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2018年9月30日 (日)

ECM New Seriesから今日はMosolovのピアノ曲集。

"Alexandr Mosolov" Herbert Henck (ECM)

_20180923ここのところ,ボックス・セット聞きが続いていたので,ちょっと気分を変えよう。私はECM New Seriesについては長年手を出さずにいた。Steve Reichは基本的にNew Seriesに入ると思うが,最初はNew Seriesが存在していなかったはすであるから,普通にECMの作品としてリリースされていたと記憶する。昔からReichが結構好きだった私は,ECMのReich作品は買っていたものの,そのほかのNew Seriesについては,Andras Schiffが吹き込むようになるまで,ほとんど購入していなかったと言ってもよい。しかし,いつの頃からか,現代音楽のピアノ曲に関しては,ECM New Seriesからリリースされる音楽が素晴らしいと感じるようになって,今では現代音楽のピアノ曲に関しては,せっせと買うようになっているのだから,人間は変われば変わるものである。

そんなECM New Seriesにおいて,ピアノ曲のアルバムを最も吹き込んでいるのは,多分このHerbert Henckだろうと思う。カタログには8枚載っているが,Jean Barraquéのピアノ・ソナタだけは廃盤状態のようである。だが,私はそれ以外のアルバムは保有していて,直近で入手したHenckのアルバムの一枚がこれである。

不勉強にして,ここでHenckが取り上げたAlexandr Mosolovという作曲家については,初めて聞いたが,調べてみると,旧ソ連時代には反体制の疑いをかけられ,相当シビアな生活を強いられた人のようである。1900年に生まれて,ここに収められた曲は1920年代中盤に書かれているので,かなり若い時期の作品となる。だが,その後強制労働に送り込まれてしまったようなので,作曲家としてのキャリアは30年代以降停滞してしまうことになる。だが,20代半ばで書かれた音楽としては,構造がしっかりしたピアノ曲であり,そんなにアバンギャルドな感じはしないが,ロシア的な重量感はあるかなぁって気がする。

どちらかと言うと,私が好む現代音楽のピアノ曲は,もう少し「間」を重視した曲が多いので,本作に収められた曲は,ちょいとタイプが違うように思えるのだが,それでもこうして全く聞いたこともない(そして,自分では決して見つけることのない)ような音楽に出会えるのも,ECM New Seriesゆえってことになるだろう。それはそれでありがたいことである。星★★★★。

Recorded in March 1995

Personnel: Herbert Henck(p)

2018年9月29日 (土)

Pat Martino@Cotton Club参戦記

Pat_martino期末はやはり忙しい。イベントや飲み会が続いて,全く記事が書けなくなってしまった。ストック記事も尽きてしまったので,改めて記事を書くことにしよう。今日は先日Cotton Clubで見たPat Martinoのライブである。

もともと数カ月前に来日予定だったものが,御大の病気で延期になっていたものなので,健康状態が心配されたが,演奏自体は元気なものであったことは非常に喜ばしい。様々な局面でPat Martinoらしいフレージングを炸裂させ,ファンも納得できる演奏であったと思う。バックを支えるオルガンのPat Bianchi,ドラムスのCarmen Intorre,Jr.も非常に質の高い演奏ぶりでPat Martinoを盛り立てていたのは印象的であった。

ただ,今回のライブ,演奏には文句はないのだが,御大のギターのPAがあまりに音がこもった感じだったのは,フレージングが強烈なPat Martinoだけに,あまりにもったいない。はっきり言ってニュアンスに乏しい感じになってしまったのである。リハーサルやサウンド・チェックをしてあの音ってのは,Pat Martino納得の音なのか?と首を傾げてしまった。そこが何とも惜しい。そんな音でも"Mac Tough"とかは燃えてしまったが(笑)。

それにしても,Pat Martinoぐらいのプレイヤーのライブであれば,もっと聴衆を集めてもよさそうなものだが,客席は6割程度の入りってのはちょっと信じがたい部分があった。まぁ,世の中も期末で,会社勤めの人間は私同様飲み会続きで,ライブに行く余裕もなかなかないところもあるのかもしれないが,それにしてもちょっともったいない気がした。

来週はモントリオール~NYCの出張なので,後半のNYCでは「隙を見て(笑)」ライブに参戦することにしよう。とか言いながら,もう予約は入れてるんだが(爆)。それは追ってご報告ってことで。

Live at Cotton Club東京 on September 26, 2018

Personnel: Pat Martino(g), Pat Bianchi(org), Carmen Intorre, Jr.(ds)

2018年9月26日 (水)

John McLaughlinボックスから,次は再編Mahavishnuの84年音源。

"Montreux Concerts(Disc 8/9)" John McLaughlin(Warner Brothers)

John_mclaughlin_boxJohn McLaughlinのモントルー・ライブのボックスから次に聞いたのが再編Mahavishnuである。実はこの音源に関しては映像も出ていて,私がこのブログを始めた年に,記事にしている(記事はこちら)。そのDVDも久しく見ていないが,このCDを聞くのも久しぶりである。

そもそもJohn McLaughlinが新生Mahavishnuを再編したのが1984年で,その同じ年のライブ音源である。再編アルバムはドラムスがBilly Cobhamであったのが,こちらのライブではDanny Gottliebに代わっている。その後に出た”Adventures in Radioland"でもGottliebがドラムスを務めているから,再編作のBilly Cobhamはあくまでゲストだったってことになるかもしれない。

再編Mahavishnuの評価については,私の中では若干微妙なところもあって,やはりオリジナルのMahavishnuこそがMahavishnuだろうって気持ちが強いのは事実である。こちらの再編Mahavishnuのポイントは,John McLaughlinによるSynclavierの使用だったように思うが,それはそれでいいとしても,エッジがもう少し立った音楽をやってもよかったのではないかと思う。もちろん,これでも十分スリリングなのだが,やっぱりSynclavierの利用によって,雰囲気が違うってところがあるのだ。Synclavierからギターへ持ち替えた時のMcLaughlinの方が圧倒的にMcLaughlinらしいのである。

しかし,ここではライブならではのアルバム版よりもはるかに長尺の演奏ということもあって,John McLaughlinのファンなら聞いても納得の音源というところだろう。久しぶりに映像版を見れば,更にこの音源の魅力はわかるのかもしれない。ってことで,温故知新への欲求が高まる私である(笑)。

Recorded Live on July 18,1984

Personnel: John McLaughlin(g, synclavier), Bill Evans(ts, ss, perc), Mitchell Forman(key), Jonas Hellborg(b), Danny Gottlieb(ds, perc)

2018年9月25日 (火)

久々にJohn Mclaughlinのモントルー・ボックスを取り出す。

"Montreux Concerts(Disc 10/11)" John McLaughlin(Warner Brothers)

John_mclaughlin_box先日来取り上げているChick Coreaのボックスもそうなのだが,ボックス・セットって正直って,そんなにプレイバックすることはあんまりないよなぁって思う。Miles DavisとJohn McLaughlinには,それぞれ20枚組と17枚組というモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブの集成ボックスがあり,物好きな私は両方持っているものの,そんなに聞いている訳ではないのは,これらのボックスにおいても同様である。しかし,大枚はたいて買っているのだから,たまには聞いてみるかという完全な気まぐれで,久々に取り出してみた。

