンである。彼女の音源はほぼすべて保有しているし,彼女がクラウド・ファンディングでアルバムを制作するというなら,喜んで協力してしまうぐらいのある意味「熱烈」なファンである。

そんな彼女が前作"Tightrope Walker"以来約2年ぶりにEPをリリースしたのが本作である。彼女の魅力はその声と,内省的でありながら極めて魅力的な曲調にある。今回のEPでもその魅力は健在であり,私の心を鷲掴みにしてしまう曲が揃っているではないか。まじでく~っと唸ってしまった。だから彼女の音楽は最高だと思う訳で,今回も現状はダウンロード・オンリーの音源で我慢するが,そのうち媒体が出れば,間違いなく買ってしまうと思う。

ダウンロード・オンリーなので,詳細のクレジットはわからないが,そんなことは関係なしに,本当に彼女の書く曲の素晴らしさに改めて感服した私である。Rachael Yamagata親衛隊(笑)としては当然星★★★★★。

彼女はこの秋,台湾,韓国,中国などを回るアジア・ツアーに出るが,今回も日本はスキップされてしまった。なぜなのか私にはよくわからないが,どうしても解せない。よほど嫌なことでもあったのか?いずれにしても,こんな音源を出されてしまっては,できるだけ早い時期の再来日を期待するだけである。

2018年10月24日 (水)

安値で入手したMatthew Stevensの初リーダー作。

"Woodwork" Matthew Stevens(Whirlwind)

_20181021_2_2HMVではまとめ買いで,大幅値引きってのを結構頻繁にやっている訳だが,どうしても欲しいCDでも,やはり金額は圧縮したいということで,ターゲットとなるアルバムと併せて購入するCDについては,本当に欲しいものか,お買い得感があるものに限定してしまうというのが,私の常々の行動パターンである。本作も,何かとのまとめ買いで購入したものだが,その段階でバーゲン品扱いになっていて,結構安かったので,まぁいいかってことで購入である。

私はMatthew Stevensの生をBlue Note東京でのEsperanza Spauldingとの共演の時に見ているが,その時にも実力のあるギター・プレイヤーだと思っていた(記事はこちら)。Matthew Stevensに限らず,現在のジャズ界には,有望なギタリストが多数いるので,その中ではまだまだこの人の認知度,あるいは実力の評価は日本では必ずしも十分ではないかもしれない(そう思っているのは私だけ?)が,決して無視できない実力を持っていることは,Esperanzaとのライブでもわかっていたが,このアルバムを聞いても,作曲能力を含めて,この人実力は侮れないと思える。

昨今のギタリスト同様,曲は変拍子が炸裂するし,とんでもないフレージングをかますなど,ほかの有望なギタリスト同様のプレイぶりである。そして,ジャズ的な興奮というのも兼ね備えていて,本当に最近のミュージシャンは実力あるねぇと再確認させられる。David Bowie作"Sunday"を除いて,リーダーの曲で占められているが,やはりこちらも実力を感じさせる。

コンベンショナルと言うよりも,コンテンポラリーな響きな中で,新世代のジャズ・ギターってのはこういう感じだよねぇってことを強く感じさせるアルバム。様々な音楽スタイルを吸収して,エレクトリックでもアコースティックでも味わい深い演奏を聞かせるのは本当に大したものだと思う。今後に期待を抱かせるに十分なよくできた初リーダー作。星★★★★。

Recorded on May 26 & 27, 2014

Personnel: Matthew Stevens(g), Gerald Clayton(p), Vicente Archer(b), Eric Doob(ds), Paulo Stagnaro(perc)

2018年10月23日 (火)

一聴,KeithのEuropean Quartetを想起させたTrygve Seimの新作

"Helsinki Songs" Trygve Seim((ECM)

_20181021書きかけていながら,途中で止まっていた記事を今更ながらアップしよう。振り返ると,1カ月近く放置してしまった。

豊作が続く秋のECMレーベルであるが,これまたいいアルバムである。サックス奏者,Trygve Seimが,ピアノにこれもECMにおける注目株であるKristjan Randaluを迎えた新作だが,一聴して思い浮かべたのがKeith JarrettのEuropean Quartetであった。特に冒頭の"Sol's Song"に聞かれる牧歌的にも,フォーク的にも響く展開がそう感じさせたのは間違いないところで,そうした第一印象を与えるに十分な響きであった。

曲によっては,静謐な展開もあり,まぁ必ずしもKeith的ではないなぁと思わせるが,全編に渡って,粒揃いの曲が並んでいて,これは結構多くのリスナーに受け入れられるのではないかと思わせる。

タイトルに"Helsinki Song"とあるのは,ライナーにあるように,リーダー,Seimがフィンランド,ヘルシンキにあるフィンランド作曲家協会のアパートメントの滞在中に,ここに収められた曲のほとんどを作曲したことによるものだろう。Trugve Seimはノルウェイの人だが,やはり地域的な近接性で通じ合うところもあるんだろうねぇ。

Trygve Seimはその見た目からは想像できないような(笑),リリカルな旋律を生み出しているが,それを支えるKristjan Randaluのピアノが楚々として美しい。こういう音楽を聞いていると,私はまんまとECMの総帥,Manfred Eicherの思うつぼにどんどんはまり込んでいっている気がするが,それでも好きなものは仕方ないのだ。

これもECM好きにはすんなり入ってくる音楽だと思うが,一般的な音楽,あるいはジャズのリスナーにとってはどうなのかなぁと思わせる部分もある。しかし,このスタイリッシュな響きを聞いていれば,私には満足度が高かった。ということで,原則,私はECMには星が甘いがこれも,星★★★★☆としてしまおう。

Recorded in January, 2018

Personnel: Trygve Seim(ts, ss), Kristjan Randalu(p), Mats Eillertsen(b), Markku Ounaskari(ds)

2018年10月22日 (月)

Hans Otte: このミニマルな響きがたまりまへん。

"Das Buch der Klänge" Herbert Henck(ECM New Series)

_20181019_3Hans Otteという作曲家については今まで聞いたこともなかったが,Herbert HenckがECMで弾いているんだから,これも買ってしまうのが「性」である。

