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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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2015年9月29日 (火)

Kneebody@Cotton Club参戦記

Kneebody
Cotton Clubの招待券をゲットして,何に行こうか考えていて,どうも地味というか食指が動かないライブが多い中,ガツンとやってくれそうだってことでチョイスしたのがKneebodyである。ってことで,いつものライブ・メイト,イタリア・ジャズの女神さまをお誘いして,Cotton Clubに乗り込んだ。

行く前から想定したことではあるが,Kneebodyのようなバンドで3日間のライブをやっても,集客は苦しかろうと思っていた。だが,2ndセットの開場5分前ぐらいに現地に到着しても,私の前には女性2人しかいないではないか。これではやはり集客は苦しいと思わせたが,開演時もおそらく半分も埋まってはいなかっただろう。だが,先日NYCで見たScott Hendersonもそうだったが,聴衆は多い方がいいに決まっていても,そんなことを関係なしに演奏するのがプロである。今回のKneebodyも腐ることなく,ちゃんと演奏していたのは立派だし,終演後のサイン会には5人揃って出てきていたのは誠にいいことである。いつものライブ終了後のように彼らとちょいと話をしたのだが,気のいい西海岸の兄ちゃんたちって感じであった。こういう好感度の高さって重要だよねぇってつくづく思う。

演奏に関して言えば,私はもう少し高揚感のある,前ノリのグシャグシャ・ファンクが多くてもいいように思えたが,それでも変態ファンクであったことに変わりはない。終演後,彼らに"It's an Unorthodox Funk!!"と軽口を叩いたら彼らには結構受けていた(ように思う)。だからこそ,もう少し激しくやってもよかったかなぁと思えるのはちょいと残念だが,それでもあまり聞いたことがないジャム・バンド的なんでもありのファンクを楽しんだ私である。

Kneebody_i_2その中で,今日,私がギャグのように笑えたのがドラムスのNate Woodである。彼はWayne Krantzと来た時にはKeith Carlockに華を持たせて,ほぼベースに専念していたが,それでも1曲はツイン・ドラムスでやったはずである。今回は,彼が唯一のドラマーということで,変拍子だろうが何だろうが叩きまくりであったが,私が笑ったのはそのドラム・プレイではなく,その風貌である。誰が見てもプーチン大統領のような顔で,変拍子を叩く姿が面白過ぎた。終演後,女神さまに「ジャズ界のウラジミール・プーチン」と言ったらこっちも受けて,いつもは家族,あるいはそれ以外からも親父ギャグでしら~っとされることの多い私としてはちょっと嬉しかった(爆)。モザイクの掛かった私の奥にいるのがNate Woodだが,誰がどう見たってプーチンなのである(しつこい?)。私はこの写真を撮ってもらった時には,写っていないBen Wendelと話をしていたのだが,やっぱりNate Wood,プーチンである。同じ肉体派ってことでよしとしよう(なんでやねん?)

いずれにしても,こういうバンドのライブを3日間ブッキングするのは無謀って気もするが,それでもわかっていながら聞きに行く連中は楽しんだはずである。その一方,Cotton Clubもせこくなって,CD購入者にはサイン会とか言っていたが,それでめげる私ではない。ミュージシャンたるもの,その場でCDを買わなくても,ちゃんと聞いているファンの方が嬉しいはずであるってことで,ちょっと旧譜で悪いけどと断りながら,戦利品としてWinter and Winterレーベルのアルバムに5人分のサインをゲットしてきた私である(+Ben Wendelのアルバムにもね)。

Live at Cotton Club on September 29, 2015,2ndセット

Personnel: Adam Benjamin (rhodes), Shane Endsley (tp), Kaveh Rastegar (b), Ben Wendel (ts,perc), Nate Wood (ds,perc)

Eberhard Weber生誕75周年記念ライブってのが開催されること自体凄いよねぇ。

Hommage"Hommage A Eberhard Weber" Various Artists(ECM)

ECMレーベルにおいて,Eberhard Weberというベーシストが重要な位置づけにあるのは事実だと思うが,こういう人のために生誕75周年ライブが開催され,これだけのメンツ(と言っても,Pat Methenyの参加がメンツを派手に見せているのだが,それもある意味凄いことだ)が集まってしまい,ライブ盤までリリースされてしまうっていうことは凄いなぁと思うのは日本的な感覚であって,ドイツでは当然のことなのかもしれない。

Weber本人は脳梗塞によりベースの演奏はできないため,ここではテープによる演奏をかぶせるという形を取っている部分もあると思われるが,参加しているミュージシャンたちの対応は真摯なものであり,非常に優れた演奏となっているところには,Eberhard Weberというミュージシャンに対する彼らのリスペクトが感じられて,非常に好感度が高い。

そうは言っても,本作の最大の聞き物が31分を越えるPat Metheny作曲によるタイトル・トラックであることは事実だろう。これはMethenyがWeberの演奏の模様を記録した映像での演奏を再構築した「ヴィデオ・サンプリング」だとPat Methenyがライナーに書いているが,そうだとすれば,この演奏はむしろ映像で見てみたいと思わせるようなものであるとも言えよう。

Pat Methenyにしろ,Jan Garbarekにしろ,1曲ずつの参加に留まるのはちょっと惜しい気もするが,それでもトータルに見れば,これはこれでよく出来たライブ・アルバムだと思える。星★★★★☆。

尚,アルバム・ダウンロード版にはCDに未収録の"Street Scenes"がボーナス・トラックとして入っているが,この曲単体でのダウンロードはできないようである。こういう売り方もあるとは思うが,世の中,現物派が多く残っている日本においては,あまりいいやり方ではないと思えるなぁ。そこまでしてその1曲を手に入れようとも思わんが...(苦笑)。

Recorded Live in January, 2015

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth), Jan Garbarek(ss), Gary Burton(vib), Scott Colley(b), Dan Gottlieb(ds), Paul McCandless(eng-horn, ss), Klaus Graf(as), Ernst Hutter(tb, euphonium), Michael Gibbs(arr), Ralf Schmid(arr), Rainer Tempel(arr), Libor Sima(arr), Helge Sunde(cond) with SDR Big Band: Nemanja Jovanovic, Felice Civitareale, Karl Farrent, Martin Auer, Rudi Reindl(tp, fl-h), Marc Godfroid, Ian Cumming(tb), Georg Maus(b-tb), Klaus Graf(as, ss, cl), Matthias Erlewein(as, fl, piccolo, al-fl), Axel Kuhn(ts, fl, piccolo, al-fl), Pierre Paquette(bs, b-cl), Klaus-Peter Schopfer(g), Decebal Badila(b), Guido Joris(ds, perc), Klaus Wagenleiter(p, key)

2015年9月28日 (月)

出張中に見た映画(15/09編その2):最近のLiam Neesonの映画はどれも同じに見える「ラン・オールナイト」

Run_all_night「ラン・オールナイト("Run All Night")」('15,米)

