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カテゴリー「ジャズ(2017年の記事)」の記事

2017年6月14日 (水)

ある意味,これがVanguardでのライブというのが信じがたい"Small Town"

"Small Town" Bill Frisell & Thomas Morgan(ECM)

Small_town今年になってから,私はBill FrisellはCharles Lloydとのライブで,そしてThomas MorganはJokob Broとのライブで,その生演奏に接している。ビルフリについては長年の経験則からして,だいたいどういう音だろうというのは想像がつくし,Thomas Morganのあの超内省的な感じ(本当に内気な青年って感じなのである)からすれば,インティメートな音場になることはわかっていた。

しかし,本作が録音されたのは,モダン・ジャズの聖地と言ってよい,あのVillage Vanguardである。あまりこうした演奏には接するチャンスがある場所だとは思えないのだが,そういう場所でこういう演奏が行われたということがまず驚きである。

だが,このアルバムを聞いていると,彼らの演奏にはマジカルな部分があって,聴衆を誘因する特殊なケミストリーを発生させているようにさえ思える。ギターとベースというデュオというセッティングにおいて,非常に特異な個性に満ちた演奏と言うことができるアルバムだと思える。だって,Jim Hall~Red MitchellやJim Hall~Ron Carterとは違うし,Charlie Haden~Christian Escoudeとも違う。ではBebo Ferra~Paulino Dalla Portaとはどうかというと,内省的な響きは類似していても,やっぱり違うのである。彼らにしか出せない音。まさにそんな感じだろう。"Subconscious Lee"なんて,まさにツボに入る演奏である。

ビルフリの音は想定通りであるが,ここでのThomas Morganのベースの音がなんと魅力的に録音されていることよ。レコーディング・エンジニアの記載がないが,これをミキシングだけでこの音に仕上げたとすれば,それはそれで凄いことである。

前半はJakob Broにも通じる幽玄な世界が展開されるが,中盤から後半にはやや最近のビルフリに感じられるアメリカーナな感覚もあり,全体としてはバランスの取れたアルバムと言ってよいだろう。だって,やっているのがCarter FamilyやらFats DominoではいくらビルフリとThomas Morganでも多少はそうなるわねぇ(苦笑)。そして最後はなんと"Goldfinger"である。Shirley Basseyのオリジナルとは全く違う世界が展開する。万人には勧めにくいが,この世界,はまるとなかなか抜けられない。そういう世界である。星★★★★☆。

Jakob_bro_i_mosaicいかにThomas Morganが内気っぽいかを見て頂くため,Jakob Broとのライブ時の写真を再掲しておこう。いつも通り,私の顔はモザイク付きである。

Recorded Live at the Village Vanguard in March 2016

Personnel: Bill Frisell(g), Thomas Morgan(b)

2017年6月12日 (月)

メンバー・チェンジ後のOregonの新作が渋くも素晴らしい。

"Lantern" Oregon(CamJazz)

_20170611Oregon久々の新作がリリースされた。前作は"Family Tree"のはずだから,約4年半ぶりってことになるので,結構久しぶりである。その間には,バンドの創設メンバーであるGlen Mooreが脱退するという出来事があったが,今回のアルバムにおいては,Glen Mooreが去ったことの影響はどうかということに関心が向かざるを得ない。しかし,Glen Mooreに代わって加入したのはPaolino Dalla Portaである。Paolino Dalla Portaと言えば,Paolo Fresu Devel Quartetの演奏でも知られるが,私としては,ギターのBebo Ferraとの素晴らしいデュオ・アルバムがあったので,多分大丈夫だろうとは思っていたが,私が想像するよりずっとよいアルバムに仕上がっていると思う。

前作"Family Tree"についてはやや辛めの評価をした私である(記事はこちら)が,今回のアルバムは私が期待する彼ららしい音が出てくるのがまず嬉しい。Ralph Townerのオリジナルおw中心とした曲から構成されているが,2曲目には先日このブログでも取り上げたJavier Girottoのアルバムでも演奏していた"Duende"が収録されているが,GirottoのアルバムでもTownerはいいところを聞かせていた(記事はこちら)ものの,演奏の出来ははるかにこちらの方がいいように思える。

