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2018年5月22日 (火)

ぶちかましのHerbie Hancock(笑)。

"Live in New York" Herbie Hancock Trio(Jazz Door)

_20180519Jazz Doorというレーベルは,なかなか気になる音源を発掘してリリースするレーベルであった。そうは言っても,今では放送音源をやたらにCD化して販売するHi Hatのようなレーベルと似たようなものであるが,音源に対する審美眼と品質の確保具合は多分Jazz Doorの方が上だったと思う。

このアルバムはそのJazz DoorからリリースされたHerbie Hancock Trioによる1993年の音源である。録音場所とかははっきりしないが,聴衆の拍手からすると,結構大規模な会場での録音のようにも聞こえる。このアルバム,昔から気になってはいたが,Jeff LittletonとGene Jacksonっていうメンツはどうなのよって気持ちもあって,ずっと手に入れていなかったものを,先日「ある筋」(笑)から入手した。

そして,改めて聞いてみると,メンツは当時の若手を従えたトリオであるにも関わらず,Herbie Hancockのぶちかましトリオ演奏が聞ける。Herbieのトリオと言えば,Ron Carter~Tony Williamsとのものがあるが,私にとってはこちらのトリオ演奏の方が魅力的に聞こえる。それはライブ特有のダイナミズムもあるだろうが,むしろリーダーとしてのHerbieの演奏としてはこっちの方が勢いがあってよいと思えるのだ。

冒頭の"I Love You"かからぶちかましモード全開。勢いがやや抑制されるのは"Maiden Voyage"へのイントロぐらいだろう。最後には"Just  One of These Things"のような曲をやっていても,イントロはやっぱりぶちかましなのである。これは実に面白いし,燃える音源である。今や,ストリーミングでもこの音源は聞けるようだが,これは入手しておいてよかったと思えるアルバムであった。ブートまがいの音源なので,半星減点して星★★★★☆とするが,これはHerbie Hancockファンなら必聴の一枚と言ってもよい作品。同じメンツによるMontreuxでのライブの模様がネットにアップされているので,貼り付けておこう。

Recorded Live in New York in 1993

Personnel: Herbie Hancock(p), Jeff Littleton(b), Gene Jackson(ds)

2018年5月21日 (月)

Jerry Bergonziの吹くスタンダード。しみるねえ。

"Standards Band" Dave Santoro (Double-Time)

_20180516主題からすれば,Jerry Bergonziのリーダー作のように思えてしまうが,これはベーシスト,Dave Santoroをリーダーとするスタンダード集である。しかし,リーダーには悪いが,これはJerry Bergonziのテナーを聞くためにあるアルバム。

Dave SantoroがJerry Bergonziとやったスタンダード作は都合3枚あるが,それに限らず,SantoroとBergonziの共演作は多い。このブログでもピアノレスでやったSantoroのリーダー作"Live"も取り上げている(記事はこちら)。付き合いも長いのだろうが,いいコンビネーションを聞かせる人たちである。

そして,お題はタイトルの通り,スタンダードである。Jerry BergonziはNuttree Quartetにも"Standards"ってアルバムがあるが,スタンダードだけを吹くってのはどちらかと言えば少数派と思える中で,Bergonziらしい音色,フレージングでここに収められた曲を聞くのは何ともおつだ。刺激的とは言えないかもしれないが,たまに聞きたくなるアルバムである。まぁ,それでも"On Green Dolphin Street"とか"I Love You"では結構いじっているが(笑)。

スタンダードと言っても,超有名と言うよりも,若干渋い選曲かなというのも味わい深い。聞けば聞くほど味わいが増すスルメ盤ってところだろう。星★★★★。

しかし,このジャケは何とかならなかったのかねぇ...(苦笑)。

Recorded on November 29, 1998

Personnel: Dave Santoro(b), Jerry Bergonzi(ts), Bruce Barth(p), Tim Melito(ds)

2018年5月20日 (日)

目立たないが,晩年のWoody Shawが聞けるナイスなワンホーン・ライブ盤。

"In My Own Sweet Way" Woody Shaw (In & Out)

_20180516_2不幸な亡くなり方をしたWoody Shawであるが,彼の残したアルバム群にはほぼはずれがなく,どれを取ってもレベルの高いハード・バップを聞かせてくれる。時が時であれば,はるかに大きな名声を得ていたはずだが,時代がそれを許さなかったというのは何とも皮肉なことである。それでも,70年代後半から80年にはDown Beatの読者投票でトランペット部門の1位になっているから,全く陽が当たらなかったという訳でもないのが救いである。

本作は彼が亡くなる直前か,亡くなった直後ぐらいにリリースされたスイスでのライブ盤で,録音は亡くなる約2年前。ライブ盤ではあるが,聴衆の拍手等はかなり抑えられている。ドイツのIn & Outレーベルから出ているからなのか,とにかくあまり注目されないのがもったいないアルバムである。なんと言っても,Woody Shawのワンホーンが楽しめるという点がポイントが高い。

スタンダードでも,メンバーのオリジナルでも,テンポが速かろうが,遅かろうがここでのWoody Shawのラッパを聞いたらついつい感動してしまう。特にWoodyに捧げられたと思われる"Just a Ballad for Woody"におけるバラッド表現を聞いていると,目頭が熱くなる思いだ。ミュートで演じられる"In My Own Sweet Way"もリリカルでいいのである。バックを務めるトリオも控えめな助演に徹し,ここでのWoody Shawの魅力を際立たせている。こういう演奏を生で聞けたスイスの聴衆は幸せだと言いたい。

もっと世の中に知られてよいアルバムとして,星★★★★☆としよう。

Recorded Live in Zurich and Bern on February 7 & 8, 1987

Personnel: Woody Shaw(tp), Harold Henke(p), Neil Swainson(b), Tommy Deutsch(ds)

2018年5月19日 (土)

Brad Mehldauの新譜,"Seymour Reads the Constitution!"を早速聞く。

"Seymour Reads the Constitution!" Brad Mehldau Trio (Nonesuch)

_201805183月にソロ・アルバム,"After Bach"をリリースしたばかりのBrad Mehldauであるが,極めて短いインターバルで今度はトリオによる新作をリリースである。このトリオによる前作"Blues And Ballads"が出たのが約2年前,更にChris Thileとのアルバムをリリースして,ここところのBrad Mehldauの高頻度のアルバム・リリースは,ファンとしては本当に嬉しくなってしまう。

