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2018年1月31日 (水)

ジャケットは今の季節にぴったりな感じってことで,Alan Pasquaのソロ・アルバム。

"Solo" Alan Pasqua(自主制作盤)

Alan_pasqua_solo今年の冬はかなり寒さが厳しいが,こういう時は家に閉じこもって音楽を聞くに限る。このアルバムはAlan Pasquaが自主制作したアルバムだが,どうやって手に入れたか実はよく覚えていない。

Alan PasquaはBob Dylanの「武道館」でバック・バンドにいたり,Tony Williams Lifetimeにいたり,更にはAllan Holdsworthのバンドにいたり,そしてPeter Erskineのアメリカン・トリオにいたりと,非常に多彩な音楽性を持つ人である。それでも私にとっては,Peter Erskineとのトリオにおける美しいピアノこそこの人の良さをよく表していると思っている。

ここではこの人らしいリリカルなピアノ・ソロが楽しめるが,ジャケは雪景色でも,録音したのはSanta MonicaとSanta Feってこうした風景と全然関係ないようなところなのが笑える。まぁ,それはさておきであるが,曲名のついている曲と,単に"Improvisation"とされている曲があるが,どっちにしても素晴らしく美的であり,この季節に聞くには本当にぴったりだと言いたい。

今やこのディスクを購入することはなかなか難しいかもしれないが,いくらでもストリーミングで聞けるはずなので,まずはストリーミングでこの美的世界にはまったら,気長にディスクを探すって感じだろうなぁ。久しぶりに聞いたが,このピアノは落ち着くわ~。ニュー・エイジ的にさえ響くと言ってもいいかもしれないが,こういうのがバックで流れていると,その場所は趣味のいいところだときっと思ってしまうだろう。星★★★★。それにしても,冒頭の"To Love Again"はいい曲である。

Recorded in 2004

Personnel: Alan Pasqua(p)

2018年1月30日 (火)

Jeff Beckの”Rough & Ready":しょっちゅう聞くわけではないのだが。

"Rough & Ready" Jeff Beck Group(Epic)

_20180127_2Jeff Beck,素晴らしいギタリストである。だが,私の彼の音楽の聞き方は正直なところ,相当偏っている。基本,私はJeff Beckはインスト・アルバムこそ彼らしいと思っているので,ヴォーカル入りのアルバムはあまり聞かない。例外はBB&Aぐらいと言ってもよい。まぁ,Jan Hammer Groupに客演したというかたちであろう"Live with the Jan Hammer Group"にもヴォーカルは入っているではないかと言われてしまうとその通りだが,あれはあれでまぁ許す(なんでやねん?)。

そんな私がヴォーカル入りJeff Beck Groupとして保有しているのはこれだけである。Rod Stewart入りの"Truth"も"Beck-Ola"の持っていないがストリーミングで聞けばいいと開き直っている。そんな私がこれだけ保有しているのは本当に例外的と言ってよいが,それでもこのバンドの残党で結成されたHummingbirdのかなりファンだというこの自己矛盾(爆)。

このアルバムを聞いていて,Jeff Beckのギター・プレイは相変わらずの鋭さだと思わせるが,Bob Tenchのソウルフルなヴォーカルを得て,単なるロックからソウル側へ一歩踏み込んだ音楽が聞けると思える。そうした感じで通せばいいのだが,中盤の"Max's Tune"が雰囲気が違うというか,ほかの曲から浮いてしまっているのは残念。

"New Ways Train Train"に聞かれるリフはどこかで聞いたような既視感に襲われるが,この曲は非常にカッコいいし,ラストの"Jody"に聞かれるエレピもMax Middletonらしくてよい。それだけにやっぱり"Max's Tune"の浮きっぷりが惜しいなぁ。星★★★☆。

Personnel: Jeff Beck(g), Bob Tench(vo), Max Middleton(p, el-p), Clive Chaman(b), Cozy Powell(ds)

2018年1月29日 (月)

今更恥ずかしながら,"Seven Steps to Heaven"をちゃんと聞く。

"Seven Steps to Heaven" Miles Davis(Columbia)

_20180127私は長年Miles Davisの音楽を聞いてきたつもりではいても,全てのアルバムをちゃんとフォローしていた訳ではない。まずは世評の高いアルバムから聞いて,徐々にその幅を広げるって感じだったが,それでも洩れるアルバムはあって当然である。そんなアルバムのうちの一枚が本作である。なぜ優先順位が落ちたかと言えば,カリフォルニアとニューヨークの2回のセッションから構成されるこのアルバムが,Milesの楽歴の中で,飛び抜けて優れたものと評価されていなかったこともある。

しかし,昨年,MilesのColumbiaボックスを中古でゲットし,Columbiaレーベル時代の音源は聞けるようになって,こういうアルバムも聞くチャンスができたのは,ボックス・セットゆえのことである。もちろん,ジャズ喫茶などでは耳にしていたことはあるが,家でしっかり聞くという経験は恥ずかしながら今までなかったのである。

それでもってこのアルバムを改めて聞いてみると,カリフォルニアからの選曲がバラッドで集められ,Herbie Hancock,Tony Williamsとの初共演となったニューヨークの演奏がミディアム~アップテンポで固められるという構成となっていて,私にとっては,意外とバラッド演奏が素晴らしくよく聞こえてしまった。逆に言えば,このアルバムの印象を弱めたのは"So Near, So Far"ではなかったのかという印象を持ってしまった。この曲においては,MilesのソロよりもGeorge Colemanの方がよく聞こえてしまった。LPであればB面1曲目に位置するこの曲の代わりに,もう少しアグレッシブな演奏を充てた方がよかったのではないかと思えてならない。

曲の提供を含めて,このアルバムの重要なメンツはVictor Feldmanだと思うが,彼がそのままMilesのバンドに残っていたらどうなっていたのかという想像を働かせるのも一興だ。しかし,そうなっていたらHerbie Hancockはどうなっていたのかということもあるが,おそらくはカリフォルニアでのセッションにおけるFeldmanのプレイぶりと,NYでのHerbieの演奏を比べてのMilesの判断であったはずで,歴史的に見れば,それは正しかったってことになるだろう。

だが,私はここではVictor Feldmanを従えてのバラッド表現は決して悪くなかったと思うので,MilesがHerbieを選んだのはアップ・テンポでのエネルギー感の違いによるものだろうと思う。ドラマーについては,Frank ButlerとTony Willamsではまぁ必然的にTonyでしょってことにはなるが...。いずれにしても,よくよく聞いたら結構いいじゃんと思わせるアルバムではある。星★★★★。

Recorded on April 16-17, and May 14, 1963

Personnel: Miles Davis(tp), George Coleman(ts), Victor Feldman(p), Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Frank Butler(ds), Anthony Williams(ds)

2018年1月28日 (日)

Fahir Atakoglu:メンツ買いも甚だしいと言ってはリーダーには失礼だが(苦笑)。

"Istanbul in Blue" Fahir Atakoglu(Far & Here)

_20180121_3このアルバムを購入したのがいつ頃だったかは記憶にないのだが,リーダーは全然知らない中,これこそメンツ買いと言ってよいアルバムである。これを聞くのも久しぶりのことだ。

Fahir Atakogulはトルコ出身のピアニストで,フュージョン系のアルバムとしては,本作の後に出した"Faces & Places"も結構強烈なメンツの作品であった。しかし,私にとっては,このアルバムの方がポイントが高いのは,全10曲中8曲の半数のギターをMike SternとWayne Krantzが分け合っているからにほかならない。そのほかのメンツが同じ中,ギターだけがマイキーとKrantzで代わるというのは,比較して聞くにも面白いし,どっちも好きな私にとってはたまらない構成である。

リーダーの書く曲は,トルコ的なエキゾチズムを感じさせるが,テーマが終わってアドリブ・パートに転じると,完全なハード・フュージョンの世界に突入である。そうした中で,リーダーには悪いが,どうしても私はギターに耳が行ってしまうのである。マイキーはいつも通りのマイキーだが,Krantzは個性を打ち出すだけでなく,ある程度合わせる術を示しているのが面白い。だが,やはりここで聞かれるマイキー,Krantz双方のプレイは,私を興奮させるに十分なものと言ってよい。特に7曲目"Gypsy in Me"後半で聞かれるKrantzのソロが最高である。

