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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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2014年4月30日 (水)

私としては微妙な出来だったSeamus Blake~Chris Cheek盤

Reeds_ramble "Reeds Ramble" Seamus Blake & Chris Cheek(Criss Cross)

Seamus BlakeとChris Cheekと言えば,Bloomdaddiesを名乗って,変態ファンク的な演奏をしており,今回,このアルバムのリリースがアナウンスされた時も,結構激しくやるのではないかという期待のもとに購入した私であったが,冒頭のChico Buarque作"Na Carreira"を聞いただけでずっこけた。Bloomdaddiesと違い過ぎるではないか。私はSeamus Blakeのサイトで,CDリリースがされていないBloomdaddiesの"Racer X"をダウンロードして聞いていただけにそのギャップが大き過ぎるのである。

思うに,最近,私はSeamus Blakeの演奏に魅力を感じられなくなっているということも事実である。メンツ的には結構魅力的なOpus 5での演奏も大して面白くないし,Rodney GreenのSmallsでのライブ盤にも書いたとおり,「以前のSeamusのような熱い感覚があまりない」のである。Seamus Blakeはまだ43歳である。まさに脂の乗る年齢と言ってよいはずだが,最近はどうも私に訴求して来なくなってしまった。

そういう思いもありながら,まだSeamusには期待できると思っている身としては,実はこのアルバムには大いに期待していたのである。ジャケもいい感じだし,ピアノはBad PlusのEthan Iversonである。私としてはもっとガンガンやった演奏をと願っていたのだが,それは冒頭から正直なところ裏切られたと言ってよい。いつまで経ってもブリブリやってりゃい言ってもんでもないという考え方もあるだろうが,やはりリスナーの持つ(勝手な)イメージというものから乖離していくと,それがミュージシャンとしてのやり方,あるいは生き方だとしても,リスナーは追い掛ける気をなくすと言ってもよいはずだ。

もちろん,Seamusにしても,Chris Cheekにしても,ソロのフレージングには彼らの個性を示しつつ,優れた演奏を聞かせている部分もあるとは思う。特にブルージーな展開でのソロはいいと思う。だが,どうなのだろうか?ソロはそれぞれに聴きどころはあっても,彼らの演奏が全体としてこのレベルに留まっていいとは思えないし,もう少し突き抜けた感覚がないと,こちらとしても高揚感に欠けてしまい,全編を聞き通すのに難儀してしまうのである。極論すれば,この程度の演奏を聞かされるぐらいなら,私はGene AmmonsとSonny Stittのバトルを聞いている方がずっと楽しめる。

いずれにしても,私はSeamus BlakeとChris Cheekに静かな対話なんて期待していないので,この作品についても当然辛口に評価せざるを得ない。星★★。彼らの名誉のために言っておけば,ソロはそこそこいけているのだが,全体的なプロダクションが気に入らない。これはレーベルのオーナー,プロデューサーのGerry Teekensの限界という気がしないでもないが,昨今のように確率50%以上で裏切られるようでは,もうSeamus Blake参加だからと言って,アルバムを買うことはないときっぱり宣言させてもらう。本当にがっかりである。なんだか可愛さ余って憎さ百倍って感じになってしまった。

Recorded on April 4, 2013

Personnel: Seamus Blake(ts), Chris Cheek(ts, ss), Ethan Iverson(p), Matt Penmann(b), Jochen Rueckert(ds)

2014年4月29日 (火)

TOTO@武道館!いいバンド,いいライブであった。

Toto1 私はTOTOの熱狂的なファンってことでもないのだが,アルバムはそこそこ持っているし,やはり同時代を過ごしたということもあり,一度はライブを見てみたいと思っていた。そして今回が初のTOTOライブである。先日のJeff Beckといい,今回のTOTOといい,何を今頃やってんだかと言われれば,その通りである。だが,最近,ライブ生活を結構過ごしている中で,そういう機会を活かさねばと思っている私である。

そして,今回の会場は武道館だが,追加公演が東京ドームシティ・ホール(そっちの方がいいに決まっている)ってのは反則だなぁと思いつつ,まぁ今回はそんなに悪い席でもなかったのでよしとしよう。それでもって,彼らの音楽は私の世代の耳には馴染み深いところがあることを別にしても,やっている音楽の現役度は極めて高い。特にSteve Lukatherのバリバリ弾きまくりには大いに興奮させられた。ヴォーカルを入れて6人編成のバンドとして(コーラス隊は除く),この音の分厚さは大したものだと思ったが,Lukatherのギターがやはりこのバンドのキモであることは間違いない事実である。曲も懐かしいものを多数やっているのだが,郷愁にひたるというよりも,完全にロックなのだ。それが何よりも素晴らしい。

そんなバンドの演奏を支えたのがNathan EastとKeith Carlockという超絶リズム隊であることは間違いない。特にKeith Carlockの超ヘヴィーな猛爆ドラミングは,TOTOというバンドにフィット感が十分であり,Simon Phillipsの穴は完全に埋めていると思った。いや,むしろSimon Phillipsよりフィットしているのではないかとさえ思える叩きっぷりであった。John Mayerと来た時には,かなり遠慮がちに叩いているように思えたCarlockだったが,今回は大爆発である。このタイトなドラミングは非常に効果的だったと思う。そして,Nathan Eastにもスキャット・ヴォーカルを取らせて,華を持たせるところはさすがであるが,前任のLee Sklarが音はさておき,見た目的にフィットしていないのに対して,Nathan Eastならまぁ問題ないってところだろう。だが,今回のライブを更によくしたのは私は絶対にKeith Carlockだと思っている。

Toto2 曲はそれぞれよかったが,"99"のアコースティック・ギターが今イチ感があった程度で,あとは十分に満足行くレベルだろう。いずれにしても,ほぼ全国的にソールド・アウトらしい今回のライブ,ソールド・アウトになっても当然と思わせるプロの仕事ぶりを堪能した私である。まぁ,David Paichはひょうきんな太ったオッサン化していたが,まぁそれはそれ。みんないい歳なのに頑張るTOTOであった。今回は撮影OKだったので,iPhoneで撮った写真をアップしておこう。小さなサイズで見ている限りは結構よく撮れているが,拡大すると画像が粗いのは仕方ない。

ちなみに,こんなライブの場である。帰ろうとしていたら,私の高校時代の同級生に偶然遭遇である。まぁ同年代だけに彼が来ても,私がいても不思議はないが,世間はやっぱり狭いねぇ。でもびっくりしたなぁ。

Live at 日本武道館 on April 28, 2014

Personnel: Joseph Williams(vo), Steve Lukather(g, vo), David Paich(key, vo), Steve Porcaro(key, vo), Nathan East(b, vo), Keith Carlock(ds) and Chorus

2014年4月28日 (月)

非常によくできていた「アナと雪の女王」

Frozen 「アナと雪の女王("Frozen")」('13,米,Disney)

監督:Chris Buck,Jennifer Lee

声の出演:Kristen Bell,Idina Menzel,Jonathan Groff,Josh Gad

巷で大ヒットしているこの映画(字幕版)を遅ればせながら娘と見に行ってきた。私はディズニーのシンパでもなんでもないが,この映画については見事なものだと思った。正直言ってしまえば,やや性急に走るストーリーや,ハンスの劇中での位置づけ等,脚本には若干の瑕疵があるのも事実である。だが,そうした瑕疵が問題と思えなくするほど,この映画は面白くできている。

まず映像が素晴らしい。CGで描くにしても,雪のシーン,特に積もった雪の質感を表現するのは非常にハードルが高いのではないかと思えるのだが,それが非常に自然なかたちで映像化されている。そして,歌がよい。劇中においていろいろなタイプの歌が歌われるが,そのどれもが非常に印象に残る。そして,キャラクターの設定の中で,Josh Gadが演じた雪だるまのOlafが無茶苦茶面白くて笑える。そして,ちゃんと感動させる筋書きも準備してあるから,これは鑑賞する観客の年齢層に関わりなく,相応に楽しめてしまうはずである。

今回,この映画を見て,この映画がオスカーを取るのは当然だと思った。宮崎駿の「風立ちぬ」が悪いとは言わないが,ここでの主人公のアナのキャラクターは極めて「アメリカ的」で,造形がわかりやすかったことが有利に働いたところもあるようには思えるが,映像や音楽を総合しても,これでは「風立ちぬ」に勝ち目はないとつくづく思ってしまった。

いずれにしても,この映画は総合的に見ても非常に楽しめるエンタテインメントであり,高く評価するに値する。私も大した数ではないにしろ,何本かディズニーのアニメは見ているが,その中ではこれが一番楽しめたかもしれない。アニメーションにこだわらずとも,純粋な映画として考えても,これは相応に評価したいと思う。星★★★★☆。これならヒットするのも当然である。

