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2015年おすすめ作

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2017年8月30日 (水)

Amanda Marshall:どうして買ったのか記憶にない(爆)。

"Amanda Marshall" Amanda Marshall(Epic)

_20170830このアルバムがリリースされて,20年以上経っているが,振り返ってみても,どうして買ったのか記憶が定かではない(苦笑)。おそらくはSheryl Crowが出てきて,その系列という感じで購入したのだろうが,やっぱり思い出せない。しかも国内盤を買っているし...。なんでやねん。中古で買ったのかなぁ?

それはさておきである。Amanda Marshallはカナダ出身のシンガーである。なかなかパワフルな声をしていて,かつ結構いい曲が揃っている。本人のオリジナルだけでなく,色々なライター陣の曲を歌っているが,これはプロデューサーの腕の成せる業って気もする。それでも本国カナダでは100万枚以上のセールスを記録したということだから,大したものである。しかも本作をリリースした時には22,3歳ってことで,十分な才能を感じさせる。

ただ,その後,レーベルともめたらしく,2001年の”Everybody's Got a Story"以降のレコーディング・キャリアが途絶えてしまったのは惜しい気がする。だが,私も気まぐれでしかプレイバックしないで,保有していることは記憶していても,肝心の内容はほとんど忘れていたのだから,どうこう言えた立場ではないが。

Amanda_marshall_liveレコーディングはしていなくても,本国ではライブ活動を継続しているみたいだから,まだまだ現役である。Facebookには彼女のファン・ページがあって,近影もアップされているので,そちらも貼り付けておこう。ヘア・スタイルが全く変わっていないのには笑える。

いずれにしても,当時の新人のデビュー作としてはよく出来た佳作と言えるだろう。星★★★★。

Personnel: Amanda Marshall(vo), Tommy Byrnes(g), David Wipper(g, mandolin), Tim Pierce(g), David Tyson(key, prog), T-Bone Wolk(accor), Lee Sklar(b), Kenny Aronoff(ds), Diana DeWitt(vo), Peter Kent(vln), Erika Duke-Kirkpatrick(cello),Louis Taylor(ss)

2017年8月29日 (火)

Marc Coplandを伴ったGary PeacockのECM新作は前作踏襲って感じだが,相変わらずいいねぇ。

"Tangents" Gary Peacock Trio (ECM)

TangentsGary PeacockがMarc Coplandを迎えて,前作"Now This"をリリースしたのが今から約2年前のことである。そして,今回,全く同じメンツでアルバムがリリースされたのだが,私としてはMarc Copland入りってことで今回も期待を込めての購入となった。

"Now This"もしばらく聞いていないので,あくまでも直感的な感じではあるが,基本的には前作と似たような感じを受ける。前作でも聞かせた静謐系で,美的なピアノ・トリオの演奏はここでも健在である。フリーなアプローチを交えながらの演奏は,ECMレーベル・ファンにとっては直球ど真ん中な路線だろう。

そんな中で,私がまいってしまったのが"Spartucus"である。Alex Northが映画「スパルタカス」のために書いたこの曲は,Marc Coplandはこれまでにも"Poetic Motion"でやっているが,Marc Coplandのようなピアニストにこそぴったり(Fred HerschもJordan Hallでのライブ”Let Yourself Go"で演奏している)な美的な曲である。この曲が流れてきたときに,やっぱりこの人たちにはこういう演奏が相応しいと思ったが,これとか"Blue in Green"がこれほどはまるのは,このトリオだと思わってしまった。Marc Coplandとは長い共演経験を持つGary Peacockであるが,Marc Coplandの個性をちゃんと理解しているし,古希を過ぎても全然衰えを感じさせないのは立派である。

そして,このトリオが"Rumblin' Talkin' Blues"でブルーズを演奏しても,ちっともブルーズっぽく聞こえないのには笑えるが,そういう個性の人たちなのだから,それでいいのである。誰も彼らにどブルーズを期待してはいまい(きっぱり)。

ということで,この手の音楽が好きな人が気に入ること必定。それにしても,Gary Peacockのベースの音がいい感じで捉えられている。いいねぇ。ということで,ちょっと甘いと思いつつ星★★★★☆。いっそのこと,このトリオで日本に来てくれないかなぁ。

Recorded in May, 2016

Personnel: Gary Peacock(b), Marc Copland(p), Joey Baron(ds)

2017年8月28日 (月)

これは素晴らしい。Barry Mann & Cynthia Weillのオリジナル・デモ等の音源集。

"Original Demos, Private Recordings and Rarities" Barry Mann & Cynthia Weill(Vivid)

_20170827_2Barry Mann & Cynthia Weillという稀代のライター・チームが残した名曲は数知れずであるが,彼らの曲のデモやプライベート録音等の音源を集成したアルバムがリリースされた。

曲のクォリティが高いのはもちろんだが,それを基本的にBarry Mannの歌で聞けるところにこのアルバムの価値はある。それにしても,何といい曲を書く人たちなのか。リリースされたことだけで快挙である。音源の録音時期にばらつきがあるので,テイストに違いがあるのは当然だが,そんなことが全く気にならない名曲の数々。特に中盤からのシンプルな伴奏による名曲群が心にしみる。

そして驚きは,Quincy Jonesがアルバム「愛のコリーダ」に収録したあの名曲"Just Once"のデモ音源。こちらを歌うのも,Quicyのアルバム同様,James Ingramである。Quincy版"Jusかt Once"も素晴らしかったが,このシンプルさから更に曲のよさが滲み出すという感じである。その後に収められたSergio Mendezがヒットさせた"Never Gonna Let You Go"もJames Ingramが歌う。これを聞いて私がくぅ~っとなってしまったことは言うまでもない。

いずれにしても,ここの収められた音楽は,米国音楽界の至宝と言ってもよいものであり,これらの音源をよくぞ発掘してくれましたとしかいいようがない。星★★★★★しかない。感動した。

2017年8月27日 (日)

Chuck Loebを偲んで,彼の初リーダー作"My Shining Hour"を聞く。

"My Shining Hour" Chuck Loeb(Jazz City)

_20170827Chuck Loebが亡くなったのは去る7月31日のことである。がんだったそうだが,まだ61歳。惜しいとしか言いようがない。昨年あたりから,FourplayのライブにもKirk Whalumを代打に立てており,健康状態が心配されたが,帰らぬ人となってしまった。

Larry Carltonに代わってFourplayに加わった時は,その前任のLee RitenourやLarry Carltonに比べると,ちょっと地味かなぁなんて思ったが,意外や意外の相性を示し,バンドとのフィット感はLarry Carltonよりも高かったと思った(彼の加入後の最初のアルバムに関する記事はこちら)。また,ライブでもMetroやWill Leeとのバンド等で大いに楽しませてくれた。

そんなChuck Loebであるが,彼のリーダー作は結構な枚数がある。そんなChuck Loebの初リーダー作がJazz Cityレーベルに吹き込まれていた本作である。実は別のCDを探していて,クロゼットを漁っていた時に,たまたま見つけたのだが,確か保有しているはずだと思いつつ,実際に今回追悼の意味を込めてプレイバックするまで,保有していることすら忘れていたのだから,私もどうしようもない(苦笑)。

それはさておき,裏ジャケに写るChuck Loebの若さにも驚かされるが,Donald FagenやMichael Jacksonの曲もやってたのねぇ。そういう印象がはっきり残っていないのは真っ当に聞いていなかった証拠か?しかし,今回,改めて聞き直してみて,これはなかなかよくできたコンテンポラリー・ギター・アルバムであった。そもそも,メンツにも恵まれている(何てたって,小曽根真に,Patitucci~Wecklの強力リズム隊である)し,まぁこれなら悪くなることはないというところであるが,当時から多彩なギター・プレイを聞かせていたことを改めて認識させられた。

Chuck Loebはあくまでもバイ・プレイヤーとしての位置づけの人だと思うが,それでもこうしたアルバムも残していたことは改めて評価しなければならない。Metroのアルバムとともに,これからも聞いていきたいと思う。

R.I.P.

