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2016年7月31日 (日)

改めてJeff Lorber Fusion@Cotton Club参戦記。いや~,楽しいライブであった。

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昨日も戦利品やら,ライブ後の写真やらをアップしたが,改めてライブの模様を振り返ってみたい。Cotton Clubは金曜日の夜は比較的混み合うことが多いが,今回は8~9分の入りというところだろうか。Jeff Lorber Fusionならば,フルハウスになってもいいように思うが,昨今のライブでフルハウスになることはまれなので,まぁまぁの入りだと思う。

Img_6221そんな中でのライブであるが,これぞフュージョンの王道と言うべき演奏だったと思う。今回の注目はJeff Lorber,Jimmy Haslipの固定メンツに加わるAndy SnitzerとGary Novakとのコンビネーションということになるが,Gary Novakは最新作にも何曲か参加していたし,タイトなドラマーなので心配はなかった。気になるのはAndy Snitzerであるが,無難に演奏をこなしていたが,ソプラノよりはテナーの方がよかったかなって感じである。

いずれにしても,タイトな演奏に終始し,オーディエンスがどうすれば喜ぶということをよくわかっている人たちである。そうした中で,プロデューサー業にも勤しむJeff LorberとJimmy Haslipである。今回はJeff Lorberが親方としてのにらみをきかせるという感じで,演奏を引き締めにかかっていたのが印象的であった。

Img_6223_2演奏した曲目を全部把握できたわけではないが,古いのから新しいものまで取り混ぜても,どれを聞いてもJLFの音楽だよなぁと思わせてくれるのはある意味凄い。だからこそ,この人たちには固定的なファンが付いているのだと思わせる。本当に魅力的な音楽を聞かせてくれる人たちである。

演奏後のサイン会ではやや疲れを見せながら,ファンに対する対応を怠らない彼らの姿勢はプロそのものであり,頭が下がる思いであった。しかし,写真を見ると,みんな機嫌がよさそうに見えるのは,オーディエンスの反応がよかったことと,演奏に対する満足感だと思いたい。いずれにしても,Jeff Lorberにも伝えたが,"Come Back Soon!"である。フュージョンはかくあるべしと思わせてくれた楽しいライブであった。

Live at コットンクラブ東京 on July 27, 2016

Personnel: Jeff Lorber(key, p), Andy Snitzer(ts, ss), Jimmy Haslip(b), Gary Novak(ds)

2016年7月30日 (土)

JLFと幸せな人々(笑)。

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ミュージシャンと一緒に写真を撮って,思わず笑みがもれてしまうのは,そのライブに満足したからにほかならない。今日のJeff Lorber Fusionのライブ後の写真は,お疲れのミュージシャンたちには悪かったが,私にとっては至福の瞬間みたいなものであった。でも,モザイクがかかっていたら,わからへんやんけ(爆)。

ライブの模様は改めて報告するとして,今日はその写真と,戦利品の一部(笑)。よくこのブログにコメントを頂いているひまわりさんとお会いできたのもJLFのおかげってことで.

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2016年7月29日 (金)

久しぶりに本の話:「マチネの終わりに」

「マチネの終わりに」 平野啓一郎(毎日新聞出版)

Photoこのブログに本の話を書くのはほぼ一年ぶりのことである。通勤環境が変わってからというものの,私の読書量は激減してしまったわけだが,小説は買っていないわけではないとしても,なかなか集中して読む時間がないというのが正直なところである。

そんな私が出張の道すがらに読むために手に取ったのが,この平野啓一郎の新作である。彼の小説を読むのは「決壊」以来だと思うが,これは全然「決壊」と異なる大人の恋愛小説である。主人公二人の恋愛模様はよく書けているし,非常に感情移入のしやすい小説である。しかし,彼らが破局するシチュエーションはなんだかTVドラマを見ているみたいだなぁと思って,若干疑問に感じたものの,その後の展開で持ち直し,途中で投げ出さなくてよかったと思ってしまった。

いずれにしても,この小説のラストは非常に爽やかな読後感を与えるものであり,大げさに言えば,恋愛→破局→再生という道筋を描いている。私がこの小説に猛烈に感情移入してしまうのは,自分の過去の恋愛体験をこの小説に投影してしまうからかもしれない。事情は全然違うが,私も同じような経験をしたことがあるということが,フィクションと思えなくなってしまった原因だと思う。

そのため,読んでいる途中で,あの時自分はどう思っていたのだろうか?あるいは当時のガールフレンドはどういう風に感じていたのだろうか?という思いが何度も去来したということは告白しておかねばならない。私が過去の経験をいまだに引きずっているのは事実であり,それは一生消えることはないが,そうした感情を改めて呼び覚まされてしまったと言うべき作品である。そんな思いを抱えながら読んでいた作品ではあるが,上述の通り,この作品のラストにはほっとさせられる。自分だったらどうなってしまうかと,またも自身に再投影してしまうのだが,ここでは爽やかな余韻を楽しみながら,本を閉じることができたと思う。ストーリーに若干の瑕疵はあろうとも,この作品,私は好きである。

ということで,ついつい点も甘くなり,星★★★★★を謹呈してしまおう。

我ながら何だか赤面ものの記事を書いてしまったが,私をそうした行動に至らしめたのはまぎれもなく本作である。この記事を読んで,私の知人たちは「人は見かけによらない」と改めて思うかもしれないなぁ(苦笑)。

2016年7月28日 (木)

Espen Berg Trio@武蔵野スイングホール

_20160727この人たちのアルバム,"mønster"が非常にいいと思えたので,武蔵境にある武蔵野スイングホールでのライブに行ってきた私である。武蔵野スイングホールはわずか180席のこじんまりしたホールで,非常にミュージシャンとの親密度も高い場所と言ってよい。そんな場所で,彼らの清冽な美学が聞けると思うとワクワクしてしまうというのが人情である。

しかし,ライブの冒頭から,私は違和感を覚えていた。その原因は,こんな小さなホールにもかかわらず,過剰なPAにあったと言える。Espen Bergの繊細なピアノを考えれば,PAは極力抑制して,原音に近い形でもよかったと思われるが,明らかにPA過剰に思えたのが惜しい。また,ドラムスの手数が多いせいもあって,ベースがほとんど聞こえないのである。これではこのトリオの音楽を聞くのに適した環境ではないと言われても仕方あるまい。

今回は休憩をはさんで二部構成であったが,第二部になるとベースの音はだいぶ聞こえるようにはなったとは言え,ピアノのPA過剰は解決せず,特に高音ばかりマイクが拾うような感覚があって,どうも聞いていて落ち着かない。また,決定的だったのはドラムスのSimon Olderskog Albertsenが叩き過ぎだったということである。あれでは落ち着きも何もあったものではない。

そうした難点があったのは事実であるが,Espen Bergのピアノのテクニックは確かなものである。だが,Fred Herschにも師事したらしい彼のピアノからは,フレージングは立派だとは思うが,まだまだHerschのような素晴らしくも繊細な音は聞こえてこない。そして,何よりもどれを聞いても同じに聞こえてしまうのは,個性に欠けると言われても仕方がないかもしれない。

期待値が高かったがゆえに辛口の評価になったが,まだまだ彼らは発展途上という気がする。初来日ということで,力が入り過ぎたかなぁって気がしないでもない。まぁ,聴衆にはそこそこ受けていたようだから,それはそれでよかっただろうが,もう少しライブの場でも,アルバム同様の成熟感を示す必要があったと思う。そうした点はちょっと残念だった。

そうは言いながら,将来の成長に掛けて,サイン会にはきっちり参加して,彼らと軽口を叩いてきた私である。我ながら,相変わらずのミーハー炸裂である。

Live at 武蔵野スイングホール on July 27, 2016

Personnel: Espen Berg(p), Bárður Reinert Poulsen(b), Simon Olderskog Albertsen(ds)

2016年7月27日 (水)

久しぶりに聞いた"Absent Lovers"

"Absent Lovers" King Crimson (DGM)

_2016072480年代の"Discipline"から始まる3部作には否定的な声があることは重々承知しているのだが,この時のライブを目撃した立場からすれば,彼らのライブ・バンドとしての演奏は非常に素晴らしかったと思っている。私が彼らの演奏を見たのは,映像化もされた84年の五反田でのライブだったが,その後,Laser Discでその演奏を長きに渡って見ていたから,結構記憶は鮮明に残っている(現在はDVDで再リリースされているようだが,LD版とは収録曲にはちょっとした違いがあるらしい)。

