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2016年3月31日 (木)

おめでとう!Bar D2 10周年!!

Bar_d2_10th

私が毎度毎度お世話になりつつ,マスターの河上さんから,「これ,お持ちですか?」とチャレンジされ続けている新橋のテナーの聖地,Bar D2が3/31,めでたく開業10周年をお迎えになり,私もお祝いの場に参加させて頂いた。

10周年の場ぐらい,チャレンジはないだろうと思ったのに,今日もPiazzollaでチャレンジされた私だが,まぁそれはそれってことにしたい。このお店のことを知っている人はごく限られた人かもしれないが,私にとってラスト・リゾートのような位置づけにあるお店である。本当にありがとうございますと言いたい。

10年と言わず,これからも更に私たちを啓発して頂きたいと思いつつ,お祝いの席に駆けつけた私であった。本日に限っては,これをかけてよと言ってもハードルが高かったが,私が何かと言えば逃げ込む場所として本当にありがたいお店なのである。

ってことで,マスターの河上さんには絶大なる感謝をしながら,本日のご報告としたい。ジャズ喫茶もしぶとく生き残っているが,訪問頻度からしても,私はこのお店から離れられないって感じなのだ。ってことで,このお店を紹介してくれたマレーシアに行きっぱなしの八木さんにもこの場を借りて感謝しておきたい。

こういう場所を本当にいい店と言う。ありがとう。河上さん。常連の皆さま。そして,八木さんってことで。またすぐにお会いしましょう(笑)。

出張中に見た映画(16/01-02編):その6は「桐島,部活やめるってよ」

「桐島,部活やめるってよ」('12,映画「桐島」映画部)

Photo監督:吉田大八

出演:神木隆之介,橋本愛,東出昌大,大後寿々花,山本美月,松岡茉優

随分間が空いてしまって,印象も薄れつつあるが,NYCに出張した時の復路で見た3本目がこの映画である。印象的なタイトルの朝井リョウの小説は知っていたが未読,映画も未見であったが,これってなかなか面白い。

同一の時間の経過の中で,異なる視点で物語を進行させるというのはシナリオ的に難しい部分もあっただろうが,それがかなりよく書けているということもあり,それで映画の成功は結構約束された部分があると思える。出ている役者陣も適材適所という感じで,キャスティングのうまさもあり,面白い映画になっていた。私はこういう映画(特に邦画)は積極的に見る方ではないのだが,予断なく見なきゃいかん映画もあるねぇと改めて思わされた。星★★★★☆。

ひねりの効いた青春群像映画というところであるが,高校生ぐらいの心理を描いていて,これは結構拾い物と思ってみていた私である。高校生時代の自分だったら,この映画を見てどう感じただろうかなんて思ってはみても,それははるか昔過ぎて想像もつかない(爆)。しかし,山本美月を筆頭に,松岡茉優や橋本愛のような美少女が同級生に揃っていたら,大変だったろうねぇ(笑)。但し,松岡茉優は今の方が絶対可愛いが(きっぱり)。

2016年3月30日 (水)

Oz Noyトリオ@Cotton Club参戦記

Oz_noyOz Noyのトリオのライブを見に,コットンクラブに行ってきた。正直言って,私はOz Noyの演奏をほとんど聞いたことがない。じゃあなんで見に行くんだと聞かれれば,クーポンが出ていて安かったこともあるが,ベース:Jimmy Haslip,ドラムス:Dave Wecklというリズム隊に惹かれてのことと言っても,多くの人は納得してくれるはずである。

今回,ライブを見ていて思ったのは,随分変わったアレンジの曲が多いにもかかわらず,Dave Wecklが完全に「キメ」の部分をこなしていたところであった。この人の頭は一体どうなっているのかとも思えたが,1回リハーサルをすれば,大概の曲を叩けてしまうのかもしれないなぁと思ってしまうぐらい,ビシビシとタイトなドラムスで演奏を煽っていたのが凄い。

オーディエンスも正直,Dave Weckl目当ての人が相当いたようにも思えるが,Oz Noyはじゃあどうなのよと言えば,この人,超絶テクニックというほどではないが,ブルーズ感覚が強いギターを聞かせて,なかなか面白い。だが,私が今回ライブを見ていて思ったのは,ちょっとエフェクターを使い過ぎって感じだろうか。シークェンサーは使い過ぎ,ディレイもやや過剰な感覚があって,ギタリストとしての腕をもっと見せて欲しいなぁと感じていた私である。別に悪い演奏ではないが,いずれにしてもテクニックで勝負する人ではないという感じであった。昔の演奏はWayne Krantz的変態ファンクみたいなところもあったと思うが,今回の演奏には変態感はあまり覚えなかった私である。むしろ,エフェクターの使い過ぎ感によって,変態と思われるのではないかと思っていた。

リーダーがそういう感じなので,ついつい私の眼はJimmy HaslipとDave Wecklに向かったわけだが,Haslipは適切な助演ぶりでなかなかよかった。ブログ/FBのお知り合いのこうぞうさんの情報で,この人のベースは弦が逆張り(6弦ベースだったが,6弦が上に張ってある)になっているとのことで,確かにそうなっていた。昔,私がスペインでギターを買いに行った時に左利きの兄ちゃんが,普通の弦の張り方をしているギターを逆さまに抱えて,右手で逆張りのフレットを押さえながら,左手で完璧にメロディ・ラインを弾くのを見たことがあるが,Jimmy Haslipもそういうやり方でベースを弾くようになったってことなのかなぁと思っていた。それにしても一般的に考えると,絶対できないと思えるが,軽々とやってしまうというのが凄いよねぇ。

それに加えてDave Wecklである。前回,私が彼のドラミングを見たのはMike Sternのバンドだったはずだが,その時も「私が驚いてしまったのがDave Wecklが沈着冷静に見えて,その実は強烈なドラミングを「苦もなく」プレイする姿を披露したことである」なんて書いているが,今回もほとんど同じ印象である。普通にドラムスを叩いているように見えるのに,強烈なグルーブを生み出すこの人,やはり化け物である。

ってことで,ついついリズム隊にばかり気を取られてしまったが,ロック,あるいはブルーズ的なグルーブも示しながら,大いに聴衆を盛り上げた3人であった。CDを販売しながら,サイン会にも出てこないのは,サービス精神に欠けるなぁと思いつつ,演奏にはそこそこ満足して帰った私である。

多分,客席にいたのは坂本龍一だと思うのだが,教授は一体誰を目当てに来たのかなぁと興味深く見ていた私であった。

Live at Cotton Club on March 29, 2016 2ndセット

Personnel: Oz Noy(g), Jimmy Haslip(b), Dave Weckl(ds)

2016年3月29日 (火)

Brad Mehldauの新作は6/3リリース予定。

Blues_and_ballads既にBrad MehldauやNonesuchレーベルのWebサイトで告知されているが,Brad Mehldauのトリオによる新作が6/3にリリースされるようである。アルバムは題して"Blues And Ballads"ときた。収録予定曲は下記の通り。

01 Since I Fell For You
02 I Concentrate On You
03 Little Person
04 Cheryl
05 These Foolish Things (Remind Me of You) (CD Only)
06 And I Love Her
07 My Valentine

録音は2012年と2014年に分かれているが,収録曲では,2012年7月のサントリー・ホールでのライブと3曲かぶっているのが興味深い。私はその時の演奏には若干の違和感をおぼえていただけに,これがアルバムになった時にどう変化するのかというところに興味は集中してしまうと言っても過言ではない。相変わらず,録音からリリースまで結構時間が掛かっているが,いずれにしてもトリオとしてのアルバム・リリースは"Where Do You Start"以来約3年半ぶりということになるから,ファンとしては首を長くしてリリースを待つことにしよう。

2016年3月28日 (月)

超久々のチェコのミュージシャンによるCDのレビュー・シリーズ(3):Bobby Watson入りのLibor Šmoldasのアルバム

"Intuition" Libor Šmoldas Quartet & Bobby Watson(New Port Line)

_20160321チェコのレーベル,New Port LineのプロデューサーPetr Malek氏からいただいたCDのレビューをせねばと思いつつ,2枚目の記事をアップしてから5か月も経過してしまった。本作は前回も取り上げたプラハ出身のギタリスト,Libor ŠmoldasのクァルテットがBobby Watsonを迎えての作品である。前回取り上げた"Dream Time"では落ち着いた印象を与えたLibor Šmoldasが闘将(笑),Bobby Watsonを迎えるとどういうことになるのかというところが最大の関心事である。