監督:Jaume Collet-Serra

出演:Liam Neeson, Ed Harris, Joel Kinnaman, Boyd Holbrook, Common

最近のLiam Neesonの映画はマッチョな父親像を描く感じがするのは,「96時間」シリーズゆえかもしれないが,本作も前半こそ情けない感じを醸し出しつつ,結局はそうした造形に収斂されていくという意味では,昨今の彼の映画と変わりがないって気がする。むしろ,こういう路線ばかりになっていないか?とも言いたくなるような映画である。

正直なところ,暗くて救いのないアクション映画と言ってもよいが,こんなところにCommonが?なんて感じで,強力な殺し屋役で出てきたり,Nick Noltiがクレジットされない状態でのゲスト出演をしたりと,そういうところの方が興味深かったりするのがこの映画の限界であろう。

ある意味,アメリカ版の任侠映画みたいなところがあるが,Liam Neesonはこういう路線に出続けるのかねぇ?と思いたくなってしまう。まぁ,Ed Harrisの悪人はこういう風に演じるみたいなところは楽しめるが,NeesonとJoel Kinnamanの対立する親子像は,あまりにステレオタイプなところがなんだかねぇ。エンディングもよくもまぁここまで予想通りの展開にしてくれるって感じでのシナリオの弱体はいかんともしがたい。

いずれにしても,機内エンタテインメントとしてはあまりに殺伐とした感覚が強いのだが,そんな映画を選ぶ私が悪いってことで。まぁ,星★★☆がせいぜいだな。

2015年9月27日 (日)

Jeff Lorber Fusionの新譜がデリバリーされた。

_20150926"Step It Up" Jeff Lorber Fusion(Heads Up)

前作"Hacienda"から約2年を経て,Jeff Lorber Fusion(JLF)の新譜がリリースされた。本作ではJLFはEric Marienthalが抜けて,Jeff LorberとJimmy Haslipの2人体制になってしまったようだが,Eric Marienthalもソロ活動で結構自信をつけたかなと思える(新譜もリリースしたばっかりだし...)から,まぁそれはそれで仕方のないことだと思う。

まぁそれはさておき,これはJeff LorberのFacebookのサイトでリリースの告知があったものだが,そこではなんとJeff LorberとJimmy Haslipのサイン入りCDが$10で買えてしまうという大盤振る舞い状態であったのだ。正直言って,送料その他を含めれば(それらでだいたい$15...)ずっと高くなってしまうのだが,まぁいいやってことで発注していたものである。本作の正式なリリースは10月に入ってからだと思うが,逸早くデリバリーしてくれるのはファンにとっては嬉しいものである。

それでもって音楽はと言えば,実は事前に聞いていた試聴音源からすると,JLFにしてはスムーズ度が高いかなぁなんて思っていたのだが,今回デリバリーされたCDを聞いている限りでは,全然そんなことはなく,ちゃんといつも通りのタイトなJLFサウンドが聞けるではないか。JLFも結局はスムーズ化するのかと思っていた私だったが,本作をちゃんと聞いてみて,あの試聴音源のイメージはなんだったのかと思ってしまった。

いずれにしても,JLFの聞いていて安心っていう感覚は今回も不変であり,フュージョンってのはこういうもんだって改めて思わせてくれるような(いい意味で)典型的,かつあるべき姿のフュージョン・ミュージック。やっぱりどうやっても心地よい音楽をやってくれる人たちである。星★★★★。私はいつも彼らの音楽に4星ばかり与えているが,凄いって感じさせるものではなくても,クォリティの高い音楽をいつも聞かせてくれるからそうなるのである。つくづくこういう人たちって貴重だと思うし,私自身も結局のところ好きなんだよねぇ(笑)。

Personnel: Jeff Lorber(key, g, b, prog), Jimmy Haslip(b), Robben Ford(g), Paul Jackson, Jr.(g), Larry Koonse(g), Michael Thompson(g), Ash Soan(ds), Vinnie Colaiuta(ds), Gary Novak(ds), Lenny Castro(perc), Gary Meek(ts, ss), Bob Mintzer(ts), David Mann(horn)

2015年9月26日 (土)

Terri Lyne Carringtonによる"Black Radio"に対する返答とも言うべきMosaic Project第2弾

Terrilynecarrington2015mosaicprojec"The Mosaic Project: Love And Soul" Terri Lyne Carrington(Concord)

Terri Lyne Carringtonが女性ミュージシャンを集めて作り上げた"The Mosaic Project"は,なかなかいいアルバムであった(このブログに記事を上げなかったのはなぜなのか...?)。それから約4年を経てリリースされたプロジェクト第2弾であるが,今回は前作よりもソウル色が強まり,これはRobert Glasper Experimentの"Black Radio"に対するTerri Lyne Carringtonからの回答とでも言うべき作品になっている。彼女によるライナーにもQuincy JonesやMiles Davis,あるいはEsperanza Spaulding等の名前に交じって,Robert Glasperの名前が挙がっているが,作品的には私は明らかに"Black Radio"を意識しているように思える。

それは冒頭に収められたDuke Ellingtonの"Come Sunday"がNatalie Coleの歌唱を得て,完全にソウル的な仕上がりを示したことからして明らかであるが,そもそも私はそのイントロを聞いて,おぉっ,"Black Radio"的と思っていたのであった。そして,アルバムを聞き進めれば聞き進めるほど,そうした思いは強くなっていった。

私はソウル・ミュージックもそれなりに好きなので,ここで展開される比較的メロウなグルーブの心地よさには非常に強い魅力を感じてしまう。今回も演奏はジャズ界で活躍する女性プレイヤー総出演みたいになっているが,そこに参加する歌手陣が非常に豪華である。先述のNatalie Cole,Chaka Khan,Valerie Simpson,Nancy Wilsonのようなベテランから,Lizz Wrightまで,おいしい女性ヴォーカリストを揃えている。リーダーのTerri Lyne Carringtonも1曲でヴォーカルを取っているが,これがなかなかいけている。

このアルバムを聞く場合,私はジャズというジャンルにこだわらずに対峙した方がいいと思うが,ガチガチの原理主義ジャズ・ファンにとっては受け入れがたい作品だろう。だが,この質のよい演奏を聞いても,ジャズではないからという評価しかできないのであれば,それは完全な近視眼としか言いようがない。質の高いミュージシャンが,質の高い音楽を,自由度を持って表現したことにより,私は音楽的な楽しみを大いに享受することができたのだから,私には全く文句がないわけである。

そういう意味で,この質の高さは"Black Radio"に比肩しうるレベルに達しているが,それを更にソフト&メロウにこなしたって感じである。この心地よさ半端ではない。ちょっと甘いと思いつつ,この気持ちよさゆえに星★★★★★としてしまおう。これなら何回でもリピートできそうである。

