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2016年11月 5日 (土)

豪華メンツによるWolfgang Muthspielの新作はECM先祖がえりのようなサウンド。

"Rising Grace" Wolfgang Muthspiel (ECM)

_20161103_2Brad Mehldauの追っかけをしている私が,このアルバムのリリースを知った時は,久々のECMレーベル作品への参加に加え,豪華なメンツということもあり,結構驚いたものである。いずれにしても,多くのジャズ・ファンにとっても,注目すべきアルバムであることには間違いあるまい。ついでにマニアックなことを言っておくと,Brad Mehldauがトランペットと共演することは極めてまれで,バンドとしてのセッティングとしてはGrant Stewartとの"Downtown Sounds"で,Joe Magarelliと共演したぐらいしか記録にないはずだ。私としてはそういうところも気になっていた。

そして,このアルバムをプレイバックしてみて,私が即座に感じたのが,サウンド的なデジャブと言えばいいだろうか。どこかで聞いたような感覚。それは曲がということではなく,サウンドがなのだが,往時のECMにおいて,様々なミュージシャンが入れ代わり立ち代わり組み合わせを変えて,アルバムをリリースしていた頃の感覚を思い出してしまったのであった。Ambrose Akimsireのラッパを聞いていて,例えば"Deer Wan"のようなKenny Wheelerのアルバムみたいに聞こえてしまったのである。それは決して悪い意味ではなく,あの頃のECMのアルバムを思い出してしまったという,私にとってのノスタルジーだけの話である。しかし,よくよく見ると,"Den Wheeler, Den Kenny"というKenny Wheelerに捧げられたと思しき曲も収録されており,あながち私の感覚もはずれていないのかもしれない。

まぁ,そうは言っても,リーダーであるMuthspielはLarry Grenadier,Brian Bladeとトリオで来日もしているし,リズムの二人はBrad Mehldauとの縁も深いから,セッション的な要素を与えているとすると,Ambrose Akimsireの参加ということになると思う。ここでのAkimsireの抑制されたラッパがECM的なサウンドに貢献していると考えてもいいかもしれないが,グループの演奏としてもなかなか質は高い。この青白く光る炎のような静謐な感覚こそECM的だと思わせるが,こういう音を作り出してしまうのが,Manfred Eicherマジックっていうところだろうか。

Brad Mehldauのピアノに期待を掛け過ぎてしまうと,バンドのエレメントとしての演奏に徹していると感じさせるため,やや肩透かしを食う感じがないわけでもないが,このバンドのセッティングの中で,そこかしこにBrad Mehldauらしさを感じさせるのは立派である。若干地味かなぁとも思わされるが,こういう音だからこそ,繰り返しプレイバックもできるってものである。ということで,甘いの承知で星★★★★☆とするが,長年のECMレーベルのファンにとっても,受け入れやすいアルバムだと思う。

Recorded in January 2016

Personnel: Wolfgang Muthspiel(g), Ambrose Akimsire(tp), Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Brian Blade(ds)

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コメント

メンバーがスゴいことでも話題になっていますが、このメンバーで、ECMサウンドを、こういう風に出してくれると、ECMのいちファンとしては、うれしいです。確かに懐かしい感じもします。売れて、今在庫がないので、遅れての入手には苦労しました。

TBさせていただきます。

トラバをありがとうございます。

オールスターのメンバーなので、それだけで興味もった人は多いとおもいます。
で、セッション的な要素もあるといえ、プロデュースがアイヒャーってことで、ECMマジック炸裂って感じですよね。
でも、このくらいの熱さだと、普通のジャズを聴いている人たちにも受け入れやすいとおもいます。

私はこのアルバムはかなり気に入ってます。

910さん,続けてこんばんは。TBありがとうございます。

ECMというレーベルは昔からとがっていたとは思いますが,こういうタイプのレコーディングは改めて取り組んでもいいのではないかと思わせるものでした。温故知新とは違いますが,ECMファンなら理解できる雰囲気ってところですね。

Suzuckさん,こんばんは。TBありがとうございます。

私はこのアルバムのいかにもECM的な響きがいいと思っていますが,ジャズ的な耳で聞いても,十分いけていると思います。まぁメンツがメンツですから,悪いはずはないですが,それにしてもAmbrose Akimsireですねぇ。このラッパはここでのECM的なサウンドにジャスト・フィットですが,なかなか器用な人だと思いました。

仰せのように既視感ならぬ既聴感が強いアルバムですね。私は、最近のアヴァンギャルドへの傾斜からすると、スパイスが足りなくて物足りない。
だけど、しっかりド真ん中のECMですね。ECMにしては、案外、温度高めので柔らかい音色なので驚きました。それが面白かったです。

http://kanazawajazzdays.hatenablog.com/entry/2016/11/13/130724

kenさん,こんにちは。リンクありがとうございます。

まぁ,ECMもいろいろありますからねぇ(笑)。私にとっては,Brad Mehldau買いな訳ですが,かれはどちらかと言えば,助演に徹しているって感じで,むしろAmbrose Akimsireのラッパがポイントだったかもしれませんね。

私は以前のECM的なものが現代にも通じるということがわかって,こういうのもありだと思いました。

ということで,追ってこちらからもコメントさせて頂きます。

このアルバムのリリース告知をみつけ、凄いメンツが揃ってると驚喜し、あとからECMからのリリースであると知ったんですが(汗)

Wolfgang Muthspiel, Ambrose Akimsire, Brad Mehldauの3者の絡み合う美しさは得も言われぬものを聴かせてもらった感が強いです。
おっしゃる通り、Ambrose Akimsireが一番の立役者かもしれませんね。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,こんにちは。TBありがとうございます。

Brad Mehldauも結構神出鬼没なところがあるので,意表を突かれることもありあますが,このアルバムはAkimsireを除けば,まぁ共演があっても不思議はないメンツですね。だからこそAmbrose Akimsireの好演が余計に光るって気がします。

ECMだからってわけでなく,これはメンツの実力でしょうが,いいものを聞かせてもらったと思います。

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