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2018年7月16日 (月)

初めて聞いたMaterialの"One Down":無茶苦茶カッコいいじゃん。

"One Down" Material(Celluloid)

One_down先日,私はこのアルバムを縁あってApple Musicでストリーミングで聞いたのだが,それが私にとってのこのアルバムの初聞きであった。Materialについては,だいぶ前に彼らのデビュー・アルバム"Memory Serves"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,その当時としては尖がったグループであったことは間違いないとしても,その後を追い掛けることは当時の私にはなかった。だから,このアルバムについても未聴のままだったわけだが,そのストリーミングを聞いた時,おぉっ,これはカッコいいと思ってしまった私である。挙句の果てにCDまでゲットしてしまった(笑)。

これはMaterial版ファンク&ソウルって感じの演奏,歌唱が収められており,これがなかなか楽しめるのである。驚いたことにと言うか,今は亡きWhitney Houstonのメジャー・デビュー前の歌唱も入っており,その伴奏にはなんとArchie Sheppというどういう組み合わせやねん?と言いたくなるような"Memories"なんて,今にして思えば「へぇ~」と言わざるを得ない。また,Fred Frithのノイジーなギターで始まる"Time Out"なんてPrinceのようにさえ聞こえる。こういう音楽をMaterialとしては指向していたのかってこともわかって,実に興味深いアルバムである。まぁ,Nile Rogersがギターで参加する曲はまるでChicそのものだが(笑)。

そのほかにいろいろなヴォーカリストが参加して,賑々しいアルバムであるが,この段階では既にドラマーであったFred Mahrは脱退していたようで,彼の名はボートラとして入っている"Bustin' Out"に認められるだけである。その後,Materialのメンバーはプロデューサーとしても活躍するが,既にFred Mahrはこういう路線とは違うものを目指していたということであろう。

_20180715しかし,リリースから35年以上経っている割に,今の耳で聞いてもこれはカッコいいと思ってしまうのは私が同時代人だからなのかもしれない。それでも結構楽しめてしまうということで星★★★★。私としてはファーストよりもこっちの方が楽しめるかもしれないなぁ。

残念ながら私がネットでゲットした中古盤はジャケ違いであるが,そっちの画像も貼り付けておこう。

Personnel: Bill Laswell(b), Michael Beinhorn(synth), Fred Mahr(ds), Nona Hendryx(vo), B.J. Nelson(vo), R. Bernard Fowler(vo), Noris Night(vo), Whitney Houston(vo), Nicky Skopelitis(vo, g), Thi-Linh Le(vo), Jean Karakas(vo), Nile Rogers(g), Fred Frith(g), Ronnie Drayton(g), J.T. Lewis(ds), Tony Thompson(ds), Yogi Horton(ds), Raymond Jones(el-p), Oliver Lake(as), Archie Shepp(ts), Danile Ponce(perc)

2018年7月13日 (金)

長年保有していても,ほとんど聞いてないJack DeJohnetteのアルバム。

"Music We Are" Jack DeJohnette(Golden Beams)

_20180708_3長年,保有していてもちっともプレイバックしないアルバムってのはいくらでもある(爆)のだが,発売から既に10年近くが経過している本作もそうした一枚だが,ちょいとした気まぐれで取り出してきてみた。

Jack DeJohnetteを支えるのは,Wayne Shorter Quartetでもバンド・メイトのDanilo PerezとJohn Patitucciなので,おかしなことにはならないはずだという思いでこのディスクを購入したはずだ。正直なところ,初めて聞いた時にピンと来なかったという印象が強く,そのため「放置」に近い状態が続くという感じである。それでもって,今回久しぶりに聞いてみてどうだったか?