Personnel: Terri Lyne Carrington(ds, perc, g, b, prog, synty, vo), Natalie Cole(vo), Chaka Khan(vo), Oleta Adams(vo), Jaguar Wright(vo), Valerie Simpson(vo, p), Nancy Wilson(vo), Chante Moore(vo), Lalah Hathaway(vo), Paula Cole(vo), Ledisi(vo), Lizz Wright(vo), Amy Bellamy(p, el-p, org), Rachel Z(rhodes), Geri Allen(p), Lauren Fuller(p, key), Patrice Rushen(p, rhodes), Helen Sung(rhodes), Elin Sandberg(b), Rhonda Smith(b), Linda Oh(b), Meshell Ndegeocello(b), Angie Swan(g), Linda Taylor(g), Felicia Collins(g), Tanya Darby(tp), Arnetta Johnson(tp), Ingrid Jensen(tp), Melissa Aldana(ts), Netta Ranaan(ts), Tia Fuller(as, fl), Tinela Postma(ss), Grace Kelly(ss), Elena Pinderhughes(fl), Melissa Magdael-Lauron(tb), Negah Santos(perc), Zyra Pola(perc),  Regina Carter(vln), DJ Val Jeanty(turntable), Paulette McWilliams(vo), Alyson Williams(vo), Billy Dee Williams(narrative)

2015年9月25日 (金)

LPでこんなものを聞いていた:Terry Rileyの"Songs for the Ten Voices of the Two Prophets"

Riley"Songs for the Ten Voices of the Two Prophets" Terry Riley(Kuckuk)

LP再生環境が整って,LPが聞けるようになったところで,聞いたのがこれである。確かこれは私が大学卒業前に欧州に旅行に行った時に,現地のレコード・ショップで買ってきたもののはずだが,なんでこれを買おうと思ったかははるか記憶の彼方である。だが,Terry Rileyの当時の新作ということがモチベーションとなって買ったはずである。そのほかに買ったのはGardinerの"Messiah"とかBrendel~LevineのベートーベンのP協全集などであったから,選盤としては無茶苦茶だが,いかにも私らしい(きっぱり)。

Riley_2それでもって,このアルバムをそれこそ10年以上ぶりに聞いたと思うが,これは非常に不思議な作品である。タイトル通り,2台のProphetシンセサイザーにより演奏されているのだが,そこにTerry Rileyによる呪文のようなヴォイスがかぶさってくるのである。感覚的にはインドの僧侶によるチャントって感じなので,普通の人が聞いたら,何じゃこれはと思うのが当たり前である。

これを面白いと思えるかどうかは人それぞれであるが,今の耳で聞いてもハードルが高いかなぁって気がする。シンセの音はさておき,Rileyのヴォイスが本当に呪文のようだからである。本作の演奏はライブで録音されているのだが,一体聴衆はどう反応したのかの方が私にとっては興味深かったりするのだ。Terry Rileyと言えばミニマル・ミュージックという考え方が基本だろうが,明らかにSteve Reichのミニマルとは異なる世界である。多分,私にとってはSteve Reichの音楽はバックグラウンドで流していても,仕事や読書の邪魔にはならないが,Rileyのこの作品ではそうはいかないって感じがする。

だからと言ってTerry Rileyの音楽を否定するほど,私はRileyの音楽を聞いていないので,せっかくの機会なので代表作の一つである"In C"の25周年記念ライブ盤でも聞いてみることにしよう。いずれにしても不思議な音楽である。まぁ,裏ジャケに写るRileyの写真を見れば,普通の人ではないというのはわかるけどね(爆)。

Recorded Live on May 10, 1982

Personnel: Terry Riley(vo, synth)

2015年9月24日 (木)

Scott Henderson@Iridiumを改めて振り返る

_20150921先のNYC出張中にIridiumにScott Hendersonを観に行ったことは既に書いた通りであるが,元々は9/16,17の両日にIridiumに出演予定だったはずである。ところが,私が渡航して確認してみると,9/17はJoe Jacksonが出演予定になっていて,彼らの演奏は9/16にしか見られないことがわかった。

9/16は出張者及び現地スタッフでの会食があり,ライブに行けるかどうかわからなかった(当日にはBilly CobhamのバンドもB.B. King'sに出ていたのだが,20時からでは行けないと諦めた)のであるが,幸い(?)21:15には会食が終了し,22時からのセットに駆けつけるべく,Iridiumに徒歩で向かったのであった。現地に着いてみると,店に向かう階段には10~15人ぐらいしか並んでいないのには驚いたが,Scott Hendersonの人気なんてその程度なのかもしれないと思いつつ,開場を待っていた。最終的に,当日の2ndセットも,Iridiumの客席の半分も埋まっていないって感じだった。こんな調子だから,9/17はJoe Jacksonに取って代わられたのではないかと勘ぐってしまったが,それでも新作"Vibe Station"と同じメンツで聞かせた音楽は,ハード・フュージョンってのはこういうものよと思わせる,まさにスリリングな演奏であった。

聴衆は決して多くなかったにもかかわらず,Scott Hendersonは終始機嫌がよく,彼の時にお下劣なMCには大いに笑わせてもらったが,曲目のアナウンスがなく,何をやったかが定かではない。しかし,ほとんどは新作からの曲だと思える中で,最も聴衆に受けていたのは"D♭ Waltz"だと思う。Weather Reportのこの曲はJeff Berlin,Dennis Chambersとの共演作"HBC"でやっていたが,私にはライブならではの強烈なグルーブで迫ってきて,アルバムの演奏より燃えたと思ってしまった。いずれにしても,かなりの近い距離で見ると,Scott Hendersonがアームをうまく使いながら,フレージングを展開していることを改めて認識していた私である。やっぱりうまいなぁと感心する一方,私は彼らの繰り出すグルーブに結構激しく身体を揺らしていたのであった。

今回のメンツはベースがLarry Carltonの息子であるTravis Carlton,そしてドラムスがAdam Herzというものだったが,彼等にもソロ・スペースが与えられ,バンドとしてもなかなかいいコンビネーションだと思わせるものであった。余談ながら,Travisは全然親父に似ていないのが笑えたが,ベースの腕は確かなものだった。

演奏終了後にはCDの即売会が始まったが,私は日本から持参していたものである。しかし,結構な数がさばけていたようだから,聴衆も満足度が高かったってことだろう。私もサインもらいがてら,Scottとちょっと話をしたのだが,来年ぐらいには日本に行けるかもとか言っていたので,再度の来日を期待することにしよう。いや~,それにしてもカッコよかったわ~。翌日のGil Evans Projectとギャップが大き過ぎるって話もあるが,それが何か?(笑)

Live at Iridium, NYC on September 16, 2015, 2ndセット

Personnel: Scott Henderson(g), Travis Carlton(b), Adam Herz(ds)

2015年9月23日 (水)