尚,今回,非常に珍しいと思ったのだが,ほぼ満席に近い劇場において,エンド・ロールで席を立つ観客がほとんど皆無であったことである。これはおそらくではあるが,劇場に相当数のリピーターがいたのではないかと思わせる出来事であった。私は日頃から映画を見る時は,エンド・ロールが終わるまで決して席を立たない主義だが,さっさと立って帰るせっかちな観客が多くて辟易とする日本の映画館においては,こんなことは初めてであった。おそらく皆さん,エンド・ロール後のワンシーンも認識しているからそういう行動になるのだろうと思うが,リピーターをこれだけ呼びこむとすれば,ディズニーの戦略は「ランド」でも映画でも同じってことになる。やはり凄い会社である。

2014年4月27日 (日)

Ben Watt,31年(!)振りの新作:変わらぬ瑞々しさ。

Hendra "Hendra" Ben Watt(Unmade Road)

31年前に出たBen Wattの"North Marine Drive"は所謂ネオアコの名盤として,多くの人の記憶に残っているはずだが,その後のEverything But the Girlとしての活動も素晴らしかったので,31年振りのソロ・アルバムと言われてもピンと来ない部分もあるのだが,ソロ名義としてはその"North Marine Drive"以来というのはいずれにしても凄いことである。このブログでも私は"North Marine Drive"に先立つ"Summer into Winter"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,いずれにしても好きなミュージシャンの一人である。だが,近年はDJとしての活動に軸足が置かれていて,EBTGの音を懐かしむことが多くなっていた私にとって,このアルバムは本当に待望というか,大きな期待をかけてそのリリースを待っていたものである。

そして遂に,本当に遂に本作がリリースされたわけだが,本人曰く「エレクトロニック世代のフォーク・ロック」だそうである。なるほど。だが,私にとってみれば以前と何ら変わらぬBen Wattが歌っているという感覚である。Ben Wattは既に50歳を過ぎる年齢となったが,声にしろ,歌いっぷりにしても,31年前と同様の瑞々しさを示していることが何よりも素晴らしいことではないか。"North Marine Drive"はボサノバ的感覚を覚えさせるものだったが,本作はバンドとしての演奏で,ビートがはっきりしているため,本人の言う通りどこまでも「フォーク・ロック」的である。なので,"North Marine Drive"の焼き直しでは決してないのだが,それでもBen Wattの音楽なのだ。これこそがキャリアの積み上げだと言いたい。

こうした音楽がアピールするのは間違いなく一定の年齢層以上のリスナーであろうが,私もそのゾーンに見事に入ってしまっている。甘酸っぱい感覚をおぼえると言っては言い過ぎかもしれないが,ここにはBen Wattの音楽のよさが非常にコンパクトなかたちで凝縮されていると言ってよいように思える。私が購入したのはデモやライブ音源が入った14曲入りのデラックス・バージョンだが,通常盤はわずかに10曲の曲集なのだが,どの曲もリスナーに何らかの感慨を抱かせる曲だと言ってよいように思う。伴奏がシンプル過ぎるんじゃないのかと思わせる部分もないわけではないが,これはやはりいいと思う。ちょいと甘いが31年振りということもあるので,星★★★★★としてしまおう。

デモ音源はBen Watt単独での演奏なので,それはそれで別の感慨を呼び起こす。やっぱりいいと思う。そして,Ben Wattはライブも行っているようであるから,是非日本にも来て欲しいものである。Ben WattのサイトでDavid Gilmourとの演奏の模様がアップされていたので,貼り付けておこう。

Personnel: Ben Watt(vo, g, p, key, synth), Bernard Butler(g), David Gilmour(g, b, vo), Ewan Pearson(synth), Jim Watson(org), Steve Pearce(b), Leo Taylor(ds), Martin Ditcham(perc)

2014年4月26日 (土)

なぜかモーツァルトが猛烈に聞きたくなって...。

Eschenbach001 "The Piano Sonatas Complete" Christoph Eschenbach(Deutsche Grammophone)

本当に突然なのだが,猛烈にモーツァルトの音楽が聞きたくなって,Ashkenazyのピアノ・コンチェルトやらこのアルバムやらを通勤途上で聞き続けている私である。

実はこのピアノ・ソナタの全集は父の遺品である。私の父は本当にモーツァルトの音楽を偏愛していたと言っても過言ではなく,モーツァルトの作品をケッヘル番号で呼ぶ父に,私の若かりし反抗期には「けっ,てやんでい!」なんて思っていたのも事実である。だが,そうは言っても亡くなるまで父が最も愛した音楽はモーツァルトであることを考えれば,私の(クラシック)音楽観に相応の影響を及ぼしたのも一方では事実である。

そして,なぜ父がこのピアノ・ソナタをよしとしたのか。それはもう本人には聞けないが,ギミックを排し,ストレートに弾き切った演奏を評価していたのではないだろうか。つまり,演奏家としてのエゴを示すことなく,作曲家モーツァルトに対するリスペクトに溢れた演奏をしたことにより,曲本来が持つ魅力を更に引き出したということだったのではないかと思える。

そうした意味において,モーツァルト好きであるがゆえに,父はそういうことを直観的あるいは論理的に理解して,ここでの演奏を好んでいたのではないかなんて考えてしまった私である。

いずれにしても,亡き父への感謝も含めて星★★★★★としてしまおう。

Personnel:Christoph Eschenbach(p), Justus Frantz(p)

2014年4月25日 (金)

Claudio Filippiniの新作はあまりに普通で面白くない。

Claudio_filippini_breathing_in_unis "Breathing in Unison" Claudio Filippini (CAM Jazz)

私はClaudio Filippiniの初リーダー作である"Enchanted Garden"を聞いた時に,結構辛口の記事を書いた(記事はこちら)が,そのピアノ・タッチの美しさは認めつつも,今ひとつアルバムに一貫性を感じられず,なんだかなぁって気がしていた。そんな評価だったので,彼の第2作である”Facing North"が出た時も買っていない。ベースがPalle Danielssonなのだから,買っていても不思議はないのだが,食指が動かなかったのだ。だが,今回は気まぐれ,というか抱き合わせでディスカウントにしようというせこい根性が働いて注文したのだが,これははっきり言って失敗だったと言える。

演奏そのものの質は決して低くないとは思う。だが,本作を一聴して抱いた私の感想は「なんだか普通になっちゃったなぁ」というものだった。そう思わせる理由として顕著なのは,緊張感に乏しく,カクテル・ピアノ一歩手前になってしまっている演奏が結構あることだ。冒頭の"Modern Times #evolutions"こそ,プレリュードとしてなかなかの出だしだと思えたのだが,その後がよくない。美しさこそ感じさせる部分はあっても,ジャズとしてのテンションが感じられないから,こっちとしても「だらけた」気分で聞いて(聞けて)しまうのだ。だから,思わず膝を乗り出すというような反応をこっちとしても示しようがない(きっぱり)。"The Sleepwalker"でやや持ち直したかと思わせるが,これとて決してレベルが無茶苦茶高いわけではない。いかにもECM的にやってみましたっていう感じの演奏なのだが,ECMの持つ清冽な響きには至っていない。6曲目の"Night Flower"なんて気の抜けたPat Methenyのようである。最後の名曲"The Dark End of the Street"も全くソウルのディープさとは無縁の極めて平板かつ平凡な演奏に留まっているのが,ソウルも好きな私にとっては許容できない。

全編を通してそんな感じなので,聞いていて不愉快になるってほどではないが,やっぱり今イチ面白くない。FilippiniはEnrico Pieranunziをメンターとしているはずだが,Pieranunziはこんなに軟弱な演奏はしない。私はClaudio Filippiniというピアニストはもっと期待できるピアニストだと思っていたが,30歳そこそこでこんな演奏をしているようでは先が思いやられる。その理由には,ここでの録音が影響しているような気もするが,それでもこれでは今後の購入はありえないだろう。この程度ならば星★★で十分である。Fulvio Sigurtàとやったデュオ・アルバム,"Through the Journey"が結構よかっただけに,今回は完全に期待を裏切られた気分だと言っておこう。私の本盤への評価は,駄盤と言うよりも,期待に応えられないFilippiniへの批判だと思って頂ければ結構である。これでは次は自発的には買うことはないだろう。

Recorded on April 17-19, 2013

Personnel: Claudio Filippini(p), Palle Danielsson(b), Olavi Louhivuori(ds)

2014年4月24日 (木)

ロックだぜい!Bob Seger & the Silver Bullet Bandのライブ盤

Live_bullet "Live Bullets" Bob Seger & the Silver Bullets Band (Capitol)

