最近のトラックバック

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

カテゴリー「ジャズ(2017年の記事)」の記事

2017年3月27日 (月)

実家から持ち帰ったJeff Kashiwaの初リーダー作

"Remember Catalina" Jeff Kashiwa(Fahrenheit)

_20170325先日,お彼岸で実家に帰った際に何枚か持ち帰ったCDの1枚である。Jeff Kashiwaと言えば,Rippingtonsでの活動が知られるところだと思うが,そんな彼の初リーダー作がこれのはずである。

本作がリリースされた頃は,私は某金融機関へ出向の身で,日頃,かなりのストレスを抱えながら仕事をしていたのだが,そういう私の心情が,こういうCDに目を向けさせたのではないかと思う。音楽としては典型的なスムーズ・ジャズである。スムーズ・ジャズという言葉ももはや死語と化したが,言い方を変えれば,ライト・フュージョンである。こうした音楽のいいところは,何も考えずに気楽に聞けることであり,ストレスフルな生活を送っている中,音楽もシリアスなものなど聞いてられないと思っていたのではないか。

世にあるスムーズ・ジャズも当然のことながら,いいものもあれば,そうでないものもある。正直言って全く聞くに値しないようなものもあるが,本作を久しぶりに聞いてみると,結構悪くないと思ってしまった。スムーズ・ジャズはソフトでメロウ(笑)な路線に走る場合がかなりの確率であるわけだが,このアルバムは比較的ビートが効いていて,どちらかと言うとドライビング・ミュージックとして使えるなぁって感じである。あくまでも気楽に聞き流せるってことで,フィットするタイミングで使えばいいということだ。ほぼメンツを固定して制作したのもうまくいった要因かもしれない。

まぁ,そうは言っても,ずっと実家に置いたままにしておいてもいいようなレベルのものではあるが,たまにはこういうのもいいねってことで。星★★★☆。

Personnel: Jeff Kashiwa(as, ss, a-fl, prog), Dave Kochanski(key, prog), Mark Stephens(key), David Benoit(p), Dave Samuels(vib, marimba), Allen Hinds(g), Tom Bevan(g), Melvin Davis(b), Steve Bailey(b), Dave Hooper(ds), Eddie Drayton(perc), Gary Gardner(perc), Tommy Hooper(ds loop), Wendell Kelly(tb), Matt Fronke(tp), Kye Palmer(tp)

2017年3月24日 (金)

Enzo Favata@イタリア文化会館に行ってきた

Enzo_favata東京の九段にあるイタリア文化会館は,たまにイタリア人ミュージシャンのライブが無料で見られる。それも結構真っ当な人たちが出演するので,ライブの告知はチェックするに値するヴェニューである。私は以前,Dado MoroniとMax Ionataのデュオをここで見たことがあるが,今回は全く知らないミュージシャンであったが,無料ということもあり,ネットで申し込みの上,行ってみた。

Enzo Favataという名前は,初めて聞いたが,イタリア文化会館の告知によると,「サルデーニャ島出身。1983年ジャズミュージシャンとしての活動を開始。1988年にカルテットを結成し、サルデーニャの民族音楽に、ジャズのインプロヴィゼーションや他国の民族音楽を取り入れた演奏を行う。映画音楽のほか、演劇、ラジオ、テレビ番組のための作曲もてがける。毎年夏にサルデーニャ島北部の町サンタ・テレーザ・ディ・ガッルーラで開催されている国際ジャズフェスティバル「ムジカ・スッレ・ボッケ」のディレクターを務めている。」とある。今回のライブも「ジャズ・ライブ」と銘打ったものだが,ミュージシャンは彼一人で,あとはラップトップやシークェンサーを駆使した音楽は,ジャズ的というよりも,私には映画音楽的に響いた。

ある意味,アンビエント・ミュージックに近い雰囲気もあるので,私は何度か頭を垂れそうになってしまったが,なかなか面白いライブだった。それはEnzo Favataが駆使する楽器がいろいろあったからである。ソプラノ・サックス,クラリネット,バスクラに加えて,バンドネオンやら,Jew's Harp(口琴,マカロニ・ウェスタンの音楽なんかに出てくる,口にくわえるなどして、その端を指で弾くもの),更にはサルディニアの古楽器(確か2100年前のものとか言っていたがほんまか?)まで使って,色々な音色を聞かせたからである。