King Crimsonというバンドが生み出す音と,Adrian Belewのステージ・アクション,衣装,更には本作で聞かれるようなMCには違和感はあるものの,音を聞いている限り,そんなことは全然気にならないし,本当にライブはいけていたと改めて思ってしまった。もちろん,Adrian Belewの声には好き嫌いは分かれることは当然だと思うが,ここでやられている音楽には結構フィットしていると感じてしまった。今にして思えば,"Three of a Perfect Pair"なんて,結構カッコいいではないか。ついつい私たちは"Larks...(Part III)"の方に耳が行ってしまっていたのは事実だが,ギターのユニゾンなんて聞いていると,凡百のプログレ・バンドが束になってかかっても,この人たちにかなうわけないわと思わざるをえない。

こうして改めて彼らの演奏を聞いていると,どうしてこの時期の演奏が評価されなかったのかと思ってしまう。結局のところ,Adrian Belewの持ち込んだであろうちょっとしたポップさが,King Crimsonというバンドのイメージと合致しなかったと感じたリスナーが多かったということになるのではないか。私のような遅れてきたKing Crimsonファンにとっては,そういう擦り込みがなかったというのは,振り返ってみればラッキーだったかもしれない。もちろん,今となっては,やっぱりヴォーカルはJohn Wettonの方がいいなぁと思っているが...(苦笑)。だが,純粋にこのラインアップでのラスト・ライブとなった本音源を聞いていると,このバンドは結構いけていたのだということを再認識させられるのである。

と言いつつ,私は"Discipline"3部作については音源も保有していないので,どうこう言える立場にないのは事実ではあるが,ここでの演奏は,後にヌーボー・メタル化して復活した後のKing Crimsonより好きかもしれないなぁと思ってしまった。ということで,改めて聞いてみて,星★★★★☆をつけても問題ないと考える私である。やっぱり大したバンドだよなぁ。

尚,本作のジャケには赤盤,青盤,黄色盤とあるようであるが,私が保有しているのは黄色盤。"Discipline"3部作の色に合わせたってことかねぇ。

Recorded Live at the Spectrum,  Montreal on July 11, 1984

Personnel: Robert Fripp(g), Adrian Belew(g, vo, ds), Tony Levin(b, stick, vo, synth), Bill Bruford(ds, perc)

2016年7月26日 (火)

ここまでやる?って感じのWoody Shawの未発表ライブ。マジで燃えるわ。

"The Tour Volume One" Woody Shaw / Louis Hayes(High Note)

Woody_shawこれまでもWoody Shawの未発表ライブ音源を発掘してきたHigh Noteレーベルから,またも新たな発掘音源の登場である。これがまじで暑い夏を更に暑くするような音源と言ってよいものである。何もここまでハード・ドライビングにやりまくらなくてもいいのではないかと思えるが,何かがWoody Shawを突き動かしていたと考えざるをえない。

このアルバムが吹き込まれた1976年は,クロスオーバー(フュージョン)・ミュージックに押され,ジャズが低迷期にあった時と考えられている。しかし,ライナーにもあるWoody Shawのセリフ通り,彼にとっては”By no means is jazz dead, that's essentially why Louis Hayes and I formed this band."ってことなのだ。彼が言いたいのは「どっこいジャズは生きてるぜ」って感じで,ジャズ・ミュージシャンとしてのアイデンティティを思い切り発露するということに,このバンド,演奏の意義があったってことである。

そうしたWoody Shawの意図の通り,ジャズが好きな人間であれば,大概の場合,ここに収められた音楽を聞けば興奮させられるという感じであろう。今の耳で聞けば,ちょいと勢いが余ったとさえ思わされる部分もあるが,そこまでやらなければ認められないという危機感の裏返しのようにさえ思えるのだ。だからこそ,暑苦しささえ感じるが,それでもいいのである。

私はこの音楽については,ライブの場にいる感覚で身を委ねればいいと思うし,これはそうした環境を生み出すために,事情が許す限り,できるだけボリュームを上げて聞いた方がよい音源である。ジャズの持つパワーを体現した強烈なライブとして,そしてWoody Shawのトランぺッターとしての実力,更に地味と言えば地味なのだが,実力十分のバンドのメンツによる強烈な演奏に耳を傾けて頂ければいいと思えるアルバムである。76年録音にしては,音質は良好(おそらくは放送音源であろう)なので,心配は無用である。星★★★★☆。

タイトルには"Volume One"とあるので,続編の登場を期待しよう。もしかすると,そっちはバラッド・アルバムにでもするのだろうか?いや,この演奏を聞けば,そんなはずはないな(笑)。

Recorded Live in Stuttgart on March 22, 1976

Personnel: Woody Shaw(tp), Junior Cook(ts), Ronnie Matthews(p), Stafford James(b), Louis Hayes(ds)

2016年7月25日 (月)

久しぶりに見た映画は「ブルックリン」。

「ブルックリン("Broooklyn")」(’15,英/加/アイルランド,Fox Searchlight)

Brooklyn_movie監督:John Crowley

出演:Saoirse Ronan, Emory Cohen, Fiona Glascott, Julie Walters, Jim Broadbent, Domhnall Gleeson

5月以来の久々の映画である。今回見たのは15年度のオスカーの作品賞,主演女優賞,脚色賞にノミネートされたこの映画である。脚色を手掛けたのは英国の小説家,Nick Hornbyである。

この映画,非常に地味ではあるのだが,心に残る映画である。アイルランドを旅立ち,ホームシックに悩まされながらも,住み始めたブルックリンでイタリア系の男と恋に落ちながら,姉の死により,一旦アイルランドに戻って,故郷あるいはそこにいる魅力的な男性にも惹かれてしまうという,こういう話ってリアリティのあるシチュエーションだろうなぁと思える。だからこそ,感情移入は容易にできてしまうのだが,こういう映画を見ていると,CG偏重の最近の映画に対して結構批判的な私は思わず嬉しくなってしまうのである。

ギミックなしで,ストーリーと演出と演技だけで勝負するという映画が珍しくなってしまったこの時代において,この映画はしみじみとさせてくれる映画である。子役出身のSaoirse Ronanの演技はまだ20代前半とは思えない素晴らしさだったとは思うが,この映画で一番泣かせてくれるのは姉を演じたFiona Glascottだろう。Saoirse Ronanとの手紙のやり取りのシーンだけでも泣ける。あんな人が本当にいるのかとは思うが...。星★★★★。

尚,余談ではあるが,映画を見ている間,主演を務めているSaoirse Ronanを見ていて,トリンドル玲奈のイメージが湧いてきてしまい,彼女に同じ役をやらせたらどうなるのかと妄想していた私である(爆)。

2016年7月24日 (日)

仕事疲れを癒すにはこういう音楽が必要ってことで,Leszek Możdżer。

"Komeda" Leszek Możdżer(ACT)

Komedaタイトル通り,Leszek MożdżerがKrzusztof Komedaの曲をピアノ・ソロで演じたアルバムであるが,これが何とも美しい。彼とLars Danielssonの"Pasodoble"についても「美の極致」とか書いて,私も本当に表現力に乏しいと思わざるをえない(記事はこちら)が,美しいものは美しいのである(きっぱり)。

そもそもKomedaの書く曲が美しいというのは事実としてあるのだが,それを演奏で倍化させるLeszek Możdżerのピアノ・タッチには脱帽である。この音楽,真剣に聞いても,聞き流してもOKの音楽だと思うが,仕事に疲れた私のような中年男にとっては,控えめのボリュームで流していると,日常生活に落ち着きを取り戻してくれるような気がする。

こういう音楽をジャズと呼ぶかというと,議論の余地はあるかもしれないが,カテゴリーなんてどうでもいいと思わせてくれる逸品。これが嫌いな人っているのかなぁと思いたくなってしまうような,真に美しいソロ・アルバム。むしろ,こういう音楽が嫌いだという人とは,私は絶対話が合わないだろうねぇ(苦笑)。星★★★★☆。

Recorded on March 8-11, 2011

Personnel: Leszek Możdżer(p)

2016年7月22日 (金)

追悼,大橋巨泉

Photo大橋巨泉が亡くなったというニュースが大きく取り上げられたが,ジャズ評論家として,「中間派」というスタイルを命名したのが巨泉だということは,随分後になってから知った私である。

しかし,私の中で巨泉と同時代を過ごしてきたという印象が強いのは,「ゲバゲバ90分」,「お笑い頭の体操」,「11PM」,「クイズダービー」,「世界まるごとHowマッチ」,「ギミア・ぶれいく」と私の成長カーブと同期しながらいろいろな番組と接してきたことによるものだと思う。

いずれにしてもリベラルな人であり,多趣味な人であった。この人のスタイルは多分,現在の私に少なからず影響を与えていると思えるが,政治的な思想も多分似ていたんだろうと思う。 こういう人がいなくなることで,日本のTVはますますつまらないものになっていくと言わざるをえないし,メディアにおいてはっきり物を言う人が減少していくことは残念である。

急速な体調悪化が,モルヒネの過剰投与がトリガーとなっているという信じられない話もあるが,気力,体力の衰えの結果の死はあまりにも寂しい。私たちは気骨溢れるメディア人を失ってしまった。好き嫌いのわかれるタイプの人だったかもしれないが,彼の業績は認められるべきものであると思う。

R.I.P.