一体どんな音楽なのかということで,プレイバックした瞬間から,美しい和音に彩られたミニマルな響きに思わず嬉しくなってしまった私である。この音,私の好物なのだ(笑)。Hans Otteという人は作曲家でありながら,同時代の現代作曲家を招聘したコンサート・シリーズも開催していたようだ。そうした点を考えれば,このミニマルな響き具合はどういうことなのかとも思えるが,ネット上の情報によると,この人のほかの曲は結構小難しい中,この作品だけが例外のようにも受け取れる。

だが,例外だったとしても,この美しい響きに身を委ねれていれば,私は満足してしまうのだが,Hans Otte自身,この音楽について,"Rediscovers the listners as a partner of sound and silence, who in the quest for his world, wishes for once to be totally at one with sound"なんて言っているようだから,これってやっぱりECMのコンセプトに合致するよなぁなんて思ってしまう。一部アブストラクトな響きも出てくるが,それも含めて心地よい。

この曲のタイトルは英語にすれば,"The Book of Sounds"である。「響きの書」とはまさに言い得て妙。ECMらしいサウンドと相まって,私はこのアルバムのプレイバック中,結構な至福感に浸っていたことを告白してしまおう。いや~気持ちよかった。星★★★★★だ。

Recorded in September, 1997

Personnel: Herbert Henck(p)

2018年10月21日 (日)

聞いていて嬉しくなってしまうPedro AznarとDavid Lebonのデュオ作。

"Teatro ND Ateneo Marzo 2007 Vol.1" Aznar Lebón (Tabitz)

_20181019_2歌手としてのPedro Aznarはあの声の魅力が何よりだと思う。このアルバムはDavid Lebónとのコンビで残したライブ盤だが,キーボードを加えた小規模な編成で,彼らのヴォーカルが聞けるのは何とも嬉しいものである。

Pedor AznarはPat Metheny Groupでの活動でもよく知られているが,ここで相方を務めるDavid Lebónはよく知らないので,調べてみると,Pedro Aznarと同じくアルゼンチン出身のマルチ奏者,歌手ということである。ギターを主楽器にしていて,ここでの演奏もいいソロが並んでいて侮れないと思わせる。彼の声がAznarと重なると,これが実に心地よく,響きとしてはAORと言ってもよいような曲が並んでいてカテゴリーが難しいが,アルゼンチンを代表するミュージシャンの共演という気がする。

私がこのアルバムを購入した動機は間違いなく,Pedro Aznarだったとは思うが,予想を越える良さだったという気がする。並んでいる曲は彼らのオリジナルで,知っている人は知っているのだろうが,私にとっては新鮮な曲ばかりである。いずれにしても,このアルバムは彼らの声にまいるというのが,正直なところ。リリースから10年以上経過しているが,私がこれを聞くのも実に久しぶりのことであった。そのうち,Vol.2も聞くことにしよう。星★★★★。

Recorded Live at Teatro ND Ateneo in March, 2007

Personnel: Pedro Aznar(vo, g, b, p), David Lebón(vo, g, hca), Andres Beeuwaert(key, vo)

2018年10月20日 (土)

仕事が忙しく記事が書けなかったが,今日はWoody Shawで。

"At Onkel Pö's Carnegie Hall Vol. 1" New Woody Shaw Quintet(NDRInfo)

_20181019ここのところ仕事が忙しく,記事のアップが滞ってしまった。と言っても2,3日なので,大したことはないのだが,ストック記事がアップされていただけなので,実は記事を書くのはちょっと間が空いていたのだ。

ってことで,今日はWoody Shawである。Woody Shawの未発表音源も続々発掘されているが,これはドイツでの1982年のライブの発掘音源。現地の放送局の録音なので,音のクォリティには全く問題ない。そして,Vol.1となっているので,続編も期待できるってことか。

ここでNew Quintetと言っているのは,Columbiaレーベルの最終作となった"United"でお目見えしたSteve Turre入りのクインテットである。晩年のWoody Shawの作品を支えた面々による演奏は,やはりレベルが高いと思わせる。そして,ここに収められているのは長尺の演奏で,最短の"To Kill a Brick"でも13分越えなのだが,全然だれる感覚がないのが立派である。まぁ,ちょっとベースのStafford Jamesの音の増幅ぶりには辟易とさせられる部分もあるが,それは無視できるレベルの瑕疵ってことにしておこう。

4曲中3曲はWoody Shawのオリジナルだが,いい曲書くよねぇって感じである。そして,Woody Shawの話し声の渋いことよ。Woody ShawのMCは本当に渋いといつも思ってしまう私である。もちろん,曲もよいのだが,私がいつもWoody Shawを聞いていていいねぇと思うのはそのアドリブ能力ゆえである。本当にうまいと思わせるし,バンド・メンバーも同様なのだ。いいバンドを率いて,素晴らしい音源を残しながら,この7年後に亡くなってしまったのは実に惜しいことであった。

そうしたWoody Shawの実力を偲ぶには最適な作品と言ってもよい佳作。星★★★★☆。いつもながらだが,やっぱりWoody Shawはいいねぇ。

Recorded Live at Onkel Pö's Carnegie Hall on January 13, 1982

Personnel: Woody Shaw(tp, fl-h), Steve Turre(tb), Mulgrew Miller(p), Staffoed James(b), Tony Reedus(ds)

2018年10月17日 (水)

丁寧に作られたLaura Nyroトリビュート・アルバム

”Time And Now: The Music of Laura Nyro" Various Artists(Astor Place Recordings)

_20181014私はLaura Nyroも昔から結構好きで,アルバムも相応の数を保有している。早いもので彼女が亡くなってから20年以上が経過しているが,今でも彼女の曲は魅力的に響くし,多くのミュージシャンから今でも愛されているはずである。2014年にリリースされたBilly Childsのトリビュート作なんて,涙が出るほど素晴らしかった(記事はこちら)。

しかし,彼女を追悼するという意味で,彼女が亡くなってほどなくリリースされたこのアルバムも忘れ難い。アルバムのプロデュースは,懐かしやFifth Avenue BandのPeter Gallwayが務め,日本ではあまり知られていないミュージシャンも含めて作られたアルバムは,コンピレーションでありながら,Laura Nyroの曲の魅力を掘り起こすとともに,尊敬を込めて演奏されたという点で,非常に好感度が高いのである。女性ミュージシャンによる演奏となっているのは,昨日取り上げたDionne Warwickと同じなのだが,私としては全然レベル,と言うか志が違うと言いたい(きっぱり)。

