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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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2016年6月30日 (木)

Herbie MannのアルバムにDuane Allman?ところがこれっていいのだ。

"Push Push" Herbie Mann (Embryo)

Herbie_mann_push_push_albumこれはブログのお知り合いの東信JAZZ研究所さんが記事をアップされていて,すかさず通勤途上にApple Musicで聞いて,電車の車内でゲットすることを決めたアルバムである。ポイントは主題の通り,Duane Allmanの参加であるが,彼らの意外な共演が何とも言えないグルーブを醸し出していて心地よくなってしまうのである。

ソウル好きなら間違いなく気に入る演奏と言ってもよいが,何と言ってもDuane Allmanである。一般的にはAllman Brothers Bandと"Layla"がDuane Allmanを表すってことに異議をはさむつもりはないが,セッション・ワークとして私が認識していたのはBoz Scaggsのあるばむぐらいで,Herbie Mannと共演しているなんてのは,不勉強ゆえに全く知らなかった私である。だが,よくよく調べてみれば,Atlanticレーベルのソウル・アルバムに多数参加していることを考えれば,ここでのDuane Allmanのソウル的なグルーブもなるほどと思わざるをえない。Herbie MannがDuane Allmanを買っていたというよりも,たまたまそこにいたという感じかもしれないが,1曲を除いてソロイストとしてフィーチャーされるってことは相応の評価を得ていたことの裏返しだろう。

曲はHerbie Mannのオリジナルであるタイトル・トラックを除いて,よく知られたソウル系の曲が多いが,そこに現れるDuane Allmanのソロが全く違和感がない。うまい人は何を弾いてもうまいということはBrad Mehldauの新作の記事にも書いたが,同じことはDuane Allmanにも当てはまる。

それにしても,このファンキーなグルーブにはまらない人がいるとすれば,ソウル・ミュージックとは一生縁がないと思ってもいいかもしれない。そう思えるほど,聞いていて身体が揺れてしまう音楽である。たまりません。星★★★★☆。こんなアルバムが1,000円ちょいで変えてしまうのだからいい時代である。さぁ,皆さん,なくなる前に買いましょう。

ところで,このアルバムのLPの内ジャケはエロである。CDではこれを見ることはできないが,この写真を載せておいて,"Push Push"ってどこまでエロなの,Herbie Mann?(爆) よい子の皆さんは,この下は見ないでね(笑)。

Personnel: Herbie Mann(fl), Duane Allman(g), Cornell Dupree(g),David Spinozza(g), Gene Bianca(harp), Richard Tee(p, el-p, org), Chuck Rainey(b), Jerry Jemmott(b), Donald "Duck" Dunn(b), Bernard Purdie(ds), Al Jackson, Jr.(ds), Ralph MacDonald(perc)

Herbiemannpushgatefold_2

2016年6月29日 (水)

更に深化したBley / Sheppard / Swallow。とにかく深い。

"Andando el Tiempo" Carla Bley / Andy Sheppard / Steve Swallow (ECM)

Carla_bleyリリースから少し時間が経過してしまったが,ECMにおけるこのメンツによる2枚目のアルバム(傍系Wattレーベルにはもう一枚あるが...。)である。この3人による前作"Trios"を私はその年のベスト作の1枚に選出しているのだが,年末のベスト作の記事で,「酸いも甘いも噛み分けた人間の成熟さえ感じさせる」なんて書いている。前作は確かにそうだったと思っているが,本作を聞いて,更にその成熟度は増し,音楽としての深みは前作に勝るとも劣らない。静謐な音楽なのだが,とにかく深い。

気がついてみれば,Carla Bleyは今年で80歳を迎えている。人間としての深みが増すのも当然だが,ここでの音楽はライナーにCarlaが書いているように,様々なテーマについて書かれている。特に冒頭の3曲は"Recovery from Addiction"がテーマとされているが,このAddictionをどう解釈するかは微妙だが,ライナーからは「薬物中毒からの回復とそれにまつわる物語」という意味に読み取れる。それにしては非常に穏やかな演奏っぷりであるが,もはやこれは思索的な音楽と言ってもよいかもしれない。

最後に収められた"Naked Bridges / Dving Brides"はメンデルゾーンの力を借りたとCarlaが書いているが,今までだったら,メンデルスゾーンとCarla Bleyなんてどうやっても結びつかなかったはずだが,こうしたところにもCarla Bleyの音楽の変化が強く感じられるのである。

Triosそして,前作"Trios"と本作のジャケを見比べてもらえば,この2作がほとんど「一卵性双生児」のような関係にあるのではないかと思わせる。旧作も演じた前作とは,コンセプトは異なるものの,出てくるサウンドは極めて近しいように思える。それが二番煎じではなく,新たなる感動を呼ぶのだから,素晴らしいではないか。

熱く燃える音楽ではないかもしれないが,必ずや深い感動にひたれると思える傑作。前作以上という印象があるので,ちょっと甘いかなとは思いつつ,星★★★★★としてしまおう。いや~,これはマジで深いですわ。

Recorded in November 2015

Personnel: Carla Bley(p), Andy Sheppard(ts, ss), Steve Swallow(el-b)

2016年6月28日 (火)

Espen Bergのピアノ・トリオが何とも美しい。

"mønster" Espen Berg Trio(Blue Gleam)

_20160626ブログのお知り合いであるSuzuckさんが取り上げられており,そこにアップされていた映像を拝見して,これは間違いないということで購入したアルバムであるが,さすが,Suzuckさん,いいアルバムをご紹介頂いたと言わざるをえない。

Espen Bergというピアニストについては,私はこれまで全く聞いたことがない人であったが,彼のWebサイトによれば,1983年6月30日生まれということなので,間もなく33歳ということで,まぁ若手から中堅に入ったぐらいの年齢である。そんな彼の聞かせるピアノは,いかにも北欧的な清冽な響きと言ってもよいものである。そして,紡ぎ出されるメロディ・ラインが非常に魅力的かつ美的で,この手のサウンドが好きなリスナーは,一発でまいってしまうだろうと言いたくなるような作品である。そして,スリリングな展開に持ち込む力強さも持ち合わせていて,なかなかに強力なトリオだと言ってよいだろう。