2016年7月20日 (水)

何を今更だが,Danny Grissettの端正なピアノ。

"Promise" Danny Grissett(Criss Cross)

Danny_grissett_promiseDanny GrissettはTom HarrellやJeremy Peltのバンドでの優れた仕事ぶりだけでなく,リーダー作でもいいところを聞かせてくれることはこのブログにも書いた通りである(記事はこちらこちら)。ライブも行ってしまうぐらいなので,結構好きなピアニストなのだが,追っかけるところまでは行っていない。しかし,中古盤屋で見つければ買うというのが基本的なスタンスであり,これも先日,中古盤屋をうろついていて見つけたものである。

これはDanny Grissettにとって初リーダー作のはずだが,本作制作の段階で,ダニグリの個性は確立していると言ってよいというか,端正この上ないピアノを聞かせている。この淀みのない端正さは彼が受けたクラシックの教育によるところが大きいと思うが,決して下品にならないピアノを聞かせるところに,育ちの良さを感じてしまう。

リーダーのピアノは結構端正だが,ジャズ的な魅力を維持するのに貢献しているのがKendrick Scottのドラムスだと思う。結構なプッシュぶりで,それに呼応して,ダニグリのピアノも熱くなる"Where Do We Go from Here?"なんかはジャズ的な魅力たっぷりだと思える。

初リーダー作としては非常によく出来ていると思うし,リアルタイムで聞いていれば,この人は絶対に期待できると感じたであろう作品。タイトル通り,その後の活躍を「約束」する逸品であり,十分に星★★★★☆に相当する。

もはやリリースから10年が経過しているが,今聞いても全然問題ないのも素晴らしい。

Recorded on December 4, 2005

Personnel: Danny Grissett(p), Vicente Archer(b), Kendrick Scott(ds)

2016年7月19日 (火)

Allen Toussaintの遺作が渋い。

"American Tunes" Allen Toussaint(Nonesuch)

Allen_toussaint昨年惜しくも亡くなったAllen Toussaintの遺作アルバムである。デリバリーの関係で,リリースからちょっと間を置いて我が家に届いたのだが,これが非常に渋い。Joe Henryのプロデュースよろしく,タイトルに偽りなく,アメリカ的な響きが濃厚な音楽である。クラシック・ジャズ的趣も持ちながら,アメリカ音楽の懐の深さを改めて感じさせてくれる音楽となっている。Allen ToussaintとJoe Henryのコンビには"The Bright Mississippi"という傑作があった(記事はこちら)が,まぁ同一の路線と言ってもよい。但し,Joe Henryは"Where Mississippi was elegantand almost classical in its approach , American Tunes is visceral and earthy."と書いている。Visceralとは「本能的な,直観的な」という意味になろうが,若干解釈には苦しむところもある。いずれにしても,私としては,前作の続編という感覚で聞いた。

この音楽をどのようにカテゴライズするかは難しいのだが,ジャズ的なフレイヴァーが中心なので,一応ジャズのカテゴリーに入れてあるが,Duke Ellingtonの"Come Sunday"などは,Rhiannon Giddensの歌唱も素晴らしいが,完全にゴスペルの世界である。その一方で,最後に収められたPaul Simon作のタイトル・トラック(オリジナルは「ひとりごと」に収録)はSSWの世界と言ってもよい。Allen Toussaintの歌は,小唄と言ってもよいような,軽妙洒脱な歌唱ぶりで,非常に魅力的に響き,曲のよさを再認識させるに十分である。ワルツではない"Watlz for Debbie"なんてのも収録されている。

このアルバムの録音から約1か月後に亡くなってしまうとは,プロデューサーのJoe Henryにとっても予想外のことであったと思う。Joe Henryがライナーに書いているように,"So in the end I choose to feel, as I think Allen would insist, more greteful than sorry."ということで,Allen Toussaintという「知る人ぞ知る」の偉人に対し,感謝の念を捧げたい。星★★★★☆。

尚,Charles Lloydの客演は意外だが,彼の最新作"I Long to See You"ではルーツ・ミュージック的なアプローチを取っていたところから,ここでの演奏にも違和感は全くない。いかにもLloyd的な吹奏ぶりである。"I Long to See You"で共演したBill Frisell,Greg Leitz人脈での参加だったのかもしれないが,そんなに目立っているわけではないとしても,これも一つの聞きものと言ってよいだろう。

Recorded on May 20-21, 2013, October 1-3 & 5, 2015

Personnel: Allen Toussaint(p, vo), Jay Bellerose(ds, perc), Bill Frisell(g), Greg Leitz(weissenborn), Charles Lloyd(ts), David Piltch(b), Rhiannon Giddens(vo), Van Dyle Parks(p, arr), Adam Levy(g), Cameron Stone(cello), Amy Schulman(harp)

2016年7月18日 (月)

Brad Mehldauも参加した結構豪華なメンツによるWarren Wolfの新作

"Convergence" Warren Wolf(Mack Avenue)

Convergence先日,DownBeatの最新号のレビューの記事を眺めていたら,おぉっ,Brad Mehldau入りではないかということで,早速海外に発注をかけた私である。現物はまだ来ていないので,Apple Musicで早めのチェックをしてみた。

Warren Wolfはボルチモア出身のヴァイブ奏者であるが,本作はMack Avenueレーベルにおける第3作とのこと。ここではWarren Wolfも参加する"Inside Straight"のバンマスであるChristian McBrideも参加して,Warren Wolfを盛り上げている。ジョンスコは2曲で客演。

まぁ,正直言って,私はBrad Mehldau目当てで本作を買っているのは間違いないところだが,全11トラック中5曲に参加しているものの,Mehldauの露出はそれほど高くない。もちろん,Wolfとのデュオで演じられる"New Beginning"等はMehldauならではのピアノを聞かせるが,アルバム序盤は抑制したプレイが際立っているように思える。そうは言いつつ5曲目の"Cell Phone"で聞かせるピアノは,テーマでのヴァイブとのユニゾンも決まり,リズムの煽りもよく,Mehldauのソロもかなりスリリングな展開を示す。これはいいねぇ。Brad Mehldauがどうしてこのアルバムの参加に至ったかはわからないが,Christian McBrideとは旧知の間柄であるから,そちらのコネって気がする。

それはさておき,これだけのメンツが揃っているので,おかしな演奏になるわけはない。だが,リーダー,Warren Wolfはそれほど強烈な個性の持ち主とも言えない部分があって,その辺りが評価の分かれ目って気がする。このメンツならもっとできるだろうと贅沢を言いたくなってしまうのである。やはり私はMehldau参加曲に注目してしまうがゆえってところもあるが,Warren Wolf本人がピアノを弾く曲と比べると,Brad Mehldauのピアノの凄さが感じられる結果になっていると思える。まぁ,悪くはないけど,星★★★☆ぐらいってところだろう。

Personnel: Warren Wolf(vib, marimba, el-p, p), John Scofield(g), Brad Mehldau(p), Christian McBride(b), Jeff 'Tain' Watts(ds)

2016年7月17日 (日)