多くはSSW/フォーク系からミュージシャンが集まっているが,その中で異色なのは,唯一インストで勝負するLeni Stern。この曲のプロデュースがLarry John McNallyってのもへぇ~って感じだが,バックにはまだ当時は若手であっただろうTim Lefevre,Lionel Cordew,そしてヴェテラン,Don Aliasの名も。落ち着いた雰囲気で,しっとりと"Upstairs by a Chinese Lamp"を演奏している。また,女性アカペラ・グループ,”When I Die"も結構雰囲気は違うが,好き嫌いは別にしても,ユニークなアダプテーションと言える。最後のDana BryantはBill Laswellがプロデュースということもあり,全編スクラッチ炸裂で一筋縄ではいかないが,これはこれでってことで(笑)。こんなところにKarl Bergerの名前を見つけると思わなかったが。

まぁ,でも一番しびれる出来だと思ったのはPatty Larkinが歌った"Poverty Train"だったかもなぁ。この人,決してメジャーにならないが,このダークな感覚,いいねぇ。Holly Coleが歌った"Sweet Blindness"はバックのサウンド含めて高得点って感じである。

こうしたコンピレーションゆえに,玉石混交は仕方ないところではあるが,先述の通り,Laura Nyroへのリスペクトが強く感じられるという点では評価したくなってしまうアルバム。星★★★☆。でも音楽的質では,Billy Childs盤の方が圧倒的にハイ・レベルだが。

尚,参加ミュージシャン多数につき,詳細パーソネルは省略。

Personnel: Phoebe Snow(vo), Jill Sobule(vo, g, sarongi), Suzanne Vega(vo), Roseanne Cash(vo), Jane Sibbery(vo), Beth Neilsen Chapman(vo), Lisa Germano(vo), The Roches(vo), Sweet Honey in the Rock(vo), Jonatha Brooke(vo, g), Holly Cole(vo), Leni Stern (g), Dana Bryant(vo)

2018年10月16日 (火)

Dionne Warwickのデュエット集だが,さすがにこれは安直過ぎたねぇ。

"My Friends & Me" Dionne Warwick(Concord)

_20181013_3Dionne Warwick,誰も彼女が素晴らしいヴォーカリストであることに異論はないだろう。彼女が歌ったBacharach~Davidのコンビの名曲の数々は,時が過ぎようと,その輝きが失せることはないと言いたい。

Dionne Warwickのような往年の名歌手たちが,いろいろな人とデュエット・アルバムを作るって言うのは,Frank Sinatoraがまずやったように思うが,その後も同じような企画が見受けられる。そうした中で,このDionne Warwickのアルバムは,女性ヴォーカリストだけとデュエットしたという点がちょっと新しいと言えば新しいかもしれないが,正直言ってあまり感心ができない出来に留まっているのは残念である。

曲は,彼女のオールタイム・ベストみたいな選曲であり,その魅力は不滅のはずなのだが,どうも盛り上がらない。驚きがないというのが一番の問題で,特に私にとってこのアルバムが魅力的に響かないのは,打ち込みを多用したバッキングにあるように思える。Dionne Warwickの歌う曲は,誤解を恐れずに言うならば「昭和歌謡」みたいなものなのだ。「昭和歌謡」には「昭和歌謡」としての魅力がある訳で,それを打ち込みで現代的にアレンジするのは絶対ないとは言わないが,アルバム全編でそれをやれば,やはり違和感があるはずだ。このアルバムのおかした愚はそういうところにあると思える。

もちろん,曲はいいものばかりだから,それなりには楽しめるってところもあるのだが,印象は決してよくない。ベテラン勢と若い世代を混在させようとしたところにも,無理を感じてしまうのである。例えば,Lisa Tuckerってのは"American Idol"のファイナリストらしいが,こういう人を敢えて入れるというところは,後進の育成って感じではいいとしても,プロダクションとしてのあざとさを感じさせるのだ。新人ちゃんたちは,Dionneとデュエットできるだけで舞い上がるのかもしれないが,こっちはどんどん冷めていくってところか。どうせなら,最後の最後でCelia Cruzと"Do You Know the Way to San Jose"をやったように,サルサに仕立てる方が潔いし,ずっと楽しいと思うのだが。

ということで,久しぶりに聞いたこのアルバムだが,ケチばかりつけたくなるような作品であった。まじでつまらん。曲に免じて星★★。これは売りだな(爆)。

Personnel: Dionne Warwick(vo), Gloria Estefan(vo), Cindi Lauper(vo), Mya(vo), Gladys Knight(vo), Kelis(vo), Reba McEntire(vo), Wynonna Judd(vo), Lisa Tucker(vo), Olivia Newton John(vo), Cheyenne Elliott(vo), Angie Stone(vo), Chante Moore(vo), Deborah Cox(vo), Da Brat(vo), Celia Cruz(vo), Grecco Burratto(g), Teddy Harmon(b, key, prog), Damon Elliott(key, ds, prog)

2018年10月15日 (月)

"Rainbow Seeker":懐かしい響きである(笑)。

"Rainbow Seeker" Joe Sample (MCA)

_20181013_2このアルバムがリリースされたのは1978年。もう40年前のことである。今聞けば,やっぱり時代を感じてしまうなぁってところもあるが,これがJoe Sampleのソロ・アルバムとしては代表作の一枚であることに異論はないところだろう。曲には古臭さってあまり感じないのだが,やはりアレンジ,サウンド,特にギターに関しては,40年という月日を感じてしまうのだが。

Joe Sampleはそのアコースティック・ピアノの響きの美しさには定評のあるところだが,このアルバムはまだまだそういう感じではない。これはミックスのせいもあるとは思うのだが,後年のエンジニアであれば,多分違う録り方をしていただろうなぁなんて想像を巡らせてしまう私である。それでも"Melodies of Love"なんて響きはイマイチながら,リリカルなもので,このアコースティック・ピアノとRhodesの組合せがたまらんねぇ。Joe Sample,アコピの代表曲と言ってもよい"Fly with Wings of Love"もいいしねぇ。だからこそ,このクリアさに若干欠ける録音がイマイチに感じてしまうのだなぁ。もちろん,それは我が家のオーディオ・セットがしょぼいだけだって話もあるが(爆)。

