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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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2016年4月30日 (土)

Bill Evansの未発表音源:このリリースは「事件」だ!

"Some Other Time: The Lost Session from The Black Forest" Bill Evans (Resonance)

Bill_evans貴重音源のリリースを連発するResonanceレーベルであるが,Stan Getzでも十分素晴らしいと思えたが,このBill Evansの未発表音源はもはやレベルが違う。この発見,リリースこそ「事件」と言ってよい。そんなアルバム,リリースからちょっと時間が経過したが,ようやく私のもとにデリバリーされた。なんでこんなに時間が掛かるのかはよくわからないが,そんな不満も解消するような優れた出来である。

ここでのメンツはVerveにおけるモントルー・ライブと同一であり,そちらは既に世評が確立したものなのは言うまでもない。その3人による未発表音源があったということ自体が驚きであり,それがリリースされただけでもこれは快挙である。

冒頭から一聴してBill Evansとわかる好調な演奏ぶりで,これがまさに素晴らしい出来と嬉しくなってしまった私である。DeJohnetteのドラムスがやや控えめに響くことや,MPSらしいクリアさにはちょいと欠けるかなぁって思わせるのが惜しい部分もあるが,Bill Evansのトリオ音源としてはこれぐらいが丁度いいかもとも思える。トリオを中心に,デュオ,ソロの音源も含み,リラックスした中にも優れた演奏が聞ける。これこそBill Evansの真骨頂だよなぁ。

とにかくこれは凄いや。こんな演奏を見つけてくれたことだけでも星★★★★★である。Bill Evansを聞き倒したリスナーすら満足させること必定。今年の「発掘盤オブ・ザ・イヤー」はこれを置いてあるまいな~。

Recorded on June 20, 1968

Personnel: Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Jack DeJohnette(ds)

ついに,ついに,ついにJLF来日。

待望のと言ってよいJeff Lorberの再来日が決定した。Jeff Lorber Fusionを復活させて6年,アルバムも4枚リリースしながら,ちっとも来日してくれなかったJeff Lorber Fusionの来日である。めでたい。じつにめでたい。JLにJimmy Haslipに,Andy Snitzer,Gary Novakというメンツもなかなかである。7月の来日に向けて予習しようっと(笑)。

2016年4月27日 (水)

Famous DoorのButch MilesやScott HamiltonまでCDで出るとは...。

Butch_miles私は結構Famous Doorというレーベルのアルバムに愛聴盤が多い。その筆頭はZoot Simsの"Zoot at Ease"であるが,それはLPでもCDでも保有している。そのほかにLPで保有しているものにButch Milesの"Miles and Miles of Swing"とScott Hamiltonの"Swinging Young Scott",それにRed Norvoのアルバムもあったはずである。そのButch MilesとScott HamiltonのアルバムがCD化されて,国内盤としてリリースされるってのはかなり凄いことではないか。

Scott_hamiltonこれらのアルバムはモダン・スウィングと言ってもよいだろうし,中間派のややモダン寄りと言ってもいいようなアルバムであり,こうしたアルバムが現代において売れるのかという疑問は感じるのも事実だが,こういう良作が手軽に聞けるようになるってことはまぁめでたいということになるだろう。

今やLP再生環境は,私の部屋に整っているのだから,これらをCDで改めて買うこともないかなぁなんて思っていたのだが,やはりCDの方が気楽にプレイバックできるのが,今の私の部屋の難点である。まぁ,アナログのプレイヤーの上に,どんどんCDが積まれているような状態なので,当たり前っちゃ当たり前なのだが。ってことで,表題の2枚がデリバリーされたので,今度ゆっくり聞いてみることにしよう。繰り返しになるが,Famous Doorのアルバムはクォリティが高く,安心して聞けるが,中でも好きなアルバムゆえに改めて聞くのが楽しみである。特にButch Miles盤は長年の愛聴盤なのだ。

ジャケにも時代を感じるが,それにしても,高校時代からButch Milesのアルバムを買っていた私って...(苦笑)。どう考えても,女の子にもてるタイプではないってことで(爆)。

2016年4月26日 (火)

祝再発! Steve KhanのEyewitness音源。

"Casa Loco" Steve Khan (Trio→BGO)

Image

GWを目前に控えているが,遠距離,近距離双方で出張続きの私である。こういう時はiPodもしくはApple Musicで音楽を聞くことになるが,出張の道すがら聞いていたのが本作である。

Steve Khanの楽歴を振り返ってみても,彼が率いた最高のバンドがこのEyewitnessであったことに異論のある人は少ないだろう。その後,Steve Khanはメンバーにマイナー・チェンジを施しながら,そのコア部分にはEyewitnessがあったと言ってもよいし,やはりここがベースなのだと思う。

もともと,彼らのアルバムを制作したのが日本のトリオ・レーベルであったことは大いに自慢すべきことであるが,これは彼らの第3作。彼らのCDは,ポリドールからリリースされていたはずだが,そのどれもが中古市場ではとんでもない価格がついていた。しかし,昨今ではApple Musicでもデジタル音源としては聞けるようになっていたので,希少度そのものは低下していたが、この度,英BGOレーベルから3 on 2で再発されて,ついつい購入してしまったものである。

私は2作目まではすでに音源は入手していたが,本作に関しては一部ベスト盤に収録されたもの以外が初聞きだったはずである。だが彼らしいタイトかつソリッドなノリはここでも十二分に発揮されている。やっぱりいいバンドであった。

面白いと思ったのは,Manolo BadrenaのヴォーカルがStingのように響く瞬間があったことである。それも「ブルータートルの夢」あたりの感じである。Stingが彼らに影響を受けたなんてことはなかろうが,そう感じたものは仕方ない。そういう時代だったのかもしれないが,だからと言って,いま聞いても古臭さは皆無だと思う。星★★★★☆。

オリジナル・フォーマットにさえこだわらなければ,再発2枚組で十分。ってことで,この再発はめでたい。

Personnel: Steve Khan(g), Anthony Jackson(b), Steve Jordan(ds), Manolo Badrena(perc, vo)

2016年4月25日 (月)

懐かしのラインアップによるSantana IV

"Santana IV" Santana(Santana IV)

Santana_iv懐かしのメンツが集結してのアルバム・リリースがアナウンスされてから,長年のSantanaファンとしては,一体どういうことになるのだろうかという不安と期待が交錯していたが,ついにそのアルバムがデリバリーされた。

結論から言えば,SantanaはどうやってもSantanaなのだが,私としては久しぶりにGregg LorieとMichael Schrieveの演奏を聞けただけでもある程度は満足してしまうのは事実である。だが,純粋に音楽的に見ると,45年前の"Santana III"の時のようなわけにはいかないことは当たり前である。あの頃,Carlos Santanaは25歳,Neal Schonに至っては17歳だったのである。そんな若気の至り感がなくなるのは当たり前で,ここではベテランが今でも現役でいけてまっせということを示すことに意義があるのである。