RollingStone誌の読者投票で70年代最高のライブ・アルバムに選ばれた作品である。読者投票が作品の質を反映するとは思わないが,なぜこのアルバムがAllman Brothers Bandのフィルモアでのライブよりも上位に来るのかをどうしても知りたくて,発注してしまった私である。だが,本作を聞いてよくわかった。とにかくロックなのだ。

この作品が評価されなければならないのは,本作がきっかけとなってBob Segerがローカルの優れたロック・バンドから全米でも屈指の人気バンドに変貌したことであろう。今回の読者投票を見ていると,KissやCheap Trickもそういう系統に当たるが,このBob Segerのアルバムを聞いて私は正直ぶっ飛んだのである。彼のベスト・アルバムに入っているような曲がほとんど入っていないにもかかわらず,これは間違いなく人の心を捉えるだろうと思わせる。とにかく,ロックの魂とでも言うべきものを私はここでの演奏に感じる。とにかく熱い。だから聞いている方は自然に燃える。

もちろん,彼らの地元と言ってよいデトロイトでのライブということも作用している部分はあるだろうが,ここには「右肩上がり」の勢いというものがヴィヴィッドに捉えられていると言ってよい。私はこれまでBob Segerはベスト盤で聞いていた程度だが,これを先に聞いていれば,もっとファンになっていたかもなぁなんて思ってしまった。私がアメリカン・ロックっていいよねぇなんて思った契機の一つにDoobie Brothersのライブ映像を中3か高1の頃に見たことがある。あれは多分"Stampede"期のライブであるからそれぐらいである。ワイルドなロックに痺れた私だったが,そこでこのアルバムを聞いていても多分同じような反応を示していたであろうと思わせる演奏なのである。

典型的アメリカン・バンドによるワイルドなロックとでも言うべき,私好みの音がフルフルに詰まっている。いずれにしても,今更ながら,こうした作品に目を向けさせてくれたRollingStoneの読者投票に感謝したくなった私である。私ももう50を過ぎているが,年齢は関係なく,やっぱり男はロックだぜと言いたくなってしまうようなアルバム。喜んで星★★★★★を謹呈する。ただ,ボーナス・トラックは雰囲気が違うので,明らかに蛇足。それでもこのアルバムは最高だぜぃ。

だからと言って,これ以上Bob Segerのアルバムは買わんだろうが...(爆)。

Personnel: Bob Seger(vo, g, p), Drew Abbott(g, vo), Alto Reed(ts, as, bs, perc, vo), Robyn Robbins(org, p, key), Chris Campbell(b, vo), Charlie Allen Martin(ds, vo)

2014年4月23日 (水)

先日のBlue Noteでのライブの模様が蘇るJohn McLaughlinの最新ライブ作

John_mclaughlin_and_the_4th_dimensi "The Boston Record" John McLaughlin & the 4th Dimension (Abstract Logix)

先月のBlue Note東京におけるライブも強烈だったJohn McLaughlinの新作は,Blue Noteでは売っていたが,某ネット・ショップにはちっとも入荷して来ないので,先日某ショップで現物を見つけて買ってきたものである。今回はボストンのバークリー・パフォーミング・センターでのライブであるが,日本公演とメンツも一緒なので,印象は極めて近い。

冒頭"Raju"でスタートするところもライブの時と一緒である。レパートリー自体も大きな違いはないように思うが,ライブの時も書いたが,John McLaughlinの場合は,エレクトリックを握れば,どのようなシチュエーションでやったとしても,そんなに大きな違いは生まれないはずである。本作もまさにそんな感じである。私がライブでびっくりしたEtienne M'Bappeの高速スラッピングは2曲目"Little Ms. Valley"で聞けるようなパターンであったように思う。そういうこともあって,ライブの時の様子が蘇るようなライブ盤だなぁという思いの私である。

よって,全編を通じてよくやるわと感じるのはライブでもアルバムでも一緒である。そりゃライブ盤なんだから当たり前だという話もあるが,それにしても「よくやるわ」なのである(笑)。ここまで騒がしくやらなくてもいいだろうって気もするが,これがJohn McLaughlinの真骨頂なのだと思えば腹も立たない。いや,むしろ快い。

ライブの時にも思ったが,John McLaughlinは今年72歳なのだ。にもかかわらず,この指さばきはなんだ?これだけ指を動かしていれば,絶対この人にはボケることはないだろうと思わせる。若い時と何ら変わらぬフレージングである。それに対抗するには今のバンドぐらいのパワーとスピードが必要ってことになるだろう。だが,そうは言いつつも,現ドラマーのRanjit Barotが私はどうしても好きになれないのだが,本作はミックスもあって,それほど気にならないレベルなのは助かる。ただ,口タブラはライブ同様ややしつこいが...。

いずれにしても,ここのところのMcLaughlinのアルバムにはあまり満足できていなかった私だが,先日のライブの効果もあって,近年では最も好きなアルバムと言ってもいいかもしれない。星★★★★。

Recorded Live at the Berklee Performing Center on June 22, 2013

Personnel: John McLaughlin(g), Gary Husband(key, ds), Etienne M'Bappe(b), Ranjit Barot(ds, vo)

2014年4月22日 (火)

「氷壁の女」:長年見たいと思っていた映画をようやくDVDで見た。

Five_days_one_summer 「氷壁の女("Five Days One Summer")」('82,米,Warner Brothers)

監督:Fred Zinnemann

出演:Sean Connery,Betsy Brantley,Lambert Wilson,Jeniffer Hilary

この映画は本当に長い間見たいと思いながら,そのチャンスがなかったものである。しかし,ネットを見ていると,こんな映画までDVD化されていたらしい。しかし,主要なサイトで探しても全然見当たらない。そこは粘って,粘って,某サイトで注文を受け付けるのを見つけたので,即,発注した。だが,正直言って,その時は廃盤と言われて入手できなくても仕方がないだろうなぁというぐらいのつもりだったが,あっさり現物がデリバリーされたので,積年の望みがかなって遂に鑑賞したものである。

映画の舞台はスイス・アルプスで,登山シーンがそれこそ山ほど出てくる。猛暑の時に見るとよさげな映画であるが,ストーリーは男女の心理の機微とサスペンスを組み合わせたものなので,決して軽い映画ではない。監督のFred Zinnemannはこの映画が興行的に失敗し,批評家からも酷評されたのを受けて,映画界からの引退を決めたという話もあるが,そんな悪い映画だとは思わない。むしろ,非常に丁寧に撮られている映画ではないかと思う。日本でも興行は失敗したはずが,批評家からはキネマ旬報の年間第2位に推されているのだから,見る人によって評価が随分変わるってことである。

DVDを見て思うのだが,オリジナル・フィルムの保存状態があまりよくないようで,今の目で見ると,制作年次を考えても画像がかなり粗いのが気にならないこともないが,この映画はストーリーと山の絶景を楽しめばいいと思えば,それほど気にならない。あまり詳しく書くとネタバレになってしまうが,Sean ConneryがJames Bondをやっていた頃とは全く違う演技ぶりで,この人は,本当に老けてからの方がいい役者になったと思ってしまう。だが,映画としては地味と言えば地味である。ヒロインを演じるBetsy Bentleyがまた地味なのだが,その方がリアリティは確実に増している。一方で,今日のようなCGや特撮に頼らず,ちゃんと登山シーンを撮っているのだから,これは結構凄いことである。よくぞあんなところまでZinnemann本人が出向き,かつクルーを連れて行ったものである。

映画として見れば,相応によく出来ていると思うのだが,やはりこれではヒットはしないだろうというのが正直な感想である。しかし,このレベルの映画がずっと廃盤ってのもいかがなものかと思う。レンタル・ショップに行ってもお目に掛かったことないしなぁ。派手なアクションもないし,万人受けはしないだろうが,私としてはようやく見られた満足感が大きかった。だからと言ってキネマ旬報ベスト10で年間第2位というのはやや過大評価のような気もする。ということで,星★★★★ぐらいとしておこう。

2014年4月21日 (月)

先日のCotton Clubで仕入れたMitchel Formanとヴォーカリストたちのデュオ・アルバム

Mitchelformansingalongwithmitch "Sing along with Mitch" Mitchel Forman(Marsis Jazz)

先日のCotton ClubにおけるEric Marienthalのライブが非常に楽しめるものだったとは既にご報告済みである。私はミーハーなので,ライブの場にはサイン会を期待して,大体参加ミュージシャンのCDを持参しているのだが,先日は持って行くのを忘れたというか,Eric Marienthalについては前回1枚CDを買ったし,Chick Corea Elektric BandのCDにもサインをしてもらっていた。また,Mitchel Formanには持っているMetroのCDには全部サインしてもらっていたし,今更Bill Evansの"The Gambler"でもなかろうということだったのだが,結局今回もご両人のCDを現地で仕入れることになってしまった。今日取り上げるのはMitchel Formanが7人の歌手とデュオを繰り広げたその名も「ミッチと歌おう!」である(ピンポンパンかっ!と言って通じる人はかなりの年?)。

