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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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2017年2月21日 (火)

Tinariwenの新譜が出た。どれを聞いても同じって話もあるが,このグルーブには抗えない。

"Elwan" Tinariwen(Wedge/Anti)

_20170219_2早いもので,私がこのブログでTinariwenの記事を初めて書いてから,7年半近くの時間が過ぎてしまった。その間にアルバムが出るたびに,「砂漠のブルーズ」と称される彼らが生み出すグルーブが聞きたくて,必ず購入しているのだから,私の音楽的な嗜好とフィットしているってことになるだろう。

昨年リリースされたライブ盤から約1年という短いインターバルでリリースされた新作は,相変わらずのTinariwenである。主題にも書いた通り,どのアルバムを聞いても,同じに聞こえるって気がしないでもないが,このグルーブには抗いがたい魅力がある。もちろん,アルバムの収録曲には結構メリハリがついているので,全然退屈するような音楽ではないし,歌詞を読んでいると,結構プロテスト・ソングだなぁなんて思わせるものもある。しかし,言葉は別にして,私を惹きつけるのはやはり彼らの生み出すゆったりしたグルーブなのである。

彼らのサウンドは相変わらず呪術的とも思えるが,こういう音楽に魅力を感じる欧米のミュージシャンが多いことは,Tinariwenのアルバムにゲスト参加するミュージシャンが結構多いということからも明らかだが,ある意味では普遍的な魅力を有していることの裏返しと捉えることもできると思う。彼らが参加した曲はやや異なる雰囲気を作り出す瞬間もあるが,それがTinarwenの音楽ときっちりブレンドしている。例えば,"Talyat"に聞かれるアコースティック・ギターは,ゲストの影響もあってかむしろ欧米的な響きを持っている。また,"Nannuflay"にはMark Laneganがヴォーカルで加わるが,彼の歌は完全にアメリカンだが,Tinariwenのグルーブに乗った英語詞の響きも面白かった。そうしたヴァリエーションも含めて,何度聞いてもやはり魅力的な響きである。ということで,星★★★★☆。

尚,アルバムには11曲しかクレジットされていないが,隠しトラックが2曲あるので,最後までちゃんと聞きましょう(笑)。

Personnel: Ibrahim Ag Alhabib (g, vo), Abdallah Ag Alhousseyni (g, vo), Alhassane Ag Touhami (vo, g, clap), Iyad Moussa Ben Abderahmane(g), Elaga Ag Hamid (g, vo, clap), Eyadou Ag Leche (b, g, vo, clap), Said Ag Ayad(perc, vo, clap), Iyad Moussa Ben Abderahmane(g), Mina Wallet Oumar(you-you), Amar Chawoui(perc), Kurt Vile(g), Matt Sweeney(g), Alain Johannes(g), Mark Lanegan(vo) and Others

2017年2月20日 (月)

極めて真面目に作られた「沈黙 -サイレンス-」

「沈黙 -サイレンス-("Silence")」('16,米/台湾/メキシコ)

Silence監督:Martin Scorsese

出演:Andrew Garfield,Adam Driver, Liam Neeson,窪塚洋介,浅野忠信,イッセー尾形

今年,2本目となった映画が本作である。これは正直もっと早く見たかったのだが,ようやくである。

遠藤周作の原作をMartin Scorseseが映画化すると聞いた時には驚いたが,そもそも「神の沈黙」という重い主題を持つものであるがゆえに,米国内の興行は相当苦しいように見受けられる。しかし,興行成績はさておき,これは本当に真面目に作られた映画であり,原作にほぼ忠実に描かれているように思う。

そもそもが難しいテーマを提示した映画であるから,ちゃらちゃらしたところなど皆無,エンタテインメントとして見るべきものではないが,映画が終わった後の館内の静寂は,非常に趣深いものがあったと思う。日本の映画の観客にはエンド・ロールの時に,席を立ってしまう人が多いことには常々批判的な私だが,今回は席を立つ観客が極めて少数だったことに,観客もこの映画に打たれたことを示すように感じられた。

iMDBのレビューは相対的にはポジティブであるが,完全否定モードのレビューも多数存在するところに,この映画の特徴があると思うが,否定的なレビューはドラマの本質について語っていないように思えてしまう。確かに長いのは事実だが,161分という尺を感じさせないドラマがあったと私には思えた。

俳優陣ではイッセー尾形のいやらしさが特筆ものである。

いずれにしても,Martin Scorsese,「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の次にこんな映画を撮るなんて,ギャップがあり過ぎだが,これもScorseseの一面ということで,私は高く評価したい。星★★★★☆。これを見ると篠田正浩版の「沈黙」もちょっと気になるなぁ。

ところで,音楽ではThe BandのRobbie RobertsonがExecutive Music Producerとなっているが,正直言って,音楽なんてほとんど出てこないに等しいので,彼の役割は不明(苦笑)。

2017年2月19日 (日)

ようやく到着:Chris ThileとBrad MehldauデュオのLP。

既にこのブログにも書いた通り,Chris ThileとBrad Mehldauの新作デュオ・アルバムのLPには,Fiona Appleの"Fast as You Can"がボーナス・トラックとして収録されているため,Brad Mehldauのコンプリートを目指す私としては,どうしてもそれを手に入れなければならない。