このアルバムは,1年ほど前にリリースされていたものであるが,Suzuckさんのご紹介なかりせば,完全に見逃していたであろうもの。彼らは来月日本公演を行うが,このアルバムが相当よかったので,ついつい武蔵野スイング・ホールの公演のチケットを取ってしまった。3,000円という良心的なチケット価格は,武蔵野市に感謝せざるをえないが,このCDを持参して,ライブ会場に馳せ参じることとしよう。ここで聞かせる美学をライブで再演されたら,結構まいっちゃうだろうなぁ(笑)。ということで,ライブへの期待値も込めて星★★★★☆としてしまおう。

それにしても,ここに収められた2曲の国内盤ボーナス・トラックは,本編の曲に何ら遜色ないものであり,これをなかなか聞けない海外のリスナーはもったいないと思ってしまった。

Recorded on November 24-26,2014 and January 20, 2015

Personnel: Espen Berg(p), Bárður Reinert Poulsen(b), Simon Olderskog Albertsen(ds)

2016年6月27日 (月)

ECMらしい響きのDominique Pifarélyの新作アルバムはクァルテット編成。

"Tracé Provisoire" Dominique Pifarély Quartet (ECM)

Dominique_pifarlyDominique Pifarélyと言えば,ECMレーベルにおける前作はソロ・ヴァイオリンであった(記事はこちら)。それから1年も経っていない短いインターバルで,新譜が出るということは,よほどManfred EicherはDominique Pifarélyという人を評価していることになるのだろうか?

音を聞けば,確かにECM的である。前作と異なり,今回はピアノ・トリオを従えたクァルテット編成であるが,そこはECM,コンベンショナルなジャズ的な響きを持つわけもなく,まさにジャズと現代音楽の間を行くような音楽と言ってもよい。これまたECM的と言うか,ビートの明確な曲もあれば,フリーなアプローチの曲も混在しており,やっぱりECMなのである(笑)。

Dominique Pifarélyのサイト情報によれば,彼らは2014年春から,この編成で演奏をしているようなので,ここで聞かれる音楽は一回性のものではなく,通常からやっているってことになるが,美的な感覚というよりも,スリリングな音楽性の方が強調されているように思える。特筆すべきはDominique Pifarélyのヴァイオリンの音のよさである。それがフリー的な展開,あるいはビートに乗っても,緊張感に溢れた演奏が展開されている。

もちろん,音楽としては一般的なものとは言えないので,通常のジャズ・ファンには受けるものではなかろうが,現代音楽に親しんでいるリスナーであれば,抵抗なく受け入れられる可能性はある。しかし,やっぱりこれはECMレーベル・ファン向きの音源ってのが正直なところである。ハードルは決して低くないが,私は結構楽しんだと言っておこう。星★★★★。

Recorded in July 2015

Personnel: Dominique Pifarély(vln),Antonin Rayon(p), Bruno Chevillon(b), François Merville(ds)

2016年6月26日 (日)

Miroslav Vitousが改めてWeather Reportに取り組んだ新作はかなりよい。

"Music of Weather Report" Miroslav Vitous(ECM)

Miroslav_vitousMiroslav Vitousには同じECMレーベルに"Remebering Weather Report"という作品があったが,私は同作については結構否定的な記事を書いている(記事はこちら)。詳しくはそちらの記事をご覧頂きたいが,精神だけを持ち込むのだけでなく,演奏にも相応の反映が合ってもよいと思えたのである。しかし,今回の作品は,”Remembering Weather Report"どころか,"Music of Weather Report"というストレートなタイトルであるから,アプローチにも違いが出ているように思える。

今回の作品は,前作よりはるかにカラフルで,それこそWeather Report的なところを感じさせる要因としてはAydin Esenのキーボードが追加されていることによるところが大きいと思う。そして,2サックス,2ドラムスという変わった編成も,Weather Reportの音の厚みを再構成するには必要だったと解釈すればいいように思える。いずれにしても,最初期のWeather Report的な音が再提示されているような感覚が強い。それはVitousには全く関係のない時代のレパートリーである"Birdland"を再構築した"Birdland Variations"でも同様である。いずれにしても,こういう曲を選んでくるところに,頑固な姿勢を示していたVitousもここではちょっとは丸くなったのかもしれないなぁと思えた。でも録音時期としては"Remembering Weather Report"から大して経過していない頃の録音だが...(笑)。

そういう意味も含めて,気負いを感じさせた"Remembering Weather Report"よりもはるかによくできたアルバムと評価してもいいし,正直これはいいと思えた。星★★★★☆。

本作はMiroslav Vitousの持ち込み音源で,Manfred Eicherの意図は反映されていないように思えるが,それだけ自由度を与えられているということは,VituousはEicherからの信頼が厚いってことになるのだと思う。

Recorded in March and May Robrin 2010, February and March in 2011

Personnel: Miroslav Vitous(b, key), Gary Campbell(ss, ts), Roberto Bonisolo(ss, ts), Aydin Esen(key), Gerald Cleaver(ds), Nasheet Waits(ds)

2016年6月25日 (土)

クソのようなラップによって台無しにされた大西順子の新作。

"Tea Times" 大西順子(Sony Music)

Photo大西順子の新作がリリースされると聞いて,期待値を以てこの新作を聞いたリスナーは少なくないと思う。だが,私は菊地成孔がプロデュースをするという情報を得た段階で若干の不安を抱いていたのだが,今回はその心配が的中してしまったというところである。

私は大西順子のアルバムはほぼ保有しているはずだし,問題作だと言われた"Fragile"もこれはありだと思っていた。復帰後にリリースしたアルバムも高く評価してきたつもりである。だからこそ今回のアルバムには不安もありながら,期待してゲットしたのだが,そんな私の気持ちは8曲目の"Malcom Vibraphone X"で木っ端微塵に打ち砕かれたと言ってよい。

冒頭から,「今風」のRobert Glasper的な音なのはまだ許せる。しかし,"Malcom Vibraphone X"のラップは一体何なのか。リズムには乗れない。更には韻もまともに踏めないのでは,ラップとしての存在意義は全くない。これをポエトリー・リーディングとして開き直るのであれば,それはそれでありかもしれないが,こんな低劣なレベルの歌詞を見て,「詩」だと感じる人間がどれだけいるというのか。