イタリア文化会館のライブは,日頃,ジャズに関心のなさそうな聴衆まで集まるところは,武蔵野スイング・ホールの聴衆に近いものがあるが,それにしても,今回,「ジャズ・ライブ」だと思って来場した人には,違和感が大きかったんじゃないの?と言いたくなるようなものではあったが,そこは雑食の私(笑),全然問題なしであった。

知名度も高いわけではないであろうEnzo Favataの今回の来日がどういう理由によるものかはわからないが,今回聞かせたような音楽であれば,やはり映画音楽としてのフィット感が強いと思わせるものであった。だが,それは欧州の映画にこそフィットするのであって,決してハリウッド製の大作ではありえないって感じだろう。いずれにしても,世の中にはいろいろな音楽があるねぇと思わせたライブであった。写真はネットからの拝借。

Live at イタリア文化会館 on March 23, 2017

Personnel: Enzo Favata(ss, cl, b-cl, jew's harp, bandneon, vo,laptop, and others)

2017年3月22日 (水)

NYCに乗り込んだJulian & Roman Wasserfuhr兄弟

"Landed in Brooklyn" Julian & Roman Wasserfuhr (ACT)

_20170320前々作"Gravity",前作"Running"と非常にいいところを聞かせたJulian & Roman Wasserfuhr兄弟が約3年半ぶりにリリースする新作はNYCに乗り込んでのレコーディングである。

私は彼らの音楽をロマンティシズム溢れると表現しているが,そんな彼らが今回共演者に選んだのがDonny McCaslin,Tim Lefebvre,そしてジャズ界のプーチン(笑)ことNate Woodというどちらかというと,ハイブラウなファンクもこなす面々というのがまず意外であった。一体どういう演奏になるのかというのが,まずこのアルバムの情報を知った時の私の感覚であった。

だが,誰が共演だろうが,彼らの演奏はそんなに変わったって感じはしないが,ロマンティシズムは抑制気味に思えるが,むしろジャズ的な感覚は強くなっているように感じるのは,メンツゆえって感じがしないでもない。だが,ロマンティシズムというより,メロディアスという感覚を横溢させており,私としては1曲目の"Bernie's Tune"からして,おぉ,今回もいいねぇと思わせるに十分なものであった。"Bernie's Tune"と言っても,Gerry Mulliganがやったのとは同名異曲であり,これは兄弟によるオリジナルであるが,なかなかの佳曲である。

アルバム全体を通してもメロディアスな曲が並んでいるが,その中でこの人たちらしいのが,ロックに対するシンパシーを感じさせる選曲があるところである。今回はドイツのロック・バンド,Tokio Hotelの"Durch den Monsun"とStingの"Seven Days"が入っている。後者の途中に出てくるソロは,まるでPat Methenyのギター・シンセのような感じなのが面白いが,マリンバの使用も含めて,そこはかとなくPat Methenyの影響を感じさせるところがあるのはある意味微笑ましいが,そういう世代なんだろうなぁと思う。

どうやったら,こんな音が出るのかと思って,クレジットを眺めるとRoman WasserfuhrがSeaboardを弾いているとある。Seaboardってなんだと思って調べてみると,「革命的であり、タッチセンシティブ・インターフェースとパワー、そしてカスタムビルドのシンセサイザーをシームレスに統合し、MIDIコントローラー上前例のない表現力の可能性を開きます。」,あるいは「フィーリングとレスポンス。センサーが搭載されたSeaboard RISEKeywaveサーフェスによって、タッチでサウンドを形成することができます。シリコン製サーフェスを継続的にプレスして左右に指をスライド、Keywaveまたはリボンに沿って上へスライドすれば、それぞれの動きに合わせてサウンドがモジュレート。全てのシーボード・インターフェース上でアコースティック楽器や電子楽器を表現豊かに奏でることが可能です。」なんて書いてある。わかったようでわからん説明だが,映像があったので貼り付けておこう。これを見ると世の中進化してるねぇ(笑)。