Recorded in December 1988

Personnel: Chuck Loeb(g), 小曽根真(p,synth),Pat Rebillot(p), John Patitucci(b), Dave Weckl(ds), Carmen Cuesta(vo)

2017年8月26日 (土)

Mike Stern~Bill Evans Band@Cotton Club参戦記

Mike_stern_and_bill_evans_at_blue_n
私はMike Sternのファンである。よって,彼が来日したら,基本的にライブには駆けつけるが,今回のメンツは強烈であった。

Mike Sternのバンドのドラマーと言えば,Dennis ChambersかDave Wecklが思い浮かぶが,基本はデニチェンだろう。マイキーの場合,ドラマーは超タイトな人選をすることの表れだが,そこに今回はSimon Phillipsが参加していることは,どう考えても注目度が高い。

Simon Phillipsについては彼のバンド,Protocolでのライブについても当ブログに記事をアップしている(記事はこちらこちら)が,ライブの場においても,強烈なドラミングを聞かせてくれるSimon Phillipsのことであるから,今回もマイキーを煽るに違いないと思っていたが,全くその通り。マイキーのみならず,Bill Evansも煽られて,今まで聞いた彼の生演奏では一番よかったと思わせた。また,Darryl Jonesがバックに徹する感じではありながらも,このファンク度はいいねぇと思わせるベースで支えるのだから,これは本当によかった。ほかの聴衆にとってもそうだったのだろうということは,自然なスタンディング・オヴェイションが物語っている。

驚いたことに,Bill Evansが歌ったのだが,これが結構いけていた。Kevin Hayesも歌がうまくて驚いたが,何でもできるのねぇと感じさせるに十分。キーボードはまぁオマケみたいなもんだったが,歌はへぇ~と思わせた。マイキーも歌ったり,鼻歌的にギターとユニゾンをしたりしていたが,歌はBill Evansの方がうまいな(笑)。

_20170824いずれにしても,強烈なバックにも恵まれて,今回のライブは非常に楽しめるものだった。2年前にWill Calhounを連れてきたときの違和感が嘘のような激烈ライブであった。やっぱりマイキーはドラマーによって変わる。今回のライブを見れば,Simon Phillipsとはまたやって欲しいと思うのは私だけではないだろう。ということで,先日の戦利品の写真をもう1枚アップしておこう。尚,上の写真はBlue Noteのサイトから拝借したものだが,当日のセットリストも掲載されており,おそらくは今回と同じだと思うので,そちらもアップしておこう。

1. Cool Eddie
2. Soulbop
3. All You Need
4. Kings and Queens
5. Untitled
6. Wing and Prayer
7. Chromazone
Encore: Red House

Lvie at Cotton Club on August 23, 2017, 2ndセット

Personnel: Mike Stern(g, vo), Bill Evans(ts, ss, key, vo), Darryl Jones(b), Simon Phillips(ds)

2017年8月25日 (金)

追悼,John Abercrombie。

Abercrombie1
本来であれば,先日のMike Stern~Bill Evans Bandのライブについての記事を書くはずだったのだが,突然の訃報が飛び込んできてしまった。

ネット上で,John Abercrombieの訃報が飛んだ時,やれガセだ,ガセではないという情報が飛び交っていた。私としてはガセ説を見て,安心していたのだが,その後,Ottwa CitizensのWebサイトに訃報が上がり,ECMのWebサイトにも訃報がアップされるに至り,この訃報が真実だと認識した私である。

ECMレーベルの初期から,このレーベルにアルバムを残し続けたという点では,ジョンアバはKeith Jarrett,そしてJan Garbarek,あるいはRalph Townerと並ぶレーベルの顔だったと言ってもよい人である。そんなジョンアバがECMに残した作品はかなりの数に上るが,全部聞いた訳ではない私にとっても,記憶に残る作品は何枚もある。"Timeless"しかり,"Gateway"による作品然り,そして近年ではJoe Lovanoとやった"Within a Song"など,優れた作品をリリースし続けた人であった。

Photo亡くなった今となっては,彼の最後の来日ライブに行っておいて本当によかったが,それももう3年近く前になるとはまさに光陰矢の如し。今日は,その時の写真をアップして,彼を偲ぶこととしたい。ジョンアバを見つめるMarc Coplandの視線が何とも優しいが,きっとミュージシャンからも愛される人だったのだと思う。惜しい人を亡くした。

R.I.P.

2017年8月24日 (木)

Mike Stern~Bill Evans Band@Cotton Clubの戦利品

Mike_stern_bill_evans_at_cotton_clu

久々にジャズのライブに行った。6月にはマレーシアで我が同僚,八木くん入りのNewSoundのライブは見ているが,日本では振り返れば5/25にPat Martinoを見て以来ということになるので,結構久しぶりである。

詳しくは改めて書くが,今回のライブの肝は,Darryl JonesとSimon Phillipsのリズム隊ということになるだろう。この超タイトなリズムに乗って,レベルの高いグルーブを聞かせてもらった。

ということで,今夜は取り敢えず今回の戦利品であるが,マイキーのCDを持参するのを忘れるという失敗を犯してしまったのは申し訳なかった。それでもマイキーとDarryl Jones入りのSteps Aheadのライブ盤はきっちり持って行っていたのだが(笑)。

しかし,今回,バンド・メンバーの中で,私が持って行ったCDに一番興奮していたのはSimon Phillipsだろうなぁ。写真のうち,下の2枚がSimonが参加したRMS(Ray Russell,Mo Foster,Simon Phillipsの頭文字を取ったもの)のアルバムだが,左のライブ盤も珍しいし,右側はGil EvansとRMSの共演という更にレアなアルバムなのだ。これを見て,Simonはマイキーと興奮気味に話を始め,サイン会の待ち行列を長くしてしまったのはほかのお客さんには申し訳なかった。でも,それは私のせいではなく,Simonがライナーをしげしげと見始めたからだもんね(爆)。

もう少し,ちゃんとメンバーと話ができればよかったのだが,正直時間切れって感じだったのは残念だったが,心地よい余韻とともに家路についた私である。

あぁ,楽しかった。

2017年8月23日 (水)

Suzanne Vega:本作が出てからもう20年超か~。

"Nine Objects of Desire" Suzanne Vega(A&M)

_20170820_3Suzanne Vegaがデビューしてから30年以上が経過しているが,彼女が出てきた頃は,とにかく内省的な響きが強い印象が強かった。私は女性シンガー・ソングライターが結構好きだが,なぜかこの人とは縁が薄かった。なので,保有しているアルバムも実はこれだけである。何で購入したのかの記憶も曖昧だが,Mitchell Froomプロデュースに惹かれて購入したものと思う。そもそも本作だって,リリースされたのは96年のことであるから,もう20年以上経っている。

久しぶりに聞いてみると,彼女らしいサウンドもあれば,ヴォーカルにエフェクトを掛けたり,ボサノバ的なサウンドもあったりして,非常に面白く聞けてしまった。そして,クレジットを眺めていて,へぇ~と思ってしまったのが,Dave DouglasやDon Byronが参加していることだったが,あくまでもゲストなので,露出は少ない。