ラップは9曲目の"U Know"にも入ってくるが,これなんて完全にRobert Glasperの焼き直し,あるいはレベルの低いコピーではないかとさえ言いたくなる。私の音楽的な嗜好は,一般の人より間口が広いと思っているので,ラップがダメとかいうことは一切ない(はずだ)。そんな私でもダメなのだから,このアルバムは相当罪作りだと言わざるをえない。とにかく,聞いていてのあまりに不愉快な感覚は,私の記憶にもないレベルのものであり,こんなクソのようなラッパーに参加させた菊地成孔の責任は重いし,それを許した大西順子の責任も否定できない。

正直言って,8曲目を聞いて,この曲をリピートしたいと思う人間がこの世の中にいるのかとさえ言いたくなる。あるいはそんな奇特な人がいるのであれば,会いたいもんだ。

7曲目までは相応に聞けると思ったが,8曲目を聞いただけで,私の不快感は限界を越えたと言ってもよい。正直,二度とプレイバックしたいと思わないだろうとさえ思えたのである。こんなクソ・ラッパーを呼んできたのは菊地成孔のはずであり,だからこそ彼の責任は追及しなければならない。 本当に8曲目があるだけで,このアルバムは完全にその存在意義を失ったと思える。

繰り返すが,Robert Glasper風味の大西順子ということであれば,相応に評価の余地もあるかもしれないが,今回ばかりはそんな気持ちにすら一切なれない。プロデューサーである菊地成孔,そして演奏者としての大西順子に猛省を促すためには,本作は無星とせざるをえない。それぐらい,私にとっては腹立たしい。本当に8曲目を聞いていて吐き気を催したのである。そういう事実を菊地も大西も理解すべきである。正直言って日本語はラップに乗りにくいかもしれない。だが,それが問題なのではなく,レベルの低いラップを共存させようとしたところで,そもそも発想が下品である。

こんなアルバム(と言うより"Malcom Vibraphone X")を聞いて,「これはいいや」と思うリスナーが本当にいるのか。つくづくそう思ってしまったが,まじでくだらない。本作は私がいくら大西順子を評価しているとしても,今後,プレイバックのためにCDプレイヤーに乗せることは,間違いなく少数だと思う。あ~あ。

駄盤は駄盤として放っておけばいいはずなのだが...。それすら認められないのは私の加齢による寛容度の欠如が理由かもしれないが,それはそれで仕方あるまい。

2016年6月22日 (水)

Fred Herschの3枚目のトリオ作をSunnysideからゲット。

"Heartsongs" Fred Hersch(Sunnyside)

Heartsongs私はいつも書いている通り,Fred Herschのファンである。私の中ではピアニストとしてはBrad Mehldauが一番なのは間違いないが,ライブに通って,サインを集めているということではFred HerschかMike SternかWayne Krantzかって感じである。Herschとマイキー,Krantzでは全然違うやんけ!と言われればその通りであるが,いいのである。みんな好きなんだから(きっぱり)。

そうは言いながら,Fred Herschのアルバムを全部揃えようとは思っていないのだからいい加減なものだが,先日,Apple Musicで聞いて,これは欲しいと思ってしまったのが本作である。ショップやEコマース・サイトでは現物はなかなか見つからないのだが,灯台下暗しという感で,Sunnysideレーベルのサイトでめでたくゲットである。CDより送料の方が高いのはご愛嬌だが,手に入れられたのだから喜ぶしかない。

ジャケに写るHerschもまだまだ若いが,ここではちょっと個性が違うように感じられるMichael Formanekとの相性が気になるところである。でも聞いてみれば,いつも通りのHerschなのだが,Formanekのオリジナル"Beam Me Up"はやはり異色に響くって感じだろうか。最後のOrnette Colemanの"The Sphinx"もHerschにとっては変わった選曲ではあるが...。

だが,この頃から,リリシズムは十分に表出され,ピアニストとしての実力は十分に発揮されているので,聞いていての安心感は昔からのものだったことを改めて感じる。もちろん,昨今のFred Herschから感じ取れる研ぎ澄まされた美的な感覚とは若干異なるものだとしても,Fred Herschというピアニストの個性は確立されていたと言ってもよいように思う。そして,いい曲を書いているよねえ。本当にこの人は私の琴線に触れる演奏をする人である。ということで,ついついHerschには点数も甘くなり,星★★★★☆。

そんなFred Herschであるが,7月には現行トリオによるVillage Vanguardでのライブ盤がリリース予定である。今回の演奏も,トリオは"Zone"に入ったらしいから,聞いたらまたはまってしまうこと必定だろうなぁ。

Recorded on December 4 & 5, 1989

Personnel: Fred Hersch(p), Mike Formanek(b), Jeff Hirshfield(ds)

2016年6月21日 (火)

本田竹広がRhodesで聞かせる超絶グルーブ。

"Boogie-Boga-Boo" 本田竹広(Funhouse→BMG Japan)

Photo早いもので,本田竹広が亡くなってもう10年以上が経過した。私は昔のナベサダのグループやネイティブ・サンでの活動で聞いていたぐらいで,その他のアルバムについては,井野信義~森山威男とやったトリオ・アルバム以外は真っ当に聞いたことはない(はずだ)。だが,このアルバム,全編Rhodesを弾き,リズムはPaul Jackson,ドラムスは日野元彦とあって,ついつい再発盤を購入したのであった。今までも聞いていないわけではなかったが,記事としてアップしていなかったもの。

世の中にはRhodesの音が好きな人は結構いて,私もそのうちの一人だが,Rhodesの持つ独特の響きが何とも魅力だと思っている。その一方で,アンチRhodesみたいな人がいるのも事実だが,アコースティック・ピアノとRhodesは別物として捉えれば,腹も立たないはずである。そして,適材適所のシーンでRhodesが使われれば,これほど心地よく響く音はない(きっぱり)。

ここでも強力なリズム・セクションにフロント陣を加え,何とも言えないグルーブを生み出しており,これが相当のカッコよさだということは間違いなく言える。そして,プレイバック中は,難しいことは考えずに身を委ねればいいタイプの音楽である。重量ファンクだけでなく,マイナー・キーでのメロディアスな曲もあり,イケイケだけの音楽でないところもこのアルバムのいいところだと思える。曲が全て最高とは思わないが,全体的にはよく出来たアルバムと言ってよい。そして,Paul Jacksonのベースは,やはりこの人,ファンク・マスターと思わせるに十分なグルーブ感である。