閑話休題。そうした新しいテクノロジーも導入しながら,彼らのよさというのは不変であり,今回も大いに楽しませてもらった。何度聞いてもドイツっぽくないサウンドだが,私は彼らの音楽は大いに支持したいと思う。ということで,今回も星★★★★☆としてしまおう。共演者も,彼ららしいイケイケ感を抑制した好演で応えていると思う。

Recorded on August 13 & 14,2016

Personnel:Julian Wasserfuhr(tp,fl-h),Roman Wasserfuhr(p, marimba, seaboard), Donny McCaslin(ts), Tim Lefebvre(b), Nate Wood(ds)

2017年3月21日 (火)

Gary Burtonの引退を惜しむ

GarymakotoGary Burtonが今月の小曽根真とのデュオ・ツアーを以て,音楽生活からの引退を発表した。先日,ほぼ同い年のChick Coreaの激烈なライブを見たばかりだけに,Gary Burtonの引退は解せない部分があったが,本人は「この2年間,演奏は極力抑制してくるとともに,60年に及ぶ演奏生活からいつ引退するかについてずっと考えてきた。しかし,健康上の理由もあり,今が新生活を始める適切なタイミングだった。」と語っているので,これは我々がとやかく言うべき問題ではないということになる。

しかし,昨年,出張時に見たBirdlandにおけるMack Avenue All Starsのライブでの演奏は素晴らしいものだったので,彼の4本マレットによる生演奏がもう見られないというのは,やはり惜しいと思える。その一方で,Gary Burtonが残したアルバム,業績は素晴らしいものであり,それはもはやレガシーの領域だと言ってもよい。

彼がライブの最後のパートナーに小曽根真を選んだのは,Chick Coreaが楽旅中だったからだということもあるだろうが,師弟コンビによる演奏で,音楽生活を締めくくるというのも,教育者としては「あり」の選択だったのかもしれない。

いずれにしても,Gary Burtonには感謝の念を示すとともに,お疲れさまでしたと言いたい。

2017年3月17日 (金)

何年経っても凄かったChick Corea Elektric Band

Chick_corea_eb_at_blue_note昨年,NYCのBlue Noteにおいて,Chick Coreaの生誕75周年を記念して,長期に渡っての連続ライブ・シリーズが展開された際に,再編されたChick Corea Elektric Bandである。私は出張中にJohn McLaughlinとのデュオを見ることができたが,やはりReturn to ForeverとかこのElektric Bandとか,賑々しい音も聞きたかったなぁと思っていたところに,彼らの来日が決まった時には,正直小躍りした私である。そんな彼らの来日公演の東京の初日を聞きにBlue Note東京に出掛けてきた。

振り返れば,私が彼らの演奏を生で見たのは,約25年前に遡る。場所は,今はなきBottom Lineであった。その時のメンツは今回の来日メンバーと同じクインテットであったが,今回それ以来の演奏に接して,もちろん彼らも年を取ったし,私も年を取った。しかし,彼らが今回披露した演奏は,四半世紀を経ても何らテンションが変わらないところが凄い。彼らのきめきめのユニゾンを聞いて興奮しない人間なんているのかと思えるほどのスリリングな展開を聞かせた。

もちろん,テクニシャン揃いであるだけに,ソロ回しが長くなり,やや冗長な感じがする瞬間がなかったわけではない。しかし,彼らの鬼のような演奏を聞いていたら,ほとんどの聴衆は満足して家路についたはずだが,私が聞いた2ndセットは,アンコールまで約1時間45分という長丁場となったが,Chick Coreaは本当に75歳?と思わせるほど元気そのものであった。

昨今のChick Coreaのライブによくある,Chickが弾くフレーズを続けて聴衆に歌わせるという趣向は,正直なくてもいいと思えるし,Frank Gambaleとの対位法的なフレーズのやり取りも,私にとってはイマイチ感があったのも事実である。しかし,この人の頭はどうなっているのかと思わせるDave Wecklの反応,スウィープ・ピッキングによるFrank Gambaleの早弾き,エモーショナルなEric Marienthalのサックス,ファンクも哀愁もなんでもありのJohn Patitucciのベース,そして御大Chick Coreaのいかにもなフレージングをまとめて聞かされたら,まいったと言うしかないのである。まじでよくやるわ。