余談になるが,私は一度だけBobby Watsonの生を見たことがある。あれは私が在米中の1991年のJVC Jazz Festivalのことだったはずだが,古いNew York Timesの記事を探索すると,あった,あった(笑)。"Be Bop: 40 & Younger"というイベントで3本のサックス・バトルの一人としてWatsonは登場していたのだが,相手としてはChristopher Hollydayが出ていたのは覚えていたが,もう一人はBilly Pierceだったようである。そこで,Watsonは得意の息継ぎなしの奏法で激しいフレージングを繰り出し,あとの2人を完全に圧倒していた記憶だけは鮮明に残っている(ちなみに当該ライブの第2部はラッパのバトルで,そちらはJon Faddis,Roy Hargrove,Wallace Roneyの組み合わせであるが,当然ハイノートの数でJon Faddisの勝ちだったと記憶する)。いずれにしても,Bobby Watsonに抱くのはどちらかと言えば,激しくブロウするイメージなので,相手がLibor Šmoldasだろうが,大して変わらないだろうというのが私の想定であった。

しかし,アルバムを聞いていると,そうした印象とはちょっと異なる感じで,昔のようなブロウの激しさは影を潜めたって感じである。これはリーダー,Libor Šmoldasの音楽性に合わせたって感があるが,それでもフレージングの確かさは健在であり,随所でやっぱりBobby WatsonはBobby Watsonだって感じさせる。本作はそういう意味では,激しさよりも,スウィンギーな感覚さえ覚えさせるような演奏であり,これはこれでかなり楽しめる。

ここに参加している面々は,Bobby Watson以外は全てチェコの人だと思うが,チェコのジャズ・ミュージシャンのレベルも相当高いということが改めてよくわかるアルバムである。星★★★★。

尚,本作とは関係ないが,チェコ・サックス界の「オンドレ君(笑)」こと,Ondrej Stverachekの新作"Calm"のリリース記念ライブが3/21に開催されているので,アルバムもリリース済みもしくはこれからリリースされるということだろう。入手の方法を検討せねば(笑)。また,プロデューサーに相談かなぁ...。

Recorded on April 23 & 24, 2012

Personnel: Libor Šmoldas(g),Bobby Watson(as), Josef Feco(b), Petr Benes(p, rhodse), Tomas Hobzek(ds)

2016年3月27日 (日)

暇さえあれば007シリーズを見続ける私...。

007_2Amazonプライムに加入していると,結構な数の映画をタダで見られてしまうので,「眠狂四郎」シリーズとかを結構見ている私だが,最近,Amazonプライムに「007」シリーズが,最新作「スペクター」を除いて加わって,そもそもこのシリーズ好きの私は,暇さえあれば,PCやTVでシリーズの映画を見ている。そして,Amazonプライムで見られる作品にはご丁寧に旧「カジのノ・ロワイヤル」や「ネバーセイ・ネバーアゲイン」まで加わっているのである。わかっているねぇ,と言いたくなるところだが,まんまとAmazonの思うつぼという感じになっている私である。

これまで見ただけでも「ドクター・ノオ」,「女王陛下の007」,「死ぬのは奴らだ」,「消されたライセンス」といった具合である。これを見ればお気づきだろうが,一応主演男優が異なるものを見ていて,その違いを体感しているところである。正直言って,昔のこのシリーズの映画を見ると,時代を感じさせたり,いかにも予算を掛けてないよねぇと思わせる部分もあるのだが,それでもそれなりに楽しんでいる私である。

Photoいくらこのシリーズが好きと言っても,まだまだ未見の作品(上記4本のうち,「死ぬのは奴らだ」と「消されたライセンス」は初めて見た)もあるわけで,これからもどんどん見たいと思うが,上記4本の中では未見ではなかったものの「女王陛下の007」を久しぶりに見て,シナリオに穴はあると思いつつ,なかなか面白いと思えた。但し,George Lazenbyの演技はねぇ...と思わせるのが難点で,彼のその後の役者人生を物語っていたようにも思える。また,Timothy Daltonの2作も未見だったのだが,「消されたライセンス」もなかなか面白い作品だったと思えた。若かりし頃のBenicio del Toroが悪役の手下として,憎らしい演技をしているという発見もあったしねぇ。

ってことで,これからも何本も見ていくことになるであろうことは間違いないが,こういうサービスなら大歓迎だよなぁ。ってことで,次はPierce Brosnanのシリーズで見ていないものにしてもいいのだが,それはDVDを持っているってことで,日本を舞台にして,今見たら多分笑ってしまうだろう「007は二度死ぬ」を再見することにするか。

2016年3月26日 (土)

Bob Dylanの来日公演には行けそうにないので,ライブ盤で我慢する私(苦笑)

4月に来日して,数多くの公演をこなす予定のBob Dylanであるが,再追加公演まで決まる凄い人気ぶりである。Dylanも気がついてみれば,今年の5月には75歳になるから,もう聞けないかもしれないと思えば,行きたくなるのが人情,それもホール公演ならば,更に行きたくなるのも人情というのは私にも理解できないわけではない。しかし,チケットの値段を見ると私は躊躇してしまったし,これからチケットをゲットすることはないだろう。結局このまま行ってしまうと,私の人生では彼のライブを見るチャンスは極めて可能性が低いということになるだろうが,それを補うためにと言ってはなんだが,機会があるごとにBob Dylanのライブ盤を聞いている私である。本当ならば予習のためにと言えればいいのだが,行けないのが癪にさわるので聞いているってのはちょいと情けない(( ;∀;)。

Real_liveここ数日で聞いたのが,"Hard Rain","Real Live"であるが,今回聞いて,意外にこれっていいのではないかと思ったのが"Real Live"である(「激しい雨」は好きなのが前提...)。英国のロック色の濃いメンツをバックに,結構な有名曲を中心(例外は前作"Infidels"からの2曲だが,あのアルバムは私は相当好きである)に歌っているDylanだが,これは完全にロックである。何てたってギターはMick Taylorだし,キーボードはIan McLaganである。Stonesみたいではないかと揶揄されても仕方ないし,最後に収められた"Tombstone Blues"にはCarlos Santanaまで客演してしまうのである。ロック色が強くなったって当たり前なのである。

それでも,バックが誰であろうが,ロック色が濃くても薄くても,DylanはDylanなのだ。凄い個性だよなぁ。やっぱりこれは来日公演に行っておかないとまずいかなと段々思えてきた私だが,財政的におそらく無理だろうなぁ。はぁ~(嘆息)。くやしいから,ほかのライブもまとめて聞こうっと。まずは「武道館」かなぁ。あるいはブートレッグ・シリーズか。

2016年3月25日 (金)

何とも素晴らしかったBilly Childs@Cotton Club。Laura Nyroの素晴らしさも再認識した私。

Billy_childs_i

Billy Childsの"Map to the Treasure: Reimagining Laura Nyro"は,私が2014年のベスト作の1枚に選んだ傑作(アルバムに関する記事はこちら)だが,それをライブで再現するという試みは既に行われていたものである。実は今年の1月にNYCに出張した際に,Jazz Standardに出演中の彼らを観に行こうと思えば行けたのだが,時間的にちょっと厳しいところがあり,泣く泣く断念したのであった。今回はそのリベンジということになるが,NYCのライブではストリングス付きの豪華仕様だったのに対し,こちらはストリングス抜きの演奏だったのはちょっと残念である。しかし,演奏と歌唱は非常に優れたものだったと評価できる,質の高いライブであった。

今回,Billy Childsが連れてきたのはBecca StevensとAlicia Olatujaという2人の女性ヴォーカリストであったが,既に名の知れているBecca Stevensがいいのは予想できていたが,私がむしろ驚いたのはAlicia Olatujaの方である。世の中にはこんなに歌のうまい人がまだいるのか!というのが正直な感想であった。この人,とにかくうまい。ファルセットだろうが,地声だろうが,ほとんど乱れるところがなく,これは発見だよなぁと思っていた私である。彼女のアルバムはダウンロード・オンリーのようなので,買いたくても買えないというのが終演後のサイン会場での私の思いだったのだが,とにかくこの人は期待できる。よくよく見れば,私が結構評価しているSomiのアルバムにも参加しているではないか。それを聞き直すのも重要だが,まずはApple Musicで聞いてみることにしよう。そう思わせるほど素晴らしい歌手だったのである。