だから,この演奏に目くじらを立てる必要はないが,敢えてこれを聞くぐらいなら,"Santana III"や私が彼らの最高傑作だと思っている"Caravanserai"を聞いている方がいいだろうというのが正直なところではある。まぁ,いかにもCarlosらしい泣きのギターも聞けるし,ラテン・タッチの激しい曲もあるが,そこかしこにアフリカ的なフレイヴァーが現れるのは時代の流れってところか。

しかし,今年70歳になるCarlos Santanaも,ほかのメンバーも元気なものである。なぜNeal Schonがこの期に及んで,Carlosとの再共演を熱望したのかは謎であるが,こうして昔からのファンはついつい購入させてしてしまうのだから,コマーシャルな観点では成功ということになるんだろうなぁ。悪い出来ではないが,Duke Ellingtonに倣って言えば,"Things Ain't What They Used to Be(昔はよかったね)"みたいな感覚も残るので,星★★★☆ぐらいにしておこう。新橋のテナーの聖地,「Bar D2」でよくご一緒させて頂くMさんは,Santanaの結構なファンでおられるが,Mさんがお聞きになったらどう思われるだろうか?

Personnel: Carlos Santana(g, vo), Neal Schon(g, vo), Gregg Lorie(key, org, vo), Michael Schrieve(ds), Michael Caravello(perc, vo), Bennie Reitveld(b), Karl Perazzo(perc, vo), Ronald Isley(vo)

2016年4月24日 (日)

Dave Catneyのトリオ作:夭折が惜しまれるピアニストである。

"Jade Visions" Dave Catney(Justice)

Dave_catney先日ご紹介したFred Herschのベネフィット・アルバムに美しい自作を1曲提供し,そこでもピアノを弾いていたDave Catneyについては,その魅力ゆえにアルバムを聞きたくなるとそこにも書いた(記事はこちら)。そのDave Catneyのトリオ作がようやく海外からデリバリーされた。

本作はメンツもMarc Johnson,Peter Erskineといういいメンツに囲まれていて,それだけでも期待できるが,一聴した限りでは,Bill Evans的なタッチを聞かせつつも,それだけではない個性も聞かせていて,若過ぎる死が勿体ないと思わせるに十分である。もちろん,この人ならではという「決定的」な個性には乏しいかもしれないが,演奏のクォリティは非常に高いと思わせるものとなっている。

演奏されるのはスタンダードに混じって,リーダーのオリジナル1曲,Marc Johnsonのオリジナル1曲を加えた全10曲であるが,どれもがレベルの高い演奏である。特に聞きものなのが,Peter Erskineのドラムスって感じがする。Erskineはヨーロピアン・トリオ,アメリカン・トリオを通じて,ピアノ・トリオの可能性を追求してきたという気がするが,ライナーにも書いている通り,ここでも非常にいい煽りを聞かせ,本人も「記憶に残るレコーディング」になったと言っている。Marc JohnsonはBill Evansトリオの最後のベーシストとして,このフォーマットには完全に対応できることは明らかであるが,そうした共演者のサポートもあって,Dave Catneyは本当にいいピアノを聞かせているのだ。

そして,最後のKurt Weill作"Lost in the Stars"では自身のピアノをバックに,ヴォーカルを聞かせて,歌手としてもなかなかいけていたところを聞かせる。これはやはり見逃すには惜しいアルバムであり,記憶に残すべきピアニストであったと思う。星★★★★。

Personnel: Dave Catney(p,vo), Marc Johnson(b), Peter Erskine(ds)

2016年4月22日 (金)

追悼,Prince...

Prince

想定外の事が起こってしまうというのは熊本の地震もそうなのだが,音楽界におけるPrinceの突然の訃報は,David Bowieの訃報と同じレベルのインパクトだと言わざるをえない。

昨今のPrinceのアルバムを追いかけていたわけではない私でも,"1999","Sign of the Times"そして"Black Album"などを聞いてきた自分としては,最近の復活ぶりにはへぇ~と思っていた。彼の活動のピークは間違いなく1980年代であったとは思うが,その活動ぶり,あるいはライブの姿というのは凄いよねと思わせるに十分であった。Prince & the Revolution名義で出たレーザー・ディスクでの彼のライブをよく見ていた私だが,ギタリストとしても一流,シンガーとしても一流なのに,妙にエロな感覚を出してしまうのが本当に必要かと感じつつも,笑いながら見ていた自分が懐かしくなる。

いずれにしてもPrinceという人は,何かと論争を巻き起こすタイプの人でありながら,その音楽の魅力に抗える人はいないだろうと思わせる人であった。一時期の失速はあったとしても,彼の残した業績に文句のある人はいないだろう。それにしても57歳,若過ぎる死である。

惜しい。あまりにも惜しい人を亡くしたって感じだが,David Bowie,Glenn Frey,そしてPrinceって今年は音楽界にとっての厄年か?と言いたくなるのは私だけではあるまい。Princeの音楽は静かに追悼するって感じではないが,ここはもう賑々しく彼の音楽を鳴らして楽しむことこそが,彼へのリスペクトの発露だり,本当の追悼になるだろう。彼がマジで凄いギタリストであったことを実証する映像(2004年のRock' n Roll Hall of Fame時)を貼り付けておくが,これを見れば,誰しもが喪失感をおぼえるはずだ。完全に場をさらっている。そういう人だったのだ。

R.I.P.

2016年4月21日 (木)

素晴らしかったEgberto Gismontiソロ。

Egbertogismonti
Nana Vasconcelosとのデュオ・ライブとして演じられるはずだった今回の公演が,Nanaの急逝によりEgberto Gismontiのソロとなったライブを観に,練馬文化センターに行ってきた。西武池袋線に乗るのは一体何年ぶりになるだろうか。大学時代に家庭教師をしていた頃だから,30数年ぶりってことになるが,その練馬駅前に会場はあった。

どうも会場は知り合いの集いみたいな感じの人々が多く,あちこちで挨拶を交わす声が聞こえたが,私は今回は完全単独行であった。前回,Gismontiを聞いたのは2007年の晴海でのライブだったが,晴海も珍しいヴェニューなら,今回の練馬も珍しいヴェニューである。駅に近いのはいいが,ちょっと通路が狭いので,動線には問題あるよなあなんて,ついつい商売(の一つ)に近いことを考えてしまったが,席は2列目センターやや右寄りというナイスなポジションであった。ギターを弾く姿はばっちり見られたが,ピアノを弾く手が見えなかったのはちょっと残念だった。しかし,それはないものねだりってことで。

演奏は第一部がギターと笙に似たタイのケーンという楽器,そしてノルウェーのウイロー・フルートの持ち換え,第二部がピアノによる演奏ということで,晴海も第一部がギター,第二部がピアノという構成だったので,これが通常パターンと言ってよいのだろう。