出張中に見た映画(15/09編その1):国内未公開ながらこういうのは機内エンタテインメントに最適と思えた"Spy"

Spy"Spy" ('15,米,Fox)

監督:Paul Feig

出演:Melissa McCarthy,Jude Law,Jason Statham,Rose Byrne

長時間のフライトでの楽しみが,私の場合機内エンタテインメントでかかる映画であることは何度もこのブログにも書いてきた。今回,久しぶりのNYC出張というロング・フライトなので,相応の本数見るつもりではいたが,往復9本っていうのは普通の人からすれば,やり過ぎなのかもしれないと思いつつ,好きなものはやめられないのである。

それはさておき,機内エンタテインメントとしては,気楽に見られる映画っていうのは結構貴重で,今回1本目に選んだこの映画なんて,お気楽そのものの映画であった。CIAでJude Lawのバックアップを行う役の太めのMelissa McCarthyが何の因果か,スパイになって活躍してしまうというコメディであった。こういう映画は「オースティン・パワーズ」の系譜と言ってもよいだろうが,あれほどお下劣ではなくとも,かなり笑わせてもらった。本国では結構ヒットしたこういう映画でも,日本では公開は難しかろうと思うが,本当に気楽に見るには最適な映画である。

面白かったのは,日頃からタフガイばかり演じているJason Stathamが,そのセルフ・パロディのような役柄で登場してくるところだが,あくまでもこの映画の主役はコメディエンヌ,Melissa McCarthyである。誰がどう見てもスパイ体形ではない彼女が,結構無茶苦茶なアクション・シーンもこなしてしまうのがおかしいのだが,Jason StathamやJude Lawもこういうお気楽な映画への出演を楽しんでいるようにも思える。

もちろん,記憶に残る映画ではないとしても,見てがっくりさせられるより,笑わせてもらえる方がずっとよいということで,機内エンタテインメントへのフィット感は結構高かった。下らないって言ってしまえばその通りだが,星★★★☆。いいじゃん,下らなくたって(笑)。

2015年9月22日 (火)

ラグビー南アフリカ戦のラスト・プレイは何度見ても泣ける。

私はサッカーほどではないが,ラグビーもそこそこ好きである。大学時代あるいは卒業後も母校の応援はずっとしていて,秩父宮にも旧国立にも試合を見に行ったことがある。だが,ワールド・カップとなるとやっぱりサッカーだよねぇと思いつつ,今回は出張の移動中だったということもあったが,強国南アフリカに勝利するという歴史的な瞬間を見逃したことには臍を噛む思いをしていた。

その後,TVやネットでこの試合の最終盤を見るにつけ,時間は既にインジュリー・タイムに突入し,日本が一つでもミスをすればそこでノーサイドの笛が吹かれる状況で,あくまでもトライによる逆転を求める姿には正直涙が出てきた私である。スポーツを観戦していて感動させられることは多々あるし,加齢とともにもともと涙もろい人間が,更に涙もろくなっているのも事実だが,この試合のラスト10分はまさに感動的。これをライブで見逃したのはもったいないと思ったが,今やそれはネット上でもいくらでも見られるのでよしとしよう。それにしても素晴らしいラスト・ドライブである。これを見て感動できない人間とは多分私は友達にはなれまい。

ってことで,映像はYouTubeから貼り付け。いや~,それにしても素晴らしい。我ながら単純だと思いつつ,現地でこれを見た人がまじで羨ましい。明日のスコットランド戦はちゃんと見ようっと(笑)。

Keith Richards, 23年ぶり(!)の新作は全くの相変わらずモード(笑)。

Keith_richards"Crosseyed Heart" Keith Richards(Virgin)

Keith Richardsの新譜がリリースされるとアナウンスされても,無茶苦茶久しぶりだなぁって気がしないのは,Rolling Stonesとして盛んなライブ活動を続けているからという気もするし,それまでのソロ・アルバムをコンパイルした"Vintage Vinos"を2010年に出していることもあるかもしれない。"Vintage Vinos"をについては,Keithのソロ・アルバムは全部保有している私は買う理由がないので買っていないが,ソロ・アルバムとしてはなんと"Main Offender"以来23年ぶりの作品と考えると感慨深いものがある。いずれにしても,私はStonesで一番好きなのはKeith Richardsであると思っている人間であるから,新作に対する期待値が高まるのは当たり前である。

そして,このアルバムを聞いてみて,その変わらなさにはある意味驚かされてしまった。Keith Richardsがやっている音楽を考えれば,変わらないのは当然だし,Keith自身が弾く楽器が増えていながらも,Steve Jordanをはじめとする"X-Pensive Winos"のメンツが長い時間を経ても集まっていることも少なからず影響していると思うが,もはやこれは信頼できる「老舗の味」に近いと思ってしまった。だが,その一方で,こういう音楽を今のリスナーが聞いたらどう思うのかと思ってしまった。

冒頭のタイトル・トラックこそブルージーなトラックで,一瞬驚かされるが,その後は誰しもが思うであろうKeith Jarrettの音楽である。安心感に溢れ,こっちも十分楽しむことができる。だが,Keith Richardsの音楽として考えれば,ある意味予定調和のようなものである。もちろん,Norah Jonesを共作,並びにヴォーカルに迎えた"Illusion"のような新機軸的なものもあるが,それとてびっくりさせられるようなものではない。

もちろん,私はKeith Richardsの音楽として本作を楽しんだクチではあり,星★★★★をつけてしまうわけだが,だからと言って,それ以上の評価を与えることには躊躇を覚えてしまう。もちろん,「老舗の味」を守ることは重要な要素であるが,リスナー(消費者)は時として,そこに新機軸がアドオンされることを求めてしまうのである。

繰り返すが,本作の音楽は長年のファンにとっては十分に楽しめるものだし,Keith Richardsの音楽そのものをきっちり捉えていると思うが,約四半世紀前のPalladiumでのライブ盤で覚えたような高揚感は得られなかったというのが正直なところである。まぁ,その一方でもうすぐ72歳になる爺さんがこういう音楽をやっていることは大変素晴らしいことだということなのだが。

Personnel: Keith Richards(vo, g, b, p, el-p, org, sitar), Steve Jordan(ds, perc, vo), Waddy Wachtel(g, vo), Larry Campbell(pedal steel, vln), Ivan Neville(org, el-p, vo), Charles Hodges(org), David Paich(org), Spooner Oldham(org), Paul Nowinski(b), Pino Palladino(b), Pierre DeBauport(b), Norah Jones(vo), Megan Voss(vo), Bernard Fowler(vo), Blondie Chaplin(vo), Aaron Neville(vo), Sarah Dash(vo), Bobi Floyd(vo), Harlem Gospel Choir(vo), Bobby Keys(sax), Charles Dougherty(ts), Lennie McMillan(ts), Jim Horn(bs), Kevin Batchelor(tp), Ben Cauley(tp), Cliffton Anderson(tb), Jack Hale(tb)