それでもって,今回はDisc 10/11の2枚に収めれらたPaco de Luciaとのデュオ・ライブである。このコンビにAl Di Meolaを加えれば,スーパー・ギター・トリオってことになるが,Di Meola抜きでやると,だいぶ印象が違う。これは両者がクラシック・ギターを弾いていることもあるが,Di Meolaならやりそうな,ややギミックと思えるようなフレージングが感じられないからである。これは決して悪い意味ではなく,私は彼らのデュオってのはむしろいい感じだと思えるのだ。

選曲からすれば,Chick Corea作の"Spain"が一番期待できそうなものなのだが,実はこの曲があまり面白くない。テーマの部分がテンポがゆるくて,どうも違和感がある。アドリブ・パートがスリリングなだけに,これではもったいないって気がしたってのが正直なところである。この曲に関しては,間違いなくLarry CoryellとSteve Khanのデュオの方が燃える。しかし,Paco De Luciaの曲やMcLaughlinとMitchell Formanの共作"Florianapolis"でのフィット感は半端ではなく,彼らにはこうした曲の方がマッチしていると思えてしまった。

Paco_and_johnまぁ,この音源はいまやDVDとCDがセットになった"Paco & John Live at Montreux 1987"で入手可能なので,このボックスに依存する理由は全然ないのだが,それでもこの当時はこういう演奏がなされていたということを,改めて振り返るにはよかった。それにしても凄いユニゾンだよなぁ(苦笑)。

Recorded Live at Montreux Jazz Festival on July 15, 1987

Personnel: John McLaughlin(g), Paco de Lucia(g)

2018年9月24日 (月)

更に続くChick Coreaボックス・セット聞き(笑)。

"Music Forever & Beyond(Disk 3)" Chick Corea (GRP)

Chick_corea_music_forever_and_bey_2Chick Coreaボックス・セット聞きは更に続く。今日は3枚目のディスクの"The GRP Era:1986~1994"である。 このディスクはGRPレーベル専属になってからのElektric BandとAkoustic Bandの音源がすべてとなる。

丁度私が在米中だった頃に出たのが"Beneath the Mask"だったが,彼らが今はなきBottomlineに出演した時に,見に行ったことも懐かしい。このディスクはElektric Bandについては各々のアルバムから満遍なくチョイスし,Akoustic Bandも1曲加えるという選曲。冒頭はそのElektric Bandのトリオ・フォーマットによる急速"Rumble"で始まるが,これはIowa State Universityのライブってことなので,映像化されている演奏と同一のものではないかと思う。そして,最後には中野サンプラザにおけるElektric Band IIのライブも収録しているが,これはFM横浜での放送用音源。

こうして聞いてみると,Elektric Band IIがアルバム1枚で終わったのも仕方ないかなって気がする。ここに収録しているのが"Blue Miles"なのだが,いくらMilesに捧げられたものとは言え,このテクニシャン軍団が敢えてブルーズを演奏する意味があるとは思えないっていうのが実感である。アルバムも久しく聞いていないので,全体的にはどうだったのかというのは記憶が定かではないので,そっちも改めて聞いてみないといかんということだろう。

その後,Elektric Bandは元のメンバーに戻して,活動を再開するが,ライブはさておき,"To the Stars"は大したことなかったなぁと思っているリスナーは多いはずで,Elektric BandはGRPレーベルでの演奏を聞いていればいいというのは確かである。だが,それを俯瞰するには1枚では足りないというのも事実で,アルバム単位で聞いた方が魅力はちゃんとわかるかなぁって気がする。むしろ,これは彼らのアルバムを改めて聞き直すための入口と言ってもよいかもしれない。そうした観点では意味はあったと思えた聞き直しであった。

2018年9月23日 (日)

昨日に続いて,Chick Coreaのボックスを聞く。

"Music Forever & Beyond (Disc 1 / Disc 2)" Chick Corea (GRP)

Chick_corea_music_forever_and_beyon昨日,ボックス・セットの5枚目のBob Bergとの共演を取り上げたが,続けてそのボックスから1枚目と2枚目を聞いてみた。それらは各々"Classics 1964~1972","Classics  1973~1982"と題されていて,様々なスタイルのChick Coreaの音楽が収められている。

1枚目の冒頭は"Now He Sings, Now He Sobs"から"Matrix"で幕を開けるが,面白いなぁと思ったのはその後に入っているBlue Mitchellの"The Thing to Do"からの"Chick's Tune"と,自身の"Tones for Joan's Bones"からの"Litha"であった。どちらも完全ハードバップな世界でのChick Coreaって感じで,へぇ~となってしまったが,Blue Mitchellとの演奏は,録音のせいもあるかもしれないが,Herbie Hancock的に響くなぁなんて漠然と感じていた。

そして,1枚目の目玉と言っていいのがStan Getzとの"Windows"であるが,Getz,Chick,Steve Swallow,そしてRoy Haynesというメンツでの音源は,今でもここでしか聞けないのではないだろうか?更にはCircleからReturn to Foreverまで多彩だよなぁって思わせてくれる。

2枚目はBill Connors入りのReturn to Foreverの2曲から始まるが,私が驚いたのは"The Leprechaun"に収められていた"Nite Sprite"のカッコよさであった。実は私は以前(と言っても大学時代だから大昔である),この"The Leprechaun"も保有していたのだが,どうも私にはシンセを重視したサウンドに思えてしまい,好きになれないアルバムだったのだが,久々に聞いたら,"Nite Sprite"に関しては無茶苦茶カッコいいではないかと思えてしまったのだから不思議なものである。それはAnthony JacksonとSteve Gaddのリズムに依存するところもあるかもしれないが,これはかなりいけている。ちょっと気になってYouTubeでこのアルバムを聞いてみたら,私の印象が悪いのは冒頭の"Imp's Welcome"によるところが大きかったようだ。まぁ,あとはフィーチャーされ過ぎと思わせるGayle Moranの声が嫌いだってのも大きいが。いずれにしても,LPであればB面の感じも好みではないのだ。だが,それにしても,そこまで嫌うほどのものに思えないのは私の加齢によるものか(苦笑)。まぁ,いいところもあったのねと再確認した私である。とにかく"Nite Sprite"につきる。

更にJoe Farrell,Eddie Gomez,そしてSteve Gaddとのクァルテットでの2曲が収められていたのは,これらの演奏が好きな私にとっては納得のチョイスであった。そして,最後には永らく廃盤状態だった"Secret Agent"から同作で最もカッコいいと思わせる"Central Park"が入っているのもいいねぇ。"Secret Agent"はまたも廃盤状態になっているが,どうしてなのかねぇ。

いずれにしても,こうして聞いてみると,1996年までのChick Coreaのキャリアを俯瞰するには結構よく出来たボックスだったと言える。残り2枚もそのうち聞くことにしよう。

2018年9月22日 (土)

Chick Coreaのボックスから,改めてBob Bergとの共演を聞く。

"Music Forever & Beyond(Disc 5 "That Old Feeling: Stadards and More")" Chick Corea(GRP)

Chick_corea_music_forever_and_beyon先日,Chick CoreaとBob Bergの共演盤として,"Time Warp"を取り上げた時に,ブログのお知り合いのKi-maさんから,彼らの共演盤として,Chick Coreaの5枚組ボックス・セットのディスク5に,"Time Warp"と同一メンツでの演奏が収められていることをお知らせ頂いた。私はすっかり失念していたのだが,そう言えばそんなこともあったかもと思って,クロゼットから引っ張り出して,まずはそのディスク5から聞いてみた。