演奏はギターのパートはややミスタッチもあったが,まさに技のデパートというような感じで,どうやったら,あんなにハーモニクスを効かせられるのかとか不思議に思いながら聞いていたが,私が最も惹かれたのは唯一スチール弦の12弦ギターで弾かれた曲であった。聞いたことがあるように思えるが,曲名が思い出せない。しかし,オープン・チューニングで奏でられるこの曲が本当に気持ちよかった。Ralph Townerが弾く12弦ギターの音が好きな私ゆえ,こういう音には本当に簡単にまいってしまうのである。演奏を聞きながら,久しぶりにスチール弦を張り替えて,オープン・チューニングの曲を弾きたくなっていた私である。写真は今回のものではないが,雰囲気はほとんど同じである。

そしてピアノで演じられた第2部は,ギターでは土俗的な響きを感じさせる部分もあったGismontiが,メロディアスなフレーズを炸裂させるという展開であった。この人,ピアニストとしても相当のテクニシャンで,左手が強烈だと思ったが,そこから見た目とは異なる美しいフレーズが出てくるのだから,意外性もあると言ってよい。そして"Maracatú"を聞いて,この曲の魅力を再認識していた。本当にいい曲である。

Tenugi_2ということで,音楽的な満足度は極めて高かったが,アンコールで演じられたNanaの映像との「共演」はちょっと蛇足かなとは思っていた。それまでの演奏でも,十分Nanaを追慕/追悼する気持ちは表れていたのだから,あれはなくてもよかったように思う。もちろん,あっても問題はないのだが,敢えてあのようなかたちを取る必要はなかったというだけである。

尚,今回は来場者に結構可愛い手ぬぐいが配られたが,これはNanaの逝去で浮いたギャラを還元したのかなぁなんて「しけた」ことを考えていた私である(笑)。でもなかなかよいデザインだと思うので,写真もアップしてしまおう。

Live at 練馬文化センター大ホール on April 20, 2016

Personnel: Egberto Gismonti(g, p, vo, khaen, willow-fl)

2016年4月20日 (水)

多忙につき...。

ここのところ,仕事が非常に忙しく,音楽を聞いている余裕がそもそもないので,記事を書こうにも書けないというのが実態である。

会社のイベント,クライアントとのお付き合い,そして地方出張が重なれば,そうなるのも仕方ないのだが,こんな忙しい時に控えているのが,4/20夜のEgberto Gismontiのソロ・ライブである。本来ならばNana Vasconcelosとのデュオで演じられるはずだったこのライブは,Nanaの急逝により,Gismontiのソロとなったのだが,今夜は,仕事を終わらせ次第,会場に向かうことにしよう。ライブの模様はまた別途ってことで。

2016年4月19日 (火)

ようやくリリースされたRachael Yamagataの"Happenstance"のアコースティック・ヴァージョン。

"Acoustic Happenstance" Rachael Yamagata (Download Only)

Acoustic_happenstance私はRachael Yamagataがデビューしてから,ずっと贔屓にしているのだが,PledgeMusicで彼女のニュー・アルバムの資金集めが始まった時にも,逸早くいろいろとPledgeしたのであった。新作についてはまだリリースされないままだが,当ブログでも"Covers EP"については既に記事にした(記事はこちら)が,今回,彼女のデビュー作である"Happenstance"のアコースティック・ヴァージョンがダウンロード可能となったので,早速聞いてみた。

"Happenstance"については,私の琴線に触れると言えば,これほどぴったりの音源はないと思えるほど,好きなアルバムである。曲も演奏も素晴らしく,Rachael Yamagataの追っかけをしようと聞いた瞬間思ってしまったのも懐かしい(記事はこちら)。今回,ようやくそのアコースティック・ヴァージョンが聞けるようになったわけだが,元からいい曲が揃っているし,彼女の声は今でも魅力的であり,シンプルな伴奏ながら,これまた心に沁みる出来である。

正直言って,ダウンロード・オンリーにしては"Covers EP"にしろ,本作にしろ,やや割高感はあるものの,どんなものでも聞きたくなってしまうのが,ファンの弱みである。だが,どちらのアルバムに関しても,私としては完全に元を取ったと思えるほどいい出来なので許す。やっぱりこのデビュー・アルバムの曲は,どれもが素晴らしかったと改めて思える。リリースから10年経っても,曲の魅力は不変というのは大したものである。

彼女の新作は,レコード会社が決まっていないということで,なかなかリリースされないが,それまではダウンロード音源を聞いて,首を長くして待つことにしよう。星★★★★★。ついでに来日してくれると,更に嬉しいなぁ。

Personnel: Rachael Yamagata(vo, g, p), Kevin Salem(g)

2016年4月18日 (月)

Ben Wattの新作は,"Hendra"を上回る素晴らしさ。

"Fever Dream" Ben Watt(Unmade Road)

Fever_dreamBen Wattが31年ぶりにアルバムをリリースしたのがほぼ2014年のことであった。そのアルバム,"Hendra"も高く評価した私だったが,それから2年という非常に短いインターバルで,新作がリリースされた。私はBen Wattのサイトで,譜面やら何やらのバンドル盤を購入したので,デリバリーにはちょっと時間が掛かったが,今度のアルバムが前作に勝るとも劣らない素晴らしさで嬉しくなってしまった。

前作"Hendra"がやや内省的な響きを持つものであったのに比べると,今回のアルバムは,バンド・サウンドの中で,よりポップな感覚を持っていると言ってよいと思う。どちらが好みかはリスナーに委ねられるべきであるが,私としては,今回の曲の粒ぞろいな感覚に嬉しくなってしまったのであった。

_20160417_2Ben Wattは4/10にTravisなどとともに"Sunday Special"というイベントに参加するために来日にしていたのだが,家族の手前,日曜日に出掛けることが難しい私は当然見送ったのだが,このアルバムの曲を聞いていると,見逃したことを激しく後悔したのは,King Crimson同様である。今回はバンドとして来ていたようなだけに更に残念な感覚が募る。それぐらい,今回のアルバムがいいのである。

最近は,PledgeMusicなどでも様々なバンドル・サービスがあるが,ファンとしてはついつい金を使ってしまうのが痛い。今回は全てサイン入りのCD,歌詞プリント,アート・プリントの3点セットだったのだが,またこれを収めるためのフレームを買わないといかん。でもそうしたくなるようなナイスなカバー・アートだし,文句はない。

_20160417それよりも何よりも音楽である。私はポップ感が強い頃のEverything But the Girlも非常に好みなのだが,そうした感じを想起させるような出来と言ってもよい。おかしな言い方をすれば,甘酸っぱい気分になるような瑞々しさに溢れた音楽なのである。何回でもリピートしたくなるのは"Hendra"以上であることは間違いない。これはいい。Ben Wattが音楽をクリエイトする力をまざまざと感じさせる逸品。この調子で,暫くは音楽の創造を続けていって欲しいと思うのはきっと私だけではないはずだ。最高である。星★★★★★。