そして,今回の新作がデリバリーされるということで,仕事もさっさと終えて,帰宅してこのアルバムを聞いた。冒頭の"Spiral"は既にネット上で公開されていたが,このやや内省的でありながら,Brad Mehldauの個性を十分に表出させたこのトラックを聞いて,期待値が高まっていた私である。

このアルバムは,Brad Mehldauのオリジナルが3曲,そこにスタンダード,ジャズ・オリジナル(それも,Elmoo HopeとSam Riversってのが凄い),ポップ・チューンから成る5曲を加えた全8曲で構成されている。8曲中6曲が8分を越え,最短の"Almost Like Being in Love"でも5分41秒という比較的尺の長い曲を揃えている。本作を聞いていて,面白いと思ったのはBrad Mehldauのオリジナルとそれ以外で,響きがかなり違うということだろうか。オリジナルでは両手奏法も使いながらの内省的演奏であるが,その他の曲では,ややコンベンショナルではありながら,曲の個性を活かした演奏となっており,全く飽きさせないのは立派である。

逆に言うと,Mehdlauのオリジナルとそれ以外では,だいぶ受ける感じが違うので,その辺りに違和感を覚えるリスナーがいても不思議ではない。私はミュージカル"Brigadon"からの"Almost Like Being in Love"に強い印象を受けるだけでなく,冒頭の2曲と全然違うが,これはこれでいいねぇと感心させられたし,今回も選曲のセンスは健在だと思わせるに十分であった。オーソドックスなかたちで演じられるElmo Hopeの"De-Dah"なんて,ちょいと浮いて聞こえてしまうようにさえ感じる。それでもソロの後半になるとちゃんとMehldau的になっていくのだが(笑)。

だが,トリオの緊密度は極めて高く,特にLarry Grenadierのベースはかなり自由な感じで弾いているにもかかわらず,ちゃんとトリオとしての響きになっているのがわかって面白い。まぁ,私が近年のMehldauトリオの最高作と思っている"Where Do You Start"には及ばないとは言え,今回も質の無茶苦茶高い演奏を堪能させてもらった。星★★★★☆。それにしても,Sam Riversの"Beatrice"はいい曲である。

Personnel: Brad Mehdau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2018年5月18日 (金)

英国出張中に見た映画:3本目はこの夏公開の"Battle of the Sexes"

"Battle of the Sexes" ('17,米/英,Fox Searchlight)

Battle_of_the_sexes監督:Jonathan Dayton, Valerie Faris

出演:Emma Stone, Steve Carell, Andrea Riseborough, Bill Pullman,Natalie Morares

英国出張の往路で見た映画の3本目は,日本では7月に公開が予定されているこの映画である。これも実話をベースにした話で,昨今の映画には結構実話に基づく話が多いなぁと思う。逆に言えば,オリジナル脚本の持つ価値はどんどん高まっているのではないかとさえ思ってしまう。

ここに描かれている部分のうち,LGBTの部分についてはどの程度実話ベースなのかはわからないが,いずれにしても,性差に対するBillie Jean King(あの当時はキング夫人と称されていたのも懐かしい。ライバルのMargaret Courtはコート夫人だったなぁ。その辺も時代を感じる)の挑戦を描いたものであり,Steve Carell演じるBobby Riggsとの対戦が実際あったというのは私の記憶の片隅にもあったような,ないような...。

”I, Tonya"でもそうだったが,実際のキャラクターをエンド・ロールで紹介するパターンも最近多くなってきたが,役者たちがそれっぽく演じていたことがわかるのも面白い。いずれにしても,この映画においては,女性を小馬鹿にする男性や保守主義者の古臭さをコケにするところが描かれるが,まさにこれが「ウーマン・リブ」の時代だったということであろうし,それは現代においても通じる部分があるということだろう。

LGBTサイドは深刻になりそうな展開であるが,それをSteve Carellがコミック・リリーフ的に和らげる役割を担っており,なかなかバランスの取れた展開だと思える作品であった。正直なところ,これが日本で公開されたとしても,ヒットする可能性は低いかもしれないが,なかなか面白い作品なので,見ても損はしない。星★★★★。

甚だ余談であるが,こういう映画を見ていると,ジェンダー間の平等を訴える活動をするEmma Watsonと,ここでの主役Emma Stoneがごちゃごちゃになってしまう私である。

2018年5月17日 (木)

Brad Mehldauの新譜のリリースを前に,古い音源を。

"Live in Boston" Joshua Redman Quartet (Warner Brothers Promotional CD)

_20180513_3"After Bach"が3月にリリースされたばかりのBrad Mehldauだが,トリオによる新作,"Seymour Reads the Constitution!"のリリースが間もなくとなっている。また,その後には奥方Fleurineの新作にも参加しているので,それに向けた心の準備(笑)を整えなければならない。

その前に,古い音源も久しぶりに聞いてみるかってことで,Warnerがプロモーション盤として5,000枚限定で発行したライブ音源を紹介しよう。これは1994年のNew England Conservatoryでの演奏を収めたもので,考えてみればもう四半世紀近い時間が経過している。メンツは当時のJoshua Redman Quartetであるが,今にして思えば,Redman, Brad Mehldau,Christian McBrideにBrian Bladeって凄いメンツである。全3曲,Redmanのオリジナルであるが,2曲は"Mood Swing"からなので,文字通りプロモーション的な色彩が強い。それでも,ライブだけあって,3曲で演奏時間は40分を越えるので,聞きごたえは結構ある。

だが,これだけのメンツである。レベルは高い演奏であるが,Brad Mehldauは現在のような個性を表出するところまでは行っていない感じ,と言うよりもリーダーを立てた助演に徹しているという感覚が強いが,それでも比較的コンベンショナルなセッティングの中で,既にピアニストとしての実力は十分に発揮していると思う。それでも主役はどうやってもJoshua Redmanなのだが。

まぁ,正直言ってしまうと,このCDを探すのは今となっては結構大変だと思うが,あるところにはあるはずである。気長に探して頂ければと思うが,値を吊り上げるセラーもいるので,購入は自己責任でどうぞ(笑)。私は結構早い時期に入手しておいてよかったわ~。