そもそもこのボックスが出て,もう20年以上になるが,正直言って,何回プレイバックしたのかと聞かれれば,多分大した回数ではないことは間違いない。それには実は理由があって,このボックスの目玉として言われていたMiles DavisとChickの"I Fall in Love Too Easily"なのだが,それがたったの3分ちょっとの演奏では詐欺的だよなぁなんて思っていたからである。その音源は後にMilesのBootleg Series("Live in Europe 1969")で正式リリースされたので,もはや存在意義も薄れたが,その一方で,Bob BergとChick Coreaの共演についてはすっかり忘れていたのだから,私もいい加減なものである。

それはさておき,ここではChick Coreaのオリジナル"Story"を除いて,有名スタンダード,ジャズ・オリジナルを"Time Warp"の面々でやっているのだから,実に興味深いではないか。因みに収録曲は次の通りである。

  1. That Old Feeling
  2. Trinkle Tinkle
  3. Monk's Mood
  4. Stella by Starlight
  5. Summer Night
  6. Straight No Chaser
  7. Story

この曲目を見れば,まぁ聞きたくなるのが人情だが,このメンツだけに,こうした有名曲をやっても,それっぽくならず,よりコンテンポラリーな感覚が強くなる。それをよしとするか否定するかはリスナー次第ってことになるが,私のようなBob Berg好き(かつChick Coreaも相当好き)にとっては,こういう演奏を聞けるだけでよしなのである。

ではなんでこれを放置していたか?と聞かれれば,返す言葉がない。そして,よくよくブックレットを見れば,Stan Getzとの未発表音源とか,おいしい音源がまだまだ入っているではないか。う~む。反省して,ちゃんと手許に置いて聞き直すことにしよう。

Personnel: Chick Corea(p), Bob Berg(ts, ss), John Patitucci(b), Gary Novak(ds)

2018年9月21日 (金)

Barre Phillips,最後(?)のソロ・アルバム。

"End to End" Barre Phillips(ECM)

_20180916Barre Phillips,私にとっては高いハードルとなってきた人である。ベース・ソロでアルバムを作った最初の人はBarre Phillipsらしいが,結構若い頃からECMのアルバムは聞いていても,ベース・ソロというのはさすがに厳しいという感じで敬遠してきたというのが実際のところである。そうしたところもあって,彼のリーダー作は"Mountain Scape"しか保有していない。じゃあ,何枚も保有しているDavid Darlingのチェロ・ソロならいいのか?と聞かれれば,返す言葉もないのだが,まぁはっきり言ってしまえば食わず嫌いである(爆)。

本作のSteve Lakeのライナーによれば,本作はBarre Phillipsからの直々に総帥,Manfred Eicherに連絡があって,最後のソロ・アルバムを作りたいのだが,ECMとしてはどうよ?って聞いてきたらしい。Eicherとしては断る理由もないということで,本作がレコーディングされることになったようである。私も年を重ねて,いろいろな音楽に接してきていて,ベース・ソロだからと言ってビビることはなかったし,現代音楽も結構好んで聴いているので,今回は「最後のベース・ソロ・アルバム」ということとあっては,発注せざるをえまいと思ってしまった私であった。

そして流れてきた音は,決してアブストラクトではないベースの響きを聞かせるものであり,43分余りの時間はあっという間に過ぎていったという感じである。もちろん,聞き易いなんて言うつもりはないし,一般の人にとっては,それはハードルが高い音楽であることは間違いない。しかし,ライナーを書いているのがSteve Lake,そしてライナーの多くの写真を撮っているのがSun Chungってことからしても,それだけでBarre PhillipsのECMにおける立ち位置がわかるってものだ。それだけ「最後のベース・ソロ・アルバム」の意味合いは重いということを表している。Barre Phillips単独名義でのECMでのリーダー作は91年の"Aquarian Rain"以来だと思うが,それでもこうしたレコーディング機会を提供されるBarre Phillips。それをどう捉えて,この音楽に対峙するかが,少なくともECMレーベル好きにとっては重要だろう。

いずれにしても,私はこのアルバムを聞いて,これまで食わず嫌いでいたことを大いに反省した。ミニマルとは全く違いながら,簡潔にして,深遠。何回も聞くようなものではないかもしれないが,聞いておかねばならないと思わせるに十分な音であった。星★★★★☆。私の中でのハードルも若干下がったので,ストリーミングで,過去のBarre Phillipsのベース・ソロも聞いてみることにしよう。

Recorded in March, 2017

Personnel: Barre Phillips(b)

2018年9月20日 (木)

NY弾丸出張中に見た映画。

Jennifer_lawrence

先日の2泊4日のNY弾丸出張は体力的にも非常に厳しかったが,往復の機内でも実はあまり寝ていないというのが実態であった。寝てないんだったら,何してんのよ?って聞かれれば,当然機内エンタテインメントで映画を見ていた。その全てについて書いていると大変なので,忘れないうちにまとめて書いておこう。今回見た映画は以下の8本であった。我ながらよくやるわ。

  1. 15時17分,パリ行き("The 15:17 to Paris")
  2. デッドプール2("Deadpool 2")
  3. デス・ウイッシュ("Death Wish")
  4. トレイン・ミッション("The Commuter")
  5. 名探偵コナン ゼロの執行人
  6. レッド・スパロー("Red Sparrow")
  7. のみとり侍
  8. 空飛ぶタイヤ

日本映画が3本も入っているのが珍しいが,ちょっと今回はどれもイマイチだなぁって気がする。一番期待したのはClint Eastwood監督による「15時17分,パリ行き」であったが,実際の面々に演技をさせることはさておき,これはドラマとして,背景を描くことに多くを割いたことにより,本来の題材である列車テロのシーンが,それだけ?みたいになってしまうのが何だかなぁって感じである。昨今,Eastwoodは実話をテーマにした映画を結構撮っているが,これは一番の失敗作に思える。これは正直言って,シナリオの問題が大きかった。

「デッドプール2」は,X-MenをパロディにするのはMarvelとしてありだと思うが,正直言って何が面白いのかよくわからない展開で,コメディとアクションを両立させるのは,実は難しいのではないかとずっと思っていた。「デス・ウイッシュ」は懐かしや「狼よさらば」のリメイク作である。オリジナルでCharles Bronsonが演じた役は,今度はBruce Willisが演じる。いつもバリバリのアクションをこなすBruce Willisが銃も撃ったことのない外科医を演じるってのは,どうなのかねぇ。また,悪役側の粘着質さが嫌らしくて感じが悪いが,まぁ,こんなもんかって感じである。

「トレイン・ミッション」はこの手の映画に盛んに出ているLiam Neesonの映画であるが,映画の内容はさておき,知っている場所でのロケーションが出てきて,そちらに反応していたと言うのが実態。これもストーリーはかなり無茶苦茶な映画であるが,まぁいいや。「名探偵コナン」シリーズは,興行収入もよく,人気であるが,今回の一作もなかなか面白いと思わせたが,アニメらしいありえなさもあって,昔の「ルパン3世」とかを思い出して笑いながら見ていた私である。まぁ,それでも,大人が見ても結構楽しめてしまうのが,このシリーズのいいところである。

「レッド・スパロー」はこれって今の時代の話なのかと思わせる部分もあったが,何はなくともJennifer Lawrenceってこんなに別嬪だったかと,ずっと思っていた私である。私がそう思ったのはこういう感じというのを上下に1枚ずつ画像をアップしておくが,今までの彼女のイメージと全然違ったと言っておこう。また,この映画には,懐かしやCharlotte Ramplingが出ていたのには驚いたが,まだまだ現役で頑張っているのねぇ。素晴らしいことであるが,今回の鬼教官みたいな役はやっぱりはまるねぇ。