ということで,Nonesuchのサイトで発注して,現地から発送の通知が来たのが,1/20であった。なかなか現物が届かなくてイライラさせられたが,それがようやく約3週間を要してデリバリーされた。その曲については,まだ聞いていないが,そのうちゆっくり聞かせてもらうようにしよう。

海外からの発送についてはこういうこともあるのは承知しているが,前回,Mehldauのソロ・ライブのLPボックスを仕入れた時は,確か正式発売日よりも前に着いたことを考えると,何だか違いが大き過ぎである(笑)。まぁ,でもちゃんとゲットできたんだからそれはそれでいいのだが。

ということで,次は国内盤CDにしか収録されない"Dark Turn of Mind"のために,国内盤CDのデリバリーを待つ私である。バカにつける薬はないって感じだが,せっかくほぼコンプリートなのだから,頑張るしかないのである。

ついでに行ってしまうと,ジャズ界のおんどれ君ことOndřej Štveráčekの"Sketches"を本人に頼んで,郵送してもらっているところだが,現物が到着する前に,新宿のDUで買えるなんて告知が。まぁ,いいんだけど。

2017年2月18日 (土)

Karen Beth:日本っていうのはいろんなCDが手に入るねぇ。

"New Moon Rising" Karen Beth(Buddah→Sony)

_20170218_2新譜もそこそこ届いている中,突然のようにSSW系の音楽が聞きたくなって,購入したのがこのCDである。このアルバムはJohn Simonがプロデュースした,ウッドストック系のアルバムとして,知っている人はみんな知っているが,基本的にはマイナーである(笑)。そもそもこんなアルバムがCD化されて,カタログに載っているということ自体が凄いことだと思うが,それだけマニアックなまでにこういう音楽に惹かれるリスナーが相応に存在するということであろう(私もそうだが...)。

まぁ,John Simonプロデュースのアルバムってのは,それだけでありがたがられるところがあるが,私はJohn Simonがプロデュースすれば,何でもいいと思っているわけではない。しかし,ツボにはまると本当にどっぷりはまってしまう,そういう魅力を持ったアルバムが多いのは事実である。

私がこのアルバムを聞くのは今回が初めてだが,非常にアコースティック・ギターの響きが魅力的で,女性シンガー・ソングライターとして,声も素直な感じのアルバムだと思えた。私がSSW系の音楽に求めるのはどちらかというと「渋さ」なので,そっち系の音楽に関しては,女性ヴォーカリストの保有枚数は限定的である。だが,これって結構好きな人が多いだろうなぁと思わせるような「聴きやすい」アルバムと思う。かく言う私もこういうのって好きである。このアルバム,私にとってのキモはギターのサウンドなのだ。それがKaren Bethの声とフィットして丁度いい感じを生んでいる。

ジャケの朴訥感など,大いに時代を感じさせてくれるが,初めて聞いてみて,これはいいと思った。こういう音源が簡単に聞けるということは誠にありがたい。日本ってそういう意味ではいい国である。星★★★★☆。

Personnel: Karen Beth(vo, g), Billy Voyers(g), Kal David(g), John Hall(g), Bill Keith(pedal steel), John Simon(key, vib), Harvey Brooks(b), Joey Bell(b), Billy Mundi(ds), Chris Parker(ds), John Hartford(vln), Rick Tivens(vln), Harold Lookofsky(vln), Howard Leshaw(fl)

2017年2月17日 (金)

今更ながら,本当にいいアルバムだと思える"Songs in the Attic"

"Songs in the Attic" Billy Joel (Columbia)

_201702111970年代後半から1980年代前半が,アーティストとしてのBilly Joelのピークだったと思えるが,ミュージシャンとしての人気がブレイクしている時に,それまであまり知られなかった曲を集めたライブ盤という,コンセプト・アルバムである。現在,私が保有しているBilly Joelのアルバムはベスト盤を除けば,本作と"The Stranger"だけという感じだが,やはり最も脂の乗っている時期に,こうしたレパートリーで構成された本作の位置づけは非常に重要だと思える。

とにかく,大ブレイクする前のアルバムからの曲とは言え,そこそこは売れていたものであったとしても,改めてここに収められた曲のクォリティの高さは驚異的だと言ってよい。1980年6月~7月の各地での演奏を集めたものだが,当初から,こうしたアルバムをプロデュースするために録音していたと考えて然るべき見事なライブ盤。このクォリティを前にしては,多言は無用。傑作である。星★★★★★。

Recorded Live in June and July, 1980 at Varous Locations

Personnel: Billy Joel(vo, p, synth, hca), Liberty DeVito(ds, perc), Doug Stegmeyer(b), Russell Javors(g), David Brown(g), Richie Connata(sax, fl, org)

2017年2月16日 (木)

来日目前:Joey CalderazzoのBlue Note音源を改めて聞く。

"The Traveller" Joey Calderazzo(Blue Note)

