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2017年3月31日 (金)

遅ればせながら追悼,Leon Ware...。

Leon_ware

ある雑誌を読んでいて知ったのだが,2/23にLeon Wareが亡くなったようだ。私がアルバム単位で初めて彼の音楽に触れたのは,"Moon Riding"でのことであったが,そのメロウさに驚かされ,そして遺作となったであろう"Sigh"ではセクシーさに参ってしまった私であった。

まさに「メロウ大王」の名に相応しかった彼も年齢には勝てなかったということであるが,そのキャリアを通じて,優れた楽曲を残し,人々の記憶に残ることは間違いない。

R.I.P.

2017年3月29日 (水)

Esperanza Spalding@Blue Note参戦記

Esperanza_at_blue_note私が,Esperanza Spaldingのライブを見たのはほぼ4年前のオーチャード・ホールに遡る(その時の記事はこちら)。その後も昨年は"Emily's D+Evolution"のリリースを受けたツアーを行っているが,それは私は見ていない。だが,新作はミュージック・マガジン誌ではアメリカン・ロックとして評価されていて,へぇ~と思っていた私である。

そんなEsperanza Spaldingが突如,トリオで来日してBlue Note東京でライブをやると聞いては,やはり気になる。告知されたのが公演約1カ月前ぐらいだったはずなので,急きょ決定みたいな感じだったのではないかと思える。ということで,初日の2ndセットに参戦してきたのだが,この公演は,最近では最もネットの予約がつながりにくかったものの一つと言ってもよいかもしれない。それぐらいの大人気で,3日間,ほぼソールド・アウトのような状態のようである。

今回はEsperanzaのベース,ヴォーカルにギター,ドラムスという最小編成と言ってよいものであったが,際立つのがEsperanza Spauldingのベーシストとしての手腕である。とにかくうまい。アコースティック・ベース,フレットレス5弦エレクトリック・ベースをほぼ半々で弾いたEsperanzaであったが,ファンクであれ,ブラジル・フレイヴァーであれ,4ビートであれ,何でもござれである。しかもそれが素晴らしい音で奏でられるのだから,ベーシストとしてだけ活動しても間違いなくやっていけると確信させるに十分。そこにあの声がかぶさると,もはやジャズ界では無敵って感じがする。私は,ヴォーカルの魅力は認めつつも,今回は完全にベース・プレイヤーとしてのEsperanzaに圧倒されたというのが正直なところである。

そのEsperanzaを支えたギターのMatthew Stevensはリーダー作もリリースしているが,テレキャス1本,かつエフェクターにほとんど頼らない音で勝負するという感じであった。この人のフレーズのアウト感覚には,聞きながら,「変わってるわ~」と思わせつつも,聴衆には受けていた。ギターは変態的だが,1stと2ndの間に,トイレの脇でスマホをいじくっていた彼を目ざとく見つけた私は,ちょいと声を掛けたが,話しっぷりは好青年そのもの。握手の力強さが印象的なナイスガイだったということは付け加えておこう。

そして,ドラムスのJustin Tysonはサポートに徹するという感じの叩きっぷりであったが,非常にタイトなドラミングはバンドとしてのノリをプッシュする力強さがあったと思う。

曲は新旧取り混ぜて満遍なくって感じだったが,私はWayne Shorterの曲にEsperanzaが詞を付けた"Endangered Species"のファンク的な乗りがベース,ヴォーカルともに一番だったと思っている。ちなみにEsperanzaは途中で,聴衆がおとなしいって言っていたが,確かに普段の彼女のライブならば,もう少しワイルドなレスポンスがあるのかもしれない。まぁ,大部分はロックなノリの聴衆ではなかったので,まぁそれも仕方ないだろう。

演奏は本チャンが55分ぐらいの短めのセットだったが,アンコール2回で都合75分ということで,まぁ普通かなぁってところであったが,やはり日頃からエンタテイメントとしてのライブを行っていることを感じさせる演奏で,大いに楽しめた。これで私の体調がもう少しよければ,尚よかったんだけどねぇ(苦笑)。

Live at Blue Note東京 on March 27, 2017,2ndセット

Personnel: Esperanza Spalding(b, vo),Matthew Stevens(g),Justin Tyson(ds)

2017年3月27日 (月)

実家から持ち帰ったJeff Kashiwaの初リーダー作

"Remember Catalina" Jeff Kashiwa(Fahrenheit)

_20170325先日,お彼岸で実家に帰った際に何枚か持ち帰ったCDの1枚である。Jeff Kashiwaと言えば,Rippingtonsでの活動が知られるところだと思うが,そんな彼の初リーダー作がこれのはずである。

本作がリリースされた頃は,私は某金融機関へ出向の身で,日頃,かなりのストレスを抱えながら仕事をしていたのだが,そういう私の心情が,こういうCDに目を向けさせたのではないかと思う。音楽としては典型的なスムーズ・ジャズである。スムーズ・ジャズという言葉ももはや死語と化したが,言い方を変えれば,ライト・フュージョンである。こうした音楽のいいところは,何も考えずに気楽に聞けることであり,ストレスフルな生活を送っている中,音楽もシリアスなものなど聞いてられないと思っていたのではないか。

世にあるスムーズ・ジャズも当然のことながら,いいものもあれば,そうでないものもある。正直言って全く聞くに値しないようなものもあるが,本作を久しぶりに聞いてみると,結構悪くないと思ってしまった。スムーズ・ジャズはソフトでメロウ(笑)な路線に走る場合がかなりの確率であるわけだが,このアルバムは比較的ビートが効いていて,どちらかと言うとドライビング・ミュージックとして使えるなぁって感じである。あくまでも気楽に聞き流せるってことで,フィットするタイミングで使えばいいということだ。ほぼメンツを固定して制作したのもうまくいった要因かもしれない。

まぁ,そうは言っても,ずっと実家に置いたままにしておいてもいいようなレベルのものではあるが,たまにはこういうのもいいねってことで。星★★★☆。

Personnel: Jeff Kashiwa(as, ss, a-fl, prog), Dave Kochanski(key, prog), Mark Stephens(key), David Benoit(p), Dave Samuels(vib, marimba), Allen Hinds(g), Tom Bevan(g), Melvin Davis(b), Steve Bailey(b), Dave Hooper(ds), Eddie Drayton(perc), Gary Gardner(perc), Tommy Hooper(ds loop), Wendell Kelly(tb), Matt Fronke(tp), Kye Palmer(tp)