「のみとり侍」は裸もぼんぼん出てくる艶笑映画であるが,こういうのを誰が見るのかわからない機内エンタテインメントでやってしまうことには,批判もあるだろうなぁと思いつつ,気楽に見られるという点ではいいが,やっぱりこういうのを機内で見ていると人の目は気になるねぇ(爆)。そして「空飛ぶタイヤ」だが,池井戸潤らしいストーリーだなぁと思いつつ,あの自動車会社があそこで,あの銀行があれでと思って見ていると,露骨だなぁと思ってしまう。まぁ,でも実態もこの映画に近い部分もあったのかと思うと,困ったもんだなぁと思ってしまう。ただねぇ,このキャストはどうなのよって気はするが...。

ってことで,機内での時間を過ごすのに機内エンタテインメントは欠かせないものの,今回の目玉は「ハン・ソロ」だったように思う。でも劇場で見てしまっていたし,再見するほどの魅力も感じなかったので,上記のようなチョイスになったが,一本ぐらいこれはよかったってのが欲しいよねぇ。そんな中では,まぁ「レッド・スパロー」はJennifer Lawrenceに免じて許すって感じか。ただ,ちょいと長い(140分)のは気に入らないが。

でもまたすぐにNY便に乗ることになっているので,次はもう少し渋い映画をチョイスするかな(爆)。

Jenniferlawrenceinredsparrowmoviedh

2018年9月19日 (水)

Tord Gustavsenによるピアノ・トリオの新作は期待通りの出来。そして彼の信仰心を感じさせる。

"The Other Side" Tord Gustavsen Trio(ECM)

_20180915_3総帥Manfred Eicherにより,新世代のピアニストも続々と紹介されており,私も結構その世界にはまってはいるが,現在のECMレーベルにおいて,確実に期待できるピアニストとして評価を確立しているのは,私は先日記事をアップしたMarcin Wasilewskiと,このTord Gustavsenだと思っている。

Tord Gusravsenに関しては,全部が全部いいという訳ではないと思っていて,例えば私の中では,"Restored Returned"なんかはちょいと評価が低い(記事はこちら)。しかし,それは例外的なものであって,ほかの作品は極めて高く評価している。そうした中で,この人の魅力はピアノ・トリオだけではないということは,テナー入りの"Extended Circle"でも,ヴォイスの入った"What Was Said"でも実証されている。しかし,やはりピアノ・トリオも聞きたいと思うのがファンの心理であることも事実であった。本作は2007年リリースの"Being There"以来という,実に11年ぶりのピアノ・トリオ作である。

ここでは,Gustavsenのオリジナルに加えて,トラッド,更にはバッハの曲をアダプテーションした演奏が聞けるが,さすがに1月のオスロ,Rainbow Studioでの録音と感じさせるような,静謐で,内省的な音の連続である。これこそがECM,あるいはTord Gustavsenの美学であると言ってもよいかもしれない。まぁ,冬のオスロでじゃかじゃかした演奏はやってられんと言う話もあるが...(笑)。それでも,こうした音楽をやられてしまうと,私のようなリスナーは無条件によいと思ってしまう。それが一般的なリスナーの感覚とは必ずしも合致しないところはあるだおるが,こうしたサウンドには全面的にOK!と言ってしまうのである。

バッハのアダプテーションでは,宗教的な響きさえ感じさせるが,それはモテットやカンタータの原曲なのだから当たり前なのだが,トラッドや,2曲目に入っているノルウェイの作曲家Lindemanの"Kirken, den er et gammelt hus"も讃美歌みたいなものであるから,ここでのテーマには宗教を感じる。そして,そこに加わるGustavsenのオリジナルが,何の違和感もなくブレンドして,この音世界を作り上げている。

私からすれば,この音楽は決して刺激を求める音楽ではない。そこに不満を感じるリスナーが聞くべきものでもない。これは冬のオスロの気候に思いを馳せながら,信仰の音楽による表出とは何かということを考えるに相応しい作品だと思う。Tord GustavsenはSolveig Slettahjellと"Natt I Betlehem"という素晴らしいホリデイ・アルバムを作り上げているが,この人の根底には宗教感が根差していることを強く感じさせる作品。Marcin Wasilewskiのアルバムと比べれば,私はWasilewskiに軍配を上げるが,これはこれで,私の心を十分に捉えたと言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in January, 2018

Personnel: Tord Gustavsen(p), Sigurd Hole(b), Jarle Vespestad(ds)

2018年9月18日 (火)

安定のJLFだが,このジャケはなんとかならなかったのか?

"Impact" Jeff Lorber Fusion (Shanachie)

_20180915_2私の情報収集が足りないだけなんだろうが,何の前触れもなくリリースされたJeff Lorber Fusionの新作である。"Now Is the Time"で復活したJLFのアルバムも,早くも6作目ということで,結構なペースでリリースされていることはファンにとっては喜ばしい。しかし,不思議なことに,本作はJeff LorberのWebサイトにも告知がされていない状態なので,まぁ私が気がつかなくたって仕方ない。

収録されている音楽は,どこから聞いても,JLFらしいグルーブの,典型的なフュージョンである。テンポが同じような曲が揃っていて,ちょっと変化が少ないかなぁって気がしないでもないが,さすがの安定度であることには間違いない。そうした意味で私の彼らへの信頼は揺るがない。今回は,ゲストなしのほぼ固定メンツで演奏しているのも珍しい。1曲でギターがPaul Jackson, Jr.からMichael Thompsonに,もう1曲でAdam Hawleyに代わるだけってのは,メンバーを固めて活動していくという宣言なのかもしれない。前作"Protitype"もそんな感じであったが,全面参加のGary Novakはもうレギュラーって感じだよなぁ。

だが,このジャケットは何なのかねぇ。正直に言ってしまえば,これだけで購入意欲が下がる。今までのJLF,あるいはJeff Lorber単独名義のアルバムでも,これだけ意味の分からないジャケはいまだかつてないはずである。ダウンロード音源ならばさておき,CDはパッケージングを含めたかたちで評価されるものであって,このジャケはあまりにも印象が悪い。と言うよりも購入者をバカにしているのかとさえ思いたくなるような噴飯ものである。

今回も,まとめ買いのついでで購入したが,パッケージとしては保有の意味はないと断言したくなるようなアルバム・デザインである。音だけ聞くならダウンロード音源で十分であって,それによって,私はこのアルバムへの評価を下げざるを得ないのだ。私は定常的にJLFのアルバムは星★★★★としているが,今回はどうしてもこのジャケへの怒りがおさまらず,半星減点して星★★★☆。プロデューサーとしてのJeff Lorberはジャケット・デザインにも責任を負うべきなのだ。

Personnel: Jeff Lorber(p, el-p, synth, g), Jimmy Haslip(b), Andy Snitzer(ts, as, ss), Gary Novak(ds), Paul Jackson, Jr.(g), Michale Tompson(g), Adam Hawley(g), Dave Mann(horn)

2018年9月17日 (月)

これも当時は未発表音源の発掘だったStan Getzのライブ。

"My Foolish Heart: Live at the Left Bank" Stan Getz (Label M)

_20180902_4昨今のStan Getz聞きの流れで,これも久しぶりに聞いた。このアルバムがリリースされたのは2000年頃のことのはずだが,これも当時は未発表だったライブ音源がリリースされたものである。このアルバムにおいては,Stan Getzのハード・スウィンガーぶりがよく感じられると言ってよい。

