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2015年11月28日 (土)

遅くなったが,Fred HerschのCotton Clubでのライブの模様を。

_20151128先日,Fred Herschのライブに,中国からの帰国後すぐに駆けつけたのは既にご報告の通りであるが,その時の模様について,少し時間が経ってしまったが振り返ってみたい。実は帰国後翌日から泊りでの地方出張が入っていて,記事にする暇がなかったのだが,それでもあの時の演奏のイメージは強烈に頭に残っている。

登場するなり,マイクを握って,Jobimの曲をやると言って始めたのが,最新作"Solo"の冒頭にも入っている"Olha Maria / O Grande Amor"のメドレーだったはずだが,これがアルバムに聞かれるのと同様の非常に美しいタッチで,まず心を鷲掴みにされた私である。Herschはいつもライブにおいて結構丁寧に曲の紹介をしてくれるが,一部曲名を言わなかったものもあるものの,演奏したのはほぼ下記のようなものである。(?)をつけている曲はDuke Ellington,Thelonious Monkの曲をやると言って弾いたもので,ちょっと自信はないのだが,まぁこんな感じだったと思って頂ければいいだろう(違っていたらごめんなさい)。

"Olha Maria / O Grande Amor"
"Down Home / West Virginia Rose"
"Whirl"
"Both Sides Now"
"After You've Gone"
"Pretty Girl / U.M.M.G."
"Mood Indigo"(?)
"Work"(?)
Encore 1: "Valentine"
Encore 2:"Doce de Coco"

2曲目にやった"Down Home"はBill Frisellのために書いたと言っていたが,この曲は結構いろいろなライブで弾いているし,メドレーで演じられた"West Virginia Rose"はHerschが母に捧げて書いたもので,これも結構よくやるレパートリー。そして,今回の"Solo"にも収められた”Whirl"は曲そのものがやはり素晴らしいと思わせた。"Whirl"だけでも更にまいってしまった私だったのだが,それに追い打ちをかけたのがJoni Mitchell"の"Both Sides Now"であった。一言でいえば,深い。原曲よりもゆったりしたテンポで演じられたこの曲をソロ・ピアノで聞かされることによって紡ぎ出される深遠さには心底驚かされた。「青春の光と影」の別の一面を炙り出したと言ってもよいかもしれない。そして,"After You've Gone"を軽くこなして,今年が生誕100周年を迎えると言って弾いたBilly Strayhornの2曲,特に"Pretty Girl"(またの名を"Star Crossed Lovers")がよかった。そして,Ellington,Monkとつないで,アンコールは"Valentine"を短くも美しく聞かせた後,もう1曲が"Doce de Coco"という演目であった。

この日は演奏は1セットだけだったので,アンコールにも2回応えてくれたのだろうと思うが,Herschの体力的な問題というよりも,今回の客入りを見ていると,2セットやってもそれほど集客力がないという判断もあったかもしれない。しかし,これほど優れた演奏を聞く機会を逃してしまうとは本当に惜しいことだと言わざるをえない。だが,終演後,トイレに行こうと思って別のテーブルの横を通り過ぎた時に,そこに座っていたオッサンが「なかなかいいねぇ」とか言っていたのを聞いて,実は内心憤慨していた私である。「なかなかいい」なんてレベルではない。これだけの演奏が聴けること自体が稀なことだということが理解されていないこと自体がもったいないのである。

まぁ,それはさておき,終演後のサイン会においては,"Welcome Back!"の私の一言に機嫌よく反応してくれたHerschであった。先日紹介した戦利品3枚のほかにもう1枚,Maybeckでのライブ盤を持って行ったら,「おぉ,これは最初のソロ・アルバムだな」と言ってサインしてくれたのが上の写真である。この人はサインの仕方にも人柄がにじみ出るというか,どうすればいい感じのサインになるかを考えながらしてくれるところに,本当のいい人ぶりが表れていると思う。私が最新作に加え,Jobim,Strayhornのアルバムを持って行ったことには,相好を崩していたと思う。そして,来年はまたトリオでの来日だねと言ったら,力強く"Yes!"と答えてくれたFred Herschであった。やはりFred Herschは素晴らしいピアニストであり,そして素晴らしいライブであったと改めて言っておきたい。

Live at Cotton Club東京 on November 25, 2015

Personnel: Fred Hersch(p)

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コメント

同じライブを私も見に行きました。最初はintimacyが感じられる演奏。後半は元気の良さも感じられる流れるような演奏と、満喫することが出来ました。ひと頃の命を削って演奏しているような緊張感と刹那感の漂う雰囲気でなくなったと思いますが、美しさは変わりませんね。そんなHerschのソロ、私にとっては4回目のソロでした。セットリストのアンコール曲名は、ValentineとDoce de Cocoですね。Myがつくのはポール・マッカートニーの名作。doceはポル語でsweetの意味です。

カビゴンさん,こんばんは。曲目間違いすみません。チェックが甘かったです。

同じセットにいらっしゃったんですか。それはそれは。おっしゃる通り,命を削って演奏するというよりも,今のHerschには力強い生気を感じます。やってる音楽自体はリリシズムも十分に感じさせるものであり,ファンも納得がいくものだったと思います。いずれにしても本当にいいライブでした。

こんにちは,monakaです。

時間が経ちましたがハーシュの素晴らしい時を過ごしました。

こんなのなかなかの思い出を共有できましたね。

monakaさん,こんばんは。TBありがとうございます。

2セット行かれたんですね。羨ましいです。それでも私は1セットという時間の中だけでもHerschを堪能することができました。CDをお持ちにならなかったのはもったいなかったですね。彼と話をすると,その人柄が更に好きになれますから。

ということで,追ってこちらからもTBさせて頂きます。

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