いずれにしても,私の人生において,長いことこのアルバムには世話になっているよなぁ,なんて思うのも事実。「甘酸っぱい記憶」とは無縁だが,何年も聞いてるんだから,やっぱり好きなんだろうねぇ。真っ当に評価すれば,星★★★☆ぐらいにも思うが,半星オマケして星★★★★としてしまおう。

今回,改めてライナーを眺めていて,Joe Sampleのこのアルバムのジャケットを撮影したのがNorman Seeffと知って,へぇ~となった私である。なるほど,確かにそういう感じだもんね。

それにしても,私が保有しているのははるか昔の国内盤のCDであるが,そこに付された1979年当時の青木和富のライナーが笑える。「去年の夏,ぼくのターンテーブルは,毎日のようにこのレコードとデートした。」って赤面確実。これもまた時代の産物だよなぁ。

Personnel: Joe Sample(p, el-p, key), Robert Popwell(b), Stix Hooper(ds, perc), Ray Parker(g), Dean Parks(g), Billy Rogers(g), David T. Walker(g), Paulinho DaCosta(perc), Garnett Brown(tb), Ernie Watts(sax, fl, piccolo), Fred Jackson(sax), William Green(sax, fl, piccolo), Robert O. Bryant(tp), Jay Daversa(tp), Steven Madaio(tp)

2018年10月14日 (日)

今更ながら超豪華な作りに驚くLinda Ronstadtの”Cry Like a Rainstorm, Howl Like the Wind"

"Cry Like a Rainstrom, Howl Like the Wind" Rinda Ronstadt Featuring Aaron Neville(Elektra)

_20181013今から30年近く前にリリースされたアルバムである。私の記憶に間違いがなければ,私は本作がリリースされてすぐに入手しているはずだ。Aaron Neveilleとのデュエット曲も収められていて,前々からいいアルバムだとは思っていたが,ここ数年はトレイに乗せる機会もなかったので,改めて聞いてみた。

そして驚かされるのが,その豪華な作りである。ほとんどの曲に,映画音楽等でもおなじみのSkywalker Symphony Orchestraがフル・オケで伴奏をつけているのだ。更にはゴスペル・コーラスは80人近い陣容を揃えているのだ。これを「無茶苦茶豪華な作り」と言わずして何と言う,と思いたくなるほどゴージャスな作りである。これはより多くのオーディエンスに訴求することを目的としたアルバムであり,製作費が掛かっても,300万枚以上米国で売れれば,完全に元を取っているという作品である。プロデューサーのPeter Asherのビジネス・センス恐るべしというところだろうか。

タイトル・トラックはEric Justin Kazが残した名曲だが,オリジナルとは全然雰囲気が違うが,こういうのもありだと思わせる。それ以外の曲も,Jimmy Webb,Barry Mann,Karla Bonoff,そしてPaul Carrackといい曲を揃えてくるねぇと思わせる。 "Trouble Again"みたいなKarla Bonoffの曲とのフィット感なんてたまりませんなぁ。そうした中で異色と言えるのはIssac Hayesの"When Something Is Wrong with My Baby"だ。これはAaron Neveilleに花を持たせるための選曲って気もするが,ほかの曲に全く違和感なく混じっているのは結構凄いことのように思える。

まぁ,ある意味バブリーな作りって気がしないでもないが,それでもこの選曲眼,この歌唱力は認めざるをえないと思える佳作。星★★★★。このジャケにはちょいと引くが,やっぱりLinda,歌うまいわ。

Personnel: Linda Ronstadt(vo), Aaron Neville(vo), Jimmy Webb(p), Don Grolnick(p), Robbie Buchanan(org, key), William Smith(org, key), Dean Parks(g), Michael Landau(g), Andrew Gold(g), Lee Sklar(b), David Hungate(b), Carlos Vega(ds), Russ Kunkel(ds), Mike Fisher(perc), Peter Asher(perc), Rosemary Butler(vo), Arnold McCuller(vo), Jon Joyce(vo), Brian Wilson(vo) with Skywalker Symphony Orchestra, Oakland Interfaith Gospel Choir and Tower of Power Horn Section

2018年10月13日 (土)

Michael Nyman, アンビエントだ...。

"Decay Music" Michael Nyman(Obscure)

_20181010同じようなことをしょっちゅう書いているような気もするが,つくづく私もいろいろなCDを持っているものだ。保有していることは認識していても,ほとんど聞かない。そんなCDは実はいくらでもある訳だが,これなんか,クロゼットの奥深くに眠っていた訳ではなく,比較的取り出しやすいところに置いておきながら,ほとんど聞いたこともないのではないかと思えるアルバムなのだ。

もともとこのアルバムはEnoが主宰したObscureレーベルからリリースされたもので,基本的には現代音楽として捉えていいものだろう。かつ,これがMichael Nymanのデビュー・アルバムである。冒頭に収められた"1-100"は100種類の和音を延々弾き続けるというものであり,このゆったりしたテンポは,まさにアンビエントと呼ぶに相応しい。ひたすら奏でられる和音は,どうやってもリスナーに睡魔をもたらす。それが心地よいと思えるか,退屈と感じるかで,この音楽に対する感覚は全く違うものになってしまうだろう。因みに私は当然のことながら前者である(きっぱり)。

2曲目のパーカッションのみで演じられる"Bell Set No. 1"になると,ややアブストラクトな感覚が増すが,それでも音量を落とせば,これも完全にアンビエントの世界である。本CDにはボーナス・トラックとして"1-100"の"Faster Decay"が収録されているが,全然高速感はなく,ここでもアンビエントそのものである。こういう音楽って評価が難しいよなぁと思いつつ,環境と一体化した音楽としては確かにそんな感じである(笑)。