やっぱりピンと来ない(苦笑)。いきなりピアニカを多重録音した"Tango African"からして,「う~む」となってしまう。その後聞き続けても,どうも捉えどころがないというか,こ。のアルバムのポイントがどこにあるのか絞り切れない状態が続くのである。DeJohnetteが吹くピアニカは,Astor Piazzolaの世界をなぞったもののようにも聞こえる部分もあるし,静謐なパートでは,現代音楽あるいはアンビエントな世界さえ感じさせる。

そんな感じなので,私は大いに戸惑うのである。このメンツである。ドラムスをBrian Bladeに代えれば,The Children of the Lightってことになるが,そのトリオの演奏が一筋縄でいかないことはライブでも実証されていた(記事はこちら)が,本作での演奏はそれほどの自由度を感じさせる訳でもないし,ジャズ的なスリルを強く感じさせる訳でもない。リズムがスリルを感じさせる"Cobilla"のような曲はあるが,こういうタイプの演奏を多くのリスナーは期待するのが普通ではないかと思うのだ。なので,アルバム全体としては私としてはかなりフラストレーションがたまる状態が続いてしまうのである。

Jack DeJohnetteはライナーに次のように書いている。"What I like most about doing this project is the love and care and spiritual passion that everyone put in to making this an incredibly enjoyable experience." それはやっている彼らにとってはそうかもしれないが,聞いてるリスナーにはそうでもなかったという例と言っておこう。そういう意味で私は本作は失敗作だと思う。私のしょぼいシステムで聞いても,音がいいのはよくわかるが...。星★★。

Recorded on February 22-24, 2008

Personnel: Jack DeJohnette(ds, pianica), John Patitucci(b, el-b), Danilo Perez(p, key)

2018年7月12日 (木)

亡き父が買うCDとしては意外な"Harlequin"

"Harlequin" Dave Grusin & Lee Ritenour(GRP)

_20180708_5_2一時期のGRPレーベルというのは,まさに飛ぶ鳥も落とす勢いであり,それこそImpulseレーベル等も参加に収めていたのも懐かしい。フュージョンやスムーズ・ジャズ系の音源はそれこそ本当にたくさん出ていたが,一定のレベルは常に維持していたと思う。本作はそのレーベル・オーナーの一人であるDave Grusinと,レーベルを代表するミュージシャンであったLee Ritenourの双頭リーダー作である。

 私は,GRPレーベルのアルバムは結構保有しているが,このアルバムは自分で買ったものではない。なぜか亡き父の遺品である。私の父はそもそもモーツァルト好きの人であり,ジャズも聞かなかった訳ではないが,どちらかと言えば,スイング/トラッド系のアルバムを買っていた。そんな父に私が,父の日にジャズ・アルバムを何枚か送るようになったのはいつ頃のことだったか。それ以降は,モダン,あるいはコンテンポラリーなジャズも結構聞くようになっていて,Brian Blade Fellowshipのファースト・アルバムやKenny Kirklandのアルバムを気に入っていたのも懐かしい。だが,フュージョンに手を出すとはとても思えず,なぜこのアルバムを保有していたのかは,全く謎である。私が認識している限り,父が保有していた典型的なフュージョン・アルバムはこれだけなのである。本来なら私自身が買っていても全然不思議はないし,その後のRitenourのGRPでのアルバムもほとんど買っていることからすれば,これを買っていなかったことの方がはるかに不思議なのだ。

そんなこともあり,それを実家から私が持ち帰り,私の家に置いているわけだが,実は持ち帰ってから一回も聞いていなかったなぁってことで,プレイバックをしてみた。

結論からすれば,典型的なフュージョンと言えるが,Lee Ritenour個人のアルバムであったらもう少しスピード感のある曲を入れたかもなぁと思わせる。ある意味これはナイトキャップにも適するであろう大人なアルバムである。私としてはその後"GRP Super Live"でも演奏した"Early A.M. Attitude"は非常に馴染み深かったが,それ以外の曲はおそらくちゃんと聞いた経験はないと思う。このアルバムがリリースされて,33年目にこうして聞いているってのも不思議な感じがするが,これはまぁ父に感謝せねばなるまい。