3曲目はMark Walkerによる"Walk the Walk"であるが,ちょっと聞いた感じではPat Metheny Unity Groupのようにも聞こえるのは面白いが,そこでも聞かれるRalph Townerのピアノの見事さには触れておかねばなるまい。ソロにしても,バッキングにしても,実に大したものであり,うまいねぇと思わせる。ギターが素晴らしいのはもちろんだが,ピアノも一流なのはEgberto Gismonti同様である。

そして,注目のPaolino Dalla Portaであるが,実にいい音を出していて,それがOregonというバンドのサウンドにジャスト・フィットと言っていいだろう。Glen Mooreの脱退の影響はほとんどないと言ってもよい。これならば,今後のバンド活動も安心である。

全体を通して聞けば,コレクティブ・インプロヴィゼーションのようなタイトル・トラック"Lantern"はどうなのよ?って気がしないでもないが,徐々に盛り上がりを示して,そんなに悪くもないかと思わせるし,更には最後をトラッドの"The Water Is Wide"で締めるってのは,演奏はちょいと緩いものの,決まり過ぎでしょう(笑)。いずれにしても,長年のOregonのファンが聞いてもおそらくは納得のいく,渋くも素晴らしい新作である。星★★★★☆。

Recorded on November 28-30, 2016

Personnel: Paul McCandress(oboe, english horn, ss, b-cl), Ralph Towner(g, p, synth), Paolino Dalla Porta(b), Mark Walker(ds, perc, ds-synth)

2017年6月 7日 (水)

ピアニスト,Egberto Gismontiのもの凄さ。

"Alma" Egberto Gismonti(Carmo)

_20170606ECM系列のCarmoレーベルからリリースされた作品だが,もともとはEMIから出ていたCDにボーナス・トラックを追加したものらしい。但し,オリジナルにあった"Infancia"という曲が省かれているようである。

Gismontiと言えば,まずはギターのイメージが強いが,ピアノもうまいことはわかっている。しかし,本作は1枚をピアノで通しており,そしてその手腕は見事としか言いようがない。はっきり言ってしまえば,普通のピアニストでは勝てないレベルである。全編を通して,開いた口がふさがらないぐらいうまい。強靭なタッチ,優れたインプロヴィゼーション能力はある意味Keith Jarrett級と言ってもよい。マルチなタレントを持つミュージシャンは何をやらせても上手いということはわかっているし,去年のライブでもピアノから繰り出されるメロディに圧倒された私だったが,久々にこのアルバムを聞いて,やっぱりすげぇやって思ってしまった。そんな月並みな表現しか出てこないほど圧倒的なピアノである。改めての驚きも含めて星★★★★★。

Recorded in 1987 & 1993

Personnel: Egberto Gismonti (p)

2017年5月31日 (水)

全くノーマークだったRalph Towner参加のJavier Girotto盤。

"Duende" Javier Girotto Aires Tango with Ralph Towner(CAM Jazz)

_20170528_5私はRalph Townerのかなりのファンである。さすがに多作のOregonまで全部フォローはしていないが,ECMにおけるTowner名義のアルバムは全部保有しているし,Townerが参加しているアルバムもECMだけでなく,できるだけチェックするようにしている。

とは言え,全然知らないアルバムもあるわけで,これは昨年リリースされたものらしいが,存在をRalph TownerのFacebookファン・ページで知って発注したもの。リーダーのJavier Girottoのことは知らないので,ギャンブル的なところはあったが,まぁいいやってことで。本作は全12曲が収められているが,奇数曲がTownerのオリジナルで,Ralph Townerは自作にのみ参加である。

Javier Girottoはアルゼンチン生まれながら,現在は欧州を拠点とするサックス奏者で,このAires Tnagoは結成して20年以上になるらしいが,バンド名称からも想像できる通り,タンゴ的な色彩を感じさせるメロディ・ラインを持っている。しかし,私の中では単語と言えば,どうしてもAstor Piazzollaが基本になってしまうので,哀愁を帯びたメロディだけでは納得がいかない。そういう意味で,Javier Girottoのオリジナルは,私にはテンション,パッションが足りない部分があるのは事実である。そういうこともあって,私の関心はどうしてもRalph Towner参加曲に向いてしまうのは仕方がないことである。