約20年前にこのサウンドがどう受け入れられたかは,私としてはよくわからないが,今の耳で聞いても古臭いという感じがしないのは大したものである。

今年,Suzanne Vegaは"Solitude Standing"と"99.9℉"を再演するライブ・ツアーを行うが,それらはリリース後各々30周年,25周年という節目にはあるものの,彼女にとっての代表作はそっちという認識であり,本作はそうした対象からははずれるというものなのかもしれない。しかし,当時は結婚していたMitchell Froomとの夫婦コラボレーションという観点ではききどころも相応にあると思える佳作。まぁ,相変わらず内省的と言えば内省的だが(笑)。星★★★★。

Personnel: Suzanne Vega(vo, g), Steve Donnelly(g), Tchad Blake(g, sample, effects), Mitchell Froom(key, moog-b), Bruce Thomas(b), Steinberg(b), Jerry Marrotta(ds, perc), Pete Thomas(ds, perc), Yuvall Gabay(ds), Don Byron(cl), Dave Douglas(tp), Cecilia Sparcio(fl), Mark Feldman, Jane Scarpantoni, Matthew Pierce, Ted Falcon(strings)

2017年8月22日 (火)

ラックに収めっぱなしだったClifford Jordan

"In the World" Clifford Jordan (Strata East)

_20170820_2CDもある程度保有枚数が増えてしまうと,どういう経緯で,あるいは何を思って買ったか全く記憶にないCDってのが出てきてしまうのは仕方がないことである。本作が紙ジャケでリリースされたのは2006年のことなので,随分と時間が経っているのだが,ラックに収まっていることさえ失念しかかっていたと言ってはこの作品に失礼か。

最近はCDの新譜を買うペースが以前に比べて劇的に落ちているのはApple Musicというサービスゆえであるが,逆にそれによって,温故知新モードが強まるという要素もある。つまり,棚には収まっていても,あまり最近聞いていないなぁというCDを取り出すことが多くなっているからである。最近の私のブログには「久々に聞いたXXX」みたいな記事が多いのはそういう理由もあるのだが,本作も紙ジャケ・ラック(笑)を見ていて,おぉ,そう言えば持ってたなぁなんてノリで取り出してきたのであった。

しかし,今回,改めて聞いてみて,何とも強烈なメンツではないか。Wynton KellyとDon Cherryが一緒に演奏していることの珍しさ。LPのB面ではDon CherryからKenny Dorhamにラッパがスイッチってのも凄いことであるが,よくぞ集めたこのメンツって感じである。これもClifford Jordanその人の人徳ってところかもしれない。

それにしても「ブラック・スピリチュアル」としか表現しようのないサウンドと言うべき全4曲。真っ黒けってのはこういう感じだよねぇ。こういう音楽は,ちまちましたボリュームで家で聞いているよりも,ジャズ喫茶で大音量で聞く方がいいと思える。メンツの中では,やはりDon Cherryが異色の存在であることは変わりなく,本人も自覚してか,合わせるところは合わせているが,自由に吹いているように感じられることも多いのが,やっぱりDon Cherry(笑)。聞いたのは何年振りかってことになるだろうが,久々に黒い音を満喫させてもらった。歴史に残る名盤の類ではないが,記憶には確実に残る演奏だと言ってよいと思う。星★★★★。

Recorded in Spring, 1969

Personnel: Clifford Jordan(ts), Don Cherry(tp), Kenny Dorham(tp), Julian Priester(tb), Wynton Kelly(p), Wilbur Ware(b), Richard Davis(b), Al Heath(ds), Roy Haynes(ds), Ed Blackwell(ds)

2017年8月21日 (月)

比較的コンベンショナルなDavid Murrayもよいねぇ。

"Morning Song" David Murray Quartet(Black Saint)

_20170820今やフリー・ジャズに対する耐性も身につけた私だが,最初からOKだったわけではない。David Murrayを純粋にフリー・ジャズに区分することには今では抵抗はあるが,私が彼の音楽に初めて接したのはWorld Saxiphone Quartetでの演奏だったはずである。アルバムは"W.S.Q."だっただろうか。その頃の私にとっては,その手の音楽は???だったのだ。だから,そこに参加しているDavid Murrayのアルバムも敷居が高くなってしまったことは否めない。

だが,本作を馴染みのジャズ喫茶で聞かせてもらって,へぇ,こんな演奏もするのかということでアルバムを購入した記憶がある。ちなみに当時はLPである。

スタンダードは"Body And Soul"と"Jitterbug Waltz"の2曲で,残りはMurrayとLawrence "Butch" Morrisのオリジナルであるが,響きはMurrayのイメージを覆すとでも言うべきコンベンショナルなものであった。そもそも,私はDavid Murrayの音楽を熱心に聞いていた訳ではないので,Murray=フリーというイメージは私の思い込みに過ぎなかった訳だが,やっぱり第一印象は重要だよね~と開き直ろう(きっぱり)。

いずれにしても,このアルバム,ビートは明確だし,非常に聞き易いアルバムに仕上がっているのがポイントが高い。その一方で,David Murrayらしい音色は。維持されているし,Murrayのファンが聞いても納得しうる作品だったのではないかと思える。私にとっても,こういうのはありだった訳だ。今回聞いているのはBlack Saint/Soul Noteボックスの1枚としてのものだが,印象は初めて聞いた時と変わらなかったし,改めて聞いても魅力的な音源だと思えた。

もちろん,David Murrayにはより激しい音楽を求める向きもあろうが,コンベンショナルなセッティングにおいても,ちゃんと個性は表出させていることは評価すべきと思うし,特にテナーの力強さは素晴らしいと思う。最も長尺の"Off Season"にこのアルバムの魅力が集約されているように思える。それでも最後にEd Blackwellとの"Duet"を持ってきてフリー的なところを聞かせてしまうのが,David Murrayらしいが...(笑)。星★★★★。

Recorded on September 25, 26 & 30, 1983

Personnel: David Murray(ts, b-cl), John Hicks(p), Reggie Workman(b), Ed Blackwell(ds)

2017年8月20日 (日)

これも久々に聞いた:"Ella in Berlin"

"Mack the Knife: Ella in Berlin" Ella Fitzgerald(Verve)

Ella_in_berlin久しぶりに本作を聞いた。粋だねぇ。Ellaの声は若々しく,どんな曲でも歌いこなしてしまう歌のうまさを再確認してしまった。

いつも書いている通り,私はジャズ・ヴォーカルのよい聞き手ではない。だが,こういう作品を聞いていると,聞くべきものはちゃんと聞かないといかんと改めて思わされてしまう。

本作は何かと言えば,タイトル・トラックである"Mack the Knife"のことばかりが取り上げられることが多いと思うが,もちろんこの曲を知らしめたという点では無視してはならないが,だからと言って,ほかの曲がないがしろにされるのはおかしいだろう。冒頭の"Gone with the Winds"からリスナーの心を鷲掴みで,アルバムのどこから聞いても楽しめる。特に最後を飾る”How High the Moon"は,これってEllaにしか歌えない技だよなぁと思わせる素晴らしさ。

ちなみに,Jim Hallが歌伴をやっていたのは59年~60年ぐらいの一定の時期になるだろうが,ここでは本当に地味に伴奏に徹しているって感じである。

いずれにしても,Ellaも伴奏のPaul Smith Quartetも遊び心も感じさせつつ,素晴らしい演奏を残してくれたものである。いやぁ,楽しかった。星★★★★★。

Recorded Live at Deutchland-Hall, Berlin on February 13, 1960

Personnel: Ella Fitzgerald(vo), Paul Smith(p), Jim Hall(g), Wilfred Middlebrooks(b), Gus Johnson(ds)

2017年8月19日 (土)

久々に聞いたJack Wilson。ある意味この時期のBlue Noteの典型だよねぇ。

"Easterly Winds" Jack Wilson(Blue Note)