Coltraneの命日は私の誕生日ってことで,今日はColtraneである。

"The 1962 Graz Concert" John Coltrane Quartet(Jazz Lips)

_20160716主題の通りである。John Coltraneの命日を迎える度に,私は一つ歳を重ねることになる。ちなみに昨年亡くなった私の伯父の命日でもある。ということで,今日は私には珍しくColtraneの音源を取り上げることにしよう。

この演奏は元々がブート音源であって,音のクォリティは求めてはならないが,そこそこの音なので,別にこれぐらいなら私は全然気にならない。世の中にはこれよりずっと録音のひどいブートは存在する。まぁそれはさておきとして,この音源が多くの人に知られているのは,Clotraneが"Autumn Leaves",つまり「枯葉」をやっているからにほかならないと思う。ほかのレパートリーは,お馴染みのものばかりであるから,「枯葉」はある意味浮いているのだが,どうしてこの時,彼らが「枯葉」をやる気になったのかは全くの謎である。プロモーターにでもリクエストされたのかと邪推したく名rが,それでも,これがColtraneがリーダーの「枯葉」が聞ける唯一の音源だそうであるから,貴重なのである。

長いMcCoy Tynerの軽快なソロに続いて,ソプラノでColtraneが登場する瞬間は,やはりぞくぞくしてしまうが,テーマは最後に出てくるのみで,アドリブ勝負って感じが強く出ている。こうやって聞くと,何をやっても,ColtraneはColtraneであるという,当たり前の結論にしかならないが,それでもやっぱりこれは聞いておいて損はない。いずれにしても,2枚組にして,約130分という長丁場,体力のある人たちである(笑)。

ところで,甚だ余談であるが,1998年度の国民生活白書「中年-その不安と希望」では,中年世代を、おおむね40代 - 50代と定義づけているそうだから,まだ私のブログ名称はOKってことではあるが,四捨五入すると私も「アラカン」ということになってしまった。その割にはまだまだちゃらちゃらしているが(爆),これからもまぁ気力,体力の続く限り,無理のない程度にブログは続けていこうと思っている。

Recorded Live in Graz on November 28, 1962

Personnel: John Coltrane(ts, ss),McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)

2016年7月16日 (土)

Fred Herschの新作が出た。聞いたことがないオリジナルが4曲も。

"Sunday Night at the Vanguard" Fred Hersch Trio(Palmetto)

Sunday_night_at_the_vanguard待望のFred Herschの新譜である。今回もHerschのホームグラウンドと言ってよいだろうVillage Vanguardでのライブであるが,いつもながらのFred Herschのサウンドが聞ける。このアルバムが珍しいと思わせるのは,日頃のアルバムでは,同じ曲を再演する機会の多いFred Herschが,私の知らないオリジナルを4曲(それも続けて)演奏しているからだろうか。私の不勉強ゆえかもしれないし,新曲なのかもしれないが,いつもとちょっと感じが違うHerschが聞ける。特にHerschとの共演歴もあるフランス人ピアニストBenoit Delbecqに捧げた"Calligram"は現代音楽的なアプローチとなっていて,ちょっとびっくりする。

そんな感じがありながら,私がしびれてしまったのはThe Beatlesチューンである"For No One"である。ひたすら美しくプレイされて,曲の魅力が炙り出されている。本来,Lennon~McCartneyと示されるべき作曲者が,実態ベースのMcCartney表記になっているのも面白いが,この演奏を聞いていると,本当に曲の本質を分かっている人だなぁと思わされる。そして,アンコールで演奏されるソロによる"Valentine"のこれまた美しいことよ。陶然となってしまうこと必定である。

このアルバムは,本年3月27日日曜日の1stセット全曲に,同日の2ndセットからの2曲を追加したものとなっているが,Fred Herschの気力が充実し,集中力が発揮された演奏であることは間違いない。トリオのコンビネーションも高いレベルにあり,序盤のオリジナル4連発には若干戸惑うものの,やはり優れた演奏であることは間違いない事実である。そういう意味では,ファンには後半の方がより楽しめるかもなぁと思う部分もあり,星★★★★☆。

いずれにしても,このメンバーでの再来日を期待したいところである。

Recorded Live at the Village Vanguard on March 27, 2016

Personnel: Fred Hersch(p), John Hébert(b), Eric McPherson(ds)

2016年7月15日 (金)

Good Fellows@新宿ピットイン参戦記

Good_fellows

突然のゲリラ豪雨のような激しい夕立に見舞われながら,新宿ピットインで行われた小林陽一率いるGood Fellowsのライブに行ってきた。ほとんどびしょ濡れ状態でのライブは結構つらかったが,演奏は非常によかったと思う。今回の目当てはもちろん,フロントのVincent HerringとEric Alexanderであったのだが,まずはリーダー以下のリズム・セクションは優れた演奏でフロントを盛り立てていたことを報告しておきたい。

そしてフロントの二人であるが,Vincent Herringを見るのは,私の在米中以来,ほぼ25年ぶり,エリアレについても,2009年の出張中にニューヨークはBirdlandで見たPat Martinoとのライブ以来ほぼ7年ぶりということで,久しぶりに彼らの演奏に接したのだが,Vincent Herringは私の中では一時期低迷していたという印象が強い。しかし,今回のライブを聞いて,全然そんなことはなく,極めて明確で鋭いバップ・フレーズを連発し,この人のアルトが非常に優れていることを再確認させてもらった。かたやエリアレは概してソロは優れていて,やはり只者ではないと思わせるのだが,今回はVincent Herringの方が私に強い印象を残したと言えるかもしれない。いずれにしても,本当にうまい二人である。

演奏した曲は多分次の通り。2ndのアンコールは不勉強にして曲名が思い出せずであった。

1stセット
1. Save Your Love for Me (Buddy Johnson)
2. Here's That Rainy Day (Jimmy Van Heusen)
3. Bee Hive (Harold Maburn)
4. She's Out of My Life (Michael Jackson)
5. Eddie Harris (エリアレのオリジナル)

2ndセット
1. Simple Pleasure (Cedar Walton)
2. Just Squeeze Me (Duke Ellington)
3. Ojos de Rojo (Cedar Walton)
4. The Gypsy (Bill Reid)
5. Soft Impression (Hank Mobley)

Encore: Charlie Parkerの曲(曲名不明)

スタンダードとジャズマン・オリジナルを中心に,これぞコンベンショナル・ジャズの醍醐味のような演奏を聞かせた彼らであった。よくよく考えてみれば,こういうタイプのライブって本当に来てないなぁと思いつつ,先日の五十嵐一生~辛島文雄のライブと連荘で,私にしては珍しいライブのチョイスとなったが,たまにはこういう演奏もいいねぇとつくづく思わされたライブであった。ジャズはやっぱり楽しいのである。アンコール前の"Soft Impression"にはバークリーで勉強中らしい「なんとかサンダース」君がテナーで飛び入りしたが,やはりまだまだ学生だねぇというレベルであったが,こういう機会を通じて,技量を磨いていくということであろう。

彼らは東京でもこれから何度かライブをやり,その後中国にもツアーをするらしいが,こういう音楽ならば,世界のどこでも受けるだろうと思いたくなるような演奏だったと思う。ピットイン到着時の豪雨はぴたりとやみ,気持ちよく家路についた私であった。機会があれば,聞いて損はないライブだと思う。

Live at 新宿ピットイン on July 14, 2016

Personnel: 小林陽一(ds),Vincent Herring(as), Eric Alexander(ts), 田窪寛之(p),金森もとい(b)

2016年7月14日 (木)

多忙につき...。

出張やら何やらで,結構忙しい日々を過ごしており,音楽を聞いている暇がない。列車での移動中も疲れて寝てしまい。気がついたら,プレイバックしていた音楽は終わっているような状態なのだ。

今週を乗り切れば3連休なので,多少音楽に向き合う時間ができると期待したい。Fred Herschの新譜もデリバリーされるはずだしなぁ。だが,ゴルフだ,なんだかんだで,そうも行かないかもしれないが...。まぁ,なるようになるってことで。

2016年7月13日 (水)

Jeff Lorber Fusionで来日するAndy Snitzerをおさらい。

"Ties That Bind" Andy Snitzer(Reprise)