Recorded Live at Jordan Hall at New England Conservatory on December 3, 1994

Personnel: Joshua Redman(ts), Brad Mehldau(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

2018年5月16日 (水)

英国出張中に見た映画:2本目は「バリー・シール:アメリカをはめた男」

「バリー・シール:アメリカをはめた男("American Made")」(’17,米/日)

American_made監督:Doug Liman

出演:Tom Cruise,Damhnall Gleeson, Sarah Wright, Jesse Plemons

英国出張の往路で見た2本目がこの映画である。Tom Cruiseも多作の人であるが,まぁ,それにしてもいろいろな役柄をこなす人である。それ以上に,この映画の主人公であるバリー・シール(Barry Seal)が実在の人物であったということ自体が信じがたい事実であるが,それでもこれがほぼ実話だというのだから,アメリカも無茶苦茶な国である(笑)。

Tom Cruiseはカッコいいんだか,情けないんだかよくわからない人物を演じて,結構笑わせてくれるが,この映画は時代背景を理解して見ると,更に面白いものかもしれないと漠然と思っていた私である。逆に言えば,背景を理解しているか,いないかでこの映画に対する感覚が全く違ってしまうんだろうとも思わせる映画であった。日本人としては,こうした時代背景を認識することは難しいということで,エンタテインメントとしてはそこそこ見られても,なんだか無茶苦茶だなぁって感想に落ち着いてしまうかもしれない。まぁ,最後は因果応報ってことになるのだが。星★★★。

尚,IMDbによれば,この映画,米日の合作となっているのだが,誰がスポンサーなのかと思ったら,電通の名前が...。へぇ~と思ったり,ほんまかいなと思ったり。

2018年5月15日 (火)

Stuffのデビュー・アルバム,と言うより,我々の世代には「軽音楽をあなたに」だな(笑)。

"Stuff" Stuff(Warner Brothers)

_20180513_2_3最近は昔の音源が廉価CDで購入できるようになっているが,この時代の音源は正直言って買わなくてもストリーミングでも全然問題ない(爆)。しかし,ついつい買ってしまうのが我々の世代の性って気もする。

Stuffについては,彼らのベスト盤"Right Stuff"をかなり前にこのブログに書いたことがある(記事はこちら)。そこにも書いているのだが,実は彼らの演奏で私の耳に最も心地よいのはこのファースト・アルバムではないかって気がすることもあって,廉価で出た時に本作と,第2作"More Stuff"を購入したのであった。

なぜ,このファーストが心地よいのかと言えば,それは我々の世代がおそらく耳にする機会が多かったNHK-FMの番組「軽音楽をあなたに」の影響ではないかと思う。そのオープニングに使われていたのが,本作の2曲目"My Sweetness"であったはずである。学校から帰ってきてちょいと休憩しながらラジオをつけて聞いていたのが「軽音楽をあなたに」っていう私の同年代は多いはずである。だから,ここで聞かれるRichard TeeのRhodesの響きに郷愁を覚えることは,まぁ年代が近ければ相当にあるはずと思う。

アルバムとしてプレイバックする機会は今となっては少ないが,それでも2曲目に"My Sweetness"がかかると,ついつい懐かしくなってしまうのである。歴史的に見れば,スタジオ・ミュージシャンに注目させたという点では評価されていいものと思うが,そんなことよりも,このレイドバックした表現を単純に楽しめばいいのではないかと思う。いずれにしても,スタジオ・ミュージシャンの集まりでありながら,個性的なサウンドを聞かせていたと思う。

いずれにしても懐かしいねぇ。星★★★★。こういう記事を書いているところに自分の加齢を感じるが,まぁしょうがないってことで(苦笑)。

Personnel: Cornell Dupree(g), Eric Gale(g), Richard Tee(p, el-p, org), Gordon Edwards(b, perc), Steve Gadd(ds, perc), Christopher Parker(ds, perc)

2018年5月14日 (月)

Ralph Townerファンも納得のECMのセッション・アルバム"If You Look Far Enough"

"If You Look Far Enough" Arild Andersen / Ralph Towner / Nana Vasconcelos (ECM)

_20180513_2このアルバム,名義としてはArild Andersenのリーダー作ということになるが,私はこのアルバムを,Ralph Townerのところに格納している。それぐらい,Ralph Townerの活躍ぶりが目立つセッション・アルバムである。

最近はめっきり減ったが,昔のECMレーベルにはこういうレーベル所属のミュージシャンの組合せによるセッション・アルバム的なものが結構存在した。これもそうした一枚だが,他のミュージシャンのアルバムで,かなりの割合でRalph Townerが参加しているのは,ECMでは,私が認識する限りはこれとJan Garbarekの"Dis"ぐらいしかないのではないか。だからこそ,Ralph Townerファンの私にとっては極めて重要なアルバムと言ってよい。まぁ,途中はAndersenとNanaのデュエットが続くが,アルバム構成上そうなったと思えば,全然問題ない。

本作はプロデューサーとしてArild Andersenがクレジットされているが,Manfred Eicherはミキシングに関わっていて,これがまた,全編いい音で捉えられているって感じである。やはりRalph Townerの12弦ギターの響きはここでも超絶魅力的。

冒頭の"If You Look"と"Far Enough"は1988年にノルウェイの映画音楽として録音されていたもののようで,それを改めてここに入れたようであるが,この2曲はアンビエントな雰囲気が漂っていて,ちょっと感じが違うが,アルバムのバランスは崩していない。そもそもエピローグのようにさえ響く"Far Enough"に続いて最後に収められるのがPaul Simonのアルバム,"One Trick Pony"から"Jonah"というのは意外。それをAndersenがベース・ソロでダメ押しのエピローグ(笑),いや,むしろアンコールのように演じてアルバムは幕を閉じる。

改めて聞いてみると,もう少しRalph Townerの出番を増やしてもらった方が,Townerファンの私としては嬉しかったのだが,それはないものねだりってことで。いずれにしても,いいアルバムである。星★★★★。

Recorded in 1988,July 1991 & February 1992

Personnel: Arild Andersen(b), Ralph Towner(g), Nana Vasconcelos(perc), Audun Kleive(snare-ds)