2015年9月20日 (日)

Return of 中年音楽狂

NYCから帰国し,先ほど自宅に到着した。今回は時差ボケに苦しみながらの出張だったが,大体現地の夕方(日本の早朝)になると猛烈な睡魔に襲われ,イベント終了後は一旦ホテルでちょっと寝るという生活だったために,時差ボケの解消がますます難しくなってしまったということではないかと思う。そうは言いながら,最終日(NYCを出発する日)は比較的よく眠れたように思うが,それでも根本的な時差ボケの解消とはいかなかった。

そうした中,日本に帰ってきたわけだが,帰りの飛行機では座席のアップグレードができなかったのは痛かったが,肉体の疲労はそんな悪条件などものともせず,3時間半程度は寝ていたのではないかと思う。だが,それ以外の時間はひたすら映画を見たり,音楽を聞いて過ごしていた私である。

毎度毎度よくやるとは思うのだが,今回,インフライト・エンタテインメントで見たのは下記の9本(往路5本,復路4本)である。我ながら好きだねぇと思うが,今回は結構見た映画が多くて,セレクションには迷ったが,まぁまぁ楽しめたと思う。

  1. "Spy"(日本未公開)
  2. 「ラン・オールナイト("Run All Night")
  3. 「イニシエーション・ラブ」
  4. 「スタンド・バイ・ミー("Stand by Me")」
  5. 「予告犯」
  6. 「龍三と七人の子分たち」
  7. 「ターミネーター("The Terminator")
  8. 「ターミネーター 新起動/ジェ二シス("Terminator Genisys")」
  9. 「阪急電車 片道15分の奇跡」

このうち,7,8については見ているが,7を見返して,8のオマージュぶりを確認しようというものであった。思わぬ拾いものは「阪急電車 片道15分の奇跡」だったかもしれない。それは私が関西人だからってこともあるが...。でも舞台となる今津線は,神戸線沿線住民だった私はほとんど乗ったことがない(笑)。

詳しくは追ってレビューするが,今日はこれから完全休養モードに入る(きっぱり)。

2015年9月19日 (土)

無理なものは無理だ(笑)

若い頃だったら絶対なかったと言い切れるが,ちょっと酒を飲んだからと言って,NYCまで来て,更なる夜遊びに行かないというオプションはありえない。しかし,そう思いながらホテルに戻ってしまった私である。今回,ミッドタウンに宿泊していることもあり,ダウンタウンまで出掛けるのが面倒ということも事実であったが,ここまで出不精になるとは思わなかった。

ってことで,間もなく帰国の途に着く私である。マジで時差ボケを解消できない滞在だったが,まぁ加齢のせいにしておこう(苦笑)。

2015年9月18日 (金)

出張者の役得(その2):Gil Evans Project@Jazz Standard

Image

NYC滞在も3日目になったが,仕事のメイン・イベントは無事終了した。ってことで,今夜は日本にいる時からこれは見逃せないと思っていたGil Evans Projectである。Gil Evansへのリスペクト十分な彼らが,Terell Staffordをソロイストに迎え,"Miles Ahead"と"Porgy & Beth"をやるってのはNYCでも珍しいはずである。

今回,Jazz Standardというクラブに行くのは初めてであったが,昔で言えばCondon'sに近いかなぁと思わせた。それよりも何よりも,私は"Miles Ahead"が好きなので,駆けつけたのは1stセットだったが,Lee KonitzやDon Sebeskyも客席にいる中での演奏は,想定通り,あるいはそれ以上のクォリティであった。「クールの誕生」から"Boplicity"で幕を開け,"Miles Ahead"から8割方の曲をやり,最後は"So What"で締めるというナイスなプログラムであった。2ndセットも隙あらばステイを狙っていたのだが,ソールドアウトでは仕方がないので,早々に引き揚げてこの記事を書いている。

こういうプログラムが聞けるのがNYCの音楽ライフののレベルの高さだが,私としては大いに満足した一夜であった。ひどい時差ボケに悩まされながらも,ライブの場では完全に覚醒している私。現金なものだ(爆)。尚,今日は写真を撮り損なったので,写真はWebから拝借した今回とは別の時の演奏の模様である。まぁ雰囲気は変わらないってことで(笑)。明日はNYC最後の夜だが,さてどうするかねぇ(行く気満々)。

Ryan Truesdell - conductor, Terell Stafford - trumpet soloist, Reeds: Steve Wilson, Dave Pietro, Tom Christensen, Alden Banta, French Horns: Adam Unsworth, David Peel, Shelagh Abate, Trumpets: Augie Haas, Tony Kadleck, Scott Wendholt, Mike Rodriguez, Andrew Neesley, Trombones: Ryan Keberle, Nick Finzer, Marshall Gilkes, George Flynn - bass trombone, Tuba: Morris Kainuma, Rhythm: Chris Ziemba - piano, Jay Anderson - bass, Lewis Nash - drums

2015年9月17日 (木)

出張者の役得: Scott Henderson@Iridium

Image_3 約4年半ぶりのNYC出張というのはすでに書いた通りだが,ここまで来たら時差ボケもへったくれもなく,ライブへ出陣である。現地時間9/16は何も行かないつもりだったのだが,9/16,17に予定されていたScott Hendersonのライブが,17日がキャンセルになったようなので,慌ててIridiumに行ってきた。裏では55BarにMike Sternが出ていたのだが,ダウンタウンまで移動する気力も時間もなく,今回はスコヘンを優先した私である。ごめんね,マイキー。

ってことで,こちらは夜も更けたので,詳しくは別途報告として,現地で撮った写真をアップしておこう。熱演中のスコヘンだが,我ながら結構なナイス・ショットである(自画自賛:笑)。

2015年9月16日 (水)

この記事がアップされる頃には..。

この記事がアップされる9/16の午前0:30には,私はNYCに着いている頃である。今回も出張でのNYC訪問であるが,なんとほぼ4年半ぶりの再訪である。こんなにも間が空いてしまったのは,私の仕事の内容の変化にもよるところが大きいが,それにしても,本当に行く機会が減ってしまった。マレーシアやら中国は結構行っているが,米国は行くことがなくなっていたが,ようやくである。

今回もせっかくの機会なので,できるだけライブにも足を運ぼうと思っているが,仕事も決して楽なものではないので,果たしてどうなることやら。しかし,前回もLage LundとAlex Sipiaginを2日連続でSmallsに見に行っているので,その気になればちゃんと行けるってことで,行ったならば,きっちりレポートさせて頂くことにしよう。

2015年9月15日 (火)

笑える(懐かしの)Richie Coleのライブ盤

Richiecolealive"Alive! at the Village Vanguard" Richie Cole(Muse)