演奏は非常に楽しめたが,その一方で,やたらにつまらん蘊蓄を並べる隣のおっさんには辟易としていた私である。音楽を楽しむだけならいいが,つまらんコメントを曲間に並べるのはやめてくれと言いたいわ。こういう客ってBlue Noteには多いよなぁってつくづく思う。バンドには何の責任もないが,それがまじで残念。

尚,当日のセット・リストがブルーノートのサイトにあったので,貼り付けておこう。

1. Silver Temple
2. Eternal Child
3. Ished
4. Captain Jocelyn
5. Johnny's Landing
Encore: Got a Match?

Live at Blue Note東京 on March 16, 2017

Personnel: Chick Corea(p, key), Eric Marienthal(as, ss), Frank Gambale(g), John Patitucci(b), Dave Weckl(ds)

2017年3月12日 (日)

改めてEric Harland@Cotton Clubを振り返る

Eric_harland_at_cotton_club今年1月のCharles Lloydとの演奏でも素晴らしいところを聞かせたEric Harlandが自己のバンド,Voyagerで来日すると聞いたら,聞きに行かないわけにはいかない。彼らのデビュー作である"Live by Night"も大いに高く評価した私なので(記事はこちら),大いに期待をさせられての参戦となった。今回は"Live by Night"のメンツからJulian Lageを抜いたクァルテット編成であるが,Julian Lageはソロ・アルバムも出しているし,自身のバンドでCotton Clubにも出ていたから,まぁそれは仕方あるまい。

私が行ったのは金曜日の2ndセットということもあり,私が最近Cotton Clubに行った中では,極めて集客もよかった。大学のジャズ研の兄ちゃん風の聴衆も結構いるのは,ドラマー・バンドに共通しているように思える。Kendrick Scottの時もそういう感じがしたしねぇ。

これだけの集客であるから,ミュージシャン側としては機嫌よく演奏ができるはずであるから,ますます期待値が高まっていたが,いざ演奏が始まると,いかんともしがたい違和感を覚えていた私である。その違和感は,演奏そのものによるものではない。ライブの形態にである。彼らはアンコール前の約70分間,曲の切れ目なしに組曲風に演奏を続けたわけだが,これが聴衆側にとっては必ずしもよいことではないと思えたからである。

もちろん,ライブは演奏する側のイニチアチブのもとに行われることは異論はない。だが,一般的なジャズのライブの場においては,「合いの手」を入れたり,拍手や歓声を送ることによって得られるカタルシスもあるはずである。クラシックのコンサートにしろ,昔のKeith Jarrettの長大なソロにしても,聞く側もちゃんとそういう心構えができている中で聞くが,Eric Harlandのようなミュージシャンのバンドの場合,過度に聴衆に緊張を強いるのはどうなのかと思えてしまうのである。演奏の質は高かったと思えるだけに,やや聴衆との間にコミュニケーション・ギャップを感じさせるようなライブのスタイルは,少なくとも私にとっては好ましいと思えなかった。せっかくのライブなのだから,聴衆を楽しませることも重要だろう。

Eric Harlandのドラムスはタイトそのものでそれ自体は素晴らしい。Walter Smith IIIはフリーキーなトーンを交えながらのソロを聞かせたが,悪くはないとしても,もう少しフレージングに幅があってもいいと思わせる一方,Harish Raghavanのベースは,ステディでありながら,いい音を出していたのは収穫である。しかし,私が違和感を覚えながら,このライブでいいと思えたのがTaylor Eigstiのピアノである。Kendrick Scottとのライブでも非常に魅力的な演奏を繰り広げたTaylor Eigstiの繰り出すフレージングは,やや辟易としながら聞いていた私の耳を救ってくれたと思えるほどのナイスなものであった。美的なものとスリリングなものを両立させるピアノは本当に良かったと思える。

ということで,演奏の質は高くても,ライブのアンビエンスと両立できなかったことが,今回のライブを私が評価できない最大の理由である。少なくとも私の中では,ドラマー・バンドのライブとしてはKendrick Scott Oracleの圧勝に終わったと思う。期待値が大きかっただけに,やはり納得がいっていない私であるが,まぁ,クーポンを使って,チャージが半額だからよかったんだけど(苦笑)。