Jack_wilsonこのアルバムを聞くのも久しぶりである。久々に聞いてみて,典型的60年代後半のBlue Noteって感じである。特に冒頭の"Do It"なんて,"The Sidewinder"みたいである。こういうサウンドがこの当時のトレンドだったんだろうってことがよくわかる。

だが,アルバムを通して聞いてみると,いろいろなタイプの音楽が詰め込まれていて,どれがJack Wilsonの本質なのかよくわからんという話もあるが,それぞれの演奏のクォリティが高いので,そういうことが気にならないレベルにあるのは立派である。Jack Wilsonの音楽からすると,"Do It"こそが異色なのだと思えるが,例えばラジオでのエアプレイなどを考えると,こういうキャッチーな曲が必要だったということだろう。

このアルバムを聞いて,思ったのはLee MorganとJackie McLeanという強力なフロント陣に隠れてしまいそうなGarnett Brownがなかなか優れたソロを聞かせていることだろう。彼の演奏はほとんど聞いた記憶がないが,74年にDown Beatの読者投票で,トロンボーン部門でトップを取ったのはだてではないということを実証する演奏だった。長年ジャズを聞いたつもりでいても,こういう感慨を持ってしまうのは,まだまだ修行が足りないってことだな。

ということで,これもBlue Noteが放った良質のアルバムってことで,星★★★★。やっぱりいいよねぇ。

Recorded on September 22, 1967

Personnel: Jack Wilson(p), Lee Morgan(tp), Garnett Brown(tb), Jackie McLean(as), Bob Cranshaw(b), Billy Higgins(ds)

2017年8月18日 (金)

小曽根真久々のThe Trioのアルバム。驚きがないなぁ。

"Dimensions" 小曽根真

_20170816_2今回のメンツによるThe Trioが復活するのは10年ぶりだそうである。しかも来月にはBlue Note東京にも出演することになっている(ライブは予約済みである:笑)から,予習として聞かないわけにはいかない。

最初からはっきり言ってしまうが,私は小曽根真の音楽に心底惚れ込んだことはない(きっぱり)。ある意味中庸,ある意味誰にでも受け入れられる音楽をやっているから,この人には尖ったところがないと思ってきたし,そういう感覚はこれまで変わったことはない。だが,例えば,Mike Sternとライブをやった時のように,オルガンでグルーブを炸裂させればいいのにと思えるのも事実だし,Lee Ritenourの"Twist of Rit"に客演した時には「小曽根たちとやった"W.O.R.K.n' IT"のなんとカッコよいことか。私は小曽根真がオルガンを弾いた時の魅力を,Mike Sternたちとのライブの場で体感しているので,これも期待していたのだが,期待以上のグルーブを生み出しているのが素晴らしい」と書いているぐらいなのだ。

しかしながら正直に言ってしまえば,私にとっては,小曽根真は器用な人であるがゆえに,何でもできてしまうのは事実なのだが,リスナーを桃源郷に導くだけのパワーが,ピアノでは不足しているように思える。だから,今回の新作を聞いても,普通じゃんという感触しか得られないし,魅力的なオリジナルに満ちているかと言えば決してそんなことはない。もっと挑発してくれないと,10年ぶりというのには不十分だと思えるのだ。はっきり言おう。私にとっては,このアルバムより,ドラマーのClarence Pennのリーダー作(記事はこちら)の方がずっとえぇわと思うのが正直なところなのだ。

多分,ブルーノートでのライブの場では文句は言わないだろうが,私はこのアルバムに対して高い評価を与えたいと思わない。小曽根がいるだけで,ブルーノートの客層は変わるが,彼ら(ほとんどは彼女たち)にとって文句なしの音楽に対しても,私はこの程度では満足できないと言ってしまうのである。正直言って国内盤だから仕方ないが,このアルバムに3,240円の大枚をはたくならば,安い輸入盤を私は3.5枚買う方がずっとましやと言っておこう。ということで星★★★が精一杯だ。標準的なレベルを脱していないのは致命的なのだ。

Recorded on February 8-10,2017

Personnel: 小曽根真(p),James Genus(b),Clarence Penn(ds)

2017年8月17日 (木)

夏だ,レゲエだ,今日はGregory Issacsだ。

"Cool Ruler" Gregory Issacs(Front Line/Virgin)

_20170816バカの一つ覚えのように,夏になるとレゲエとかフリー・ジャズが聞きたくなるとこのブログにも書いている。しかし,今年のように,夏らしい天気に恵まれない長雨の中で,レゲエってどうなのよと思いつつ,気分だけでも夏っぽくってことで,本作である。

私は決してレゲエのまともなリスナーではないので,聞いているアルバムは極めて限定的である。保有しているアーティストもBob Marley,Jimmy Cliff,Black Uhulu,Third World,それにPeter Toshぐらいだから,所謂大物しか聞いていない。今日取り上げるGregory Issacsだって,十分メジャーな存在だと思うのだが,実は先日Apple Musicで本作を聞いて,心底痺れてしまったのである。いやぁ,これはいい声だ。レゲエかくあるべしと思ってしまったのである。

レゲエが心地よく響くのは,心拍とリズムが合致しているからだと言われるが,もちろんそういう要素はあるとしても,そこに演奏力や歌い手のヴォーカルの質が加われなければ,本当の気持ちよいレゲエにはならないと思う。そうした要素が,このアルバムには兼ね備わっていると,ストリーミングで聞いた瞬間感じてしまったのだから,これは保有に値するということで発注である。値段も安かったしね(笑)。

吹き込まれてから40年近くなるこのアルバムを,私はApple Musicで初めて聞いたのだが,古臭さを全く感じさせないのが,レゲエのいいところかもしれない。もちろん,レゲエを幅広く聞いていれば,はやりすたりのサウンドはあるんだろうが,私のような極めて「適当」なレゲエのリスナーにとっては,これぐらいが一番気持ちよい。とにかく,Gregory Issacsの声が魅力的である。やっぱり勉強が足りないねぇと思ってしまったが,遅ればせながらでもなんでも,彼の音楽の存在を認識できてよかった。喜んで星★★★★★を謹呈しよう。Theの定冠詞を付けてもよさそうな典型的良質レゲエである。夏はどこへ行ったかと思いつつ,こういう音楽を聞いて,ちょっとは夏っぽい気分に浸るのもまたよしってことで。

Personnel: Gregory Isaacs(vo), The Heptones(vo), Sly Dunbar(ds), Robbie Shakespeare(b), Ernest Wilson(b), Eric "Bingy Bunny" Lamont(g), Earl "Chinna" Smith(g), Ranchie McLean(g), Ansel Collins(key), with horns by Bobby Ellis, Tommy McCook & Herman Marquis

2017年8月16日 (水)

Yesの踏み絵アルバム,としか言いようがない。

Img_0008 "Big Generator" Yes (Atco)

実家に置いてあったこのCDを聞いて,改めて感じたことを書いておきたい。前々から思ってはいたことだが,これはYesの看板を掲げながら,Yesらしさは皆無と言ってもよい。よって,長年のYesファンにとってはほとんど踏み絵のようなアルバムである。

もはやインダストリアル・ロック化したサウンドの中で,Yesらしさを感じさせるのは,Jon Andersonの声だけと言ってもよい。サウンド的には結構カッコいいと思っても,これがプログレかと言われれば,Noと言わざるを得ない。これはTrevor Rabin Band Featuring Jon Andersonであって,プログレでも何でもないのである。

そういうこともあって,このアルバムが実家に置きっ放しになっているのも仕方ないというところであるが,前作"90125"ではそこはかとなく残っていたプログレ的な部分がここまでなくなってしまうことには,リリース当時驚かされたものだ。結局このアルバムに残っているのは,その違和感だと言ってしまおう。