歌手陣のうまさもあったが,今回のライブを見ていて,バンマスとしてのBilly Childsの才覚は認めないといかんとも思っていた私である。もちろん,Laura Nyroの曲をやるという企画段階で成功はある程度約束されていたようなものだが,今回,Laura Nyroの曲とはこれほど魅力的でありながら,非常に個性に溢れたものであったのかと思わせてくれただけでも価値があるライブだった。

今回演奏したのは私の記憶が確かであれば,多分次の通りである

  1. The Confession(vo: Becca)
  2. Save the Country(vo: Becca)
  3. Map to the Treasure(vo: Alicia)
  4. Upstairs by a Chinese Lamp(vo: Alicia)
  5. Stoned Soul Picnic(vo: Alicia & Becca)
  6. And When I Die(Encore)(vo: Becca)

2人のヴォーカリストの各々聞かせどころを分かった歌いっぷりに感心した私だが,ノリという点ではやっぱり"Stoned Soul Picnic"だよねぇ。リードを取るAliciaに,ハモるBeccaのコンビネーションもよかった。彼女たちをバックで支えるバンドも好演。ちょいとドラムスのDonald Barrettが叩き過ぎかなぁって気もしたが,"Stoned Soul Picnic"あたりでは丁度良く聞こえるから不思議なものである。Billy ChildsはHerbie Hancockのようなフレージングを連発して盛り上げていたのも楽しかった。ということで,大いに楽しんだ私だが,今回はCotton Clubがクーポンを出しまくった効果もあり,ほぼフルハウスで盛り上がったのはよかったと思う。そうは言っても,私の隣に座っていたオーディエンスは,彼らがLaura Nyroの曲をやっているということさえ認識していなかったようだが...(苦笑)。

ちなみに今日の戦利品は3枚あるのだが,取り敢えず"Map to the Treasure"1枚だけアップしておこう。

Live at Cotton Club on March 24, 2016 2ndセット

Personnel: Billy Childs(p), Becca Stevens(vo), Alicia Olatuja(vo), Peter Sprague(g), Ben Shepherd(b), Donald Barrett (ds)

_20160325_2

2016年3月24日 (木)

Mavis Staplesの新作は悪くないんだけど...。でもアルバム後半はかなりいいと思う。

"Livin' on a High Note" Mavis Staples (Anti-)

Mavis_staplesなんだかんだ言って,Mavis Staplesのアルバムが出ると買い続けている私だが,私の中ではRy Cooderとやった"We'll Never Turn Back"の印象が強過ぎて(同作に関する記事はこちら),その後のアルバムは,決して悪くないとしても,"We'll Never Turn Back"ほど評価できない作品という感じになってしまっているのはちょっと残念だ。WilcoのJeff Tweedyとやった作品が2作続いたが,結局前作は買わなかったはずだし,購入した前々作も本ブログには記事をアップしていない。それほど,私にとってはRy Cooderとのコラボが凄過ぎたのだ。

今回はJeff Tweedyとのコラボではなく,Mavis Staplesを敬愛するであろうミュージシャンたちによる書き下ろし作を歌った作品となっている。そうした事実により,Mavis Staplesという人のアメリカ音楽界における立ち位置がわかるわけだが,今回曲を提供している人たちは,私は不勉強ゆえ,すべての人について認識しているわけではないが,決して超メジャーな人ばかりではないと思う。しかし,相応のリスペクトを以て,今回の曲提供に至っていると思うので,その志は認めなければならない。

プロデュースはShe & HimやMonsters of Folk等で活動するM. Wardが務め,ほとんどの曲に参加もしている。私はこの人についても全く知識がないので,どういうミュージシャンなのかも知る由はないが,今回のライター陣は彼の人脈も反映されたものなのかもしれない。

それでもってこのアルバムであるが,どうも前半はピンとこないのだが,中盤を過ぎた辺りから,魅力的に響くようになってくる。これがLPだったら,B面しか聞かないって感じなのである。これは私のサウンドへの嗜好との合致度による部分もあるだろうが,私はアルバム後半のような曲が揃っていたら,もっと高く評価しただろうと思わせる。だからこそちょっと惜しいのだが,それでもこれは傑作とは言わずとも,悪くはない。アコースティックな響きと,エレクトリックな部分のブレンド具合もいいし,ルーツ・ミュージック的な感覚で聞くと,そこそこ評価してもいいだろう。

結局のところ,私にとっては,Mavis Staplesの音楽を聞くときの基準が"We'll Never Turn Back"であるところに,Mavis Staplesの不幸があると言っては言い過ぎかもしれないが,そう思わされてしまうというのが現実なのである。本作については前半星★★★,後半星★★★★で,トータルで星★★★☆ってところだろう。

Recorded between August 17-30, 2015

Personnel: Mavis Staples(vo),M.Ward(g, org, synth, vo), Rick Holmstrom(g), Jeff Turmes(b), Stephen Hodges(ds), Donny Gerrard(vo), Vicki Randle(vo), Sean Billings(tp), Nathaniel Walcott(tp, clavinet), Alex Budman(ts), David Moyer(bs), Humberto Luiz, Jr.(tb), Tucker Martin(tb), Trombone Shorty(tb solo)

2016年3月23日 (水)

Piazzolla芸術極まれりと思えるハイ・テンションのライブ

"Tristeza de un Foble A" Astor Piazzolla y su Quinteto Tango Nuevo (Messidor)

Aa私はAstor Piazzollaの熱心な聞き手という訳ではないが,それでも彼の"Tango: Zero Hour"には心底痺れているのは事実である(同作に関する記事はこちら)。それがあまりに物凄い緊張感を持った音楽であるため,そんなしょっちゅう聞こうとは思わないのだが,先日,いつもお邪魔している新橋のテナーの聖地,Bar D2で突然この作品がプレイバックされて,マスターにまたもチャレンジされたって感じになってしまった(笑)。とにかく,このアルバム,冒頭の22分に及ぶタイトル・トラックが強烈で,正直言って,これ一曲のためだけに手に入れる価値があると感じてしまった。ということで,いつものように,私が廃盤となっている本作の中古盤を求めてネットを徘徊の上,クリックして発注したのであった(爆)。

そして,海外のセラーから届いたこのアルバムを改めて聞いたのだが,アルバム全体を通じて素晴らしい出来であることは紛れもない事実であるが,それでも本作はタイトル・トラックこそが白眉と言ってもよいだろう。Piazzollaのソロからアンサンブルに転じていくが,ここで聞かれるPiazzollaのソロを名演と言わずして何と言うか?という感じである。それは聴衆の熱狂的な反応からも明らかだろう。

更に,バンドとしての緊密性も高く,いつものようにテンションが高い。本作が吹き込まれたのは"Tango: Zero Hour"と同年ということになるが,この年,Astor Piazzollaの創造力はほとんどマキシマムになっていたと思わざるをえない傑作ライブ。いやいや,それにしても凄いや。ってことで,星★★★★★しかあるまい。こんな作品が3年前に国内で再発されても,今や入手困難というのは悲しいねぇ。まぁ,大した枚数も売れないのだろうが,こういうのは文化遺産として常に聞けるようにしておく必要があると思うなぁ

Recorded Live at Konzerthaus, Vienna in November 1986

Personnel: Astor Piazzolla(bandoneon), Fernando Suárez Paz(vln), Pablo Ziegler(p), Horacio Malvicino(g), Héctor Console(b)

2016年3月22日 (火)

Milesバンド出身者を中心に繰り広げられたトリビュート・ライブ

"Endless Miles: A Tribute to Miles Davis" Various Artists(N2K Encoded Music)

Endless_milesこれは1998年5月にNYCのBirdlandで行われたMilesへのトリビュート・ライブの実況盤である。このライブ,結構豪華なメンツと言えばそう言えなくもないが,例えばHerbie HancockやWayne Shorterのような超大物が入っていないので,どうしても印象は地味になってしまう。だが,私がもしこの時NYCにいたら,きっと行きたくなるようなライブだっただろうなぁと間違いなく言えるぐらいのメンツは揃っている。