全体を通して聞けば,ハード・フュージョンの作品として水準は保っていると思うが,やはり曲の端々に感じられるエキゾチックな感覚をどう捉えるかってことになると思う。例えば,Lionel Louekeのアルバムに聞かれるアフリカ風味を嫌味にしか感じない私のようなリスナーにとっては,ちょっとねぇ...という部分があるのも事実である。結局のところ,私にとってはギターを聞くためのアルバムにしかならないというのがこのアルバムの限界でもある訳だが,それでもマイキーとKrantzが聞ければそれでいいやって話もあり,評価は微妙。まぁマイキーとKrantzに免じて半星オマケで星★★★☆ってところにしておこう。

Recorded on June 15-17, 2007

Personnel: Fahir Atakoglu(p, el-p, synth, vo), Bob Franceschini(ts, ss, a-fl, b-cl), Horacio "El Negro" Fernandez(ds, perc), Anthony Jackson(b), Wayne Krantz(g), Mike Stern(g)

2018年1月27日 (土)

Brad Mehldauの新譜は3/9リリース予定。テーマはバッハである。

After_bachBrad Mehldauの新譜がリリースされるようである。3/9,Nonesuchから発売されるアルバムはその名も"After Bach"である。平均律から4曲演奏するほか,Mehldauがカーネギー・ホールなどから委嘱されて書いた"Three Pieces After Bach"からの曲を含むということらしい。ソロはあの超弩級CD4枚組,LPなら8枚組の”10 Years Solo Live"以来だけに期待しちゃうよねぇ。またも強烈に美的なソロ・ピアノを聞かせてくれるはずである。発売日を首を長くして待ちたい。

2018年1月26日 (金)

Ry Cooder参加アルバム・シリーズはこれで締めよう:Bobby King & Terry Evans

"Live and Let Live" Bobby King & Terry Evans(Rounder)

_20180121_2これまで3日続けてRy Cooder参加のアルバムを取り上げてきたが,最後はこのアルバムで締めくくりたいと思う。今回のテーマはソウル/R&Bである。

本作の主役であるBobby KingとTerry EvansはRy Cooderとの共演歴が豊富であり,特にBobby Kingは,長きに渡ってバックアップ・シンガーを務めてきた。そうした二人のリーダー作をRy Cooderがプロデュースするというのは自然な流れと言ってもよい。このアルバム,何が凄いって,主役の二人の歌唱はさておき,Ry Cooderのギターの弾きまくりぶりが凄いのだ。伴奏に徹した時のRy Cooderの凄さはMavis Staplesの"We'll Never Turn Back"でも実証済みである(同作に関する記事はこちら)が,まさに本作も同じ感覚である。ここまでギターを弾いてくれれば,何の文句もない(きっぱり)。

久々に聞いて,Ry Cooderがここまでギターを弾いていたかとさえ思ってしまったが,これが何ともワクワクしてしまうようなギター・プレイなのである。John Hiattたちと組んだLittle Villageでもここまでは弾いていないとさえ言いたくなる。Rolling Stone誌には"The 100 Greatest Guitarists of All Time"というリストがあるが,2015年版でも31位に挙げられているだけのことはあると思わせるに十分である。

そして,このアルバムを締めるのが"The Dark End of the Street"ってのもいいねぇ。Ry Cooderも"Boomer's Story"や"Show Time"でも取り上げていたDan Pennが書いたこの名曲を,ここで改めて取り上げているところに感慨を覚えるファンも多いだろう。少なくとも私にとってはそうである。

いずれにしても,ここで聞かれるRy Cooderのギター・プレイはまさに素晴らしいの一言。それだけのために保有する価値のある一枚。アルバムの評価としてはMavis Staples盤に譲るとしても,星★★★★☆には十分値する。バックを務めるメンツも好き者にとっては嬉しくなるような人ばかりである。

Personnel: Bobby King(vo), Terry Evans(vo), Ry Cooder(g), Jim Keltner(ds), Spooner Oldham(p, org), Jim Dickinson(p), Darryl Johnson(b), Jorge Calderon(b), Josiah Kinlock(perc), Miguel Cruz(perc), Willie Green, Jr.(vo)

2018年1月25日 (木)

更にRy Cooder参加のアルバムは続く(笑):今日はAli Farka Toure。

"Talking Timbuktu" Ali Farka Toure with Ry Cooder(Hannibal/World Circuit)

_20180121インド,ハワイと続いたRy Cooderのワールド・ミュージックの3枚目はアフリカである。マリ出身のAli Farka ToureのアルバムのプロデュースもRy Cooderが行って,多くの曲で共演も果たしたアルバムである。なんでもこの二人,ロンドンで出会って,意気投合,アルバムの制作までしてしまったということらしい。

久しぶりに本作も聞いたのだが,1曲目を聞いていて,何となく砂漠のブルーズことTinariwenを思い出してしまった。Tinariwenの活動拠点がマリってこともあるかもしれないが,アフリカ系ブルーズ的な響きを濃厚に感じさせる。その後,ブルーズ的なサウンドだけでなく,多彩な音楽が収められていて,これはいいねぇと思わせる。更に,ゲストとしてClarence "Gatemouth" Brownが登場すると,途端にブルーズ色が濃厚になるのは,当たり前と言えば当たり前だが,さすがなのである。Gatemouthは"Ai Du"ではヴィオラを弾いているのだが,何を弾いても,この人の生み出す雰囲気ってのが絶妙って気がする。

いずれにしても,ここで強調しなければならないと思うのは,所謂セッション・アルバムでありながら,非常に質の高い音楽に仕上がっていることだということである。有能なミュージシャン同士の邂逅と言ってしまえばその通りだが,やはりここはRy Cooderがプロデューサーとして果たした役割が大きいと言うべきだろう。適材適所のゲスト,そしてRy Cooder自身のプレイぶりも含めて,これは実によかった。こういうのはもっと取り出しやすいところに置いとけよ!という反省も込めて星★★★★☆。

Recorded in September 1993

Personnel: Ali Farka Toure(vo, g, banjo), Ry Cooder(g, b, mandolin, marimba, mbira, cumbas, tamboura), Hamma Sankare(calabash, vo), Oumar Toure(bongo, conga, vo), Clarence "Gatemouth" Brown(g, viola), John Patitucci(b), Jim Keltner(ds)

2018年1月24日 (水)

Ry Cooder参加のセッション・アルバム,次はGabby Pahinuiだ。

"The Gabby Pahinui Hawaiian Band" Gabby Pahinui(Panini)

Gabby昨日取り上げたRy CooderとV. A. BhattのアルバムがGabby Pahinuiに捧げられていたこともあって,久しぶりにこのアルバムを取り出してきた。聞くのは何年ぶりだろうか。まぁ,典型的なハワイアン・ミュージックだからねぇ。

Gabby Pahinuiがハワイアンの巨匠だってのはわかっていても,このアルバムを私が購入した動機は,またもRy Cooderになってしまう。ここでのRy Cooderは基本的にマンドリンを演奏しており,時折ティプレも演奏しているようだが,どの曲でってところまでは認識できていない。ティプレという楽器はコロンビアを中心に使われているようだが,3弦4コースの12弦という珍しい楽器だってのは初めて知った。へぇ~って感じである。Gabby Pahunuiは12弦ギターを弾いているが,ギターだってあれだけ特殊な響きがあるのに,3弦張るってのは結構凄いなぁなんて思ってしまう。弦を2-3-3-2の10弦とするティプレもあるそうだが,Ry Cooderはどっちだったのか?

それはさておき,私はハワイアンにはうといので,この音楽がどの程度優れているのかってのはなかなか評価できないのだが,この弦楽器が重なって生み出される音楽の心地よさはわかるつもりである。いずれにしても,聞いていてゆったりした気持ちになれるのがハワイアンのいいところって気がする。何曲かでNick DeCaroがアレンジしたストリングスが入るが,そうした観点でこれは蛇足って気もするなぁ。ってことで,星★★★★。

尚,アメリカでリリースされた盤のジャケットにはGabbyのポートレートが上記のジャケットに付加されているので,念のため。

Recorded in August and September 1974 and April 1995

Personnel: Gabby Pahinui(g, b, vo), Leland "Atta" Issacs(g, vo), Sonny Chillingworth(g, vo), Manuel "Joe Gang" Kupahu(g, vo), Bla Pahinui(g), Cysil Pahinui(g, b), Randy Lorenzo(g, b, vo), Ry Cooder(mandolin, tiple)

2018年1月23日 (火)

こんなのもあったねぇ。Ry Cooder Meets Indiaみたいな”A Meeting by the River"

”A Meeting by the River" Ry Cooder & V. M. Bhatt(Water Lily Acoustics)

_20180120先日,百数十枚のCDを処分して,私もいろいろなCDを保有しているものだと今更ながら思うが,生き残ったアルバムも改めて見直すとへぇ~と思うようなCDがある。これもそんな一枚である。