どうせなら,Ralph Towner全面参加として欲しかったところだが,贅沢は言わないとしても,やはり曲としての魅力からしても,Ralph Townerに依存するところ大のアルバムと言ってよい。冒頭のTowner作のタイトル・トラックの最初を聞いただけで,おぉっ,と思ったのは早とちりであったが,Ralph Townerのファンであれば,聞いておいて損はない。どういう縁があっての共演だったかはわからないが,Oregon的室内楽的アプローチを想像しておいてもらえば,印象が大きくはずれることはないが,Oregonとはイメージは結構違う。しかし,Oregonの新譜のリリースを控える中,それに向けての準備運動と考えることにしよう。奇数曲星★★★★,偶数曲星★★☆で甘めの星★★★☆ってことにしておく。

Recorded on September 21, 22 and 23, 2016

Personnel: Javier Girotto(ss), Alessandro Gwis(p, sampler, electronics), Marco Siniscalco(el-b), Michele Rabbia(ds, perc)

2017年5月30日 (火)

中古でゲットしたGary Peacock盤から,まずは"December Poems"。

"December Poems" Gary Peacock(ECM)

_20170528_6昨日のDavid Tornに続いて,これも中古でゲットしたもの。そもそもECMにはGary Peacockのアルバムがあるにもかかわらず,一部の作品は廃盤化してしまい,結構入手が難しくなっていた。しかし,今回の新宿DUにおけるECM中古盤特集では,基本的に押さえたいと思っていたPeacockのアルバムが全部手に入ってしまった。逆に言うと,なんでGary Peacockのアルバムの入手が難しくなってしまったのか不思議でならないのだが,この作品も,Gary Peacockの多重録音含めたソロ演奏が中心なので,もちろん売れる作品でないことはわかる。しかし,聞いてみると,これがよいのである。

本作には2曲でJan Garbarekが参加しているものの,そのほかの4曲はPeacockだけによるものとなると,やはりフォーマットとしてはチャレンジングである。私も,やはり身構えてしまうのは当然で,だからこそこれまで購入してこなかったという話もある。しかし,思い込みはいかん。Gary Peacockのベースの音は極めて魅力的に録られており,小音量で聞いても,そのクォリティの高さは明らかなのである。

曲名からしても,「冬」を意識したアルバムを,初夏の今頃聞いている私も考えものだが,これから暑くなっていく時期に,涼やかさを求めるのにも使えるのではないかとさえ思ってしまう。だが,クール一辺倒というわけでもなく,リズミックなパターンや,Garbarekとのデュオにおいては2者が絡み合い,渡り合う感覚も生み出しているので,季節にとらわれる必要はない。こうして聞いてみると,ECM好きならば,どんな時に聞いても抵抗感なく受け入れてしまうような作品と言えよう。

それにしても,Gary Peacockのベースの音の素晴らしいことよ。それだけでも聞く価値はあると言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in December 1977

Personnel: Gary Peacock(b), Jan Garbarek(ss, ts)

 

2017年5月29日 (月)

今度は中古でゲットしたECM盤ということで,まずはDavid Torn。

"Best Laid Plans" David Torn(ECM)

Best_laid_plansこのブログにアップする記事のかなりの比率をECMレーベルの作品が占めているのは,読者の皆さんならご承知のことと思うが,そうは言っても,私も保有しているECMの作品は多分半分もいかないぐらいではないかと思う(正確に数えたことはない)。だから,後付けで買おうと思っていても,いつの間にやら廃盤になってしまっているアルバムも結構ある。今回仕入れた本作とか,これと一緒に買ったGary Peacockのアルバム(それらは追ってアップしたい)などはなかなかお目にかからない。