2017年3月26日 (日)

久々のサッカーネタ:アジア最終予選のUAE戦を振り返る

Photo_2

危ないシーンもあるにはあったが,敵地での2-0の勝利は快勝と言ってよいものだったと思う。

今回,試合が近いのは認識していたのだが,WBCに注意が向いていて,試合の中継に気がついたのが,当日,会社から帰宅してからのことという全くの体たらくだったのだが,いずれにしても試合が見られたのはよかった。

Photo_3試合では久保の角度のないところからのナイス・ゴールで先制して,あまり時間を置かずにカウンターを食らったシーンには肝を冷やしたが,久々の代表戦となったGK川島の果敢な飛び出しで,失点しなかったのは大きかった。

今回の試合を見ていて,日本代表の戦い方に変化があったとすれば,ゴール近くでの,低くて速いパスを多用していたことのように思える。これまでのセンタリングのイメージを変えるパス出しにはちょっと驚いたが,今回の戦いでは相応に機能していたように思えた。まぁ,所謂高速クロスは酒井宏樹の持ち味であり,サイドバックは右の酒井が効いていて,左の長友がほとんど目立ってなかったことの裏返しのような気もするが...。また,ディフェンス面では,UAEで最も警戒すべきMFオマルの動きをほぼ抑えたのは大きかった。

UAE戦での活躍が著しかった今野と,FWとしての役割を果たしていた大迫の怪我による離脱は痛いが,次の相手がまだタイでよかったってところか(タイには悪いが...)。次はホームでのタイ戦であるが,当日は出張先で飲み会中のはずである。試合経過を気にしながらも,タイには圧勝することを期待して宴席に参加することにしよう(爆)。

2017年3月25日 (土)

ようやく読了:「騎士団長殺し」

Photo

「騎士団長殺し」 村上春樹(新潮社)

長年,村上春樹の本に接している人間としては,昨今のノーベル賞騒ぎや,発売日のカウントダウンなど,「おい,おい」と言いたくなるのも事実であるが,そうしたムーブメントを起こす作家がいるかと言えば,多分そんなこともないのだろう。いずれにしても,私はそうした「騒ぎ」に対しては斜に構えて見ているわけだが,いずれにしても,村上春樹が長編を発行するとなれば,「1Q84」以来なのだから,やっぱり期待はしてしまうのが,長年のファンってものだろう。一方で,これだけファンも多い人だけに,アンチも多数存在するのも世の常ってことで,世間にも賛否両論であることは間違いない事実である。

私は現在の家に引っ越してから,通勤環境が変わったので,読書に割ける時間は,以前に比べれば大幅に短くなっているから,読書量も昔に比べると激減しているため,今回の新作も結局1カ月近く要してしまった。それでも,暇を見つけては読ませるだけの面白みは感じさせるものだったと思う。

相変わらず,なんのこっちゃ的なシュールなストーリーとも言えるが,今回のテーマは副題にも見られる通り,「イデア」と「メタファー」なのだろうと思う。村上春樹の小説は,エンタテインメント的に読ませる力を持ちつつ,解釈を読み手の各々に委ねる部分が特徴的だと私は感じているのだが,今回特に私は,これって何の「メタファー」なのよ?と思いつつ読んでいたというのが正直なところだった。この何が現実で,何が現実でないかがわからない世界っていうのは,村上春樹に特徴的なスタイルだと思うが,「メタファー」については,やはり個々人の解釈によって大きく異なると思うし,現実と現実ならざるものの境界線も人それぞれってことになるわけだ。それはおそらく登場人物にも当てはまる。

いずれにしても,私には書評としてこの記事をアップすることはできないが,このある意味訳の分からない世界は,村上春樹の真骨頂って気もする。登場人物の造形も非常に面白かった。「白いスバルフォレスターの男」っていう表現からして,普通の人では絶対思い浮かばないものだろう。

毎度のごとく,音楽ネタも豊富だが,私が大いに笑ったのが,主人公の友人,雨田政彦のカーステレオのカセットに入っているAOR群だったかもしれない。懐かしい名前の総動員みたいな感じであった。

ということで,私にとっての村上春樹の最高傑作ではないとしても,大いに楽しませてもらった。星★★★★☆。

2017年3月24日 (金)

Enzo Favata@イタリア文化会館に行ってきた

Enzo_favata東京の九段にあるイタリア文化会館は,たまにイタリア人ミュージシャンのライブが無料で見られる。それも結構真っ当な人たちが出演するので,ライブの告知はチェックするに値するヴェニューである。私は以前,Dado MoroniとMax Ionataのデュオをここで見たことがあるが,今回は全く知らないミュージシャンであったが,無料ということもあり,ネットで申し込みの上,行ってみた。

Enzo Favataという名前は,初めて聞いたが,イタリア文化会館の告知によると,「サルデーニャ島出身。1983年ジャズミュージシャンとしての活動を開始。1988年にカルテットを結成し、サルデーニャの民族音楽に、ジャズのインプロヴィゼーションや他国の民族音楽を取り入れた演奏を行う。映画音楽のほか、演劇、ラジオ、テレビ番組のための作曲もてがける。毎年夏にサルデーニャ島北部の町サンタ・テレーザ・ディ・ガッルーラで開催されている国際ジャズフェスティバル「ムジカ・スッレ・ボッケ」のディレクターを務めている。」とある。今回のライブも「ジャズ・ライブ」と銘打ったものだが,ミュージシャンは彼一人で,あとはラップトップやシークェンサーを駆使した音楽は,ジャズ的というよりも,私には映画音楽的に響いた。

ある意味,アンビエント・ミュージックに近い雰囲気もあるので,私は何度か頭を垂れそうになってしまったが,なかなか面白いライブだった。それはEnzo Favataが駆使する楽器がいろいろあったからである。ソプラノ・サックス,クラリネット,バスクラに加えて,バンドネオンやら,Jew's Harp(口琴,マカロニ・ウェスタンの音楽なんかに出てくる,口にくわえるなどして、その端を指で弾くもの),更にはサルディニアの古楽器(確か2100年前のものとか言っていたがほんまか?)まで使って,色々な音色を聞かせたからである。