アルバムに収められた全8曲のうち,6曲はアコースティックで演奏され,エレクトリックで演奏されるのはAdam HoltzmanとRobert Irving, IIIの二人が参加した"In a Silent Way"と"Tutu"のみである。

私としてはこのアルバムはDave LiebmanとBob Bergの参加が気になるところであるが,彼等も2曲ずつの参加に留まるので,多くを期待してはいかんということはわかっている(とは言え,Liebmanの存在感はかなり強烈)。そして,この作品を聞いていて思うのは,相応の実力者が揃っているので,ソロはかなりよいと言えるのだが,アンサンブルのパートはやはり急造の組み合わせって感が否めない。だから全面的に支持することはできないが,ライブの場にいたならばそれなりに楽しめた演奏だと思う。それをCDとして鑑賞してしまうと,荒っぽさが出てくるのは仕方がないことのように思えるのである。

ラッパについては相変わらずのMilesクローンぶりが目立つWallace Roneyがほとんどの曲で吹いているが,それはそれでいいとしても,Randy Breckerが"Walkin'"1曲というのはちょっともったいない気がした。ソロがかなりカッコいいだけに更に惜しい気がする。

しかし,どんなにメンツが頑張っていようと,私がこのアルバムをプレイバックしたのは非常に久しぶりのことであったし,ここでの演奏を何度も聞くぐらいなら,Miles Davis本人の演奏を聞いていればいいって話である。これはあくまでも「ライブならではのイベント」なのであって,私はやはりCDで聞くべきものとは思えないのである。聞きどころがないわけではないが,中途半端さは否めないというのが正直なところ。星★★★が精一杯だろう。

Recorded Live at Birdland NYC on May 26, 1998

Personnel: Don Alias(perc), Geri Allen(p), Bob Berg(ts), Randy Brecker(tp), Mino Cinelu(perc), Jimmy Cobb(ds), George Coleman(ts), Folley(el-b), Al Foster(ds), Adam Holtzman(key), Robert Irving, III(key), Dave Liebman(ts), Harold Mabern(p), Gary Peacock(b), Antoine Roney(ts), Wallace Roney(tp), Lenny White(ds), Buster Williams(b)

2016年3月21日 (月)

「ヘイトフル・エイト」:面白いんだが,エグい表現が多いので見る人は注意が必要だなぁ。

「ヘイトフル・エイト("The Hateful Eight")」('15,米,Double Feature)

Hateful_eight監督:Quentin Tarantino

出演:Samuel L. Jackson, Kurt Russell, Jennifer Jason Leigh, Walton Goggins, Tim Roth, Michael Madsen, Bruce Dern, Channing Tatum

Quentin Tarantinoの映画は前作「ジャンゴ 繋がれし者」が非常に面白かったから,今回も期待して見に行ったものだが,まぁこれはR18+になっても仕方ないと思わせるエグい描写連発の映画である。だが映画としては非常に面白い。描写のきつさゆえに後味がよくないだけである。

この映画,懐かしの70㎜で撮られているのに,日本ではその上映環境がないとのことで,デジタルの短縮版による上映しかないというのはいかがなものかって気がする。映画というのは基本劇場で見るべきものだと思っている私のような人間は,特に今回のデジタルによる短縮版公開にはやはり異議を唱えるべきだと思う。まぁ,そうは言っても,環境が整っていないのだから仕方がない。だが,それは置いておいても楽しめることは間違いない。

そもそも冒頭のロング・ショットからしてワクワクするような出だしである。こういうシーンを見ると,Tarantinoはわかってるねぇって思いたくなるが,映画として章立てをしながら展開していくところは劇作的である。この映画を見ていて思ったのは,演出,シナリオ,演技,そして音楽が相俟って映画は構成されるということである。当たり前のことであるが,いずれかの要素が欠落した映画が最近なんと多いことか。

映画としてみれば,私は前作「ジャンゴ 繋がれし者」の方が優れているとは思うが,これはこれで十分楽しめる映画である。但し,エグさ炸裂ゆえ,多くの人には勧めにくいだけである。星★★★★。

2016年3月20日 (日)

Michel Benitaのアルバム:最近こういう音楽はECMではあまり聞いていないような...。

"River Silver" Michel Benita Ethics(ECM)

Michel_benitaこのアルバム,非常に面白い。まず,バンドの編成がフリューゲルホーン,箏,ギター,ベース,ドラムスなのだ。これからしてどんな音が出てくるかと思うが,箏はことさらオリエンタルな響きを出すというよりも,もう一本の弦楽器,あるいはバックに回ると,シンセの代替的な感じがする。だから,箏が入っているからと言って,身構える必要は全然ないような音楽なのだ。

曲は決してハードではないのだが,決して古臭さを感じさせない,コンテンポラリーな感覚を持っている。そして,サウンドはアルバム・タイトルからも感じさせるように,緩やかな川の流れのようでもある。起伏は激しくなくとも,それに身を任せていれば時間が経過していくような音楽と言えばよいだろうか。

昔だったら,ECMレーベルには結構こういうタイプの音楽があったように思えるのだが,昨今ではこうした感じの音楽が少なくなったいたようにも思える中で,なんとなく懐かしささえ感じさせると言っては言い過ぎか。それでも,このレーベルの音楽を好むリスナーにとっては,こうしたサウンドは全然抵抗がないはずだ。私なんかにとっては,ある意味心地よささえ感じさせるものと言っても過言ではない。特に,Matthieu Michelのフリューゲルは本当に心地よい。メロディ・ラインもある程度しっかりしているので,アンビエントという感じでもないが,それでもアンビエント的なところも感じさせるという実にユニークな音楽だと思う。

いつも書いているようなことになるが,ジャズにスリルを求めるリスナーにとってはなんじゃこれは?にしかならないが,心を広く持てば,こういう音楽は十分楽しめるし,心に穏やかさを与えてくれる。そんな音楽である。ちょっと甘いが,私の好みと合致していることもあり,星★★★★☆としてしまおう。

尚,7曲目のタイトルは「八月」のことと思うが,"Hacihi Gatsu"と記述されているのはご愛嬌。

Recorded in April 2015

Personnel: Michel Benita(b), Matthieu Michel(fl-h), Mieko Miyazaki(箏), Eivind Aarset(g, electronics), Phillipe Garcia(ds)

2016年3月19日 (土)

今も現役で頑張るDepeche Modeの3rdアルバム。

"Construction Time Again" Depeche Mode (Sire/Mute)

Depeche_mode年度末の飲み会続きで,記事の更新をサボってしまった。毎夜毎晩飲んだくれていては音楽を聞く余裕がないのも当たり前だが...(苦笑)。

現在も現役でバンドとしての活動を続けるDepeche Modeであるが,決して「昔の名前で出ています」ではないところが凄いねぇ。しかも欧州においては相当の人気バンドである。正直なところ,私は本日アップするこのアルバムと前作"A Broken Frame"ぐらいしか彼らの音楽は聞いたことがないのだが,彼らの音楽の持つややウェットな感覚が欧州で受けるのかなぁなんて思っている。

私の中では前作の音楽が彼らの音楽に対する印象を形成したと言ってもよいが,80年代前半の音楽としては,実は結構記憶に残っている。Depeche Modeの音楽については,大学の後輩からアルバムを借りて聞いたのが最初だったと思うが,実はその時に一緒に借りたのがCulture Clubの"Kissing to Be Clever"だったはずだ(あれも好きなアルバムだった...)。そういう時代だったのである。

Depeche Modeについてはその創設メンバーに,後にYazooを結成するVince Clarkがいたわけだが,彼がここにいたらどうなっていたかを想像すると面白い。だが,私にとってはDepeche Modeの音楽の個性を成り立たせているのは,あくまでもDave Gahanのいかにもニューウェイブ的なヴォーカルって気がするので,Vince Clarkeがいようがいまいが,実は関係ないって話もあるのだ。