2018年5月13日 (日)

たまにはこういうのも:Sonny Stittの"Personal Appearance"

"Personal Appearance" Sonny Stitt(Verve)

_20180512私がこのブログでこういうアルバムを取り上げる機会はあまり多いとは言えないが,たまにはってことでの記事のアップである。

Sonny Stittは数多くのアルバムを残しているが,私の中で印象深いのはGene Ammonsとの"Boss Tenors"とかであるが,基本的にどれを聞いても安心できるプレイヤーだったなぁという気がする。この57年に吹き込まれたアルバムを聞くことも,実はあまりないのだが,久しぶりに聞いてみて,安定のStitt節が聞けて嬉しくなってしまった。

このアルバムではアルトとテナーを吹き分けているが,特にアルトを吹いた時の素晴らしいフレージングは,Charlie Parker的な鋭さも持っており,私としてはテナー以上に楽しめる感じがした。Stittのプレイと並んで,このアルバムのもう一つの聞きものはBobby Timmonsの参加だろう。まだこの頃はJazz Messengers加入前であるが,後の活躍を期待させるプレイぶりではあるが,凄いねぇと感じさせるまでは行っていないと思う。まぁ,これはピアノのミキシング・レベルがやや低めに感じる部分も影響しているかもしれないが。いずれにしても,50年代の安定したジャズの楽しさを感じさせるに十分な佳作。星★★★★。まぁ,ジャケは購買意欲をそそらないが,音は保証できるな(笑)。

Recorded on May 12, 1957

Personnel: Sonny Stitt(as, ts), Bobby Timmons(p), Edgar Willis(b), Kenny Dennis(ds)

2018年5月12日 (土)

英国出張中に見た映画:1本目は「グレイテスト・ショーマン」

「グレイテスト・ショーマン("The Greatest Showman")」(’17,米,Fox)

Greatest_showman監督:Michael Gracey

出演:Hugh Jackman,Michelle Williams,Zac Efron, Rebecca Ferguson,Zendaya

GW前の英国出張で見た映画について書きたい。

日本でも結構ヒットしたこの映画,この時代には珍しいオリジナルのミュージカルである。「ラ・ラ・ランド」のチームが参画と聞けば,納得がいく。2017年に解散したリングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスに名を残したP.T. Burnamを主人公にしたストーリーなので,時代背景は古いのだが,出てくる曲は現代的なポップス調の曲であり,また,その曲がよくできている。Hugh Jackmanが歌がうまいのは「レ・ミゼラブル」で実証済みであるが,本当にこの人大したものである。十分ブロードウェイでもやっていけるのではないか。

この映画,シナリオはいかにもなものであるが,なかなか楽しく見られる作品であった。だが,この映画のキモはやはり音楽だと言いたい。この音楽があってこそ,やや陳腐に流れそうなシナリオも許せる展開になるってところだろう。正直言って,主人公,P.T. Burnamは相当に胡散臭いところを感じさせる人物だと思えるが,それをストーリーで打ち消してしまうという映画。星★★★☆。

それにしても,最近見る映画ではよくMichelle Williamsに出くわすなぁと思うが,それぞれの映画で全然違う役柄を演じてしまうカメレオン女優である。本当に器用に何でもこなすものだと言いたい。

2018年5月11日 (金)

Nik Bärtsch's Roninの新作が出た。

"Awase" Nik Bärtsch's Ronin (ECM)

_20180510私がミニマル・ファンクと呼んでいるNik Bärtsch's Roninの音楽は,常に心地よいグルーブを聞かせてくれて,私は相当彼らの音楽にはまっていると言ってもよい。なんでこの音楽がECMから?って気はするが,彼らのアルバムもMobile名義の1枚を含めると,早くも第6作であり,総帥Manfred Eicherにも気に入られているのは間違いないところだろう。とにかく,彼らの音楽に身を委ねる快感を一度覚えてしまうと,決して抜けられないのである。

今回もいつものようにNik Bärtschのオリジナルは"Modul"に番号を付けた記号的なものであるが,そこに1曲だけ入るリード奏者,Shaのオリジナルが明らかに個性が違っていて,Change of Paceを狙ったんだろうと思わせる部分がある。しかし,基本的にはいつもやっている音楽と変わりはないのだが,それでもいつもよりもファンク度は抑制され,静謐な瞬間や,メロディアスな展開を示す部分に,これまでにない感覚を覚える。

Nik Bärtschのピアノはいつものようにパルス的な打鍵が多いが,本作で特徴的だと思うのがベース・ラインである。それがメロディアスに感じさせる部分があるのは,ピアノと対照的な気もする。リズムもゆったりした感覚があり,いつものファンクとは感じが違う。逆に言えば,本作ではこのベースが効いているということになるだろう。それでも曲によっては,ちゃんと彼ららしいファンクに帰結していくのだが...。

いずれにしても,こうした音楽に反応してしまう私の嗜好にはばっちり合致しており,今回も聞いていて気持ちよくなってしまった私である。こういう音楽ならば,永久に続けられるのではないかなんて皮肉っぽく思ってしまうものの,やはり彼らの音楽が生み出すグルーブの心地よさには抗い難い魅力があると言えよう。今回も私は満足である。星★★★★☆。

Recorded in October 2017

Personnel: Nik Bärtsch(p), Sha(b-cl, as), Thormy Jordi(b), Kaspar Rast(ds)

2018年5月10日 (木)

米国出張中に見た映画:最後はどうしようもない駄作だった「マンハント」

「マンハント」('17,中/香港)

Photo_2監督:John Woo(呉 宇森) 

出演:チャン・ハンユー,福山雅治,チー・ウェイ,ハ・ジウォン,桜庭ななみ,國村隼,竹中直人

米国出張中に見た映画の最後は「オリエント急行殺人事件」の原語版だったが,それは既にスリランカ出張後にアップしたので,この9本目を最後にしよう。最後にという割には,とてつもない駄作で,はっきり言ってがっかりさせられたというのが実感である。

高倉健と原田芳雄主演の「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイクで,今回の作品の登場人物の名前も前作に準じている部分が結構あるが,設定自体は大きく変わっている。時代の流れとともに設定が変わるのは仕方がないとしても,これほど無茶苦茶なシナリオというのはなかなかお目にかかれないと思えるほどひどいものであった。

大阪で全面ロケをしているのはいいのだが,なぜそこからそこへワープできる?と思わせるような場所の瞬間移動(笑)があって,大阪人には到底受け入れられない作り物感があり,更にはJohn Wooの得意技としてのスロー・モーションを連発されても,面白くもなんともないのである。よくもまぁこれだけつまらんストーリーを考えられたものである。そもそも序盤のパーティ・シーンの群舞は一体何なのよ?