ということで,Rhodes好きの人であれば,決して聞いて損はしないアルバム。身体をゆすりながら聞きましょう(笑)。星★★★★。

Recorded (and Mixed) on May 14-25, 1995

Personnel:本田竹広(rhodes),Paul Jackson(b), 日野元彦(ds),五十嵐一生(tp),臼庭潤(ts),今出宏(hca)

2016年6月20日 (月)

派手なのか地味なのかわからないオールスター・バンド(笑):The Power Quintet

"High Art" The Power Quintet(High Note)

Power_quintet私はなんだかんだと言って,Jeremy Peltを結構贔屓にしている方だが,一時,訳のわからない方向に寄り道しながら,昨今はストレート・アヘッドな世界に回帰しつつあり,今年リリースした""#JIVECULTURE"も(ジャケはさておき)なかなかの好アルバムであった。そんなPeltがプロデューサーとなって録音したオールスター・バンドのアルバムがリリースされた。このメンツを見れば,好き者は間違いなく反応するはずである。Pelt,Steve Nelson,ダニグリ,Peter Washington,そしてビルスチュなのだ。このメンツだけを見ていると,派手なのか地味なのかわからないところはあるが,実力者の集まりであることは間違いない。

演奏は,オールスター・バンドだからと言って,気負ったところがなく,ある意味淡々とプレイしている。メンバーのオリジナルを中心に,スタンダード1曲,Monkチューン1曲というのはまぁこの手のアルバムであれば,妥当な線であろう。正直言って,バンド名とは裏腹に,この人たちはパワーで押し切るようなタイプの人たちではない。ジャズのスリル的な快楽という観点では,もう少しぐわ~っとくるような曲があってもよかったようには思うが,プレイヤーとしてのこの人たちの特性,実力は十分に捉えられていると思う。とにかく破綻がないのである。まぁ,ダニグリのノーブルとも言える音楽を考えれば,それもうなずけない話ではない。

そうした破綻のなさを実力とするか,無難とするかについては議論があるところであるが,ツアーを行った後でのレコーディングのようなので,実力に加えて,このメンツにおけるコンビネーションは確立していたと感じられる演奏である。特に中盤で演じられるPelt作"Sage"とダニグリ作”Mr. Wiggleworm"当たりの流れが私には魅力的に響いた。全編を通して聞いてみると,やはりかなり落ち着いた演奏ということになるが,これはこれでかなりのクォリティなので,一聴の価値はあると思える。いずれにしても,これは夜向きの演奏だなぁ。ってことで,ちょいと甘めの星★★★★。

しかし,この購買意欲をそそらないジャケは何とかならなかったのかねぇ(笑)。

Recorded on December 8, 2015

Personnel: Jeremy Pelt(tp), Steve Nelson(vib), Danny Grissett(p), Peter Washington(b), Bill Stewart(ds)

2016年6月19日 (日)

バリトン好きご用達? その名も"Baritone Explosion"。

"Baritone Explosion" Rein de Graaff Trio with Ronnie Cuber and Nick Brignola (Timeless)

Baritone_explosion私はこのブログでバスクラ,あるいはバリトン・サックス好きであることを何度か書いてきたが,そういう嗜好を満たすアルバムが,Timelessレーベルのストレート・リイシュー・シリーズでリリースされたので,当然「買い」である。

ここでバリトンを吹いているのはRonnie CuberとNick Brignolaであるが,Nick Brignolaに関してはPepper Adamsとのバトル盤"Bariton Madness"(記事はこちら),そしてこのご両名が揃ったアルバムということでは,Cecil Payneまで加えた"Burn Brigade"というエグいバトル・アルバムがBee Hiveレーベルからリリースされているが,本作については全くノーマークであった。しかし,まさにバトル向きの曲ばかり並べて,ご両人,ブリブリ吹きまくっている。

目の前でこんな演奏をされたら暑苦しいだろうなぁと思いつつ,バリトン好きの私としては,やはり燃えてしまう。いかにもという曲が並んでいるわけだが,いきなり"Softly as in a Morning Sunrise"だもんなぁ。飛ばしモードである。よくやるわ。

気候はほぼ夏のようになっている昨今だが,こういう暑苦しい音源を聞いて喜んでいるのは,真夏にフリー・ジャズを聞いて喜んでいたり,激辛カレーを食べてひぃひぃ言っているのと同じぐらい変態的と言われても仕方ないが,そうやってストレスを発散していると思ってもらえばいい話である。とにもかくにも暑苦しい演奏ではあるが,こういうのって聴衆が大喜びしてしまうって感じの音源である。

リーダーのRein de Graaffについては,これまで聞いたことはないと思うが,バピッシュな演奏で2バリトンとよく合っている。バリトン2本揃えて,ジャムったらこんな感じになりましたってところで,名盤とかでは決してないが,こういうのってジャズっぽくて楽しいよねぇと思わせてくれる。そんなアルバム。星★★★★。やっぱり,私はバリサク好きってことで,お後がよろしいようで。

Recorded Live at Nick's on March 1, 1994

Personnel: Rein de Graaff(p), Koos Sererse(b), Eric Ineke(ds), Ronnie Cuber(bs), Nick Brignola(bs)

2016年6月18日 (土)

Donald Fagen with Wayne Krantz Trio et al. on "Late Night with David Letterman"

記事を書いている余裕がないので,本日はWayne KrantzがFBでアップしていた映像でごまかしてしまおう(爆)。なんてったって,Donald Fagenを支えているのが,Krantz~Lefebvre~Carlockでっせ。私はDavid Lettermanの番組好きだったこともあり,懐かしさもあるが,Krantzたちがメジャー・ネットワークであるCBSに出ていたというのが感慨深い。是非お楽しみあれ。

2016年6月16日 (木)

Human Element@ブルーノート東京の戦利品。

_20160616Human Elementというバンド名を言ったって,知っている方が少ないだろうと思っているのは私だけではないだろう。だが,サックス抜きという条件付きで,Weather Report的な演奏をできるという意味ではかなりレベルの高い人たちである。ただ,惜しむらくは日本での知名度は決して高いとは言えないだけの話である。だから,今日もブルーノートが4割も埋まっていないって感じだったのは「それ,誰?」と思っている人が多いからにほかなるまい。私はブルーノートのライブで,これほど集客が悪いライブは正直,見たことがないと言ってもいいぐらいであった。