LPが聞ける環境になって,暫く聞いていなかったアルバムを取り出しては聞いているのだが,今日はRichie Coleである。まさに時代の徒花という表現がぴったりの人になってしまったが,それでもこのエンタテインメント性溢れる演奏には,世の中の状況が暗ければ暗いほど,ニーズが高まるのではないかと思えてしまった。それぐらい,ノリだけを重視した音楽のようにも聞こえる。

こういうタイプの音楽であるがゆえに,飽きられるのも早かったってことだろうが,ここまで能天気にやってくれれば,それはそれで貴重なことではないかと思えるのだがどうだろう?全編を通じて"Dragnette"のテーマ・フレーズを連発するのはいかがなものかって気もするが,リーダー,Richie Coleに負けず劣らず,Bobby Enriquezが(いい意味で)アホちゃうか?と言いたくなるほどの弾きっぷりである。その模様は下記の画像(アルバム録音時と同一テイクと思われる,Ben SidranのYouTubeアカウントから貼り付けたもの)を見てもらえばいいのだが,こぶし,手のひら,肘による打鍵となんでもあり状態なのである。その姿を見て,思わず笑ってしまうBruce Formanであった(笑)。

まぁ,いずれにしても,記憶には残ることはなくても,私なんかたま~に聞きたくなることがある不思議な一枚。

Recorded Live at the Villaga Vanuard on June 24, 1981

Personnel: Richie Cole(as, ts), Bruce Forman(g), Bobby Enriquez(p), Marshall Hawkins(b), Scott Morris(ds)

2015年9月14日 (月)

Lizz Wrightの新譜がすこぶるよい。来日が楽しみになってきた。

Lizz_wright"Freedom & Surrender" Lizz Wright(Concord)

アルバム・リリースの情報が出回るだけで期待してしまうミュージシャンは,私にとっては何人かいるわけだが,比較的若手の中ではLizz Wrightもその中に入ってくる人である。このブログでも,彼女のアルバムは何枚か取り上げているが,"The Orchard"で初めて聞いて,現在までに出ている彼女のリーダー作はすぐに揃えたぐらいはまってしまったのであった。前作"Fellowship"ではゴスペル的なところも聞かせた彼女だが,5年ぶりの新作となる今回は,ソウル的な響きが強まっている。

そして冒頭の"Freedom"からして,これは絶対いいだろうと思わせる立ち上がりだが,その後も,この人の魅力的な声と,魅力的な曲が相俟って,これが素晴らしい出来である。もちろん,これが本人のミュージシャンとしての素養に基づくものなのは当然だが,それに加えてそれを最大限に引き出す,Larry Kleinのプロダクションが立派である。Larry Kleinは私が昨年ベスト盤の一枚に推したBilly ChildsのLaura Nyroトリビュートでもいい仕事ぶりであったが,これまたやってくれたって感じである。そして,Bee GeesのRobbin GibbとBarry GibbがもともとOtis Reddingのために書いたと言われる"To Love Somebody"(Otisは吹き込む前に亡くなってしまったらしいが...)の素晴らしい歌唱を聞いて,このアルバムへの評価は決定的となった。

Lizz Wrightは同じくKleinがプロデュースしたJ.D. Southerの最新作にもゲスト参加していたが,本作にはJ.D.との共作"Right Where You Are"が収められていて,この辺りのミュージシャンによるシンジケートみたいな関係性も面白かった。

Lizz Wrightは11月に来日することになっているが,この作品を聞いて,そのライブの場に絶対行くと決めた私である。ライブのパフォーマンスを見る価値がある歌手であるという思いを改めて強くした私である。これは今年聞いたアルバムの中でも,評価の高い部類に入ってくるアルバムだと思っている。私の音楽的嗜好との合致度も極めて高く,喜んで星★★★★★としてしまおう。やはりLizz Wright,素晴らしい歌手である。

Personnel: Lizz Wright(vo), Kenny Banks(p, key), Pete Kuzma(org), Billy Childs(rhodes), Dean Parks(g, mandolin, bazouki), Jessie Harris(g), Dan Lutz(b), Vinnie Colaiuta(ds), Pete Korpula(perc), Larry Klein(key, g), Gregory Porter(vo), Till Bronner(fl-h)

2015年9月13日 (日)

廃盤にしておくのがもったいない"Abercrombie Quartet"

Image

"Abercrombie Quartet" John Abercrombie(ECM)

LPを再生する環境が家に整って,レコードを整理していたら,これも持っていたのねぇってことで出てきたアルバムである。Richie BeirachはManfred Eicherに盾突いて嫌われた結果,参加しているECMのアルバムをことごとく廃盤にされてしまっているが,このアルバムもその憂き目にあった一枚である。だが,これを廃盤にしておくってのは実にもったいないと思わせるような作品だと,久しぶりにこのアルバムを聞いて思った私である。

John AbercrombieがRichie Beirachを擁するクァルテットでECMに吹き込んだのは,本作と"Arcade",そして"M"のはずだが,"M"は未聴ながら,いいメンツを揃えたバンドだったと思っている。だからこそ,ある意味Manfred Eicherの持つ頑迷さ(良い意味での頑固さとも言うが...)はちょっと大人げなくも感じてしまう。演奏としては,ECMにしては明確なリズムを有するものとも言えるが,なかなかにいい演奏だと思うのはきっと私だけではあるまい。やっぱりもったいないよなぁ。

Recorded on November 26 & 28, 1979

Personnel: John Abercrombie(g, mandolin), Richie Beirach(p), George Mraz(b), Peter Donald(ds)

2015年9月12日 (土)

Fred Herschのまたも素晴らしきソロ・アルバム登場!

Fred_hersch"Solo" Fred Hersch(Palmetto)

秋は音楽シーズンである。よって,9月に入ると次々とアルバムがリリースされ,夏枯れを体感した音楽ファンにとっては嬉しい季節を迎える。そして,このアルバムである。私はこのブログでも何度も書いているが,Fred Herschのファンであるから,彼の新譜が出ると聞いただけでその期待値は極めて大きくなる。そしてそれがソロ・アルバムであればなおさらである。

ライナーにもFred Hersch本人が書いているが,本作は彼にとって10枚目のソロ・アルバムだそうである。そして,そのうち4枚がライブだと書いている(但し,私の記憶が正しければ,正確には5枚目のライブのはずである)。更に本作を含む3枚(残り2枚はJordan Hall盤とBimhuis盤)はリリースを目的として録音されたものではなく,アーカイブ目的で録られたものだと言っている。だが,本人曰く,この時,Fred Herschは"In the Zone"状態,換言すればツボにはまった状態とでも言えばいいだろうか。本人自らが認めるように「いけている」状態だったということである。だからこそリリースに踏み切るということになったということだろう。

その言葉を裏付けるように,ここにはFred Herschのピア二ズムが非常に強く感じられるものとなっていて,ファンでなくても耳をそばだてざるを得ないような演奏と言ってよいものとなっている。誤解を恐れずに言えば,私はこのアルバムを聞いていて,リヒテルの弾くヘンデルのソナタのような感覚を覚えていた。そのアルバムも我が家の家宝と言ってよいような作品であるが,私はHerschのピアノに同質の響きを感じていたのである。素晴らしいピアニストは,素晴らしいということである。