Yesの音楽だと思わなければ許せるものの,これならYesである必要は全くない。そう思わざるをえない一作。星★★。

Personnel: Jon Anderson(vo), Trevor Rabin(g,key,vo), Tony Kaye(key, org), Chris Squire(b, vo), Alan White(do, perc) with horn

2017年8月15日 (火)

iPodで聞くMonkもまたよしってことで。

Img_0007"The Unique" Thelonious Monk

お盆で実家に来ているので,通常とは異なる音楽鑑賞環境にいる私だが,今日は久々にiPod Classicで音楽を聞いている。最近はiPhoneのメモリも増強されて,かなりの曲数は入っているが,やはりそれだけでは限界があるため,何でもかんでも突っ込んでいるわけではない。そんな時,最近では滅多に使わなくなっているiPodで日頃あまり聞いていない音源を聞くのもいいだろうってことで,今回はiPod2台持ちで帰郷した私である。

それでもって聞いているのが本作であるが,このCDは父の遺品の1枚である。父は結構Monkが好きな人だったが,定番の"Brilliant Corners"や"Monk's Music"ではなく,本作やChalie Rouseとの演奏を好んでいたようである。お盆の時期だけについつい父のことを思い出しているが,クラシック,中でもモーツァルト命みたいだった父が,晩年にジャズに目覚め,こういう音楽を聞いていたのは感慨深い。

それはさておき,久しぶりに本作を聞いてみて,まさにタイトルに偽りなしである。超有名スタンダードをやりながら,聞こえてくるのは紛うことなき,Thelonious Monkその人の音である。まさにスタイリストって感じだが,私が若い頃はどうしてもMonkの音楽の良さが理解できなかったが,ようやく私の中にMonkが入り込んで来たのは,浪人中に,予備校の授業に出ることもなく,ひたすらジャズ喫茶で本を読んでいた頃のことである。今にしてみれば,Charlie Parkerもそんな感じだった。

だが,一度Monkの魅力にはまってしまうと,中毒性のようなものがあって,今の耳にはまぁまぁ真っ当な音楽にも聞こえるこのユニークさがたまらなくなるのである。そして,ここではやっぱりMonkはArt Blakeyと相性がいいねぇと思わせる演奏である。それはBlakeyの順応力とも言えるが,なんとも立派なものである。

といことで,これを聞くのも超久しぶりではあったが,結局Monkの音楽の魅力に改めて気付かされた私である。十分星★★★★☆に値すると思えた作品。

Recorded on March 17 and April 3, 1956

Personnel: Thelonious Monk(p), Oscar Pettiford(b), Art Blakey(ds)

2017年8月14日 (月)

Frankie Miller:ブルー・アイド・ソウルだねぇ。

"Full House" Frankie Miller (Chrysalis)

_201708131970年代の英国ロック・シーンには,ソウル色の強いロック・シンガー(所謂Blue Eyed Soul:ブルー・アイド・ソウル)っていたなぁと思わせるが,Robert Palmer,Jess Roden,そしてこのFrankie Millerが筆頭と言われることもある。まぁ,Robert Palmerは私の中では,それだけの人ではないので,同列には捉えることはできないと思うが,いずれにしても,このブログに書いたこともあるように,Jess Rodenなんていい歌手である(記事はこちら)。

そして,今日は残るFrankie Millerである。このアルバムは,国内盤も出たと記憶しているが,本作が出た1977年頃ってのは,私はアメリカン・ロック,あるいはジャズにはまりだしている頃であるから,本作はアルバム・ジャケットは印象に残っていても,当然購入していない。しかし,後にどうしてもこのジャケを見ると,聞いてみたくなって再発盤を購入したのであった。

アルバムは冒頭の"Be Good to Yourself"からソウルごころ溢れる歌唱満載である。この人の掛かってはJohn Lennonの"Jealous Guy"すらソウル・ミュージックのように聞こえさせてしまうのだが,まぁちょいとやり過ぎ感はあるにしても,こういう音楽を聞くと,おぉっ,いいねぇと思ってしまう私である。

今,聞くとさすがに時代を感じさせるサウンドではあるのだが,私のような世代の人間にとってはこういう音楽は訴求力が高い。ついつい燃えてしまうのである。こういう歌い方されると,カッコいいよねぇとつくづく思ってしまった私である。Chris Thomasのナイスのプロデュースもあって,非常に聞きどころとガッツに溢れたアルバムだと言えると思う。もちろん,こういうアルバムを聞くぐらいなら,王道のソウル・アルバムを聞いていりゃいいじゃんという指摘もあるだろう。だが,ロック・フィールドからのソウルへのシンパシーを感じさせるこういう作品,私は大好きである。星★★★★☆。ということで,こういうアルバムはもっと評価されて,多くの人に聞いて欲しいなぁと思う。そうは言いながら,私が保有しているFrankie Millerのアルバムはこれだけなのだが...(爆)。

Personnel: Frankie Miller(vo, g), Ray Minhinnet(g), Jim Hall(p, org), Chrissy Stewart(b), Graham Deakin(ds), Chris Spedding(g), John 'Rabbit' Bundrick(key),Gary Brooker(key) with the Memphis Horns

2017年8月13日 (日)

久しぶりにBooker Littleを聞く。

"Booker Little" (Time)

_20170812Booker Littleと言うと,私はEric DolphyとのFive Spotが最初に思い浮かぶのは仕方ないとしても,そこでのBooker Littleも素晴らしいものの,やはりあれはDolphyのアルバムだよなぁと思ってしまう。

だが,Booker LittleはもちろんFive Spotだけで語られるべき人ではない。本作然り,"Out Front"然りである。日本においては,おそらく本作の方が"Out Front"よりも人気があると思うが,ここでワンホーンで繰り広げられる演奏を聞けば,このBooker Littleの朗々と歌うラッパに惹きつけられることは間違いない。そして,彼の書くオリジナル曲が,また琴線をくすぐる哀愁度合いなのである。そもそも私はラッパのワンホ ーンが好きなので,私の嗜好にもばっちり合ってしまうのだ。

本作はBooker Littleの演奏を聞くべきアルバムであることは言うまでもないが,メンバーも凄い。ピアノはTommy FlanaganとWynton Kellyが分け合い,リズムはScott LaFaroとRoy Haynesなのである。これで悪い訳がないが,それにしても凄いメンバーである。よくTimeのような弱小レーベルで録音できたものだと思うが,まだまだ彼らのギャラも安かったってことか(笑)。

いずれにしても,Booker Littleの実力がきっちり捉えられ,共演者も大きく貢献した好盤。久しぶりに聞いたが,やっぱりいいねぇ。改めて早過ぎる死が惜しまれる人材であった。星★★★★★。

Recorded on April 13 & 15, 1960

Personnel: Booker Little(tp), Tommy Flanagan(p), Wynton Kelly(p), Scott LaFaro(b), Roy Haynes(ds)

2017年8月12日 (土)

夏のフリー・ジャズ祭(笑):今日は梅津和時~原田依幸デュオ

"Danke" 梅津和時~原田依幸(日本フォノグラム→P.J.L.)