Personnel: Ben Watt(vo, g, p, key, synth), Bernard Butler(g), Rex Horan(b), Martin Ditcham(ds), Jim Watson(org, synth),M.C. Taylor(vo), Merissa Nadler(vo)

2016年4月16日 (土)

震災お見舞い申し上げます。

Keep_calm_and_courage

熊本県を襲った(襲っている)地震は,大規模な余震が続き,被災者の皆さんも落ち着かない状態ではないかと想像する。東日本大震災を経験した私たちにとっても決して他人事ではない。被災された方々を思い,私が東日本大震災の時に,このブログにアップしたポスターを再掲したい。これは英国において第二次世界大戦開戦に当たって作られたものであるが,熊本を中心とする被災地の皆さんにも当てはまるものだと思う。

東京から皆さんのご無事をお祈りする。

2016年4月14日 (木)

久しぶりにTunnelsを聞いた。ハイブラウだよねぇ。

"Progressivity" Tunnels(Buckyball Records)

_20160410_2フュージョン界の「とんねるず」こと,Percy Jones率いるTunnelsは,Brand Xからの派生バンドとして,「その手」の音楽好きには知られているグループであるが,少なくとも日本においてはグループ名が災いしているなぁと思っているのは私だけではあるまい(爆)。だが,Brand Xから派生すれば,こうなっちゃうよねぇと思わせるような変態フュージョン・ミュージックである。ライナーには"Do not play (中略) while under the influence of smooth jazz."なんて書いてあるところが笑わせてくれるが,その通り,スムーズ・ジャズとは対極にあるようなハイブラウな音楽だと言ってよい。

そもそもメンツも変わっている。再編Brand X組のPercy Jones,Frank Katzのコンビニ,Brand X最終作"Manifest Destiniy"にも参加したMark WagnonがMidi Vibeで参加するという編成からしても変態だっていうことは想像できるが,このメンバーならではと言うべきハードなフュージョンが展開されていて,Brand Xファンとしても嬉しくなってしまうこと必定である。Brand Xのバンド・メイト,John Goodsallがゲスト参加しているのはまぁわかるとしても,ヴァイオリンでMark Feldmanも加わると,タイトル通り,プログレ的な展開も見せるのも当然か。King Crimsonにしても,Mahavishunu Orchestraにしても,ヴァイオリンってのはプログレッシブな要素を強める部分があると思えるが,Tunnelsもその例外ではない。むしろ,John Abercrombieとも共演するMark Feldmanがここでの演奏のようなアプローチを示すことの方が意外と言えば意外である。完全にプログレ・モードで弾いているのだ。

Tunnelsはこのほかにも何枚もアルバムをリリースしているが,私が購入したのはこれだけである。ここで聞かれる音楽は,質は高いのだが,そのほかのアルバムまで食指が動かなかったのは,テンションが高過ぎて聞いていて疲れる部分があったからではないかと思っている。復活Brand Xにもそういうところがあったが,全編通じてテンションが高くては,やはりリスナーとしてはきつい部分があったのではないかと思える。私がこのアルバムを買ったのはもう10年以上前のことだが,更に齢を重ねた現在の私には,しょっちゅう聞くには更にきつい音楽であることは確かである。しかし,たまに聞くには全然問題ないし,逆にApple Musicで彼らのほかのアルバムを聞いてみようかななんてすら思っているのだから,勝手なものである。

いずれにしても息つく暇も与えてくれない超ハード・フュージョン。よくやるわ。ってことで星★★★★。

Personnel: Percy Jones(b), Mark Wagnon(midi-vib), Frank Katz(ds), John Goodsall(g), Mark Feldman(vln), Sarah Pillow(vo)

2016年4月13日 (水)

後悔先に立たず:ライブを観に行っとけばよかったと思わされるKing Crimsonのトロントでのライブ。

"Live in Toronto" King Crimson (Dicipline Global Mobile)

Live_in_toronto昨年12月に来日して,ソールド・アウトを連発したKing Crimsonであるが,私は彼らと不釣り合いな感じがするオーチャード・ホールというヴェニューと,彼らにしては高過ぎると思わせるチケットに腰が引けて,ライブには結局行かなかった。しかし,その後のいろいろな方の反応を拝見していたり,メディアでのカヴァレッジを見ていて,行かなかったのは失敗だったかなと思い始めていた。そんなところに届いたのが来日直前の昨年11月に,カナダはトロントで収録されたライブ盤がデリバリーされたので,早速聞いてみたのだが,結局思ったのは行かなかったのは失敗だったということである。現在進行形でありながら,過去のレパートリーにも目配りをしたこの選曲,この演奏は見ておけばよかったと思わせるに十分である。70歳を前にしたRobert Frippを含め,一番若いGavin Harrisonでも52歳というロートル揃いでありながら,大したものだと言わざるをえない。

私がかなり遅れてきたKing Crimsonファンであることはこのブログでも書いてきたが,そうは言っても一旦はまると,かなり中毒のようになってしまい,今や結構な枚数のCDを保有している。実を言うと,「太陽と戦慄」ボックスも,「レッド」ボックスも買ってしまっているのだ。だったら,ライブも行くのが筋だったと今更激しく後悔しても,もはや手遅れである。そんな私の心を若干でも救ってくれるのが,このアルバムを通じて,ちょっとはライブの模様を追体験できるということなのだ(とはちと大袈裟か)。

現在の編成の特徴はトリプル・ドラムスとサックスのMel Collins再加入ってことになるだろうが,それに加えてヴォーカルのJakko Jakszykがバンドに入ったことにより,Adrian Belewでは歌えなかったであろう曲も演奏できてしまうようになったことが大きいように思う。Jakko Jakszykの声は若干線が細くて,私の好みではない(やっぱりJohn Wettonがいい...)のだが,ライブで"Epitaph"がやれるのは彼がいるからだと言ってもよいように思う。

それにしても,レパートリーの幅も広く,このライブ盤(もちろん生でも)を聞いたら,昔ながらのファンだって大喜びしてしまうだろうこと必定である。物凄いテンションで展開される演奏を聞きながら,彼らもまた年齢不詳だよなぁと思いつつ,この現役感を失わないミュージシャンシップには恐れ入ったと言わざるをえない。ライブはまじで凄かったんだねぇと改めて思わされたドキュメンタリー。自戒の意味も込めて星★★★★★としてしまおう。お見それしました。

Recorded Live in Queen Elizabeth Theater, Toronto on November 20, 2015

Personnel: Mel Collins(sax, fl), Robert Fripp(g), Gavin Harrison(ds), Jakko Jakszyk(vo, g), Tony Levin(b, stick), Pat Mastelotto(ds), Bill Rieflin(ds, key)

2016年4月12日 (火)

またまた見てしまった007シリーズ。

ここのところ,週末になるとAmazonプライムで007シリーズを見続けている私だが,最近見たのは今回初めて見る3本となった「ダイヤモンドは永遠に」,「死ぬのは奴らだ」と「黄金銃を持つ男」である。