_20170212_2来週(2/20-23),Cotton ClubにOrlando Le FlemingとDonald Edwardsとのトリオで出演するJoey Calderazzoであるが,私は長年彼を推してきたにもかかわらず,これまで彼のライブにはほとんど縁がなかった。それはタイミングの問題が一番大きいのだが,今回はようやく彼の生の演奏に接することができる。もしかすると,Michael Breckerのバンドが90年か91年頃,NYCのTown HallにおけるAndy Summersとのバンドとのダブル・ビルで行ったライブで,ピアノを弾いていたのは彼だったかもしれないが...。遠い昔で記憶の彼方である。いずれにしても,私はJoey Calderazzoのピアノが最もよかったのは90年代前半,Blue Noteレーベルに吹き込んだ3枚の頃だと思っている。今日はそのうち,3作目でピアノ・トリオ・フォーマットによる本作である。

本作も冒頭のCalderazzoのオリジナル,"No Adults"から快調なピアノで,最初からぞくぞくさせてくれる。本作はCalderazzoのオリジナル3曲に加えて,John Patittucciのオリジナル1曲,そして結構有名なジャズ・オリジナルやスタンダードで構成されているが,ピアノ・トリオの実力を知るには適切なプログラムだと思える。2曲目は"Blue in Green"はバラッド表現,3曲目"Dolphin Dance"はHerbie Hancockとの比較等の観点である。

そして,このアルバム,2組のトリオから構成されているが,結構違いがあって,それも面白い。Pattitucci~ErskineとJay Anderson~Jeff Hershfieldというリズムのどちらが好みかはリスナーによるだろうが,どちらも悪くないとしても,Joey CalderazzoにフィットしているのはPatitucci~Erskineの方だと思える。だがAnderson~Hershfieldとのコンビネーションも決して悪いということではなく,"Black Nile"なんていい演奏だと思う。どちらがいいかというのはあくまでも感覚的なものであるが,Joey Calderazzoの当時のピアノ・スタイルからは,私は前者を推すというだけのことである。

Blue Noteに吹き込んだ前2作は,第1作"In the Door"はMichael Breckerの,第2作"To Know One"はJack DeJohnetteとCalderazzoの共同によるプロデュースということもあり,豪華なホーン・プレイヤーを擁したものだったのに対し,本作はピアノ・トリオによる演奏ということで,ライナーにRichie Beirachも書いている通り,Joey Calderazzoの本質を更に表現できるかの「テスト」だったと言えるが,楽々我々の期待をクリアしてしまったという気がする。やはりBlue Noteレーベル時代のJoey Calderazzoはいけていた。どうせならフェード・アウトなんかしなけりゃいいのにと感じさせる部分はもったいないが,今聞いても十分楽しめる。しかし,これがリリースされてから四半世紀近くが経過してしまっているという事実に愕然とした私であった。星★★★★☆。

Personnel: Joey Calderazzo(p), John Patitucci(b), Jay Anderson(b), Peter Erskine(ds), Jeff Hershfield(ds)

2017年2月15日 (水)

こんなCDもありました:Neil Swainsonの"49th Parallel"

"49th Parallel" Neil Swainson Quintet(Concord)

_20170211_2保有していることはわかっていても,すぐに取り出し可能な一軍の棚からはずれたCDの収納場所はたまにしか見ることがないのだが,それでも比較的取りやすい場所に置いてあるので,たまに聞いてみようという気持ちになるものである。本作も,たまたま目についたので久しぶりのプレイバックとなった。

本作は何と言っても,Woody ShawとJoe Hendersonというフロントが購入のポイントであったことは間違いないところだが,いかんせんジャケがいけていないので,聞こうって気がなかなか湧いてこないというアルバムである。しかし,87年5月という,Woody Shawにとってのスタジオ録音作としては最後期に位置づけられるものであり,やはりこれは聞いておかねばと思わせるものである。

フロントの2人以外はカナダ人の面々であるが,演奏自体はおおむね快調である。ピアノを弾いているGary Willimasonの名前は,ほかでは聞いた記憶がないが,ドラムスのJerry FullerはPaul Desmondとの共演でよく知られている。全6曲中,5曲はリーダー,Neil Swainsonの作曲,最後の"Homestretch"のみジョーヘンのオリジナルであるが,変わったことは全然やっておらず,コンベンショナルな中にも,結構躍動感のある演奏と思える。だからと言って,無茶苦茶いいというほどではないとも思うが,まぁ保有していても損はない(笑)。

それにしてもWoody Shawである。このアルバムには"This recording is dedicated to the memory of Woody Shaw."と書かれているので,リリースはWoody Shawの死後ということになるが,44歳での早逝はあまりに惜しいと思わせる演奏である。星★★★★。

Recorded in May 1987

Personnel: Neil Swainson(b), Jerry Fuller(ds), Joe Henderson(ts), Woody Shaw(tp), Gary Williamson(p)

2017年2月14日 (火)

Velentine's Dayには"My Funny Valentine"

"My Funny Valentine" Miles Davis(Columbia)