私は昔から結構なRy Cooderのファンだったが,その流れで購入したことは間違いない。それがこれだが,Ry Cooderのボトルネック・ギターとV. M. Bhattの弾くこれもスライドさせるらしいMohan Veena (アルバムのカヴァーにはVinaと書いてあるがVeenaが一般的のようだ)を中心にタブラとドゥンベクが加わるという構成だが,これは完全にインド音楽を基調としたものなので,まぁ異色と言えば異色である。そこにRy Cooderのギターが織り込まれるというのが何とも聞いていて面白い。あらゆる音楽を吸収してきたRy Cooderだからこそ成り立つ音楽という感じである。

とにかく,私の耳はほとんどRy Cooderのギターに行ってしまうのだが,それは仕方ないってことで(笑)。まぁ,多くの人に勧められるような音楽ではないが,一種のアンビエント・ミュージック的なところも感じてしまった私である。完全なセッション・アルバムにしては実によくできている気がする。ただ,音楽の一般的な訴求力を考えれば星★★★★ぐらいか。こういう音楽がGabby Pahinuiに捧げられているのは不思議な感じだな。

Personnel: V. M. Bhatt(mohan veena), Ry Cooder(g), Sukhvinder Singh Namdhari(tabla), Joachim Cooder(dumbek)

2018年1月22日 (月)

やっぱりEd Bickertは渋いのだ。

"Out of the Past" Ed Bickert Trio(Suckville)

_20180114_3私がギタリスト,Ed Bickertを長年に渡って贔屓にしてきたことはこのブログにも何度か書いてきた。もちろん,それはPaul Desmondとの共演によるところが大きいのは事実だが,Desmond抜きでのBickertのアルバムもかなり好きなのだ。そんな中で,この作品は既に10年以上前にリリースされたEd Bickertの未発表スタジオ音源である。当然,私は出てすぐ買ったはずである。

Ed Bickertは通常テレキャスターを弾いているのだが,どうしてこういう音がテレキャスから出てくるのかは「世界の七不思議」とは言わずとも,かなり不思議なことである。テレキャスはソリッド・ボディで,かっちりした音が出てくるのが通常だが,Ed Bickertが弾くとセミアコ的な,あるいはそれ以上にマイルドな音に聞こえるのだ。そして,それが非常に心地よい。この音にPaul Desmondが惚れたことは間違いないだろう。

そして,ここでのトリオは,晩年のDesmondを支えたあのカナダ人トリオなのだから,悪いはずがない。ジャズによるリラクゼーションとはこういうのを言うのだ。こうした音源がリリース時には30年の時を経て公開されたのだから,これは実にめでたいことである。今やEd Bickertは引退状態(既に現時点で85歳になっているはずである)であり,復帰は望むべくもないが,こうしたアルバムで往時の彼らの演奏に触れることができるのは大いにありがたい。

テンションとは対極にあるようなこういう音楽を必要とすることもあるということで,久しぶりに聞いたこのアルバムでも,Ed Bickertのよさを再確認した。よく知られたスタンダードが並んでいるが,この人はDuke Ellingtonの珍しい曲を演奏することが結構あって,本作でも"I'm Just a Lucky So and So"なんて曲をやっている。こういうところにもミュージシャンとしての見識が表れるよなぁって思うのは贔屓目かもしれないが,いずれにしても趣味のいい人たちである。ということで,星★★★★。

Recorded on January 26 & 27, 1976

Personnel: Ed Bickert(g), Don Thompson(b), Terry Clarke(ds)

2018年1月21日 (日)

いまだに現役で頑張るLarry John McNallyのデビュー・アルバム。

"Larry John McNally" (Arc/Columbia)

_20180114_2Larry John McNally,懐かしい名前である。現在も現役で活動をしていて,アルバムも「細々と」(笑)リリースし続けている。現在はRoger Watersの息子のHarry Watersとバンドを組んでツアーもやっているようであるが,まぁ目立ってはいないな(爆)。この人の場合,本人のアルバムよりも,この人の曲を歌っている人の方がメジャーな場合が多く感じられて,むしろソングライターとしての評価が高いかもしれない。Bonnie Raitt然り,Rod Stewart然りである。

今回はカテゴリーをSSW/フォークとしているが,この人の音楽はよりAOR的だし,この人の声もフォークというよりも,より都会的なセンスを感じさせる。そして,このアルバム,いい曲が揃っているが,私に一番響いたのはメロウな"Sleepy Town"であった。どこかで聞いたような既視感を与える曲調なのだが,それは典型的AOR的な響きを持つからではないかと思ってしまった。

このアルバムも聞くのは本当に久しぶりだったのだが,これは今聞いても結構いいねぇと思える作品であった。こういうジャケにしなければ,もう少し売れたのではないかとも言いたくなるが,いずれにしても未聴の方は聞いてみて損はしない。その後,デモ音源などを加えたデラックス・ヴァージョンが発売されたっていうのには今更驚かされるが...。でもナイスなアルバムであることは間違いない。星★★★★。

それにしても,プロデューサーがJon Lindってのも懐かしい名前であった。元Fifth Avenue BandやHowdy Moonって言っても,わかってくれるのは一定の年齢層以上に決まってるな。

Personnel: Larry John McNally(vo, g), James Gadson(ds), Gary Mallaber(ds), Reggie McBride(b), Keni Burke(b), Kenny Lewis(b), Chuck Domanico(b), Buzzy Feiton(g), Richard Feldman(g), Chuck Bynum(g), Bill Payne(el-p, org, synth), Victor Feldman(el-p, perc), Peter Reilich(el-p), Bruce Malament(el-p), Ricky Kelly(p, el-p, synth), Lenny Castro(perc), Sam Clayton(perc), Valerie Carter(vo), Jon Lind(vo), Marti McCall(vo), Petsye Powell(vo), Margaret Branch(vo), Jude Johnstone(vo), Tom Scott(horn), Jerry Peterson(horn), Lee Thornburg(horn)

2018年1月20日 (土)

久々にStone Allianceを聞く。

"Stone Alliance" (PM)

_20180114このアルバムを聞くのも久しぶりだ。正直言ってしまえば,相当激しい音楽なので,どういうシチュエーションで聞けばいいのか悩む(笑)。まぁ,これはジャズ喫茶向けの音楽で,極力大音量で聞きたい類のものであろう。今回,私は家人のいない隙を狙って,家で結構な音量で聞いたのだが(爆)。

Stone AllianceはGene Parla,Don AllianceとSteve Grossmanというトリオで結成されたバンドである。メンツからも想定される通りの音楽がここでは披露されると言ってよいだろうが,やはりバンドの構成が構成だけに,Steve Grossmanの吹きっぷりに注目が集まるのは当然だろう。そして,彼のファンならずとも,アルバム前半で展開される強烈なテナーにはぞくぞくさせられること確実と言いたい。

だからこそ,LP時代で言えば,A面とB面のテイストの違いにはやや戸惑う。A面がゴリゴリのハイブラウな感じだとすれば,B面はどファンクの"Sweetie-Pie"からして雰囲気が違うし,その後のStevie Wonder作の"Creepin'"は浮いているだろうと思ってしまう。最後は"Samba de Negro"で締めて落とし前を付けるって感じだが,この雰囲気の違いを受け入れられるかどうかでこのアルバムに対する評価は変わると思える。アルバムのレコーディングは曲によって1年間のブランクがあって,そうした面が演奏にも影響しているのではないかとも思える。

私の場合は,LPで言えばA面最後に収められたSteve GrossmanとDon Alliasによる"Duet"に聞かれる白熱のバトルにこそ,このアルバムの最大の価値を見出してしまうのだが,いずれにしても1970年代半ばの雰囲気は伝わってくる。コンベンショナルなジャズが不遇な時期を迎えつつある時期だと思うが,そうした時流に逆らうがのごとき熱い演奏であることは間違いない。星★★★★。

Recorded in June 1975 and June 1976

Personnel: Gene Parla(b, el-p), Don Alliance(ds, perc), Steve Grossman(ts)

2018年1月19日 (金)

昨年12月に観たライブがよくて,今更ながらJon Cowherdの"Mercy"を購入。

"Mercy" Jon Cowherd(ArtistShare/Blue Note)

Jon_cowherd昨年12月のNYC出張時に,たまたま観ることができたJon CowherdのMercy Projectであるが,その時の演奏が非常にタイトで素晴らしいものであった(記事はこちら)ので,そのもととなったこのアルバムが猛烈に気になり,出張中に発注したものがようやく到着した。

