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2014年8月 6日 (水)

遅くなってしまったが,Fred Herschの新譜である。

Floating_fred_hersch "Floating" Fred Hersch(Palmetto)

今年の4月に来日し,素晴らしい演奏を聞かせてくれたFred Herschであるが,来日メンバーと同じトリオでの新譜がリリースされてから、しばらく時間が経ってしまった。いつもなら、いの一番に記事をアップしていてもよさそうなものであるが,どうも冒頭の"You And the Night And the Music"がピンとこなくて,次に続かないというような状態が続いていたのだが,その1曲も何度も聞いていると,段々に耳に馴染んでくるから不思議なものである。それでもこれがFred Herschらしくない演奏と言えばそう言えなくもないので,このハードルを越えるまでが長かったと言ってもよい。

そして,2曲目のHersch作のタイトル・トラックになると俄然Fred Herschの音になっていき,その音に引き込まれてしまうリスナーは多いのではないか。3曲目~8曲目もHerschのオリジナルだが,各々の曲が"For..."というかたちで誰かに捧げられた曲となっているが,各々の所以がライナーに書いてある。それによれば,"West Virginia Rose"はウエスト・ヴァージニア出身で花に由来する名前を持つ彼の母と,その母(つまり祖母)に捧げられたものである。4曲目の"Home Fries"はベーシスト,John Hébertに捧げられているが,彼がルイジアナ出身であることから,ニューオリンズ風のセカンド・ラインの感覚を打ち出したものだと書いている。5曲目の"Far Away"はイスラエル出身の夭折のピアニスト,Shimrit Shishanに捧げられた美しいバラッド。6曲目"Arcata"はオレゴン州にほど近い北カリフォルニアの町の名前だそうだが,オレゴン州ポートランド出身のEsperanza Spauldingに捧げられている。HerschとEsperanzaって全然結びつかないが,Herschは彼女のクールなベース・ラインが好きだと言っている。7曲目"A Speech to the Sea"はカヴァーを飾る写真のタイトルと同じだが,そのインスタレーションを日本海に仕上げたフィンランドの芸術家Maaria Wirkkalaに捧げられている。そして8曲目はKevin Haysに捧げた"Autumn Haze"と言った具合である。

Herschがライナーにも書いているが,このCDは通常の彼らのライブのセッティング同様の並びとなっていて,それはスタンダードで幕を開け,オリジナルを何曲かやって,最後から2番目の曲はポピュラー・ソングのバラッド,そして最後はMonkで締めると言うものである。そう言えば,4月のライブもそうなっていたと振り返って気がつく私である。

それにしても,やはりHerschのピアノは美しい。例えば,"If I Ever Leave You"を聞いて,いいと思えない人とは私は話したくない(笑)。この人の音楽に痺れることは,彼がBrad Mehldauのメンターであるということはさておき,私がHerschのピアノそのものに惚れてしまっているからだということだが,いつも質の高い音楽を提供してくれてありがとうと言いたくなってしまう出来である。そういう意味では,彼の繊細なタッチを期待する身からすると,"You And the Night And the Music"の浮いた感覚はちょっと惜しかったなぁって気がする。私が聞いたライブでは"From This Moment On"だったが,それがHerschぴったりと思わせたことに比べると,この冒頭の1曲に違和感があったのは事実なのである。しかし,全体を通して聞けば,やはり現在,最も信頼できるピアニストの一人であることを見事に実証した一作。星★★★★☆。やっぱりFred Herschは素晴らしいのである。こうなったら,約束通り来年も来てねと言いたい。

Personnel: Fred Hersch(p), John Hébert(b), Eric McPherson(ds, perc)

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コメント

お忘れになったのではと心配になっていましたが、漸くUpされましたね。最初の曲の出だしにあれっとなるのも含め同感ですが、私は、Fred Herschの最高傑作かと思い始めました。命を削るかのような「Live at Bimhaus」のSoloも良いのですが、Pianoが走り、歌い、踊る、力強い今作はまるで(ジャンルは異なるものの)最期のAbbadoを聞いているようです。このTrioは以前のDrew Grass・Nasheet Waits以上に強力ですね。

 私もこのアルバムをブログで取り上げたところなんですが・・・・、やっぱりアルバム・タイトルの曲"Floating"の世界が好きなんですね。おっしゃる"If ever i would leave you"は、私の独断感覚では、彼の人生観を語っているようで、引き込まれます。しかしこのアルバムは全てに於いてハイレベルのピアノ・トリオ・ジャズを展開していると思っています。

カビゴンさん,こんばんは。決して忘れていたわけではありませんよ(笑)。

このトリオ,HébertとMcPhersonのバックアップの仕方が控え目ではあってもツボは押さえているって感じですかねぇ。Cotton Clubでこのトリオを見た時もそう思いました。このまま,元気に活動を続けて欲しいものです。

風呂井戸さん,こんばんは。TBありがとうございます。

そうですよねぇ。タイトル・トラックいいと思います。全編聞き通しても,その美的感覚がぶれることはないですし,非常にレベルの高い演奏であることは間違いないと思います。

追ってこちらからもTBさせて頂きます。

閣下、、

閣下もごゆっくりだったのですね。とらば、ありがとうございます。
私は、何の不服も無く、すぐにあげるつもりだったのですが、、タイミングが。。
とても、素晴らしいアルバムで、ハーシュの美意識がびっちり詰まったアルバムだとおもいました。

しかし、、話題の新譜もどんどんでるし、、話題の来日も沢山あるし。。
やっぱり、新潟に住んでるって つらいな。笑

Suzuckさん,こんばんは。TBありがとうございます。

ゆっくりというか,1曲目でつまづいてました(爆)。でもこれはナイスなアルバムですね。いい~んです(川平慈英風)。

新潟はまだ近いからいいじゃないですか。宇都宮まで行ってしまうフットワークがSuzuckさんらしいですな。またGrossmanのライブあたりでお会いしましょう(笑)。

1曲目をどうとるか。。
馴れるまで聴き込むか、とばしちゃうか(笑)
自分は、後者をとっちゃってますが、もったいないことかもしれません。
2曲目以降は、Fred Herschの魅力全開、安心して身を委ねて聴いてました。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

音楽狂さん、こんにちは。
相変わらずお忙しそうですね。
僕も1曲目は特にピンとこなかったくちで、最初のうちは2曲目から聞いてました。アルバムの真ん中くらいにあったらさほど違和感無かったと思ったりしています。
ソロのピアノの1音1音突き詰めるようなものをトリオに期待してしまったせいか、ふんわりとしたメロディーが多いせいか、原に落ちるのに時間がかかりそうです。
勝手ながらリンク貼らせて頂きます。
http://musicpromenade.blogspot.com/2014/06/fred-hersch-trio-floating.html

oza。さん,こんばんは。TBありがとうございます。

同じような感覚の方はいらっしゃるんだろうなぁとは思っていました,やっぱりそうですよねぇ(苦笑)。私はいきなり冒頭の"You And the Night And the Music"を聞いて,すかさず「いい!」とは言えませんでした。それが私の審美眼の限界かもしれません。でも慣れますよ(きっぱり)。

とっつぁんさん,こんばんは。リンクありがとうございます。

おっしゃられる感覚は非常によくわかります。ですが,このアルバム,聞いていくうちに違和感は薄れました。是非繰り返しお聞きになってみて下さい。まぁ,2曲目から聞くのもオプションではありますが(笑)。

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