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2014年10月14日 (火)

「く~っ」としか言えなかったMarcin Wasilewskiの新作。たまらん。

Spark_of_life "Spark of Life" Marcin Wasilewsuki Trio with Joakim Milder(ECM)

常々からECMにおけるMarcin Wasilewskiの作品の素晴らしさを喧伝してきたつもりの私である。そんなWasilewskiの新譜であるから,期待するなって方が無理である。そもそも,今年は既にJacob Youngのバックでいい仕事を聞かせていたこともあり,このアルバムのリリースが告知された段階で,私としては最大級の期待を寄せてしまった。ただ,今回はテナーが入るというのが唯一の不安要因であったが,冒頭の"Austin"を聞いた瞬間から,そんなことはどうでもよくなった(笑)。

この"Austin"を聞いて,「おぉっ!」とならないMarcin Wasilewskiのファンはいないはずだと断言したくなるほど,まずこれで心を鷲掴みにされてしまった私である。これだけで,「もうどうにでもしてっ」と言いたくなる(爆)。2曲目の"Sudovian Dance"になってテナーのJoakim Milderがジョインしてくるが,これが昔のECMならJan Garbarekが吹いていたのではないかと思わせるような感じの曲だが,Milderのテナーは名前の通り(?),Garbarekよりずっとマイルドである。だが,そんなことは関係なしに,また,サックス奏者がGarbarekであろうがなかろうが,こうしたトーンがECMレーベル好きにはたまらないのだ。

全編を通じて,そんな感覚が溢れているし,テナーも全面参加ではないのだが,意表を突いた選曲もある。まずはSting,あるいはPoliceと言うべきかもしれないが,"Message in a Bottle(孤独のメッセージ)"を演じていること,更にびっくりするのがHerbie Hancockの「ど」ファンク・ナンバー"Actual Proof"をやっていることである。どちらにもテナーが入っていないことが象徴的ではあるが,前者は比較的静謐な感じでやっている一方,後者はほんまにこれがWasilewskiか?と思わせるようなタッチとも感じさせる。逆に言えば,このアルバムのコンセプトとの対極にあるようなのが"Actual Proof"って感じがするが,アルバムの中のアクセントと考えれば,これはこれでありだと思える。ただ,どうやってもHancockとは別の世界になってしまうのが彼ららしいところだが,それでもこの曲だけは「なんでやねん?」という突っ込みが入っても仕方があるまい。おそらくは,過去において,Wasilewskiトリオの面々に多大な影響を及ぼしたがゆえの選曲っていうのが実態だろう。こういう選曲をしてしまうところには,Brad Mehldauにも通じる部分があるように思える(贔屓の引き倒し?)。

だが,いずれにしても,このアルバムがECMレーベルを愛好するオーディエンスのみならず,より多くの人々に訴求しうる音楽であるということは間違いのない事実である。これは私がMarcin Wasilewskiというピアニストを高く評価しているだけではなく,このトリオ(+1)の演奏が本当に優れた美学を表出しているからである。正直なところ,前回の来日公演ではちょっと裏切られたっていう感覚もあったが,この世界であれば,全然問題なしである。再来日とその時のより優れたライブ演奏への期待も込めて星★★★★★としてしまおう。やっぱりこの人たち,最高である。私はMarcin Wasilewskiトリオの演奏が嫌いだという人と,多分一生話は合わないだろうなぁ(笑)。

Recorded in March, 2014

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz(ds), Joakim Milder(ts)

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コメント

聞きました。サックスが入っても(サックスが入るのはManu Katcheとの共演でも聞いていますが)全く変わらない、夜の湖に水滴の落ちる音が波紋と共に円心状に広がるようなピアノの響き。いいですねえ。しかし、このトリオも、Keith Jarrettの猫が首を絞められているような声ではないものの、誰かがかすかにスキャットしたり唸ったりしますねえ(笑)。

わたしも 「く〜」となりました。
つうか、ずっと、「く〜」っていったままで 今にいたってしまいました。

ミルダーが入っても その景色が変わることはなかってですね。
また、来日してほしいです。

カビゴンさん,こんばんは。

「夜の湖に水滴の落ちる音が波紋と共に円心状に広がるようなピアノの響き」とは,まさにおっしゃる通りだと思いますが,これって,実現は難しいですよね。

ありえない比喩に共感頂きありがとうございます(笑)。暗がりで響き渡るようなピアノの音色、ということなのですが、それは湖の様な広いところで拡がっていく、即ち液体的な広がりを感じさせます。生音でもこんな音を出すのか、一度ライブで聞いてみたいものです。

Suzuckさん,こんばんは。TBありがとうございます。

私も「く~っ」って言いっ放しでしたねぇ。やはりこの人たち,レベルが違う。だからこそ,次回こそライブでこういう音楽を再現して欲しいものです(と前回のライブに辛口な私)。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

カビゴンさん,こんばんは。「液体的な広がり」...。なるほど。

私は前回の来日時に彼らのライブを見たんですが,あの時はPAの失敗があり,彼らの実力を垣間見ることはできたとしても,満足がいくものではありませんでした。次はクラブでやって欲しいですねぇ。Cotton Clubがいいなぁ(笑)。

閣下、、笑った!

わたしも 先ほど同じようなコメントを我がブログでいたしました。
あの時、かわいそうだったですよね。
続けて、ヘルゲ リエンをピットインできいてるのですが、
彼らのPAは「く〜」ってほど完璧なお仕事でした。

良かったですねえ。しばらくの間、最近のECMのCDで何か1枚を、と言われた時のアルバムにすることに、決めました。とっつきやすいんだけど、中盤以降、マニアックな側面も隠し持っているような感じですし。いいアルバムに出会いました。

TBさせていただきます。

Suzuckさん,こんにちは。返事が遅くなりました。

私は聞いていませんが,Helge Lienはライブにもエンジニアを連れてきているって話もあって,そういうところの違いが出たんではないですかね。いずれにしても,あのライブでのオノセイゲンの仕事っぷりはダメダメというそしりは免れないでしょう。

ライブの場でも「く~っ」となりたい私です(笑)。

910さん,こんにちは。TBありがとうございます。

おっしゃる通り,ここ暫くはECMらしさを代表する音源として誰にでも推せますよねぇ。やはりこの人たち,素晴らしい実力者です。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

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