後々,Michael Nymanは映画音楽への取り組みを強化していくが,これが彼のもともとの音楽性の一つってことで,興味深いアルバムである。ただ,これって本当に誰が聞くのかと思いつつ,CDは廃盤らしく,とんでもない値段がついているが,ストリーミングで簡単に聞けるので,何も購入する必要もないかもしれないなぁ。星★★★★。

Personnel: Mychael Nyman(p, perc), Nigel Shipway(perc)

2018年10月12日 (金)

久しぶりに聞いたLyle Maysの初リーダー作

"Lyle Mays" Lyle Mays(Geffen)

_20181008_3このアルバムを聞くのも久しぶりである。そもそも私がLyle Maysを見たのも,2008年暮れから2009年初頭に掛けてのPat Metheny GroupのBlue Note東京におけるリユニオン・ライブ以来だから,もうそれから10年近くが経過していることになる。その後,Lyle Maysは半ば引退状態にあると思われ,シーンへの復帰は夢のまた夢ってところかもしれない。Pat Methenyがせっせとライブ活動で稼いでいるとのとは対極みたいな感じである。

このアルバムを改めて聞いてみて,Pat Metheny Groupにおいて,Lyle Maysが果たしていた役割ってのは結構大きかったんだろうと思える。映画音楽的とも言えるドラマチックな展開と,フォーク・タッチが混在させながら,音楽は極めてリリカルというのは,初期のPat Metheny Groupに通じるものがある。このアルバムのジャケットのごとく,ある風景を切り取ったような展開には,実に瑞々しい感覚をおぼえてしまった。

そして,このアルバム,レコーディングはNYのPower Stationで行われているが,エンジニアにはRainbow StudioのJan Erik Kongshaugをわざわざ呼び寄せているのだ。Lyle MaysがECM的なサウンドを狙ったかどうかは定かではないが,音楽的な方向性として具現化するために,Kongshaugのサポートを必要としたということではないかと思える。

アルバムを聞いていると,静かに時間が流れていくが,BGMとしてだけでなく,鑑賞音楽として確実に機能する非常に質の高い作品。このアルバムが吹き込まれた85年はPMGで言えば"First Circle"と"Still Life (Talking)"の中間に位置するが,彼らが最も脂が乗った時期だったということはこのアルバムが実証していると思える。改めて評価に値するアルバム。星★★★★☆。

Personnel: Lyle Mays(p, synth, autoharp), Alejandro N. Acuna(ds), Billy Drewes(as, ss), Bill Frisell(g), Marc Johnson(b), Nana Vasconcelos(perc)

2018年10月11日 (木)

NYC出張中の夜遊びを振り返る(笑)。

先般の出張後半はNYCで過ごすことになっていたので,都合がつく限り,現地でのナイト・ライフを満喫しようと思っていた。モントリオールからの移動当日こそ,体力的に限界かなぁと思って,夜遊びは回避したのだが,当日,55 BarにはAdam Rogers,Oz Noyという2ギターがFima Ephron,そしてGene Jacksonというメンツで出るのがわかっていて,大いにそそられていたのだが,それはやっぱりもったいなかったなぁと帰国した今も思っている。やっぱり行くべきだったなぁ(苦笑)。

Chris_dave_at_bn_v1まぁ,それは仕方ないとして,NYC滞在2日目は,出張前から予約を入れておいたRobert Glasper Trioを見るために,Blue Noteへ出向いた。Robert Glasperは10月は24日間,48公演を様々なフォーマットでこなすという荒技に対応しているが,今回はChris Dave,Derrick Hodgeというメンツであった。私の目当ては,Chris Daveだったのだが,目の前で見たChris Daveはやはり強烈なドラマーであった。ブラシを使ってもファンク・フレイヴァーを醸し出すそのグルーブ感はたまらないものがあった。トリオとしての演奏は,Glasperのジョークが長過ぎて,もう少しまじめに演奏しろよと言いたくなる部分もあったが,当日Herbie HancockがBlue Noteに来ていたらしく,Herbie Hancock的なフレージングを交えたエレクトリック・サウンドを聞かせて,楽しめるものだった。でもやっぱりこの日はChris Daveである。彼を見るために予約したようなものだったが,正解であった。しかし,やっぱりNYCのBlue Noteブルーノートは狭過ぎである。隣のテーブルとの間隔がこんなに狭くては,身動き一つ取れない。音楽はさておき,アメニティという観点では最悪のクラブであることは,今も昔も変わらない。だからここは前から嫌いなんだよなぁ。 

Wk_at_55_bar_100418_3そして,Blue NoteのGlasperが1stセットだったのは,せっかくVillageまで行くのであれば,はしごも狙えるだろうという考えもあった。体力的には正直この日も厳しかったのだが,なかなか告知されなかった55 BarにはWayne Krantzが出ることがわかったので,これは行くだろうということで行ってきた。今回は久しぶりにバーの隅っこから聞いていたが,バーの真ん中で立っている長身の兄ちゃんがいて,ちょっと視覚的には厳しいところがあった。まぁ,視覚的な部分はさておき,音が聞ければいいのだからいいのだが,今回は前にも書いた通り,Bill Frisellとの共演が多いTony Sherr,Kenny Wollesenというリズムを従えての演奏だった。セット終了後,Wayneとちらっと話したのだが,半年ほど前に,彼らと共演したのが初めてで,今回は2回目の共演だったらしい。その割には,Wayne Krantzが日頃やっている音楽と何も変わらんと思わせて,やはり有能なミュージシャンは何でもできるのねぇと妙な感心の仕方をしてしまった。写真はバーの横から撮影したものなので,暗い上に,かなりフォーカスも厳しいが,まぁ雰囲気ってことで。