Andy_snitzer今月('16/7)の下旬にファン待望の来日を控えているJeff Lorber Fusionであるが,ここ数年はEric Marienthalがレギュラーとしてサックスを担当していた。しかし,昨今,Marienthalはソロ活動でも受けることが分かったのかどうか知らないが,JLFそのものは現在はJeff LorberとJimmy Haslipの双頭バンドになり,今回の来日においてもサックスを吹くのはAndy Snitzerである。

Andy Snitzerと言えば,日本ではManhattan Jazz Quintetでの活動が知られているはずだが,私はあのバンドには全く興味を失っている(いた)ので,そこでのAndy Snitzerのプレイは聞いたことがない。では,なんでこのアルバムをリリース当時に買っていたかというと,記憶が定かではないのだが,その後,SnitzerがRolling Stonesの"Voodoo Lounge"ツアーに参加しているのを見た時には「へぇ~」と思った記憶がある。

だが,この人の活動を見れば,Manhattan Jazz Quintetをはじめとする日本制作盤が例外的なのであって,基本的にはフュージョン系のサックス・プレイヤーであるから,今回,Jeff Lorberと来日するのも,特に驚くには値しない。

本作は2015年に廉価盤で再リリースされて,その折に購入した人もおられるのではないかと思うが,リリースされたのは94年に遡り,そしてこれがAndy Snitzerの初リーダー作のはずである。それでもって聞いてみればわかることだが,アルト・サックスを吹くと,かなりDavid Sanbornに近い。特にMichael Colinaがプロデュースした曲を聞くと,打ち込みの使い方とか,まるで"Backstreet"を聞いているような感覚になってしまう。その後,Andy Snitzerがどのようなプレイぶりになっているかは,追いかけていないので必ずしもわかりかねるが,まぁ,これはスムーズ・ジャズ全盛の当時,ある程度セールスの確保を図ってプロデュースされた感覚が強い。

だから,耳当たりはいいが,個性を確立しているかと言えば,Nelson Rangellほどではないとしても,少なくともアルトを吹いている時のSanbornクローンぶりはある意味笑える。テナーではそれほどSanbornっぽさは感じさせなくなるが,それでも典型的なフュージョンって感じである。ただ,終曲の"Next Time You See Me"だけがストレート・ジャズ的演奏で,ちょっと浮いてるなぁ。当時のアルバムでいうと,Vernell Brown, Jr.のアルバムもそんな感じで違和感があった(記事はこちら)のと同様で,いろいろできるってことを示したかったんだろうが,これもどうなのかねぇ。

このアルバムを聞いて,基本的にはAndy SnitzerはJeff Lorber Fusionにはフィットするだろうと思わせるが,それはライブの場で改めて確認することとしたい。このアルバムはまぁ平均的なアルバムってことで,星★★★ぐらいだろうなぁ。

余談ながら,2曲でChris Bottiがホーン・セクションとして参加しているが,今やBottiの知名度,人気の方が圧倒的にAndy Snitzerよりは上だろうなぁ。

Personnel: Andy Snitzer(ts, as, prog), Bob James(p), Peter Demarco(p), Joe Sample(p), Larry Goldings(org), Nick Moroch(g), Paul Livant(g), Wah Wah Watson(g), Ira Segal(g), Anthony Jackson(b), Will Lee(b), David Gamson(b, prog), Christian McBride(b), Steve Gadd(ds), Harvey Mason(ds), Lewis Nash(ds), Bashiri Johnson(perc), Scott Kreitzer(fl), Chris Botti(tp), Michael Davis(tb), Michael Colina(prog), Max Risenhoover(prog), Bob Brookmann(prog)

2016年7月12日 (火)

夏の暑苦しさを抑制してくれるBert Jansch

"Rosemary Lane" Bert Jansch(Transatlantic)

Bert_jansch私は夏になるとやれフリー・ジャズだ,レゲエだと言い出すのが常だが,たまにはクールダウンをしたいと思う時もあるのだ(笑)。ということで,今日取り上げるのはBert Janschの弾き語りアルバムである。

弾き語りであるから,当然リズムで暑苦しくなることはないが,ここでのJanschの声とギターが涼やかさを増すって感じなのである。特に,Bert Janschのギターは一体どういう弾き方をしているのかと思わせるものだが,ある意味バロック的な部分もあり,テクニックをひけらかすわけではないのだが,普通ではないのである。ギタリストの端くれとしては気になる。

ギター一本で凄い表現力を示す人は,別にBert Janschだけではないが,それが興奮を呼ぶ場合もあれば,Bert Janschの音楽のように淡々と時が過ぎていくこともある。その時のシチュエーションによって,どっちがいいかは決まるが,私はこの淡々とした感覚がこの季節にはいいと思うのである。こういう音楽を聞いていると,落ち着いて物事がはかどるようにも思えるし,もちろん鑑賞音楽としても機能する。星★★★★☆。

私はブラックホークの99枚については,SSW系は偏愛しているものの,トラッド系は全く感心を示していない中で,Bert Janschのこのアルバムは例外的に好きと言ってもいいかもしれない。いずれにしても,私にしては意外なチョイスだろうなぁ(笑)。

Personnel: Bert Jansch(vo, g)

2016年7月11日 (月)

"Any Other Fool"が聞きたくて購入したナベサダの"Front Seat"

"Front Seat" 渡辺貞夫(Elektra)

Front_seat80歳を過ぎても,まだまだ現役で頑張る渡辺貞夫である。ミュージシャンというのはある程度の年齢を越えてしまう(早逝しなければ,と言ってもよいが...)と,非常に長命化するように思えるが,ナベサダもそんな感じかもなぁと思う。今後も私も含めた栃木県出身者の誇れる代表として,活躍して欲しいものである。

ナベサダが米国進出を果たし,全米ジャズ・チャートの#2に躍り出たのは"Randevouz"であっただろうか?その後も順調にリリースを続けたナベサダだったが,私がナベサダのアルバムをリアルタイムで買ったのは"Orange Express"が最後だったように思う。正直言って,アメリカ進出が本格化して以降,以前ほど魅力を感じなくなってきていたのである。特に"Fill up the Night"がつまらないという印象が強かったせいもあるかもしれない。

そんな私がこのアルバムを購入したのは,私の在米中のことである。当時の米国のFMではスムーズ・ジャズ・ステーション全盛のような感じになっていたが,私が家にいて,CDで音楽を聞いていないときに掛けっ放しにしていたのが,今は亡きCD101.9ことWQCD New Yorkであった。そのCD101.9で頻繁にプレイバックされていたのが,Patti Austinがヴォーカルを取る"Any Otehr Fool"であった。そして,この曲が非常に魅力的に聞こえた私はこの1曲が聞きたくて,このCDを購入したようなものである。

このアルバムは,George Duke,Robbie Buchanan,そしてRussell Ferranteの3人がプロデュースを分担しているが,この当時,こういうスタイルは結構多かったと思う。そして,このアルバム,結構いい曲が揃っていて,今聞いても結構楽しめる。確かにスムーズ・ジャズ的サウンドではあるが,甘さに流れるわけではないし,音楽のクォリティも結構高い。なので,今回久しぶりに通しで聞いても,最後まで楽勝で聞き通せてしまった。

常々,私はナベサダのオリジナルって,メロディ・ラインとしては面白くないと思っているのだが,本作の曲は結構粒が揃っている。但し,上述の"Any Other Fool"はRobbie Buchanan作であり,明らかに曲の個性が違うのが面白いが,やっぱりこれはいい曲だと思う。相対的に評価すれば,星★★★★には値する佳作だと思える。

私は92年の6月まで米国にいたのだが,その年の3月にナベサダは,今は亡きBottomlineに自身のグループで出演している。当時の友人たちと見に行ったのも懐かしいが,よくよく当時の情報を見てみれば,ナベサダの出演の翌日にはTribal Techが出ていたという事実。その前年に私はTribal Techを別の場所で見ていたので,まだまだ何度も追っかけるって感じではなかったってことだな(笑)。全くの余談になってしまった(爆)。

Personnel: 渡辺貞夫(as, sn), George Duke(key), Robbie Buchanan(key), Russell Ferrante(key), Paul Jackson, Jr.(g), Abraham Laboriel(b), Neil Stubenhaus(b), Jimmy Haslip(b), Carlos Vega(ds), Jeff Porcaro(ds), John Robinson(ds), Paulinho da Costa(perc), Alex Acuna(perc), Patti Austin(vo), Syreeta Wright(vo), Alex Brown(vo), Carl Carwell(vo)