Dave GrusinとLee Ritenourはその後も共演を続け,2015年には一緒にブルーノート東京に出演しているが,その時のGrusinの元気な演奏ぶりからはとても当時81歳だったとは思えなかった。それを遡ること約30年であるから,裏ジャケに写るご両人も当然若いよなぁ。そんな二人の演奏は,Ivan Linsを3曲でヴォーカルに迎えていることが特徴となるが,私としてはインストだけで行っても全然問題なかったのではないかと思っている。もちろん,華を添える効果はあるが,Ivan Linsの世界が強くなり過ぎる面もあるように感じる。まぁ,Ivan Linsがいい曲を書いているのは事実なので,ここはこれでよしとしよう。元祖スムーズ・ジャズって感じで星★★★★。

Recorded in January thru March, 1985

Personnel: Dave Grusin(p, key),Lee Ritenour(g), Jimmy Johnson(b), Abraham Laboriel(b), Carlos Vega(ds), Harvey Mason(ds), Paulinho Da Costa(perc), Alex Acuna(perc), Ivan Lins(vo), Regina Werwick(vo), Carol Rogers(vo), Marietta Waters(vo)

2018年7月11日 (水)

"Captain Marvel"と言ってもStan Getzの方ね(笑)。

"Captain Marvel" Stan Getz (Columbia)

_20180708_2_2映画「アベンジャーズ」シリーズの次作において,登場が確実視されているキャラクターが「キャプテン・マーベル」だが,「アベンジャーズ」に登場する前に,自身を主人公とする映画の公開も決まっているのだから,Marvelも商売がうまいよねぇ(笑)。しかも,それを演じるのがBrie Larsonってのはある意味凄いキャスティングだ。

しかし,ジャズ界において"Captain Marvel"と言えば,本作ということになるが,改めてアルバムのジャケ(特に裏ジャケ)を見てみると,若干はコミックの「キャプテン・マーベル」を意識していないような気がしないでもない。だが,本作の重要性はそんなことではなく,あくまでもStan GetzがChick Coreaのレパートリーを中心に,超豪華と言ってよいメンツでレコーディングしたということにあることは言うまでもない。後にライブでもAirtoを抜いたメンツで再演されるプログラム(ライブ盤に関する記事はこちら)であるが,曲目を見れば,Stan Getz版Return to Foreverと呼んで問題ないことは,ジャズ・ファンならば一目瞭然である。即ちECMでの"Return to Forever"と,ポリドールから出た"Light as a Feather"のほぼ合体形+αなのだから,それだけでも「おぉっ!」となるわねぇ。

そして,Chick CoreaのRhodesに乗って,テナー1本で演奏されるこれらの曲は,オリジナルとはまた異なった味わいがあって,非常に面白い。しかもGetzの演奏は快調そのもの。何を吹いてもいけるねぇ,とついつい思わせてくれるStan Getzである。

それにしても,このメンツがどういう理由で構成されたのかは,いまだによくわからないものの,これだけのメンツを集められてしまうところが,Stan Getzのまた凄いところと言えるかもしれない。まぁ,この頃は,Tony Williamsはさておき,Chick CoreaやStanley Clarkeはまだそれほどのビッグネームとは言えない頃であるから,難しくなかったのかもしれないが,今にして思えば,こういうメンツでレコーディングを行っていたStan Getzのある種の時代を見る目と言うのを感じる。星★★★★☆。

Captain_marvel尚,全然関係ないが,Brie Larsonが演じるCaptain Marvelのポスターが公開されているので,ついでに貼り付けておこう。脈絡なしでも"Captain Marvel"は"Captain Marvel"ってことで(爆)。

Recorded on March 3, 1972

Personnel: Stan Getz(ts), Chick Corea(el-p), Stanley Clarke(b), Tony Williams(ds), Airto Moreira(perc)

2018年7月10日 (火)

奥方Fleurineの新作にBrad Mehldauが4曲で客演。

"Brazilian Dream" Fleurine (Sunnyside)