こんなCDがあることは全く知らなかったが,よくよく見るとMitchel Formanがお好きなブログのお知り合い,monakaさんはとっくに取り上げられている。さすがである。

それはさておき,このアルバム,いい曲を,歌のうまい歌手たちが歌い,それをMitchel Formanの楚々としたピアノがバッキングするというアルバムであるから,悪くなるはずはない。今回のライブの様子とは随分違ったが,こういう演奏もできてしまうところにMitchel Formanの多才さが表れている。そして,非常に適切な伴奏ぶりなのである。冒頭はThe Beatlesの"Dear Prudence"であるが,そのアレンジはBrad Mehldauにインスパイアされたなんて書いている。これは意外と言えば,意外だがやはり目配りをしているってことだろう。

Mitchel_forman001 曲は結構有名な曲が揃っているが,意外なところではAlan HamptonとGretchen Parlatoが書いた"Turning into Blue"がある。この曲はGretchen Parlatoの"In a Dream"に収録されているものだが,ちゃんとわかっているねぇって感じである。歌手陣はTiernny SuttonとArnold McCuller以外は知らない人たちだが,実力は十分。素晴らしい歌いっぷりである。Lizzy Loebってのは確かChuck Loebの娘のはずだが,その他の人たちは基本的にセッション・プレイヤーたちのようだ。それでも歌唱力は大したものである。

ということで,大して期待しないで入手したのだが,予想以上にいい出来で,非常に楽しめてしまった。Mitchel Formanの有能ぶりを実証した佳品。星★★★★☆。本人にサインしてもらったディスクの写真もアップしてしまおう。

Personnel: Mitchel Forman(p), Joy Burnworth(vo), Giulietta Ciambotti(vo), Lizzy Loeb(vo), Arnold McClluer(vo), Steven Santoro(vo), Tierney Sutton(vo), Robbie Wyckoff(vo)

2014年4月20日 (日)

「ネブラスカ」:なんと渋い映画か...

Nebraska 「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅("Nebraska")」('13,米,Paramount)

監督:Alexander Payne

出演:Bruce Dern,Will Forte,June Squibb,Bob Odenkirk,Stacy Keach

アップが遅れてしまったが,東京での公開が終了する前にということで,慌てて先週末に見に行った映画である。非常に高く評価されている作品だが,一言で言えば地味な映画である。ここまでゆったりした空気に接するというのはなかなかないが,白黒映画ながら,アメリカ中西部の原風景を見事に捉えた素晴らしいロード・ムービーであった。

ここで描かれるのは家族の姿である。バラバラになっていそうに見えながら,実はタイトに結びつきあっている家族の姿に単純に感動することもできれば,何のことはないアメリカの風景が,撮影によってこれほど魅力的に見えるのかと思わされることもある映画である。そして,この映画には結構泣かせるセリフやシーンがあるのだ。それが仰々しくないから,素直に感動できてしまう。

そして,ここでのBruce Dernの演技も見事なら,その妻を演じたJune Squibbも見事な助演ぶりである。本来なら演技賞ものだと思うが,真っ当に評価したのはカンヌの主演男優賞だけみたいなのは惜しい気がする。

地味ではあっても,見てよかったと思わせてくれる映画だったと思う。こういうのを優れた小品と言う。星★★★★☆。

2014年4月19日 (土)

ブートの焼き直しでも聞けて嬉しい1966年のJoni Mitchell

Joni_mitchell_second_fret_live "Live at the Second Fret 1966" Joni Mitchell(All Access)

ネットを見ていて,突然出会ったJoni Mitchellのメジャー・デビュー前の放送録音のCD化である。ここに収められた音源は既にブートレッグとしても発売されていたようなので,知っている人にとっては何を今更なのだろうが,私はJoniのブートまでは追い掛けていない(例外は83年の日本公演の模様のブートだけである)ので,こういう音源を見つけるとついつい手を出してしまう。

本作はテンプル大学のラジオ放送局WRTIの制作によるライブ音源で,もはや50年近く前の音源であるから,テープの状態は決してよくないが,それでも音としてはそれほど悪くはない。とにかく関心はアルバムを吹き込む前のJoniがどんな感じだったかということになるが,この時点で,もう変則チューニングを駆使しているし,後のアルバムに収録される曲も既に歌っている。だが,やはりその後のアルバムに収録されていない曲が聞けることが何よりも重要と考えてよい。この時,まだ23歳のJoniである。声はまだまだ瑞々しく,シンガー・ソングライターとしての魅力は十分である。何よりもいい曲を書いている。

そうは言っても,これはあくまでも記録として聞くべきものではあるが,1966年の段階で既に完成されたスタイルを持っていたというのが素晴らしい。やはり彼女は天才なのだ。"Urge for Going"がフェードアウトされている等の瑕疵もあり,万人にはお薦めできないが,聞いたことがないJoniファンの皆さんは是非。

Recorded Live at the Second Fret on November 17, 1966

Personnel: Joni Mitchell (vo, g)

2014年4月18日 (金)

無茶苦茶楽しかったEric Marienthal@Cotton Club‼︎

Em_band_and_us_2 先日Wayne Shorterのシリアスなライブに接したばかりの私だが,今回はガラッと変わってフュージョンの王道と言いたくなるようなEric Marienthalのバンドのライブに出掛けてきた。これがマジで楽しい,エンタテインメントとしてのライブを大いに満喫した私である。今回も「夜の部活」メイトの姫とご一緒したのだが,Wayne Shorterとのギャップが大きいこともあって,私としてはかなりのノリを示してしまったはずである。だが,そうなるのも当然と言うべき演奏だったのだから,私としては大満足である。

今回のライブでEric本人も言っていたが,日本には何度も来ていても,自分のバンドで来るのは今回が初めてということで,その嬉しさがヴィヴィッドに伝わってくるような好ライブであった。バンドの面子も上々,聴衆も好反応で,これなら本人たちも気持ちよくプレイできると思わせるものだった。それが,アフター・アワーズのサイン会にも出ていて,ベースのRon Jenkinsは不在だが,その他のメンツの機嫌のよさがこの写真からもわかるはずである。私も日頃は強面だとか言われているが,幸せそうに微笑んでいる(と言ってもモザイクが掛かっているのでわからないか...)。

今回のバンドはメンツに恵まれているというか,Sonny Emoryがタイトなドラムで屋台骨を支えつつ,その他のメンツも優れた演奏能力でリーダーのMarienthalを見事にバックアップしていたと思う。Marienthalも登場の仕方からして,力入ってるねぇという感じで,スポットライトを浴びるのは俺様だぜいという感じが何とも言えず微笑ましい。バンドとしても非常にまとまりがよく,これは盛り上がって当然だと思えた。

それにしても,Sonny Emoryの演奏しながらスティックをくるくる回す技術は,ほとんどシルク・ドゥ・ソレイユか!と言いたくなるような名人芸。サイン会の会場で私が真似をしたら,本人に受けていたのはご愛嬌である。

そして,Eric本人には,「去年はMetroで見た,そして今年は本人のバンドで見た。次はJeff Lorber Fusionで来てくれい」とリクエストをしておいた。最近,Sonny EmoryはJLFでも叩いているようなので,Sonnyも喜んでいたように思う。いずれにしても,上の写真での各人の表情が彼ら,そして私たちの満足度を何よりも雄弁に物語っているように思える。本当に音楽を聞いていて楽しいと思えた90分であった。プロだねぇ。部活メイトのお姫さまはきっと最終日に一人でも行くに違いないな(きっぱり)。

しかし,写真にはモザイクをかけたものの,縮小すると,結構リアルな表情に近く表示されちゃうなぁ。まぁいいや。

Live at Cotton Club on April 17, セカンド・セット

Personnel: Eric Marienthal(as, ss), Mitchel Forman(key), Tariqh Akoni (g), Ron Jenkins (b), Sonny Emory (ds)

2014年4月16日 (水)

Wayne Shorterライブ:凄いものを見てしまった...