画像とアフレコのタイム・ラグも痛々しいぐらいで最後まで見るのが苦痛のような大駄作。唯一の救いは桜庭ななみが可愛いことだが,この役柄,このセリフ回しはないよなぁと思わあせる程度。倉田保昭の名前を見たのは懐かしかったが,この内容では無星で十分だ。そもそもこんな映画をコンペには関係ないとは言え,ヴェネツィア国際映画祭に出品する気が知れない。映画人や観衆にバカにされるだけの恥知らずである。いずれにしても機内エンタテインメントとしてもチョイスした自分の審美眼のなさを呪った私であった。

2018年5月 9日 (水)

GWに見た映画をまとめてレビュー

英国出張時に見た映画についてはまだ記事をアップしていないが,その前にGW中に見に行った映画について書いておこう。別々に書くと,音楽の記事がアップできなくなるので,劇場で見た3本についてまとめて書いてみよう。それにしても見てるものがバラバラだなぁ。

①「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー("Avengers: Infinity War")」('18,米,Marvel)

Avengers_inifinity_war監督:Anthony Russo, Joe Russo

出演:Robert Downey, Jr., Chris Hemsworth,Mark Ruffaro, Chris Evans, Scarlett Johansson,Benedict Cumberbatch,Josh Brolin

全世界で大ヒット中のこの映画であるが,5/1の割引を使って行ってきた。まぁ,見ればわかるのだが,この映画の主役はJosh Brolin演じる悪役のサノスであり,Marvelのキャラクターはこの映画では,サノスに翻弄されるかたちでの群像劇を演じている感じである。そうした意味ではサノスを中心とするオムニバス・ストーリーのようにも感じさせる(ポスターもそういう感じになっているねぇ)。なので,見ているとMarvelに関わるありとあらゆるキャラが出てきて,目が回るようなストーリーが展開されているのだが,まぁ次作ではどうなるかという期待を高めてのエンディングとなっていることは言うまでもない。そういう意味では商売上手と言わざるをえない。

まぁ,アメコミの映画化なのだから,目くじら立てず楽しめばいいと思うので,映画としては星★★★☆ぐらいとしておこう。一点だけ言っておきたいのは,この映画は上映前に「エンド・ロール後にも映像がある」旨の注意書きが表示されているにもかかわらず,エンド・ロール中に席を立つ人間がいるのが信じられないい。最後まで見れば,次作への伏線が張られていて,どういう展開になるかを期待させるのだが,帰ってしまう人ってのはそういうことも知らずに帰る訳だ。私は常々,エンド・ロールも最後まで見ないと映画は見たことにならないと思っている。エンド・ロール中に帰る観客は,それはそれで勝手だが,ほかの観客に迷惑を掛けないように立って欲しいものだ。更に,今回のように,注意書きを出しても帰る客は自己責任で帰るのだから,あんな注意書きは不要である。

②「君の名前で僕を呼んで("Call Me by Your Name")」('17,伊/仏/米/ブラジル)

Call_me_by_your_name監督:Luca Guadagnino

出演: Armie Hammer, Timothée Chalamet, Michael Stuhlbar

これは「アベンジャーズ」の後,ランチをはさんではしごして見たものである。この2本,違い過ぎやんけ!と言われれば,返答の余地がないが,まぁいろいろな映画を見たいのよと開き直ることにしよう。

私が行ったのは5/1だったが,終日チケットが完売という凄い人気ぶりだったが,James Ivoryが脚色賞でオスカーを受賞したのはさておき,このストーリーがどれぐらい観客に刺さるのかというとどうなのかなぁとも思ってしまう。夏のイタリアでのアバンチュール(死語!)と言うには切なさが勝ってしまうが,美形の男性二人の恋というところに我々が感情移入できるかどうかである。映像は美しいし,演技も演出も優れているが,LGBTのうち,GとBが描かれるので,単純な青春映画とはならない。

James Ivoryは原作の途中までを脚色したということで,本当は監督もやる気だったらしいが,Luca Guadaninoとの共同監督はうまくいかないだろうという判断(おそらくそれは正しい)により,脚色に徹したようである。しかし,スタッフは続編を作る気満々らしいので,主人公二人のその後が描かれるときにどうなるのかというのは大いに気になる。

いずれにしても,この映画はラスト・シーン近くのMichael Stuhlbar演じる主人公の父のセリフにより,切なくも苦い物語でありながら,非常に後味はよい。正直なところ,私には感情移入の難しい世界だったのだが,映画としてはなかなかよく出来たものだったと思う。また,本作は音楽が素晴らしく,久しぶりにサントラ盤が欲しくなってしまうものであった。星★★★★。

③「リメンバー・ミー("Coco")」(’17,米,Pixar/Disney)

Coco監督:Lee Unkrich, Adrian Molina

声の出演:Anthony Gonzalez, Gael García Bernal, Benjamin Bratt, Aleanna Ubach

GWの劇場通いの最後がこれである。これは家人と見に行ったものだが,ヒスパニックを意識するところがディズニーらしいなぁと思いつつ,ストーリーはうまいものであり,ついつい涙腺が緩んでしまった私である。

「007 スペクター」にも登場していた「死者の日」はこれのことだったのかという発見もあったが,映画は極彩色の死者の国において多くのシーンが描かれるが,この死者の国での背景や群衆の描き方がアニメーションとしては見事としか言いようがなく,それだけでも見る価値がある。