基本的にバラッドはタイトル・トラックと"Spring Is Here"ぐらいで,あとはリズム・セクションもあって,結構ハードに吹いている。バックを支えるRichie Beirach,Dave Holland,Jack DeJohnetteと言えば,Dave Liebmanの"First Visit"のバックのメンツと同じなのだ。そりゃ,いつものGetzとは違うわな~。だからと言って,GetzがLiebmanのようになるかと言えばそんな訳はないのだが(笑)。

しかし,冒頭の"Invitation"から始まって,全編を通じて快調そのもののGetzだ。Jack DeJohnetteはそんなに暴れている感覚はなく,どちらかと言えば,しっかりとGetzを支えているって感じだが,それでもやはりこのリズム・セクションは強烈で,私にはDave Hollandが効いているように感じられた。

いずれにしても,こういう音源も隠れていたのだから,まだまだジャズの巨人たちの未発表音源(特にライブ)なんていくらでもあるのかもしれないなぁと思ってしまった。実にいい演奏である。星★★★★☆。

ところで,このアルバムの最後にはChick Corea作の"Fiesta"という曲が入っているのだが,これは明らかに"La Fiesta"と異なる別曲に聞こえるのだが,これは一体どういうことなのか?う~む...。

Recorded Live at the Left Bank, Baltimore on May 20, 1975

Personnel: Stan Getz(ts), Richie Beirach(p), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds)

2018年9月16日 (日)

またも素晴らしい作品をリリースしたMarcin Wasilewski。痺れた。

"Live" Marcin Wasilewski Trio (ECM)

_20180915私はこれまでも,Marcin Wasilewskiのアルバムが出るたびに,最高だ!と連呼してきたように思う。とにかく,ECMレーベル好きとしての心はもとより,ピアノ・トリオの魅力を感じさせるという点では,私にとってはBrad Mehldau,Fred Herschと同じぐらいのポジションを占めていると言っても過言ではない。とにかく私の心を捉えて離さない音楽をECMでリリースし続けてきた。

そんなMarcin Wasilewskiが前作"Spark of Life"から約4年ぶりにリリースしたのが本作で,一部サックスを入れた前作から,従来のピアノ・トリオに戻してのライブ盤である。毎度のことながら,冒頭の"Spark of Life / Sudovian Dance"から,今回も私は心を鷲掴みにされてしまった。

今回のアルバムは,"Faithful"所収の"Night Train to You"を除いて,前作"Spark of Life"からのレパートリーである。ライブ盤とは言え,新曲もないのか?って思う部分もないわけではないが,これが彼らのレパートリーを熟成させ,昇華させた音楽を聞かせようという取り組みだと思えば文句はない。ここでの演奏は,オリジナルの演奏よりは長尺になっていて,曲に対するトリオとしての解釈や表現は更に深化していると思う。

とにかく,全編に渡って,静謐さとダイナミズムを両立させた音楽が展開されていながら,美的であることこの上ない。一聴して,私はこれまで聞いたMarcin Wasilewskiのアルバムよりも,このアルバムが一番優れているかもしれないとさえ思えるほどであった。久々に音楽を聞いて「さぶいぼ」が立った気がする。美しさとテンションとスリルを共存させる音楽にはそう簡単に出会える訳ではない。これには心底まいった。これには星★★★★★しかありえない。

こんな音楽を聞かされたら,彼らの再来日,そして真っ当なヴェニュー,更に真っ当なPAでのライブを体験したいと思うのが筋である。間違いなく今年のベスト作候補の一枚となった。まじに最高である。

Recorded Live in Antwerp on August 12, 2016

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz (ds)

2018年9月15日 (土)

超強烈!John McLaughlinとJimmy Herring合体によるMahavishnu集。

"Live in San Francisco" John Mclaghlin & the 4th Dimension / Jimmy Herring & the Invisible Whip (Abstract Logix)

_20180913Abstract Logixに発注していた本作が早くも到着である。まぁ,私が購入したのはCD/LP/Tシャツのボックスというオタク向けで,発送もFedExゆえ,送料は無茶苦茶高かったが,早く聞けるのはいいことである。

John McLaughlinは昨年US Farewell Tourと題して,Jimmy Herringのバンドとのダブル・ビルで演奏していたのだが,これはツアーからの引退ということらしく,レコーディングももうしないかどうかはわからない。いずれにしても,これはその最終公演1つ前のサンフランシスコで,両バンドが合体してMahavishnu Orchestraの曲を演奏するという模様を収めたものだが,これが実に激しい。「内に秘めた炎」,「火の鳥」,「エメラルドの幻影」,そして"The Lost Trident Session"の曲から構成される音は,強烈と言わずして何と言うという感じである。うるさいと言えばその通り。やかましいと言えばそれもその通り。だがこれは燃える。濃い~メンツの2つのバンドが合体して,Mahavishnu Orchestraの曲を演奏すれば,濃いに決まっているのだ(笑)。

そして,今回のライブ盤において,特筆しなければならないのは,Jimmy Herringのバンド・メンバーであるJason Crosbyのヴァイオリンだろう。Mahavishnu Orchestraと言えば,ヴァイオリンがサウンドにおいて重要な位置づけにあることは間違いないが,McLaughlinのバンドである4th Dimensionにはヴァイオリニストはいないところで,このJason Crosbyの働きが非常に効いている。御大McLaughlinが強烈なのはもちろんだが,Mahavishnu再演に仕立てられたのは,このJason Crosbyによるところが大きいと言ってよいだろう。

また,4th Dimensionのメンバーはいつも通りだが,Jimmy Herringのバンドは,ベースは昨今Wayne Krantzとよく共演しているKevin Scott,そしてドラムスはAlex MachacekともやっていたJeff Sipeである。そりゃあ濃いわけだ(笑)。

ここでの演奏を聞いて,John McLaughlinがツアーから引退するってのは,正直言って信じ難いと言いたくなるほど,枯れたところは皆無。しかし,この録音当時で既に76歳だったことを考えれば,ツアーは確かにきついのかもしれない。今にして思えば,昨年12月にChick Coreaとのデュオという,激しさはないが,2大巨頭によるデュオ・ライブに接することができたこと(記事はこちら),そして4th Dimensionでの来日公演を観られたこと(記事はこちら)はラッキーだったと思わざるをえない。そんな思いも含めて,星★★★★★としよう。やっぱり惜しいなぁ。

Recorded Live at the Warfield on December 8, 2017

Personnel: John McLaughlin(g), Ranjit Barot(ds, konokol, vo), Gary Husband(el-p, synth),Etienne M'Bappe(b, vo), Jimmy Herring(g), Jason Crosby(vln, rhodes, vo), Kevin Scott(b), Jeff Sipe(ds, gong), Matt Slocum(org, clavinet)

2018年9月14日 (金)

Arturo Sandoval@Blue Note東京:まさにエンタテインメントですな。

Arturo_sandoval_at_blue_note_2

Blue NoteにはJam Session会員というメンバーシップがあるが,今回のライブは会員+1名が半額で入場可ということもあり,私としては極めて珍しいタイプのライブに足を運んできた。元はIrakere出身のArturo Sandovalバンドに,ゲストとしてJane Monheitを迎えるというプログラムである。

As_blue_note最初からなんともエンタテインメントなジャズで,非常に楽しいライブではあるのだが,日頃私が行っているタイプのライブとは全然毛色が違って,やっぱり嗜好って出るよなぁと思ってしまった。