だが,彼らもその道のプロなので,絶対手抜きはしないとはわかっていたが,それでもちょっとやり過ぎぐらいの演奏であったところに彼らの矜持を感じた。ってことで,詳しいことは改めて書くとして,正直ブルーノートではサイン会は期待できないと思っていたにもかかわらず,やってくれるHuman Elementのメンバーに改めて感謝したいと思う。

2016年6月15日 (水)

Larry Carlton~Steve Lukatherのコンビによる2作目のライブ。そりゃ盛り上がるわね。

"At Blue Note Tokyo" Larry Carlton & Steve Lukather (335 Records)

_20160613Larry CarltonとSteve Lukatherが大阪でのライブをリリースしたのが2001年,それから15年の時を経てリリースされたライブ盤の第2弾である。彼らが来日したのは2015年の初頭であるから,約1年半経過してからのCDリリースとなった。先日のMike Sternと渡辺香津美とのバトルでも思ったが,ギター2本のバンドというのはどうやっても盛り上がるという感じだが,この人たちの場合,相方が完全にロックのSteve Lukatherなので,会場のボルテージが更に上がるのも当然である。

この時は,チャージが結構高額だったので,私はライブには行かなかったのだが,こういう音源を聞いてしまうと,あぁ,行っておけばよかったかなぁなんて思わざるをえないが,後悔先に立たずである。特にドラムスはKeith Carlockだったしねぇ。

アルバムは前作と同様に,もともとJeff Beckが"There & Back"でやった"The Pump"で幕を開けるが,そこにも,Larry Carltonのオリジナルのメロディ・ラインが組み込まれていて,思わず笑みがもれた私である。この曲はLukatherのソロ・アルバム"Luke"で演奏されているので,そこからのチョイスということになろうが,テンポからしてもオープニングの「小手調べ」(笑)には最適な感じであろう。

おそらくライブの場ではもう少し激しくやっていたのではないかとも思えるが,"Crossroads"やシャッフルがいけている"Ben E Wah"のような曲がもう1曲ぐらいあってもよかったかなぁとも思えるが,これはきっと楽しめたライブだったであろうことは明らかな演奏群。それでも"Tutu"がこの二人に最適なレパートリーかと言えば?の部分はあるし,"While My Guitar Gently Weeps"はさすがにやり過ぎではないかとも思えるが,そこにはまぁ目をつぶって星★★★★。

ただ,ちょっと残念なのはKeith Carlockの歌うような猛爆ドラムスがあまり聞けないことである。伴奏に徹したと言えばその通りだが,彼はそれだけのドラマーではないだけに惜しいなぁ。

ところで,本作,リリースがアナウンスされた時には,カヴァー・アートには二人の背後には旭日旗がデザインされていたが,もろもろの批判は免れないということで,白地に変更したのは妥当な選択。ケチをつける輩はいくらでもいるからねぇ(苦笑)。

Recorded Live at ブルーノート東京

Personnel: Larry Carlton(g), Steve Lukather(g, vo), Jeff Babko(key), Travis Carlton(b), Keith Carlock(ds)

2016年6月13日 (月)

Brad Mehldauの新作の現物が到着。やっぱりいいねぇ。

"Blues And Ballads" Brad Mehldau Trio(Nonesuch)

Blues_and_ballads先日,Apple Musicで聞いた本作については,速攻で記事にしたが,現物が予定から数日遅れでデリバリーされた。しかし,私は出張で家を離れていたので,聞くチャンスがなかった。ようやくこの週末で現物を聞くことができたが,印象は大きく変わらないものの,現物で聞く方が味わいが感じられるのは気のせいだろうか?

冒頭の"Since I Fell for You"からまさに痺れる出来というのは,前回も同様だったが,今回,聞いた演奏の感覚の方がブルーズとしての深みが感じられるのは,iTunesで移動中に聞いた前回と,しっかり部屋で聞いた今回の違いと言えるかもしれない。だが,従来のBrad Mehldauのイメージからはブルーズそのものは離れたものであるにもかかわらず,ここでの演奏からは,うまい人は何をやってもうまいとうならされるだけの魅力はあると思う。私は確かにコンプリートを目指すほどのMehldauフリークであるが,そうでなくてもこの表現力にはまいる人も多いだろう。

今回も"Cheryl"はどうなのかねぇと思っていた私だが,それでも前回ほどの違和感はなかった。これはアドリブ・パートを集中して聞けば,ちゃんとした演奏だからである。むしろ,私にあるのは"Cheryl"のテーマの曲調への違和感,あるいはここでのテンポなのかもしれないと思えた。それに続いて,おそらくは曲調ゆえにややあっさりとした感じの"These Foolish Things"をはさんで,なだれ込む終盤2曲のなんと素晴らしいことよ。"And I Love Her"はライブの時にも感じさせた原曲へのリスペクト,そして最後の"My Valentine"はこの曲を名曲と感じさせるに十分な圧倒的な表現力を示している。これはやはりBrad Mehldauと曲の相性というところもあるように思えるが,この人にはこの人に合った曲があるということでいいのではないか。もちろん,スタンダードはちゃんと弾けることは明らかでも,より現代的なフレーズを有する曲の方が魅力的に響いてしまうところはあるように思えた。

そう言えば,トリオでの前作,"Where Do You Start"をレビューした記事に私は「Mehldauがポピュラー曲を演奏する時,彼はそこに内在する曲の美しさを見事なまでにあぶり出す能力を示す」なんて書いているが,我ながらいいことを言っている(爆)。

本作も全体からすれば十分なクォリティは確保されているので,評価を下げる気はないが,久々に聞くBrad Mehldau Trioの演奏はやはり見事でありながら,中盤の選曲は違ったものでもよかったかもしれない。いずれにしても,10年間のソロを集成した前作の痺れるような感覚は抑制されているかもしれないが,逆に言えば何度でもリピートできる作品だと思う。星★★★★☆。

Recorded on December 10, 2012 and May 12, 2014

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2016年6月12日 (日)

