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2015年10月19日 (月)

これは凄い!Brad Mehldauの過去10年に渡る欧州でのソロ・ライブ集成盤

10_years_solo_live"10 Years Solo Live" Brad Mehldau (Nonesuch)

このアルバムのリリースがアナウンスされた時から期待値の大きかった私であった。2004年から10年以上に渡る期間に,欧州で録音されたソロ・ピアノによるライブの模様をLPは8枚組,CD4枚組に集成した本作だが,LPのリリースがCDよりも若干早いこともあり,値段は4倍近いのにLPをNonesuchレーベルに発注したものである。本国からの発送の通知からわずかう4日後(まだ正式リリース日前であった)には届いていたのには驚いたが,関税も700円掛かってしまった(笑)。

LPを聞く環境は整っているが,私はリリース日にNonesuchから届いたMP3音源をすかさずダウンロードし,DAC経由でオーディオ・セットで聞いているところである。本来ならLPを聞けばいいのだが,取り敢えず気楽なセッティングで聞いてしまおうということである。

それにしても,2004年,2005年,2010年,2011年,2013年,2014年の19か所での音源を収めた本作は「超弩級の大作」と呼ぶに相応しいが,しかもそれらを収録場所や時間にかかわりなく,LPなら4面,CDなら1枚ごとに"Dark/Light", "The Concert", "Intermezzo/Rückblick", "E Minor/E Major"という4つのテーマに分けてリリースするところがBrad Mehldauらしいと言えば,まさにその通りである。彼は各々のセットには各々のテーマと特徴があると述べているが,例えばLPの5~8面に収められた"Intermezzo/Rückblick"は過去を見直し,再評価することをテーマとしているため,2004年と2005年の音源がここに集中しているのである。一方で,なぜ2006年から2009年が抜けているのかと言われれば,それは2006年録音の"Live in Marciac"が2011年にリリースされたからだろうと思っている私である。いずれにしても,Mehldauの中には明確なテーマが設定された上での曲の並びであるということは,意識して聞く必要があるだろう。

そして,ここに収められたレパートリーの広さが半端ではない。元来,Brad Mehldauは現在の音楽シーンにも目配りしたレパートリーが特徴的だが,本作においても,冒頭のJeff Buckleyに始まり,Beatles,Radiohead,Nirvana,Massive Attack,Paul McCartney(ソロ作の"Junk"),Leo Ferre,Pink Floyd,The Verve,Kinks,Stone Temple Pilots,そしてBeach Boysと今回もその目配りぶりは強烈である。その中ではBeatlesが2曲,Radioheadが2曲,3回収録されていることがある意味象徴的な気がする。更にMehldauのオリジナル,古いスタンダード,Monk,Coltrane,Bobby Timmonsらのジャズ・オリジナル,Jobimの"Zingaro",果てはブラームスまで加わってしまうのだから,何という吸収力,咀嚼力と言わざるをえない。それらが極めて高いレベルで演じられるのだから,私はBrad Mehldauの追っかけをやっていてよかったと感じてしまうのだ。ジャズ的な要素,クラシカルな要素,スリリングな要素,美的な要素,そんなBrad Mehldauの魅力が十分に捉えられていると言ってもよい。そして,誰がどう聞いてもBrad Mehldauのピアノと言うべき響きは,彼が完全なスタイリストとしてのポジションを確立していることを再認識させる。

これからの深まりゆく音楽シーズンの中で,美しくも創造性に溢れた本作の演奏ほど私にフィットした音楽はないと思わせるが,どこから聞いても素晴らしい演奏群であることは間違いない。中でも,超スロー・テンポで演じられる"I'm Old Fashoned"や"On the Street Where You Live"のようなスタンダードを聞いていて,陶然とした思いをさせられた私であった。これはまさしくしびれる美しさである。そして,全32曲,約5時間に及ぶ演奏があっという間に聞けてしまったというのは驚きである(正直一気聴きであった)。これはまさにBrad Mehldauからのありがたき贈り物と思って,改めて熟聴していきたいと思わせる傑作。こんな演奏にはBrad Mehldauの追っかけの私でなくても,星★★★★★以外にありえない。マジで最高である。

Personnel: Brad Mehldau(p)

Recorded Live at the Following Venues and on the Dates:

Side 1, track 1: November 5, 2013 at the Liszt Academy of Music, Budapest, Hungary
Side 1, track 2: September 18, 2011 at Auditorio Palau de Congressos, Sala Cambra, Girona, Spain
Side 2, track 1; side 7, track 2: September 17, 2011 at Oper Leipzig, Leipzig, Germany
Side 2, track 2; side 15: March 10, 2014 at Palais des Beaux-Arts, Brussels, Belgium
Side 3, track 1; side 8, track 1: November 8, 2013 at Théâtre de Vevey, Vevey, Switzerland
Side 4; side 5, track 1: March 16, 2010 at Conservatoire de Musique, Luxembourg
Side 5, track 2: July 15, 2010 at Castello degli Ezzelini, Bassano del Grappa, Italy
Side 6, track 1: October 30, 2010 at Shiftung Mozarteum Großer Saal, Salzburg, Austria
Side 6, track 2: March 17, 2010 at Muzeikgebouw Eindhoven, Frits Philipshal, Eindhoven, the Netherlands
Side 7, track 1; side 16: June 9, 2011 at Wiener Konzerthaus, Mozartsaal, Vienna, Austria
Side 8, track 2; side 11, track 2: March 29, 2011 at Auditorium Parco della Musica, Sala Sinopoli, Rome, Italy
Side 9; side 10, track 1; side 11, track 1: July 10, 2005 at Copenhagen Jazz Festival, Copenhagen, Denmark
Side 10, track 2: August 5, 2004 at the Menton Music Festival, Basilique Saint-Michel-Archange, Menton, France
Side 11, track 3: June 7, 2011 at Stadttheatre, Wels, Austria
Side 11, track 4; side 12: November 17, 2004 at Wigmore Hall, London, England
Side 13, track 1: September 10, 2011 at Cité de la Musique, Salle Pleyel, Paris, France
Side 13, track 2: September 18, 2011 at Auditorio Palau de Congressos, Sala de Cambra, Girona, Spain
Side 14, track 1: March 29, 2011 at Auditorium Parco della Musica, Sala Sinopoli, Rome, Italy
Side 14, track 2: March 25, 2011 at Sociedad Filarmonica de Bilbao, Bilbao, Spain

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コメント

相変わらず素早い入手ですね。
録音日時・場所を見ていて、2010年10月のザルツブルグは、私が聞きに行ったソロコンサートだと気付きました。自分が聞いたコンサートが録音されていることに(一つ一つの演奏曲は忘れていて、曲名見てもピンと来ませんでしたが(汗))、入手前から少々興奮しています。

カビゴンさん,おはようございます。

「相変わらず素早い入手」でしょ?(爆)

ザルツブルクでお聞きになったんですか?死ぬまでに一回行きたい場所です。おっしゃる通り,自分がその場にいた音源って萌えますよねぇ(笑)。Nonesuchのサイトで(曲全部かは確認していませんが)試聴できると思いますので,現物到着まではそちらでお楽しみ下さい。

NonesuchのStreamingは何十秒かだけでした(残念)。
これに合せて全米、欧州ツアーに出る様ですが、日本にはなかなかやって来なくなりましたね。以前は毎年のようにBlue Note Tokyo一週間通しとかで来ていたのですが、、、。日本では余り売れてない、或いは日本が嫌いになったか?「Live in Tokyo」まで出した同一人物とは思えない(笑)

カビゴンさん,おはようございます。

最近,Brad Mehldauは日本ではクラブよりホール公演が多くなってしまっていますね。クラブ出演はMehlianaが久しぶりで,その前はソロでのビルボードですかね。

ちなみに私は以前,クラブでMehldauを見たことがないなんて書いてましたが,記憶のもれで,神田TUCと件のビルボードでのソロは見ていました。正確には「トリオはクラブでは見たことがない」でした。失礼しました。

結局、LPを注文しちゃいました。
今はMP3で聴いています。いいですね。
大作は聴き通す自信はなかなかないのですが。

kenさん,こんにちは。そうなるだろうと予測していました(爆)。

海外メディアでも絶賛の声が溢れていますね。そうなって当然の作品ですが,私は8枚分ほぼ一気聴きしました。是非お楽しみ下さい。ブラームスは完全にブラームスですが(笑)。