Arturo Sandovalは私が初めてNYCを訪れた1983年の8月に,Sweet BasilのGil Evans Orchestraに参加しているのを見て以来だと思うが,その時も超絶ハイノートを吹きまくっていて,聴衆には受けていたが,私としてはやり過ぎ感があったのも事実。だが,それから35年も経つと,Arturo Sandovalも私も年を取った。しかし,あっちは元気なものである。ラッパだけでなく,ピアノ,キーボード,パーカッションにヴォーカルと,まぁよくやるわって感じの69歳であった。まぁ,とにかく聴衆を盛り上げるのはうまいものだと思わせるが,"Bye Bye Blackbird"の一節を聴衆に歌わせるのは,ちょっと日本では厳しいかなぁって気もした。だが,キューバ出身らしいラテンのノリが,驚きのほぼフルハウスに近い聴衆を喜ばせていたのは間違いないところ。ラッパはちゃんと音も出てたしねぇ。立派なものである。

ゲストのJane Monheitはややコンテンポラリーな感じの曲を中心にしていて,やっぱりうまいよねぇと思わせるものの,世代の近い歌手で言うと,私はRoy Hargrove Big Bandで見たRoberta Gambariniの方が上かなと思っていた。今回の選曲が彼女に向いていたかどうかは判断できないが,ヴォーカルをあまり聞かない私の第一印象はそういう感じだったのである。まぁ,でも演奏に華を添えるという意味では,ちゃんと役割を果たしていた。

だが,むしろ私はテナーのMike Tuckerが,Breckerライクなソロを展開していて,うまいもんだと思わせたところに感心したし,あまり知った名前ではないバックの面々が,相当の実力を持つ人たちだということに驚かされたのも事実であった。

私の行った2日目はアンコールなしではあったが,オフ・ステージに行かないでやった"Seven Steps to Heaven"がアンコール代わりって感じだったのかもしれない。まぁ,私がリーダーだったら,Jane Monheitにスタンダードか,ラテン系の曲を歌わせたかもしれないが。

いずれにしても,エンタテインメントとしては大いに楽しめるが,たまにはこういうのもいいとも思うものの,やっぱり半額だからこその参戦だったと思う私である。ラテンもいいが,やっぱり私はより美的か,メカニカルか,ファンクか,あるいはロックかって感じの方が好みってことである。正直言って客層も,私がいつも行くライブとは明らかに違っていたしねぇ。

いずれにしても,今回はギックリ腰を抱えての参戦であったが,何とか乗り切れたのはよかった。尚,上の写真はBlue NoteのWebサイトから拝借したもの。

Live at Blue Note東京 on September 12, 2018, 2ndセット

Personnel: Arturo Sandoval(tp, vo, key, p, perc), Jane Monheit(vo), Mike Tucker(ts), Max Haymer(p, key), John Belzaguy(b), Johnny Friday(ds), Tiki Pasillas(perc)

2018年9月13日 (木)

ECM豊作の秋ってところか。

先週のNYC弾丸出張から帰国した後,体調をおかしくしたりして,音楽について書いている暇も余裕もない。日本は自然災害にも襲われており,不謹慎な投稿は控えないといかんという気持ちもある。被災された皆さまには,ご無事と早期の復興をお祈りするばかりである。

その一方で,ECMレーベルを好む人間にとっては,この秋口は非常に芳醇な季節となること必定である。私が現在のECMにおけるピアノの2トップと思っているTord GusravsenとMarcin Wasilewskiの各々のトリオ・アルバムがリリースされたのである。まだ両方ともちゃんと聞けていないが,一聴でもどちらも素晴らしい出来と思えるものとなっていると思える。特にMarcin Wasilewskiのアルバムは印象が強烈で,今から記事にするのが楽しみである。それにしても,凄い人たちである。

2018年9月 9日 (日)

Stan Getzの"Apasionado"を改めて聞いて反省する。

"Apasionado" Stan Getz(A&M)

_20180902_3先日,Stan Getzの未発表音源について書いた時に,本作がどこにあるのかわからないとか書いてしまったが,今聞くとどんな感じなのかをどうしても確かめたくなって,クロゼットを漁っていたら,比較的短時間で見つかった。むしろ,見つけやすいところに置いてあったという感じか(苦笑)。

以前,このアルバムを聞いた時には,どうもピンと来なかったというのが正直なところである。別にStan Getzを聞くなら,こういう感じじゃなくてもいいのではないかと思えたように記憶している。だが,今回,改めてこの音源を聞いて,どうも感覚が違う。誤解を恐れずに言えば,これは極上のイージー・リスニングである。耳に心地よいことこの上ない。喧噪溢れる都会人の心を癒す音楽と言ってよいかもしれない。スムーズ・ジャズって言葉が世の中には存在するが,本当のスムーズ・ジャズってのはこういうものだと言いたくなるような演奏。ちょいとホーンがうるさく感じる部分もあるが,穏やかに時が流れていく,そういうアルバム。

ライナーには"Recorded Live"って書いてあるので,ホーンとストリングス以外は一発録音って感じなのかもしれないが,そういう意味ではStan Getzのテナーの歌い方って凄いよねぇと思わざるをえない。そして,こういうレコーディングを平気でやらせてしまうプロデューサーとしてのHerb Alpertの凄さってのもあるんだろうなぁ。

もちろん,これが,Stan Getzの音源において最も優れたものと言う気はないが,実はこの音楽を聞いて,音楽はその時々によって,感覚が大きく異なるということを考えれば,また改めて近いうちに,聞いてみる価値はあると思える音源であった。星★★★★。

ところで,ここで作曲やアレンジで貢献しているEddie del Barrioって,よくよく調べると,EW&Fの"Fantasy"の共作者である。多分,Calderaにもいた人だよなぁ。そういう発見もあったから,手持ちの音源はちゃんと聞かないといかんな。

Personnel: Stan Getz(ts), Eddie del Barrio(synth), Mike Lang(el-p, synth), Kenny Barron(p), Paulinho da Costa(perc), Jimmy Johnson(b), Oscar Castro Neves(g), Michael Landau(g), Jeff Porcaro(ds), George Bohanon(tb), Reginald Young(tp), Noland Smith, Jr.(tp), Rick Baptist(tp), Oscar Brasher(tp), William Green(sax), Tom Johnson(tuba)

2018年9月 8日 (土)

古希を過ぎてもいまだ現役のJeff Beckの99年作"Who Else!"