_20170212バレンタイン・デーというイベントには全く興味がない,と言うよりも,なんでチョコレートやねん?という思いが強い私である。そもそもは男性から女性に何かを贈っても,逆でも全然かわまわない日であって,恋人,あるいは愛し合う人たちが愛を深めればいい。そういう思いは,"My Funny Valentine"の歌詞にこそ表れていると思うが,まぁ固いことは言うまい。

ってことではあるが,Valentine's Dayにはやっぱりこれよってことで,Milesのアルバムを久しぶりに聞いた私である。我ながらベタなチョイスと言われれば,反論の余地はない(苦笑)が,一言で言えば,これこそビター・スウィートの極みって感じの演奏である。同じ"My Funny Valentine"でも,ミュートで吹いた"Cookin'"と,オープンで吹いた本作の演奏では大きな違いがある。"Cookin'"がリリシズムだとすれば,こちらは私にはハードボイルドに聞こえる。

同じタイミングで吹き込んだ"'Four' & More"が息つく暇も与えない強烈なアクション映画だとすれば,本作はフィルム・ノワールの世界のようにも思えるが,本当にこのアルバムを久々にプレイバックしてみて,「大人の世界」に浸ってしまった気がした。ちゃらちゃらしたところはない。ここでの"My Funny Valentine"を聞いて,これってラブソング?って思ってしまうぐらいである。このアルバムが吹き込まれたのは2/12だったので,バレンタイン・デーに近いところで,愛を語らう恋人たちも会場にいたはずだが,彼らがこの演奏を聞いてどう思ったのか?愛は深まるのか?その前に感動してしまうか。

このダークな雰囲気でこの曲をやられてしまえば,この曲の解釈としてはどうなんだという指摘も出てくるかもしれない。しかし,やはりこれが強烈な名演であることには疑問の余地はない。"My Funny Valentine"のみならず,全編に渡って,Milesのバラッド表現の素晴らしさを堪能した私であった。ベタなチョイスであろうがなかろうが,聞いてよかったわ~。ってことで,星★★★★★以外はありえまい。今更ではあるが,素晴らしい。

Recorded Live at the Philharmonic Hall, Lincoln Center on February 12, 1964

Personnel: Miles Davis(tp), George Coleman(ts), Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)

2017年2月13日 (月)

ユニークな作りの児玉桃によるECM第2作

"Point and Line" 児玉桃(ECM New Series)

_20170212_3_2日本のピアニスト,児玉桃がECMからアルバム"La Vallée Des Cloches"をリリースした時には,その年のベスト盤の1枚に選出するほど,優れたアルバムだと思った(記事はこちら)。そのレパートリーが非常に私の好みだと思ったが,ピアノの響きに身を委ねたいと思ったことは今でも記憶に新しい。

その児玉桃がECMから第2作となるアルバムをリリースすると知った以上,これは買わないわけにはいかないし,聞かないわけにもいかない(きっぱり)。ということで,デリバリーされたものを早速聞いたのだが,これが非常にユニークな作りではあるが,前作同様に優れたピアノ作品になっていて,嬉しくなってしまった。

今回の作品の特徴はドビュッシーと日本の現代音楽作曲家,細川俊夫の"Etude"が交互に出てくるというのが,まずユニークなところである。まぁ,これがバッハと細川俊夫が交互に出てくれば,私も頭を抱えたかもしれないが,近代作曲家と言ってよいドビュッシーと,細川俊夫ならば,それほど違和感はない。むしろ,ここで想定されているのは,二人の作曲家の作品を並列させながら,それを一つの組曲のように成立させようという試みのように思える。

ライナーに児玉桃も書いているように,ドビュッシーの「エチュード」はその番号にかかわらず,単体でも,組み合わせで弾いてもいいという自由度の高いものであり,このアルバムでもそうした考え方に基づいて配置されている。それらに挟み込まれるのが細川俊夫の「エチュード」ということになる。作曲されたタイミングにはほぼ100年近い違いがある二人の作曲家の作品を相互に連動させて,一枚のアルバムを構成させるというのが本作の狙いとすることは,児玉桃とECMの総帥,Manfred Eicherの合意のもとに行われており,それがいかにもECMらしいと思わせるところであり,そして見事な成果になっていると思う。

私が現代音楽のピアノ作品が好きだということもあるが,今回のこの作品もドビュッシーのエチュードという,ドビュッシー最晩年の作品と,児玉桃自身が初演者となっている曲を含む,細川俊夫作品の意表を突いた組み合わせによって生み出される美しい響きに改めて身を委ねたくなった私である。これはもはや私のツボにはまった音楽である。星★★★★★。

Recorded in January 2016

Personnel:児玉桃(p)

2017年2月12日 (日)

Enrico Pieranunziの新作はクラシックをモチーフにしたトリオ・アルバム。

"Ménage à Trois" Enrico Pieranunzi(Bonsai)

_20170205_2Enrico Pieranunziはここ暫くCam Jazzレーベルから作品をリリースしていたが,最近は専属契約をやめたらしく,色々なレーベルからタイプの異なる作品をリリースしている。多作の人なので,なかなか全部追いかけるということはできないが,今回はドラムスがAndre Ceccarelli(チェカ爺)ということもあり購入となったが, 購入してからクラシック作品,それもフランス近現代の作曲家の作品を中心とした作品と知って,ちょっと不安が高まった私である。因みに,取り上げているのはサティ,プーランク,ミヨーの曲に加え,必ずしもフランスではないところも含んでいるが,ドビュッシー,バッハ,シューマン,フォーレ,そしてリスト等の曲に因んだPieranunziのオリジナルとなっている。