今回,新宿のDUでECM中古盤特集の告知があって,気になっていたのだが,全然行く暇がなかった。そこには確かにこのアルバムの写真が掲載されていたから,おぉっと思ってはいても,行けないのでは仕方がない。もう売れていても仕方ないなぁという気持ちで行ったら,まだあった(笑)。やはりECMは特定の筋のリスナー向けなのかなぁなんて思ってしまったが,まぁ,買えたからよしとしよう。ちょっと値段は高かったが...。でも目玉が飛び出るほどではない。

そもそもDavidはECMレーベルっぽくない人である。ECMの"Cloud About Mercury"は異色中の異色と言ってもよいメンツによるものだし(記事はこちら),その後のアルバムもかなりハードルが高い。それでも本作については,これまたECMらしくないジャケからもずっと気になっていたのである。そして,パーカッションとのデュオってのも気になる。

結論から言えば,私が聞いたECMのDavid Tornの作品ではこれが一番好きかもしれないってところである。ロック的なタッチを交えつつ,ハイブラウな雰囲気を醸し出すところは,これがDavid Tornの本質だろうと思ってしまう。正直言ってしまえば,David Tornについては,ECM以外でリリースされた"Polytown"(記事はこちら)や"Levin Torn White"(記事はこちら)の方が好きなのだが,ここでの音はどちらかと言うとそっち系の音だと思えることが大きな要素である。ということで,これは間違いなく買って正解というところである。星★★★★。

Recorded in July, 1984

Personnel: David Torn(g), Geoffrey Gordon(perc)

2017年5月28日 (日)

これも中古でゲットしたChico FreemanのIndia Navigation盤。

"Chico" Chico Freeman(India Navigation)

_20170527_2今にして思えば,India Navigationというレーベルは,現在だからこそ見直すべきレーベルのように考えられる。70年代後半の空気感を切り取りながら,今聞いても結構尖がりつつも,魅力的なサウンドとなっているのは立派だと思える。なので,私は中古でこのレーベルを見つければ買うというのが原則であり,Hamiet Bluiett然り,Arthur Blythe然りであるが,今回はChico Freemanである。ジャケがサイケだねぇ(笑)。

Chico FreemanのIndia Navigation盤については"The Outside Within"と"Spirit Sensitive"を保有しているが,どちらも素晴らしい出来だっただけに,このアルバムを中古盤屋で見つけた時はうれしくなってしまった。なぜかバックイン・レイ側に黄ばみがあるものの,そんなことはまぁ気にしていられない(笑)。ということで,中古CDとしてはちょいと高かったのだが,ゲットした私である。

本作がIndia Navigationレーベルでは第1作となるはずのChico Freemanであるが,それにしては制作方針がチャレンジングである。1曲を除いて,Chico FreemanとCecil McBeeとのデュオ,そしてラストの1曲はクインテットによるライブ音源なのだ。これはかなり野心的な作りだと言ってよいが,それでもChico Freemanの魅力は十分に捉えられていると言ってよいと思う。決してフリーではないが,だからと言ってコンベンショナルでもないという線で,絶妙なバランスを保ちつつ,やはりどちらかと言えば先鋭的なサウンドになっていると言ってよい。それが非常に刺激的に響くのである。

そうは言っても,"The Outside Within"や"Spirit Sensitive"と比べるとどうなのよと言われると,それらには及ばないかなぁって気もするが,それでも十分魅力的なChico Freemanの演奏を聞くことができるし,Cecil McBeeの音がまたいいねぇ。ということで,ちょっと甘めの星★★★★☆。

Personnel: Chico Freeman(ts, b-cl, fl), Cecil McBee(b), Muhal Richard Abrams(p), Steve McCall(ds), Tito Sampa(perc)

2017年5月27日 (土)

全然知らなかったTom Costerのハード・フュージョン盤を中古でゲット。

"Let's Set the Record Straight" Tom Coster(JVC)

_20170527私はこのブログで,Tom Costerの"The Forbidden Zone"を長年聞いているという記事をアップしたことがある(記事はこちら)。リーダーに加えて,Bob Berg,Scott Hendersonというメンツは,この手の音楽が好きな私にとっての好物と言ってよいが,それに先立つこのアルバムも同系統のメンツで吹き込まれていたことは全然知らなかった。それを先日,中古盤屋をうろついていて,見つけてきてゲットしたものである。だって,Bob Berg,デニチェン,Frank Gambale,それにAlphonso Johnson等が参加しているのだから,これはほぼ間違いない(笑)。