そうした中で,このアルバムは前作を上回るほどの印象を与えないのは,曲の魅力が前作レベルに達していないということが大きいようにも思える。この後のアルバムは聞いていないので,一体彼らがどういう音楽をその後展開したかは,今後Apple Musicで確認することにしようと思うが,久しぶりに聞いてみてもやっぱり彼らはイギリスのバンドだなぁって印象が強かった。ってっことで,何を言いたいのかよくわからない記事を書いてしまったが,本作だけを評価するならば星★★★★ってところだろうなぁ。と言っても,"A Broken Frame"も久しく聞いていないので,今聞いたらどう思うのやら...。

Personnel: Dave Gahan(vo), Martin Gore(g, key, vo), Andrew Fletcher(key), Alan Wilder(key, ds)

2016年3月16日 (水)

Doug Raneyの初リーダー作:これって,昔よく聞いたなぁ

"Introducing Doug Raney" Doug Raney(Steeple Chase)

Doug_raneyこのアルバムは学生時代,よく通ったジャズ喫茶で聞いて気に入ってしまい,アルバムを購入したのだと記憶している。LPを買ったのは石丸電気だったかなぁ...。

Doug RaneyはJimmy Raneyの息子であるが,やはり血は争えないってことなのかもしれないが,弱冠21歳で吹き込んだこの作品で聞かせるギターは,そんな若輩による音楽には全く聞こえない。よほど父の教育が行き届いていたと思える出来なのだ。まぁ,彼を支えるのはベテラン陣であり,やっている曲もよく知られたスタンダードやジャズ・オリジナルであるから,そういう印象が強まるかもしれないが,私は冒頭の"Mr. P.C."を聞いて,ジャズ喫茶で演奏されているLPのジャケをチェックしたはずだと確信させるぐらい,当時の私の耳を捉えてしまったと言ってもよい。

いずれにしても,この淀みないフレージングは見事だと思えるし,今もなおカタログから消えていないのはこのアルバムのファンが多いということの証ではないだろうか。テンポの速い,遅い関係なく,見事な演奏を聞かせる素晴らしき初リーダー作だと思う。だからと言って,その後,私は彼の音楽を追い続けたわけではなく,彼のアルバムで保有しているのはこれ一枚だけなのだが,それでも私の手許から亡くなることは一度もなかった。好きなのである。ってことで,これも久しぶりに聞いたのだが,やっぱりいいアルバムである。星★★★★。

何もLPで聞かなくても,Apple Musicでも聞けるのだが,LPをひっくり返すこともしたくて,LPで聞いた私である(笑)。それにしても,Doug Raneyも今年で還暦かぁ...。月日の経つのは早いねぇ。

Recorded on September 28 & 29, 1977

Personnel: Doug Raney(g), Duke Jordan(p), Hugo Rasmussen(b), Billy Hart(ds)

2016年3月15日 (火)

Marc Johnsonのアルバムにははずれがないねぇ。

"Magic Labyrinth" Marc Johnson's Rignt Brain Patrol(JMT)

Magic_labyrinthこれも棚から引っ張り出してきて久々に聞いたアルバムである。Marc Johnsonがリーダーとしていい仕事をしているのは,"Bass Desires"の時からわかっていることだったが,その後に出てくるアルバムにも駄作がないというのは立派である。ただ,惜しむらくはちょっと地味(苦笑)。だから,もっと世間に知られてもいいにも関わらず,ほとんど知る人ぞ知るみたいになってしまっているのは残念なことである。コアなファンがついているECMレーベルの作品や,Pat Metheny参加という要素が効いた"The Sound of Summer Running"は例外になるが,Right Brain Patrol名義のアルバムも見逃すには惜しい作品だと思える。

これはRigh Brain Patrol名義の第2作で,初作はギターが最近何かと話題のBen Monderであったが,本作ではWolfgang Muthspielに交代している。Muthspielとの共演はその後も続くので,相性のよさってのもあるのだろうが,ここでもいい感じのコンビネーションを示している。

本作はストレートなジャズではなく,ワールド・ミュージック的な要素も感じさせる作品ではあるが,冒頭に"Bass Desires"にも収められていた"Samurai Hee-Hoe"で幕を開けて,まずおぉっ!と思わせるが,その後の展開は一筋縄ではいかない。3曲目には"Solar"が収められているが,これが"Solar"を全く感じさせない演奏となっているし,Muthspielがアコギを握ると,スパニッシュ的なフレイヴァーが出てくるといった具合なのである。そうしたサウンドを良しとするか否かによって,この音楽への評価は分かれると思うが,私にとっては好物と言ってよい展開である。

いずれにしても,冒頭に書いたとおり,Marc Johnsonのリーダー・アルバムには失望させられることがないという事実を改めて感じさせるものである。結局のところ,これはMarc Johnsonの音楽的な才能の表れに他ならないということだと思える。大したベーシストであり,大したミュージシャンなのだ。ということで,"Bass Desires"との比較においては星★★★★ぐらいだと思えるが,オマケでもう半星つけてもいいくらいというのが私の正直な思いである。

Recorded in June, 1994

Personnel: Marc Johnson(b), Wolfgang Muthspiel(g, g-synth), Arto Tunçboyaciyan(perc, ds, vo)

2016年3月14日 (月)

今年劇場で見た2本目は「マネー・ショート」:これが実に面白い。

「マネー・ショート 華麗なる大逆転("The Big Short")」('15,米,Plan B/Paramount)

Big_short監督:Adam McKay

出演:Christian Bale,Steve Carel,Ryan Gosling,Brad Pitt

今年劇場で見た映画の2本目がこれである。先日のオスカーでは最優秀脚色賞を獲得したが,それにもうなずける作品で,非常に面白く,2時間10分の上映時間があっという間に過ぎていく。

米国におけるサブプライム・ローンの焦げ付きがリーマン・ショックを生んだのは2008年9月のことだったが,丁度私は出張中の欧州において,リーマン・ブラザースの破たんを知ったのであった。その当時の世相を描いていて,金融業界に関わる人間としては,多少のデフォルメがあったとしても,笑いながらも襟を正して見なければならない映画だと思える。いずれにしても,当時の米国金融業界が完全にバブル化していたことが,強烈な皮肉を以て描かれていて,彼らが日本のバブル崩壊から何も学んでいなかったことがわかるのだ。

金融の知識がなくても,なぜそれがバブルだったかをちゃんと仕掛けがわかるように説明している(と言っても,若干MBSとかCDSとか,一般の人にはわかりにくい金融用語が出てくるが,苦になるほどではない)から,難しいことは考えなくても十分に楽しめる映画になっているのがよい。また,銀行を徹底的に強欲な悪者に描いていることには,見ていてすっとする人も多いのではないか。銀行勤務経験があり,現在も金融機関をクライアントとする私としては,微妙なところもあるのだが,まぁエンタテインメントとして割り切って見れば腹も立たない。

私は,深刻に描こうと思えばいくらでも深刻に描ける映画を,笑いのセンスをまぶして描くというところが何とも言えず好きだし,この映画を高く評価したくなる理由である。久々に邦題に「華麗なる...」なんて表現を見たが,それは置いておいてもこの映画は一見の価値がある作品である。ってことで,ちょっと甘いとは思いつつ,大いに楽しませてもらったので星★★★★★としてしまおう。まじでこれは面白い映画であり,金融に関わる人間こそ見なければならないと思わせる作品。

2016年3月13日 (日)

最近新譜の記事をアップしていないなぁってことで,今日はAvishai CohenのECM作。

"Into the Silence" Avishai Cohen(ECM)

Into_the_silenceAvishai CohenがECMからリーダー作をリリースすると想像した人はあまりいないのではないかと思えるが,それをリリースしてしまい,かつそれがECM色に染まっているってのが凄いと思わされたアルバムである。

そもそもこのアルバムを聞いて,私はAvishai Cohenってこんな音楽をやる人だったっけ?と思ったというのが最初の正直な感覚であった。私は彼の"The Trumpet Player"の印象が強いのだが,それとは全く異なる響きなのである。"The Trumpet Player"が切れ味鋭いラッパだとすれば,こちらは随分と渋くも静謐な音楽なのである。プロデューサー,レーベルが変わるとこうも変わるのかと思いたくもなるのが人情だが,これはこれで非常にいいアルバムである。私はAvishai Cohenの音楽を追いかけているわけではないので,日頃の音楽との落差がないとは言い切れないが,先入観なしで,単独で聞いてもいいアルバムであるということは間違いない。特にECMレーベルの音楽を好むリスナーにとっては訴求力が高いはずである。