だからと言って,Pieranunziのことなので,ストレートにクラシカルな演奏をするというわけではなく,それらの曲を素材,もしくはモチーフとしてジャズに仕立てているので,ジャズ・ファンとしてもそんなに抵抗がなく聞けるはずである。そもそも冒頭のPieranuziオリジナルである"Mr. Gollywogg"からして,快調な4ビートで飛ばすので,へぇ~となってしまったが,それよりびっくりしてしまったのが,サティの「ジムノペディ」をボッサっぽくやっていることである。収録曲においては,確かにテーマを弾くとクラシック的に響くこともあるが,それは意図的にやっていると思われる。例えば,最終盤の3曲に顕著であるが,Pieranunziのオリジナルにもかかわらず,テーマは極めてクラシカルな響きなのである。それとアドリブ・ラインがいい塩梅のバランスで聞けるので,これはなかなか面白い取り組みだと思えた。

しかし,これはこれでかなり満足できる作品だとしても,これを以てEnrico Pieranunziの本質と言うつもりはない。Pieraninziにはもっといい作品があるし,これが最高だと言うつもりもないが,これもPieranunziの芸風の一つとして捉えればいいのではないかと思う。ということで,星★★★★。

Recorded on November 12-15, 2015

Personnel: Enrico Pieranunzi(p), Diego Imbert (b), André Ceccarelli(ds)

2017年2月11日 (土)

Sara Gazarek:どうして買う気になったのかは覚えていない(爆)。

"Live at the Jazz Bakery" Sara Gazarek (Native Language)

_20170205_3_2このブログにも既に何度か書いているように,私はジャズ・ヴォーカルの熱心な聞き手ではない。もちろん,SarahやEllaやCarmenと言った大御所はそれなりに聞いている。そんな私が,今聞きたいと思うヴォーカリストの筆頭はGretchen Parlatoであるが,彼女はコンテンポラリーな感覚を持っているからいいと思っている。

それに比べれば,今日取り上げるSara Gazarekはずっと正統派ヴォーカルと言ってよいと思うが,どうして私がこのアルバムを購入する気になったのかが,全く思い出せない(爆)。全くの気まぐれだったとも思えないが,思い出せないものは思い出せない。彼女のサイトから仕入れたような気もするし,そうでないような気もする。こうした記憶の曖昧さに,年は取りたくないと思う。

まぁ,それはさておき,昨年にはここにも参加しているピアニストJosh Nelsonとともに来日して,Cotton Clubでライブをやったので,日本にもそれなりにファンはいるってことなのだと思う。

ここで聞かれる歌唱,演奏もオーソドックスと言えばオーソドックスである。冒頭の"Cheek to Cheek"のアレンジはちょっと変わっているが,その後は典型的なジャズ・ヴォーカルのアルバムと言ってもよい。そして,Sara Gazarekの声は何ともクセのないものである。そして,このクセのなさがジャズ・ヴォーカルを大して聞かない私にとっては丁度いいのである。レパートリーとしては,どう見ても"You Are My Sunshine"が「浮いている」が,それ以外は,スタンダードとピアノのJosh Nelsonのオリジナル等をバランスよく配置して,気持ちよく聞ける好盤。伴奏陣の演奏もナイスである。残念ながら今やなかなか流通していないようだが,見つけたら買っても損はしない。そんなアルバムである。星★★★★。

Recorded Live at the Jazz Bakery on May 8, 2006

Personnel: Sara Gazarek(vo), Josh Nelson(p,el-p), Erik Kertes(b), Matt Slocum(ds), Katisse Buckingham(fl)

2017年2月10日 (金)

今年も出たJeremy Peltの新作。

"Make Noise!" Jeremy Pelt(High Note)

_20170205律儀なまでに年1作のペースで新作をリリース(それも毎年1月後半と大体決まっている)するJeremy Peltが,今年も新作をリリースした。前作はワンホーンのアコースティック路線であったが,本作もパーカッションは加わるものの,ワンホーンは継続している。しかし,メンツは全面入れ替えということで,なぜこうなるのかはよくわからないし,今回のメンツがレギュラーとなるのかもよくわからない。しかし,ネットで検索していると,昨年,Jeremy Pelt New Quintetとしてライブをやったメンツと同じなので,これからはこのクインテットで演奏していくということなのかもしれない。

以前,Jeremy Peltが率いていたクインテットに比べるとやや小ぶりかなぁって気はするが,それでもピアノのVictor GouldはDonald HarrisonやWallace Roneyとの共演歴があり,ドラムスのJonathan BarberはJ.D. Allenとのレコーディングやら,昨年はNY在住ピアニスト,早間美紀と来日もしているようである。パーカッションのJacquelene Acevedoという人はよくわからんが,ベースのVicente ArcherはDanny Grissettのアルバム等でお馴染みである。