_20180708Brad Mehldauは奥方Fleurineのアルバムにも結構ゲスト参加しているが,今回の新作も同様である。アルバム・リリース後のライブにもゲストで出ているから,随分奥さん思いだといつも感心してしまう。私が彼女のアルバムをこのブログで取り上げたのはもう10年以上前の"San Francisco"になる(記事はこちら)が,彼女のアルバムはそれ以来ってことになるのかもしれない。"San Francisco"でも感じられたブラジリアン・フレイヴァーが今回は更に強まって,タイトル通り完全にブラジル的なアルバムになっている。

今回,Brad Mehldauはrhodesとピアノで4曲に客演しているが,あくまでもバッキング中心の,楚々としたプレイぶりである。このアルバムにはクリポタことChris Potterも3曲で客演しているが,4曲目"Ausencia de Paixao(Passion)"において、テナー・ソロで場をかっさらうのとはちょっと違う(笑)。もちろん,Mehldauも6曲目"My King"や"Sparkling Gemstone"等でソロは聞かせるが,出しゃばった感じはない。だからと言って,決してクリポタが出しゃばっているという訳ではないので念のため。あくまでもおぉっ,クリポタ!と思わせるだけである(笑)。

今回はバックのミュージシャンも"Boys from Brazil"としてブラジル人で固めているが,彼らはFleurineのWebサイトの情報によれば,NYCをベースにして活躍している人たちのようである。そういう人たちのサウンドをバックにしたFleurineは,オランダを出自とするにしては,いい感じのブラジル感を醸し出している。私はブラジル音楽もそこそこ好きだが,そんな私でも非常に心地よく聞くことができるアルバムになっている。彼女はギターでここに収められたオリジナルを作曲したらしいが,かなりブラジルにはまっているってことなのだろう。

もちろん,リアルなブラジル音楽を聞くなら,私はMaria Ritaのアルバムを選ぶだろうが,それでもBrad Mehldauやクリポタの客演もあり,これは相応に評価してもよいと感じている。聞いてもらえばわかるが,ちゃんとブラジル音楽になっているのである。そうした点も加味して,甘いの承知で星★★★★☆としてしまおう。尚,レコーディング日の記載はあるが,年が書かれていない。多分2017年だろうということで下記のような記述にしておく。

Recorded on May 30 & 31, 2017(?)

Personnel: Fleurine(vo, g), Ian Faquini(g), Eduardo Belo(b), Vitor Goncalves(p, accor, rhodes),Rogerio Boccato(perc), Chico Pinheiro(g), Brad Mehldau(p, rhodes), Chris Potter(ts, ss, a-fl) with Strings and Horns

2018年7月 9日 (月)

Ry Cooderの新譜:どこまで渋いのか

"The Prodigal Son" Ry Cooder(Fantasy)

_20180707_2Ry Cooder,6年ぶりのスタジオ作だそうである。そうは言っても,2013年には素晴らしかったライブ盤をリリースしている(記事はこちら)から,そんなに久しぶり感はない。だが,今回はRy Cooderのオリジナル(息子との共作も含む)は3曲で,そのほかは古い曲が揃っている。それも教会で歌われていたような曲が多いようである。だからと言って,極端にスピリチュアルな感じはしないし,ゴスペル,ゴスペルした感じではない。

基本的にはRy Cooder自身と息子のJoachim Cooderのドラムスで演奏は構成され,そこに若干のゲストが加わるというかたちになっているが,親子でこういうアルバムを作ってしまうってのは,実に羨ましい感じがする。

Ry Cooderという人は,昔から様々な音楽的なフレイヴァーに深い理解を示すとともに,古い曲に光を当てる活動をしていたので,今回のアルバムに関しても,そうした彼の志向は何も変わっていない。そして,昔から渋いなぁと思わせる部分もあったが,それも変わらない。71歳になった現在,更に声は渋みが増し,味わいが更に深まったってところか。