NYC3日目は,これも予約を入れておいたKenny Werner Quartet@Jazz Standardである。先日も書いた通り,これはDave Liebman,Esperanza Spalding,そしてTerri Lyne Carringtonというメンツに惹かれたところが大きい。当日,Esperanzaは風邪のため欠場し,Dimitri なんとか(名前を聞き取れず)というベースがトラで入っていたが,演奏自体に破たんはなかった。今回はあくまでもKenny Wernerのバンドであるから,Dave Liebmanが入っていると言っても,Liebman節はやや抑制され,リリカルなWernerのオリジナルにトーンを合わせていたって感じに聞こえた。今回,Liebmanはずっと座ったまま,テナー,ソプラノ,そして木製の笛を吹いていたが,フレージング自体はLiebmanそのもので,あぁ,変わらないねぇと思わせた。バンドはやはり質が高く,Terri Lyne Carringtonのドラムスなんて見事なバッキングぶりと思わせたのも素晴らしかった。演奏自体には文句はないのだが,隣に座った明らかにデート中のアメリカ人中年カップルの女性の方が,演奏中に品のない笑い声を上げるのにはまいってしまった。しかし,Jazz Standard,音楽に対するポリシーがしっかりしていて,すかさず店側から件のカップルに警告が入ったのはよかった。途端に静かになったのはよかったが,あの警告がなかったら,私が注意をしていただろうっていうぐらいの下品さだった。

店のポリシーゆえ,Jazz Standardでは演奏の模様は撮影できていないので,先日もアップしたように,開園前にDave Liebmanとは写真を撮ってもらったわけだが,その時にも暫く日本に来てないねぇって話をしたら,「日本には行きたいのだが,10年ぐらい行ってない。誰も呼んでくれないんだ。」とこぼしていた。その時にも私は「私が貴方を見たのはパリのSunsideだったぜ。Plays Ornette Colemanの頃だったなぁ。」と言ったら,「そいつは随分前だな」と言われてしまった。振り返ってみればほぼ8年前である。無茶苦茶久しぶりだったわけだ。それでも,Dave Liebman,何も変わらない。70歳を過ぎても元気なものであった。まじで誰か日本に呼んでくれないものかねぇ。

ということで,NYCに行ったら,やはり夜遊びは欠かせないってことで(爆)。不良サラリーマンだよね。来月もロンドン経由でNYCという世界一周出張が控えているが,その時はどうなることやら...。乞うご期待ってことで。

2018年10月10日 (水)

今にして思えば,Jon Andersonがどっちつかずで,金儲け主義だったことがわかる"Union"

"Union" Yes(Arista)

_20181008_2このブログにも何度か書いているが,私はYesのファンで「あった」。今や,懐古主義以外の何物でもないバンドと堕した今のYesには何の興味もないし,彼らの音源はもはや老害としか呼べない程度のものとなってしまったことには,長年,彼らのファンを自認してきた立場としては非常に苦しいものがある。King Crimsonがやや懐古的になってきた感があるとは言え,いまだにエッジの立った音楽をやっているのとはだいぶ違う。

そんなYesの黄金期はどうしても1970年代となってしまうのは仕方ないが,"90125"から"Owner of Lonely Heart"が突然全米No.1を獲得するというような時期もあった。しかし,あれはTrevor Rabin Band Featuring Members of Yesなのであって,あれをYesと思えないファンも多かったのではないかと思う。そして,Chris SquireとAlan Whiteを除いた黄金期のメンバーがABW&Hとして,それこそ以前のYesっぽい音楽をやるという分断期に至ったぐらいの時期から,この人たちはおかしくなってきたように思う。

元祖Yes的なABW&Hと,のれん分けにもかかわらずYesを名乗るTrebor Rabin組は,分断したまま活動をするのかと思っていたところに,突然降ってわいたのがこのアルバムであった。それは私がNYに住んでいた頃のことだが,長年のファンとしては,「嬉しいような,怖いような」という山本リンダのような気分になっていた(爆)。だが,このアルバムの冒頭に収められた”I  Would Have Waited Forever"を店頭で聞いた瞬間に,許すと思えたのも懐かしい。だが,その段階では,このアルバムがどのような過程で生まれたかなんて知る由もなかった。

だが,ライナーを読んでしまうと,このアルバムに対する感覚は間違いなく悪化するはずである。結局は,ABW&HとTrevor Rabin組が別々に制作していた曲に,Jon Andersonのヴォーカル,Chris Scquireのコーラスをかぶせたって言うのが実態なのである。一度袂を分けた2つのグループが,結局は元の鞘に収まるってのは,美しいことのようであるが,結局は「機を見るに敏な」Jon Andersonが金儲けへの嗅覚を働かせて,作ってしまったというのがこのアルバムなのである。

全14曲中,ABW&Hのアルバムとして制作されていた曲が10曲もあるので,これはどちらかと言えば,そっち側の色彩が強い。そこに加わるTrevor Rabin組の4曲が浮くのは当たり前である。だからアルバムとしては,そこそこは楽しめる部分もあるが,どうにも中途半端な出来なのは仕方ないのである。だから,その後行われた8人Yesによるライブでは,このアルバムからの曲がほとんど演奏されなかった(と記憶している)のは仕方ないことだろう。結局は以前のレパートリーに依存せざるを得ないのはこの段階で分かっていたのである。

正直言って,結局のところ,これが本当のYesの終わりを告げるアルバムとなってしまったのではないかと,今では考えている私である。唯一このアルバムがよかったとすれば,1回限りではあったが,8人Yesによるツアーに導いたことであろう。私はMadison Square Gardenでそのライブを観たのだが,懐古的であろうがなんだろうが,"Awaken"とかをライブで聞けたことを大いに喜んでいた。だが,このアルバムはダメである。制作動機が不純過ぎてやっぱり認められない。Yesの個性はJon Andersonのヴォイスによるところが大きかったことは事実だとしても,こんなものを聞いているぐらいならJon Anderson抜きの"Drama"を聞いている方がはるかにましである。ということで,星★★ぐらいで十分だろう。久しぶりに聞いて,腹が立ってきたという珍しいアルバム(爆)。

そして,数年前にJon AndersonがTrevor Ravin,Rick Wakemanとツアーに出るに至っては,やっぱりこの人,あらゆる意味で動機が不純だと改めて思った。もうええわ。

Personnel: Jon Anderson(vo), Steve Howe(g, vo),Trevor Rabin(g, vo), Rick Wakeman(key), Tony Kaye(key, vo), Chris Squire(b, vo), Bill Bruford(ds), Alan White(ds, vo) with Tony Levin(b, stick) and others

2018年10月 9日 (火)