そうしたメンツによる音楽は,ストレート・アヘッドで,なかなかスリルもあっていい感じの仕上がりになっている。まぁ,パーカッションが入ることを好む人と,好まない人には分かれるだろうが,ここではアクセントとしてはそんなに悪くないという印象を与える。

曲としてはほぼJeremy Peltのオリジナルで占められており,例外は前々作で鋭いピアノを聞かせたSimona Premazziの1曲と,"Make Noise!"と"Evolution"のイントロとなっているAcevedoとBarberのソロである。全体的には,曲によって緩急をつけたものとなっているが,私としてはどちらかというと,スピーディに鋭い切れを示す曲の方が好みではあるが,バラッド表現も悪くはない。やはり継続的にフォローするに値するミュージシャンだとは思うが,このバンドの成果は次の1作を聞いてからでもいいような気がする。ということで,星★★★★。それにしても,なんのこっちゃ?だった前作のジャケと今回のジャケのテイストの違いが大き過ぎるよなぁ。

尚,このバンドのBlue Note Milanoでの演奏の模様があったので,映像を貼り付けておこう。

Recorded on September 9, 2016

Personnel: Jeremy Pelt(tp), Victor Gould(p), Vicente Archer(b), Jonathan Barber(ds), Jacquelene Acevedo(perc)

2017年2月 9日 (木)

改めてKevin Hays@Cotton Club東京を振り返る。

Kevin_hays_i_2Kevin Haysが彼のNew Day Trioで来日すると聞いた時,集客は大丈夫なのかなぁと正直思っていたが,今回のCotton Club東京におけるライブでも,案の定,集客は決して芳しいものではなかった。自由席のステージ前フロアがそこそこ埋まる程度で,指定席はほとんど利用者がいない状態だったので,入りとしては4割~5割ってところだろうか?

しかし,そこはプロである。一切手抜きはなく,非常にいい演奏であった。前回,Kevin Haysを見たのは55 BarにおけるFima Ephronのバンドであったが,その時も決して客入りがよかったわけではないが,このトリオ,見逃すには惜しいと思えた。三者の実力は相当なものであり,まず私が驚いたのがドラムスのGreg Josephである。非常に安定したドラミングで,ブラシでもスティックでもうまいものである。ベースのRob Jostも堅実でありながら,ソロはなかなかのもので,何よりもこの人の音の良さには感心した。

しかし,今回のライブにおける最大の驚きは,Kevin Haysの歌である。今回のセットではなんと3曲でヴォーカルを聞かせたのだが,これが実にうまい。喋る時は結構低い声なのだが,歌いだすと,ナイスなテナーとバリトンの中間ぐらいの声って感じである。私は彼の歌を聞いていて"Kevin Hays Sings and Plays"みたいなアルバムをプロデュースしたいなぁなんて思ってしまった。弾き語る姿はまさにPiano Manって感じで,Billy Joelを聞いているような錯覚にさえ陥りそうになっていた私である。ピアノ・トリオとして聞いても楽しめたし,ヴォーカル入りのバンドとしても楽しんでしまった私である。

_20170208上の写真はいつものような"Kevin Hays & I"であるが,多少お疲れモードかなっという表情であった。しかし,55 Barでクリポタのアルバムにもらったサインがにじんでしまったので,もう1回お願いと言ったら,快く対応してくれた。そっちの写真もアップしておこう。ということで,もう少し客入りがいいとよかったのだが,私は聞けたことに満足して,家路についたのであった。

Live at Cotton Club東京 on February 6, 2017,2ndセット

Personnel: Kevin Hays(p, vo), Rob Jost(b), Greg Joseph(ds)

2017年2月 7日 (火)

Kevin Hays New Day Trioのライブの戦利品

_20170206福島に出張した帰り道に,Cotton Club東京でKevin Haysのトリオのライブを見た。詳しくは改めてご報告とし,今日はその戦利品のみ。実力十分のいいトリオであった。

2017年2月 6日 (月)

久しぶりに聞いたThierry Langの"Between a Smile And Tears"

"Between a Smile And Tears" Thierry Lang (Plainisphare)

_20170204_2このアルバムを聞くのは久しぶりだ。Thierry Langにはまったのは,多くの人と同様に"Private Garden"であるが,その"Private Garden"と同じメンツで吹き込まれた作品だが,録音はこっちの方が先である。もともとはTCBレーベルから出たものらしいが,そちらは中古市場でとんでもない価格がついている。私が保有しているのは98年にリイシューされたものだが,オリジナルがどうしてそんな高値なのかは知る由もないし,興味もない(笑)。

いずれにしても,"Private Garden"同様に美しいアルバムであるが,どんな曲をやっても,非常に繊細で美的な演奏を聞かせる人たちである。全7曲中,リーダーのオリジナルは2曲だけで,その他については非常に面白い選曲と言えるのではないだろうか。大スタンダードの"I Fall in Love Too Easily"はわかるとして,例えば,Jimmy Rowlesの"The Persian"なんてかなりマイナーだと思えるし,世代の比較的近いEnrico Pieranuziの曲も,Chet Bakerとやった"Echi"とか渋い。Steve Swallowの"Peau Douce"はECMでのGary Burtonの"Times Square"から等,このアルバムは選曲が非常に面白いのである。

