非常によく出来た映画だった「イミテーション・ゲーム」
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密("The Imitation Game")」('14,英/米,Black Bear Pictures)
監督:Morten Tyldum
出演:Benedict Cumberbatch, Keira Knightly, Mathew Goode, Rory Kinnear, Charles Dance
会社の休みを使って,平日に映画を見に行けるのは大変にいいことである。今回は2本に留まったが,あまり見たい映画もなかったので,まぁしかたがないということにしよう。そして,先日の「博士と彼女のセオリー」に続いて見に行ったのがこの映画である。結果から言えば,こっちの方がはるかに面白かったというのが実感である。
私が「博士と彼女のセオリー」を評価できなかった最大のポイントがシナリオの弱さだったが,この映画は逆で,3層構造のドラマとして,非常によく出来ているのである。映画冒頭のタイトル・ロールの背後で流れるBenedict Cumberbatchの独白の意味は,追って明らかになるが,主人公Alan Turingの学生時代,戦中,戦後を交錯させながら展開するストーリーには,私は文句のつけようがなかった。これならオスカーの最優秀脚色賞を獲得したのもうなずけるというものである。演技についても,Benedict Cumberbatchは難しい役柄を演じ切っており,私はオスカーを取ったEddie Redmayneよりもよかったと思ったぐらいである。
世の中にはいろいろなことがあるものだというのは,歴史が明らかにしてくれることではあるが,こんなことがあったのねぇという感慨も与えるのが,実話に基づく話の強みである。正直言って,Alan Turingという人は,エキセントリック一歩手前みたいなところもあったのかもしれないが,天才となんとかは紙一重という部分もあると思えば,頷けてしまう部分もある。
正直なところ,暗号解読に至る過程は,映画に描かれたもの以上のものであったことは想像に難くないが,適切な時間にドラマとして収めたことが何よりも評価したくなるポイントである。シナリオもよかったが,ノルウェイ出身のMorten Tyldum監督の手腕も大したものだと思ってしまった。これが初の英語圏フィルムらしいが,これならばどんどんオファーが飛び込むに違いないと思わせる「そつのない」演出であった。いずれにしても,私はこの映画はかなり好きである。多くの人に勧めたくなる映画であることは間違いない。星★★★★☆。
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中年音楽狂さま
遊びにいらしていただいて恐縮です。
こちらもリンクさせていただきます。
Benedict CumberbatchはBBCのシャーロック・ホームズの
演技も印象的でした。
よろしくお願いします。
投稿: kuramae2010 | 2015年3月31日 (火) 18時30分
kuramae2010さん,おはようございます。返事が遅くなり,申し訳ありません。リンクのご承認ありがとうございました。
当方もさっそくリンクを張らせて頂きます。これからもよろしくお願いします。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年4月 2日 (木) 08時24分