参加メンバーも相応の好演を聞かせるが,中でもYonathan Avishaiの美しいピアノが印象的。この人を私は初めて聞いた(はずだ)が,世の中にはまだまだ未知の実力者がいるなぁと思わされた(私が知らんだけだが...)。ドラムスのNasheet WaitsはAvishai CohenとはTriveniでも共演しているので,よほど相性がよいと見えるが,サトルなドラミングで応えている。

やはりこれがManfred Eicherのマジックかと思わせる部分もあるが,予想以上にECM的なAvishai Cohenのアルバムと言ってよいように思う。だからこそ私は点が甘くなるところであるが,星★★★★☆としてしまおう。全くタイトル通りの"Into the Silence"とでも言うべき音。Manfred Eicher,恐るべし,ECM,恐るべしである。

Recorded in July, 2015

Personnel: Avishai Cohen(tp),Bill McHenry(ts), Yonathan Avishai(p), Eric Revis(b), Nasheet Waits(ds)

2016年3月12日 (土)

こんなんもありました:Andy Summersのインスト・フュージョン作

"The Last Dance of Mr. X" Andy Summers (RCA)

Andy_summersCDラックやクロゼットから引っ張り出してきてCDを聞く機会が多くなった私が先日の10CC/Godley & Cremeに続いて聞いたのがこのアルバムである。冒頭の"Big Thing"(この曲だけメンツが異なっている)は聞き覚えがあると思ったら,アルバム"Charming Snakes"(同作に関する記事はこちら)にも収録されていた曲である。どおりで...(笑)。

私はAndy Summersのアルバムは何枚か保有していて,それはPoliceのアルバムの数より多い(爆)。Policeを解体してからのAndy Summersはフュージョン系の演奏を展開してきたが,このアルバムもその路線である。ギター・トリオでSummersのオリジナルと,結構知られたジャズ・チューンを演奏している。Policeという稀代のロック・バンドで隆盛を極めたAndy Summersであるから,金は十分に稼いだんだろうが,その後は完全に自分のやりたいことをやっているって感じがして,これはこれでありだよねぇと思ってしまう。だからと言って,CDがセールスに結びつくわけではないのは当たり前だが,結構クォリティはどれも悪くないので,私なんかはついつい買ってしまうのである。

このアルバムもジャズ曲を渋くやってしまっているので,数多くのリスナーに訴求するってことにはならないだろうが,これも無視するには惜しいような作品。だが,私がこのアルバムを一体これまで何回聞いたのか?と家人に問われれば,答えに窮してしまうこと必定。こういうのが多過ぎるから,顰蹙を買うのである。だって,よくよく見たらiPodにも突っ込んでいないのだから,保有していることすら忘れていたと言われても仕方がないのである。

だが,Andy Summersのギターで聞くHorace Silver作"Lonely Woman"などは非常に味わい深いし,彼が好きなMonkやMingusに加えて,"Afro Blue"やWayne Shorterも2曲やっているということで,ジャズ色は結構濃いのである。誰にでも勧めるってわけではないが,ギター・アルバムが好きなリスナーなら全然問題なく受け入れられる作品だと思う。ちょっと甘いと思いつつ星★★★★。

Recorded on January 20-28, and May 19(Track 1), 1997

Personnel: Andy Summers(g), Tony Levin(b), Gregg Bissonette(ds), Jerry Watts(b on 1), Bernie Dresel(ds on 1)

2016年3月11日 (金)

出張中に見た映画(16/01-02編):その5は「劇場版 MOZU」だが,これが実にくだらない。

「劇場版 MOZU」('15,東宝)

Mozu監督:羽住英一郎

出演:西島秀俊,香川照之,真木よう子,ビートたけし,伊勢谷友介,松坂桃李

NYC出張からの帰路で見た映画の2本目がこれである。私は逢坂剛の小説は結構好きで,イベリア・シリーズ,禿鷹シリーズともども,百舌シリーズも全部読んでいる。小説の出来,不出来はあるが,エンタテインメントとしての面白さは評価している。だから,百舌シリーズがドラマ化された時には見ようかなぁなんて思っていたが,やっぱりTVドラマは見る根気がなく,全然見ないままだったので,この映画が百舌シリーズの映像版としては初めてのものとなったのだが,これがまったくの愚作であった。

この映画の無茶苦茶さはシナリオのいい加減さに顕著である。ビートたけし演ずるダルマの訳のわからなさを強調するための無理なストーリー展開が目立ち,また,TVシリーズからの継続という要素はあるものの,あまりにも唐突な池松壮亮や長谷川博己の登場の仕方には失笑さえもらした私である。製作サイドは,海外ロケも敢行して,それなりに金を掛けましたって言いたいのかもしれないが,このストーリーでは資金を投じること自体が無駄と言わざるをえない。このくだらなさは以前酷評した「藁の楯」といい勝負と言ってもよいかもしれない。

大体,西島秀俊は倉木警視の役どころではないと思うのは私だけではないはずである。いずれにしても,逢坂剛の小説のファンには決して薦めたくない映画というのが私の結論である。久々に見ていて腹が立ってきた映画であり,こんな愚作は無星に近い星★で十分だ。時間の空費にしかならない。あっ,機内エンタテインメントってそれでいいのか...(爆)。

2016年3月10日 (木)

追悼,Nana Vasconcelos

Nana

4月にEgberto Gismontiとのデュオでの来日を控えていたNana Vasconcelosが急逝したとのニュースは本当にショックである。この二人でのライブなんて二度と見られないだろうと言う期待のもとに早くからチケットの予約をしていた私だが,結局そのライブには接することができないことになった。死因は肺癌だったということだが,あまりの突然の死には言葉も出ない。今,滅多に聞かないNanaのECMでのリーダー作を聞いているが,ライブの前に聞こうなんて思っていたら,その前に亡くなってしまうとは何とも皮肉である。

ライブにおける彼らの共演を心待ちにしていた人は多いに違いなく,私もその一人だっただけに,惜しい。何とも惜しいと言わざるをえない。4月の公演は予定通りなのかも心配になるが,やるならばGismontiにはしっかりと追悼演奏を繰り広げてもらいたい。そして,きっとEgberto Gismontiなら間違いなくそうするだろう。

この訃報に接し,思わず大きなため息をついてしまった私である。

R.I.P.

2016年3月 9日 (水)

CDラックを漁っていたら出てきた懐かしの10CC/Godley & Cremeのベスト盤

"Changing Faces: The Best of 10CC and Godely & Creme" (Pro TV)

Changing_faces最近は自室のオーディオ再生環境が整って(と言っても家人の手前,ボリュームは上げられないが...),iPodに依存する生活にも変化が生じ,LPやCDを再生する機会が増えた。そうすると,CDラックの探索に入って,懐かし盤を見つけるとついつい聞いてしまうというようなことが結構な頻度で発生している。これもそんな一枚である。

私がこのアルバムを買ったのはロンドンに出張中の1988年の後半のことではないかと思う。私のロンドン出張は1988年9月に3週間,12月前半から翌年1月初旬にかけての約5週間の都合約2か月に及んだのだが,9月はホテル住まい,12月から1月はキッチン付きのフラット(1ベッドルームだったが,ベッドルームは年長者に譲り,まだ若輩の私はソファベッドで寝ていた)で結構自炊していたという出張であった。期間が短くはないので,決して楽な出張だった訳ではないが,夜は比較的時間的な余裕があったので,ライブにも結構行けたのである。9月の出張ではTennstedtがLPOを振ったシューベルトの"Great"やRobert PalmerのHammersmith Odeonでのライブにも行ったし,12月にはライブ録音も残っているTennstedt/LPOのマーラー5番を聞けたのは実にラッキーだった。"Great"なんてオケの後ろの席だったが,当時の入場料は£2.90(確か700円ぐらいである)という,薄給の若手サラリーマンにとっては天国みたいな値段だったのだ。

それに加えて,休みの日には美術館に行ったり,CDを買いに行ったりと,結構出張者ライフを楽しんでいたが,ほかにもいろいろなCDを結構な安値で買ったような気がする。このアルバムを買わなくても,10CCの曲は日本でもヒットしていたから,私も知っていはいたのだが,アルバムはライブ盤LPを除けば保有していなかったので,CDで振り返るには丁度いいやと思って買ったはずである。しかし,今にしてみれば,10CCと袂を分かったGodley & Cremeの曲と混在するベスト盤が出たってのも凄いことのように思えるが,ここに入っている2つのグループの曲が違和感なく混在しているのである。