Dankeこうもフリー・ジャズが続くとは,私も相当の欲求不満かもしれない(爆)。今日は梅津和時と原田依幸のデュオである。このアルバム,前々から欲しいと思っていたのだが,なかなか手頃な値段の中古がなく,ほとんど諦めモードだったのだが,まぁ許せる価格での中古をネットで発見して購入したもの。

本作はLP時代で言えば,A面にドナウエッシンゲン(フリー・ジャズ好きにはお馴染みの響き)でのライブ,B面にスタジオ録音を収めたものだが,やはり注目はライブ音源ということになろう。原田のピアノに導かれて,梅津のアルトが咆哮した瞬間の会場のどよめきにこそ,彼らの演奏への聴衆の反応が表れていると思うが,更には2曲目のタイトル・トラック"Danke"で歌いだす二人に聴衆は笑いともどよめきともつかないリアクションを示している。更にアンコールと思しき3曲目で,会場を練り歩いていると思われる彼らの演奏は聴衆に大受けである。

これはフリー・ジャズでありながら,ユーモアのセンスも兼ね備えた(まさに諧謔的という表現がフィットする)彼らの演奏に,現地の聴衆は極めて好意的に反応したと感じられるものである。山下洋輔の音楽にも通じるところがあると思うが,小難しさを排した演奏に,どうも私は強く惹かれてしまうようである。この演奏もまさにそういう感じである。まぁ,悪ノリ一歩手前って気がしないでもないが,いいのである。

こういう音楽は,極力ボリュームを上げて聞きたいが,家族の手前では絶対無理(爆)。ということで,今回も家族の留守中を狙って聞いていた私である(苦笑)。ということで,非常に面白く聞けてこれなら満足ってことで,ちょいと甘めの星★★★★☆。こういうアルバムが普通にリリースされていたのだから,日本というのも凄い国だねぇ

Recorded in Donaueschingen (Live) on October 18,1980 and in Tokyo on November 13, 1980

2017年8月11日 (金)

夏だ,フリーだ,洋輔だ(笑)。その2。

「ミナのセカンド・テーマ」 山下洋輔トリオ(Victor)

Photo世の中,夏休みに突入しているが,私は仕事の関係で,フルフルには休めそうにない状態で,実家にもパソコン持参を覚悟している。そんな精神的にフラストレーションがたまる中,やはりここはフリー・ジャズで憂さ晴らしということで,またも山下洋輔である。

今回は彼らの初のスタジオ作品のはずの本作である。本作が吹き込まれたのは1969年であるから,既に50年近い時間が経過している。しかし,改めて本作を聞いてみて,当時のパワー,エネルギーを感じられて,嬉しくなってしまった。

こういう演奏を聞いて喜んでいる私は一体なんやねん?とも思ってしまうが,この当時から山下洋輔のやるフリー・ジャズには小難しいところ,理屈っぽいところがないのが爽快なのである。体育会系,あるいは格闘技系という感覚が強いと思うが,ついつい聞いていて高揚してしまう私がいる。先日取り上げた"Hot Menu"にも収録されていた「ミナのセカンド・テーマ」が全く違う形で,これぞ山下洋輔というトーンで演奏されるのが面白い。これだけ聞いているだけで私はトランス状態に陥ると言っても過言ではない。

ここでテナーを吹いているのは,オリジナル・メンバーである中村誠一であるが,その後はコンベンショナルな演奏に回帰したかたちの中村誠一が,もの凄い吹奏を聞かせる。それを煽る森山威男も強烈。もちろん,山下洋輔は山下洋輔で激しいものだが,ほぼここから山下トリオのフリーの歴史が始まったことを考えると何とも感慨深い。こういう演奏だから,全然古いとも思わせないし,時間の経過なんてはね返すパワーだと言っておこう。

このアルバムについては,よくよくブログを振り返ると,約8年前にも記事を書いている(記事はこちら)のだが,この8年の間に本盤をプレイバックする機会がどれぐらいあったかどうかは甚だ疑問だ。それでも久々に聞いてもほとんど書いていることが変わらないのは我ながら笑える。やっぱり今回も星★★★★★である。

Recorded on October 14, 1969

Personnel: 山下洋輔(p),中村誠一(ts),森山威男(ds)

2017年8月10日 (木)

夏だ,フリーだ,洋輔だ(笑)。

"Hot Menu" 山下洋輔トリオ(Frasco)

_20170809夏になると,フリー・ジャズが聞きたくなる。それも激しいやつが...(笑)。そんな時に世話になるのがiPhoneに格納されている山下洋輔のアルバム群であるが,今日はその中から本作である。

このアルバムは山下洋輔トリオの米国デビューとなった1979年のNewport Jazz Festivalでのライブの実況盤である。この時,ステージを分けたのがAEOCとWorld Saxiphone Quartetであることが,冒頭のアナウンスでわかるが,この演奏をアメリカの聴衆がどう受け止めたのかってのは興味深いが,激しい曲ほど受けている気がする。

曲は当時リリースしていたアルバム「砂山」から2曲と,懐かしや「ミナのセカンド・テーマ」であるが,冒頭の「うさぎのダンス」は坂田明が緊張していたのか,ちょっとテーマのフレーズを外し気味なのが何となく初々しいが,結構激しい。2曲目の「ミナのセカンド・テーマ」は打って変わって,スローで渋い演奏に徹するが,久しぶりに聞いて,実はこの演奏が私はこのアルバムでは一番いいように感じた。そして,締めは「砂山」であるが,このトリオらしい爆発力のある演奏と言える。

こういうのを通勤や出張途上で聞いているってのもどうなのよって気がするが,この勢いのある演奏は,暑さでぐで~っとなった身体や心に活を入れてくれるって気がする。山下洋輔の音楽ってのは,ある意味爽快なのである。もちろん,一般的な感覚の「爽快さ」ではないだろうが,私にとってはグルーミーな気分を吹っ飛ばすのに貢献してくれる音楽だと言える。そうした貢献度も含めて半星おまけで星★★★★☆。

ってことで,ここ暫くは洋輔のアルバムを聞いて楽しむことにしよう。

Recorded at the Symphony Space, NYC on June 29, 1979

Personnel: 山下洋輔(p),坂田明(as,a-cl),小山彰太(ds)

2017年8月 9日 (水)

超ハードル高い"Sankt Gerold"

"Sankt Gerold" Paul Bley / Evan Parker / Barre Philips(ECM)

Sankt_geroldメンツを見ただけで怖くなるアルバムってあると思う。同じトリオで吹き込んだ"Time Will Tell"ってアルバムがECMにはあるが,保有していても,それも滅多に聞かない。そして,このアルバムなんて,存在すら知らなかったのだが,先日中古盤屋で手頃な価格で売っていたので購入したものの,なかなかプレイバックする気になれず,放置状態がしばらく続いていた。

しかし,意を決して(笑)プレイバックしたら,おぉっ,正調フリー・ジャズと言うか,完全ノン・ビートで演じられるインプロヴァイズド・ミュージックである。この演奏がライブ録音というのが恐ろしいが,一体どういう聴衆が集まっていたのだろう?と思ってしまう。そもそもこれはどう考えても売れんだろうと思えるが,"Time Will Tell"はまだカタログに残っているが,本作はECMのサイトでももはやn/aとなってしまっている。さもありなん(爆)。

珍しくもプロデュースはManfred EicherとSteve Lakeの共同名義となっているが,これはどう考えてもSteve Lakeの趣味だよなぁ。トリオもしくは各人のソロで演じられる全12曲は,Variation 1~12と素っ気ないが,完全にフリー・インプロヴィゼーションなのだから,曲名なんて関係ないってところである。

私のようにフリー・ジャズには「激しさ」を求めるリスナーには,この演奏はやや欲求不満に響く。もちろん,Variation 4におけるEvan Parkerのソロなんて激しいものだが,2分足らずだしねぇ...。

ということで,本作はリスナーにとってはハードルの高い音楽であり,生半可な気持ちで手を出すと間違いなく後悔する,そんな一枚。当然のことながら,私にとってもそんな頻繁にプレイバックしたいと思わせる音楽ではない。但し,Jan Erik Kongshaugによるエンジニアリングは見事だと思う。 見事なまでに楽器の音を捉えたエンジニアリングも含めても星★★★が精一杯。