Wayne_shorter_in_tokyo 私は長年,Wayne Shorterの音楽をきっちり聞いてきたつもりだし,相応にアルバムも保有している。しかも,昨年のジャズの最高作だと思ったアルバムはShorterの"Without a Net"なのだ。だが,ライブとなると1983年のLive Under the SkyでのWeather Report以来ではないかと思う。だからこそ,今年こそ彼のライブを見に行かなければならないと,このライブが告知された瞬間から思っていた。

ということで,今回目出度く久々のWayne Shorterのライブの場に立ち会うチャンスを得たわけだが,これが本当に凄かった。近年のアルバムはテンションがこんなに高くていいのかというようなものばかりなのだが,ライブも全然変わりがない。正直言って,こんなにテンションが高くては,やっている方も,聞いている方も疲れ果てるのではないかと思えるのだが,私は座席から彼らの表情を見ていたが,やっている音楽は無茶苦茶ハイブラウなのに,みんな笑っているのである。まず,このギャップに驚かされたが,そう思うのも当たり前だと言いたくなるようなシリアスな音楽の連続で,私は終わった瞬間ぐったりしてしまった。

彼らのやっている音楽は決してエンタテインメントではない(きっぱり)。だから,聞くには相応の覚悟と体力がいる。

ライブ冒頭のサウンドはもはや幽玄とでも言うべき世界で,これは「能」に相通ずるなんて思っていた私である。だが,徐々に熱を帯びてくる演奏の中で,4人のプレイヤーがそれぞれの特性を十分に発揮していたと思えるが,特に私の印象に残ったのはBrian Bladeのドラミングであった。Bladeのドラミングは伴奏の域をはるかに越え,演奏にメリハリをつける切れ味のよい合いの手と化していたように思え,確実にこのクァルテットをドライブしていたのはBladeと考えて間違いない。その一方,Shorterは血管が切れそうなぐらいのハイノートをぶちかまし,Perezは現代音楽的とも,フリー・ジャズ的とも言えそうな強烈なトーン・クラスターで応え,一聴地味に聞こえながら,かなりの仕事をするPatitucciが応えるという構図である。こんな人たちが集まれば凄いに決まっているが,正直言って常人のレベルを越えていたと言ってもよいように思う。

私はライブを聞きながら,Wayne Shorterは日本なら間違いなく人間国宝だと思っていたが,80歳にしてこの創造力,決して尋常ではない。その創造力が多くの聴衆を刺激し,これほど自然なスタンディング・オヴェイションが発生したのは,その想像力を刺激する演奏だったと思えるのだ。まさにこれは"Inspiring"な演奏であり,こういうのをある意味では神がかりというのだ。こういうのを聞かされてしまうと,Shorterの敬愛するI田D作先生の教義をフォローすれば,この世界に到達するのかという考え方もあるだろうが,私はその限りではない(爆)。そんなことはどうでもええわと思わせる異常な完成度がこのライブにはあるように思えた。

そんなライブなのに,オーチャードの2階席はスカスカ,3階席は無人というような集客力の低さは何なのだ?私は声を大にして言いたいが,こういうライブを聞かずして,ジャズを語るなんて片腹痛いわ,って感じである。このライブを見て,文句を言っている人がいるなら,私と大いに議論しましょうかと言ってもよい。それほどのライブである。

だが,繰り返す。それはエンタテインメントとしてではない。芸術としての音楽ジャンルであるジャズとしての評価である。とにかく素晴らしいライブであった。

尚,写真は昨年(?)のロンドン,バービカンでのライブの模様だが,ほぼこんな感じであったということで,写真を拝借。と思ったら,FacebookにBrian Bladeが4/14の模様の写真をアップしているので,そちらを改めて貼り付けておく。

Live at オーチャード・ホール on April 15, 2014

Personnel: Waybe Shorter(ts, ss), Danilo Perez(p), John Patitucci(b), Brian Blade(ds)

2014年4月15日 (火)

Ruben Studdard:甘~い,甘~いソウル・ミュージック

Ruben_studdard "Unconditional Love" Ruben Studdard(Verve)

某誌で本作が取り上げられていて知ったのだが,David Fosterは現在,Verveレーベルの社長に就任しているそうである。これってDon WasがBlue Noteの社長になっているのと同系統の話だなぁと思いつつ,プロデューサーとしての手腕がレーベル運営では非常に重要だと見なされていることを示しているように思う。

そのDavid Fosterがプロデューサーとしても参加したアルバムが本作である。Ruben Studdardという人については,私はこれまで聞いたことがないが,TV番組"American Idol"出身だそうである。歌手としては正統派のスイートなR&B歌手だと思う。それだけならおそらく購入には至らなかったであろうが,今回,これを聞いてみたいと思わせたのはその選曲である。一部にオリジナルもあるが,カヴァーされた曲が聞きたいと思わせるものがとにかく多かったのである。Carpentersの"Close to You"やBoz Scaggsの"Love, Look What You Have Done to Me"に加え,Bonie Raitt,Marvin Gayeに加え,Neil Diamondの"Hello, Again",Donny Hathawayの"Love, Love, Love",そしてPaul McCartneyの"My Love"まで入っているのだ。これはやっぱり聞きたいと思ってしまうはずである。

そして,Studdardの歌だが,まさしくこれは万人受けするであろう歌唱だと思った。強烈な個性は感じないが,それでもこれだけ歌がうまければ,一定のポピュラリティを確保するのは当然と思わせる。伴奏は歌が光るようなものになっているとは思うが,一部オーバー・プロデュースではないかと思えないこともない。しかし,大きな破綻はなく,なかなか楽しく聞き通せるアルバムである。もちろん,Ruben Studdardの歌手としての実力を否定はしないが,やはりこれは曲の持つ力が大きいと思える。ここでの歌を聞いて,改めてオリジナルを聞きたくなるという効果は間違いなくあるはずである。意外だったのは"My Love"にアッパーなアレンジを施していることであるが,これでも曲の魅力が変わらず感じられるところが,名曲の名曲たる所以である。ただ,なんだかSMAPの曲を聞いているような不思議な気分にもなってしまったが...(苦笑)。

いずれにしても,さすがに"American Idol"という超難関オーディション番組で優勝しただけのことはある実力者である。そこにDavid FosterやEric Benetのような策士が絡んで作り上げた佳作。"Close to You"にStevie Wonderをハーモニカで参加させてしまうところに,プロデューサーの人脈を感じさせる。星★★★☆~星★ってところ。ビシッと3.5星とも4星とも言えないところが若干微妙ではあるが,楽しめることは間違いない。でもやっぱり曲の魅力だよなぁ...。

出演者多数なので,Personnelについては省略。

2014年4月14日 (月)

突然聞きたくなって買ってしまったDavid Murrayのソロ。でも激安(笑)。

David_murray_solo_live_1 "Solo Live Vol. 1" David Murray(Cecma)

突然ではあるが,David Murrayのソロが聞きたくなって,CDで買おうかなぁなんて思ったら,まじでとんでもない値段がついていて,諦めムードのところ,某ショップをうろついていたら,このCDのソースであるLPのVol. 1とVol. 2がいい状態で,各々500円で売っていたので即ゲットである。

昔だったら,絶対買っていないようなアルバムだから,私自身も随分変ったものであるが,どうしても聞きたくなってしまったのだから仕方がない(笑)。今の時代からすれば,ブート並の音と言っても言われても仕方ない録音だが,逆にだからこそ「素」のMurrayが聞けるということになるのではないかと思う。それでも,これは決して「売れる」ってタイプの音源ではないし,聞き易さなんてものを求めてはならないのは当然である。

マイク・スタンドに対し,演奏中はMurrayは動き回っていたようなので,定位やバランスが無茶苦茶になるところも「フリー」な感じである(笑)。まだ本作が録音された頃はMurrayはまだ25歳だったというところに,時の流れを感じてしまうが,この頃から既に強烈な音の個性を感じ出せていたのは大したものである。

だからと言って,しょっちゅう聞きたくなる音楽だとは思わないが,これも一つの時代の断片ということになるだろう。この頃から,物凄いフレージングだったのだなぁとは思うが,まぁ,それでもMurrayを聞くならこれからじゃなくてもいいだろうなぁ。最後に,Murrayのバスクラはいけているということは書いておきたい。星★★★★。

Recorded Live in Nyon, Switzerland on May 30, 1980

Personnel: David Murray(ts, b-cl)

2014年4月13日 (日)

中年音楽狂,またまたゴルフに参戦。

Oak_village_hole_14 最近,やけにゴルフをする機会の多い私だが,今回は会社のOBの皆さんを含めたコンペである。今回の場所は千葉県のオークヴィレッヂ・ゴルフクラブであったが,ここは結構水も多く,「スコアはさておき」,非常に面白いゴルフ場であった。

一つ一つのホールに名前が付いているのだが,Inスタートの私たちの最初のショート・ホールの写真がこれ。14番のLoch Lomondである。まるでハワイのゴルフ場の海越えのショートのような感覚にとらわれた私である。土曜日のプレイはちょいと値段が張るが,平日にならまた行ってみたいと思わせるナイスなゴルフ場であった。別のホールでは久しぶりにニアピン賞なるものも頂いたし,「スコアはさておき」楽しかった(笑)。ちなみに,ここも1オンしてパーで上がったのはへぼゴルファーの私にしては奇跡的。もっと練習しようっと。

2014年4月12日 (土)

なかなか入手ができなかった"From the Hip"をようやく中古で入手。

Kcns_from_the_hip "From the Hip" Kikoski / Carpenter / Novak / Sheppard (BFM Jazz)

このアルバム,リリースされてから暫くになるが,メンツを見た瞬間,これって聞いてみたいなぁと思いつつ,全然入手ができず諦めモードに入っていたのだが,めでたく中古でゲットである。今ではネットでも買えるようになっているが,本当に手に入らない状態が続いていたのは一体何だったのか?