イタリア文化会館のライブは,日頃,ジャズに関心のなさそうな聴衆まで集まるところは,武蔵野スイング・ホールの聴衆に近いものがあるが,それにしても,今回,「ジャズ・ライブ」だと思って来場した人には,違和感が大きかったんじゃないの?と言いたくなるようなものではあったが,そこは雑食の私(笑),全然問題なしであった。

知名度も高いわけではないであろうEnzo Favataの今回の来日がどういう理由によるものかはわからないが,今回聞かせたような音楽であれば,やはり映画音楽としてのフィット感が強いと思わせるものであった。だが,それは欧州の映画にこそフィットするのであって,決してハリウッド製の大作ではありえないって感じだろう。いずれにしても,世の中にはいろいろな音楽があるねぇと思わせたライブであった。写真はネットからの拝借。

Live at イタリア文化会館 on March 23, 2017

Personnel: Enzo Favata(ss, cl, b-cl, jew's harp, bandneon, vo,laptop, and others)

2017年3月22日 (水)

NYCに乗り込んだJulian & Roman Wasserfuhr兄弟

"Landed in Brooklyn" Julian & Roman Wasserfuhr (ACT)

_20170320前々作"Gravity",前作"Running"と非常にいいところを聞かせたJulian & Roman Wasserfuhr兄弟が約3年半ぶりにリリースする新作はNYCに乗り込んでのレコーディングである。

私は彼らの音楽をロマンティシズム溢れると表現しているが,そんな彼らが今回共演者に選んだのがDonny McCaslin,Tim Lefebvre,そしてジャズ界のプーチン(笑)ことNate Woodというどちらかというと,ハイブラウなファンクもこなす面々というのがまず意外であった。一体どういう演奏になるのかというのが,まずこのアルバムの情報を知った時の私の感覚であった。

だが,誰が共演だろうが,彼らの演奏はそんなに変わったって感じはしないが,ロマンティシズムは抑制気味に思えるが,むしろジャズ的な感覚は強くなっているように感じるのは,メンツゆえって感じがしないでもない。だが,ロマンティシズムというより,メロディアスという感覚を横溢させており,私としては1曲目の"Bernie's Tune"からして,おぉ,今回もいいねぇと思わせるに十分なものであった。"Bernie's Tune"と言っても,Gerry Mulliganがやったのとは同名異曲であり,これは兄弟によるオリジナルであるが,なかなかの佳曲である。

アルバム全体を通してもメロディアスな曲が並んでいるが,その中でこの人たちらしいのが,ロックに対するシンパシーを感じさせる選曲があるところである。今回はドイツのロック・バンド,Tokio Hotelの"Durch den Monsun"とStingの"Seven Days"が入っている。後者の途中に出てくるソロは,まるでPat Methenyのギター・シンセのような感じなのが面白いが,マリンバの使用も含めて,そこはかとなくPat Methenyの影響を感じさせるところがあるのはある意味微笑ましいが,そういう世代なんだろうなぁと思う。

どうやったら,こんな音が出るのかと思って,クレジットを眺めるとRoman WasserfuhrがSeaboardを弾いているとある。Seaboardってなんだと思って調べてみると,「革命的であり、タッチセンシティブ・インターフェースとパワー、そしてカスタムビルドのシンセサイザーをシームレスに統合し、MIDIコントローラー上前例のない表現力の可能性を開きます。」,あるいは「フィーリングとレスポンス。センサーが搭載されたSeaboard RISEKeywaveサーフェスによって、タッチでサウンドを形成することができます。シリコン製サーフェスを継続的にプレスして左右に指をスライド、Keywaveまたはリボンに沿って上へスライドすれば、それぞれの動きに合わせてサウンドがモジュレート。全てのシーボード・インターフェース上でアコースティック楽器や電子楽器を表現豊かに奏でることが可能です。」なんて書いてある。わかったようでわからん説明だが,映像があったので貼り付けておこう。これを見ると世の中進化してるねぇ(笑)。

閑話休題。そうした新しいテクノロジーも導入しながら,彼らのよさというのは不変であり,今回も大いに楽しませてもらった。何度聞いてもドイツっぽくないサウンドだが,私は彼らの音楽は大いに支持したいと思う。ということで,今回も星★★★★☆としてしまおう。共演者も,彼ららしいイケイケ感を抑制した好演で応えていると思う。

Recorded on August 13 & 14,2016

Personnel:Julian Wasserfuhr(tp,fl-h),Roman Wasserfuhr(p, marimba, seaboard), Donny McCaslin(ts), Tim Lefebvre(b), Nate Wood(ds)

2017年3月21日 (火)

Gary Burtonの引退を惜しむ

GarymakotoGary Burtonが今月の小曽根真とのデュオ・ツアーを以て,音楽生活からの引退を発表した。先日,ほぼ同い年のChick Coreaの激烈なライブを見たばかりだけに,Gary Burtonの引退は解せない部分があったが,本人は「この2年間,演奏は極力抑制してくるとともに,60年に及ぶ演奏生活からいつ引退するかについてずっと考えてきた。しかし,健康上の理由もあり,今が新生活を始める適切なタイミングだった。」と語っているので,これは我々がとやかく言うべき問題ではないということになる。

しかし,昨年,出張時に見たBirdlandにおけるMack Avenue All Starsのライブでの演奏は素晴らしいものだったので,彼の4本マレットによる生演奏がもう見られないというのは,やはり惜しいと思える。その一方で,Gary Burtonが残したアルバム,業績は素晴らしいものであり,それはもはやレガシーの領域だと言ってもよい。

彼がライブの最後のパートナーに小曽根真を選んだのは,Chick Coreaが楽旅中だったからだということもあるだろうが,師弟コンビによる演奏で,音楽生活を締めくくるというのも,教育者としては「あり」の選択だったのかもしれない。

いずれにしても,Gary Burtonには感謝の念を示すとともに,お疲れさまでしたと言いたい。

2017年3月19日 (日)