Live at Cotton Club on March 10, 2017, 2ndセット

Personnel: Eric Harland(ds), Walter Smith III(ts), Taylor Eigsti(p), Harish Raghavan(b)

2017年3月10日 (金)

Impossible Gentlemenの3作目がリリースされていた...。

Ig_group_photo

Facebookのお知り合いであるMさんが,FB上に写真をアップされていて,Impossible Gentlemenの3作目がリリースされたことを知った私である。”Let's Get Deluxe"と題された新作がリリースされたのは昨年の7月のようである。ほとんど日本で話題にもなっていないように思えるので,全くノーマークであった。

現在,私はCDを米国から飛ばしているところなので,現物はまだ聞いていないが,一応発注前にはApple Musicで一部を試聴して「買い」を決めたのだが,前2作以上にコンテンポラリー感が増しているように思えた。と言っても,旧作は最近全然聞いていないので,改めて聞いてみる必要があるが...(苦笑)。

今回から,Steve Swallowに代わって,Pat Metheny GroupのSteve Rodbyがベースを務めているが,彼の近影(上の写真の一番左)を見て,随分太ったなぁと思うのは私だけではあるまい。PMGから解放されて,ストレスがなくなったか?(笑)

それにしても,そのPat Methenyのバンドのツアーで多忙なGwylim Simcockが,よくアルバムを吹き込んでいる余裕があったなぁなんて思うのは,私だけではあるまい。

いずれにしても,詳しくはアルバムが届いてから記事にすることとしたい。

2017年3月 8日 (水)

Alan Skidmore:こいつは激しい!

"S.O.H." Alan Skidmore / Tony Oxley / Ali Haurand (EGO)

_20170305_2_2これは以前,このブログでも取り上げたLeszek Zadloのアルバム(その記事はこちら)が聞きたくて購入したEGO Boxに含まれている1枚である。購入したのは随分前になるのだが,長いこと寝かせてしまった。こういうアルバムは,まじで気まぐれか,何かの拍子ではないと聞く機会は少ないと思うのだが,聞いたら嬉しくなってしまうアルバムである。

なぜか。これが激しいピアノレスのサックス・トリオ・アルバムだからである。そもそもAlan SkidmoreはJohn Coltraneへのシンパシーを隠さない人だと思うが,サウンドは違えども,後期Coltraneと同様の激しさを持つアルバムで,この手の音楽に耐性がない人には決して勧められないが,好き者にはたまらないフリー・ジャズ的演奏である。フリー的と言っても,3曲目の"Trio Nr. 10"以外はちゃんと音楽としては成立している(笑)ので,怖がることはない。単に強烈なスリルとエネルギーに溢れた音楽として楽しめばいいということである。但し,"Trio Nr. 10"については,コレクティブ・インプロヴィゼーションでやったのだろうが,あ~あ,やっちゃったって感じの音なので,これはまぁさておきということにしておこう。

まぁ,こういうアルバムを作ってしまうというところが,いかにもドイツのレーベルって気がしないでもないが,同じドイツでもECMとはえらい違いである。もちろん,ECMにも激しいアルバムはあるが,ここまでの熱量はないだろう。ドイツというのは,ジャズの世界では,こういう世界のアルバムが結構制作されているという不思議な国である。そう言えばFMPもドイツだよねぇ。オランダのBvhaastとか,どうして欧州からこういう方向に行ってしまうのかって考えると,背景にクラシック音楽があるがゆえの逆の方向性なのではないかとも思える。

それはさておき,私にとっては,こういう音楽は,いつもなら夏の暑い時期に聞きたくなるようなサウンドである。しかし,これまで未聴でやり過ごしてきてしまったせいで,こんなんだったんかぁ~ってことを今頃気づいているのだから,仕方がない。本来なら,音量を上げて聞きたいアルバムであるが,家人の顰蹙を買うことは確実なので,音量を絞って聞いたが,それでも激しさは十分に感じられるのだから大したものである。

1979年なんて言うと,フュージョン全盛の時期に,その一方でこんな音楽が生まれていたということを考えると,今更ながら面白いよねぇと思うが,私はこの音楽は大いに支持したいと思う。そうした中での"Trio Nr. 10"のいけてない感じと,最後の"Lost in W.G."のフェード・アウトは気に入らない。それだったら,"Trio Nr. 10"をオミットして,"Lost in W.G."をフル収録すればいいものをと思ってしまうのは減点対象ではあるが,聞いていて思わず,笑いながらも燃えてしまった私であった。星★★★★。

