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2016年11月 7日 (月)

突如現れたLiberation Music Orchestraの新作。

"Time/Life" Charlie Haden Liberation Music Orchestra(Impulse)

Time_life惜しくもCharlie Hadenが亡くなってもう2年以上の時が経過したが,突如として,Liberation Music Orchestraの音源がリリースされたことには驚いた。と言っても,全5曲中,Hadenがベースを弾いているのは#1と#5だけであり,そのほかはHadenの死後に録音されたもので,そこではSteve Swallowがベースを弾いている。なので,この音源に対して,Charlie Haden Liberation Orchestraと呼ぶことには若干抵抗がないわけではないが,Duke EllingtonやCount Basieが亡くなっても,バンド名が健在なのと同じであり,その精神は生きているということだと解釈することにしよう。

ともあれ,Liberation Music Orchestraとしては通算6枚目となるこのアルバムであるが,Steve Swallowがベースを弾いている曲でも,ほかのメンツは同じだし,編曲はCarla Bleyが行っているため,全然違和感がないのが素晴らしい。冒頭の"Blue in Green"という選曲は意外とも思えるものだが,これからして極めて味わい深い。Hadenのベースも魅力的だし,Chris Cheekのソロがまたいけているのである。そして,それに続くタイトル・トラックはHadenがいなくなっても,Leberation Music OrchestraはLiberation Music Orchestraとしての音楽は成立しうるということを明確に示したものとなっている。もちろん,Carla Bleyはじめ,参加したミュージシャンのHadenへのシンパシー,リスペクトがそうさせることは言うまでもないことだが。ちなみにHaden抜きの音源は,2015年1月13日にNYCのタウンホールで開催されたCharlie Haden Memorialの直後の録音ということも影響しているとは思うが,それにしても見事な音楽的な捧げものと言ってよいだろう。

全編を通じて抑制された響きが続くので,ジャズ的なスリルって感じではないが,それでもこの音楽から離れられない感覚を覚えるというのは,Liberation Music Orchestraならではって感じがする。ともすれば,彼らが打ち出してきたメッセージ性は,音楽という観点からすればどうでもいいと思われることがないわけではないかもしれないが,音楽は雄弁に語ることができることを示したことは重要な要素だと思える。だからと言って,私は最後の"Song for Whales"の冒頭のアルコのソロを認めるつもりはない。John TaylorとHadenのデュオ作"Nightfall"でもやったこの曲は,"Nightfall"の美的感覚を損ねた元凶であるが,今回はそこまでの不快感がなかったのはLiberation Music Orchestraゆえってことかもしれない。

"Song for Whales"の冒頭のソロのように若干気に入らない部分はあるとしても,このアルバムは決して無視することはできないし,少しでも多くの人に聞いてもらうべき価値があるということで,星★★★★☆としよう。それにしても,ライブ音源に入っているCharlie Hadenの肉声は,彼の顔から想像すると,随分細い声だなと思うのはきっと私だけではないだろうな。

尚,冒頭の"Blue in Green"もあって,カヴァー・アートにはGeorgia O'Keefeの"Blue And Green"が使われているのはしゃれですか?って気もするが,これはこれで味わい深いデザインだな。

Recorded Live in Antwerp, Belgium on August 2011, and January 14 & 15., 2015

Personnel: Charlie Haden(b), Carla Bley(p, arr, cond), Steve Swallow(b), Tony Malaby(ts), Chris Cheek(ts), Loren Stillman(as), Michael Rodriguez(tp), Seneca Black(tp), Curtis Fowlkes(tb), Vincent Chancey(fr-h), Joseph Daley(tuba), Steve Cardenas(g), Matt Wilson(ds)

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コメント

やっぱりこの雰囲気ですよねえ。これがあれば、リベレーション・ミュージック・オーケストラはまだ続くような気がします。でも、2曲だけとはいえ、チャーリー・ヘイデンのベースは存在感がありました。

TBさせていただきます。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。

そうですよねぇ。Charlie Hadenの不在を感じさせないほど,Steve Swallowの演奏はフィットしていたと思います。さすが,一番Carla Bleyを理解していると思わされました。

音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
このアルバムのリリースにはおどろきましたが、ヘイデンが2曲聞けてよかった。
このサウンドは持っているアルバムですべてとしてよいような気がします。
それともトランプの時代に新たな主張をするかも。
TBさせていただきます。

monakaさん,おはようございます。TBありがとうございます。

アルバム・リリースには驚きましたが,こういう驚きならいつでも歓迎ですね。彼らの音楽の根底には「思想的な怒り」のようなものが通奏低音のように流れていると思いますが,トランプの時代に継続して奏でられるのか興味深いです。

ただ,Carla Bleyも相当な年齢だけに,どうなってしまうのか...。本作や,彼女のECM作を聞く限りは,まだまだ大丈夫そうですけどね。

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