アイスランドのピアニストが生み出す素晴らしく美しいピアノの響き

"Philip Glass Piano Works" Víkingur Ólafsson (Deutsche Grammophon)

_20170318先日,出掛けるついでにショップのクラシック売り場に行って,現代音楽のコーナーを漁っていたら(笑),ドイツ・グラモフォンからの名前も聞いたことのないピアニストのアルバムが目に入った。しかもPhilip Glassのピアノ曲集である。試聴はできないものかと,試聴機を探していたら,あった,あったということで,冒頭の1曲聞いただけで「買い」を決めたアルバムである。

Philip Glassと言えば,ミニマル・ミュージックと呼ばれることが多いが,ここではミニマル的ではありながら,美しいピアノ作品となっていて,私はMichael Nymanの作品,"The Piano(「ピアノ・レッスン」と言った方が通りがよいかもしれない)"を思い起こしていた。いずれにしても,疲弊した精神や肉体を癒す効果が非常に感じられる作品。

ここでピアノを弾くVíkingur Ólafssonはアイスランド出身の33歳のピアニストであるが,アイスランドという環境がこうした美しさに貢献しているように思えるのは,オスロのレインボー・スタジオで録音されたECMの作品の美しさみたいなものと同質のようにも感じられる。もちろん,Philip Glassが書いた曲がもともと美しいのだってのは事実だが,この清冽な響きはたまらないねぇ。

2曲にストリング・クァルテットが加わるが,これがまた素晴らしいアクセントになっていて,しばらく私はこのアルバムから離れられそうにない。そんな一作である。非常に気持ちいいので,星★★★★★としてしまおう。まじでたまらん。

Recorded on October 24 & 25, 2016

Personnel: Víkingur Ólafsson(p),Siggi String Quartet(on 7&13)

2017年3月18日 (土)

お疲れモードの中年音楽狂

出張,イベント,飲み会続きで,更にはライブもあって,体力的に厳しい私である。音楽は聞いていないわけではないのだが,記事をアップする気力がわいてこない。そういうこともあるってことで,今日は開店休業。年度末でまだまだ飲み会は続くので,結構財布にも厳しい今日この頃。はぁ~。

2017年3月17日 (金)

何年経っても凄かったChick Corea Elektric Band

Chick_corea_eb_at_blue_note昨年,NYCのBlue Noteにおいて,Chick Coreaの生誕75周年を記念して,長期に渡っての連続ライブ・シリーズが展開された際に,再編されたChick Corea Elektric Bandである。私は出張中にJohn McLaughlinとのデュオを見ることができたが,やはりReturn to ForeverとかこのElektric Bandとか,賑々しい音も聞きたかったなぁと思っていたところに,彼らの来日が決まった時には,正直小躍りした私である。そんな彼らの来日公演の東京の初日を聞きにBlue Note東京に出掛けてきた。

振り返れば,私が彼らの演奏を生で見たのは,約25年前に遡る。場所は,今はなきBottom Lineであった。その時のメンツは今回の来日メンバーと同じクインテットであったが,今回それ以来の演奏に接して,もちろん彼らも年を取ったし,私も年を取った。しかし,彼らが今回披露した演奏は,四半世紀を経ても何らテンションが変わらないところが凄い。彼らのきめきめのユニゾンを聞いて興奮しない人間なんているのかと思えるほどのスリリングな展開を聞かせた。

もちろん,テクニシャン揃いであるだけに,ソロ回しが長くなり,やや冗長な感じがする瞬間がなかったわけではない。しかし,彼らの鬼のような演奏を聞いていたら,ほとんどの聴衆は満足して家路についたはずだが,私が聞いた2ndセットは,アンコールまで約1時間45分という長丁場となったが,Chick Coreaは本当に75歳?と思わせるほど元気そのものであった。

昨今のChick Coreaのライブによくある,Chickが弾くフレーズを続けて聴衆に歌わせるという趣向は,正直なくてもいいと思えるし,Frank Gambaleとの対位法的なフレーズのやり取りも,私にとってはイマイチ感があったのも事実である。しかし,この人の頭はどうなっているのかと思わせるDave Wecklの反応,スウィープ・ピッキングによるFrank Gambaleの早弾き,エモーショナルなEric Marienthalのサックス,ファンクも哀愁もなんでもありのJohn Patitucciのベース,そして御大Chick Coreaのいかにもなフレージングをまとめて聞かされたら,まいったと言うしかないのである。まじでよくやるわ。

演奏は非常に楽しめたが,その一方で,やたらにつまらん蘊蓄を並べる隣のおっさんには辟易としていた私である。音楽を楽しむだけならいいが,つまらんコメントを曲間に並べるのはやめてくれと言いたいわ。こういう客ってBlue Noteには多いよなぁってつくづく思う。バンドには何の責任もないが,それがまじで残念。

尚,当日のセット・リストがブルーノートのサイトにあったので,貼り付けておこう。

1. Silver Temple
2. Eternal Child
3. Ished
4. Captain Jocelyn
5. Johnny's Landing
Encore: Got a Match?

Live at Blue Note東京 on March 16, 2017

Personnel: Chick Corea(p, key), Eric Marienthal(as, ss), Frank Gambale(g), John Patitucci(b), Dave Weckl(ds)

2017年3月14日 (火)

出張の友は「騎士団長殺し」と現代音楽(笑)。

昨今の仕事柄,これまで多かった地方出張を抑制している私である。地方出張が全然ないわけではないのだが,今年に入って,飛行機で行くような場所にはほとんど行っておらず,もっぱら新幹線で出張できる範囲にぼちぼち行っているような感じである。

そんな中,久しぶりに連続の出張に出ている私だが,こういう時は,旅の友が必要ということで,村上春樹の新刊「騎士団長殺し」の第2部「遷ろうメタファー編」と,iPhoneに突っ込んだPeter Serkinを中心とするピアノによる現代音楽が今回の私の旅の慰みということになる。