Recorded in February, 1979

Personnel: Alan Skidmore(ts, ss), Tony Oxley(ds), Ali Haurand(b)

2017年3月 7日 (火)

バスクラ好きの私:今日はDavid Murrayのバスクラ集

"Ballads for Bass Clarinet" David Murray (DIW)

_20170305私はEric Dolphyのバスクラにはまって以来,バスクラの音というのが結構好きである。近年で言えば,Thomas Savyの"French Suite"なんていう素晴らしいアルバムもあったし,ショップに行くと,必ずHamiet Bluietteのコーナーを見てしまうような私だが,今日はDavid Murrayのバスクラ集である。

David Murrayはテナー・サックスが主としても,バスクラも結構演奏することが多い。だからと言って,バスクラで通したアルバムってのはなかったと思うが,そんなMurrayに1枚,バスクラでアルバムを作らせてしまうのが,DIWレーベルらしい。DIWが海外配給もしていた(なんと,米国での配給はColumbiaレーベルというのが今となっては信じがたい)のは,私がNYCに住んでいた頃なので,90年代前半のことと思うが,本作もそんな頃に吹き込まれたものである。この頃で言うと,DIWには"Shakill's Warrior"なんてのもあったなぁ(遠い目...)。

本作は"Ballad for Bass Clarinet"なんてタイトルがついているが,何もバラッドばかりやっているわけではなく,ミディアム・テンポの曲も含まれている。だが,ここでのDavid Murrayは比較的コンベンショナルな演奏ぶりで,この人の凶暴性を好むリスナーにとってはやや物足りないものに感じるかもしれない。しかし, "Lovers"(これに関する記事はこちら)や"Morning Song"のような結構コンベンショナルな作品も好みの私としては,こういう路線でも全然問題なしである。

もちろん,David Murrayのバスクラの咆哮を浴びたいと思う気持ちがないわけではないが,こうした落ち着いたMurrayもいいと思う。まぁ,ちょいとプロデュースとしては安易だなぁって気がしないわけでもないが,悪くはないと思う。星★★★★。せっかくなので,ドラムスを除いて同じメンツでBlack Saintに吹き込んだ"I Want to Talk About You"でも聞いてみるとするか(笑)。

Recorded on October 14 & 15, 1991

Personnel: David Murray(b-cl), John Hicks(p), Ray Drummond(b), Idris Muhammad(ds)

2017年3月 5日 (日)

多国籍トリオ,Benedikt Jahnel TrioのECM第2作:これは私の好みだなぁ。

"The Invariant" Benedikt Jahnel Trio (ECM)

_20170304この人たちの前作"Equilibrium"が非常によかったので,今回の作品も期待できると思っていたが,予想通りの作品に仕上がっている。

ドイツ~スペイン~カナダのミュージシャンからなるこのトリオの音楽は,基本的には欧州的なテイストを持つものであり,美的で静謐で内省的な演奏を基本としながら,ビートも感じさせる瞬間もあり,非常にバランスの取れた演奏だと感じさせる。

そもそも私はこの手のECMにおけるピアノ・トリオの演奏が好物である。Marcin Wasileuski然り,Tord Gustavsen然りである。最近はGiovannnii Guidi等も加わって,ECMのピアノは更にラインアップが強化されているが,このBenedikt JahnelのトリオもManfred Eicherのお眼鏡にかなうだけのことはあると思わせる演奏ぶりである。

とにかく,リーダー,Benedikt Jahnelの書く曲の美しさも見事なものであり,この手のサウンド好きには無条件にOKと言わせるに違いない作品である。もちろん,私もこの作品はもろ手を挙げて推薦したい。こういう音楽を聞くタイミングとしてはいつがいいのかなぁなんて思うが,週末の昼下がりに本でも読みながら聞いていたら,読書も心地よく進むこと間違いなしだろう。甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。いいですわ~。

Recorded in March, 2016

Personnel: Benedikt Jahnel(p), Antonio Miguel(b), Owen Howard(ds)

より以前の記事一覧

Amazon検索

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)