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2014年3月27日 (木)

久々の新譜聞き:Vijay IyerのECM第1作

Mutations "Mutations" Vijay Iyer (ECM)

Vijay Iyerと言えば,彼のACTレーベルにおける"Accelerando"について,この人の理知的な部分と,抜群のセンスを感じさせて絶賛してしまった私(記事はこちら)であるが,それ以来の彼の作品はなんとECMからである。

「変容」というタイトルからしても,おそらく一筋縄ではいかないことは想定されたが,ピアノ,エレクトロニクス,そして弦楽四重奏団のための曲群であるから,ジャズ的なアプローチは期待してはならないことは明らかであった。そして,今回,アルバム全体を通して聞いてみて,これは当たり前ではあるが,ジャズ的なものと,ミニマル的なものと,そして現代音楽的なもののミクスチャーという印象である。弦楽クァルテットはタイトル・トラック"Mutations I-X"という組曲に登場するだけであるが,ピアノの存在感はかなり抑制されていて,この曲はVijay Iyerのピアノよりも作曲に重きが置かれたものという判断ができる。しかもよく書けている。

だが,その前後に置かれた曲との構成を考えると,アルバム全体で非常に「座り」がよく感じられるのは,アルバム構成に関するManfred Eicherの卓見だと思える。かなり難しい音楽と言ってよいこれらの曲を,このような構成に収めることによって,抵抗感が抑制されている感じがするのである。

もちろん,これは万人にとって聞き易い音楽ではないが,Vijay Iyerというミュージシャンの総合的な力量を量る上で非常に重要なアルバムになっているように思える。Manfred Eicherという知将のもと,Vijay Iyerがその才能を発揮し,作曲,演奏したものと考えればよい。"Accelerando"とは全く違う音楽であったが,私は彼の能力に改めて非常に感銘を受けたと言っておこう。但し,これをジャズというカテゴリーで聞いたとすれば,そこには大きな抵抗をおぼえるリスナーがいるであろうことには異論はない。だが,これが非常に優れた音楽であるという点については更に強調しておきたい。ジャズもミニマルも現代音楽も全部好きな私にとっては,非常に満足度の高いアルバムである。星★★★★☆。

ということで,ジャズ原理主義の皆さんには決してお薦めしないが,聞かずに放置するには惜しいアルバムである。でもなぁ,「金返せ!」と言われても対応できないしなぁ...。相応の覚悟でどうぞ(笑)。

Recorded in September 2013

Personnel: Vijay Iyer(p, electronics), Miranda Cuckson(vln), Michi Wiancko(vln), Kyle Armbrust(vla), Kivie Cahn-Lipman(cello)

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コメント

確かに「変容」でした。ACTのアルバムを先に聴いてなければ、とまどいなくECMの作品としてすんなり入っていけたかもしれません。確かにECMとして聴けば、けっこういい方なんじゃないかと思います。それにしても引き出しが広いですよね。

TBさせていただきます。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。

おっしゃる通り,本作だけ聞いていれば,ECMの作品としては違和感はないですね。ですが,ACTでのピアノとは随分違いますねぇってことで,これもなかなか刺激に満ちた作品でありながら,好き嫌いはわかれちゃうんだろうなぁなんて思っています。

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