本はさておき,音楽については,ジャズでもロックでもいいのだが,最近,私は好んで現代音楽のピアノを聞くようになっている。先日もとち狂って,John Cageの作品をまとめ買いしているのだが,それもほとんどがピアノである。最近買ったCageの作品も,今回iPhoneに入れたので,旅の道すがらで聞くことにしようと思うが,最近,私は現代音楽の持つ「間」がフィットしているのである。もちろん,iPhoneにはほかにもいろいろな音楽が入っているので,そればかりということにはならないだろうが,集中的にそんな音楽に身を委ねることも必要と感じる今日この頃。

新しく仕入れた音楽及び「騎士団長殺し」については改めて記事をアップすることにしたい。

2017年3月13日 (月)

ようやく見ることができた「マグニフィセント・セブン」

「マグニフィセント・セブン("The Magnificent Seven")」('16,米,MGM/Columbia)

Magnificent_seven監督:Antoine Fuqua

出演:Denzel Washington, Chris Pratt, Ethan Hawke, Vincent D'Onofrio, Bynug-hun Lee, Manuel Garcia-Rulfo, Martin Sensmeier, Haley Bennett, Peter Sasgaard

このブログにも何度か書いたと思うが,私は結構な西部劇好きである。日本のチャンバラ映画が好きなのと同じなのだが,西部劇そのものが全然流行らなくなった昨今においても,そういう映画が公開されれば,大概見に行ってしまうのである。この映画も例外ではないが,随分と見に行くのがぎりぎりのタイミングになってしまった。

タイトルからもわかる通り,「荒野の七人」のリメイクである。だが,キャスティングやらシナリオは現代の世相を反映しているとも言え,7人をスカウトする強い女性もいれば,今回の7人は多民族から構成されているのだ。そこに違和感があると言っては身も蓋もないが,まぁ固いこと抜きで見ればいいのである。私には,この映画がリリースされたのは先の選挙前とは言え,結果的には現米国大統領に対する強烈な皮肉にも思えるが(笑)。

この映画はストーリーも全然違うので,単純な「荒野の七人」のリメイクではないが,ある程度のオマージュは感じられる。Bynug-hun Leeのナイフ使いはJames Coburnの,そしてEthan HawkeのキャラはRobert Vaughnの前作でのキャラを受け継いでいる部分がある。それより,私が感じていたのが,マカロニ・ウェスタン,特に「ウエスタン」へのオマージュ感を強烈に感じていた。描写の激しさはマカロニそのものだし,Denzel Washingtonと悪役Peter Sasgaardの関係性然りである。

そうした意味で,古き佳き時代の西部劇とは異なるものであるが,これはこれでアクション大作として結構楽しんでしまった私である。結局のところ,私の西部劇好きは今でも変わらないってことだ。星★★★★。いずれにしてもDenzel Washingtonがカッコよ過ぎ。

2017年3月12日 (日)

改めてEric Harland@Cotton Clubを振り返る

Eric_harland_at_cotton_club今年1月のCharles Lloydとの演奏でも素晴らしいところを聞かせたEric Harlandが自己のバンド,Voyagerで来日すると聞いたら,聞きに行かないわけにはいかない。彼らのデビュー作である"Live by Night"も大いに高く評価した私なので(記事はこちら),大いに期待をさせられての参戦となった。今回は"Live by Night"のメンツからJulian Lageを抜いたクァルテット編成であるが,Julian Lageはソロ・アルバムも出しているし,自身のバンドでCotton Clubにも出ていたから,まぁそれは仕方あるまい。

私が行ったのは金曜日の2ndセットということもあり,私が最近Cotton Clubに行った中では,極めて集客もよかった。大学のジャズ研の兄ちゃん風の聴衆も結構いるのは,ドラマー・バンドに共通しているように思える。Kendrick Scottの時もそういう感じがしたしねぇ。

これだけの集客であるから,ミュージシャン側としては機嫌よく演奏ができるはずであるから,ますます期待値が高まっていたが,いざ演奏が始まると,いかんともしがたい違和感を覚えていた私である。その違和感は,演奏そのものによるものではない。ライブの形態にである。彼らはアンコール前の約70分間,曲の切れ目なしに組曲風に演奏を続けたわけだが,これが聴衆側にとっては必ずしもよいことではないと思えたからである。

もちろん,ライブは演奏する側のイニチアチブのもとに行われることは異論はない。だが,一般的なジャズのライブの場においては,「合いの手」を入れたり,拍手や歓声を送ることによって得られるカタルシスもあるはずである。クラシックのコンサートにしろ,昔のKeith Jarrettの長大なソロにしても,聞く側もちゃんとそういう心構えができている中で聞くが,Eric Harlandのようなミュージシャンのバンドの場合,過度に聴衆に緊張を強いるのはどうなのかと思えてしまうのである。演奏の質は高かったと思えるだけに,やや聴衆との間にコミュニケーション・ギャップを感じさせるようなライブのスタイルは,少なくとも私にとっては好ましいと思えなかった。せっかくのライブなのだから,聴衆を楽しませることも重要だろう。

Eric Harlandのドラムスはタイトそのものでそれ自体は素晴らしい。Walter Smith IIIはフリーキーなトーンを交えながらのソロを聞かせたが,悪くはないとしても,もう少しフレージングに幅があってもいいと思わせる一方,Harish Raghavanのベースは,ステディでありながら,いい音を出していたのは収穫である。しかし,私が違和感を覚えながら,このライブでいいと思えたのがTaylor Eigstiのピアノである。Kendrick Scottとのライブでも非常に魅力的な演奏を繰り広げたTaylor Eigstiの繰り出すフレージングは,やや辟易としながら聞いていた私の耳を救ってくれたと思えるほどのナイスなものであった。美的なものとスリリングなものを両立させるピアノは本当に良かったと思える。

ということで,演奏の質は高くても,ライブのアンビエンスと両立できなかったことが,今回のライブを私が評価できない最大の理由である。少なくとも私の中では,ドラマー・バンドのライブとしてはKendrick Scott Oracleの圧勝に終わったと思う。期待値が大きかっただけに,やはり納得がいっていない私であるが,まぁ,クーポンを使って,チャージが半額だからよかったんだけど(苦笑)。

Live at Cotton Club on March 10, 2017, 2ndセット

Personnel: Eric Harland(ds), Walter Smith III(ts), Taylor Eigsti(p), Harish Raghavan(b)