聞いてみれば,完全に"The Forbidden Zone"とほぼ同じ路線である。逆に言えば,パターン化しているが,これがTom Costerの個性だと思えば,そんなに気にならないし,こういう音はいいねぇと思ってしまう私も単細胞である。

まぁ,Tom Costerのアルバムはいつもそうなのだが,ラテン・フレイヴァーを入れることで緩んでしまう瞬間があるのがちょっと惜しいのだが,そこは元Santanaである。それもしゃあない(爆)。

いずれにしても,こっちがTom Costerに期待する音は本作でも十分楽しめるし,"The Forbidden Zone"や"From the Street"同様のハード・フュージョン的高揚感は味わえる。星★★★★。尚,最後の1曲にVital Informationのバンド・メイト,Steve Smithが参加している。

Personnel: Tom Coster(key), Bob Berg(sax), Frank Gambale(g), Alphonso Johnson(b), Dennis Chambers(ds), Raul Rekow(perc, vo), Karl Perazzo(perc, vo), Steve Smith(ds), Tom Coster, Jr.(key, synth)

2017年5月26日 (金)

Stanley Clarke@Blue Note東京,Pat Martino@Cotton Club連続参戦記

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今年はライブに行っている本数がかなり多いが,2日連続ってのは,海外出張中を除けば,一昨年のWayne KrantzとMehliana以来のことだろう。今回はStanley ClarkeとPat Martinoという全く毛色の違うライブの連荘となった。

まずはStanley Clarkeであるが,当初から予想できたこととは言え,ベースがリーダーだとこうなるよなぁって感じの演奏だったと言ってもよい。Stanley Clarkeだったらもう少し集客がよさそうなもんだと思えたのだが,7割程度の入りってところか。私は半額未満のクーポンを使っているというのにである。そんなものなのかなぁと思ったが,演奏を聞いていても,エンタテインメントとして十分かというと,やはりバンドのメンバーにもう少し華があってもいいってところだろう。特にドラムスのMichael Mitchellは若さゆえってところもあるかもしれないが,明らかに叩き過ぎである。加えて2キーボードであるが,ソロイストとしてのメインはRuslan Sirotaの方かもしれないが,私はCaleb McCampbellのグルーブの方が気持ちよかったと思う。

それにStanley Clarke本人も,エレクトリックよりも,アコースティックの方がずっといいではないかと思わせるのが,これまた意外であった。少なくとも,私が心地よさを感じたのは,アコースティック・ベースの方である。まぁ,Stanley ClarkeのAlembicのベースの音がしつこく感じる(あるいは飽きる)からだとも言えるが,これは本当に意外としか言いようがない。いずれにしても,Stanley Clarkeはもう少し強力なソロイストがいないと,バンドとしては今一つ感があるというのは仕方がないところか。

ちなみに上の写真は,客席からスマホで隠し撮りしたものに編集を加えたものだが,我ながらなかなかいけている(爆)。

Pat_martino_at_cotton_clubそしてその翌日に行ったのがPat Martinoである。私は2009年のNYC出張中にPat Martinoのライブを,現地のBirdlandで見ている(その時の記事はこちら)が,それ以来のMartinoのライブである。今回はギター,オルガン,ドラムスのトリオであるが,ネットで見てみると,このメンツでの活動は相当長いようである。

今回は2日間限りということもあるのかもしれないが,非常に集客もよく,ほぼフルハウスの中演奏が始まった。Pat Martinoは相変わらずで,見た目は学者か,哲学者かって感じだが,その風貌から,あのフレージングが出てくるのだから,ギャップが激しい。若干"Footprints"で緩んだかなぁって気もするが,全編を通してMartino節全開と言ってもよかった。そして何よりも笑ってしまったのが,オルガンのPat Bianchiがソロを取っていようがなんだろうが,ギターのボリュームを下げることなく,コードで煽るのである。これこそ,ギタリスト・リーダーの鑑である(笑)。完全にリーダーはわしじゃ!モードであった。Pat Bianchiは,やや弾き過ぎ感もあるが,それなりに受けていた。むしろ私はドラムスのCarmen Intorreに感心していた。ステディなのだが,無駄はないし,ソロもなかなか行ける。これは結構いいドラマーだと思っていた私である。

