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2016年11月29日 (火)

購入せずにはいられなかったLeonard Cohenの遺作。

"You Want It Darker" Leonard Cohen (Columbia)

Leonard_cohenLeonard Cohenが本作をリリースして3週間も経たずにこの世を去ったことには,心底驚かされたが,その訃報に接したときに,私はこのブログにも記事をアップし,「そのタイトル・トラックを聞いていると,バックのコーラスが宗教的な響きさえ感じさせる」と書いたが,これはまさに死期を悟ったCohenが最後に残した「白鳥の歌」と考えざるをえない。そうしたことを考えると,歌詞を吟味しつつ,襟を正してこのアルバムを聞かなければならないという義務感さえ芽生えてしまい,遅ればせながらの購入となった。

上述したような宗教的な響きは,タイトル・トラックの歌詞にも表れており,そこには次のようなフレーズがある。

”Hineni, Hineni, I'm Ready, My Lord."

ここでいう"Hineni"とはヘブライ語で,"Here I Am" (with Spiritual Readiness)という意味らしいので,だとすれば,神に向かって"I'm Ready"と三度つぶやいているようなものであるから,まさにそれは死期を悟った人間の言葉としか思えない。そして,最後に収められた"String Reprise / Treaty"なんて,どう聞いても,Cohenの葬送のための曲もしくはレクイエムとしか思えない響きを有する。Cohenはこの後,もう2枚アルバムを作る予定があると言っていたという話もあるが,おそらくは表向きはそうであっても,本音はこれが「最後のアルバム」とわかった上でのリリースだと思わざるをえないのである。

Cohenの歌いっぷりは相変わらずの訥々としたものなので,音楽的な快楽が得られるものとは思わない。しかし,「ポエトリー・リーディング」として聞いてもいいし,バックの楚々とした伴奏に乗って,音楽的な響きを聞かせる部分もあり,それほど抵抗なく受け入れられるはずである。だが,多くのリスナーにとっては,決して取っつきやすい音楽ではない。上述の通り,これは歌詞をよく読み取りながら,詩的な表現を確認しながら聞くべき音楽である。

そういう意味では,エンタテインメントとは言えない。だが,言葉による表現が優先されるとしても,ここに提示された音楽には深い感動があると思える。ここには死への諦念があったかもしれないし,それでもレガシーとして何かを残すという表現者としての欲求があったのかもしれない。そして,それを実現させた息子のAdam Cohenのプロデューサーとしての役割は,決して過小評価すべきではない。純粋な親子の愛が作品として結晶していると思えるのだ。そうした様子をすべて含めて,このアルバムは受け入れなければならないと思う。リスナーにとっても「厳しい」ものであるが,正直言って,このアルバムを聞いて私は背筋が伸びたと言っておこう。追悼も含めて星★★★★★。

改めて,Leonard Cohenのご冥福を祈りたい。R.I.P.

Personnel: Leonard Cohen(vo), Patrick Leonard(p,key, org, perc, prog), Neil Larsen(org), Michael Chaves(key,b, prog), Bill Bottrell(g), Adam Cohen(g), Zac Rae(g, synth, key, p, octaphone, mandolin), Steve Geitsch(g), Sean Hurley(b), Rob Humphrys(ds), Brian Macleod(ds), Mai Bloomfield(cello), David Davidson(vln), Luanne Homzy(vln), Etienne Gara(vln), Micehlle Hassler(vla), Yoshika Masuda(cello), Tom Henby(bouzouki), Dana Glover(vo), Athena Andreadis(vo), Alison Kraus(vo), Congregation Sharr Hashomayem Choir(cho)

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