2017年3月11日 (土)

昨日のEric Harlandは...。

記憶がヴィヴィッドなうちに昨夜帰宅後,記事を書いていたのだが,誤って保存しない状態で画面をクローズしてしまった。ということで,詳しくは改めてアップするとして,いろいろ言いたいことがあるとだけ言っておこう。

2017年3月10日 (金)

Impossible Gentlemenの3作目がリリースされていた...。

Ig_group_photo

Facebookのお知り合いであるMさんが,FB上に写真をアップされていて,Impossible Gentlemenの3作目がリリースされたことを知った私である。”Let's Get Deluxe"と題された新作がリリースされたのは昨年の7月のようである。ほとんど日本で話題にもなっていないように思えるので,全くノーマークであった。

現在,私はCDを米国から飛ばしているところなので,現物はまだ聞いていないが,一応発注前にはApple Musicで一部を試聴して「買い」を決めたのだが,前2作以上にコンテンポラリー感が増しているように思えた。と言っても,旧作は最近全然聞いていないので,改めて聞いてみる必要があるが...(苦笑)。

今回から,Steve Swallowに代わって,Pat Metheny GroupのSteve Rodbyがベースを務めているが,彼の近影(上の写真の一番左)を見て,随分太ったなぁと思うのは私だけではあるまい。PMGから解放されて,ストレスがなくなったか?(笑)

それにしても,そのPat Methenyのバンドのツアーで多忙なGwilym Simcockが,よくアルバムを吹き込んでいる余裕があったなぁなんて思うのは,私だけではあるまい。

いずれにしても,詳しくはアルバムが届いてから記事にすることとしたい。

2017年3月 8日 (水)

Alan Skidmore:こいつは激しい!

"S.O.H." Alan Skidmore / Tony Oxley / Ali Haurand (EGO)

_20170305_2_2これは以前,このブログでも取り上げたLeszek Zadloのアルバム(その記事はこちら)が聞きたくて購入したEGO Boxに含まれている1枚である。購入したのは随分前になるのだが,長いこと寝かせてしまった。こういうアルバムは,まじで気まぐれか,何かの拍子ではないと聞く機会は少ないと思うのだが,聞いたら嬉しくなってしまうアルバムである。

なぜか。これが激しいピアノレスのサックス・トリオ・アルバムだからである。そもそもAlan SkidmoreはJohn Coltraneへのシンパシーを隠さない人だと思うが,サウンドは違えども,後期Coltraneと同様の激しさを持つアルバムで,この手の音楽に耐性がない人には決して勧められないが,好き者にはたまらないフリー・ジャズ的演奏である。フリー的と言っても,3曲目の"Trio Nr. 10"以外はちゃんと音楽としては成立している(笑)ので,怖がることはない。単に強烈なスリルとエネルギーに溢れた音楽として楽しめばいいということである。但し,"Trio Nr. 10"については,コレクティブ・インプロヴィゼーションでやったのだろうが,あ~あ,やっちゃったって感じの音なので,これはまぁさておきということにしておこう。

まぁ,こういうアルバムを作ってしまうというところが,いかにもドイツのレーベルって気がしないでもないが,同じドイツでもECMとはえらい違いである。もちろん,ECMにも激しいアルバムはあるが,ここまでの熱量はないだろう。ドイツというのは,ジャズの世界では,こういう世界のアルバムが結構制作されているという不思議な国である。そう言えばFMPもドイツだよねぇ。オランダのBvhaastとか,どうして欧州からこういう方向に行ってしまうのかって考えると,背景にクラシック音楽があるがゆえの逆の方向性なのではないかとも思える。

それはさておき,私にとっては,こういう音楽は,いつもなら夏の暑い時期に聞きたくなるようなサウンドである。しかし,これまで未聴でやり過ごしてきてしまったせいで,こんなんだったんかぁ~ってことを今頃気づいているのだから,仕方がない。本来なら,音量を上げて聞きたいアルバムであるが,家人の顰蹙を買うことは確実なので,音量を絞って聞いたが,それでも激しさは十分に感じられるのだから大したものである。

1979年なんて言うと,フュージョン全盛の時期に,その一方でこんな音楽が生まれていたということを考えると,今更ながら面白いよねぇと思うが,私はこの音楽は大いに支持したいと思う。そうした中での"Trio Nr. 10"のいけてない感じと,最後の"Lost in W.G."のフェード・アウトは気に入らない。それだったら,"Trio Nr. 10"をオミットして,"Lost in W.G."をフル収録すればいいものをと思ってしまうのは減点対象ではあるが,聞いていて思わず,笑いながらも燃えてしまった私であった。星★★★★。

Recorded in February, 1979

Personnel: Alan Skidmore(ts, ss), Tony Oxley(ds), Ali Haurand(b)

2017年3月 7日 (火)

バスクラ好きの私:今日はDavid Murrayのバスクラ集

"Ballads for Bass Clarinet" David Murray (DIW)

_20170305私はEric Dolphyのバスクラにはまって以来,バスクラの音というのが結構好きである。近年で言えば,Thomas Savyの"French Suite"なんていう素晴らしいアルバムもあったし,ショップに行くと,必ずHamiet Bluietteのコーナーを見てしまうような私だが,今日はDavid Murrayのバスクラ集である。

David Murrayはテナー・サックスが主としても,バスクラも結構演奏することが多い。だからと言って,バスクラで通したアルバムってのはなかったと思うが,そんなMurrayに1枚,バスクラでアルバムを作らせてしまうのが,DIWレーベルらしい。DIWが海外配給もしていた(なんと,米国での配給はColumbiaレーベルというのが今となっては信じがたい)のは,私がNYCに住んでいた頃なので,90年代前半のことと思うが,本作もそんな頃に吹き込まれたものである。この頃で言うと,DIWには"Shakill's Warrior"なんてのもあったなぁ(遠い目...)。