教祖Patti Smithさま〜。ありがたや,ありがたや。

Patti_smith_billboard

出張続きで,記事の更新を3日もサボってしまった。まぁ仕事なので,仕方がないとは言え,昔だったら3日空けるということはありえなかった。そろそろ私もスローダウンの時期なのかもしれない(苦笑)。

そんな出張続きでも,悪いことばかりではない。先日の大阪出張のタイミングで,なんとPatti Smithのライブを見ることができたのは本当にラッキーだった。ビルボードライブ東京での公演は早々とソールド・アウトになって,今回はPatti Smith教信者(笑)の私でも,教祖様のお姿を拝見するのは無理だと思っていた。しかしである。なんとラッキーなことに,たまたまの大阪出張のタイミングでのライブへの参戦が可能となった。翌日に札幌への出張を控える私としては,東京に帰るかどうかを悩むところであったが,当然大阪宿泊に変更である。

ライブは娘のJesse Paris Smithとチベット人ミュージシャンTenzin Choegyalのデュオで幕を開け,空気に清浄感を生み出したところで,Patti様とLenny Kayeの登場である。私としてはPatti Smithの姿を見られるだけで,それこそ「さぶいぼ」だったわけだが,ライブが進んでいく中,感動して涙が止まらなくなってしまった。最後は"People Have the Power"で締めくくったが,自分自身あれだけ声を張り上げて歌ったのは久しぶりのことだった。とにかくこの人の歌は,我々に力をあたえてくれるということを確信した。写真はネットからの借用であるが,まさに神々しいPatt Smith様のお姿である。

歌だけでなく,中盤では今回の来日の主目的であるAllen Ginsburgのポエトリー・リーディングとして"Footnote to Howl"の朗読をしたのだが,ロックを感じさせる詩の朗読とはこれと思わされるものであり,そちらでも随喜の涙を流した私である。その詩が非常に素晴らしかったので,ここにも掲載しておくが,これをPatti Smithの声で,彼女のトーンで熱く朗読されたことを想像しながらお読み頂ければ幸いである。感動の一夜を過ごし,仕事へのモチベーションも多少は高まった私であった。改めて,Patti Smithのファンでよかった。

"Footnote to Howl" Allen Ginsburg

Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy! Holy!

The world is holy! The soul is holy! The skin is holy! The nose is holy! The tongue and cock and hand and asshole holy!

Everything is holy! everybody’s holy! everywhere is holy! everyday is in eternity! Everyman’s an angel!

The bum’s as holy as the seraphim! the madman is holy as you my soul are holy!

The typewriter is holy the poem is holy the voice is holy the hearers are holy the ecstasy is holy!

Holy Peter holy Allen holy Solomon holy Lucien holy Kerouac holy Huncke holy Burroughs holy Cassady holy the unknown buggered and suffering beggars holy the hideous human angels!

Holy my mother in the insane asylum! Holy the cocks of the grandfathers of Kansas!

Holy the groaning saxophone! Holy the bop apocalypse! Holy the jazzbands marijuana hipsters peace peyote pipes & drums!

Holy the solitudes of skyscrapers and pavements! Holy the cafeterias filled with the millions! Holy the mysterious rivers of tears under the streets!

Holy the lone juggernaut! Holy the vast lamb of the middleclass! Holy the crazy shepherds of rebellion! Who digs Los Angeles IS Los Angeles!

Holy New York Holy San Francisco Holy Peoria & Seattle Holy Paris Holy Tangiers Holy Moscow Holy Istanbul!

Holy time in eternity holy eternity in time holy the clocks in space holy the fourth dimension holy the fifth International holy the Angel in Moloch!

Holy the sea holy the desert holy the railroad holy the locomotive holy the visions holy the hallucinations holy the miracles holy the eyeball holy the abyss!

Holy forgiveness! mercy! charity! faith! Holy! Ours! bodies! suffering! magnanimity!

Holy the supernatural extra brilliant intelligent kindness of the soul!

Live at ビルボードライブ大阪 on June 9, 2016, 2nd Set

Personnel: Patti Smith(vo, g), Lenny Kaye(g, vo), Jesse Paris Smith(vo,p), Tenzin Choegyal (vo, dranyen)

2016年6月 8日 (水)

これは渋い!Abbey Lincolnの遺作アルバム。

"Abbey Sings Abbey" Abbey Lincoln(Verve)

Abbey_sings_abbey先日,Pat Methenyのライブの帰りに,久々に寄せてもらった高田馬場のMilestoneで聞いた瞬間しびれてしまったアルバムである。とにかく渋い。

Abbey Lincolnって人は,私にとっては縁遠い人である(笑)。Max Roachの"We Insist"みたいなアルバムに参加していることから,勝手にこっちが身構えてしまうのであるが,ここで聞かれる歌唱は,伴奏からもルーツ・ミュージックと言ってよいようなものなのである。これまでちゃんとAbbey Lincolnの音楽を聞いてこなかった私が悪いのだが,これには完全にこっちの勝手の思い込みを覆されたと言ってよい。

冒頭の"Blue Monk"以外は,タイトル通りAbbey Lincolnのオリジナルとなっているが,私は"Blue Monk"だけでまいってしまったと言ってよい。これは伴奏が私の趣味に合致しているところもあるのだが,それに加えてAbbey Lincolnの歌唱には真のソウルを感じさせるものとなっていて素晴らしいのである。

このアルバムに貢献度が高いのはギターを弾いているLarry Campbellだと思うが,彼のこれまでのBob DylanやLevon Helmたちとの楽歴を考えると,Abbey Lincolnとの共演は意外のようにも思えるが,このフィット感は半端ではない。テンポを上げるわけでもなく,極めて淡々と歌っているようにも思えるが,とにかく渋い。ある意味,Billie Holiday的な歌唱とも言えるが,Larry Campbellのギターを中心とするバッキングにより,Billie Holidayとは違う世界を築いているように感じられる。

とにかく,これは驚きのアルバムであったわけだが,世の中にはまだまだいい音楽があるんだねぇということを改めて痛感させられたアルバム。星★★★★☆。

Recorded on September 25-27 and November 17, 2006

Personnel: Abbey Lincoln(vo), Larry Campbell(g, mandolin), Scott Colley(b), Shawn Pelton(ds), Gil Goldstein(accor), Dave Eggar(cello)

2016年6月 6日 (月)