まぁ,現代において,Ry Cooderのやっている音楽は,幅広いオーディエンスに訴求する訳ではなかろうが,こういう音楽を好む私のようなリスナーにとっては,まさに聞いているだけで極楽みたいに感じるものである。そして,Ry Cooderのスライドの腕には全く衰えはない。もちろん,Derek Trucksのような切れ味はないが,Ry Cooderならではの音色は健在である。やっぱりいいねぇ。

ということで,実はこのアルバムも買うか買うまいか,あるいはストリーミングでよしとするか悩んでいたが,これは買って正解と言えるアルバムであった。星★★★★☆。この渋さを理解するのに最適な映像がYouTubeにアップされているので,貼り付けておこう。

尚,ライナーにも書かれているが,長きに渡って,Ry Cooderのアルバムに参加し,ここにも参加しているTerry Evansは今年1月に亡くなっており,これが彼にとっての遺作となるだろう。R.I.P.

Personnel: Ry Cooder(vo, g, mandolin, banjo, b, key), Joachim Cooder(ds, perc), Robert Francis(b), Aubrey Haynie(vln), Terry Evans(vo), Arnold McCuller(vo), Bobby King(vo) 

2018年7月 8日 (日)

Antonio Sanchezはビッグバンド化しても素晴らしいが,私としてはコンボの方がいいと思う。

"Channels of Energy" Antonio Sanchez(CAM Jazz)

_20180707リリースされてから待てど暮らせどちっともデリバリーしないAmazonからHMVに発注替えをして,今頃になってこのアルバムが到着した。本作がリリースされたのは3月下旬だったはずだから,約3カ月半遅れとなってしまって,なんだか新譜として紹介するのもしまりがない(爆)。

それはさておきである。Antonio Sanchezのアルバムはどれも出来がよく,興奮度も高い音楽だと思っている。これまでのアルバムについても,私はかなり高く評価してきたつもりである。そんな彼の音楽はビッグバンド化しても,優れたものになるだろうという予測は簡単につく。本作もアレンジと指揮は名手,Vince Mendozaであるから,作品としての成功は約束されたようなものである。本作も聞いてみれば,モダン・ビッグバンドのアルバムとしてはよく出来たものという評価は可能だと思う。WDR Big Bandの面々のソロも立派なものである。

それはそうなんだが,私がビッグバンドのアルバムをあまり聞かないこともあるだろうが,私はここで演奏されている曲については,コンボで演奏したものの方が興奮度が高かったように思えるのである。私がAntonio Sanchezに求めるものは,演奏の熱量ということもあるが,それがビッグバンド化によって,やや薄まった感覚がある。これはあくまでも好みの問題ではあるが,私としてはこのアルバムに満足はしながら,Antonio Sanchezの本質はこれではないだろうと思ってしまった。

ただ,実によくアレンジされていて,2枚組で80分を越えるヴォリュームも一気に聞かせる力は十分にあるし,Antonio Sanchezのプッシュも効いている。結局どのような編成でも叩けるというドラマーとしての多才ぶりは十分に捉えられているが,でもやっぱり,私はコンボでの熱い演奏の方が好み。ということなので,完全に個人的な好みの問題ではあるが,星★★★★ってところに落ち着かせよう(苦笑)。

Recorded on December 5-10, 2016

Personnel: Antonio Sanchez(ds), Vince Mendoza(arr, cond), Johan Horfen(as), Karolina Strassmayer(as), Oliver Peters(ts), Paul Heller(ts), Jens Neufang(bs), Wim Both(tp), Rob Bruynen(tp), Andy Haderer(tp), Ruud Bruels(tp), John Marshall(tp), Lorenzo Ludeman(tp), Martin Reutner(tp), Jan Schneider(tp), Ludwig Nuss(tb), Shannon Barnett(tb), Andy Hunter(tb), Mattis Cederberg(b-tb), Paul Shigihara(g), John Goldsby(b), Omer Klein(p, el-p)

2018年7月 7日 (土)