彼らのファンからすれば,全然違うわと言われてしまうかもしれないが,私の中ではこのアルバムに入っている曲が一体感を持つように感じさせるのである。まぁ,10CCの曲の多くはGodley & Cremeが在籍中のものが多いから一体感があっても当たり前と言えば当たり前の話だが...。結局はこのアルバムの内容を「擦り込まれて」しまっているってことだが,私はここの曲をどれが10CCだとか,どれがGodley & Cremeだとかという聞き方はしたことがないのだ。よくよく聞けば,やっぱり違うよなぁとは思うが,いずれにしてもいい曲が揃っているなぁと改めて思ってしまった。

今でも10CCは現役でやっているが,彼らのライブにおいて結構私も歌えてしまったのは,このCDのおかげって気がする。それぐらい,昔はよく聞いていたことをついつい思い出してしまった。久々にこのアルバムを聞いて,やっぱりiPodだけに依存していてはいかんと反省した私である。星★★★★☆。

2016年3月 8日 (火)

出張中に見た映画(16/01-02編):その4は「スティーブ・ジョブズ」

「スティーブ・ジョブズ("Steve Jobs")」('16,米/英,Universal)

Steve_jobs監督:Danny Boyle

出演:Michael Fassbender,Kate Winslet,Seth Rogen,Jeff Daniels

暫く間があいてしまったが,これは先日のNYC出張の復路で見た1本目である。不思議なことに日本語字幕が出ない(設定されていない)ということで,結構集中力を要すると思いつつ,1本目なら何とかなるだろうということで結局見ることにした。恐ろしくセリフ量が多いので,正直まいったが...(苦笑)。

2013年にもAshton Kutcher主演で映画が作られたSteve Jobsであるが,今回Jobsを演じるのはMichael Fassbenderである。今回はJobsによる3回のプレゼンを軸に映画が描かれていて,2013年版のように,彼の人生を振り返るなんてモードにしなかったのは正解である。これは脚本のうまさである。そして,上述の通り,恐ろしくセリフの量が多く,主演のMicheal Fassbenderの頑張りが光っていた。今年のオスカーではLeonard DiCaprioに敗れたが,DiCaprioでなければ,Fassbenderがオスカーを取るのではないかと思っていたぐらいである。

映画で描かれるSteve Jobsはファナティックとも思わせる部分もあるが,あれぐらいでないとああいう業績は残せないのかなぁなんて思いつつ,絶対自分の上司にしたくないねぇなんて感じていた私である。映画としてはなかなかよくできていて,さすがにDanny Boyle,大きくはずさないねぇと感心してしまった。2013年版よりははるかによく出来ていると思わせるものであり,星★★★★。

最後に映画には文句はないが,機内エンタテインメントとしてこれを乗せるなら,日本語字幕を付けるのが当たり前だろうと言いたくなってしまった。それほどセリフの量が多く,会話のスピードも速い。だったら日本語吹き替え版で見ればいい?そもそも私は吹き替え版が嫌いなの絶対見ないであろうが,中国語字幕は出るってどういうことよ。JALは一体何を考えているんだ?と言いたくなってしまった。

2016年3月 7日 (月)

Peter Erskineライブ参戦記

_20160306新作に関する記事も既にアップ済み(記事はこちら)だが,Peter Erskineが結成したエレクトリック・バンドを引き連れ来日したので,彼らの演奏を聞きに,Cotton Clubに出掛けてきたのは,先日その戦利品をアップしたので既にご承知の通りである。

今回はWeather Reportの2016年版のようなプロモーションのされ方をされているこのバンドだが,新作の記事にも書いた通り,それほどWR的ではない。もちろん,Bob SheppardのテナーがまるでWayne Shorterのように響くこともあれば,ベースのJanek Gwizdalaがシークェンサーを使って多重的に演奏を行う姿はJaco Pastoriusを彷彿とさせるものであったが,だからと言って,WRにこだわらなくとも,このバンドの演奏は十分に楽しめるものだったと思う。

とにかく,Peter Erskineの叩き出すドラムスのグルーブ感が非常に心地よく,この人の技量の素晴らしさをつくづく感じさせられた。ドラムスの素人である私が聞いても「凄い」と思えるうまさである。かつて,私はKeith Carlockのドラムスを「歌っている」と評したことがあるが,Peter Erskineのドラムスにも歌心を感じていた私であった。

また,ライブの最中,ずっと思っていたのだが,Erskineのスティックより普通より長いように思えた。ネットで調べると,殊更彼のスティックが長いということはないようで,だとすれば,握る位置がスティックの端の方ということなのだろうとも思えるが,そうならばかなり手首の力が強くないとああいう演奏はできないはずである。それでいながら,あのサトルな響きを生み出すっては凄いことなんだろうと改めて思ってしまった。Peter Erskineに限らず,このバンドのメンツの実力は高く,非常に満足度は高かった。

しかし,私としては,金曜日の夜だというのに,こういうバンドのライブがフルハウスにならないってのは全く以て不思議と言わざるをえない。Cotton Clubがいろいろとクーポンを出しまくっているにもかかわらずなのである。私は結構割安で見られたから文句はないが...。逆に,どう見てもPeter Erskineとは縁のなさそうな女性たちが,あたかも女子会のように来場しているのも不思議な光景であった。だが,プロっていうのは客入りに関係なくきっちり演奏する姿を私は何度も目撃しているので,心配はしていなかったが,彼らもその例外ではなく,非常にいい演奏を聞かせてもらったと思っている。

Peter_erskine_signing終演後,Bob Sheppardと話した後,Peter Erskineとも話をしたが,Bob SheppardはWindham Hill Jazzから出た彼のアルバムを持っていたら,「おぉっ,これは古いなぁ。俺もまだ髪があったよ」なんてジョークをかましてくれた。Peter Erskineも終始上機嫌で,今日アップした彼の初リーダー作を見て,「俺も若かったな」なんて言いながら,ジャケの写真を撮ったカメラマンの話をしてくれた。我ながらミーハーだと思いつつ,CDを5枚差し出した私だが,気持ちよくサインに応じてくれ,まじでいいオジサンたちだと感じながら,家路についた私である。

Live at Cotton Club on March 4th, 2016, 2ndセット

Personnel: Peter Erskine(ds, perc), John Beasley(key, synth), Janek Gwizdala(b),Bob Sheppard(ts),

2016年3月 5日 (土)

Peter Erskineのライブの戦利品。

_20160304
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_20160304_3_2

Cotton ClubでのPeter Erskineのライブに行ってきた。今日は戦利品のアップのみ。いいおじさんたちであった。ついでに「いつものように」ってわけではないが,今日はリーダーではなく,Bob Sheppardと私(笑)。演奏についてはまた改めて。

Bob_sheppard_and_i

2016年3月 4日 (金)

古いStan Getzが聞きたくなり...。

"In Stockholm" Stan Getz(Verve)

Stan_getz_in_stockholm先日,Stan Getzの未発表音源,"Moments in Time"をこのブログにアップしたばかりだが,あれはあれでいいアルバムだったとして,その後猛烈にGetzの古いアルバムが聞きたくなって取り出したのがこのアルバムである。

洒脱の極みとも言うべきリラックスした音楽を聞いてて,心地よいと感じないリスナーはいないと言いたくなるほど,こういうStan Getzはよい。曲は小唄みたいな感じだが,そこにGetzのアドリブの乗った時の素晴らしさは,本当に魅力十分である。「虹の彼方に」のような曲でさえもGetz色に染めてしまうこの人の歌心は,やっぱり最高だと思わせる。

私は昔から結構音源は保有しながらも,若い頃にはほとんどGetzの魅力がわかっていなかったと言ってもよいのだが,中年に差し掛かる頃,突如としてStan Getzの音楽が魅力的に響いてきたのだった。ジャズ喫茶で浴びるようにジャズばかりを聞いていて,Thelonious Monkの魅力が19歳の私に突如理解できたのにも匹敵する,突然の降臨って感じと言えばお分かり頂けるだろうか。