本作は"Ballad for Bass Clarinet"なんてタイトルがついているが,何もバラッドばかりやっているわけではなく,ミディアム・テンポの曲も含まれている。だが,ここでのDavid Murrayは比較的コンベンショナルな演奏ぶりで,この人の凶暴性を好むリスナーにとってはやや物足りないものに感じるかもしれない。しかし, "Lovers"(これに関する記事はこちら)や"Morning Song"のような結構コンベンショナルな作品も好みの私としては,こういう路線でも全然問題なしである。

もちろん,David Murrayのバスクラの咆哮を浴びたいと思う気持ちがないわけではないが,こうした落ち着いたMurrayもいいと思う。まぁ,ちょいとプロデュースとしては安易だなぁって気がしないわけでもないが,悪くはないと思う。星★★★★。せっかくなので,ドラムスを除いて同じメンツでBlack Saintに吹き込んだ"I Want to Talk About You"でも聞いてみるとするか(笑)。

Recorded on October 14 & 15, 1991

Personnel: David Murray(b-cl), John Hicks(p), Ray Drummond(b), Idris Muhammad(ds)

2017年3月 6日 (月)

Susan姉さんのカヴァー集を久しぶりに聞いた

"Hope and Desire" Susan Tedeschi (Verve Forecast)

_20170304_2今や,Tedeschi Trucks Bandのと言った方がよさそうなSusan Tedeschiであるが,バンド結成前には自身の名義でアルバムをリリースしていて,このブログでもバンド結成前の"Back to the River"を取り上げたことがある(記事はこちら)。その時から「姉御っ!」と言いたくなると書いている私だが,予想通り,その後は夫婦バンド結成を果たし,ライブ活動に明け暮れている感じである(近々,またもライブ盤がリリースされる)。

本作は"Back to the River"より前の,2005年にリリースされたものであるが,注目はJoe Henryのプロデュースということである。Joe Henryは自身のアルバムも渋いが,プロデュースした作品にもしびれるような作品が多い。Loudon Wainwright III然り,Ramblin' Jack Elliott然り,Allen Toussant然りである。もちろん,Hugh Laurieのようなダメダメ盤もあるが,平均点は極めて高く,信頼するに値する人である。

そのJoe Henryがプロデュースするのだから,期待するのが当たり前なのだが,私にとってはこれがちょっと微妙である。バックのサウンドとSusan Tedeschiの声がちょっとアンマッチな感じがするのである。こういう感覚はTedeschi Trucks Bandでは感じたことがないものだ。ここには旦那のDerek Trucksや,バンド・メイトと言ってもよいDoyle Bramhaul IIもいるにもかかわらずなのである。これはおそらく,レパートリーがSusan Tedeschiの声に余り合っていないのではないかと思わせる。

ここで取り上げられたような曲は,もう少し渋いというか,枯れた声で歌われた方が魅力的だと思わせる部分がどうしても残ってしまう。現在のSusan Tedeschiが歌えば,もう少し違った感覚があるかもしれないが,やはりこれはちょっと青臭い感覚が残るのが残念。ということで,新作のライブ盤を期待することにしよう。星★★★。

Recorded on April 1-14, 2005

Personnel: Susan Tedeschi(vo), Derek Trucks(g), Doyle Bramhall II(g),David Palmer(p, el-p, org), Jebin Bruni(org), Paul Bryan(b), Jay Bellrose(ds, perc), Jean McCain(vo), Niki Harris(vo), The Blind Boys of Alabama(vo)

2017年3月 5日 (日)

多国籍トリオ,Benedikt Jahnel TrioのECM第2作:これは私の好みだなぁ。

"The Invariant" Benedikt Jahnel Trio (ECM)

_20170304この人たちの前作"Equilibrium"が非常によかったので,今回の作品も期待できると思っていたが,予想通りの作品に仕上がっている。

ドイツ~スペイン~カナダのミュージシャンからなるこのトリオの音楽は,基本的には欧州的なテイストを持つものであり,美的で静謐で内省的な演奏を基本としながら,ビートも感じさせる瞬間もあり,非常にバランスの取れた演奏だと感じさせる。

そもそも私はこの手のECMにおけるピアノ・トリオの演奏が好物である。Marcin Wasileuski然り,Tord Gustavsen然りである。最近はGiovanni Guidi等も加わって,ECMのピアノは更にラインアップが強化されているが,このBenedikt JahnelのトリオもManfred Eicherのお眼鏡にかなうだけのことはあると思わせる演奏ぶりである。

とにかく,リーダー,Benedikt Jahnelの書く曲の美しさも見事なものであり,この手のサウンド好きには無条件にOKと言わせるに違いない作品である。もちろん,私もこの作品はもろ手を挙げて推薦したい。こういう音楽を聞くタイミングとしてはいつがいいのかなぁなんて思うが,週末の昼下がりに本でも読みながら聞いていたら,読書も心地よく進むこと間違いなしだろう。甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。いいですわ~。

Recorded in March, 2016

Personnel: Benedikt Jahnel(p), Antonio Miguel(b), Owen Howard(ds)

2017年3月 4日 (土)

先日取り上げたGrace Jonesの"Hurricane"のダブ・ヴァージョン。

"Hurricane Dub" Grace Jones(Wall of Sound)

_20170226先日,このブログでも取り上げたGrace Jonesの"Hurricane"であるが,オリジナルのリリースからやく3年後,このオリジナルにこのダブ・ヴァージョンを加えた2枚組としてリリースされており,今や2枚組の方が安く手に入る場合もあるという不思議な状態になっている。ジャケはオリジナルと全く違うものになっているが,こっちはこっちでGrace Jonesっぽいよねぇ(笑)。

まぁ,ダブ・ヴァージョンと言えば,歌を極力排除したリミックスみたいなものなので,これをGrace Jonesの音楽と言ってよいかどうかは微妙なところもあるが,オリジナルに対するオマケだと思えば腹も立たないし,そもそも安いからいいではないか。

本作は,オリジナルのプロデュースも行っていたIvor Guestが中心となって作り上げたヴァージョンであるが,なぜ3年後?という疑問は残る。違う形で,自身のプロデュース作品を残そうという欲求でも働いたのかもしれないが,真相は謎である。

こういうタイプの音楽は,家で聞くというよりも,我ながらワンパターンな表現だが,NYCのイースト・ヴィレッジ辺りにあるこじゃれたバーでかかっていると丁度いいのではないかというものであって,ある意味,環境音楽と言ってもよいと私は思っている。なので,本記事のカテゴリーにもアンビエントを加えたのはそのためである。