Utopiaボックスがようやく到着。

“The Road to Utopia: Complete Recordings 1974-82” Todd Rundgren/Utopia (Friday Music)

C98715bcc57b47108e608eac94ad2483Amazonで早々と予約していながら,入手困難でキャンセルされたボックス・セットをHMVで再注文したものが,発送のタイミングもあって,ようやくデリバリーされた。

まだディスクは聞いていないものの,正直言って,私は彼らの音楽にこれまで数多く接してきた訳ではない。実のところ,これまで購入したことがあるのは”Ra“だけなのだが,そのオープニング・トラックのカッコよさはまさに強烈なレベルだったと思っている。

ということで,”Ra“を含め,彼らの音楽に改めて触れることを楽しみにしている私である。

それにしても,最近のAmazonは実にけしからん。このボックスのキャンセルもそうだが,Antonio Sanchezの新譜もいつまで経っても入荷せず,結局こちらからキャンセルするなど,デリバリーが全くなっていない。CDを売るよりも,デジタル・シフトを消費者に押し付けているのではないかと思いたくもなる今日この頃。マーケットプレースの業者の方が良心的だと言っておこう。

2018年7月 4日 (水)

惜しかった!頑張った!! ありがとう,日本代表!!!

Photo

ワールドカップ決勝トーナメントの日本対ベルギーの戦いは実に素晴らしい一戦であった。前半,ベルギーに押し込まれ,防戦一方となる時間もあった日本がなんとか0対0でしのぎ,後半の3分,7分と原口,乾が立て続けにゴールした時は,私は早朝にもかかわらず,大いに興奮させられたし,新たなジャイアント・キリングかとマジで思わせた。原口のゴールも,乾のゴールも実に見事なものであり,特に乾の無回転ミドルはまさにビューティフル・ゴールと言ってよいものであった。

Photo_2このまま行けるのではないかと思わせたところでの,フェルトンゲンのヘッドがふらふらと上がって,入ってしまったあの一点目が痛かった。ある意味あんなへなちょこゴールをされるぐらいなら,ドカンと一発突き刺された方が諦めもつくというものである。あれはかなり精神的なダメージを与えたはずであるし,ベルギーには活力を与えてしまった。

そして,ベルギーの選手交代の妙と言うべきか,高さを誇るフェライニのヘッドによる同点ゴールは,まさに狙い通りの得点であった。それでもその段階では同点であったし,本田のFKは惜しくもセーブされたものの,アディショナル・タイムでの大きな得点機であった。そして,4分のアディショナル・タイムも残り30秒となったところで,日本はコーナーキックを獲得したのだが,残り時間を考えて点を取りに行ったというその気持ちは理解できない訳ではない。しかし,その後,ベルギーにこれ以上はないというカウンターを完璧に決められ,何とも憎らしいことにゴール前でルカクがスルーし,これも交代で入ったシャドリが決勝点をあげるという結果を生んでしまった。

Photo_3結果論になるが,あのCKをショート・コーナーを使って,時間ギリギリになるまでボールを保持し,最終的にシュートで終えていれば,得点,あるいは延長戦という可能性もあったように思えるだけに,あの時間帯でのコーナーキックの判断の是非は問われても仕方がない部分はある。だが,勝利を目指してのCKであり,かつベルギーの残り30秒からのカウンターが本当に完璧だったことを考えると,残念だったが,負けは負けである。

私はポーランド戦の戦術に関しては徹底的に批判したが,ベルギーとは正々堂々戦って欲しいと,このブログにも書いた。そして彼らは正々堂々と戦い,正々堂々と散った。まさにこれこそポーランド戦では感じることができなかったスポーツマンシップである。このゲームは大きな感動を多くの人に与えたはずだし,日本代表が一皮むける契機になるのではないかと期待できる試合であった。