2016年7月10日 (日)

懐かしい~!Rachel Zの初リーダー作。

"Trust the Universe" Rachel Z (Columbia)

_20160708_2最近はそれほど名前を聞かないRachel Zだが,私が初めて彼女を見たのは,まだ私が在米中に,NYCのBlue NoteにSteps Aheadで出ていた時だったと記憶している。キュートにキーボードを弾く彼女を見て,「萌え~」となっていた自分が懐かしい(爆)。

Rachel Zなんて芸名は,当時人気のあったSheila E.にあやかった感じだが,本当はRachel Nicolazzoという。この芸名はWikipediaによるとMike Mainieriのアドバイスによってつけられたものらしいが,何だか軽い感じになっちゃったねぇと思うのは私だけだろうか?いかにもイタリア系というRachel Nicolazzoでもいいと思うけどねぇ(笑)。

閑話休題。その後,私は日本に戻ってきて,93年に出たのが,この彼女の初リーダー作である。プロデューサーはSteps Aheadのバンマス,Mike Mainieriが務め,バックもなかなかのメンツを揃えて,彼女のデビューに華を添えている。上述の通り,この人,結構小柄でキュートだったのだが,ピアノやキーボードのフレージングは結構鋭いところがあって,そのギャップが実に面白いのである。このアルバムもなかなかよく出来ていて,初リーダー作としては成功していると思える。

本作は演奏はLPのように前半と後半でメンツが入れ替わるのだが,前半はアコースティック,後半はエレクトリックに転じるというかたちである。どちらでもこなせるのが,この人の器用なところであり,Wayne ShorterやAl Di Meola,更にはPeter Gabrielとも共演してしまう間口の広さがあると言える。曲も冒頭の"Nardis"を除けば,彼女のオリジナルが占めているが,コンテンポラリーな作風にも相応の才能を感じさせるのは,結構大したもんだなぁと思わせる。後半のフュージョン系はややスムーズ系に流れ過ぎた気がするが,時代が時代だけに仕方ないところか。もう少しタイトにやってもよかった気がするのは事実だが,ここはちょっと甘めの星★★★★。

またまた余談だが,その後出張でNYCに行った時に,Al Di Meolaのバンド(だったと思う)で彼女がBlue Noteに出ているのを見に行ったのだが,その時,たまたま隣に座っていたのが,彼女のご両親とお兄さん。それを知らずに,世間話から入って,Rachelって可愛いよねぇと言ったら,大いに喜ばれて,肉親関係をカミング・アウトされてしまった。ついでにお兄さんに連絡先を教えたら,帰国後にはサイン入りのポストカードまで送ってくれて,おぉっ,イタリア的家族愛!と思ってしまった(爆)。そのカード,どこにしまったかなぁ...。

Personnel: Rachel Z(p,key), David Sanchez(ts, ss), David Mann(ts, as, ss), Charnette Moffett(b), Victor Bailey(b), Al Foster(ds), Lenny White(ds), Gumbi Ortiz(perc)

2016年7月 9日 (土)

今日の久々盤はTommy Flanagan

"Sunset and the Mockingbird" Tommy Flanagan (Blue Note)

_20160708保有していても,ほとんど聞いてないというアルバムは結構あるが,これなんかもそういう一枚。決して悪い出来ではないのだが,この典型的かつコンベンショナルなピアノ・トリオの演奏に,日頃手が伸びないというのも事実である。これは私の音楽的な嗜好が変わってきたということもあるし,より刺激的な音楽を求めているからかもしれない。確かにTommy Flanaganのピアノは刺激には乏しいかもしれないが,この人は変な仕事はしないので,安心して聞けてしまう。

本作は,そのTommy Flanaganの67歳の誕生日に吹き込まれた,リラックスした中にも,スイング感溢れる演奏である。バックを務めるのは,当時のレギュラーだったはずのPeter WashingtonとLewis Nashで,バンマスとの呼吸もぴったりだから,実際楽しめる演奏である。同じピアノ・トリオでもKeith JarrettやBrad Mehldauの音とは全く違うが,それがジャズう・ピアノと同じくくりで捉えられるところに,ジャズという音楽の懐の広さ,あるいは奥深さが感じられる。だから,こういうアルバムは肩ひじはらずに楽しめばいいという気がする。

Thad Jonesが2曲,Dizzy Gillespieが2曲はわかるが,Tom McIntoshとうい人の曲がメドレー込みで3曲というのが面白い。よくよく調べるとこの人もDizzy人脈みたいである。それに加えてDuke Ellingtonが1曲,Shirley Templeが歌った"Good Night My Love"で締めるというのは,かなり変わった選曲と言えるかもしれない。しかし通しで聞いてみると,安定したTommy Flanaganのアルバムになっている。この人が名盤請負人みたいに言われているのはこういうところからなんだろうなぁと改めて思わされた。星★★★★。

甚だ余談だが,以前は私は結構米国に出張する機会があって,San Franciscoに行くと,今は閉店してしまったが,North BeachにあるMoose'sというレストランに何度か行く機会があった。いつだったかは正確に覚えていない(90年代後半か,2000年ぐらい?)のだが,私がそのMoose'sに行ったら,なんとピアノを弾いているのがTommy Flanaganだったことがある。Flanaganのような人が,こんなカクテル・ピアノみたいな仕事をしているのか!と驚いたことがあるが,その前々日ぐらいまで東京でライブをやっていたはずなのだから,ミュージシャンはタフだと思ったが,さすがにFlanaganもお疲れモードだったのは,まぁ当たり前だよなぁ(当然のことながら,時差ボケだと言っていた)。その時,連れのアメリカ人(クラシック好き)に,あれはTommy Flanaganっていう有名なピアニストなんだぜいと言ったら,全く信じてくれなくて,Flanagan本人に,"Are you Tommy Flanagan?"と聞いていたのには笑ってしまった。まぁ,今となってはいい思い出だが。

Recorded Live at Village Vanguard on March 16,1997

Personnel: Tommy Flanagan(p), Peter Washington(b), Lewis Nash(ds)

2016年7月 8日 (金)

Quest史上,最もハードルが高いのはこれだろうなぁ。

"Of One Mind" Quest(CMP)

_20160707私はQuestというバンドが結構好きなので,リリースされている音源はほとんど保有しているはずである。そんな私にとっても,Questの音源は,相当ハイブラウなので,しょっちゅうプレイバックするってタイプの音楽ではないというのが正直なところだ。

ただでさえハイブラウな音楽である彼らのアルバムにおいて,私にとって,最もハードルが高い作品がこれだと言ってもよいだろう。とにかく,彼らのアルバムの中で,最もプレイバック回数が少ないはずである(爆)。

本作は,Questが完全インプロヴィゼーションで臨んだ一作ということもあり,フリー的な要素も強い部分もあるし,冒頭の"Commonality"が「う~む」となってしまうような曲なので,先に進まなくなってしまうのである。ただ,この1曲を乗り切れば,中盤は結構ちゃんと聞けるのだなぁということを今回久々に本作を聞いて思ってしまった。要はちゃんと聞いていないって感じだったのである(苦笑)。だが4曲目の"Passages"でまたまたハードルが上がってしまい,やっぱりこれはかなりきつい。私のように彼らの音楽が好きであれば,ハードルは低くないとしても,何とか受け入れ可能なのだが,一般的なリスナーにはやはり薦めにくい感じがするというのが正直なところである。

真面目にインプロヴィゼーションに取り組んでいることはわかるのだが,しょっちゅう聞きたいとは思わなかったなぁというのが正直なところである。私にとっては,彼らはある程度はビートを維持しつつ,スタンダードを全く違うかたちに再構築する方がいいように思う。ということで,彼らの姿勢は認めつつも高くは評価できない。そういうアルバムである。星★★★が精一杯。

Recorded in July, 1990

Personnel: David Liebman(ss), Richie Beirach(p), Ron McClure(b), Billy Hart(ds)

2016年7月 7日 (木)

これも久しぶりに聞いたUrban Knights

"Urban Knights" Urban Knights(GRP)

Urban_knightsこのアルバムを聞くのも久しぶりだ。リリースされたのは1995年だからもう20年以上経ってしまったっていうのが信じられない。私も歳を取るわけだ(苦笑)。