Photo「ダイヤモンドは永遠に」は一旦シリーズから退いたSean Conneryが復帰するということで話題にもなり,興行成績もよかったはずだが,映画としてはなんだかねぇという出来である。ラス・ヴェガスでのカー・チェイスのシーンもスピード感に乏しく,「ブリット」や「フレンチ・コネクション」とは全然レベルが違うと思わされる。そもそもボンド・ガールのJill St. Johnの魅力が不足していて,これだったら途中で殺されてしまうPlenty O'Toole役のLana Woodの方がずっといいやんけと思っていたのは私だけだろうか。

そもそもSean Conneryにあまりやる気が感じられないというか,身体の絞り方も不十分で,キレが感じられないし,小道具として出てくる月面車ってのもあまりに陳腐。だから映画としてもワクワク感がなく,これだったら「女王陛下の007」の方がずっとよかったと思ってしまった。まぁ,そんな中で,「謎の円盤UFO」の「沈着冷静」なストレイカー司令官を演じたEd Bishopが出ていたのには「おぉっ!」となってしまった私である。ついでに言うと,Sean Conneryが言うセリフで"It Won't Be Long."というのがあったが,「スペクター」でのDaniel Craigのセリフは,シークェンスからしても,この映画へのオマージュだったのねぇなんてマニアックな感心の仕方をしていた私である。

Photo_2続いてRoger Moore登場第1作となった「死ぬのは奴らだ」だが,まぁ起用第1作ということで,それなりにローカリズムも醸し出しながらの映画になっているが,ボンド・ガールのJane Seymourはさておき,悪役としてはYaphet Kottoより手下のJulius Harris の方が悪く見えるってのはどうなのかねぇと思っていた私である。映画としても小粒感が否めない感じである。後のRoger Mooreのシリーズにおける荒唐無稽感はまだ出ていないから,まぁ見られる映画ではあるが,あんまり面白くないんだよなぁ。Wingsによるテーマ・ソングによってのみ,存在意義があると言ってはちょっと言い過ぎかもしれないが,実際そんな感じである。まぁ,これはシナリオ,キャスティング,演出その他もろもろを含めてのことだが,私はシリーズの低空飛行感をおぼえてしまったのであった。

Photo_3最後の「黄金銃を持つ男」であるが,敵役のChristopher Leeはさておき,この映画もボンド・ガールとしてのBritt Eklandがコメディエンヌ的であり,これならこちらも途中で殺されてしまうAndrea役のMaud Adamsの方がいいやんけと思っていた。Maud Adamsは後に「オクトパシー」では堂々敵役を演じることになるから,やっぱりそうなのねぇと思ってしまう。だってきれいなんだもん(笑)。だが,この映画もChristopher Leeとの対決シーンが盛り上がらないというか,ネタバレになるので書けないような結末を迎えるのは,どうにも面白くない。シナリオやアクションの質のせいもあるが,やっぱりRoger Mooreの007シリーズは私とは相性が悪いようである。

尚,「死ぬのは奴らだ」と「黄金銃を持つ男」にはコミック・リリーフ的な役柄でClifton Jamesがペッパー保安官役で連続して登場するが,その後のRichard Kiel演じたJawsも同じような感じだったのかなぁなんて思ってしまった。ここまで見続けてきたが,そろそろ次はPierce Brosnanのシリーズか,Sean Conneryの既に見た作品の再見だろうなぁ。Roger Mooreものは暫くはええわ(笑)。

2016年4月11日 (月)

遅ればせながら,Getz / Gilbertoのライブ盤を。

Getz / Gilberto '76" Stan Getz / João Gilberto (Resonance)

Getz_gilberto_76オリジナル"Getz / Gilberto"にはいろいろな評価や諸説があるのは承知しているが,音楽ビジネスにおいて,ボサノバという音楽を広く知らしめたことの功績は認めなければならないし,私も長年聞いてきたアルバムである。

このアルバムはStan GetzとJoão Gilbertoが1976年,SFのKeystone Kornerで収録したライブだが,一部の音源はレコード・ストア・デイに10インチ盤アナログ・ディスクとしてリリースされていたもの。多くのリスナーにとっては,こうしてフル・アルバムというかたちでリリースされただけでも喜ばなければならないというものだと思えるが,結局のところはJoão Gilbertoは客演って感じがあることは否めない。ただ,Stan Getzのクァルテットも,Joãoを立てる努力はしている感覚があり,演奏としてはクォリティは確保されているので安心して聞ける。逆に言えば,Getz以外のメンバーはJoãoの伴奏者としての役割しか果たしていないので,地味な感じは否めない。まあ,それでもJoão Gilbertoを聞くという意味ではこれぐらいでいいのだが。そもそも,猛女(笑),Joanne BrackeenとJoãoでは名前の発音は似ていても,音楽は全然違うから(爆),Brackeenの方がちゃんと合わせたってところであろう。

だが,こうしてライブ音源を聞いてみると,彼らの生を観る(聴く)ってのは,非常に貴重な経験であり,聴衆の盛り上がり(ある意味過剰反応のオーディエンスもあり)も理解できる。アルバムとして聞いても演奏はいいと思う。そうは言っても,私はこの時の演奏であれば,Getzクァルテットだけの演奏を収めた"Moments in Time"の方を評価したくなってしまうのである。それが私の天邪鬼なところと言われればその通りなのだが,最後は好みの問題である。ということで,星★★★★。それにしても,ちょっとGetzの音がでかいなぁ。

Recorded Live at Keystone Korner on May 11-16, 1976

Personnel: João Gilberto(vo, g),  Stan Getz(ts), Joanne Brackeen(p),  Clint Houston(b),  Billy Hart(ds)

2016年4月10日 (日)

Dave Liebmanが"Sketches of Spain"を再構築したライブ盤

"Sketches of Aranjuez" Dave Liebman & Saudades Jazz Orchestra (Pao)

Sketches_of_aranjuezMiles DavisがGil Evansと吹き込んだ"Sketches of Spain"は誰もが認める超名盤だということは間違いのない事実であるが,その一方でしょっちゅうプレイバックしたくなるようなものでもないというのも正直なところである。格調も高いが,敷居も高いって感じだろうか。だから私もごくまれにしかその演奏を聞くことはない。

だが,Dave Liebmanがオーストリアのリンツで吹き込んだライブ盤は,オリジナルに対するリスペクトは示しつつ,コンテンポラリーな感覚も同居させていて非常に面白い。皆さんにも知ってもらうために,リリースからは結構時間が経過しているが,新譜扱いとさせて頂く。

このCDを紹介してもらったのは,毎度お馴染み新橋のテナーの聖地,Bar D2においてであったが,マスターも私の嗜好をご理解のようで,アルバムの後半からのプレイバックをされたわけだが,その術中に見事にはまってしまった私で,その場でオンライン発注してしまったではないか。いつものことながら,煽られているなぁ(笑)。