本当に惜しかった。でも日本代表はよく頑張った。乾,原口,酒井宏樹の涙を見て,朝から私はもらい泣きをしていたが,大会前に,これほどの日本代表の戦いぶりを誰が想像しただろうか。今回の頑張りは胸を張るべき戦いぶりであった。だから,彼らには顔を上げて,堂々と帰国,あるいは,自分の所属チームに帰って行って欲しい。そして,4年後には今回のメンバーから大幅に入れ替えが起こるだろうが,これまで長きに渡って主将としてチームを支えた長谷部は代表引退だそうである。長谷部のこれまでのリーダーシップと精神力には頭が下がる思いだ。そして,今回,献身的な守備でルカクを抑えた昌子は4年後もディフェンスの柱として活躍し,柴崎は今回にも勝る的確なロング・パスやスルー・パスを連発していることを確信している。そうした中で,おそらく日本が強化すべきは,オフェンス時のスピードのギアを一段上げる能力だろう。それができるのは今のところ,今回は代表からもれた浅野ではないかと私は思っている。日本にもスピード・スターは必要なのだと強く感じさせたのは事実であるが,そうした今後の日本代表の姿を想像する楽しみも,彼らは与えてくれたと思う。

いずれにしても,ベルギー戦での日本代表の戦いぶりに改めて大きな拍手を送るとともに,声を大にしてありがとう!と言いたい。

2018年7月 3日 (火)

VARは是か非か。

今回のワールドカップにおいては,VAR(Video Assistant Referee)の導入は大きな改革の要素だと思える。その一方で,これによってゴール前の微妙な判定が覆えることも多々あるように思え,レフェリーの価値や質の低下を招く可能性も否定できないだろう。また,VARによって,試合の流れが分断されることが多く見られるのも事実なのだ。まぁ,新しい仕組みには,往々にして負の要素がつきまとう訳で,今回は今回として,次回からはゴール時の得点判定は残しつつ,その他の判定については,バレーボールやテニスのようにチャレンジ方式を採用してはどうだろう?そうすれば,何でもかんでもVARっていうことにはならないし,主審の恣意的な判断は排除し,チャレンジ対象となったプレーに関してはVARの判断を絶対的なものとすればいいと思える。

ほかの競技で採用されている方式をうまく取り入れることも知恵だと思うのはきっと私だけではないはずだ。FIFAもどうすれば運用がスムーズになるのかを考えることも必要だと感じる今大会。

2018年7月 2日 (月)

話題沸騰。John Coltraneの未発表音源の発掘。

"Both Directions at Once: The Lost Album" John Contrane(Impulse)

_20180701John ColtraneはPrestige,Atlantic,Impulseとレーベルを渡り歩いたが,巨人としての地位はやはりImpulseレーベルにおける諸作によって確立したと言っても過言ではないだろう。そんなImpulseレーベルにおける完全未発表音源が発見されたとすれば,それはまさに大きなニュースである。このアルバムのリリース情報が世の中に出回った時に,私はたまたまNHKの「ニュースウォッチ9」を見ていたのだが,まさかNHKのニュースでこのアルバムに関する情報が報じられるとは予想していなかった。裏を返せば,それだけのビッグ・ニュースということになるが,世間一般の人がそのニュースを聞いてどう思ったのかってのは極めて興味深い。

それはさておきである。6/29に全世界同時リリースというのが,このアルバムに対する世の中の期待値,あるいはその位置づけを裏付けているようにも思える。そしてこのアルバムを最初に聞いたのはテナーの聖地,新橋のBar D2においてであったが,家に帰って冷静に聞いた後の感触を書いてみたい。

ライナーにはJohn Coltraneの息子,Ravi Coltraneが"To my ears, it was a kicking-the-tires kind of session."と述べているという記述がある。それはそうなのかもしれないし,ちゃんとアルバムとしてのリリースを意図したものだったのかは,マスター・テープが失われているので,何とも言えない。だが,このレコーディングにプロデューサーであるBob Thieleがいたかどうかは全くの謎であり,このアルバムの位置づけは実はよくわからない。Raviが言うように,リハーサル的なものだった可能性も,リリースを意識した録音だった可能性の両方が存在する。