一時期のGRPレーベルはジャズ界,特にフュージョン界のスターを全部囲い込んだような状態になっていたが,本作もRamsey LewisにGlover Washington, Jr.,そして旧Weather Reportのリズム隊であるVictor BaileyにOmar Hakimという豪華なキャスティング,しかもプロデュースは今年2月に亡くなったEW&FのMaurice Whiteである。まぁ,そりゃ売れるだろうという感じだが,典型的なスムーズ・ジャズって感じで,クォリティが高いことは認めつつも,何もこの4人が集まらなくても,こういう音楽は作れるのではないかという気がするのがこのアルバムの限界だと思う。

耳当たりは非常によいので,聞き流すには最適だし,小売店でこういう音楽が流れていれば,購買意欲も増すのではないかと思えてしまう。私の中では小売店と言えば,Joe Sampleの"Ashes to Ashes"って感じだが,本作はそこまでキャッチーなメロディ・ラインとは言い切れないものの,サウンドの心地よさは保証できる。ヴォーカルの使い方も適切だしねぇ。

なので,別に小難しいことを考えずに,気楽に聞けばいいという類の音楽であるから,皆さん一緒にEW&Fのアルバム,「天空の女神」に入っていた"Wanna Be with You"のカヴァーで身体を揺すりましょう(笑)。

その後,Urban Knightsはメンバー・チェンジを重ね,"VI"までアルバムをリリースしたが,オリジナル・メンバーはいなくなっており,同じバンド名で活動するのもどうなのかねぇと思わせるものとなってしまった。結局のところ,「何もこの4人が集まらなくても,こういう音楽は作れる」ということを実証したってところだろう。星★★★。

Recorded on May 13-22, 1994

Personnel: Ramsey Lewis(p), Grover Washington, Jr.(ts, ss), Victor Bailey(b), Omar Hakim(ds, vo), Freddie Hubbard(tp), Bill Meyers(synth), Michael Logan(synth, vo), Paul Jackson, Jr.(g), Henry Johnson(g), Paulinho Da Costa(perc), The Emotions(vo), Sistamatik A.K.A. Tee and Bonafide X Omega(rap)

2016年7月 6日 (水)

五十嵐一生と辛島文雄のライブ:感動した!

Photo五十嵐一生と辛島文雄のデュオ・アルバム"I Wish I Knew"は感動的なアルバムであった(記事はこちら)。あまりによかったので,彼らのライブの告知を見て,すかさず六本木Alfieでのライブを予約した私であった。

そして,仕事を切り上げ,六本木に駆けつけた私であるが,ほぼスタンダードで固められた曲の中で,五十嵐一生のトランペットは非常に魅力的に響いたのはもちろんだが,聴衆を感動させたのは辛島文雄のピアノ・プレイだったと言ってよいだろう。闘病中の辛島ゆえ,歩く姿に力強さはないが,いざピアノを弾き始めると,この人は本当に闘病中なのかと思わせるような精気に満ちた演奏を繰り広げていた。バラッドでもアップ・テンポでも全く破綻を感じさせない素晴らしい演奏であった。

そして,このライブを感動的にしたのは,その辛島を支えようとするミュージシャンたちの心意気であろう。辛島文雄の体調を気遣って,バックアップ・ピアニストとして,石塚まみと高田ひろ子が控え(彼女たちも2ndセットで1曲ずつ,五十嵐とデュオを演じた),俵山昌之がベースにいるのに,現辛島トリオの楠井五月も加わるダブル・ベース編成で,すべてのミュージシャンが実力を発揮していた。楠井のベースはNHOPか,はたまたEddie Gomezかのような高音域を多用した高速フレーズを連発していたのには驚いたが...。

またドラムスの小松伸之も,演奏のみならず,辛島を気遣って,休憩中に辛島が横になれるようにキャンプ・キットを持ち込んだような心温まる話を聞いて,辛島文雄というミュージシャンが,いかに同僚たちに愛されているのかを感じさせ,音楽はもちろん,そうした彼らの心に感動していた私である。また,五十嵐,辛島のMCも心のこもったものであり,ただでさえ涙もろい中年と化した私の涙腺は相当に緩んでいたと告白してしまおう。

演奏はどれもが素晴らしいものであったが,パワーを感じさせたという意味では"Footprints"のエネルギッシュな演奏がよかった。また,2ndの1曲目で演じられた曲は,曲名はわからなかったが,デュオでの演奏機会が結構あるらしい石塚まみと五十嵐一生の対話が美しかった。しかし,今回は辛島文雄である。彼のピアノを聞けただけで,私は音楽の持つ力に感謝したくなった。

辛島文雄が闘病中であることは事実だとしても,是非,音楽の持つパワーを身体で受け止めて,病魔をやっつけて欲しいと思ったのは,きっと私だけではないだろう。そんなことを真剣に思わされた素晴らしいライブであった。彼らは今月末に,蕨,茅ケ崎でもライブをやるようだし,辛島文雄はかなり精力的なライブ・スケジュールを組んでいる。辛島を支援するためにも,お近くの方々にはこうしたライブに足を運んで頂きたいものである。必ずや私と同じ感動を得られると確信している。

いずれにしても,彼らのミュージシャンシップに感謝の気持ちを表したい。

Live at 六本木Alfie on July 5, 2016,1st/2ndセット

Personnel: 五十嵐一生(tp),辛島文雄(p),俵山昌之(b),小松伸之(ds),楠井五月(b),石塚まみ(p),高田ひろ子(p)

2016年7月 5日 (火)

Jackie McLeanの"Dynasty":一体聞いたのは何年ぶりだろうか?

"Dynasty" Jackie McLean Quintet Featuring Rene McLean (Triloka)

DynastyこのアルバムはJackie McLeanが息子のRene McLeanを加えた編成でリリースしたアルバム。それまで教鞭を取ることを中心にしていたJackie McLeanの演奏活動への本格的な復帰作と言われたはずである。私がこれを購入したのは,米国在住中のことと記憶する。そして,多分Village Vanguardだったと思うのだが,このバンドのライブも見たはずである。

この作品のリリース当時でもJackie McLeanは還暦を過ぎるか過ぎないかって頃だったというのは,今にしてみれば凄いことである。デビューが早かっただけに,もっと歳を食っていると思っても仕方ないが,ここでの演奏を聞けば明らかなとおり,現役感バリバリである。

Jackie McLeanと言えば,ちょっとフラットした感じ(ある意味調子っぱずれ)の音が特徴的だったと思うが,ここではそういう印象がない。教鞭を取ることで,演奏スタイルが変わったとは思えないが,ここでの演奏や,ライブでの演奏を聞いて,私の知っているMcLeanと感じが違うと思ったのも事実である。しかし,アルバムとしては,非常にアグレッシブかつスリリングな出来に仕上がっていて,嬉しくなってしまう。スタジオ・ライブによる好影響もあるだろうが,純粋にジャズ・ファンとして燃える演奏なのである。こんなアルバムを随分長いこと寝かせていた私もアホだなぁと,今回聞いて改めて思った次第。

後半にはRene McLeanのオリジナル,そしてピアノのHotep Idris Galetaのオリジナルを揃えて,彼らにも花を持たせているが,どのような曲をやっても,これは相当に熱いアルバムだと言ってよい。ある意味,McCoy Tyner的な暑苦しさだが,こういうジャズもたまにはいいのだ。こうした作品が廃盤状態というのはつくづく惜しいが,今一度,本作には注目してもらってもいいのではないかと思う。星★★★★☆。

Recorded on November 5, 1988

Personnel: Jackie McLean(as), Rene McLean(ts, ss,fl),Hotep Idris Galeta(p),Nat Reeves(b), Carl Allen(ds)

2016年7月 4日 (月)

Apple MusicでGil Evans Orchestraとジャコパスのライブを聞く。

"Live under the Sky Tokyo '84" Gil Evans Orchestra with Jaco Pastorius(Hi Hat)

Gil_evans_jaco_pastoriusブログのお知り合いのkenさんが記事にされていたのを拝見して,便乗して私も記事のアップである(笑)。

世の中に出回っているブート音源をCD化してリリースするってのは昔からある商法であるが,Hi Hatレーベルってそういうことばっかりやってるよねぇ(笑)。とか言いつつ,Milesの福岡の音源とか買っているから,私も文句は言えた筋合いではないが...(苦笑)。