アルバム自体は2013年にリリースされたもので,随分と時間が経っているが,それにしてもなかなかのメンツで,ある意味,John PatitucciのElectric Guitar Bandと兄弟みたいな編成である。いずれにしても,よくよく調べてみれば,このアルバムからギターをNYC同様,Steve Cardenasに代えたバンドで来日もしていたんだねぇ。このメンツだったら行きたいと思ったはずだが,そうしなかったのはなぜなのかと思って,当時のブログを確認してみると,彼らが来日した14年の2月にはAaron Parksのソロと,Roy Hargroveのビッグバンドを観に行っている。さすがに当時は月3本というのは...と思っていたに違いないが,今の私なら絶対行っている(笑)。観に行っておけばよかったなぁと思っても後悔先に立たず。

そして,このアルバムであるが,Brian Blade Fellowshipのような感じの曲もありながら,Fellowshipほどはアメリカーナってほどでもない。しかし,曲は結構粒ぞろいで,しかもこのメンツであるから,クォリティの高い演奏は大いに楽しめる。こういう演奏は極力リアルタイムで聞いておかねばならんと反省してしまった。まぁ,このジャケは何とかならんものかと思えるが,音楽ははるかに趣味がよい(爆)。強烈なダイナミズムのようなものは感じないが,コンテンポラリー・ジャズの一つの方向であることは間違いないだろう。星★★★★。

尚,本作はなかなか入手は容易ではないかもしれないが,送料さえ払えば,今でもArtistShareのサイトで購入は可能である。

尚,録音された年が記載されていないが,リリースのタイミングを考えるとおそらく2012年ということにしておこう。

Recorded on December 12-14, 2012

Personnel: Jon Cowherd(p, key), Bill Frisell(g), John Patitucci(b), Brian Blade(ds)

2018年1月18日 (木)

Art Garfunkelの"Watermark"に関する逸話。

"Watermark" Art Garfunkel(Columbia)

Watermark私はArt Garfunkelが結構好きだが,アルバム単位で言うと"Angel Claire"と"Scissors Cut"が好き過ぎて,ほかのアルバムはそれほどプレイバックする機会は少ないというのが実態。むしろほかのアルバムを聞くよりも,ベスト盤を聞いている方が多いかもしれない。

このアルバムに関しては基本的にArtieと相性のよいJimmy Webbの曲がほとんどを占めるということで,大いに期待できるものだったはずだが,曲のクォリティが思ったほど高くないのが意外というか,ちょいと痛い。まぁ,このアルバムにおいて,ひと際目立っているのはPaul SimonとJames Taylorと共演した"(What a) Wonderful World"ってことになるだろうが,Jimmy Webbの曲ではないので,ほかの曲と明らかにテイストが違う。また,この曲がオリジナル・プレスには入っていなかったというから驚きである。

そのオリジナル・プレスに入っていた曲が"Fingerpaint"という曲だが,これがYouTubeで聞いてみると地味。しかもオリジナルLPのB面の曲順は現在の並びと全然違っている。ということで,確かにセールス的には"(What a) Wonderful World"があるかないかで全然違うだろうなぁとは思わせる。こういうのはこのアルバムだけではなくて,"Scissors Cut"でも行われたが,"Scissors Cut"の曲変更は私は明らかに失敗で,オリジナルこそが"Scissors Cut"のあるべき姿と思っている。それに比べれば,まぁこっちはまだ許せると思うのは差し替えられた"Fingerpaint"が決定的な名曲,名演ではないということがある。まぁ,それでも貴重な音源であることは間違いなく,これが収録されているオリジナル盤はそう簡単には見つからないだろうから,ここにもYouTubeから音源を貼り付けておこう。

もう一つ,このアルバムには重要なポイントがある。このアルバムで私が一番いいと思っているのは"Mr. Shuck'n Jive"であるが,ここにPaul Desmondのアルト・サックスが入っていることは,長年のPaul Desmondファンの私としては見逃してはならない事実なのだ。なぜならば,これがPaul Desmondのラスト・レコーディングだからだが,まさに誰がどう聞いてもPaul Desmondと言うべきアルトが聞ける。しかもこういう泣ける曲での出番というのが素晴らしい。

アルバムとしては星★★★☆ぐらいでいいと思うが,いろいろな逸話が出てくるアルバムということになるなぁ。

Personnelは参加ミュージシャン多数なので省略するが,Jimmy Webbが全面的にキーボードを弾いていたり,ゲスト・ミュージシャンも多彩である。

2018年1月17日 (水)

Michael Breckerの非公式ライブ盤を久しぶりに聞く。

"The Michael Brecker Band Live"(Jazz Door)

_20180107Jazz Doorというのは不思議なレーベルであった。おそらくは放送音源をCD化して販売してしまうのだが,ブートまがいとわかっていても,結構珍しいなぁと思わせる音源があって,ついつい買ってしまうという人が多かったのではないか。今でもこういう商売はHi Hatレーベルに受け継がれていて,決してなくならないところに,根強いニーズってのがあるんだろうとうかがわせる。私もなんだかんだ言って何枚か保有している。これもそうした一枚。

これを購入したのはメンツが強力であるからにほかならないが,Michael BreckerがまだEWIを吹いている頃の演奏で,今にして思えば,私にとってはMike Sternが入っていることがやはり大きい。冒頭はいきなりマイキーのアルバム"Time in Place"から"Gossip"である。アルバムでもMichael Breckerが吹いていたので,その延長線上での演奏という感じだろう。この演奏は89年のライブとあるが,詳細のデータは記述がないが,この年にはほぼこのメンツでツアーをしていたようである。懐かしのLive under the Skyにも89年,Airtoを加えた編成で来日しており,その時の映像が残っているので,貼り付けておこう。ちなみに,89年のLive under the Skyには行ったような気もするのだが,このバンドは見た記憶はない。私が見たのはThe MeetingとSaxophone Workshopであったか?Roberta Flackも見たのか?だが,Tシャツは買った覚えがあるので,間違いなく行っているな(笑)。いずれにしても今にして思えば,89年のプログラムは例年よりは地味だったような気もするが,私がもう少し音楽の嗜好が変わって,マイキーもBreckerも今ぐらいに評価していたら,このバンドの演奏は見たいと思ったはずである。趣味って変わるもんだよなぁとつくづく思う。

そしてこのアルバムであるが,いやいや激しいものである。最後の"Original Rays"におけるBreckerのEWIによるカデンツァから,テナーによるテーマに移行する時の感覚なんて,今聞いてもぞくぞくする。非公式音源ではあるが,音もいいので持っていて損はない。これは媒体では結構高値がついているが,今やストリーミングでも聞けるし,ダウンロードも可能なのだから,そっちで聞いていれば十分ではあるが,89年という時期の彼らの演奏を切り取ったドキュメントとして相応に評価したい。星★★★★。

日本は89年と言えば,バブル経済爛熟期であったが,Live under the Skyというイベントがバブルが崩壊した92年に終焉を迎えたことを,今更ながら感慨深く思い出している私である。

Recorded Live in 1989

Personnel: Michael Brecker(ts, EWI), Mike Stern(g), Joey Calderazzo(p, key), Jeff Andrews(b), Adam Nussbaum(ds)

2018年1月16日 (火)

Ray Lamontagne:この素晴らしき歌唱に浸る。

"Live from Bonnaroo 2005" Ray Lamontagne(RCA)

Bonnaroo私がRay Lamontagneという人に出会ったのは"Till the Sun Turns Black"でのことであった。そこでの歌いっぷりに心底まいってしまい,彼のアルバムは全部買っている。だが,このブログに彼のアルバムについて書いたことがないのは,その後のアルバムが"Till the Sun Turns Black",あるいはデビュー作"Trouble"ほど,私に響いてこなかったということがある。まぁ,ちゃんと聞いていないからだという話もあるが,一聴して「これはっ!」って感じがなかったのである。

だが,今回,久しぶりにこのライブ盤を聞いて,やっぱり凄い歌い手であるという認識を新たにした。デビュー作"Trouble"のリリースが2004年だが,その翌年,米国のBonnaroo Music and Arts Festivalに出演した時の模様を収めたライブ音源である。このBonnarooは日本で言えば,フジ・ロック・フェスティバルのようなものと思えばいいだろうが,デビューの翌年,そのデビュー作からの曲を6曲収めたこのライブEPは,この人の曲の素晴らしさ,歌手としての訴求力を強く感じさせて素晴らしい。