そして,音源を聞いてみると,誰がどう聞いてもColtraneのサウンドが聞こえてくるわけだが,"Nature Boy"はさておき,オペレッタ「メリー・ウィドウ」から"Vilia"のような曲をやっているのが,ほかの曲から浮いた感じがしたのは事実である。この辺りをどう評価するかは各々の聞き手に委ねられるということだろうが,この曲,”Live at Birdland"のCDのボートラとしても,本作と同日の録音が収録されているようだ。私個人としてはちょっとイメージが違うってところだろうか。

だが,全編を通して聞けば,Coltraneクァルテットは快調そのものである。本作はJohnny Hartmanとのアルバムの前日だが,以前はこの頃,あるいは"Ballads"吹き込みの頃のColtraneが,マウスピースの不調に悩まされていたというような情報があったが,それはガセネタだったのではないかと思いたくなるような吹きっぷりなのである。実際にColtraneがインタビューでそう語ったという話もあるのだが,演奏を聞いている限り,そんなことはないように思える。マウスピースの件が事実だとしても,この頃には既に復調していたということなのかもしれない。

いずれにしても,世に出ただけで感謝すべきアルバムであり,多少の瑕疵には目をつぶって,歴史的価値を重視して星★★★★★としてしまおう。久しぶりに,このクァルテットのスタジオ音源を集成したボックスが聞きたくなった。

Recorded on March 6, 1963

Personnel: John Coltrane(ts, ss), McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)

2018年7月 1日 (日)

「ハン・ソロ」は製作の必然性が問われる部分が大きいと思えた。

「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー("Solo: Star Wars Story")」('18,米,Lucasfilm/Disney)

Photo監督:Ron Howard

出演:Alden Ehrenreich,Joonas Suotamo, Woody Harrelson, Emilia Clarke, Donald Glover

米国内での興行の不振が伝えられる「スター・ウォーズ」の派生作品である。この映画の興行が盛り上がらない理由としては,このフランチャイズのファンたちが受け入れるか,受け入れないかという観点で,オリジナル・シリーズとの連続性が十分,あるいは必然的でないがゆえに,反発を食らったことが大きいのではないかと思われる。それがおそらく好意的に迎えられた「ローグ・ワン」との大きな違いだろう。「ローグ・ワン」はフランチャイズの間を埋めるストーリーとしてあってもよいもの,そして納得感のある作品であるのに対し,本作は別になくてもいいというのが決定的な違いである。

私のようにこのフランチャイズは結構好きでも,決して熱烈なファンではない人間にとっては,スター・ウォーズ・フリークの反応はよく理解できないところがある。それぞれの価値観があることはよいとしても,価値観の押しつけはあまり好ましいことではないと思える。それが悪い方向に出たのが,「最後のジェダイ」でのRoseを演じたKelly Marie Tranに対する誹謗中傷であろう。ファン心理は否定しないが,何をやってもいいってものではない。だが,そうした心理が「興行」に反映したのがこの映画と言ってもよいだろう。

ただ,この映画,見てもらえばわかるが,「スター・ウォーズ」から独立したかたちで見れば,そこそこ面白い映画に仕上がっているのは事実である。だが,「スター・ウォーズ」に引っかけたかたちで捉えなければならない観衆の立場からすれば,そもそもフランチャイズと切り離して考えることなど不可能なのである。ただ,シナリオをLawrence Kasdanが担当し,監督をRon Hawardが務めた割には,納得感がある出来とは言えないのが辛い。無理にエピソードを詰め込み過ぎたシナリオの問題が大きいと言ってもよいだろう。

ということで,私は「ローグ・ワン」は非常によく出来ていたと思ったが,本作はそれなりのアクション映画としての評価が精いっぱいってところだろう。私としては,無理やりこうした派生作品を作る必然性がないというのが本作への偽らざる評価である。結局のところ,批判されるべきは,映画そのものと言うよりも強欲なディズニーだろう。星★★★。

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