それはさておきである。なんで私がこのアルバムが気になっていたかと言えば,そのメンツである。決して超一流のクァルテットではない。でも決して二流ではないというところであり,私としては愛すべき1.5流と呼びたい人たちなのである。このバランスの取れたクァルテットと言ってもよいが,彼らのいいところは,究極的な名演奏は残さずとも,間違いなく多くの人に愛されるであろう演奏を普通にできてしまうところである。まさにここでの演奏がそんな感じである。昔,油井正一がHank Mobleyを1.5流と称したことがあったように思うが,この人たちはまさにHank Mobley的ミュージシャンと言ってよいかもしれない。破綻がないのである。

本作に収められている曲も有名スタンダードが中心なので,更に破綻する要素は減少する。逆にリハーサルも打ち合わせもなく,このレベルの演奏ができてしまうのがこの人たちの実力なのである。これはやはり立派なことと言ってよいと思う。全編を通して,気持ちよく聞くことができるライブ音源である。Chick Corea Electric Band IIにも参加していたGary Novakの参加がやや意外ではあるが,全然問題なく4ビートを叩いている。結局何でもできるということである。

Bob Sheppardもライナーに書いているが,この演奏収録後,本作に参加しているDave Carpenterが急逝したことは非常に惜しい。Peter Erskine,Alan Pasquaとのアメリカン・トリオでいい仕事をしていたし,ここでもしっかりした仕事ぶりを示していることを考えると,惜しい人を亡くしたものだと言いたい。トータルで見ても星★には十分に値する佳作である。

Recorded Live at the Rising Jazz Stars Studios on May 21, 2006

Persoonel: David Kikoski(p), Dave Carpenter(b), Gary Novak(ds), Bob Sheppard(ts, ss)

2014年4月11日 (金)

久しぶりに聞いたNico Morelli

The_dream "The Dream" Nico Morelli(SPLASC(H))

このアルバムをどうして買う気になったのかは記憶が定かではないのだが,本作が出た当時,私は別の会社に出向をしており,非常にプレッシャーのかかる生活を送っていた頃である。おそらくは夕方に会社を抜け出して,当時秋葉原にあったディスクマップ(だったと思う)というCDショップで何の気なしに購入したものではないかと思う。イタリアのピアノ・トリオで,ベースにMarc Johnsonが客演しているとなれば,Enrico Pieranunzi的なものを期待してのことであったことは間違いないだろう。

そして,流れてくる音はまさしくそんな感じである。私は何でもかんでもBill Evansの括りにしてしまう「エヴァンス派」という呼び方が非常に嫌いなのだが,ショップの店頭にポップがあれば,間違いなく「エヴァンス派」のアルバムと書かれるに違いないサウンドと言ってよい。ピアノ・トリオとしてはまさにPieranunziの系統に入ると思うが,この人の特長は,Morelli自身が書く曲の美しさにあると思う。曲がまともで,バックはJohnsonにRoberto Gattoであるから,まぁおかしなことになるはずはないが,今聞いてもなかなかの佳作であったと思う。本作がしぶとくカタログに残っているのも,そんな出来のよさを裏付けるものと言ってもよいだろう。

だが,ピアニストの個性としてはどうなのよと聞かれれば,本作に限って言えば,私にはプチPieranunziのように思えるなぁというのが正直なところである。ほかの作品は聞いたことがないので,この人の全貌は知る由もないが,それでもこれはこれで楽しめるピアノ・トリオ盤だとは思っている。星★★★★。しかし,どれだけ久しぶりにこの音源を聞いたのだろう?(爆)

Recorded on August 16 & 17, 1996

Personnel: Nico Morelli(p), Marc Johnson(b), Roberto Gatto(ds)

2014年4月10日 (木)

トリオでも優れた演奏を聞かせたFred Hersch

Fred_hersch_and_i 昨日,戦利品については早速アップをさせてもらったFred Herschのライブであるが,今回はトリオの演奏ということで,どのようなバランスで聞かせるのかが非常に重要な要素であったと思う。Herschのピアノは繊細である。よって,PA次第ではそれが台無しになる可能性もあったのだが,それは完全な杞憂であった。

今回のトリオの演奏はPAはあくまでも控えめであり,ベースを除けばほとんど原音だったのではないかと思わせるものであった。よって,ベースもドラムスも非常にニュアンスを感じ取れるレベルであり,まずそれがポイントを高める要素だったと思う。共演者であるJohn Hébertと Eric McPhersonもHerschを楚々としながら支えるという非常に好感の持てるバッキングぶりであった。私は1曲目の"From This Moment On"からして,心を鷲掴みにされていた感じだった。全体を通しても,非常に良好な演奏だったと思うのだが,昨年のソロと比べると,私にとってはソロの方がしっくりくると思っていたのも事実である。正直なところ,曲によってやや出来にはばらつきがあったように思う。しかし,"From This Moment On"にせよ,"The Wind / Moon and Sand"等の曲は文句のつけようのない素晴らしい出来であった。

プログラムはスタンダードとオリジナルのバランスをうまく保ったもので,非常に面白いと思えた。そして,アンコールはHerschのソロで"Valentine"で締めるというのは決まり過ぎである。いずれにしても,Fred Herschが現代でも屈指のピアニストであることを実証したライブだったと思う。

終演後,私はサイン会がてらHerschと話す機会があったのだが,昨年のソロ公演の時に,次はトリオで来日して欲しいとリクエストしたのを実現してくれたことにまず礼を言った私である。そして,また来て欲しいと言ったら,是非来年もと言ってくれたのは嬉しかった。だから,サインしてもらったCDに2014と書いたのはその意思の表れだと思った私である。これからも元気で活動を続けて欲しいという願いと,今回の演奏への感謝を今一度表したいと思う。写真はサイン会の時の模様だが,私は顔は写っていないものの,幸せそうな笑みを浮かべているのが自分でもわかる。そのことからもわかるような非常に後味のよいライブだったということである。

Live at Cotton Club on April 8, 2014

Personnel: Fred Hersch(p), John Hébert(b), Eric McPherson(ds)

2014年4月 9日 (水)

Fred Hersch Trio@Cotton Club。今日は戦利品のみご報告。

Fred_hersch_2014001 Fred Herschがほぼ1年振りに来日してくれた。そして今回はトリオでの来日である。私は今回,トリオでの演奏を初めてライブで聞くチャンスに恵まれたわけだが,細かいことは明日以降に報告するということにして,本日はいつも通りの戦利品の報告に留めよう。今回はトリオでの演奏なので,今回の来日メンバーによるアルバムと,Herschの初リーダー作(のはず)である"Horizons"を持ち込んだ私である。

Fred_hersch_2014002 現行トリオのライブ盤は,サインをする場所がないと見るや,ジャケの背の裏の白い部分に書いてくれるHerschの気配り具合を見て,やはりこの人は最高だと思いたくなるが,いずれにしても,そちらのアップは難しいので,その他の2枚の画像をアップしておこう。どうせならトリオでサイン会をすればいいのにと思ったが,それはさておき,私はサイン会の待ち行列の組成されていないことを見て,ついつい長話してしまった(と言っても2分ぐらいだが...)。いずれにしても,今後も健康で,また来年も来て欲しいと心から思った私であった。

いずれにしても,"Horizons"を見て,「おぉっ,これって俺のファーストだなぁ」なんて喜んでいたHerschを見て,更に好感度アップ。いい人なのである。また来年も来てね♡ってことで。

2014年4月 8日 (火)

Jeff Beck at 東京ドーム・シティ・ホール!