そうは言っても,やっぱりこのバンドはPat Martinoである。今年で73歳になるので,今後何度来日できるかはわからないが,まだまだ現役で行けるって感じである。今回はサイン会もなかったが,チャンスがあれば,是非本人と話してみたいと思っている。なので,またの来日を期待したいところである。

この2日間のライブを振り返れば,間違いなくPat Martinoの圧勝であったと言っておこう。

Live at Blue Note東京 on May 24, 2017

Personnel: Stanley Clarke(b), Ruslan Sirota(p, key),Caleb McCampbell(key), Michael Mitchell(ds)

Live at Cotton Club on May 25, 2017

Personnel: Pat Martino(g), Pat Bianchi(org), Carmen Intorre(ds)

2017年5月25日 (木)

Jaco全盛期の輝きを捉えた未発表音源。

"Truth, Liberty & Soul" Jaco Pastorius (Resonance)

Jaco貴重な未発表音源を次から次へとリリースするResonanceレーベルから出たアルバムには,注目に値するものが多いが,これまた強烈な音源があったものである。

これは米国の公共放送,NPRで放送された音源のソースを完全公開したものであるが,これまでブートなどで聞かれた演奏は一部の音源がオミットされた不完全版だったらしいが,これはその完全版ということで,長時間に渡って,Jaco Pastoriusの凄みを感じさせる演奏を聞ける貴重音源となっている。そもそも,これはKool Jazz Festival,場所はAvery Fisher Hallという,ジャズ・ミュージシャンにとっての晴れ舞台のような機会である。Jacoとしても燃えるのは当然だが,それにしてもこれは素晴らし音源である。

正直言って,私は1984年にGil Evans OrchestraのゲストとしてLive under the Skyに出演したJacoを見て,完全に狂っていると思った(その音源に関する記事はこちら)が,この演奏はその2年前ぐらいのものであり,たった2年で人間はこんなにも変わってしまうのかと思わざるをえないし,何がJacoに起こったのかと改めて思っていしまう。私のように,Jaco Pastoriusというミュージシャンに特別の思い入れのない人間でも,天才を発揮した時のJacoの凄さはちゃんと感じられるつもりである。

例えば,本作の冒頭の"Invitation"のバックで弾けるJacoの演奏を聞いていれば,それだけで燃えるというのが普通の反応だろう。そして,ここに参加した強烈なメンツ(ホーン・セクションだけでも凄い名前が揃っている)による圧倒的なグルーブを聞かされてしまっては,84年の狂ったJacoのことは忘れることができるってものである。これは黙って聞いて,天才としてのJacoの演奏を認識すればいいということだろう。Disc 2の前半こそやや中だるみ感があるものの,この圧倒的な演奏には星★★★★★しかあるまい。よくぞ発掘してくれたというのが正直な思いである。

繰り返すが,私はJacoに対して特別な思い入れはない。しかし,そんな私でも,これは万人に勧めたくなるようなアルバムである。同じ年に日本で録音された"Twins I&II"に匹敵する名ライブであり,結局はこの年がJacoのピーク,あるいは最後に輝いた年だった。

Recorded Live at Avery Fisher Hall on June 27, 1982

Personnel: Jaco Pastorius(b, vo), Bob Mintzer(ts, ss, b-cl), Randy Brecker(tp), Othello Molineaux(steel ds), Don Alias(perc), Peter Erskine(ds), Toots Thielemans(hca), Bob Stein(as), Lou Marini(ts), Frank Wess(ts), Howard Johnson(bs), Randy Emerick(bs), Alan Rubin(tp), Leew Soloff(tp), Jon Faddis(tp), Ron Tooley(tp), Kenny Faulk(tp), David Taylor(tb), Jim Pugh(tb), Wayne Andre(tb), John Clark(fr-h), Peter Gordon(fr-h), David Burgeron(tuba)

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