"Who Else!" Jeff Beck(Epic)

_20180902_270歳を過ぎても現役を続け,現在も尖ったギターを聞かせてくれるJeff Beckである。昨今のアルバムはストリーミングで聞けばいいやってレベルの聞き方になってしまった私であるが,このアルバムぐらいまでは結構ちゃんと聞いていたかなぁって気がする。

私は「ギターの鬼」としてのJeff Beckが好きなので,基本的にインスト・アルバムを中心に買っている。そんな私がJeff Beckのアルバムはもう買わなくてもいいかなぁなんて思ったのは"Emotions & Commotions"であったが,それまではインスト中心のアルバムはせっせと買っていた。Ronnie Scott'sでのライブなんて,映像にびっくりさせられていたしねぇ。

そんな聞き手である私にとっても,このアルバムは舞の海ではないが,ギターの「技のデパート」のような感じで,久しぶりに聞いても,おぉ~っと何度も唸ってしまった。電車で聞いていたら確実におかしな目で見られていたであろう反応をしてしまった(爆)。とにかくハード・ボイルド。恐るべきギター・フレーズの数々である。もちろん,"Blow by Blow"や"Wired"を凌駕するとは言わないが,これはこれでJeff Beckの変らぬ尖り具合を大いに楽しめるアルバム。現在のJeff Beckのライブの演奏のひな型になっているのはこの辺りだったのかもなぁと改めて感じた一枚。

ライブ音源である"Brush with the Blues"を聞いて何も感じなければ,Jeff Beckとは一生縁はないと思ってよい。星★★★★☆。いやはや凄いよねぇ。

Personnel: Jeff Beck(g), Jennifer Batten(g), Steve Alexander(ds), Randy Hope-Taylor(b), Tony Hymas(key), Pino Palladino(b), Manu Katche(ds, perc), Jan Hammer(key, ds), Clive Bell(fl), Bob Loveday(vln), Mark John(g), Simon Wallace(synth)

2018年9月 7日 (金)

Kurt Rosenwinkel@Cotton Club参戦記

Photo

Kurt RosenwinkelのCotton Clubでの3日間のライブの中日を観に行ってきた。当初,セカンドだけを観るつもりで,大混雑を予想してちょっと早めに並びに行ったのだが,誰もいない。ってことで,待っててもしょうがないから,財布には痛かったが,ファースト・セットからの参戦となった。で,中に入ってみると,半分ぐらいしか埋まっていない。まぁ,当日は関西地方を襲った台風の影響で,東京も強風が吹いていたから,家路を急いだ人も多い中でのライブなので,多少集客力の低下があったかもしれない。まぁ,それでもセカンドは7~8割方埋まったってところか。

一言で言えば,この人の演奏は淀みがなく,流れるようなフレーズが次々と出てくる。変態的な超絶技巧とは感じさせないが,マネできそうでも実際にはマネは難しいって感じがするなぁとずっと考えていた。まぁ,それでもファーストでやった”Confirmation“なんて崩しまくりで,十分変態だったが。

オリジナルはファーストの1曲目だけだったと思うが,これが結構コンテンポラリーな感じでぞくぞくしてしまったが,それ以外は先人のジャズ・オリジナルやスタンダードで固めるというかたちだった。これはベースに急遽,須川崇志が入るということで,妥当な対応だったと思うが,Kurtの足元には,曲目が書いたリストがあって,そこからその場で弾く曲を選んでいるって感じだったのは,Fred Herschと同じだろう。

今回,象徴的だったのは,ファースト,セカンドともにMingusとジョーヘンをやったことか。ファーストではそれぞれ”Self-portrait in Three Colors”と“Punjab”,セカンドでは“Goodbye Pork Pie Hat”と”Serenity“をやったはずだ。その辺にRosenwinkelの志向が感じられる。“Goodbye Pork Pie Hat”は結構ストレートにやっていて,ついついJeff Beckと比較したくなった私。

今回,ドラムスは父親はギターのMark Whitfield, Jr.だったのだが,血筋を感じさせるドラミングは実に大したものであった。リーダーが作曲者を思い出せないでいると,すかさずBenny Golson(”Along Came Betty“)だ,John Lewis(”Milestones“)だとすかさずサポートするところは,勉強熱心だねぇと思わせた。ドラムスを叩いている時の笑顔とか,好感度の高い人であった。また今回シットインの須川崇志はよく頑張ったが,ソロのクォリティにばらつきがあったのはちょいと惜しい。それでもトラの役割は十分果たしていたとは思う。

尚,今回は終演後のサイン会はなかったが,来場者にはお土産にピックが渡されていた。でもSong X Jazzとしてはサイン会をやって,売上と印税に貢献した方がいいように思うけどなぁ。まぁ,私は以前,国立でサインはゲット済みだからいいんだけど。

Live at Cotton Club東京 on September 4, 2018,1st & 2ndセット

Personnel: Kurt Rosenwinkel(g), 須川崇志(b),Mark Whitfield, Jr.(ds)

2018年9月 6日 (木)

Baldwin & Lepsって言っても好き者にしか通じないよねぇ(苦笑)。

"Baldwin & Leps" (Vanguard)

_20180902何とも印象的なジャケットである。そして「ブラックホークの99枚」にも選ばれていることで,好き者は知っているが,関心のない人にとってはなんじゃそれは?にしかならないアルバムである。一度,日本でもCDでリリースされたことがあるが,それも20年前。そちらは入手は決して容易ではあるまい。かく言う私も入手は苦労したが,ゲットしたのは今はなき町田の「オスカー」だったか...。

アルバム・ジャケからもわかる通り,ギターとヴァイオリンのデュオである。このアルバムは今やCDBabyで"From the Street to the Studio"というタイトルで入手可能で,そこでの解説によれば,Michael Bladwinがギターとリード・ヴォーカル,Ricahrd Lepsがヴァイオリンとハーモニー・ヴォーカルということである。ジャケにも何も書いていないが,バックにはリズムやストリングスが入る曲もある。とにかく音以外は謎なのだが,"From the Street to the Studio"というタイトルからすれば,もともとはストリート・ミュージシャンだった2人にレコーディングのチャンスが与えられたということであろう。

だが,その後,消息を絶つというのは,このアルバムがリリースされた時代(1971年)でさえ,大して売れそうにないなぁという音を聞けば納得がいってしまう。しかし,このせかせかした時代にこういう音楽で和むということは,ある意味価値があるのではないかと思う。リズムが入ったイントロはいかにもCSN&Y的に響くところも時代を感じさせるが,私のようなオッサンにはこれぐらいの感覚のアルバムもたまに聞きたくなるのは,渋いシンガー・ソングライター好きの性ってやつである。

Michael_baldwin_and_richard_lepsそうは言いながら,私がこのアルバムをプレイバックする回数は実はそれほど多くない。それはMichael Baldwinのハイトーンの声が若干私の好みとは違う(むしろRichard Lepsの声の方が好みなのだ)ことが大きいが,それでもこれはこれで保有していて損はないアルバムだと思う。不朽の名作とは思えないが,これも時代を映す鏡である。星★★★★。ついでに現在入手可能なヴァージョンのジャケも掲載しておこう。これでは購入意欲は上がらないが(爆)。

Personnel: Michale Baldwin(vo, g), Richard Leps(vln, vo)

2018年9月 4日 (火)

これがNik Bärtsch's Roninの第1作。

"Randori" Nik Bärtsch's Ronin(Ronin Rhythm)

_20180901_3今や,ECMレーベルからアルバムをリリースするようになったNik Bärtsch's Roninであるが,ECMへの第1作"Stoa"をリリースしたのが2006年で,もう12年も経っているのかと思ってしまうが,それにECM加入に先立ってRoninは3枚アルバムをリリースしている。これがその最初のアルバムで,初出は2002年らしい。

そして,これを聞いてみればわかる通り,彼らがやっていたことは最初から何も変わっていない。というよりも全く同じである。これぞ永遠のワンパターン。ここには後年参加するShaのバスクラはまだいないが,それでも受ける感覚に何の違いもないってのはある意味凄い。この音楽は,ただ単純に身体を揺らせばいいのだと思ってしまう。やっぱり好きなのだ。どれを聞いても同じに聞こえて何が悪い?と開き直ってしまおう。この音楽は私にとって,採点不要。このグルーブ,たまらんのだ。

また日本に来ないかなぁ...。

Personnel: Nik Bärtsch(p, el-p, synth, ds), Björn Meyer(b), Kasper Rast(ds), Andi Pupato(perc)