こういうあまり知られていない(知らないのは私だけかもしれないが)曲を見つけて,彼らの色に染めるという感じの演奏ぶりは非常に面白い。そして,ちゃんとこちらが期待する音が出てきているところが好ましい。昨今は"Private Garden"も聞いていないので,比較することはできないが,どっちのアルバムからThierry Langを聞いたとしても,相応のリスナーはこの世界に引きずり込まれるだろうなぁと思わせる作品。ちょっとピアノの音が録音ゆえに精妙さ,クリアさに欠けるような気がするが,これはこれで十分楽しめるアルバムと思う。星★★★★。

Recorded in August 1991

Personnel: Thierry Lang(p), Ivor Matherbie(b),Marcel Papaux(ds)

2017年2月 5日 (日)

チェコから飛ばしたOndřej Štveráčekのアルバム。もう少し簡単に手に入らないものか。

"Calm" Ondřej Štveráček Quartet Featuring Gene Jackson(New Port Line)

_20170204「ジャズ界のおんどれ君」ことOndřej Štveráček(Ondrej Stveracek)はチェコのテナー・サックス・プレイヤーである。このブログでも彼のアルバムは何度か取り上げているが,非常にハイブラウなJohn Coltraneライクなテナーを聞かせる人である。いつも彼の音楽はフォローしたいとは思っているのだが,なかなか入手が難しいのが困りものである。日本のディストリビューターにはほとんど入ってきていないようだしなぁ。しかし,本作を聞けば,やはりもう少し何とかしないともったいないと思わせる出来である。

本作がリリースされたことは昨年からわかっていたのだが,日本のショップのサイトでは全くお目にかからない。私のフォローが足りない部分もあるだろうが,それにしても日本のサイトでは見たことがないように思う。仕方がないので,チェコ本国のサイトから飛ばしたが,送料が結構高いのにはちょっとまいった。だが,この音楽を聞いて,苦労も報われたって感じである(ちょっと大げさ:笑)。

タイトルには"Calm"なんてついているし,ジャケも結構ムーディな感じだが,収録された音楽はこっちの期待するおんどれ君の音楽である。今回のアルバムは,Ondřej Štveráčekの魅力が最も出るであろうワンホーン・クァルテットであるところからしてポイントが高いが,演奏は好き者を満足させるに十分なスリルがあって,これはいいわ。冒頭から,ちょっと軽い(笑)John Coltrane Quatetのように響く。Gene JacksonのドラムスがかなりElvin Jones的な感じなのも,Coltrane的な印象を強めているような気がする。

いずれにしても,これを聞いていると,Ondřej Štveráčekだけでなく,このバンドの構成メンバーの実力も十分に捉えられている気がする。オリジナル曲の出来にはややばらつきがあるようにも思えるが,このアルバムは多くの日本人リスナーに受ける要素は大きいと思える。星★★★★☆。ちなみにJerry Bergonziはこのアルバムに次のようなコメントを寄せている。"Ondrej Stveracek's new quartet CD ("Calm") featuring Gene Jackson is dynamic and compelling. They are all on the same page playing such strong yet reflective music. The sound that Ondrej gets is haunting and makes you want to hear more. Congratulations."

Sketches尚,おんどれ君はこのアルバムの後に,本作と同一のメンツで早くも"Sketches"というアルバムをリリースしているが,現物CDをゲットすべく,現在おんどれ君とやり取り中の私である。支払い手段としてPayPalを受け付けてくれればいいのだが。それがだめならダウンロード音源をゲットするしかない。その顛末はまた別途。

Recorded on March 23, 2015

Personnel: Ondřej Štveráček(ts),Klaudius Kováč(p), Tomáš Baroš(b), Gene Jackson(ds)

2017年2月 4日 (土)

Donny McCaslin@Blue Note東京参戦記

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Blue Note東京にDonny McCaslinのライブを見に行った。基本的にそんなメジャーな人たちとは思えない彼らのライブが,Blue Noteをフルハウス状態にさせたのは,偏にDavid Bowieの"★"への参加があったがゆえと思わざるをえない。しかし,彼らとて,これだけの聴衆が集まれば,機嫌がよくなるのも当たり前である。Donny McCaslinは演奏中も,演奏後のサイン会もご機嫌そのもだったと言ってよいだろう。

そんな彼らの演奏を聞いていて,つくづく思ったのが,彼らはライブ・バンドだということである。私は彼らのアルバムについては,結構辛い評価をしているのだが,ライブで演奏する場合と,アルバムでの演奏にはかなりダイナミズムに違いがあるように感じた。David Bowieが彼らをリクルートしたのが55 Barにおけるライブだったという話もあるのもうなずける話である。私は予約したのが結構遅かったので,どんな席になるのかひやひやしていたが,まぁ,サイドのまともな席だったのはよかった。ということで,上の写真は,スマホで隠し撮りしたものだが,結構うまく撮れている(笑)。席からはMark Giulianaの姿はあまり見えなかったのは残念だったが,手数としてはMehliana同様の叩きっぷりだったと言ってよいだろう。