まぁ"Caravan"についてはちょっと策を弄し過ぎたかなぁって気がしないでもないのが減点要因としても,全編を通してFred Herschの弾くピアノはやはり魅力的である。このリリシズムを理解できない人とは,私は一生音楽について語らえないだろうとさえ言いたくなるような見事なソロ・ピアノ。そして最後に私のまたまた大好きなJoni Mitchellの「青春の光と影」で締められては何をか況やである。星★★★★☆。

このHerschを聞いて,私はBrad Mehldauの8枚組ソロ・ライブLP(CDは4枚組らしい)への期待値がまたまた高まってしまった。早く来い来い10月16日(笑)。

Recorded Live at Windham Civic Center Concert Hall on August 14, 2014

Personnel: Fred Hersch(p)

2015年9月11日 (金)

音楽シーズンの到来:新譜ラッシュに悲鳴を上げる

出張続きで音楽をまともに聞けない状態の中,9月を迎えて,新譜が続々とリリースされていて,全然聞くのがデリバリーのペースに追いつかない。出張から帰ると家に届いていたのはFred Herschのソロ・ライブの新作,Lizz Wrightの新譜,そのLizz Wrightも参加したTerri Lyne CarringtonのMosaic Project第2弾等。ECMの新譜も全部聞けていないし,チェコから届いたアルバムもまだ手つかずなのに,これは結構焦る。

来週はNYC出張を控え,ますますバックログが溜まっていきそうな気がする。困ったものだ(苦笑)。まぁぼちぼち記事をアップをしていこうと思うが,さてどうなることやら。まずはFred Herschから聞きますかねぇ。

2015年9月 8日 (火)

ECMの新譜聴き:2枚目はDominique Pifarélyである。

Dominique_pifarely"Time Before And Time After" Dominique Pifarély (ECM)

先日のStefano Battagliaに続くECMレーベルの新譜聴きの2枚目はこれである。無伴奏ヴァイオリンということで,私としてはついついバッハやバルトークを想起してしまうが,ここではかなり現代音楽的な響きが強く,これをジャズにカテゴライズすることには結構抵抗がないわけではない。だが,それはヴァイオリンという楽器による印象も強いところがあるので,フリー・インプロヴィゼーションと考えれば,ジャズだと言っても別に問題はないとも言える。最後には"My Foolish Heart"も入っているし。

そうは言っても,ヴァイオリンという楽器は,やはりクラシック音楽における位置づけの方が重いため,この響きを聞くだけでも,駄目な人は駄目だろうと感じざるをえない。しかも,ここで演じられる音楽は,現代音楽に抵抗がある人にとっては,かなり難解に響いても仕方がないものであろう。しかし,音楽に関しては何でもありの私にとっては,決して聞きやすいものではなくても,こういうのもありだなぁって感じで聞いていた。

このアルバムは2か所で録音されたライブ音源を集成したものであるが,一人のプレイヤーが演奏しているのだから,その質にはブレはないとしても,こういう音楽を「敢えて」「好んで」聴くって人はそうは多くないだろうと最初から思わせる。冒頭の音なんか聞いていると,バッハの無伴奏的だなぁなんて思っていても,どんどんもっとアブストラクトな感覚を示していくのは今の時代だから仕方がないだろうなぁ。

そういうことで,本作はかなりハードルの高い音楽であることには間違いないが,それでもこういう音楽をちゃんと聞かんといかんという時もある(きっぱり)。星★★★☆。でも一般人には絶対面白い音楽ではないので為念(笑)。

Recorded Live in September 2012 and February 2013

Personnel: Dominique Pifarély(vln)

2015年9月 7日 (月)

続けて休日のLP聴き:"All This And World War II"ってどれぐらいの人がわかるだろうか。

Allthisandworldwarii"All This And World War II" Various Artists(Warner Brothers)

これは映画「第二次世界大戦」のサウンドトラック盤としてリリースされたものだが,一時期サントラ盤は話題になったものの,実際に映画が公開されたかは私の記憶にはないし,どれだけの人がこの映画のことを認識しているかも相当怪しい。ではなぜ,サントラ盤だけが話題になったかと言えば,豪華なアーチストがBeatlesナンバーをカヴァーしたものだからである。

正直言って,どういう人選なのよ?って人も含まれているが,私にとってはRod Stewartの"Get Back"やPeter Gabrielの"Strawberry Fields",更にはTina Turnerの"Come Together"が聞けるってことがこのアルバムの重要性である。特にRod Stewartの"Get Back"のカッコよさが私にとっては白眉と言ってもよい。私が買ったのは中古のサンプル盤であるが,確か購入したのは今は亡き町田の「オスカー」だったはずである。今にして思えば,「オスカー」っていい店だったなぁと思うが,これはLP専門に近かった町田第一小学校側の店で買ったはず。ローカルな話だが,私が町田に住んでいた頃は,結構世話になったものである。その当時も,なかなか手に入りにくいアルバムだったので,あまりサンプル盤は買いたくないと思っている私でもついつい買ってしまったのであった。今や,本作もCDで再発されているので,入手は難しいわけではないが,多くの曲でロンドン交響楽団とロイヤル・フィルハーモニックが伴奏で大きな役割を果たしながら,有名どころがBeatlesに取り組むのは結構豪華と言うか,面白い作品である。

もちろん,アーチストは多岐に渡っているので,全部が全部趣味ってわけではないが,まぁこういうアルバムが作られたってことが面白くも懐かしい私であった。今回,久しぶりに通しで聞いたが,やっぱり一番いいのはRodだったように思う。当然,これを聞く前にBeatlesを聞いているというのが理想だが,ここから入って,Beatlesをちゃんと聞くというオプションも,本作がリリースされた頃にはありえたなと今になって思う私である。星★★★★。

Musicians:Ambrosia, Elton John, The Bee Gees, Leo Sayer, Bryan Ferry, Roy Wood, Keith Moon, Rod Stewart, David Essex, Jeff Lynne, Lynsey De Paul, Richard Cocciante, The Four Seasons, Helen Reddy, Frankie Laine, The Brothers Johnson, Status Quo, Henry Gross, Peter Gabriel, Frankie Valli, Tine Turner, Wil Malone & Lou Reizner

2015年9月 6日 (日)

休日のLP聴き:Mike Breckerがストレートに吹くMike Nock盤

Mike_nock_2"In Out And Around" Mike Nock(Timeless)

最近,記事の更新を怠ることの多い私だが,週末ぐらいはちゃんと記事をアップしようってことで,先般セットアップしたレコード・プレイヤーを使ってのアナログ盤聞きである。今日はMichael Breckerがワンホーンで吹くMike Nock盤である。