一般的な感覚で言えば,フォークあるいはSSWの文脈で捉えられるべき演唱であるが,シンプルな演奏,歌唱でありながら,聴衆を惹きつける魅力は十分と思える。私がこの人に感じた魅力はこういうものだったのだなぁということを改めて認識させられた。こういう素晴らしい音楽はもっと取り出しやすいところに置いとけよっていう反省も込めて,星★★★★☆。このディスクそのものはなかなか見つかりにくいかもしれないが,ストリーミングでも聞けるので,ご関心のある方は是非お試しを。

Recorded Live at Bonnaroo Music and Arts Festival on June 10, 2005

Personnel: Ray Lamontagne(vo, g, hca), Chris Thomas(b), Larry Ciancia(ds)

2018年1月15日 (月)

Levon Helm & the RCO All Starsの発掘ライブ盤を聞く。

”Live at the Palladium NYC New Year's Eve 1977" Levon Helm & the RCO All Stars(Levon Helm Studios)

Palladium私は若い頃から渋いシンガー・ソングライター系の音楽を好んで聞いてきたが,当然,その流れでThe Bandあるいはウッドストック系の音楽に触れる機会も多かった。特に大学時代は,その手のレコードを買うために中古番屋に足しげく通ったことも懐かしい。帰省する機会にがればあったで,大阪や神戸のショップにも出没し,その筋のアルバムを探していたのだから,暇なものである(苦笑)。

そんな私がそうした音楽的な嗜好を示すのを加速させたアルバムに"Levon Helm & the RCO All Stars"があるが,本当にこれは好きだった(アルバムに関する記事はこちら)。彼らのライブ・アルバムが突然リリースされたのは2006年のことであるから,もはや10年以上前である。その後,Levon Helmが逝き,Donald "Duck" Dunnが逝ったのを考えると,時の流れを感じざるをえない。そもそもこの音源が録音されてから40年以上の月日が経過しているのだから,当たり前と言えば当たり前なのだが,若い頃からこういう音楽に魅力を感じていたって,どれだけ私は若年寄的だったのかと思ってしまうが,好きなものは好きなのだ。

このライブ音源は,アルバムのプロモーション的なところもあったと思うが,Booker T. Jones以外の主だったメンツが参加しているというのは結構凄いことである。当時のNew York Timesの記事では,この時のライブはかなり批判的に書かれている(ご関心のある方はこちらをどうぞ)が,このアルバムを聞く限り,そんなに酷い演奏だとは思えない。70年代後半という時代がこういうレビューを書かせるのかなぁなんて思うが,私のようにこの手の音楽が好きな人間にとっては何の問題もない。

この演奏が収録されたPalladiumというヴェニューは,Union Squareのそばにあったはずで,在米中に,私は何かの機会でここには一度だけ行ったことがあるはずだ。だが,何で行ったのかがどうしても思い出せない。まぁ,25年以上も前のことになれば,記憶が薄れるのも当然なのだが,何で行ったのかが気になって仕方がない(苦笑)。覚えているものは鮮明に覚えている(少なくとも自分でチケットを取ったものはほとんど忘れていないはず)ので,これは誰かに付き合って行ったってことかもしれない。

いずれにしても,これだけのメンツが揃ってライブをやっていて,その場にいられた人は間違いなく幸せだと思える発掘盤。星★★★★☆。この人たちのライブは本当に聞いてみたかったなぁ。

Recorded Live at the Palladium, NYC on December 31, 1977

Personnel: Levon Helm(ds, vo), Mac Rebennack "Dr. John"(p, key, vo), Paul Butterfield(hca, vo), Fred Carter, Jr.(g), Steve Cropper(g), Donald "Duck" Dunn(b), Howard Johnson(bs, tuba),  Tom Malone(tb), Lou Marini(sax), Alan Rubin(tp)

2018年1月14日 (日)

ジャズ系ブログ界で話題沸騰?今年最初の新譜は本田珠也のIctus Trio。

"Ictus" 本田珠也Ictus Trio(Song X Jazz)

Ictus今年になって全然新譜を買っていなかったのだが,これが今年初の新譜に関する記事ということになる。本作は私のお知り合いの皆さんが取り上げられており,これは聞いておいた方がいいだろうということでの購入である。

本田珠也に関しては以前"Planet X"についてこのブログに記事をアップしたことがある(記事はこちら)が,そこでの音楽とは全く異なるもの。違い過ぎやろと言ってしまえばその通りであるが,むしろこういう音楽が日本のミュージシャンによって作られたことに,ある種の驚きさえ感じた私である。ブログのお知り合いのkenさんは「初期ECMの味わいに実に近い」と評されているが,まさにそういう感じなのだ。

そもそもレパートリーの中心を構成するのがCarla Bleyの曲というのが素晴らしい試みであり,そこにスタンダード2曲と,ピアノの佐藤浩一のオリジナルを交えるという構成も,明確な狙いを感じる。Carla Bleyのオリジナルの持つ「甘い毒」みたいな部分と,アバンギャルドな部分を見事に表出しながら,そこにはさまれたスタンダードとオリジナルが何の違和感もなく混在しているのは結構凄いことではないか。スタンダードさえも,彼らの感覚で再構築されたものとなっており,こういう「筋の通った」アルバムは,ミュージシャンたちの強い意志を感じさせて,無条件に支持したくなる。

ただ,誤解を恐れずに言えば,これはある程度ジャズに接してきたリスナーには受け入れられても,これからジャズを聞いてみようというようなリスナーにはちょっと勧めにくいのも事実である。しかし,この心地よさというよりも,ヒリヒリするような緊張感をもたらしながら,美学も兼ね備えた音楽にはしびれてしまった私である。

繰り返しになるが,こうしたアルバムが日本から生まれたことを喜びたい。そして非常に生々しい音で録音されている点も評価して星★★★★★としてしまおう。新年早々縁起がいいわいと言いたくなってしまった。

Recorded on May 16, 2017

Personnel: 本田珠也(ds),佐藤浩一(p),須川崇志(b, cello)

 

2018年1月13日 (土)

保有していることすら忘れていたStefano Bollani盤(爆)。

"Les Fleurs Bleues" Stefano Bollani(Label Bleu)

BollaniCDの保有枚数が増えてくると,どうしてこのCDを保有しているのか全く思い出せないものも出てくる。だからいつも家人に「一生のうちにもう聞かないCDって結構あるんじゃないの?」と聞かれても否定できない。このCDもどういう風に買ったのか全く思い出せないのだが,たまたま棚から発見してプレイバックしてみた。よくよく見れば,リズムはScott ColleyにClarence Pennという魅力的なメンツ。へぇ~(笑)。だが,ソロ・ピアノでの演奏も多く,全面参加ではないので注意が必要である。

Stefano BollaniについてはECMのアルバムやら,Venusレーベルのアルバムを聞いてきたが,本作を聞いて思ったのは,うまいねぇということである。その一方で,多様な要素が詰め込まれた感じがして,Bollaniの本質はどこにあるのか実はよくわからないというのも事実であった。美的な要素,ダイナミズム,アブストラクトな感覚等が混在して,どうも落ち着かない。Juliette Grécoで知られる"Si Tu T'Imagines"では歌っちゃうし...。

私はStefano Bollaniについては,正直言って"Stone in the Water"とか"Mi Ritorni in Mente"のような美感,あるいは甘さを備えたアルバムが好みなので,この多様性はちょっとなぁって感じがする。一曲ごとのクォリティは結構高いので,何でもできてしまうStefano Bollaniってのはわかるのだが,これを聞くなら,私は上述の2枚を聞き続けた方がいいと思える作品。やっぱりどうして買ったのかよくわからん(苦笑)。ということで星★★★が精一杯。

Recorded on May 23,October 21 & 22, 2001

Personnel: Stefano Bollani(p), Scott Colley(b), Clarence Penn(ds)

2018年1月12日 (金)

Franck Avitabileって最近は何をやっているのだろうか?