それはさておきである。Dave Liebmanは"Sketches of Spain"については既に,Manhattan School of Music Jazz Orchestraと再演には挑んでいるので,改めての演奏ということになるが,今回はオーストリアのミュージシャンを中心とするらしいビッグバンドが相手である。だが,ライナーによれば,Liebmanはこれまで10回以上"Sketches of Spain"の再演に挑んでいるらしいから,よほど好きなのだろう(本人も"Favorite"と言っている)。

そして,私はこの演奏を聞いていて,Liebmanのソロがこのアルバムの聞きものであることは当然ながら,結構ギターの音が効いているのではないかと思っていた。そこから生まれるオリジナルとの差異が面白く感じられたのである。

そもそも"Sketches of Spain"をライブで再演するっていうのはかなり難しいことだとは思うのだが,ソロイストとしてのLiebmanも,バックを務めるSaudades Jazz Orchestraも立派と言わなければなるまい。ということで,このチャレンジングなプロジェクトに対しては敬意も込める必要がある。ということで,星★★★★☆。

Recorded Live at Bruckenhaus, Linz on April 12, 2011

Personnel: Dae Liebman(ts, ss, wooden-fl), Jean Charles Richard(cond), Saudades Jazz Orchestra: Peter Massin(fl), Jurgen Haider(fl), Klemens Pliem(fl), Karin Grami(oboe), Wolfgang Heiler(bassoon), Herman Girlinger(horn), Gottlieb Resch(horn), Akiko Nishimara(horn), Klaus Ganglmayr(tp), Barney Birlinger(tp), Mario Rom(tp), Sebastian Hoglauer(tp), Alois Eberl(tb), Herman Mayr(b-tb), Ali Angerer(tuba), Heidi Rich(harp), Guido Jeszenszky(g), Wolfram Derschmidt(b), Wolfgang Reisinger(ds), Christoph Schacherl(perc), Ewald Zach(perc)

2016年4月 9日 (土)

出張中に見た映画(16/01-02編):最終回(その7)は韓国映画「悪のクロニクル」

「悪のクロニクル」('15,韓)

Photo監督:ペク・ウナク

出演:ソン・ヒョンジュ, パク・ソジュン, マ・ドンソク, チェ・ダニエル

延々時間を掛けて書き綴ってきたこのシリーズも遂にこれが最後である。実を言うと,復路ではもう1本,この後に「スペクター」も見ているのだが,劇場で見た時の感想も書いているので,今回は省略することにする。それにしても往復で都合8本見ているって,私もよくやるよねぇ。

ということで,この映画,韓国産のクライム・サスペンスであるが,韓国映画ってのはコメディあり,サスペンスありとその極端な違いっぷりが笑えるが,見ていてそれなりに面白い映画になっていることもある。しかし,サスペンスものの場合,総じてストーリーが暗い。そして画像も暗いって感じになってしまう。

この映画も,ある意味,ストーリーとしてはありえないだろうと思わせる「復讐劇」なのだが,そういうのをありだと思わせる情念みたいのが韓国映画っぽいなぁって気がする。正直言って見てからの後味はよくないし,結構えげつない表現もあるが,ついつい最後まで見てしまうってのがいつも私が韓国映画を機内エンタテインメントで見た時のパターンである。そして,この映画も同様であった。

ある意味,ローラーコースター的な展開と言ってもよいので,「おい,おい」となってしまう部分もあるが,よくもまぁこういう暗い話が書けるものだと,ある意味感心。だからと言って,それほど好きにはなれないが。主演のソン・ヒョンジュが敏腕刑事と言われる割に風体がさえないのがある意味リアリティだな。まぁ,もう1回観たいとは思わないし,機内エンタテインメントとしてはどうなのよって気もするが,星★★★ぐらいにしておこう。

それにしても,7本の記事を書くのに2か月以上掛けているのでは,記憶も風化するよねぇ。まぁいいか。

2016年4月 8日 (金)

久々に聞いたBoz Scaggsのスタンダード集

"But Beautiful" Boz Scaggs(Gray Cat)

But_beautiful私は長年に渡ってのBoz Scaggsのファンだと言ってよいと思うが,ジャズに傾斜した,本作とこの次に出た"Speak Low"(後者は私は未聴)は,そんな私にとっても,Bozにとっても異色作である。

彼に昔ながらのAORを求めるファンにとっては,「何じゃこりゃ?」にしかならないだろうが,Bozの声で歌われる有名スタンダードの数々は,非常に魅力的に響く。いい声で,歌がうまい人が歌えばこうなるよねぇって感じである。しかも落ち着いていて,渋い。

かく言う私も"Speak Low"は買っていないから,この試みにはきっと面喰っていたのだろうと思うが,久しぶりにこの音源を聞いてみて,結構いい感じの気分になってしまった。それは私の加齢に伴う心持ちの変化ってこともあるかもしれない。いずれにしてもこれは落ち着ける作品であり,疲れた心を癒すには適している音楽だと思う。

正直言ってしまうと,サックスのEric Crystalはそれっぽくは吹いているのだが,ちょっとエモーションというか,決定的な味わいが足りないかなぁなんて思える部分があるのも事実である。そうした点に目をつぶれば,この演奏は結構楽しめるものであり,これなら"Speak Low"も聞いてみようと思ってしまった私である。きっとApple Musicにあるだろうから聞いてみようっと(笑)。

ということで,久々に聞いたこのアルバムを実は大いに楽しんでしまった私である。星★★★★。

Personnel; Boz Scaggs(vo), Paul Nagel(p, arr), Eric Crystal(ts, ss), John Shifflett(b), Jason Lewis(ds)

2016年4月 7日 (木)

初めて聞いたWolfert Brederodeのトリオ作はECMファンのツボに入るだろうなぁ。

"Black Ice" Wolfert Brederode Trio (ECM)

Black_ice_3既にECMレーベルにリーダー作を残しているWolfert Brederodeであるが,私はこれまで彼のアルバムは購入していないはずである。ECMではSusanne Abbuehlのアルバムに参加していて,今年の5月には彼女に同行して来日もするらしい。そんなWolfert Brederodeを今回が初聞きとなる私にとっては,"Black Ice"というタイトルからして興味津々というか,それからしてECM的な響きを期待してしまったのだが,その期待は裏切られることはなかった。

オランダ出身のWolfert Brederodeが今回のトリオを結成したのは2014年らしく,今回の作品がこのトリオにとってのデビュー作となるが,トリオ録音というのが,これまでWolfert BrederodeがECMからリリースしていたアルバムにはクラリネットが加わっていたことと異なる要因となる。そして,この作品だけを聞いていると,この音楽はピアノ・トリオで奏でられるべき演奏だと思えた。つまり成功である。ここで聞かれる静謐で清冽といういかにもECMレーベルとしての響きを見事に体現したものとなっているのである。最近のECMレーベルの作品だけでなく,優秀なエンジニアとして紹介されることの多いStefano Amerioによる録音も,このアルバムのイメージを作り上げるのに大きく貢献していると言ってよいように思う。