五十嵐一生と辛島文雄デュオ。これはいいねぇ,どころではなく,感動的。

"I Wish I Knew" 五十嵐一生 Meets 辛島文雄(Village Again Association)

I_wish_i_knewブログのお知り合いであるkenさんが記事にされているのを拝見して,即入手に走った私である。

私は五十嵐一生のラッパを結構評価していて,アルバムも結構保有しているのだが,このアルバムについては全くノーマークであった。kenさんのおかげでこのアルバムを聞くことができたことをまず感謝したい。また,がんとの闘病を続ける辛島文雄のピアノを聞くことができるというのも非常に感慨深いものがある。

辛島文雄のオリジナル"Tony Williams"を除けば,お馴染みのスタンダードが並んでいるが,これが何とも言えぬ音楽的な深みを感じさせて素晴らしい。激しさはないが,その代わりに,何とも言えない滋味,味わいがある。闘病中の辛島を気遣う五十嵐というところもライナーからは感じられたわけだが,辛島文雄が生み出す音楽は,ミュージシャンとしての気魄を感じさせるものとなっていて,それが感動を誘うと言いたい。

そして辛島文雄のピアノを得た五十嵐一生のフレージングの素晴らしさは,私がこれまで聞いてきた五十嵐一生の音楽に勝るとも劣らないものであり,これはより多くの人に聞いてもらうしかないと思えてしまう。この演奏,まじで感動的である。

尚,本作は五十嵐一生から直売で仕入れると,売り上げは辛島文雄支援金になるそうである。私はネットで買ってしまったが,直で買えばよかったなぁと反省してしまうが,いずれにしても,この音楽,聞く価値十分である。五十嵐一生のFBページでのコメント(https://www.facebook.com/isseiigarashijazztrumpet/posts/1009211642482392)も感動を誘う。彼の心意気も評価して星★★★★★を謹呈する。是非一人でも多くの人に聞いて頂きたい感動作。

7月には五十嵐~辛島にリズム隊を加えたライブもやるようである。これは行かないとまずいなぁ。

Recorded on February 11, 2016

Personnel: 五十嵐一生(tp),辛島文雄(p)

2016年6月 5日 (日)

Brad Mehldauの新譜をApple Musicでチェック。

"Blues And Ballads" Brad Mehldau Trio (Nonesuch)

Image現物はまだ届いていないが,Apple Musicで本作が聞けるようになったので,早速チェックした私である。

冒頭の"Since I Fell For You"からしてアルバム・タイトルに偽りなしの「ど」ブルーズであるが,これが全く違和感なしなのである。それでまずは嬉しくなってしまった私だが,全編を通して,このトリオの質の高さは相変わらず見事なものである。

振り返ってみれば,2012年に彼らの演奏をサントリー・ホールで聞いた時には,彼らはこうした音楽を探求していたのかもしれないと思わせる。事実,その時の演目と3曲被っているし,ライブの時もテンポは総じてミディアム以下だったからである。

実を言えば,その時にはライブに結構違和感をおぼえていた私だが,本作の演奏はよりこなれた感じがする。だが,"Cheryl"はやはり彼らに合っていないと思えるのは,ライブも本作も変わらない。Charlie Parkerの書いたメロディ・ラインがMehldauには向かないのだ。どブルーズの"Since I Fell For You"には違和感がないのに,"Cheryl"はダメなのである。"Cheryl"でもアドリブは問題ないので,やはり曲調の向き不向きだろう。

それ以外は一聴して全く問題なしの快演揃いである。"And I Love Her"を聞きながらく〜っとなっていた私である。そして終演の"My Valentine"で更にく〜っとなってしまった私である。

現物が届き次第改めて記事は書きたいと思うが,まずは第一報ということで...。

2016年6月 4日 (土)

突然のようにStephen Bishopが聞きたくなって...。

"Live!" Stephen Bishop(Universal Japan)

Stephen_bishop突然,Stephen Bishopが猛烈に聞きたくなって(なんでやねん!?),取り出したのがこのアルバムである。本来なら"Careless"かベスト盤をチョイスするところだが,買ったまま,大して聞いていない本作を改めて聞いてみることにした。

このアルバムがリリースされて,10年以上経過しているが,Stephen Bishopの瑞々しさは不変だなぁと思わせる。とにかく,この人,佳曲が多く,ソフトなヴォイスとも相俟って,聞いていて心地よいことこの上ない。本作のライナーには,ミュージシャンや録音に関して全く情報が掲載されていないという問題があるが,YouTubeに上がっている映像で確認するとギター/ベース(兼任)とキーボード,そしてStephen Bishopのギターという3人編成での演奏のようだ。しかし,どんな伴奏であろうが,これらの曲,彼の声を以てすれば,大概は「甘酸っぱい」気分になってしまう(笑)。シンプルな演奏であればあるほど,沁みるって感じである。

私にとってStephen Bishopと言えば,"On and On"か,映画"Tootsie"のテーマ曲である"It Might Be You"ってことになる。後者については映画も面白かったが,この曲のよさ,更にはDave Grusinが書いた"An Actor's Life"の演奏がよくて,サントラ盤も買ってしまったあの頃が懐かしい。

いずれにしても,私にとっては懐かしい人であり,この時のライブは,私がライブから離れていた時代なので見ていないが,今だったら絶対行っていただろうなと思ってしまう。演奏/歌唱は完璧とは言えないが,やっぱり好きってことで,星★★★★。でもStephen Bishopを聞いたことがない人が,これから聞くってのが正しい聞き方ではないのは明らか。"Careless"か"Bish"かベスト盤から聞くのが普通だろうなぁ。

余談ではあるが,いろいろWebサイトを見ていたら,一昨年,Stephen Bishopはひっそりと新作を出していたようだが,現在の彼がどうなっているのか非常に気になってきた私である。Apple Musicで探してみるか(爆)。

ネット上の情報を総合すると,このアルバムのデータは多分下記のような感じ。間違っていたらごめんなさいだが,ちゃんとクレジットしていないアルバムが悪いと思うねぇ。

Recorded Live at the Duo Music Exchange on November 19, 2004

Personnel: Stephen Bishop(vo, g), Jim Wilson(key, vo), Bruce Watson(g, b, vo)

2016年6月 3日 (金)