"Lumières" Franck Avitabile(Les Vents de Vanves)

_20180106_2私がこのブログでFranck Avitabileの"Paris Sketches"を酷評したのももはやほぼ9年前に遡る(記事はこちら)。ライブ活動はしているようだが,それ以来,彼のリーダー作は途絶えているようだし,最近は何をやっているのかねぇと思ったところで,久々のプレイバックである。

前述の記事にも書いたが,昔の私の同僚が,個人的にもやり取りをされるぐらいのFranck Avitabileのファンで,このアルバムもその方からの頂きものである。ちなみにその方,Avitabile以外ではBarney Wilenのファンという,なかなかのフレンチ・ジャズのマニアであった(笑)。本作はAvitabileの正式デビュー前のもので,中古盤屋でも結構な高値がついている作品であるが,現在は本人のサイトでも手に入るようなので,稀少性はなくなったかもしれない。

だが,ここで聞かれる演奏を聞けば,非常に才能のあるピアニストだってことがよくわかる。私はフランスのジャズというのは若干癖が強いと感じることが多いのだが,ここで聞かれる演奏は極めてストレート・アヘッドなものであり,アドリブで展開されるFranck Avitabileのメロディ・センスも立派なものである。久しぶりに聞いてみて,これなら評価されて然るべきだと再認識したが,それにしては"Paris Sketches"はいけてなかったねぇ。あれが今のところの最新リーダー作というのは惜しい気がするが,やはりミュージシャンはブレてはいけないということの証ということにしよう。いずれにしても,本作はオリジナル曲も粒ぞろいで,なかなかいいと思う。星★★★★。

Recorded on March 22 and 23,1997

Personnel: Franck Avitabile(p),Louis Petruciani(b), Thomas Grimmonprez(ds)

2018年1月11日 (木)

リズムは同じでピアノが変わるとどうか?:ずっと聞いてなかったCarsten Dahl盤

"In Our Own Sweet Way" Carsten Dahl / Mads Vinding / Alex Riel (Storyville)

_20180104_2このメンツを見るだけで反応される方もいるだろう。私が昨年のベストの一枚に挙げた"Yesterdays"のピアノがEnrico PieranunziからCarsten Dahlに代わっただけで,リズムは同じMads VindingとAlex Rielである。ピアノが変わるだけでどんな違いが出るのかが興味深いところであるが,このトリオは3人とも同じデンマーク出身ということで,おそらくはリズム隊にとっても,Pieranunziよりも共演回数は多いだろうし,頻度も高いはずである。それはこのアルバムが2005年から2007年にかけて,Copenhagen Jazzhouseという同じヴェニューにおいて録音されていることからもうかがわれる。

デンマークには優秀なミュージシャンは多数いるが,このトリオはデンマークを代表するジャズ・ミュージシャンにより構成されたトリオということができるであろう,彼の地におけるオール・スターのバンドと言ってよいだろう。

Carsten Dahlについてはこのブログで,Arild Andersen,Jon Chtistensenとのトリオによる"Space Is the Place"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,あちらがECM的クールさを持つ演奏だったのに対し,こちらはどちらかと言えば暖かいサウンドと言ってよい。はるかに聞き心地がよく,そしてより多くの層に魅力的に響くはずである。それは本作がDahlのオリジナルで占められた"Space Is the Place"と異なり,トラッドの"Maria gennem torne går"を除いて,よく知られたジャズ・オリジナル,スタンダードを演奏しているからということもあるだろう。

いずれにしても,このアルバムはバラッドとスウィンガーをうまくブレンドさせて,結構楽しめるアルバムである。Enrico Pieranunziほどの抒情性は感じられないかもしれないが,相応に美的センスにも溢れ,寝かしておいたのはよくなかったなぁと反省した次第。まぁ埋もれていたのだから仕方がないが。私としては,やはりEnrico Pieranunziとの共演の方を高く評価するが,これはこれで聞いて損はないアルバム。星★★★★。

Recorded Live at Copenhagen Jazzhouse between 2005 and 2007

Personnel: Carsten Dahl(p), Mads Vinding(b), Alex Riel(ds)

2018年1月10日 (水)

Bobby Watson入りの永井隆雄4のライブ盤が楽しい。

"Live at the Someday" 永井隆雄 (Someday)

_20180104私にとってBobby Watsonについての記憶は結構鮮烈である。まずはその時の話から。私がNYCに在住していたのは1990年8月から1992年の6月という短い期間であったが,そんな期間においても,数多くのライブに接する機会があったことは私にとっては幸せなことだった。当時はニューポート・ジャズ・フェスティバルがJVCジャズ・フェスティバルと言われていたころで,91年のフェスにおけるライブにも何本か足を運んだ。当時のNY Timesの記事をWebで検索してみて,私がBobby Watsonを見たのは”Be-Bop: 40 & Younger"だったことがわかる。40歳以下の中堅,若手ミュージシャンによるセッション・ライブであったのだが,そこにいたのがBobby Watsonである。

NY Timesの記事を紐解いてみると,出演予定者としてはIra Coleman, Billy Drummond, Jon Faddis, James Genus, Christopher Hollyday, Christian McBride, John Marshall, Mulgrew Miller, Lewis Nash, Billy Pierce, Wallace Roney, Renee Rosnes, Bobby Watson, James Williams, Kenny Washington,そしてRoy Hargroveとある。ここに書いてあるメンツが全部出たかについては記憶が定かではないが,その中で最も強烈な印象を残したのがBobby Watsonだったことは間違いない事実なのである。サーキュラー・ブリージングも使った強烈なソロ・フレーズでは,同じアルトのChristopher Hollydayを圧倒し,格の違いを見せつけた。もちろん,Bobby Watsonは早くからJazz Messengersにも参加していたから,キャリアとしても違うって感じだったが,それにしても強烈だったのである。

そんなBobby Watsonであるが,本人のアルバムには正直言ってあまり面白いものがなく,この人は,特にライブの場において,共演者として場をさらう感じがいいのではないかと思っている。本作もそんな感じだと言ってよい。

歯科医との二足の草鞋を履く永井隆雄が,新大久保SomedayにBobby Watsonを迎えたこのライブは,ブローイング・セッション的と言ってしまえばその通りであるが,まぁFeaturingとは言いながらも,実際の主役はBobby Watsonであったということになるだろう。MCもBobby Watsonがやってるしねぇ。いずれにしても,ここに聞かれるBobby Watsonの歌心溢れるソロを聞いていて,91年夏のことを思い出してしまう私である。通常バラッドで演奏される"In a Sentimental Mood"でこれだけ盛り上げてしまうのがBobby Watsonらしい。そして,"E.T.A."の強烈なことよ。いずれにしても楽しいことこの上ないアルバムである。甘いの承知で星★★★★☆。

Recorded Live at Someday on November 29, 1988

Personnel: 永井隆雄(p),Bobby Watson(as), 鈴木良雄(b),磯見博(ds)

2018年1月 9日 (火)

正月休みに読んだ「屍人荘の殺人」だが...。

Photo「屍人荘の殺人」 今村昌弘(東京創元社)

正月休みを使って読んだのが,「このミス」ほかで絶賛されているこの本。気楽に読める本と思って年末に買ったものだが,う~む...。

本格ミステリーとしては論理の組み立てに矛盾はないので,そうした点に注目しながら読んでみると面白いのかもしれないが,この設定はさすがに...って感じであった(ネタバレになるので,詳しく書けない)。ある意味,この設定はギミックそのものであり,次作は一体どうするのよ?と言いたくなるストーリーである。まぁ,そこそこ面白くは読ませてもらったが,この訳のわからない設定を用いなければ,業界ランキングで評価されないのだとすれば,それは実は不幸なことではないかと思わされた一冊。全面否定はしないが,さすがにこれは無理があった。星★★★で十分だろう。

この手のランキングに頼るよりも,自分の審美眼を信じて本は買った方がいいねという事例。特に私の場合は「このミス」とは相性悪いねぇ(苦笑)。

2018年1月 8日 (月)

私にとってはジョンスコ前史って感じのライブ盤

"Live '81" John Scofield / Steve Swallow / Adam Nussbaum(Enja)

Shinola私がジョンスコの音楽に惹かれたのはGrammavisionレーベルにおける"Electric Outlet"や"Still Warm"の頃だと思う。それはMiles Davisのバンドへの参加や,Marc Johnsonの"Bass Desires"への参加の時期とも重なるが,それ以降の活躍ぶりについては,皆さんはよくご存じの通りのところである。だが,ジョンスコは70年代半ばぐらいから活動が活発化しており,日野皓正のバンドの一員として日本に招聘されたこともあった。そもそもジョンスコの名前を初めて聞いたのは日野の「ヒップ・シーガル」か「メイ・ダンス」あたりではなかったか。そして,初リーダー作は日本のトリオ・レーベルから,日野皓正を迎えてリリースされており,その後の活躍ぶりを知る我々にとっても,なかなか感慨深い事実である。

Out_like_a_lightそうは言いながら,私にとってはやはりGrammavisionレーベル以降のジョンスコこそが彼の真骨頂を発揮していると思うが,EnjaやAristaでのアルバムもそこに至る道のりとして聞いてきた私である。本日取り上げるアルバムはEnjaから出たライブ盤"Shinola"と"Out Like a Light"を2 in 1にしたお徳用アルバムだが,こういう編集方針なら大歓迎である。メンツもSteve SwallowとAdam Nussbaumというのはなかなかに魅力的。私にとってはジョンスコ前史とでも言うべき時期の演奏であるが,久しぶりに聞いてみるとかなり面白かった。