ジャズマンは作曲能力で勝負しなくても,アドリブ一本で人を屈服させられると感じさせるのがStan Getzという人だと改めて思えたい一枚であった。やっぱりGetzはいいですわぁ。ということで,星★★★★★。この人のテナーの音に比肩しうるのは,Paul Desmondのアルトしかないと思っている私である。

Recorded on December 16, 1955

Personnel: Stan Getz(ts), Bengt Hallberg(p), Gunner Johnson(b), Anders Burman(ds)

2016年3月 3日 (木)

長く続かなかったMosaic Contemporaryから出たFreddie Hubbard盤

"Super Blue" Freddie Hubbard(Columbia→Mosaic Contemporary)

Super_blue2007年頃,昔の既発音源や未発表音源をコンパイルしてリリースするMosaicレーベルが,フュージョン系の音源をリリースするMosaic Contemporaryを立ち上げて,何枚かのアルバムをリリースしており,これはその一枚。その後,Mosaic Contemporaryは長続きせず,あっという間にリリースをやめてしまったので,これも今や廃盤になっているようである。まぁMosaicというレーベルに期待する音楽と,こういう音楽はフィットしないもんねぇ。

それでもってこのアルバムであるが,"Super Blue"の音源そのものは格安ボックスの一部となって今でも入手は難しくないのだが,このMosaic Contemporaryバージョンには3曲のAlternate Versionが収められていて,それらはここでしか聞けないはずである。そういう意味では貴重と言えば貴重なのは確かだが,だからと言って,私がしょっちゅうこのアルバムを聞いているわけではない。だが,今回久々に気まぐれで聞いてみたが,改めてクレジットを見ると,おぉっ,こんなに豪華なメンツだったのかと今更ながら思ってしまうような作品である。

まぁ,気取ったポーズを決めるジャケのFreddieの姿はさておき(爆),改めてこのアルバムを聞いてみると,曲によっていいなぁと思わせるものと,緩いなぁと思わせるものが混在していて,その辺りのやや中途半端な感じが,このアルバムの評価を上げない理由だと思える。だが,トータルで言えば,十分に聞けるアルバムだとは思う。Freddie Hubbardは全般に好調だが,それ以上に,私はJoe Hendersonのテナーを楽しんでしまった。こういうことって,Freddieのアルバムにはあるんだよねぇ(笑)。いずれにしても,このメンツにはやわな演奏よりも,ハードな演奏こそ似合う。ということで,そうした路線の"Take It to the Ozone"とか”Theme for Kareem"とかのパターンをもっと増やせば,更に注目されたんではないのかねぇと思わせる。このMosaic Contemporary版はその2曲の別テイク(及びタイトル・トラックの別テイク)が入っているからいいんだけど。ちょっと甘めの星★★★★ってところ。

Recorded on March 30, 31, April 1 and 4, 1978

Personnel: Freddie Hubbard(tp, fl-h), Joe Henderson(ts), Hubert Laws(fl), Kenny Barron(p, key), Ron Carter(b), Jack DeJohnette(ds), George Benson(g), Dale Oehler(key)

2016年3月 2日 (水)

今年劇場で見た最初の映画は「キャロル」

「キャロル("Carol")」('15,英/米,Number 9 Films)

Carol監督:Todd Haynes

出演: Cate Blanchett,Rooney Mara,Kyle Chandlar, Jack Lacy, Sarah Paulson

オスカーの結果も出たので今日は映画ネタである。レオ様はよかったねぇ。でも今回は予想を結構外した(爆)。私が当てたのは主演男優賞,主演女優賞,助演男優賞,脚本賞,脚色賞。作品賞と監督賞は逆にしてしまったなぁ。まぁ,それはさておき...。

今年は海外出張の機内エンタテインメントで結構な本数の映画を見ている(まだ全部記事としてアップできていない)ので,映画を見ていないということではないが,劇場で映画を見るのはこれが今年の最初の1本となった。

「太陽がいっぱい」の原作を書いたPatrica Highsmithの原作をもとに映画化されたものであり,当時のLGBT事情が推察されるような映画だと言ってよい。時代からすれば,まだまだLGBTが認知されていない状況下での女性同士の愛を,静かに,そして美しく描いていて,更に演技陣の見事さもあって,まぁこれはある程度高く評価されるだろうなぁという感じがする。シナリオもなかなかよく出来ていて,演出もギミックを狙わず,落ち着いた映像で見せてくれる映画なのだ。

だが,この静謐な雰囲気が,私を眠りの世界に誘おうとしたことも事実である。何とか持ちこたえることはできたが,まじで途中で落ちそうになった。最近のCG偏重や,ど派手アクション映画とは対極にあると言ってよい映像であるため,やや淡々とした感じは否めないのだが,1950年当時を想起させるセットや,Billie Holidayの"Easy Living"に代表されるようなバックの音楽が雰囲気を盛り上げているのは高く評価したい。

Rooney_maraそれにしてもである。この映画はCate BlanchettとRooney Maraの二人のためにあるようなものだが,この二人のドレス(ゴージャスなBlanchettと地味目なMara)も見ものだったと思う。私にとってはRooney Maraの帽子姿が何とも可愛く,彼女が写真に写っている帽子をかぶって出てくるシーンではほとんど目が釘付け状態であった。これだけでなく,二人の出会いのシーンでのRooney Maraのサンタ帽姿も無茶苦茶可愛かったが(笑)。とにかく,私はCate BlanchetteよりもRooney Mara押しである。

それにしても,主演の二人はオスカーの主演女優賞,助演女優賞にノミネートされていたし,ほかの部門でもノミネートされていたが,完全に黙殺されてしまったのは惜しい。Rooney Maraは私は主演女優賞でノミネートしてもよかったと思うし,それが選考にも影響しなかったとは言い切れまい。しかしながら,演技はさておき,衣装デザイン賞さえも「マッド・マックス」に持って行かれるってのはちょっとひどいなぁと思えた。これがアカデミーが保守的と言われる所以だろうが,業界にはLGBTは沢山いるのに,そういう映画になると全然評価しないというのもおかしい気がする。全く素直じゃないよねぇ,ってより隠したいのか? だからと言って,この映画が年間最高映画だと言う気もないのだが...(苦笑)。いずれにしても,見るにはそれなりの覚悟はいるかもしれないが,見逃すのは惜しい。そういう映画である。星★★★★。

 

2016年3月 1日 (火)

Stan Getzの未発表音源。抜群の安定感というか,はずさないねぇ。

"Moments in Time" Stan Getz(Resonance)

Moments_in_time本来であれば,同時期にリリースされたJoao Gilbertoとの共演盤を先に記事にすべきのような気もするのだが,Getz Quartetだけによる本作を先にアップしてしまうのが私の天邪鬼なところか(笑)。いずれにしても,ここでもいつものStan Getzと言うべき安定した演奏を聞くことができて嬉しくなってしまう。

いつものStan Getzなので,よく知られたスタンダードの演奏を,Getzのフレージングで紡いでいく感じであるが,その中で極めて異色に響くのがKenny Wheeler作の"The Cry of Wild Goose"だと思う。8ビートに乗っても,GetzのフレージングはGetzのフレージングだと思わせるところが素晴らしい。異色ではあっても,Getzの音楽になっているのである。こういう音楽を見つけてくるところに,Getzの目配りのよさを感じさせる。

このブログにも何度か書いているが,私がGetzの魅力にはまったのは随分遅くなってからのことであり,それも多分40を過ぎてからのことのように思える。だが,年齢を重ねるにつれて,Getzの音楽は私にとってなくてはならないものとなってきていて,このアルバムをそうした私のニーズを見事に満たしてくれたと思う。

何分40年近く前の音源である。テープの状態は完璧とは言えないかもしれないが,十分聞けるレベルにはなっていて,これは嬉しい発見だったと言える。藤岡宇央氏によるカバー・アートもナイスである。ということで,Stan Getzのキャリアにおいては,ほかにもっと優れた作品はあるものの,これもファンは必聴と言ってよい作品。星★★★★☆。ジャケの作りの粗さが玉に瑕って感じか(苦笑)。

Recorded Live at Keystone Korner between May 11 and 16, 1976

Personnel: Stan Getz(ts), Joanne Brackeen(p), Clint Houston(b), Billy Hart(ds)

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