私としてはこういう音楽を評価対象とするのかどうかというと,これはあくまでも派生的なものであって,音楽の本質ではないということで,あくまでも聞き流すためのものだと思う。だが,こういう音がフィットする環境もあるだろうし,適切なロケーション,時間帯,あるいは雰囲気でプレイバックされていたら,なんかいい感じだよねえって思うんだろうなぁ。但し,家でこれを大音量でプレイバックしたら,家人から「また訳の分からない音楽の垂れ流し」(爆)と顰蹙を買うこと必定であろう。

でも嫌いじゃないけどね(笑)。

2017年3月 3日 (金)

Jakob Bro@Cotton Club参戦記

_20170302ここのところ,飲み会続きで体力がきつい中,あまり帰宅が遅くなってばかりだと家人の顰蹙を買う。そんな中でJakob BroのライブがCotton Clubで開催されると知り,行くかどうか,迷いに迷っていたのだが,Thomas Morgan~Joey Baronというトリオは,今回を逃すといつ聞けるか(見られるか)わかったものではないということで,参戦を決意したのがライブ前日。上述の通り,帰りが遅いと何を言われるかわからないので,今回は私には珍しく1stセットを聞きに行ってきた。

Jakob Broと言っても,知っている人は知っているだろうが,日本の知名度はまだまだと言ってよいだろう。なので,今回も集客の心配をしていたのだが,やはり入りはイマイチって感じで,大体5割の入りってところか。

そして繰り広げられた音楽は,CDで聞かれたものと印象は同じで,ある意味アンビエント的,環境音楽的な響きであった。しかし,Thomas Morganのベースは繊細でありながら,テクニックは確か,そしてJoey Baronはスティックだろうが,ブラシだろうが,マレットだろうが,平手打ちだろうがなんでもござれの状態で,こうした環境音楽的なサウンドに対しても的確,そして時にダイナミックにサポートする。そしてJakob Broのギター及びトリオの響きは「幽玄」という表現しか思いつかないようなものであった。しかし,一部ではスライドにエフェクターをかませて,ロック的なアプローチを見せるなど,アンビエントだけではないところを示した。とは言え,全体的に見れば,これは環境音楽的アプローチであることは間違いない。それが証拠に,私の周りには完全に熟睡していたオーディエンスが少なくとも3人はいた(笑)。

だが,心地よくまどろめる音楽はいい音楽だとも言えるわけで,音楽のタイプにしては,アンコールを求めるオーディエンスの反応はかなり熱いものがあり,結構受けていたと思えるのはよかった。だからこそ,1st終了後,2ndも続けて聞きたいと店員に話していた聴衆がいたということでもあるが,3者が一体となった非常にいい演奏だったと思う。

Jakob_bro_i_mosaic1stセットゆえ,サイン会があるかどうかは微妙かなと思っていたが,ちゃんとやってくれたので,ついでにJakob BroとThomas Morganと写真を撮影してもらった。いつも通り私の顔にはモザイクを掛けるが,Joey Baronは別テーブルでお知り合いとお話し中だったので,写真には写っていない。だが,話に割り込んでサインだけはしてもらった私である。こういうときは図々しさも大事である(きっぱり)。

それにしてもThomas Morgan,シャイなのかよくわからないが,内省的なベースはキャラそのものではないかと思えるほど物静かな感じの青年であった。いずれにしても,ECM(あるいはManfred Eicher)に重宝がられるのも当然のような音であったと言っておこう。

Live at Cotton Club on March 2, 2017

Personnel: Jakob Bro(g), Thomas Morgan(b), Joey Baron(ds)

2017年3月 1日 (水)

中古で拾ったKuhn~Jenny-Clark~Humairのライブ盤

"Live in Europe Vol.2" Kuhn~Humair~Jenny-Clark(究体音像製作所)

_20170226_2このアルバムの存在は,新橋のテナーの聖地「Bar D2」でも教えてもらっていたのだが,いかんせん入手が非常に難しいアルバムと言ってよいと思う。そもそもこれは日本国内だけのリリースだと思われるが,プレス枚数もおそらくは限定的だったのではないかと想像される。よって,中古市場に出てくることもあまりないと思うので,見つけた時には買わなければならんと思っていたCDである。まぁ,値段が大したことがなかったのはありがたかった。

本作は,Joachim Kuhnが92~93年のツアー中に,個人的に録音したものから,Kuhn自身が選曲したものらしいが,Vol.1がスタンダードも含むものなのに対し,このVol.2は彼らのオリジナルからのみ構成されたものである。このトリオの素晴らしさは,CMPやLabel Bleuの作品でもわかっていたが,Jean Francois Jenny-Clarkの逝去により,このトリオでの演奏は聞けなくなってしまったのは惜しいと言わざるをえない。そんなトリオの音源であるから,こちらとしては大いに期待できるし,期待してしまうのは当然のことである。

そして,このアルバムであるが,演奏は彼ららしい激しさを持ったものと言えるが,いかんせん正式な録音のためのものではないため,音はあまりよろしくない(まぁ,十分聞けるレベルにはあるが...)。だが,そんな音質面での瑕疵など問題にならないと言いたくなるような,強烈な演奏が収められている。これだけ激しくやられれば,聴衆も熱狂するのも当然である。

私はこのトリオの音源はそこそこ保有しているが,やはりどれを聞いてもハイブラウで,欧州ジャズの側面の一つである「激しさ」:決して完全フリーに流れるというわけではないが,ピアノ・トリオとしてはとんでもないハイ・エナジーで疾走する感覚を持っていると思う。ということで,いつもこの人たちが感じさせてくれるジャズの熱さを評価して星★★★★☆。

ということで,こんなものをゲットしてしまうと,Vol.1も入手しないわけにはいかないな。ネット上で売ってないわけではないのだが,高いんだよねぇ。悩む~(爆)。

Recorded Live at Various Locations between 1992 and 93

Personnel: Joachim Kuhn(p), Jean Francois Jenny-Clark(b), Daniel Humair(ds)

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