13日にCD/Digital発売となり、早速iTunesからDownloadしました(iTunesでは一部曲名・曲順間違いをしていて憤慨しました)。冒頭Dark/Lightから素晴らしい完成度。同時代に生きていて良かったとつくづく思います。短調で陰鬱な曲を間断なく弾き続けるスタイルが次第に凛々しく、曇り空の何処かに青空が見え隠れし、光が差すかのような曲調を示していくのは荘厳であり神々しくも感じてしまいます(例:And I love her)。また、主題が幾度もバリエーションを持って現れる「My Favorite Things」は、もうJazzというよりはクラシックの名曲を想わせる展開で、元歌はあるものの略々Mehldauの曲になってしまっている感があります。すべてが素晴らしいのですが、中でも”Dark/Light"、”E minor/E major"には、特に感動してしまいました。もう今年のベストアルバムはこれで決まりました。

カビゴンさん,こんばんは。熱いコメントありがとうございます(笑)。

おっしゃる通り,これは本当に素晴らしい出来ですよねぇ。複数のヴェニューでの音を集めても,クォリティにブレがないってのは私も凄いことだと思います。まさに私も彼の追っかけでよかったと思えたアルバムです。まぁ,私にとっても確実に今年のベストに入る,というかまぁこれがベストだってのは揺るがないと思います。

最初は少しずつ聴いていく予定でしたが、仕事中にも関わらず、夜まで通して一気に聴いてしまいました。さすがのクォリティでした。歴史に残るアルバムっていうと大げさかもしれませんが、案外本当にそうなったりするかもしれません。

TBさせていただきます。

910さん、おはようございます。TBありがとうございます。

私がMehldauの追っかけであることを差し引いても、これは超ハイ・レベルの傑作だと思いました。

先ほどTBさせて頂きましたが、入っていますやら。

ディジタル音源はhigh resolutionを入手しました。馬鹿みたい、なんですが。仕方が無い。
ボクのなかでは、キースをしっかり超えた、ように思えています。凄いアルバムですね。

kenさん,こんばんは。TBありがとうございます。

kenさんの音へのこだわりには頭が下がります。私には到底及ばぬ世界です。KeithはKeithで偉大なピアニストであるとは思いますが,Brad Mehldauは私にとっては特別の存在なので,一概には比較はできないところです。ただ,追っかけをしている立場としては,今回のアルバムの出来は,更にステップアップしたなぁという印象が強いです。

本年最高のアルバムという評価は,少なくとも私の中では揺るぎようがないと思います。

閣下、これを聴かずして今年は語れない、って、感じになってますよねぇ。。
ちょっと、悔しいかんじもしますが、、、。。。笑
クリスマスシーズンの予定をいろいろぶち壊してくれたし。。

ここでのメルドーって、いろんなことが尋常じゃないんですが、、、
元祖二重人格奏法じゃなないですか。それが、つづくんですぜ。。
私なら人格崩壊になってしまうとおもいましたよ。
ソロで来たらぜひぜひ聴きに行きたいなぁ。。

Suzuckさん,こんにちは。TBありがとうございます。

はい。誰が何と言おうと,これを聞かずに今年のジャズ界は総括できません(きっぱり)。聞き始めると,そこから抜けられなくしてしまうっていうのは物凄いことだと思います。おっしゃる通り,尋常ならざるものがありますね。聞いた瞬間,今年聞いたあらゆるアルバムが霞みましたぜ。

ちなみに,Mehldauは直近での来日はMehliana,その前がトリオ,その前がソロだったはずですから,次回はソロかもしれませんね。その節は私も行かせて頂きます。って言うより,どんなかたちでも来たら行くでしょうけど(笑)。その時は本作のLP持参で行きます(笑)。

ものすごい、遅blogアップ(3カ月遅れ? (驚))でしたが、しっかり聴いています。
この盤を聴いて「すごい!!」と思わない人は、ジャズ判ってないんじゃないか?と言ったら言い過ぎですが、とんでもない4枚組を出してきたなと。

普通に考えれば、2015年のベストに、この盤とFred Hershのソロ作(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63454596.html)をいれるのがまっとうだと思うくらい。(天邪鬼だからいれてません)

本当に、次の一手が気になります。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,こんばんは。TBありがとうございます。

あまりにもこのアルバムのインパクトが強かったので,私も次はどうなるのか興味津々です。まぁBrad Mehldauのことですから,また次もやってくれるとは思いますが,そう思っている私でさえちょっと心配になるような作品だったなって感じです。

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