Jeff_beck_live_20140407_2 私は長年,Jeff Beckの音楽を愛してきたのだが,不思議とライブの場に立ち会う機会は今まで一度もなかった。しかし,今回の来日公演情報を聞きつけ,「夜の部活」のお仲間からのお誘いもあり,遂に初Jeff Beckライブである。今回はセカンド・ギターを入れた4ピース・バンドである。ここ暫く,Jeff Beckはキーボードを入れた演奏をしてきたはずだが,今回は2ギター・フォーマットである。

今回の会場は東京ドーム・シティ・ホール。以前はJCBホールと呼ばれていた場所である。このホール,私は以前,John Mayerのライブで行ったことがあるが,ステージと客席の距離が短く,臨場感溢れるいいホールである。昔のJeff Beckだったら当然武道館だっただろうが,この辺りに時代の流れを感じるのは私だけだろうか。いずれにしても,聴衆の年齢層は異常に高い。私が平均か,あるいは平均より下ぐらいかってぐらいの客層なのだから,ロックのライブとしてはかなりである。少なくともティーン・エイジャーらしき人は一人も見ていない(笑)。ということで,客席は私も含めて「昔の名前で出ています」みたいな人ばかりだが,Jeff Beckは現役バリバリである。Jeff Beck,今年の6月で70歳になるが,とてもそんな歳には見えない。鋭いギター・フレーズは健在であり,老いてますます盛んとかいうレベルではない。そんじょそこらのギタリストが束になって掛かっても,Jeff Beckには切り捨て御免となること必定である。凄い...。

フレージングそのものには変化はないが,レパートリーについては近年お馴染みって感じだろうか。そうした中で"Danny Boy"をやったのには驚いたが,これも昨年のBrian Wilsonとのツアーではやっていたみたいだから,それを考えると不思議ではない。だが,それに続くのが"Blue Wind"~"Led Boots"という流れには思わずのけぞった。だが,私が今回演奏した中で最も感銘を受けたのは"Little Wing"だったかもしれない。とにかく,素晴らしいフレーズの連発である。雰囲気は添付のYouTubeの映像(昨年の演奏で,メンツは今回と一緒のはず)に近いが,演奏は今回の方がはるかに熱く,かつ優れたものだったと思える。

いやいや,それにしても凄い爺さんである。ギターの鬼とはまさにJeff Beckのこと。映像を見ると,アーム・コントロールなんて芸術的。そして,白のストラトの世界一似合う男。全く男が男に惚れるってこういう感じだろうねぇなんて思ってしまった。Jeff Beckの演奏に比べると,聴衆は相当おとなしめだったように思えるが,まぁ皆,(私も含めて)年だからねってことで。しかし十分満足できる約100分のステージであった。

尚,今回,ドラムスを叩いていたJonathan Josephって,以前Pat Metheny Groupの"We Live Here"ツアーで奥さんの出産立ち会いで来日しなかったPaul Werticoのトラで叩いていた人のはずだ。今回,無茶苦茶タイトなドラムスを叩いていたが,Beckはドラマーはちゃんと選んでるねぇって感じであった。ちなみに,今回,ホール入口にはフラッシュ撮影禁止,iPad持ち込み禁止とは書いてあったが,撮影禁止とは書いていなかったので,上の写真はiPhoneで撮ったもの。さすがに写りは悪いが,雰囲気,雰囲気ってことで。

Live at 東京ドーム・シティ・ホール on April 7, 2014

Personnel: Jeff Beck(g), Nicholas Meier(g), Rhonda Smith(b, vo), Jonathan Joseph(ds, vo)

2014年4月 7日 (月)

Colin VallonのECM第2作:デリバリーされてから結構経つが,ようやくアップ。

Colinvallonlevent "Le Vent" Colin Vallon(ECM)

手許にCDは結構な数がデリバリーされているものの,3月は異常に多忙で,ちゃんと聞いている時間が取れなかった。ここに来てようやく時間も少しは取れるようになり,このアルバムもようやく聞いたって感じである。

Colin Vallonと言えば,ECM第1作"Rruga"をリリースしたのが約3年前。これは彼のECMレーベルにおける第2作となるが,前作を評して私は「中音域が中心で,かなり落ち着いた響きを醸し出している」と書いている(記事はこちら)が,その印象は本作でも変わらない。ECMらしいクールで静謐な音楽である。前作からの変化はドラマーの交代であるが,基本路線は同じと考えてよい。ただ,前作で聞かれた現代音楽的なアプローチは影を潜め,静的な音楽で統一しているイメージが強い。これは前作がメンバーの曲を持ち寄ったものであるのに対し,今回はVallonの曲が中心になっているからかもしれない。

冒頭の"Juuichi"とは11を意味しているのかはよくわからないが,不思議な変拍子なので,11拍子にでもかけているのだろうか?とにかく不思議な感じの曲である。その後もアルバムを通じて,ある意味環境音楽のような音楽が流れ続ける。感覚的にはフランス映画のBGMのようだと言ってもよいかもしれないぐらいの感じなのである。鳴っていても何の妨げにならないだろうが,一方で耳をそばだてる瞬間もないわけではない。そうした音楽であるから,実は純粋に音楽としての評価は難しいのだが,それでもやっぱりECMだよねぇという音である。極めて詩的と言うべきか。

だが,残念ながら本作には強烈な個性というものが感じられない。ECMの膨大なカタログの中で,このアルバムを改めて取り出す機会が何度訪れるかはやや微妙である。私にとってはECMのピアノ・トリオであれば,もっと聞きたくなるアルバムが何枚もあるっていうことである。そうした点を鑑みれば,星★★☆程度が適当な評価と思う。ECMだからこそ成り立つのであって,これが別のレーベルからリリースされていたら,注目度も全然違ったと思える一作。

唯一ビートらしきものが現れる"Pixels"(それでも途中でビートはなくなる)などを聞いていると,やっぱりフランス映画のサントラみたいなのだ(笑)。う~む。フランス映画のサントラが嫌いって言ってるんではないのだが...。

Recorded in April, 2013

Personnel: Colin Vallon(p), Patrice Moret(b), Julian Sartorius(ds)

2014年4月 6日 (日)

David Lettermanの引退発表...

日本では先日「笑っていいとも!」が終了したばかりだが,先日,米国の夜のトークショーのホストであるDavid Lettermanが2015年の契約満了を以て,"Late Show with David Letterman"からの引退を発表したそうである。NBC系列で放送していた前身の"Late Night with David Letterman"開始から30年以上に渡り,この世界をリードしてきたDavid Lettermanが引退するということには強い感慨を覚える。

私がNYCに在住していたのは90年から92年の2年弱に過ぎないが,その際,夜は23:30からJohnny Carsonの"Tonight Show"を見て,その後,Lettermanの"Late Night"を見るというのがお決まりの生活パターンであった。当時の"Tonight Show"はCarsonとJay Lenoが交互に司会をしている頃だったが,私はJay Lenoが好きになれず,Carsonの司会の時だけ見ていたようなものだ。それでもLettermanの方は必ず見ていたと言ってもいいぐらい,私はDavid Lettermanが好きだった。それは彼の皮肉の効いたトークやギャグが面白かったということが一番の要素だが,それに加えて,当時の"The World's Most Dangerous Band",現在の"CBS Orchestra"とゲストによる音楽を楽しんでいたからだという要素が大きい。

番組のバンマスはPaul Schafferが務めているが,私の在米当時からメンツがSid McGiniss,Will Lee,Anton Figで固定されているところが凄い。そこに当時はDavid Sanbornが加わることも結構あった。Sanbornは当時"Night Music"なんていう凄い音楽番組をやっていたしねぇ。とにかく,バンドの音楽はタイトなものであり,西海岸的な"Tonight Show"のDoc Severinsen率いるNBC Orchestraの音楽とは全く違っていた。当然,私の好みはLettermanの方であったことは言うまでもない。米国に出張した際も,この番組はホテルでよく見ていたぐらいなのだ。

夜には必ずいるべき人がそこにいなくなるというのは,いつか必ず訪れるとはわかっていても,時の流れを強く感じざるをえない。日本でこの番組を見ることはほぼ不可能と言ってよいのだが,YouTubeには同番組のページがあり,引退の弁の模様もアップされているので,ここにその映像を貼り付けておきたい。9分余りのフル・バージョンもあるが,そちらも見た私はやっぱり惜しいと思ってしまった。だが,こうした引退の弁もギャグに変えるDavid Lettermanという人は本当に大したものである。

2014年4月 5日 (土)

Alan Parsons Projectのボックス・セット:未発表音源には絶句...