いずれにしても,非常にタイトなバンドと言ってよい人たちで,David Bowieの"Lazarus"は結構しっとりやっていたが,大方はビートを効かせた演奏を聞かせていた。各々のメンツはそれなりの実力者だし,ベースのTim Lefebvreに至ってはWayne Krantzともやれば,Tedeschi Trucks Bandでもやるのだから,ロック的な乗りも全然問題なしである。Jason LindnerもMe'shell N'degeocelloともファンク的な演奏を聞かせるのだから,真っ当なジャズにはならないというのは当たり前だが,それにしても,ビートが炸裂する演奏だったと言えるだろう。

演奏が終わって,サイン会で彼らと話したのは,私がNYCで接したDonny McCaslinのAlex Sipiaginとの演奏やTim LefevbreのWayne Krantzとのライブのことだったが,彼らはライブのことをよく覚えているなぁと感心もした次第。ということで,昨日の記事に続いて,ライブの戦利品の写真もアップしておこう。もう1枚あるのだが,それはジャケの内側へのサインなので,今回は省略。

Live at Blue Note東京 on February 2, 2017

Personnel: Donny McCaslin(ts), Jason Lindner(p, key), Tim Lefevbre(b), Mark Giuliana(ds)

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NYCに行きたい!

2月のNYCの気候は寒いが,寒いからこそ音楽シーズンなのだ!と思いたくなるようなラインアップが現地のライブハウスの告知に出ている。

来週2/7にはMezzrowにFred Herschがソロで出るし,2/15,16の両日にはRalph TownerがJazz Standardに出るではないか。Mike Sternはマメに55 Barに出るし。羨まし過ぎる!く~っ。行きたい!出張ないかなぁ(爆)。

2017年2月 3日 (金)

今日の戦利品:Donny McCaslin Group!

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今日は戦利品だけ。もう限界です(爆)。絶対飲み過ぎだって(笑)。

2017年2月 2日 (木)

音楽は聞く人によって,印象が変わるって話。

Friday_miles主題だけ見るとなんのこっちゃ?と思われる読者の方もいらっしゃるかもしれないが,会社で同僚と話をしていて,面白いなぁと思ったことがあった。件の同僚とは,毎度おなじみテナーの聖地,新橋のBar D2に行ったことがあるのだが,その時にプレイバックされたのが,正式リリースされる前のブートレッグ状態の"Complete Friday Miles at Filmore"であった。

それを聞いた同僚がカッコいいというので,ブートを保有していた私は,それを「焼いて(笑)」,彼に渡したのである。それから何年か経ち,彼のところに子供が生まれて,その子にこの"Complete Friday Miles at Filmore"を聞かせた時の反応は「こわい!」だったそうである。確かに,ハイブラウで,ハードボイルドで,そして凶暴な演奏であるから,子供がこわがるのも仕方ないとは思えるが,「こわい!」というのが本当に意外であった。

ただ,それだけの話であるが,私も年齢を重ねて,色々な音楽を聞いてきたので,ちょっとやそっとでは驚かないが,やっぱりこういう音源は,子供に何らかの感覚を与えるんだろうなぁ。まぁ,私だって,幼い頃は,「ウルトラQ」の冒頭のサウンド・シークェンス(映像逆回転で,ウルトラQの文字が浮かび上がるあれである)に恐怖を感じていたようにも思える。そんなことを考えれば当然だが,年端も行かぬ子供にMilesを聞かせて,彼/彼女がカッコいいって言ったら,そっちの方が怖いわな~(爆)。

2017年2月 1日 (水)

追悼,John Wetton

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John Wettonが亡くなってしまった。昨年,Keith Emersonが逝き,Greg Lakeがこの世を去った。その時は追悼記事は書いていない私だが,EL&PとJohn Wettonが在籍したKing Crimson(Greg LakeもCrimsonのオリジナル・メンバーであるから,こういう書き方をさせてもらう)では,私の中で占める位置が違う。もちろん,EmersonもLakeも偉人であることは事実であるが,John Wettonがいた頃のKing Crimsonは歴代のCrimsonの中でも,最も私を興奮させてくれるラインアップであったがゆえに,この訃報は本当に悲しい。

まだ67歳だったので,まだまだ活動はできただろうが,結腸癌であっさりと亡くなってしまった。しかし,闘病のためツアーもキャンセルしていたようであるから,相当症状は重かったのだろう。Crimson以降,Uriah Heep,Brian Ferry Band,U.K.,Asiaと様々な活動を続けたWettonであったが,私にとっては,同時代で聞いたAsia第1作も思い出深い。今にして思えば,佳曲の揃ったアルバムであった。しかし,やはり私にとってはやっぱりKing CrimsonのJohn Wettonである。この記事を書いているのは深夜なので,これからCrimson音源を聞いて追悼ってわけにはいかないが,通勤時間帯は当面John Wetton在籍時のKing Crimson漬けになって,彼を追悼したい。

R.I.P.

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