久しぶりに聞いた"Absent Lovers"
"Absent Lovers" King Crimson (DGM)
80年代の"Discipline"から始まる3部作には否定的な声があることは重々承知しているのだが,この時のライブを目撃した立場からすれば,彼らのライブ・バンドとしての演奏は非常に素晴らしかったと思っている。私が彼らの演奏を見たのは,映像化もされた84年の五反田でのライブだったが,その後,Laser Discでその演奏を長きに渡って見ていたから,結構記憶は鮮明に残っている(現在はDVDで再リリースされているようだが,LD版とは収録曲にはちょっとした違いがあるらしい)。
King Crimsonというバンドが生み出す音と,Adrian Belewのステージ・アクション,衣装,更には本作で聞かれるようなMCには違和感はあるものの,音を聞いている限り,そんなことは全然気にならないし,本当にライブはいけていたと改めて思ってしまった。もちろん,Adrian Belewの声には好き嫌いは分かれることは当然だと思うが,ここでやられている音楽には結構フィットしていると感じてしまった。今にして思えば,"Three of a Perfect Pair"なんて,結構カッコいいではないか。ついつい私たちは"Larks...(Part III)"の方に耳が行ってしまっていたのは事実だが,ギターのユニゾンなんて聞いていると,凡百のプログレ・バンドが束になってかかっても,この人たちにかなうわけないわと思わざるをえない。
こうして改めて彼らの演奏を聞いていると,どうしてこの時期の演奏が評価されなかったのかと思ってしまう。結局のところ,Adrian Belewの持ち込んだであろうちょっとしたポップさが,King Crimsonというバンドのイメージと合致しなかったと感じたリスナーが多かったということになるのではないか。私のような遅れてきたKing Crimsonファンにとっては,そういう擦り込みがなかったというのは,振り返ってみればラッキーだったかもしれない。もちろん,今となっては,やっぱりヴォーカルはJohn Wettonの方がいいなぁと思っているが...(苦笑)。だが,純粋にこのラインアップでのラスト・ライブとなった本音源を聞いていると,このバンドは結構いけていたのだということを再認識させられるのである。
と言いつつ,私は"Discipline"3部作については音源も保有していないので,どうこう言える立場にないのは事実ではあるが,ここでの演奏は,後にヌーボー・メタル化して復活した後のKing Crimsonより好きかもしれないなぁと思ってしまった。ということで,改めて聞いてみて,星★★★★☆をつけても問題ないと考える私である。やっぱり大したバンドだよなぁ。
尚,本作のジャケには赤盤,青盤,黄色盤とあるようであるが,私が保有しているのは黄色盤。"Discipline"3部作の色に合わせたってことかねぇ。
Recorded Live at the Spectrum, Montreal on July 11, 1984
Personnel: Robert Fripp(g), Adrian Belew(g, vo, ds), Tony Levin(b, stick, vo, synth), Bill Bruford(ds, perc)
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