静かに展開される「トリオによるインタープレイ」なんていう表現は陳腐そのものであるが,好きな人間にはまじでたまらないのである。美しくも青白く光る炎のような音楽であり,いかにもECM的なアルバム。ECMレーベルによるECMらしい作品として,レーベル・ファンは必聴。点もついつい甘くなり星★★★★☆。Manfred Eicherの美学炸裂である。それにしても今年のECMも良作が続くねぇ。

Recorded in July 2015

Personnel: Wolfert Brederode(p), Gulli Gudmundsson(b), Jasper van Hulten(ds)

2016年4月 6日 (水)

まだまだ007シリーズを見続ける私。

Amazonプライムで007シリーズの映画が無料で見られるようになったことは前にも書いた通りで,その後も見続けている私である。その後見たのが日本ロケも話題になった「007は二度死ぬ」と,Timothy Daltonのボンド役に扮した第1作「リビング・デイライツ」であった。

Photo「007は二度死ぬ」については,日本という国があの当時,海外からどのように見えたのかということが如実に表れていて,面白いやら,赤面するやらって感じであった。一般的にこの映画のボンド・ガールは浜美枝の方がメインのように思われているような気がするが,出演者のクレジットでは若林映子の方が上だったのは発見だったし,印象としても若林映子の方が強いと思うのは私だけではあるまい。いずれにしても,日本側から見直しの要請もあったと思われるが,結局はイメージを覆すところまで行っていない。やっぱり「忍者」なのかねぇ(笑)。

この映画,スペクターの陰謀で米ソの冷戦を煽るべく,米ソの宇宙ロケットを捕獲するというシーンの特撮のしょぼさと言ったらないが,これも時代ゆえ仕方がないが,いずれにしても日本の描写を含めて珍妙と言わずして何と言うって感じである。映画としての荒唐無稽度が上がったとこの辺が端緒だったのかもなぁなんて思ってしまった。ただ,やっぱりねぇ...。あんまり評価できないって感じだなぁ。ただ,今の時代にNancy Sinatraが歌った主題歌を聞くと,結構いい曲だと思ってしまったが。

Living_daylights一方の「リビング・デイライツ」は「消されたライセンス」同様,Timothy Daltonのボンドは結構よかったと思わせる出来になっている。多分,私はRoger Mooreシリーズ後期の荒唐無稽さがあまり好きではないことがあって,こういう比較的シリアスなストーリーを好むのだろうというところではある。それでも雪上シーンなんかはちょっとねぇって気もする。そういうところもあって,Daltonものでは私は「消されたライセンス」の方が好きかなぁって感じではあるのだが,それでも好意的に見られる映画だと思った。

そして何よりも驚いたのが,主題歌をa-haが歌っていたってことである。a-haの起用は正直意外な感じがするが,a-haのような音楽が選ばれる時代だったっていうことであろう。一方のエンディング・テーマはPretendersなのだが,これが全然Pretendersっぽくないのには笑ってしまった。

ということで,音楽的にもいろいろな発見もあって,今後も見続けなゃいかんなぁと思っている私だが,次はちゃんと見たことがない「ダイヤモンドは永遠に」かな。あるいは「黄金銃を持つ男」あたりか。

2016年4月 5日 (火)

Fred Herschのチャリティ・アルバムをもう1枚。

"Last Night When We Were Young: The Ballad Album" Various Artists(Classical Action)

_20160402_2Fred Hersch関連のチャリティ・アルバムはこれまでも2枚,当ブログでご紹介済み(記事はこちらこちら)だが,もう1枚あることは承知していた。それが本作であるが,もはや廃盤状態とは言え,海外のサイトでは結構入手は難しくない。

この作品はFred Herschはプロデューサーを務めており,ピアノも弾いているが,全曲でピアノを弾いているわけではないのが前述の2枚との違いである。だが,魅力的な共演者を招いてのバラッド表現はやはり見逃すことができないと言いたい。Herschがトリオで演じる"Somewhere"やBobby Watsonとやる"Soul Eyes"なんて本当にしびれる出来なのである。

Herschが入っていない曲でも,Dave CatneyがSandra Dudleyをヴォーカルに迎えて弾く"Little Prayer"なんていう素晴らしい曲も入っている。Dave Catneyはヒューストン出身のピアニストらしいのだが,AIDSを発症し,1994年に33歳の若さで亡くなったそうである。しかし,ここでの演奏を知って,私はこの人のアルバムを猛烈に聞きたい気分になってしまった。それぐらいいい演奏である。

Fred Herschのこうしたチャリティ活動は既に25万ドル以上の資金集めに成功しているとのことだが,こうした彼の活動は今後もできるだけフォローし,できるだけサポートしたいと思っている私である。

Personnel: Fred Hersch(p), Drew Gress(b), Tom Whaley(ds), Jane Ira Bloom(ss), Andy Bey(p, vo), Bobby Watson(as), Dave Catney(p), Sandra Dudley(vo), Gary Burton(vib), Toots Thielmans(hca), Oscar Castro-Neves(g), TanaReid<Akira Tana(ds), Rufus Reid(b), Rob Schneiderman(p), Craig Bailey(as), Dan Faulk(ts)>, Leny Andraid(vo), George Shearing(p), Janis Siegel(vo), Phil Woods(cl), Mark Murphy(vo)

2016年4月 4日 (月)

中古で拾ったなかなかスリリングなバリトン・サックスのアルバム

"The Frame" Per Goldschmidt Quartet(Timeless)

_20160402先日,久しぶりにショップをのぞいていて,目に留まったアルバムがこれであった。私はこのブログでバスクラ好きだと言ってきたが,実はバリトン・サックスも結構好きなのだ。だからと言って数多くのアルバムを保有するほどではないからいい加減なものだが,それでもバリトン・サックスの野太い響きを好んでいるのは事実である。

なので,中古盤のコーナーではバリトン・サックスの棚を漁ることが多い私だが,このアルバムのリーダーは全く見たことも聞いたこともなかった。しかし,バックを支えるのがLan Doky,Plaxico,DeJohenetteという魅力的なメンツということもあり,Apple Musicで確認してからとも思ったが,中古盤は買える時に買うのが鉄則(笑)であるから,その場で購入してきた。

それでもって聞いてみたのだが,これがなかなかいい。DeJohnetteの煽りもよく,ソリッドに決めるバリトン・サックスは非常にいい感じである。プロデューサーを兼任するNiels Lan Dokyもハードなピアノ・プレイぶりで,スリリングな響きに貢献している。ここに収められたサウンドを聞いて,そうよ,そうよ,これなのよ,って感じで私は結構ウハウハしてしまったのであった。

収められているのは全曲リーダーのオリジナルだが,"Lonliness"って曲はどこかで聞いたような感じのメロディ・ラインを持つ哀愁ナンバー。こういうのもいいねぇ。スリリングな部分と,こうした哀愁系メロディのコンビネーションもよく,これは結構質の高いアルバムだと思えた。持っていて損はないが,なかなかお目にかからないアルバムなので,ご関心のある方はまずはストリーミングでどうぞ。星★★★★。