2018年9月 3日 (月)

Stan Getzの"The Lost Sessions":これが未発表だったっていうのは,そういう時代だったってことなのか。

"Bossas And Ballads: The Lost Sessions" Stan Getz(A&M/Verve)

_20180901_2Stan Getzは多作の人ではあるが,晩年のアルバムも結構捨てがたいと思っている人は結構いるのではないか。Emarcyから出た"Anniversary"とか実は私も好きなのだ。そうした中で,2003年にこのアルバムが出た時は,なんでこんなアルバムが埋もれていたのだろうと思っていた(はずだ:笑)。

このアルバムをプロデュースしたのはあのHerb Alpertである。そしてA&Mレーベルからのリリースを考えていたはずだが,それより優先されたのが"Apasionado"の方である。私は"Apasionado"も保有しているが,どこかにはあるが,どこにあるのかはわからない。私の中ではそういう評価のアルバムなのだ(だが,今聞き返せば,全然違うかもしれないが...)。

その一方で,本作は,"Bossas And Ballads"というタイトルからもわかる通り,Getzの得意とするパターンが並んでおり,安定した演奏が楽しめる。特筆すべきは9曲中,5曲を提供しているKenny Barronの作曲による貢献だが,それ以外も"Soul Eyez","Beatrice",そして"The Wind"のようなおいしい曲が並んでいる。

そもそもStan Getzという人は,私にとっては,常に一定レベル以上の演奏を残すタイプの人ではあるが,アルバムはいろいろあり過ぎて,これはさすがに...っていうのも存在するのは事実だろう。だが,こういうコンボのアルバムは,Getzを聞くには最適と思えるし,捨て難い魅力を持っているなぁと改めて感心してしまった。やっぱりいいですわ。"Apasionado"をこれに優先させたってのは納得いかんということで,星★★★★☆。

Recorded on March 26, 28 & 29, 1989

Personnel: Stan Getz(ts), Kenny Barron(p), George Mraz(b), Victor Lewis(ds)

2018年9月 2日 (日)

マジで素晴らしいEmmylou Harrisの"Wrecking Ball"

"Wrecking Ball" Emmylou Harris(Elektra)

_20180901Emmylou Harrisと言えばカントリーってイメージが強いんだろうが,私の中で最初に記憶に刻まれたのはThe Bandの"The Last Waltz"で"Evangerine"を一緒に歌っていたことだったと思う。だが,カントリーのイメージが強いので,純正カントリー・ミュージックにはほとんど興味を持てない私のような人間にとっては,決して縁の深いミュージシャンではない。もちろん,いろんな人のバックで名前を見ることはあっても,それでいいじゃんという感じだったのである。

そんな私がこのアルバムを購入した理由は,世評の高さもあったが,やはりプロデューサーがDaniel Lanoisだったということが大きかっただろう。ここで聞かれる音場って,穏やかで緩やかなU2的なサウンドと言っても通用しそうな気もする。U2のLarry Mullen, Jr.も結構な数の曲で参加していることも無関係ではないだろう。

だがそうしたサウンド面はさておき,このアルバムの重要なポイントは,それこそアメリカ/カナダ音楽の重鎮のような人たちが書いた曲を,穏やかな中にも,刺激のあるかたちで歌い上げたことにこそあるように思う。DylanにNeil Youngやジミヘン,更にはSteve EarleやAnna McGariggle,Gilian Welch,Lucinda Williams等々と言えば,何をかいわんやって感じである。渋いチョイスというか,ある意味こうした人たちの曲が,何の違和感もなく並んでいることが凄いのだ。まさに見事に仕立てられたアルバムであり,Daniel Lanoisのプロデュース手腕ここに極まれりって感じがする。

こんな音作りゆえに,カントリー・ファンからは無視されたって話もあるが,これを聞かずにおくのは実にもったいない。本当に優れたヴォーカル・アルバム。素晴らしい。星★★★★★。

Personnel: Emmylou Harris(vo, g), Daniel Lanois(g, mandokin, b, dulcimer, perc, vo), Malcolm Burn(p, org, key, vib, g, b, perc, vo), Larry Mullen, Jr.(ds), Tony Hall(b, perc), Daryl Johnson(perc, b, vo), Brian Blade(ds, perc), Steve Earle(g), Sam O'Sullivan(roto wheel), Neil Young(vo, hca), Kufaru Mouton(perc), Lucinda Williams(g), Richard Bennett(g), Anna McGarrigle(vo), Kate McGarrigle(vo)

2018年9月 1日 (土)

Chick Coreaつながりで今日は"The Mad Hatter"

"The Mad Hatter" Chick Corea(Polydor→Verve)

_20180831昨日,"Time Warp"を取り上げたChick Coreaであるが,彼がその昔(もう40年前だ!),吹き込んだ別のコンセプト・アルバムである。テーマは「不思議の国のアリス」に出てくるMad Hatterである。

私はこのアルバム,結構好きなのだが,それは偏に"Humpty Dumpty"と"The Mad Hatter Rhapsody"2曲のためだけである。この頃,Chick Coreaはストリングスなどを入れて,バンドの規模を拡大している頃だが,まぁそれはアレンジ能力もあって,決して悪いと思っていない。だが,私はどうしても奥方のGayle Moranの声が苦手なのだ。彼女の声さえ入っていなけれれば,私はもっとこのアルバムを愛せたはずだ(きっぱり)。例えば,"Falling Alice"なんて結構いい曲なのだが,Gayle Moranが出てくるだけで冷める。

だからこそ,彼女があまり出てこない前述の2曲は好きだし,スリルに溢れていると思うのだ。特に"The Mad Hatter Rhapsody"におけるHerbie HancockのRhodesのソロの出てくる瞬間はいつ聞いてもしびれる。だからこそGayle Moranが邪魔なのだ。長年連れ添っている夫婦に対して文句を言うつもりはないが,本作を含めたChick CoreaのGayle Moran入りのアルバムが決定的な評価に至らないのは,私みたいなリスナーが多いからだと思ってしまう。いずれにしても,私にとっては趣味じゃないのだから仕方ない。Gayle Moranに恨みはないが,彼女を使ってしまうプロデューサーとしてのChick Coreaには私はネガティブな立場を取らざるをえないのである。

結構好きなアルバムなのに,邪魔なヴォーカルが入っているのは,やはり致命傷。"Dear Alice"だってカッコいい演奏なのだが,それはGayle Moranがいない時に顕著なのだ。ということで,前述の2曲については喜んで星★★★★★を与えたいが,Gayle Moranの不要なヴォーカルをフィーチャーしたことで,アルバムは星★★★★まで評価を下げざるをえない。そう言う意味では本当に惜しい。私がミキサーならGayle Moranの声を消して,リミックスしたいとさえ思ってしまうそんなアルバムである。でも演奏は実によくできている。だからこそ惜しいのだ。こうなるともはや生理的という気もするが,それも仕方あるまい。

Personnel: Chick Corea(p, key, perc), Herbie Hancock(rhodes), Gayle Moran(vo), Eddie Gomez(b), Steve Gadd(ds), Joe Farrell(ts, fl, piccolo), John Thomas(tp), Stuart Blumberg(tp), John Rosenberg(tp), Ron Moss(tb), Charles Veal(vln), Kenneth Yerke(vln), Denyse Buffum(vln), Michael Nowack(vla), Dennis Karmyzin(cello), Jamie Faunt(b), Harvey Mason(ds)

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