そのHi Hatから今回出たのが1984年のLive under the Skyの時のGil Evans Orchestraとジャコパスの演奏である。私はこの時の演奏をまさによみうりランドEastで見ていたので,今でもよく覚えているが,端的に言ってしまえば,ジャコパスがGil Evans Orchestraの演奏をぶち壊したというのが私の印象である。晩年のジャコパスは奇行が目立っていたと言われているが,振り返ってみれば,既にこの段階で精神に何らかの異常をきたしていたと考えざるをえないのである。

この時のGil Evans OrchestraにはベーシストとしてMark Eganがいるのだから,ジャコパスは本来必要ない。であるとすれば,ソロイストとしてのポジションか,自身のレパートリーをやればいいってことだが,ジャコパスの持ちネタは"Soul Intro / The Chicken"とアンコールで演奏された"Dania"ぐらいのものである。だったら,Gil Evansに対してのリスペクトを示しながらやるのが筋だが,この時ジャコパスがやっていたのは騒音をまき散らすだけの行為に過ぎなかった。Gil Evansも呆れる様子が感じられたのは気のせいだろうか。

このアルバムでは,そのジャコパスのベース音のミキシングが抑え気味になっていて,私がライブの場で感じたような不快感は抑制されたが,それでもあの時のことを思い出すと不愉快になってしまう私である。そもそもGil Evans Orchestraの演奏も,破綻はなかったものの,この前年にMiles Davisとダブルビルで来た時のような響きからは後退感があったと思っていた。それに加えて,私は前年の夏にNYCを訪れて,Sweet Basilで至近距離でGil Evans Orchestraの演奏を3セットぶっ通しで聞いていたことも,印象を弱めた要因なのは間違いない(その時のライブに関する記事はこちら)。それでも,この時の演奏からは高揚感をおぼえなかったというのは事実なのだ。

そこにお邪魔虫のようなジャコパスが加わることで,私は本当にライブの間,辟易としていたし,聴衆がどうしてこれほど盛り上がるのか理解できなかった。この演奏も,よくよく聞けば,Gil Evans Orchestraの演奏に,ジャコパスがノイズのようなベースをかぶせているのが聞こえてくるはずだ。それをミキシングで抑制しても,ライブの場ではそうではなかったのである。

そうした悪い記憶ばかりが蘇るが,今回,演奏を聞き直してみて,Gil Evans Orchestraの演奏自体にはそれほど破綻はなかったということはわかった。私はこの時,ジャコパスへの不快感が勝っていたということにほかならない。Live under the Skyではいい演奏にも巡り合った(今にして思えば,83年のWeather Reportは素晴らしかった。映像があったのでついでに貼り付けてしまおう)こともあれば,この時のようにほとんど「金返せ」と言いたくなるような経験もあった。確かに日本のジャズ史に残るフェスティバルだったのは事実であるが,この時の演奏だけは30年以上経過した今でも印象が悪いままである。この時の演奏をいいか悪いかは映像を貼り付けておくので,皆さんで判断して頂ければと思うが,私にとってはやっぱり駄目。

ということで,昔日の記憶を呼び覚まされた私だが,今回音源を聞いていて,何も児山紀芳のFMのMCまで収録することはないだろうと思ってしまった。この辺がHi Hatというレーベルの限界。というか,はなから胡散臭いレーベルだが(爆)。

Recorded Live at よみうりランド オープンシアターEAST on July 28, 1984

Personnel: Gil Evans(el-p),Lew Soloff(tp), Hanninbal Marvin Peterson(tp), Miles Evans(tp), George Lewis(tb), Chris Hunter(as),George Adams(ts), Howard Johnson(bs, tuba), Pete Levin(synth), Hiram Bullock(g), Mark Egan(b), Adam Nussbaum(ds), Jaco Pastorius(b)

2016年7月 3日 (日)

Apple MusicでBrecker Brothers Reunionのライブを聞く。

"Heavy Metal Bebop Tour '14 in Japan" The Brecker Brothers Band Reunion(Ward)

Brecker_brothes_reunion_liveBrecker Brothersのリユニオン・アルバムはこのブログでも取り上げている(記事はこちら )が,そちらはアルバムとしては微妙でも,本作に収められたライブは,"Heavy Metal Bebop"の再演,そして今は亡きMichael Brecker以外のメンツは同じということで,その場に足を運びたかったのだが,諸事情あり,果たせなかった私である。

そして,その時の演奏の模様が,この度めでたくリリースされたわけだが,CDを買うべきかどうか迷った時に頼りになるのがApple Musicである。試聴してよかったら買おうと思った私だが,その結果について書いておこう。

演奏自体,悪くはないと思う。しかし,"Heavy Metal Bebop"のスピード感やキレに親しんだリスナーであれば,当然基準がオリジナルの"Heavy Metal Bebop"になるわけであるから,彼らにとってはハードルが高い。そして,やっぱりというか,スピード感やキレに欠けると思ってしまったのは致し方ないところだろう。キリキリと締めつけられるような感覚というよりも,ちょっとルースな感覚さえあって,やはりどうにもうまくない。もちろん,Terry Bozzioのドラムスは強烈だし,とても還暦を過ぎているとは思えない。Randyのソロ・フレーズもなかなかいけている。にもかかわらずである。やはり求めるもののレベルが高過ぎたかなぁと感じてしまった私である。

おそらく,ライブの場にいれば違う感慨も生まれたはずだが,冷静に音楽だけ聞いていると,悪くはないとしても,そこそこの出来としか考えられないと言っておこう。なので,同じように思っている方がいれば,まずは試聴されることをお勧めしたい。ちゃんと購入していないので,星を付けることは遠慮する。しかし,多くを期待しなければ,それなりに楽しめるので念のため。

Terry_bozzioそれにしてもTerry Bozzioのドラムス・セットってどう見ても尋常ではないな。

Recorded Live at クラブチッタ川崎 on November 26-28, 2014

Personnel: Randy Brecker(tp), Ada Rovatti(ts, ss), Barry Finnerty(g), Neil Jason(b), Terry Bozzio(ds)

2016年7月 2日 (土)

久しぶりに聞いたBarbara Dennerleinだが,激しいねぇ。

"Hot Stuff" Barbara Dennerlein(Enja)

_20160701先日,法事があって実家に立ち寄った際に,持ち帰ったアルバムの一枚である。彼女のアルバムは私は本作と"That's Me"の2枚を保有するだけ(のはず。"Junkanoo"も持っていたかも...)だが,結構な別嬪さんから繰り出されるオルガン・ミュージックはかなり激しい。

まぁ,共演者を見れば,それは大体想定できるわけだが,決してコンベンショナルなオルガン・ジャズではなく(とは言え,"Killer Joe"とかちょいとゆるい"Seven Steps to Heaven"はさすがにジャズ的だが...),ロックのリスナーさえも巻き込みうる音楽だと言える。まぁ,ドラムスを叩いているのは,John McLaughlinとやっていたMark Mondesir(現在のRanjit BarotよりMark Mondesirの方がはるかによかったと思っている私...。)だし,ギターはBob Bergを迎えたアルバムでロック・タッチを聞かせたMitch Watkinsだからねぇ。Andy Sheppardも,先日のCarla Bleyのアルバムと同一人物とは思えないような吹きっぷり。そこにそもそも強力なDennerleinのオルガンが加わるのだから,激しくて当たり前か。

このアルバムは私が在米中に購入したものであり,もう四半世紀以上前の音源なのだが,古臭さは感じさせず,今でもこれならいけるのではないかと思える。Mitch Watkinsのギターを聞いていると,ここにWayne Krantzが入っても面白いかもなぁと思わせるものである。

この頃のBarbara Dennerleinはまだ20代半ばぐらいだから,まぁ若気の至りってところもあるかもしれないが,それでもこのアルバムは勢いがあって,今聞いても結構カッコいいと思う。ということで,別嬪さんに弱い私はついつい点も甘くなり,星★★★★☆。Bob Berg入りの"That's Me"もさっさと記事にせねば(笑)。

Recorded on June 6 & 7, 1990

Personnel: Berbara Dennerlein(org, synth), Andy Sheppard(ts), Mitch Watkins(g), Mark Mondesir(ds)

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