本作を聞いてみて,ジョンスコらしい変態的フレージングは既に出来上がっていると思えるが,それよりも,この自由度の高いフォーマットでの演奏には現在のWayne Krantzと重なる部分を感じてしまったのは意外である。もちろん,Krantzの方が自由度は高いし,ロック的なフィーリングもはるかに強い。そして,私が現在ではジョンスコよりWayne Krantzの音楽を好んでいることは間違いないが,私がGrammavisionレーベル前,そして,私がもう少し若い頃にこうした音楽にリアルタイムで接していたら,現在私がKrantzに感じるような魅力やらシンパシーを,もっと早い段階でジョンスコにも感じていたのではないかと思わされてしまった。それは偏に自由な感覚という点に同質性をおぼえてしまったからである。特にそういう感覚が強いのは,演奏時間は短いが完全にロックな"Shinola"だろう。

それ以外はそんなに激しいという感じはしないのだが,ジョンスコのウネウネ感はこの段階でよく出ている。例えば,デニチェンとやっているようなファンクとも異なりながら,やっぱりジョンスコのギターだと感じさせるところが個性ってやつだよねぇ。Milesがジョンスコを雇ったのもそうした点を評価してのことと思う。お得感も込みで半星オマケで星★★★★。

Recorded Live in Munich on December 12, 13 & 14, 1981

Personnel: John Scofield(g), Steve Swallow(b), Adam Nussbaum(ds)

2018年1月 7日 (日)

遅ればせながらAlessandro Galatiの"Cold Sand"を聞く。

"Cold Sand" Alessandro Galati (Atelier Sawano)

_20180102_2ブログのお知り合いであり,ジャズ界のスズニカ伯爵夫人ことSuzuckさんが,昨年のインスト部門のナンバー・ワンに挙げられていたアルバムである。となれば聞いておかねばなるまいということで,Apple Musicをチェックしたがない!ってことは購入する以外に手がない(爆)。ってことで,遅ればせながら入手したものである。

私はAlessandro Galatiについては"On a Sunny Day"についても,ブログのお知り合いの皆さんの情報に基づき,後付けで聞いて非常に素晴らしいアルバムだと思っていた(記事はこちら)。だからと言って,リアルタイムで追っかけるほどの思い入れもないという適当なリスナーである。だが,この人のアルバムの持つ「抒情的で静謐で美しい音楽」としての特性は,こうして聞いてみるとやはり捨て難い魅力を持っている。ひとくちに「抒情的で静謐で美しい音楽」と言ってしまえば,Enrico Pieranunziだってそういう感じがする部分もあるが,同じイタリア人でも奏でられる音楽はEnrico Pieranunziとはかなり違うと言ってよい。Pieranunziはもう少しビートを明確にする部分もあると思うが,Galatiの作品はよりアブストラクトな中から美感を浮かび上がらせるって感じだろうか。

前々から思っていることを改めて書いてしまえば,この人の音楽は美しさだけを追求するのではなく,一種独特な毒があると思えるのだ。「綺麗な花には棘がある」ではないが,この単なる耽美的な響きには陥らないところに,今回もこの人の音楽の特性を感じてしまった。毒を感じさせた後に,とろけるようなメロディ・ラインを紡ぎだされたら,それが快感になってしまうという感じだろうか。

この「毒」と「蜜」のバランスに多分多くの人はやられてしまう。そういう中毒性を感じさせるのがAlessandro Galatiの音楽なのではないかと,訳のわからないことを考えている私である。いずれにしても,Galatiのピアノ・タッチは基本的に美的であり,甘美さは最後に収められた"Uptown"でピークに達する(そこにもちょっとした毒は感じるが...)が,この芸風にはやっぱりやられてしまうなぁと思ってしまった。それに"Here, There and Everywhere"の配置が絶妙過ぎて参ってしまった私。星★★★★☆。

Recorded on September 13 & 14, 2016

Personnel: Alessandro Galati(p), Gabriele Evangelista(b), Stefano Tamborrino(ds)

2018年1月 6日 (土)

今年最初のライブはSimon Phillips Protocolだったのだが...。

_20180106今年最初のライブとしてブルーノート東京で行われたSimon Phillips Protocolを観に行ってきた。

今回は年始ということもあり,まだ世の中は休みを継続している人も多いらしく,客席は7割程度の入りって感じだったのは意外であった。私は私で仕事始めの後の会社の新年会(1時間程度のものでガッツリの飲み会ではない)に参加してからの参戦となったのだが,これがよくなかった。

Protocol_at_blue_note正直言って,演奏後半の記憶が飛んでいる。新しいギタリスト,Greg Howeを迎えての彼ららしいタイトな演奏を聞いていたにもかかわらず,私は睡魔に襲われていたようだ。だいたいが飲み過ぎッて話があって,いつもは見とがめられることもないステージの隠し撮りをスタッフに見つかってしまったのは,座席からSimon Phillipsの表情がうかがえず,真剣にアングルを考えていたからに相違ない。それによって,緊張感も切れたって感じで,眠りに落ちたということだろう。

ということで,今回は真っ当な感想を書けないのは実に情けないし,公演終了後のサイン会でも正直呂律が回っていなかったのは恥ずかしい限りであるが,Greg HoweにはAndy Timmonsよりよかったぜぃなんて軽口を叩いているのだから,相当な酔っ払いである。しかし,彼らの演奏はいつもながらのタイトで強力な演奏だったことは間違いない。

次回のライブは飲み会の後というシチュエーションは回避して,ちゃんと聞くことにしよう。新年早々ゆえの失敗ということで。それでもきっちり戦利品はゲットしたが,キーボードのOtmaro Ruizはサイン会の時に,自分はアルバムには入っていないけどいいのかなんて実に謙虚なことを言っていたが,そんなことを気にする私ではない。ということで,今回もバンド4人分のサインを頂いた。写真もほとんど撮れなかったが,数少ないものの一枚をアップしておこう。

いずれにしても,山火事で自宅が焼失し,米国ツアーの一部をキャンセルしていたSimon Phillipsの姿を拝めただけでもよしとすることにしよう。年初から大いに反省してる私である(爆)。

Live at ブルーノート東京 on January 5, 2018

Persoonel: Simon Phillips(ds), Greg Howe(g), Otmaro Ruiz(key), Ernest Tibbs(b)

2018年1月 5日 (金)

Petruciani入りのCharles Lloydのライブ盤を聞く。

"A Night in Copenhagen" Charles Lloyd Quartet(Blue Note)

_20180102ECMレーベル時代のCharles Lloydのアルバムにはいいものもあったし,"Mirror"なんて非常に優れた作品だと思っている。しかし,それよりもBlue Noteに移籍してからのLloydはもっと凄いと思っているのは,きっと私だけではないと思う。おそらくはManfred Eicherにより多少自由度を抑制していたと思われるCharles Lloydが,Blue Noteに移籍して弾けたって感じではないかとも思える。あるいは全く年齢を感じさせない恐るべき創造力を発揮しているだけって話もあるが...。

そんなChales LloydがECMに移る前に,Blue Noteからリリースしたアルバムが,1983年にレコーディングされた本作である。本作はMichel PetrucianiとCharles Lloydの共演を収めた数少ない音源の一つである。正直言って私はMichel Petrcianiに対する思い入れが強い方ではないので,彼らが共演した"Montreux '82"がリリースされた時も,その後においてもほとんど関心を抱いたことはないし,そもそもCharles Lloydが半引退状態から,Petrucianiとの出会いを経て復帰したからと言っても,「へぇ~」ぐらいにしか思っていなかったのも事実である。だから,LloydとPetrucianiの共演盤というのはこれまで真っ当に聞いたこともほとんどない(あるいは全くない)というのが実態なのである。

だが,突然のようにこのアルバムが聞いてみたくなり,ネットで中古をゲットしたものである。本作も長年入手が難しい状態となっていたものが日本において2013年に再発されているが,現在ではまたカタログからは消えている状態のようである。だが,Michel Petrucianiというミュージシャンをある意味世に出したという観点で,彼らの共演作を手に入りやすい状態にしておいた方がいいように感じさせるに十分なアルバムだと思う。

ここでのCharles Lloydには正直言って,後年のような深みはまだ感じられないが,Michel Petrucianiとの相性は非常に良かったと思わせる。もちろん,Charles Lloydの演奏は相応に楽しめるものではあるが,それよりもMichel Petrucianiのピアノに耳が行ってしまうのがリスナーの勝手なところである。そして,ここに聞かれるPetrucianiのフレージングは確かに魅力的なのだ。Charles Lloydに復帰を促すだけのことはあったというのが実感。