出張中に見た映画:18年9~10月編

Movie_201809_10

毎度毎度海外出張していると,移動中の楽しみは機内エンタテインメントだけみたいなものである。先日の2泊4日のNY弾丸出張では8本見て,イマイチ感があったなぁと思っていた(記事はこちら)今回は月替わりのタイミングで,見られる映画には若干変化があったのはよかったが,どうも最近のJALの映画の選定には疑問もある。話題性のある映画はいいが,もう少し「いい映画」を選んで欲しい。そして,日本語字幕で見られる映画が少なくなっているのは,吹き替え版が嫌いな私のような人間には困ったものである。もちろん,英語版であれば字幕なしで見るっていう選択肢もあるが,現在の私の英語力では厳しくなっている。せめて英語字幕のオプションがあればなんとかなるが...。ってことで,結局見られる映画は限定的となり,今回見たのは次の7本(往路4本,復路3本)であった。

  1. オーシャンズ8("Oceans 8")
  2. ジュラシック・ワールド/炎の王国("Jurassic World: Fallen Kingdom")
  3. LBJ ケネディの意志を継いだ男("LBJ")
  4. 7年の夜(韓)
  5. スカイライン 奪還("Beyond Skyline")
  6. ラプラスの魔女
  7. ブレードランナー 2049("Blade Runner 2049")

正直言って,再見の「ブレードランナー2049」を除いて,今回のチョイスで感銘を受けた映画は一本もない。まぁ許せるレベルなのは1,3ってところか。ってことで,各々について感じたことを書いてみよう。

「オーシャンズ8」は人気シリーズを女性版で作ってみましたって感じだが,そこそこ笑える要素もあるが,世の中そんなにうまくいかないだろうって皮肉な見方もしたくなってしまう。Helena Bonham Carterの相変わらずの怪演ぶりとAnne Hathawayのコメディエンヌぶりが楽しいが,Cate Blanchettはちょっともったいないって気もした。

「ジュラシック・ワールド/炎の王国」もシリーズものであるが,映画のラスト・シーンを見ていて,「猿の惑星」(リメイク版の方)のストーリーみたいだと思ってしまった。続編を作る気満々だろうが,ここまで来ると,次は無茶苦茶な展開になること必定だろう。確かにVFXの進化は凄いが,それは「ジュラシック・パーク」の時からそんなに変わっていないような気もしてしまった。

「LBJ ケネディの意志を継いだ男」は今回見た映画の中では一番地味だが,監督がRob Reinerだけにしっかり,そして真面目に作られた映画であった。それにしても主役のWoody Harrelsonって何でもやるねぇって感じの演じっぷりである。ケネディ暗殺後,大統領職を引き継いだLindon Johnsonを演じているが,議会での演説シーンには結構涙腺が緩んでしまった。ただ,RFKとの対立はもう少し突っ込んで描いてもよかったかなぁって気がする。しかし,これが日本で公開されるってのはある意味信じがたいぐらい地味。

「7年の夜」は韓国のミステリーを原作として製作された映画であるが,韓国映画らしい暗さに満ちた映画であり,ストーリーに救いが全く感じられなく,徹底して暗いのが,この手の韓国映画らしい。チャン・ドンゴンはもの凄い美男だが,今回の役回りははっきり言って見ていている方が胸糞悪くなるようなものである。役者としてのイメージを顧みず演じる姿勢は見上げたものだが,正直言ってこのストーリーはねぇ...。

 「スカイライン 奪還」は,それこそなんじゃこれはという噴飯ものの大駄作。機内エンタテインメントでなければ絶対見ない。映画を見ていても,全然時間が経過しないというスピード感のない演出,無茶苦茶なストーリーは金を出して見るものではない(きっぱり)。これから日本公開らしいが,私は絶対人にはお勧めしない。映画館で見るのは時間と金の無駄である。

「ラプラスの魔女」も噴飯ものの映画である。その最大の要因は櫻井翔の最悪の演技である。いや,あんなものは演技とも呼べない。学芸会以下のレベルであり,観客をバカにしているとしか思えない。監督の三池崇史もいい加減にしないと,「職業監督」とすら呼ばれなくなるだろう。原作者,東野圭吾はこれを見て何を思うのやら...。

「ブレードランナー 2049」は劇場で見た時も相応に評価していた私だが,再見に当たっては,ディテールを確かめようと思っていた。飛行機の画面だけではちょいと無理があるかなぁと思っていたが,この映画は美術がすべてだったよなぁって気がする。LAの風景なんかは,オリジナルとそんなに変わらないって気もするが,その他のシークエンスでの美術(セット)には圧倒される。でもやっぱりこの映画,Ana de Armasが可愛過ぎってのは映画見た時の感想と同じやんけ!(爆)

ってことで,どうも最近のJALの機内エンタテインメントはやっぱりイマイチだよなぁってのが正直な感想。11月の出張時にはもう少しまともな映画にしてくれい(笑)。

2018年10月 8日 (月)

追悼,Hamiet Bluiett

出張中にHamiet Bluiettの訃報に接した。長期間,療養中と報じられていたが,ついにこの世を去ってしまった。

私はかなり前からこの人の音楽が好きで,CDも何枚か保有している。だが,それはWorld Saxophone Quartetのものではなく,あくまでも彼のリーダー・アルバムであった。正直言って,WSQの音楽は私には敷居が高く感じられた,昔のイメージが残っていたからだからであるが,Hamietのリーダー作にはそういう感覚を覚えたことはなかった。

WSQでの活動があったり,もともとロフト・ジャズとか言われていた彼の音楽は,決して日本では真っ当に評価されていたとは思えない。必要以上にフリーであったり,前衛であったりという目で見られていたのではないのかと思えるのだ。しかし,本国においては名門Village Vanguardに自身のクァルテットで出演しているし,その時の模様は"Ballads & Blues"というアルバムとして残されている。確かに一筋縄ではいかない音楽をやる人ではあったが,Hamiet Bluiettの音楽の根底にあるのはあくまでもブルーズであったと思っている。そうした感覚でこの人の音楽を楽しんできた私は,彼の音楽に抵抗は全然なかったし,むしろバリトン・サックス好きを刺激してくれることにシンパシーを感じていたと言ってもよい。Gil Evans Orchestraにおける活動も印象深かったしねぇ。

_20181008そして,今回追悼の意味を込めて,トレイに乗せたのは"Ebu"である。これはSoul Noteからのアルバムであるが,Bluiettのワンホーンによる演奏は結構コンベンショナルな響きである。フリーキーなトーンも交えながらではあるが,ここでもブルーズに根差した演奏を聞かせていると思う。こういうところでMarvin "Smitty" Smithの名前を見つけるところが嬉しいが,それからしてもフリーな展開はないだろうと思える。ピアノもJohn Hicksだけに,決して完全フリーにはなることはないのである。もちろん,自由度の高い音楽であることは否定しようもないが,"Things Will Never Be the Same"の冒頭に聞かれるBluiettとSmittyのデュオ・パートなんてぞくぞくさせられるではないか。

こういう音楽を聞いていると,ジャズのスリルを体現しうる本当に魅力的なバリトン・プレイヤーだったと思える。また一人,ジャズ界は素晴らしいミュージシャンを失ったと言わざるをえない。

R.I.P.