また,泣かせどころをわかっているシナリオにはまんまとはめられてしまった私であるが,ちゃんと家族愛を描くところも憎い。歌もいいしねぇ。「死者の日」というのは日本でのお盆のようなもので,世界でもやり方は違っても同じようなことをやるのねぇというのが実感であったが,とにかくこの映画,音楽も素敵だし,大人が見ても十分楽しめる。ただ,併映の「アナ雪」の短編は季節感全く無視ってのはどうなのよ。米国ではホリデイ・シーズン前の公開だからそれでもよかっただろうが,今の日本には全く合わないストーリーではないか。正直言って,「アナ雪」の映像はそれはそれで楽しめても,私には「リメンバー・ミー」だけで勝負できたのにという感が強い。それほど,この映画,よく出来たものなのである。星★★★★。

映画を見てもらえばわかるのだが,なぜこの映画の原題が"Coco"なのかには深い意味がある。それを考えると,思い出すだけで私の涙腺はまたも緩んでしまうのである。

2018年5月 8日 (火)

4,000件目のエントリーは"Bitches Brew"にしよう。

"Bitches Brew" Miles Davis(Columbia)

_20180504_2このブログを始めて11年半近くが経過したが,積もり積もって,このブログへのエントリーも4,000件目である。以前のように毎日アップすることが難しくなりつつも,できるだけ更新はするように努めてきたつもりだ。しかし,3,000件目のエントリーから3年3カ月弱要しているから,どれぐらいサボっているかは大体わかるが,考えてみれば,むしろ頑張っている方だと言えると思う。

そんな私が今回のエントリーに取り上げるのが"Bitches Brew"である。私がMilesを初めて聞いたのは"Somethin' Else"で,2枚目が確かこれだったと記憶している。ジャズを聞き始めの小生意気なティーン・エイジャーにとって,この音楽はロック寄りの視点からは受容できたとしても,ジャズの何たるかをよくわかっていない時期に,このアルバムの価値を理解していたとはとても言えない。しかし,ジャズ評論家,粟村政昭が「ビッチェズ・ブリューでモダンジャズの歴史は終焉した」と書いていて,そうなのかなぁなんて思っていたのも懐かしい。それがどういう論旨で書かれていたかは今となっては記憶に定かではないが,信頼に値する論客,粟村政昭のことである。ちゃんとした理屈を述べていたに違いない。

いずれにしても,その頃はこのアルバムの特徴と言うべき,コレクティブ・インプロヴィゼーションと言われても???となっていたのも懐かしい。当時,ロックを中心に聞いていた耳には,単純なロックとは異なる何とも言えない刺激的な感覚があったことは事実であるが,このアルバムの本当の魅力がわかっていたとは到底言えない。

しかし,私も年齢を重ねて,いろいろな音楽に接してきた上で言ってしまえば,これはやはり強烈この上ない音楽である。このアルバムのメンバーは所謂ロスト・クインテットを更に拡大させたものである。数あるブート音源,あるいはOfficial Bootleg Seriesで出ているロスト・クインテットの演奏だけでも,非常にテンションが高いのに,それをここに参加している目もくらむようなメンツを加えて拡大してしまったら,それだけで音楽のハイブラウ度が高まることは当然なのだ。

よくよく考えてみれば,このアルバムが録音されてから50年近く経過しているわけだが,この音楽の持つ刺激や普遍的な魅力には何の変化もない。Milesは時代を捉え,時代の先を行く人だったが,ここでは誰もが及びもつかない次元に達していたと言ってよいように思える。ここに参加するミュージシャンたちが,Milesの隠遁期を含めて,70年代の音楽をけん引していたのは事実であり,ここでの演奏にインスピレーションを得ていたと考えてよいだろう。そうした意味で音楽におけるトレンド・セッターとしての役割を考えると,やはりこのアルバムは,ほかのアルバムよりも,一段も二段も上に評価せねばならないアルバムということになるだろう。

とにかく,ここで展開されるエレピの響きとそれを支えるリズム陣を聞いているだけでも刺激的なのだ。えげつないぐらい素晴らしい。Wayne Shorterにはソプラノ,Bennie Maupinにはバスクラに専念させるというセンスも凄いねぇ。星★★★★★以外はありえない。

Recorded on August 19-21, 1969

Personnel: Miles Davis(tp), Wayne Shorter(ss), Bennie Maupin(b-cl), John McLaughlin(g), Chick Corea(el-p), Joe Zawinul(el-p), Larry Young(el-p), Dave Holland(b), Harvey Brooks(el-b), Jack DeJohnette(ds), Lenny White(ds), Don Alias(ds), Jim Riley aks Juma Santos(perc)

2018年5月 7日 (月)

Uncle Tupelo: オルタナ・カントリーとカントリー・ロックは何が違うねん?(笑)

"Anodyne" Uncle Tupelo(Sire)

_20180504このアルバムを聞くのも久しぶりである。Uncle Tupeloはその後,袂を分かってSon VoltとWilcoの2バンドに派生していくわけだから,その後のことを考えれば,大きな意義があったバンドだったと言えるだろう。

Uncle Tupeloはオルタナ・カントリーだと呼ばれるのが一般的だが,このオルタナ・カントリーってのが実はよくわからない。誤解を恐れずに言えば,私は典型的なカントリーっていうのは,日本で言えば演歌と通じるものだと思っている。一種特殊な発声法はほかの音楽と違うし,明らかにロックとは違うのだ。その昔,Eaglesはカントリー・ロックだと言われたのだが,あれがカントリー風味を持つロックだったとすれば,オルタナ・カントリーは,出自はカントリーのミュージシャンがオルタナ・ロックやパンクの影響を受けた音楽って感じだろうか。だが,今の耳で聞けば,カントリー・ロックだろうが,オルタナ・カントリーだろうが,いいものはいいし,そんなに大きな違いを感じさせるものでもないってのが実感だ。

ここでも,冒頭の"Slate"などはカントリー・フレイヴァーが強いが,ロック色の強い曲は,それこそカントリー・ロックと呼んでも全然問題ないではないかと思わせる。そうしたジャンル分けはさておき,このアルバムの優れたところは,曲が粒揃いだということだろう。Jay FarrerとJeff Tweedyという2トップによるソング・ライティングの質が高く,彼らがその後もバンドを継続していたらどうなるかと想像してみたくなる。だが,この二人の仲たがい具合は半端なものではなかったようだから,再結成などありえない話のようだ。