振り返れば,私はMichael Breckerを毛嫌いしていた。それはKeith Jarrettを苦手としたとか,そういうのと同じレベルでの生理的な反応(笑)と言ってもよいのだが,年齢とともに,音楽の嗜好,あるいは捉え方が変わり,BreckerやKeithに対して昔とは全然違う反応を示すようになったのは,我ながらちょっと恥ずかしい。だが,今はちゃんと魅力もわかるようになったからよしとしよう。

In_out_and_aroundこのアルバムは,ここ暫くご無沙汰している高田馬場Milestoneで入手したもののはずだが,CDも先般1,000円のシリーズでも出ているので,音源としての入手は全然難しくはない。それでも現在にCDジャケとのギャップの大きさには笑えてしまう(上がLP,下がCD)。どっちがいいかはさておき,確かにLP版のジャケでは,中古盤屋で漁っていても,手が止まることはないかもしれないなぁ(笑)。

だが,本作はワンホーンというセッティングにおいて,Michael Breckerのテナーの吹きっぷりが十分楽しめるところが,このアルバムの魅力となっていることは間違いないところだろう。それを実現させたのがMike Nockの粒の揃ったオリジナル,更にはメンツによる好演ではあるが,Breckerについつい魅かれてしまうのが一般人の限界である。冒頭と最後に収められた急速調の2曲(なぜか,LPとCDはこの2曲の順番が入れ替わっているようだが,単なる曲名の間違いかもしれない...)はもちろん,バラッド表現でもなかなかいけているところを聞かせるBreckerである。星★★★★。

このアルバムはそれこそMilestoneのようなジャズ喫茶で聞いたことはあったかもしれないが,今回,ちゃんと聞いてみて,へぇ~と思っていた私である。やっぱり温故知新なのである。

Recorded on July 7, 1978

Personnel: Mike Nock(p), Mike Brecker(ts), George Mraz(b), Al Foster(ds)

2015年9月 5日 (土)

物凄い集中力で演じられるStefano BattagliaによるAlec Wilder集

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"In the Morning: Music of Alec Wilder" Stefano Battaglia Trio (ECM)

またも更新が滞ってしまったが,今日は先日リリースされたばかりのECMレーベルの新作から。Stefano BattagliaはいかにもMafred Eicher好みのピアノを弾く人だと思うが,今回はAlec Wilderの曲ばかりを演奏したライブ盤である。

そもそもAlec Wilderの曲で有名なのって"Moon And Sand"ぐらいではないのかと思えてしまうが,それは私の不勉強ゆえってところもあるだろう。だが,一般的なポピュラー音楽の世界で,Alec Wilderの曲集をやってしまうのって結構珍しいのではないか。私が知っているのはVic Juris 盤とDave Liebman盤ぐらいだが,その両方にLiebmanが絡んでいることからして一筋縄ではいかない(笑)。

そんな訳で,Alec Wilderの音楽に詳しくない私がこのアルバムを聴いてどう思うかだが,正直知ってるメロディ・ラインはほとんどないから,Stefano Battagliaのオリジナルと言われれば,そう思ってしまう演奏である。結局はAlec Wilderの曲は素材に過ぎないと言ってしまってもよいように思える。時にフリーなアプローチも交えて,いかにもECM的な響きなのである。

だから,ECMレーベル的なピアノ・サウンドを好きなリスナーにとっては,非常に受ける音だろう。美しさと静寂と叙情がライブの場で体現されているところに,私は驚きさえ感じる。そして,ライブの場でのこの集中力たるや半端ではない。かつライブと思えないほど,リアルなサウンドで捉えられているところも素晴らしく,エンジニアであるStefano Amerioの貢献も大きいと思えた。まぁ,モダン・ジャズ的なスリルとは異なる世界だとしても,やはりこういう音楽の磁力は強烈。本当にこのレーベルには素晴らしいピアニストが揃っていると思う。星★★★★☆。

Recorded Live at Teatro Vittoria, Torino on April 28, 2014

Personnel: Stefano Battaglia(p), Salvatore Maiore(b), Roberto Dani(ds)

2015年9月 3日 (木)

またも更新が滞る...。

またまた,出張が立て込み,記事の更新が滞っている。ECMの新譜も届いているのだが,まだ一枚しか聞けていない。こうして,ブログってフェードアウトしていくのか?なんて思ってしまうが,やめるつもりは毛頭ない。でも,記事を書いている余裕がない。これも移動中の列車で書いているってのもどうなのかねぇ。

2015年9月 1日 (火)

Wayne Escoffery@Cotton Club参戦記

Wayne_escoffery_iTom Harrellのバンドでもお馴染みのWayne Escofferyが自身のクァルテットで来日するということで,Cotton Clubに行ってきた。一部の人間にはお馴染みでも,一般的なリーダーの知名度のほどはよくわからないわけだが,バックにはDavid KikoskiとRalph Petersonがいるということで,これはそもそも結構激しいだろうと思っていたが,思った通りであった(笑)。

とにかく,Ralph Petersonが叩きまくりであり,ニュアンスとかはどうでもいいというような演奏であった。とにかくパワーで押しまくる。武道館でのハード・ロックのライブの後のような,耳への刺激と言っても過言ではない激しさなのであった。そして,David Kikoskiはハードなフレージングやコンピングを繰り出し,これもかなりの弾きまくりモード。ベースのDarryl Hallは堅実に,かついい音でバックを支えていて,こういう人がいないと身体も演奏ももたんという感じであったが,その中で,リーダー,Wayne Escofferyは冷静ながら,ナイスなフレージングを聞かせ,ハード・ブローイングでも,バラッドでも非常に実力の高いところを示していて,私は大いに楽しませてもらった。みんないい仕事ぶりだったのだ。

こういう非常にいいバンドによるライブにもかかわらず,集客は決して芳しいものではなく,今日の2ndセットは半分入っていたかどうかっていうところなのは誠に惜しい。しかし,彼らは手抜きなく,いい演奏を聞かせていたと思えるところが,プロのプロたる所以である。私は十分元を取らせてもらったと思っているし,久しぶりにハードなノリに身体が揺れてしまったと告白しておこう。

ということで,いつものように「Wayne Escofferyと私」という写真と,本日の戦利品の一部をアップしておこう。それにしても,Wayne EscofferyとDarryl Hallはマジでナイス・ガイ,David KikoskiとRalph Petersonは明るいオッサン軍団という感じで,彼らとの会話も楽しんだ私であった。ちなみに,Ralph Petersonは私のライブ・メイトのイタリア・ジャズの女神さまをすかさずFB Messengerで口説いていたのはご愛嬌。っていうかやり過ぎ(爆)。

Live at Cotton Club東京 on August 31, 2ndセット

Personnel: Wayne Escoffery(ts), David Kikoski(p, rhodes), Darryl Hall(b), Ralph Peterson(ds)

Cd

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