2018年10月 7日 (日)

出張終了。これから帰国。

約1週間の出張も終了である。現在,JFKのラウンジでボーディングを待っているが,結局出張中,時差が解消することはなかった。今朝も結局午前4:30頃には目が覚めてしまっていた私である。加齢ゆえの調整能力の衰えは自覚しているが,今回は本当に酷いものであった。

そうは言っても,後半のNYC出張では2日連続,都合3本のライブを見られたのはよかったのだが,心残りもある。NYC到着当日は会食もあったりして,疲れ切っていて食事の後にはすぐにホテルへ戻ったのだが,その日55 Barに出ていたのがAdam RogersとOz Noyのツイン・ギターのクァルテットだったのである。これには大いにそそられていたのだが,ダウンタウンまで出掛けて行くにはさすがに体力的に無理があった。しかし,今にして思えば,無理をしてでも見に行った方が時差を解消できたのではないかと思っている。滅多にない組み合わせなので,やっぱり惜しかったなぁ。

もう一点心残りなのは,今回初めて訪れたモントリオールの街をほとんど知ることなく移動してしまったことだ。私が滞在したり,仕事をしていたのはダウンタウンだったので,現代的な街並みって感じだったが,旧市街はちらっと見ただけだが,ずいぶん雰囲気が違っていたように思う。散歩でもできればよかったのだが,気温が低過ぎてそうした気分にならなかったのが悔やまれる、モントリオールに仕事で行くことは,今後まず考えられないだけに,やっぱりちょっと勿体無かったなと思っている。まぁ時間も限られていたし,仕方ない。

ってことで,次は帰国後の日本から。帰国後も結構忙しいが,何とか乗り切りたい。

2018年10月 6日 (土)

中年音楽狂の夜遊び日記 in NYC(その2)

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今回の出張も本日で最終日となった。ということで,今回はほかの出張者も現地出向者もいないのがわかっていたので,東京にいる時から予約していたライブに参戦である。今日は27丁目というジャズ・クラブとしては珍しいロケーションのJazz Standardにおいて、Kenny Werner Quartetであった。なんでKenny Wernerなのかと聞かれれば,メンツがDave Liebman,Esperanza SpaldingにTerri Lyne Carringtonとあっては,行かずにはおれぬ!ってことで,1stセットに参戦してきた。

残念ながらEsperanzaは風邪とかでトラが入ったが,今回の目的はLiebmanだからまぁいいや。詳しくは改めてとするが、今回はKenny Wernerのオリジナルを中心とした演奏で,Liebmanはやや抑え気味って感じだったように思う。それでも,やっぱり抑えきれないって感じが徐々に出てくるのがLiebmanらしい。

Jazz Standardはポリシーが明確で,演奏中の撮影は禁止なので、今日はLiebmanとモザイク付きの私の2ショットだけ。開演前にバーで佇むLiebmanを目ざとく発見し,ちょいと話をしたついでに撮影してもらった。ミーハーだと思いつつ,これを逃すとなかなか機会もないので許してもらおう(笑)。ってことで,明日には帰国の途につく私である。やっぱりI Love New Yorkだと痛感した出張であった。

2018年10月 5日 (金)

中年音楽狂の夜遊び日記 in NYC

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モントリオールからNYCへの出張中の私である。相変わらず時差ボケに悩まされているのは、時差の調整能力を失った年齢ゆえって感じだが、それでもNYCまで来たら夜遊びせぬ訳には行かぬ(爆)。前回のNYC出張は2泊4日の強行スケジュールだったので,ナイト・ライフを楽しむ余裕はなかったが、今回は計画的犯行である。

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日本で予約しておいたのがRobert Glasper Trio@Blue Noteだったのだが,今回のキモはChris Daveの参加である。私はRobert Glasper Experimentのライブを日本でも見ているが,Mark Collenbergというイモ・ドラマーのせいで非常に印象が悪かった。私としては映画「シェーン」になぞらえて,“Chris Dave、Come Back!”の気分だったが,ようやく今回Chris Dave入りのGlasperを見ることができた。詳細は改めてとするが,やはりChris Dave,只者ではなかった。今回はChris Daveを見るためのライブであったと言っても過言ではない。

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そして、同じ日に,なかなかアナウンスされなかった55 Barの出演者にWayne Krantzの名前があるではないか。Blue Noteからなら歩いて5分である。これはハシゴをしなければってことで、行ってきました55 Bar。今回はTony Sherr,Kenny WollesenというBill Frisellのバックを務めるメンツを従えた珍しい構成だったのだが,メンツが代わっても,音楽はどうやってもKrantzってのが凄いよねぇ。ってことで,今回もWayneとちょいと話して写真を撮ってきた私である。

こんな夜遊びができるNYC。やっぱりいいねぇ。永住したい。ってことで、何枚か写真をアップしておこう。

2018年10月 1日 (月)

この記事がアップされる頃は...。

この記事がアップされる頃には,私は海外出張に出掛けていて,日本にはいないはずである。今回はモントリオールで仕事をして,その後,NYへ移動。前回のような2泊4日の弾丸出張ってことではないが,いろいろイベントが盛りだくさんなので,結構今回も疲れるんだろうなぁ。

まぁ,それでもモントリオールは初めて行くので,どういう感じかのレポートもできればと思う。

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