Recorded on February 18, 1987

Personnel: Per Goldschmidt(bs), Niels Lan Doky(p), Lonnie Praxico(b), Jack DeJohnette(ds)

2016年4月 3日 (日)

ECMからリリースされた菊地雅章のソロ・ライブが素晴らしい。

"Black Orpheus" 菊地雅章(ECM)

Kikuchi_2まず記事の訂正から。私はこの記事をアップした時に,このアルバムのライナーにクレジット表記がないように書いてしまいましたが,私が見逃していただけでした(酔っぱらっていたわけではないはず...)。大変失礼しました。つきましては,ライナーの記述内容を踏まえ,記事の内容を若干修正させて頂きます。

菊地雅章が亡くなったのは去年の7月のことであったが,彼が2012年10月に東京文化会館で開いたソロ・リサイタルの模様が,ECMレーベルからリリースされ,早くもデリバリーされた。ECMの新譜では未聴のアルバムがまだ残っているのだが,まずはこれを聞くことにした。

このアルバム,スリーブにはAn ECM Productionとあるので,Manfred Eicherがプロデュースしたものではない。Manfred Eicherがどこかでこの音源を見つけてきたか,持ち込まれたものをそのままリリースしたということなのだろう。だが,Eicherがそういう行動を取ったとしても頷けてしまうような,これが素晴らしい音源である。しかし,Eicher自身とJan Erik Kongshaugのミキシングによって,完全にECMの音になっている。YouTubeで見られるこの時の演奏と比べれば,その違いは明らかである。

菊地本人が"Floating Sound and Harmonies"と呼ぶ内省的かつ詩的な即興は,もはや現代音楽的だと言ってもよい。超スロー・テンポで演じられるタイトル・トラックの「黒いオルフェ」の放つ音の深みを聞けば,身じろぎもせずにこの音楽に対峙しなければならないと思わされてしまう。Keith Jarrettも近年,現代音楽的なソロを聞かせることがあるが,私は菊地がここで聞かせる音楽により感動をおぼえる。そして,このリサイタルを聞きに行かなかったことを後悔した。

これは素晴らしい音楽だが,必ずしも多くのリスナーに訴求するものではないだろう。しかし,ここで聞かれるピアノの響きには,耳をそばだてる人も多いはずである。超一流のピアノ作品というのはこういうものだと感じさせる感動的な一作。よくぞリリースしてくれましたとECMレーベルに感謝したくなる作品。凄い。そして素晴らしい。そして改めて菊地雅章という才能を失ったことを惜しいと感じさせる傑作。アンコールの"Little Abi"まで一瞬たりともこちらも気が抜けないし,そういう演奏をした菊地雅章の集中力には脱帽するしかない。星★★★★★。

これならば,Peter Serkinが弾く現代音楽のアルバムと同じぐらいプレイバックしたくなること必定である。

Recorded Live at 東京文化会館小ホール on October 26, 2012

Personnel: 菊地雅章(p)

2016年4月 2日 (土)

Tedeschi Trucks Band@武道館。多少の瑕疵はあっても,この人たちのライブは楽しいねぇ。

Ttb_live_at_budokan

Tedeschi Trucks Bandが来日して,ライブを行うということで,年度始めの会社のイベントをかっ飛ばして日本武道館に行ってきた。管理職としてはあるまじき行為であるが,まぁたまにはこういうこともってことで,許してもらおう(笑)。

前回,彼らのライブを見た時は渋谷公会堂だったから,彼らもメジャーになったもんだと思うと感慨深い。ただ,まだ武道館をフルハウスにするほどではなく,2階のスタンドには空席もあった。しかし,非常に平均年齢の高いオーディエンスが集い,冒頭から総立ち,そのままアンコールまで2時間強ってのは想定外であったが,それぐらい盛り上がったライブであった。ちょっと私にはきつかったが...(苦笑)。

しかし,今回もDerek Trucksのスライドさばきは見事の一言であり,神業とでも言いたいような素晴らしいフレーズを連発していた。そしてSusan姉御のシャウトは更に磨きがかかり,バンドとしても随分と成熟してきたように思う。彼らはライブのダイナミズムを楽しむべきバンドと言ってもよく,ジャム・バンド的なインプロビゼーションも聞かせていた。私としては大いに楽しんでいたのだが,難点を挙げるとすれば,Kebbi Williamsのテナー・サックスである。フリー・ジャズ的なアプローチは全くこのバンドの音楽にフィットしておらず,ソロがつまらないこと甚だしい。Derek Trucksは昔からジャズ曲も演奏したりしていたので,そういう方向性を示すことは否定はしないが,Kebbi Williamsはいかん。どうせやるなら,もっとファンクっぽく吹くべきなのである。それに比べれば,Kofi Burbridgeのフルートなんてうまいものだし,バンドにもフィットしていたのとは大違いである。

ついでにもう一点指摘するとすれば,この人たちの曲は,どれを聞いても似たように聞こえてしまうところがあるのはご愛嬌である。むしろ,中盤で歌ったどブルーズの方が新鮮に響いてしまうところは否定できなかった。しかし,Derek Trucksのスライドの切れ味は本当に素晴らしかったし,Susanが時折聞かせるギター・ソロにもガッツがあって,ライブとして飽きることはなかったので,念のため。

それにしても,Susan Tedeschi,歌うと大姉御って感じなのに,喋りの声は可愛いんだよなぁ。このギャップに「萌え~」となる人も多いのではないかなぁ(爆)。

全体を通せば楽しめたライブであったが,演奏中,やたらに訳の分からん絶叫をするアホなオーディエンスには辟易とさせられた。絶叫や声掛けにもタイミングってものがあるのだが,全くセンスのない客もいたもんだと思っていた。私はやや離れた席だったので,被害は大したことはないが,鬱陶しいと感じていたのは事実であるし,隣にいた聴衆はさぞ迷惑しただろうねぇ。音楽を楽しむのは勝手だが,人には迷惑は掛けないで欲しいもんだ。勘違いも甚だしいのである。

だが,当たり前だが,それはTedeschi Trucks Bandのせいではない。そのアホな聴衆に音楽へのリスペクトが欠けているだけのことである。それが実に情けないと思いながら帰途についた私であった。

尚,画像は武道館で撮影したものだが,スマホでズームで撮った割にはなかなかのショットになっていて,満足,満足(笑)。

Live at 日本武道館 on April 1st, 2016

Personnel: Susan Tedeschi(vo, g), Derek Trucks(g), Kofi Burbridge(p, key, org, fl), J.J. Johnson(ds, perc), Tyler Greenwell(ds, perc), Tim Lefebvre(b), Mike Mattison(vo), Mark Rivers(vo), Alecia Chakour(vo), Kebbi Williams(sax), Elizabeth Shew(tb), Ephrime Owens(tp)

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