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2018年9月19日 (水)

Tord Gustavsenによるピアノ・トリオの新作は期待通りの出来。そして彼の信仰心を感じさせる。

"The Other Side" Tord Gustavsen Trio(ECM)

_20180915_3総帥Manfred Eicherにより,新世代のピアニストも続々と紹介されており,私も結構その世界にはまってはいるが,現在のECMレーベルにおいて,確実に期待できるピアニストとして評価を確立しているのは,私は先日記事をアップしたMarcin Wasilewskiと,このTord Gustavsenだと思っている。

Tord Gusravsenに関しては,全部が全部いいという訳ではないと思っていて,例えば私の中では,"Restored Returned"なんかはちょいと評価が低い(記事はこちら)。しかし,それは例外的なものであって,ほかの作品は極めて高く評価している。そうした中で,この人の魅力はピアノ・トリオだけではないということは,テナー入りの"Extended Circle"でも,ヴォイスの入った"What Was Said"でも実証されている。しかし,やはりピアノ・トリオも聞きたいと思うのがファンの心理であることも事実であった。本作は2007年リリースの"Being There"以来という,実に11年ぶりのピアノ・トリオ作である。

ここでは,Gustavsenのオリジナルに加えて,トラッド,更にはバッハの曲をアダプテーションした演奏が聞けるが,さすがに1月のオスロ,Rainbow Studioでの録音と感じさせるような,静謐で,内省的な音の連続である。これこそがECM,あるいはTord Gustavsenの美学であると言ってもよいかもしれない。まぁ,冬のオスロでじゃかじゃかした演奏はやってられんと言う話もあるが...(笑)。それでも,こうした音楽をやられてしまうと,私のようなリスナーは無条件によいと思ってしまう。それが一般的なリスナーの感覚とは必ずしも合致しないところはあるだおるが,こうしたサウンドには全面的にOK!と言ってしまうのである。

バッハのアダプテーションでは,宗教的な響きさえ感じさせるが,それはモテットやカンタータの原曲なのだから当たり前なのだが,トラッドや,2曲目に入っているノルウェイの作曲家Lindemanの"Kirken, den er et gammelt hus"も讃美歌みたいなものであるから,ここでのテーマには宗教を感じる。そして,そこに加わるGustavsenのオリジナルが,何の違和感もなくブレンドして,この音世界を作り上げている。

私からすれば,この音楽は決して刺激を求める音楽ではない。そこに不満を感じるリスナーが聞くべきものでもない。これは冬のオスロの気候に思いを馳せながら,信仰の音楽による表出とは何かということを考えるに相応しい作品だと思う。Tord GustavsenはSolveig Slettahjellと"Natt I Betlehem"という素晴らしいホリデイ・アルバムを作り上げているが,この人の根底には宗教感が根差していることを強く感じさせる作品。Marcin Wasilewskiのアルバムと比べれば,私はWasilewskiに軍配を上げるが,これはこれで,私の心を十分に捉えたと言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in January, 2018

Personnel: Tord Gustavsen(p), Sigurd Hole(b), Jarle Vespestad(ds)

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コメント

閣下、910さまにも書いたのですが、この秋のECMは豊作で、、
クリスマスシーズンを前にして、、豊作貧乏でございます。

昔風に言えば、針を落とした瞬間から彼らの世界。
重みのある静謐な世界だと思いました。
冬のオスロには行ったことはないのですが、
厳しい自然の中で暮らしているとこういう色合いになるのかなぁ、、と、想像したりしてます。

トラバしますね。

また夕方からTBを試みていたのですが、今、やっと入ったようです。TBさせていただきます。

彼のピアノ、独特なゆったり感がありますが、それがまたECMにはやはりなくてはならないピアニストの一人になってしまったようですね。今回はバッハとかトラディショナル(宗教系?)も、分け隔てなく、オリジナルと同列に聴こえていて、その雰囲気がまた良かったです。

Suzuckさん,続けてこんばんは。TBありがとうございます。

まさに冒頭から彼らの世界。そして冬のノルウェイの情景も感じさせる音ですねぇ。そして,Tord Gustavsenって選曲からして結構敬虔な人なのではないかと思いました。

いずれにしても,腰を落ち着けてじっくり聞きたいアルバムですね。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。

ECMレーベルに欠かすことができない,そして代表的なピアニストの一人になったと言っても過言ではないですね。やはりこういう音を聞いていると,Manfred Eicherの美学ってのがよくわかりますね。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

 中年音楽狂さん、私の方にも出向いて頂いて有り難うございます。この秋の入りは、おっしゃるようにMarcin Wasilewskiと,このTord Gustavsenですね。100%同調いたします(ニッコリ)。
 この両者、Brad Mehldau派の中年音楽狂さんの感想が実は気になっていました。なんでだか解りませんがホッとしています(これがファンてもんでしょうか)。
 もう次作に心を馳せている私でして、又長く待つことになるのでしょうか。Marcin Wasilewskiは、次はスタジオ盤に期待してます(笑)。
 

風呂井戸さん,こんばんは。TBありがとうございます。

100%の同調ありがとうございます(笑)。私にとって,Marcin WasilewskiとTord GustavsenはECM最重要ピアニストの2人と言っても過言ではありません。期待を裏切らない人たちです。Brad Mehldauとは違う形での美学の表出って感じですよね。本当にECMらしさを感じさせるナイスなアルバムでした。

たった今、Dizzy’s でトリオのライブ聞いてきました。まあ、手数がトリオで少ないと言うか、ミニマルと言うか、場所に似合わないなあ、冬の暗い中での音楽って感じはよく出てました。こういうトリオもあって良いと思います。

カビゴンさん,こんにちは。

ライブご覧になったんですか。羨ましい。ゴージャスなクラブには確かに合わないかもしれないですが,少なくとも日本ではなかなか生で聞ける人ではないので,そうした機会が持てることがとにかく羨ましいです。

ミニマルってのは確かにそういうところもあるかもしれませんね。音数は少ないですもんね。

兎に角印象に残ったのはドラムの音の少なさ、サトルなこと。にも関わらず一音一音ハッキリとしている。4人目のメンバーと言う風にエンジニアを説明していましたが、エンジニアの手に寄ってそのように仕上げていたのか?ベースも聞きなれない音が出ていましたね(って、ピアノの印象が薄い(汗))

カビゴンさん,おはようございます。

Helge Lienもライブにエンジニアを同行させているらしいので,音へのこだわりがあるんでしょうね。ピアノの印象が薄いってのが笑えますが。それでも生は聞いてみたいですね。

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