Mike Stern@Blue Note東京。相変わらずのマイキーであった。

_20160602マイキーが来日するときには,ついついライブに行ってしまう私である。今回はトリオ編成に渡辺香津美が客演するというスペシャル・ギグって感じだったので,初日のブルーノートに行ってきた。

マイキーはいつも通りのマイキーで,その一方,渡辺香津美との個性の違いがはっきり出て非常に面白かった。マイキーはエフェクターの使い方で,彼らしい音を出しているが,香津美はエフェクターに依存せず,基本的にギターの技で勝負っていう感じだったのが面白かった。それでもやっているうちに,ついついご両人ともにバトル・モードみたいな感じになってしまうところがあるのが,「俺が,俺が」のギタリスト気質って気がしないでもない(笑)。

そして,今回,もう一つの注目がDennis Chambersの様子だったのだが,ほぼ以前の体形に戻って,爆裂ドラムスを叩いていて一安心である。今回,何だか訳の分からないドラムス・ソロから徐々に爆裂モードに入っていくという,いかにも「芸風」的なところもあったが,まぁもうちょっと叩いてもよかったかなってところである。しかし,それでも爆裂は爆裂で,2年前の弱弱しささえ感じさせた風体とは全く違う世界になっていて,よかった,よかったって感じである。

最後にはジミヘンの曲もやったりして楽しいライブであったのはいつも通りだが,マイキーも超ご機嫌って感じで,見ているこっちも楽しくなってしまった。

Mike_stern_iってことで,今日の戦利品の写真をアップしておこう。戦利品はこれだけではないが,写真をアップしたMichael Mantlerのアルバムのマイキーのソロは,もっと知られてよいものであり,彼の楽歴においても屈指の名ソロが収められていると思っている。これを持っていく私もマニアックだなぁと思いつつ,いいものはいいのである(恒例に従い,ピックももらった)。ついでにいつものように,"Mike & I"の写真もアップしてしまおう(いつも通り,私の顔にはモザイク入り)。う~む,いい感じだ(爆)。

2016年6月 2日 (木)

久しぶりに聞いたBob Bergの"Enter the Spirit"

"Enter the Spirit" Bob Berg (Stretch)

Enter_the_spirit私はBob Bergが好きだ,好きだと言いながら,聞くアルバムは結構偏っている。本作は逆にずっと実家に置いてあって,聞くチャンスがなかったものである。そして,実家から持ってきたものの,ずっとラックに埋もれたままという状態だったのだが,CDを整理していて,久しぶりの再会となった。

私はDenonレーベル時代のアルバム(それも初期)が結構好きだったが,そこで聞かれるような思わず「ハードボイルドだねぇ」と言いたくなるBob Bergのサウンドは,いつも私を興奮させ,燃えさせてくれる。そもそもMilesのバンドにいた時だって,十分ハードボイルドだと思ったが,本質的にこの人の音,フレージングが私の好みなのである。だが,そうした思いが強くなったのは実はこのアルバムが出た当時のことではなく,もう少し後になってからのことである。

このアルバムも買ったまま放置してしまったのは惜しかったが,振り返ってみれば,実家に置いたままにしてしまったこと自体がそもそもの失敗だったと思わせるほど,Bob Bergの音が満載のCDである。特に4曲目の"Nature of the Beast"なんて,これぞBob Bergって感じの音になっていて,嬉しくなってしまった。

Chick CoreaのStretchレーベルからの作品ということで,Chick Coreaも3曲客演しているが,そんなことは関係なしに,Bob Bergのファンでなくともかなり楽しめる作品。曲によって随分トーンが違うところは感じられ,プロデュースを欲張り過ぎた感があるものの,まぁそれはそれってことで。いずれにしても許せるレベルではある。私としてはもっとブリブリのBob Bergの方が好きだが,それでも久しぶりにちゃんと聞き直してよかったと思えた作品である。星★★★★。

Personnel: Bob Berg(ts, ss), Chick Corea(p), David Kikoski(p, el-p), Jim Beard(p, el-p), James Genus(b), Dennis Chambers(ds)

2016年6月 1日 (水)

John Surman:由緒正しき(?)英国的ジャズ(・ロック)。

"Morning Glory" John Surman(Island→Fledg'ling)

John_surman私はJohn SurmanのECMのアルバムは結構保有しているが,正直なところ,プレイバック回数は決して多いとは言えない。保有しているのだから,嫌いなのではないのだが,しょっちゅう聞く気がしないのである。だが,ECMにしろ,ECM以外にしろ,John Surmanのリーダー作や,彼が参加しているアルバムにおける彼のプレイぶりは,一発で個性を感じさせる凄い人だということは認識している。本作は参加しているメンツにより,前々から欲しいなぁと思っていたアルバムだが,中古市場でも結構な高値がついていて,購入を躊躇していたのだが,最近再発されたので,ようやく入手となった。

主題にも書いた通り,これは由緒正しき英国式ジャズ・ロック的な響きを有したサウンドだということが感じられるのだが,実はこのアルバムの肝は英国人ではないTerje Rypdalのギターの音だと思える。2曲目の"Iron Man"におけるロック魂溢れるギターを聞くだけで,このアルバムは元が取れたと思ってしまった。

だが,このアルバム,ジャズ・ロック的な側面だけでなく,英国らしいフリーなアプローチも聞かせていて,この辺がますます英国的だと思えてしまう。そして,フリーな響きの中でもRypdalが目立っていて,誰のアルバム?って言いたくなってしまう瞬間があるのも事実であるが,礼を尽くしてRypdalに参加してもらったって感じなのかもしれない。

今から40年以上前のアルバムを現在の耳で聞くと,音には時間の経過を感じさせるとしても,音楽としての魅力が下がっていないのは立派。こういう音楽はちゃんとカタログに残して,いつでも聞けるようにしておかないといかんと思わせるに十分な作品。フリーな中からロックが浮かび上がってくるというアプローチはパターン化しているという指摘も可能だが,こういう音にようやく私も目覚めたってことで,星★★★★☆。でも結構暑苦しいねぇ(笑)。

Recorded on March 12, 1973

Personnel: John Surman(ss, b-bl, synth), John Marshall(ds), Terje Rypdal(g), Chris Lawrence(b), John Taylor(p, el-p), Malcolm Griffiths(tb)

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