だが,このアルバム・リリースまではちゃんと均衡を保っていて,その後破たんするとは思えない音楽が聞ける。逆に言えば,バンドとして最終作となった本作は彼らの最後の輝きと言ってよいものだったのかもしれない。と言っても,これ以外彼らの音源は聞いたことがないので,比較はできないが,そのうちApple Musicで聞いてみることにしよう。いずれにしても,私にとってはカントリー・ロックの快作という評価は揺るがない。星★★★★☆。

Personnel: John Farrar(vo, g, mandolin), Jeff Tweedy(vo, g, b), Max Johnston(fiddle, lap-steel, dobro), John Stirrat(b), Ken Coomer(ds), Doug Sahm(vo, g), Lloyd Maines(pedal-steel)

2018年5月 6日 (日)

才能のかたまりだったPaul Butterfield Better Days。

"Better Days" Paul Butterfield Better Days (Bearsville)

_20180503_2私はPaul Butterfieldの音楽を真っ当に聞いてきたという感じではない。しかし,様々な演奏に登場しては,強い印象を残すPaul Butterfieldという人に対する評価は揺らぐものではない。"The Last Waltz"然り,"Levon Helm & the RCO All Stars"然りである。そういう意味では私の嗜好と非常にマッチしたミュージシャンだとも言えるのだが,彼のアルバムは大して保有していない。大昔にLPに"Put It in Your Ear"を買ったはずだが,その頃にはまだ彼の魅力に気づくほど,私は音楽に対して経験値が深くなかったと言うべきか。

だが,今改めてこのアルバムを聞いてみると,やはり素晴らしいミュージシャンであることが明らかになるが,Butterfieldのみならず,ここに参加しているミュージシャンの才能が凄い。ウッドストックを代表するようなミュージシャンの集合体としてのこのBetter Daysというバンド,強烈である。アメリカン・ロックってのはこうあって欲しいとさえ言いたくなるような私好みの音である。Geoff Muldaur,Amos Garrett,Ronnie Barronたちと作り上げる音楽が悪いはずはないのだが...。

本作はブルーズとアメリカン・ロックの最も好ましいかたちでの融合のような感覚さえ与える。とにかく,私はジャズ以外でもいろいろな音楽を好んでいるが,そうした中でこうしたアメリカン・ロックは私の音楽人生を構成する重要な要素の一つなのだ。改めてこの音楽を聞いて,私はこの手の音楽が好きでたまらないということを再認識してしまった。そして,アメリカン・ロックには渋いヴォーカルが必要だということも強く感じさせてくれた一枚である。

そして今回,本作を聞いてみてGeoff Muldaurのスライドが渋いってことに今更ながら気づいた私である。ついついギターとしてはAmos Garrettに注目しがちなのだが,ここでのMuldaurのスライド,そしてアコギは相当なものである。いや~,ええですわ。星★★★★★。

Personnel: Paul Butterfield(vo, hca, el-p), Geoff Muldaur(vo, g, p, el-p, vib), Amos Garrett(g, b, vo), Ronnie Barron(vo, p, el-p, org), Billy Rich(b), Christopher Parker(ds), Howard John, on(bs), Dave Sanborn(as), J.D. Parran(ts), Stan Shafran(tp), Gary Brocks(tb), Bobby Charles(vo), Dennis Whitted(vo), Maria Muldaur(vo)

2018年5月 5日 (土)

米国出張中に見た映画:8本目は「ジュマンジ」のリメイク作。

「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル("Jumanji: Welcome to the Jungle")」('17,米,Columbia)

Jumanji監督:Jack Kasdan

出演:Dwayne Johnson, Jack Black, Kevin Hart, Karen Gillan,Alex Wolff, Madison Iseman

米国出張の復路で見た映画の3本目がこれである。私はRobin Williamsが結構好きで,この映画のオリジナル「ジュマンジ」も見に行ったか,ビデオでは見たはずだが,記憶が曖昧になっているのは加齢のせいか(苦笑)。今回,そのリブート作として,基本的なプロットは同様にしながら,現代的なフレイヴァーで作り直したって感じなのが本作である。

この映画,全世界で大ヒットしているが,それはこのお気楽さ加減が,家族で見るにも丁度いいってところがあるだろう。いつもは硬派の肉体派で通すDwayne Johnsonがコミカルな演技を見せるのも笑えるが,ここで一番笑えるのは何と言ってもJack Blackである。詳しくは書かないが,こういう役をやらせるとこの人はマジでおかしい。

あまりのヒットに,早くも続編が計画されているようだが,一体どうやって話をつなぐねん?と思ってしまうが,まぁゲームの中のキャラであるから,いかようにでも続編は作れるし,別の物語も展開できるってことだろう。まぁ,こういうのが一番機内エンタテインメントには適していると思う訳だが,ある意味のバカバカしさはあっても許せると思ってしまう。星★★★☆。

ところで,監督のJack Kasdanというのは,Laurence Kasdanの息子らしい。へぇ~って感じだが,更に奥方はBird and the BeeのImora George(Lowell Georgeの娘)らしいから,芸能一家ですなぁ。親父のLaurence Kasdanは「ハン・ソロ」の脚本を書いているようだし,監督もRon Howardだから,こっちもちょっと期待したくなった。

2018年5月 4日 (金)

今聞いても無茶苦茶カッコいい"The Catherine Wheel"

"The Catherine Wheel" David Byrne (Sire)

_20180503 本作のオリジナルが出たのが1981年。81年と言えば”My Life in the Bush of Ghosts"をEnoとリリースし,その前年にはTalking Headsで"Remain in Light"を出しているから,David Byrneの音楽的なキャリアとしてもピークにあった時期と言っても過言ではない。そうした時期にバレエの音楽としてこういうアルバムも出してしまうのから凄いことである。

LPで出た頃は,抜粋版としてのリリースであったが,CDの時代になって,全曲収録が可能になったということで,これはやはりCDで聞くべき音源ということになる。しかし,そんなことを言いながら,私がこのアルバムを聞いたのは本当に久しぶりのことであり,何年聞いていないかも覚えていないぐらいである。だが,"Remain in Light"に痺れ(記事はこちら),映画としては"Stop Making Sense"を最大級に評価している私(記事はこちら)としては,David Byrneの音楽には惹かれる部分が大きいのは間違いない。