それにしても今年初めの段階では人口400人足らずの場所で,なんでこんなレコーディングが?って思うのは私だけではないだろう。下の写真はおそらく本作がレコーディングされた場所であるが,こんな小さな町で,そもそもこういう演奏を聞きに来たのって誰なんだ?(笑)

Recorded Live at the Monastery of Sankt Gerold in April 1996

Personnel: Paul Bley(p), Evan Parker(ss, ts), Barre Phillips(b)

Propsteistgerold03_3

2017年8月 8日 (火)

ECMのMisha Alperinってどういうリスナーが聞いているのか...(苦笑)。

"First Impression" Misha Alperin with John Surman(ECM)

First_impression私は何枚かMisha AlperinのECMのアルバムを保有しているが,どちらかというとプレイバックの機会は少ない人である。本作もいつ以来かってぐらい聞いていなかったはずである。そんな具合なので,このブログにも,この人のアルバムについては書いたことがない(苦笑)。

ウクライナ出身のMisha Alperinはノルウェーに居を移し,現在は同地で教鞭も取っているらしいが,この人がやっている音楽はジャズ的な要素はないとは言わないが,どちらかと言えば,現代音楽に近い部分も感じてしまう。

ピアノは静謐系ながら,フリーな展開も交えた音楽は,私としてもECMらしいねぇと思うのは事実であるが,果たしてこの音楽がどの程度のオーディエンスに訴求するのかは,正直言って謎である。ECMレーベルの中でも,決定的に美的とは言えないところがあるので,この人の魅力はなかなかつかみどころがないと言えると思う。

本作もJohn Surmanの参加は魅力ではあるが,まぁ客演だよねって感じであり,Surmanのブロウに期待すると,はしごをはずされる(笑)。結構いいメンツだと思えるが,やはりリーダーの色に染めた感じが強いのは当然か。

だが,本当にこれを聞いて面白いと思えるかと言うと,私はそうとも言えないというのが,久しぶりに聞いた上での正直なところである。Alperinのソロ・ピアノなんて美しい響くをもたらす瞬間もあるが,全体で見ると方向性がどうも曖昧なので,星★★★ぐらいで十分だろうなぁ。

Recorded in December 1997

Personnel: Misha Alperin(p), John Surman(ss, bs), Arkady Shilkloper(fr-h, fl-h), Terje Gewelt(b), Jon Christensen(ds), Hans-Kritian Kjos Sorensen(perc, marimba)

2017年8月 7日 (月)

Amazon Primeで見た「人間の証明」。しょうもないねぇ。

「人間の証明」('77,東映)

Photo監督:佐藤純彌

出演:岡田茉莉子,松田優作,鶴田浩二,George Kennedy,ハナ肇,岩城滉一,三船敏郎

「読んでから見るか,見てから読むか」というメディア・ミックスによる宣伝により,ヒットしたこの映画,私はこの年になるまで見たことがなかった。私は昔から洋画指向が強かったので,子供の頃に見た怪獣映画やオリジナル「日本沈没」などを除けば,高校まではほとんど邦画を見た記憶がない。この映画ももはや40年前の映画なので,私が高校生の頃の映画だが,高校時代は映画より音楽に関心がシフトしていたこともあり,この映画も存在は知っていても見ていない。それを気まぐれでAmazon Primeで見たのだが,正直言ってつまらないことこの上ない。ニューヨークで展開されるカーチェイスなんて,スピード感も迫力もゼロである。

脚色が松山善三と思えないほど,雑と言うか,そんな簡単にことが運ぶのかと思わせるのがきつい。上映時間の縛りもあるとは思うが,脚色は頂けない。原作は遠い昔に読んだ記憶があるが,そもそも棟居刑事を演じる松田優作がミスキャストだろうと思わざるをえない。

意外だったのが,本作の主演(ヘッドライナー)が岡田茉莉子だったってことである。もちろん,ドラマの基軸として岡田茉莉子が非常に重要な役割を担うのだが,棟居刑事ものであるならば,普通ならば松田優作がトップに据えられてもいいように思うが,そこは当時の役者の格を考慮したってことかもしれない。いずれにしても,あんな刑事はおらんわ。

その一方で,次から次へといろいろな役者が登場して,あぁあの人も,この人もって感じはそれはそれで懐かしい(伴淳三郎とか,北林谷栄とか...。竹下景子も出てたのねぇ。)のだが,映画としては全く評価に値しない。当時,金を出してまで見に行かなくて正解。今回,気まぐれでも2時間以上かけてこの映画を見たのは大失敗(爆)。星★☆。当時としては頑張ってアメリカ・ロケしてみましたって感じだろうが,今となってはそれが何か?ってところに,時の流れを感じることにしよう。

2017年8月 6日 (日)

追悼,Sam Shepard

Img_0006

Sam Shepardが亡くなった。ALSで闘病中だったようだが,去る7月27日にこの世を去ったということである。

Sam Shepard と言えば劇作家としても著名だが,私にとっては映画「ライト・スタッフ」で演じたChuck Yeagerの印象があまりに強烈である。Sam Shepard演じるChuck Yeagerこそ,男の中の男って感じで,マジで痺れてしまった。

映画そのものも傑作であるが,その印象を強めたのはSam Shepardにほかならない。Sam Shepardを偲んで,「ライト・スタッフ」を再見することにしよう。でも長いんだよねぇ...(苦笑)。

R.I.P.

2017年8月 5日 (土)

ArtsistShare盤を取り上げる前に,本家(笑)"Jim Hall Live!"

"Live!" Jim Hall (Horizon)

Jim_hall_liveArtistShareから本作の続編として"Live  Vol.2-4"が再発されて,入手が比較的容易になったので,遅ればせながらそちらをゲットした私だが,そのライブの本家と言えるのがこのアルバムである。私はJim Hallのアルバムは結構聞いてきたつもりだが,このアルバムはなぜか縁がなかったので,今回ArtistShare盤の購入に併せて,結構な廉価で入手したものである。今頃になってこのアルバムを聞いてみて,改めてその素晴らしさを認識したので,ArtistShare盤について書く前に記事にしておきたい。

タイトルにはエクスクラメーション・マークが付いているが,はっきり言ってしまえば,びっくりするような演奏ではない。やっているのは全部スタンダード,編成もコンベンショナルなギター・トリオってことで,一聴すると地味にさえ聞こえる。しかし,ここで聞かれるJim Hallの歌心,そしてPat Methenyにさえ影響を及ぼしたフレージングが実に素晴らしい。私はJim Hallのコピーに挑んだことはないが,前にも書いたが,技を技と感じさせることなく,それでもよくよく聞くと結構凄いってのがこの人の音作りってことになると思う。

私はこれまでも何枚かJim Hallのライブ盤を聞いたことがある。Red Mitchellとのデュオ盤なんて渋さの極致みたいなところだが,トリオでいうと,全く同じ編成で録音された"Live in Tokyo"があるが,正直言って,本作の方がずっとよい出来と思える。それはお馴染みのスタンダードをやりながら,誰がどう聞いてもJim Hallの音楽に仕立てているところに感動すら覚えるからである。こういうアルバムを今まで未聴で過ごしてきた不明を恥じた。反省も込めて星★★★★★としてしまおう。

Recorded Live at Bourbon Street, Toronto in June 1975

Personnel: Jim Hall (g), Don Thompson (b), Terry Clarke (ds)

2017年8月 3日 (木)