App_box "The Complete Album Collection" The Alan Parsons Project(Arista)

私はAlan Parsons Project(APP)のファンであるが,手許にあるのはベスト盤と"Eye in the Skey"のみという状態だったので,「それでファンと言えるんかいっ?!」と問われれば,「申し訳ございません」と答えざるをえないだろう。しかし,今回,彼らのキャリアを振り返るボックス・セットが発売されることになり,未発表となっていたアルバム"The Sicilian Defense"も含まれての再発ということで,購入に至った。

Sicilian_defense ほかのアルバムは追って聞き返すことにすればよいとして,今回はいの一番にその"The Sicilian Defense"である。ライナーによれば,本作は"Eve"の後に,わずか3日間で録音されたとのことであるが,この頃,APPとレコード会社(Aristaということであろう)がもめていたらしい。しかし,アルバム制作契約が残っていたため「無理矢理」吹き込んだ作品ということで,その制作の経緯からしても真っ当なものにはならないだろうと想像させるものである。

そして,聞いてみたら,それこそAPPらしいメロディ・ラインがないわけではないが,まるで演奏としては力が入っていないインスト作となっているのには,本当にレコード会社ともめてたのねぇと思わせるものである。まさに「無理矢理感」たっぷりなのだ。歌は全くなし,リズムもほとんどなし,基本は打ち込みとキーボードだけというところに,「どうでもええわ」って感じが強く出ている。アルバム・タイトルとなった「シシリアン・ディフェンス」とはチェスのオープニングの定石で,曲名はロシアのチェスのグランドマスター,スベシニコフのヴァリエーションから取られているとのことである。そこまでやらなくてもと思わせるが,これがもめごとのもめごとたる所以である。いずれにしても,この作品,音楽としてはちっとも面白くない。お蔵入りして当然のアルバムであったと言える。

Alan Parsons本人からして"The Sicilian Defence album was never released and never will be, if I have anything to do with it. I have not heard it since it was finished. I hope the tapes no longer exist."とまで言っているのだから,中身のほどは推して知るべし。

なので,本作を目当てにこのボックスを購入すると痛い目に遭うが,私は彼らの作品をアルバム単位で聞いたのは実は3枚しかなかったので,今一度APPの楽歴を振り返り,彼らの魅力を再認識するためには丁度いい機会だったということにしたい。

2014年4月 3日 (木)

病に臥せった時には最適だったMyung-Whun Chungのピアノ曲集

Piano "Piano" Myung-Whun Chung (ECM New Series)

日頃の不摂生がたたり,風邪をひいてしまった私である。会社は休んで病院に行き,その後は家で休養していたのだが,こういう状態では聞ける音楽もある程度限定されてくるのは当然である。ここ数日,風邪が悪化する状態の中でデリバリーされたのが本作である。今や指揮者が本業と言ってよいMyung-Whun Chungが,ピアニストとしてECMレーベルに吹き込んだアルバムである。

彼の次男のSun Chungは今やECMのプロデューサーとしていくつかの作品をものにしているが,その次男からのアイディアによってこの作品は生まれたとMyung-Whun Chungは書いている。本人もライナーに書いているが,自身を「リアルなピアニスト」だとは思っていないMyung-Whun Chungが本作を吹き込んだのは,これらの曲を孫に聞かせたいという思いからのようである。それはここに吹き込まれた曲が,キラ星のごときピアノ曲の名曲群であるということからも伝わるし,むしろ,近年こうした企画のピアノ・アルバムというのは聞いたことがなかっただけに,何とも言えぬ感慨すら覚えてしまうと言ってもいいだろう。この歳になって「エリーゼのために」が収録されたアルバムを聞くとは思っていなかったし,そのほかも「月の光」だ,「トロイメライ」だ,「アラベスク」だ,「ノクターン」だ,更には「きらきら星変奏曲」だと古今東西の名曲が並んでいるのだ。改めて,こうした名曲群に耳を傾けることはまさに温故知新と言わなければならない。そんな名曲群の中で,私の心を最も刺激したのはシューベルトの「4つの即興曲」からの2曲であった。改めて聞いても何とも素晴らしい曲である。

Myung-Whun Chungはチャイコフスキー・コンクールで第2位となったピアニストであるし,姉たちとの室内楽のアルバムもあるから,技巧を披歴したければできないわけではなかろう。しかし,ここでの演奏には何のギミックもない。ただシンプルにピアノに向かい,優れた曲を演奏するという行為である。そこには孫たちへの思いが溢れているように感じられる。そうしたギミックのなさゆえに,没個性的で,ごくごく当たり前に聞こえてしまう演奏だと言えばその通りかもしれない。だが,そのシンプルさゆえに,原曲の持つ美しさや魅力が際立っていると私には思えた。いずれにしても,ここでの演奏を聞いていて,非常に落ち着いた気持ちを得た私である。病の時にはこれを聞いていれば,悪いものもよくなると思いたくなるような愛すべき小品集。私の精神状態や健康状態へのヒーリング効果も含めて星★★★★★としてしまおう。

そこにはヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場の生み出したレゾナンスも効果が大きいであろうことも追記しておく。これには本当に癒される。こんな愛すべき作品も作り出してしまうManfred Eicher,さすがである。

Recorded in October, 2013

Personnel: Myung-Whun Chung(p)

2014年4月 2日 (水)

"Six String Stories"到着! こりゃ重い(笑)。

Six_string_stories2 "Six String Stories" Eric Clapton (Genesis Publications)

世界2,000部限定で,Eric Claptonがこれまで使用してきたギターについて紹介する書籍である"Six String Stories"(Claptonのサイン入り)は,昨年3月ぐらいにはリリースされていたはずだが,その値段の高さもあって,私が見事に広告に引っ掛かった頃(今年の1月だっただろうか)にはまだ完売していなかったようである。私もバカだなぁと思いつつ,ついつい欲しくなって注文してしまったものの,送料込みでかなりのコストが掛かってしまった。この本には更に350部限定のデラックス版があったのだが,それは2日で完売したそうである。だが,私の注文した本だって,十分デラックスな価格である(苦笑)。

Six_string_stories1_2 その本が先日,私の手許に到着したのだが,これが無茶苦茶重い。というのは内容ではなく,重量がである(笑)。これほどずっしり重量を感じる書籍はあまりお目に掛かったことがないというぐらい重い。少なく見積もっても5kgはありそうである。私が入手した書籍のシリアルは1917番であるから,私が発注した段階でもはや新品の残りも少なかったはずだが,版元のサイトによれば,既に2,000部は完売となったようである。売り切れたとしても,オークション・サイトでも買えないわけではないと思われるが,それにしてもこの重量ではシッピング・コストが相当掛かること必定であろう。

それはさておきであるが,それにしても凄いギター・コレクションである。しかも貴重な写真集である。何だかんだと言って,私もClapton好きだが,先日買ったJoni Mitchellの楽譜集と並べて,家宝の一つとして持っておくことにしようという本である。写真は出版元のGenesis Publicationsから拝借。正直これも財布には痛かったが,ニヤニヤしながらこの本を眺める私の姿を想像して頂きたい(爆)。

2014年4月 1日 (火)

ソニーの1,000円シリーズから次はDave Brubeck。

Anything_goes "Anything Goes!" The Dave Brubeck Quartet (Columbia)

先日,ナベサダの"Swiss Air"を当ブログで取り上げたが,それと同じシリーズで1,000円で再発されたアルバムである。Dave Brubeckについては,私自身は"Time Out"は保有しているが,それ以外はJerry Bergonzi入りのConcordの3作を保有しているぐらいで,本人にはほとんど興味がないと言っても過言ではない。それは私がPaul Desmondの結構なファンだったとしてもほとんど影響がないのである。なぜならば,私が好むPaul DesmondのアルバムはDave Brubeckと共演していないものが基本なのだ。ではなぜ,このアルバムを買う気になったかと言えば,これがCole Porter集だからである。DesmondがCole Porterを吹けば悪いはずはないという思いから,私は本作を買ったと思って頂ければ結構である。

Dave Brubeckについてはスイングしないとか何かと揶揄される人ではあるが,正直言って,ここでのピアノもドライブする感覚に乏しいのは,そのビート感ゆえであろうと思える。なので,今回の目的であるPaul Desmondに集中してこのアルバムを聞いてみることにするが,Brubeckという人はジャズのポピュラリティを拡大したという点で評価すればよいということにしよう。それでもってDesmondであるが,誰がどう聞いてもDesmondの音で,楚々とした感覚でCole Porterの曲を演奏している。

やはりこのアルバムは私にとってはPaul Desmondを聞くためのものであって,それ以上のものではないと思わされたが,それを痛感させられたのがDesmond抜きで演奏される"Love for Sale"である。Brubeckはなんと野暮なことをするのかと正直言ってがっくりきたのだが,それ以外のDesmondを聞いていれば,私は満足である。いずれにしても,このクァルテットはDesmondなしには考えられないぐらい,彼のアルトに依存していたということを改めて痛感させられた。星はDesmondゆえに★★★★とするが,それでもこのクァルテットの音を改めて追いたいという欲求は芽生えなかったなぁ。それって結局は好みの問題に過ぎないのだが...。

Recorded on December 8, 1965, January 26 and February 17, 1966

Personnel: Dave Brubeck(p), Paul Desmond(as), Gene Wright(b), Joe Morello(ds)

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