それにしても,いけている音楽である。ここに収録されている曲の一部はTalking Headsのライブのレパートリーにもなっているから,基本的にはTalking Headsのやっていた音楽と同質の部分も大きいと思うが,インストをメインにした音楽は,スリリングな響きもあって,実にカッコいい。まぁ,私の好みに合っているという点も大きいとは思うが,こういう音楽をバックにしたバレエを見たら,きっと痺れていただろうなぁと思う私である。星★★★★☆。35年以上前の音楽とは思えない,今でも通用する現代的な感覚を持った音楽だと思う。

Personnel: David Byrne(vo, g, p, synth, b, fl), Adrian Belew(g, perc), John Chernoff(g, p, ds, perc), John Cooksey(ds), Brian Eno(b, g, p, key, synth, vib, vo), Doug Gray(euphonium), Sue Halloran(vo), Jerry Harrison(org, key, ds), Richard Horowitz(nez), Yogi Horton(ds, perc), Dolette McDonald(vo), Steve Scales(perc), Bernie Worrell(p, synth, key)

2018年5月 3日 (木)

米国出張中に見た映画:7本目は「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル("I, Tonya")」('17,米)

I_tonya監督:Craig Gillespie

出演:Margot Robbie, Sebastian Stan, Allison Janney, Paul Walter Hauser

米国からの復路の2本目で見たのがこの映画であったが,これが実話ベースの話ながら,実に強烈な印象を残す映画であった。Nancy KerriganをめぐるTonya Hardingによる殴打事件というのは,多くの人の記憶に残っていると思うが,その背景を描いた映画であり,ここに描かれる人間模様はほんまかいな?と思わせるが,エンド・ロールで出てくる本人たちの映像を見ると,薄ら寒いものさえ感じさせる強烈な映画であった。

ここで描かれていることが真実だとすれば,Tonya Hardingというスケーターは,フィギュア・スケートという競技が与える印象とはかけ離れたキャラの持ち主だったということになるが,その勝気な性格はトリプル・アクセルの成功という技術面では機能しても,優美さという一方の要素をないがしろにしたような印象を与える。だが,ここで描かれていることが事実に近いとすれば,それは先天的なものではなく,あくまでも後天的な要素によって生まれたものであり,彼女も被害者の一人だったのではないかとさえ思わせる。そして,Nancy Kerrigan襲撃事件には,当のTonya Hardingが実際には関わっていなかったとすれば,まさにこれは悲劇だったと言わざるをえない。

そういったことを痛切に感じさせる映画には一見の価値があることは言うまでもないし,放送禁止用語を連発するセリフも強烈ながら,オスカーで助演女優賞を取ったTonyaの母を演じるAllison Janneyの演技を見るだけでも価値がある。間もなく日本でも公開となるこの映画が当地でヒットすることは難しいとは思うが,実によく出来た映画として,ここで声を大にして推薦しておきたい。星★★★★☆。いずれにしても,この映画を見ていて,登場人物には真っ当な人間の方が少ないと思えるが,中でもPaul Walter Hauser演じるShawn Eckhardtが一番狂っていたなというのが実感。それにしても,みんな実際の人物に似せているねぇ。そういう意味ではMargot Robbieが一番似ていないのはご愛敬。

2018年5月 2日 (水)

米国出張中に見た映画:1本飛ばして6本目は「ゲティ家の身代金」

「ゲティ家の身代金(“All the Money in the World”)」(‘17,米/伊,Sony)

4862a87bf4564c9292d332c93804a04d 監督:Ridley Scott

出演:Michelle Williams, Christopher Plummer, Mark Wahlberg, Romain Doris

出張中に見た5本目は「スター・ウォーズ エピソードIV」だったのだが,今更何も書くこともないということで、1本スキップして,復路の1本目として見たこの映画である。本作はKevin Spaceyのセクハラ問題により,Spaceyの出演シーンをChristopher Plummerを代役に立てて撮り直したという曰く付きの作品である。

正直言って,Kevin Spaceyによるアクの強い演技も見てみたかったと思わせるが,ここは緊急事態に対応したChristopher Plummerの演技を褒めるべきであろう。Plummerと言えば,「サウンド・オブ・ミュージック」だが,ここでの銭ゲバ的なJean Paul Gettyを演じるPlummerは全く別物である。もはやPlummerも88歳らしいが,矍鑠とした演技には誰もが圧倒されると言ってもよい。

Plummerに比べると,Michelle WilliamsやMark Wahlbergが薄口に思えるぐらいであるが,これが実話だというのだから恐ろしい。金の亡者という言い方しか思いつかないが,そもそもこんな人間が存在していたということ自体が信じ難い。ドラマとしてはマジかと思わせつつも,結構ちゃんと見られる作品になっていて,アクシデントにもかかわらず撮り直しをしたRidley Scottの意地のようなものを感じさせた。なかなか捨て難い魅力を持った作品である。星★★★★。

2018年5月 1日 (火)

休日に聞くLeonhardtのモーツァルト。

"Piano Sonatas" Gusutav Leonhardt (Seon)

Leonhardt_2世の中,ゴールデン・ウィークで休みなのは私も同様である。そうしたところで,気まぐれに取り出してきたSeonの85枚ボックスから,今日はLeonhartdのモーツァルトを聞いた。Leonhardtと言えば,どうしてもバッハのイメージが強いが,ここではフォルテピアノでモーツァルトのピアノ・ソナタ等を弾いている。

まぁ,一般的な耳からすれば,これはあくまでも古楽の文脈におけるモーツァルトだが,フォルテピアノによるモーツァルトもなかなか味わい深い。だが,正直言ってしまうと,モーツァルトのピアノ・ソナタを聞こうと思って,このアルバムを取り出すことはまぁないなと思ってしまう。Seonのボックスに入っているからこそ聞いているものの,それ以上のものではないというのが正直なところ。但し,小音量でカフェで流れていれば,その店は間違いなく趣味がいいと評価するだろうな。

上の写真はオリジナル・ジャケットのものだが,これを見て買う気になる人がいるかというと,う~む...って感じだが,まぁそういうものだったってことで。たまに聞くにはいいけどね。

Recorded in May 1971 and January 1972

Personnel: Gustav Leonhardt(fortepiano)

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