Peter Serkin@すみだトリフォニーホール

Peter_serkin

クラシックのコンサートに行くのは3年以上前にKrystian Zimermanを聞いて以来のことである。その前はKyung-Wha Chungで,更にその前はRadu Lupuだった。滅多にクラシックのコンサートに足を運ばない私が,珍しくも行きたいと思ったのが今回のPeter Serkinである。

私は彼の弾く現代音楽のアルバムが非常に好きで,結構な頻度でプレイバックしているが,その一方で,彼の弾くバッハも評価している。思い起こせば,今回のリサイタルにおけるメイン・プログラムである「ゴルトベルク変奏曲」の私が長年聞いてきた演奏が吹き込まれたのはもう20年以上前のことである。時の流れは早いとつくづく感じるが,聞けばPeter Serkinも既に70歳。その方が正直言って驚きだった私である。

世の中に「ゴルトベルク変奏曲」が嫌いだなんてリスナーがいるのかと思えるほど,この曲は素晴らしいと私は思っている。しかし,一般的な印象はGlenn Gouldの演奏が強烈過ぎるわけだが,ピアノ演奏においては,Gould以外では私はAndrás Schiff盤とこのPeter Serkin盤が好きなのだ。だから,今回,Serkinがこの曲をリサイタルで演奏すると知った時には,勢い込んでチケットをゲットしたのであった。

そして,今回のプログラムは次の3曲。

モーツァルト/アダージョ K.540
モーツァルト/ピアノ・ソナタ第17(16)番 変ロ長調 K.570
J.S.バッハ/ゴルトベルク変奏曲 BWV988

第一部はモーツァルトだった訳だが,冒頭から何とも深い音楽を聞かせてもらった気分である。K.540とK.570を連続して演奏し,曲間の拍手もなしという緊張感溢れる展開だったが,そこで聞かせたSerkinのピアノの何とも素晴らしかったことよ。私には深遠という表現しか思い浮かばなかった。こうなると当然,メインの「ゴルトベルク変奏曲」への期待は高まろうというものであった。

そして,休憩後の「ゴルトベルク変奏曲」である。Serkinは冒頭のアリアから繰り返しを行ったが,演奏はかなり自由度が高いというか,繰り返しが行われたのは一部の変奏に留まり,どういう理由でそうなるのか考えていた私である。そして,演奏そのものも,同じ変奏の中でもテンポが変わる場面もあるとともに,右手と左手の動きも微妙なずれを感じさせるような,かなり面白いものであり,実はSerkinの「ゴルトベルク変奏曲」はこんな感じだったっけ?と思っていたのである。ある意味,非常にユニークな響きだったとも言えるが,私個人としては違和感がなかったわけではない。

だが,Serkinはインタビューに答えてこう言っている。『《ゴルトベルク変奏曲》はあまたの可能性を秘めています。思い返せば、私はこの作品を1度たりとも、以前と同じように演奏したことはありません。ただし、その都度あらかじめ「こう弾こう」とすべてを決めて舞台に立つわけではなく、だからと言って、一時の気分に振り回されて恣意的にさまざまな奏法を「でっちあげ」ているわけでもありません。それはまるで即興のように、その場の自発性に委ねることを意味します。』

自発性に委ねる。まさしくそういう感じの演奏だったと言ってもよい。94年録音の演奏は比較的コンベンショナルな響きがあったが,今回の演奏はそれと違って当然ということなのであり,それがPeter Serkinのこの曲のプレイ・スタイルなのだということを後になって知って納得した私である。そういう意味で,今回のリサイタルも一期一会と言うべきものであり,私が感じた違和感も,一回性ということを考えれば,それはそれでありなのだと思える。

そんな演奏をしてしまえば,アンコールに応えることはおそらく不可能ということだったであろうし,ゴルトベルク変奏曲の演奏終了後,暫くの間,静止していたPeter Serkinの姿もさもありなんってところであろう。でも,私は前半のモーツァルトにより感動したが...(苦笑)。八ヶ岳でも聞いてみたかったなぁなんて,今頃思っている私。尚,上の写真はすみだトリフォニーホールのサイトから拝借したもの。

Live at すみだトリフォニーホール on August 1, 2017

Personnel: Peter Serkin(p)

2017年8月 2日 (水)

Toots~Pass~NHOPの組合せ:Pablo Liveらしいよねぇ。

"Live in the Netherlands" Toots Thielemans / Joe Pass / Niels-Henning Ørsted Pedersen (Pablo Live)

Toots_netherlands_31970年代後半から1980年代前半にかけて,Pablo Liveシリーズとして,結構な数のアルバムがリリースされたと記憶しているのだが,これもそんな一枚。正直言って,アルバムのリリースの数が多過ぎて,同時代のタイミングではほとんど購入していなかったし,当時の私の趣味にPabloレーベルのアルバムが必ずしもフィットしていた訳ではない。

そうは言っても,このアルバムはToots Thielemansということで購入した訳だが,名人によるセッション・アルバムって感じがして,出来がどうのこうの言うのは野暮な気がする。ただ,その場にいれば大いに楽しめるものも,ライブ音源として聞いてしまうと,やっぱり雑って気がしないでもない。

まだこの頃のTootsは口笛も吹いているし,ギターも弾いている。Joe Passのバックでコードを弾いたりしているのも,まだまだ若かった頃のTootsって感じで相応に楽しめるのだが,やっぱりこれは一丁上がり的セッション・アルバムとして捉えるべきで,私にとっては,Tootsを聞くならいの一番にこれとはならないというアルバム。まぁ,彼らの名人芸に免じて星★★★で十分で,それ以上に評価する気にはなれないってのが正直なところ。

_20170731尚,上のジャケ写真はオリジナルのLPのものだが,私が保有しているのはOJCのCDなので,ジャケは右のように変わっている。まぁ,大差ないって言えばその通り(笑)。

Recorded Live at the Northsea Jazz Festival on July 13, 1980

Personnel: Toots Thielemans(hca, g, whistle), Joe Pass(g), Niels-Henning Ørsted Pedersen(b)

2017年8月 1日 (火)

Judit Neddermann:これはいいねぇ。

"Tot El Que He Vist" Judit Neddermann(Temps)

Totelqhevistショップをうろついていて,目についたアルバムである。ついでに試聴ができたので,冒頭の2曲を聞いて,即購入決定であった。

Judit Neddermannという名前は,不勉強にして初めて聞いたが,カタルーニャ出身のシンガー・ソングライターである。カタルーニャと言えば,バルセロナであるが,現在はスペインからの独立運動で盛り上がっている。スペインはもともと各地域ごとの独立心が旺盛な土地柄であるが,そうした要素はこの人の音楽とは無関係である。

そもそもスペインの音楽と言えば,単純な私の頭の中では即フラメンコとなってしまうわけだが,ここで聞かれる音楽はフラメンコとは全く異なり,ブラジル的なサウンドと言ってもよい。そして,私がこのアルバムに魅かれたのは,Judit Neddermanの声そのものにほかならない。なんと素敵な声だろうか。

この声と,控えめなバッキングが相まって,非常に爽やかな時間が優雅に過ぎて行く。この感覚はPaula Santoroのアルバムを初めて聞いた時の感覚に近いように思える。

全編に渡って素晴らしい声を聞くことができるが,最後の"Luesia"だけ,パーカッションが賑やかに鳴り響き,ちょいと感じが違うのがやや惜しく感じてしまうが,それでもこのアルバムのよさはより多くの知ってもらいたいと思えるものであった。

参加ミュージシャンが多いので,パーソネルは省略するが,いずれにしてもこれは嬉しい発見であった。星★★★★☆。ついでにYouTubeに映像がアップされているので,それも貼り付けておこう。直感を信じて買ったが,これはやっぱりええですわぁ。

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