そして本CDには2曲のボーナス・トラックが加わっているが,これによってオリジナルのLPフォーマットよりダイナミズムが増したように思えるので,この追加トラックは成功と言ってよい。また,Bobby McFerrinが2曲でゲストとして加わっているが,それが単なるゲストという位置づけを越えた魅力的歌唱を聞かせることも非常に素晴らしい。インプロヴァイザーとしてのMcFerrinというのは結構凄いんだねぇというのも改めて感じさせてもらえた。星★★★★。

Recorded Live at Copenhagen JazzFestival on July 11, 1983

Personnel: Charles Lloyd(ts, fl, chinese oboe), Michel Petruciani(p), Palle Danielsson(b), Son Ship Theus(ds), Bobby McFerrin(vo)

2018年1月 4日 (木)

社会復帰に向けての音楽はLee Morgan(笑)。

"Here's Lee Morgan" Lee Morgan (Vee Jay→Koch)

Lee_morgan正月休みも終盤なので,そろそろ社会復帰に向けて,和みの音楽からよりヴィヴィッドな音楽も聞かねばということで,選んだのが本作である。私が保有しているのは別テイクを丸ごと1枚のCDに収めた2枚組の再発盤であるが,こういう編集方針はいいよねぇと思わせる。別テイクは理由があって別テイクになっているのであって,オリジナル・テイクはオリジナルのフォーマット,並びでちゃんと聞きたいと思うからである。

Lee Morganと言えば「私が殺したリー・モーガン」という映画が上映されているが,Lee Morganが内縁の妻,Helen Morganにより撃たれて亡くなったが1972年。まだ33歳だったわけだが,逆に言えば50年代後半から活動をしていたLee Morganの早熟ぶりを示しているように思える。

Lee MorganはほぼBlue Note専属みたいなキャリアだったが,1960年だけこのアルバムを含むVee Jayへのリーダー作を吹き込んでいるのはどういう理由なのかよくはわからないが,メンツからしてもほとんどBlue Noteじゃんって感じで,よき時代のハードバップが楽しめる。後々になって,1964年の"The Sidewinder"がヒットしたことで,ロック・ビートを取り入れた演奏が増えるLee Morganであるが,まだこの頃は正調ハードバップって感じである。こういう軽快かつノリもよく聞けるハードバップというのは,仕事はじめに向けては丁度いいって感じである。

そうした中で,ミュートで吹かれる"I'm a Fool to Want You"のバラッド表現が素晴らしく,20代前半でこういう演奏をしてしまうってのが凄いセンスだと思う。安易に天才という言葉は使いたくないが,まさに天賦の才能と言わざるをえない表現力と言えると思う。

ということで,仕事への臨戦態勢はまだ整っていない(笑)が,助走期間に聞くには適した音楽であった。星★★★★。

Recorded on February 8, 1960

Personnle: Lee Morgan(tp, fl-h), Clifford Jordan(ts), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Art Blakey(ds)

2018年1月 3日 (水)

EBTGでくつろぐ。

"Worldwide" Everything but the Girl (Atlantic)

_20171230_2新年はくつろげる音楽を聞いて過ごしたいということで,今日選んだのはEverything but the Girlである。この"Worldwide"というアルバム,彼らのキャリアの中ではあまり目立たない一枚と言ってもよいかもしれないが,しみじみと聞かせるという点では,結構いいアルバムである。

比較的シンプルで抑制された伴奏の中で,Tracey ThornとBen Wattによって歌われる歌は,心に落ち着きをもたらしてくれるものである。中では"Twin Cities"のポップ度が群を抜いていていて,アルバムの中では若干浮いているような気もするが,これが実にいい曲なので許す(きっぱり)。

私はこの後に出た"Acoustic"というアルバムがかなり好き(記事はこちら)なので,それに比べるとプレイバック回数は少ないのだが,久しぶりに聞いてこの落ち着きに満ちた音楽はまさに「大人の音楽」だと思わせるに十分であった。それにしても本当にいい曲を書く人たちであるが,それを彼らの「声」で聞けることに,改めて幸福感をおぼえてしまった。

このアルバムが出て,もはや四半世紀を過ぎているが,その瑞々しさは不変であった。星★★★★。

Personnel: Tracey Thorn(vo), Ben Watt(vo, g, p, key, synth, prog), Greg Lester(g), Damon "The Doctor" Butcher(p), Peter Murray(org), Geoff Gescoyne(b), Steve Pearce(b), Ralph Salmins(ds, perc), Vinnie Colaiuta(ds), Martin Ditcham(perc), Dick Oatts(as, ss), Peter Whyman(ts), James McMillan(tp, fl-h)

2018年1月 2日 (火)

NGDB:新年は和みのカントリー・ロックから。

"Uncle Charlie & His Dog Teddy" Nitty Gritty Dirt Band(Liberty)

_20171230新年早々ハイブラウな音楽は聞いてられないってことで,選んできたのがこのアルバム。本作そのものはやはり"Mr. Bojangles"ってことになってしまうだろうが,それ以外にも聞きどころがあって,何年経っても懐かしいって感じがする。

音楽としてはカントリー・ロックと言ってもよいものと思うが,Eaglesの初期のそれとも異なって,Nitty Gritty Dirt Bandの方がカントリー色がより濃厚である。このカントリー的な響きが強いアルバムをロックにカテゴライズするのはどうかなぁと思うが,それ以外のチョイスがないのだから仕方がない(苦笑)。まぁ,"Rave on"みたいなロックンロール的な曲もあるからまぁいいか。

私は正直言って,カントリー系の音楽はSSWの系統で聞くことはあっても,好んで聞くわけではない。だが,このアルバムが持つ朴訥とした雰囲気は捨て難く,そんなしょっちゅう聞かないにもかかわらず,一軍の棚に収まり続けているのである。それはやはり"Mr. Bojangles"が聞きたくなることがあるからだということもあるが,作曲者であるJerry Jeff Walkerのバージョンと甲乙つけがたい。そして,アルバム中に挿入されるUncle Charlieの歌い声や喋りがアクセントになっていて,渋さを増殖させているのだ。

そして,"Mr. Bojangles"であるが,私にとってはこの歌ってのはNilssonがカヴァーしたFred Neilの"Everybody's Talkin'"同様に,いつまでも心に残ってしまう歌と言ってもよい。どちらもカヴァーだというのは偶然の産物であるが,60年代後半から70年頃の時代感っていうのを今更ながら感じさせる。まぁ,その頃は私はまだ小学生なので,そんなにこういう音楽に強い関心を持っていた訳ではない(そもそも小学生がこんな音楽を好んで聞いていたらおかしいやろ!)が,小学校の高学年になる72~73年頃は,AMラジオの深夜放送から聞こえてくるこういう曲にも結構反応していたと思う。そうした反応は多分Nilssonの音楽の方が強かったはずだが,久しぶりに聞いてみてやっぱり同質的な感覚を持ってしまった。

今から半世紀近く前の音楽に改めて触れて,どのぐらいから私の「同時代」は始まったのかと思ってしまうが,こういう懐古的な気分になるのが,私も年を取った証拠だな(爆)。それでもやはり何とも懐かしい思いをしながら聞いていた私である。星★★★★。

Personnel: Les Thompson(b, mandolin, g, vo), Jimmie Fadden(g, b, hca, vo), Jeff Hanna(g, washboard, vo), Jim Ibbotson(g, el-p, ds, perc, accor, vo), John McEuen(banjo, mandolin, g, accor) with guests

2018年1月 1日 (月)

あけましておめでとうございます。

Newyearsevenycfireworks

皆さん,あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

このブログも12年目に突入ということで,よく続いているものだと我ながら感心しつつも,記事のアップができないことも多くなってきたのは事実です。以前は毎日記事をアップしていたことを考えると,ブログの運営方法にも変化が生じるのは,生活パターンの変化,加齢,その他の要因が混在していると思います。しかし,今後はある意味ボケ防止も含めて続けていくのだろうなぁなんて思いつつ,音楽の聞き方も大きく変わりつつある今日この頃。

CDを購入しなくてもストリーミングでかなりの音楽が聴けるようになり,そもそもの媒体の「保有意欲」は確実に減退している中,「ストリーミングで試聴→気に入れば購入」というのが基本的なスタンスになっていくだろうと思います。記事についても,今後はストリーミングで聞くだけで書くことも増えるのではないかと思いますが,これも時代の流れでしょう。

ということで,今年も駄文を垂れ流してまいりますが,引き続きご愛顧のほどを。

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