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2014年2月 5日 (水)

待望のリリース:Pat Metheny Unity Group

Pat_metheny_unity_group "KIN(←→)" Pat Metheny Unity Group(Nonesuch)

Unity Bandのアルバムがリリースされたのが2012年6月であるから,比較的短いインターバルで届けられたPat Metheny Unity Groupとしての新作である。前作との違いはマルチ・インストゥルメンタリスト,Giulio Carmassiの加入だが,この人は昨年末にWill Leeのバンドで来日していて,その時には,私はこのブログに「キーボードだけでなく,ギター,サックス,フリューゲルホーンもこなすマルチ・インストゥルメンタリストで,そのどれにも破綻がないのは立派である。まだまだ若いと見たが,やはり米国の音楽界は奥が深いねぇと思ってしまった。」なんて書いている。Will Lee とMethenyでは随分と音楽は違うようにも思えるが,実力のある人は何でもできるってことである。

それでもって,この新作だが,10分を越える曲が4曲も収められていて,これは力が入ってるねぇと想像させるものだった。そして,冒頭のイントロからして期待値を膨らませる出だしなのだが,その長尺の"On Day One"が全くもって素晴らしい出来である。私はUnity Bandのアルバムについては評価しつつも,もっと行けると思っていたクチだが,このアルバムは冒頭の1曲からして私の期待に完全に応えたものである。まさに進化を遂げたグループ・サウンドであり,これだけでも燃える。この曲は結構起伏がある構成だが,時折Steve Reich的なミニマルな部分が顔を出すのもPat Methenyらしいと言える。2曲目の"Rise Up"はクリポタが出てくるまでは"First Circle"を激しくしたように思わせる曲だが,1曲目に続いてこれも相当にきている。テーマのメロディに関しては,今イチ感がないわけではないが,ここまで聞いただけで,クリポタのバンドでの立ち位置が進化していると感じさせるものになっているのは,Methenyだけでなくクリポタ・ファンでもある私のような人間にとってはまさに嬉しいものである。そして,Ben Williamsのベースのラインが非常に魅力的に響いている。

3曲目の"Adagia"がインタールード的な役割を果たした後に来る"Sign of the Season"は激しさこそないが,アルバムのバランスを良好に保つためにはこういう曲がいるという感じであるが,ここで実はスパイスとして効いているのがCarmassiのピアノではないかと思える。ピアノが加わることによって,サウンドのテクスチャーに適切な色彩が加わっていると言えるだろう。この人の本作への貢献度は過小評価してはならないと思える。そして,タイトル・トラックの"Kin (<-->)"はAntonio Sanchezのスリリングなドラムスのショーケースのようなかたちになっており,それぞれのメンバーの演奏についても聞きどころが準備されているところが素晴らしいではないか。

続く"Born"は徐々に盛り上がる展開が印象的な,ロッカ・バラッドって感じである。次のわずか38秒の"Genealogy"はPatの好きなOrnette的なサウンドのインタールード。"We Go On"は歌詞をつけたくなるようなメロディ・ラインが魅力的であり,そしてラストの"Kqu"で穏やかにアルバムの幕を閉じる。前半から中盤の激しい展開と,比較的穏やかな後半という構成と考えてよいが,最後に一発ガツンと行ってもよかったように思えないこともない。だが,全体を通せば,これでお腹いっぱいになって,大満足してしまうフレンチのフルコース料理のようなものである。

いずれにしても,この作品,ドラマチックな曲の構成と言い,各人のソロと言い,スリリングな展開と言い,私は"Unity Band"をはるかに凌駕すると聞いた。これほどの見事な演奏を聞かせてくれるのであれば,私は本作に星★★★★★をつけることになんの躊躇もない。いやいやこれはまじでよいし,特に前半から中盤は燃える。この作品の出来を聞いていると,PMGの復活は相当先送りか?と言わざるをえなくなるようなものである。このバンドのライブは絶対に聞きたいが,その一方でそろそろPMGもと思っている人も多いだろう。しかし,こんなアルバムを出して,ライブに勤しんで,グループとしてのエクスプレッションを高めていったとしたら,それこそ末恐ろしいし,PMGは暫くお預けを食らっても我々リスナーとしても納得するしかあるまい。

最後になるが,私としてはPat Methenyの近年の作品においても,本作を最高の出来と評価する。まさしくお見それ致しました。2月も初旬というのに,今年中にこれを凌駕する作品にはそう出会えないだろうと確信させるに足る傑作。ついつい興奮して記事もいつもより長くなってしまった(笑)。

Recorded in June, 2013

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth, synth, orchestrionics), Chris Potter(ts, b-cl, ss, cl, a-fl, b-fl), Antonio Sanchez(ds, cajon), Ben Williams(b), Giulio Carmassi(p, tp, tb, fr-h, cello, vib, cl, fl, recorder, as, el-p, whistling, vo)

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コメント

1曲目は”On Day One"ですね。録音第一日目に録音したんでしょうかね?基本的にPMGはPatとLyle MaysをCoreにして分かりやすいメロディーをBittersweetなアレンジに乗せて行ったものと私は整理しています。Patの嗜好は、より分厚い音作りでオーケストレーション志向。PMGの後期の傾向もそのように来ていました。Unity BandのJam Session風から、Unity Groupへの進化はPatとChris PotterをCoreにしたオーケストレーション志向と受け取れます。Lyle MaysのBittersweetなアレンジ、KeyboardよりもChris Potterの疾走感を選んだという感じでしょうか。但し、Unity Bandの時も思ったのですがSlow BalladでのChris PotterのSax中心の音作りは、私の耳には凡庸というかやや野暮ったくも感じられます。これは、PMGでは決してなかったこと。またChris Potterが他でSlow Balladを吹いている場合にも感じられなかったこと。このあたり、ちょっと私の好みには合わないところです。

カビゴンさん,こんばんは。返事が遅くなりました。

深い洞察ですねぇ。確かにおっしゃる通りのところはあると思います。クリポタについてはソプラノが今ひとつかなぁと思わせる部分もありますが,前作よりはコンビネーションは緊密になっているのではないでしょうか。確かにバラッドよりもアップ・テンポの方がクリポタはいいですが,私は演奏そのものはPMGとは別のものと捉えています。

ただ,Giulio Carmassiの加入でPMG的な部分が増えてますよね。繰り返しになりますが,私はUnity Bandよりもこっちの方が好きですね。

曲名の間違い,失礼しました。修正させて頂きました。

その後何回か聴き込みました。バラードも思った程悪くないかと思えてきました(笑) ただ、今度はオーケストリオンが耳障りに、、、。

カビゴンさん,私もオーケストリオン嫌いなのですが,今回はそんなに気にならなかったような。またちゃんと聞いてみます。

Giulio Carmassiの味付け、が共通の印象である「Group soundの深化」になったように思えました。どんな楽歴か分からないけど、土着的な匂い、をうまく与えてますよね。
久々に楽しめた「グループ」のアルバムでした。

kenさん,こんにちは。TBありがとうございます。

私も,Giulio Carmassiがスパイスとしてよく効いているように思います。私は記事にも書いたとおり,近年のPatの作品では最高だと思っています。もちろん,PMGの"Travels"や"Still Life(Talking)"等には及ばないとしても,これはこれで優れた作品だと思いました。

来日への期待が高まりますよね。

久しぶりにみんなで興奮しましたね。 笑

のっけから期待感満載。壮大な音空間にびっくりでした。
色彩や風景が溢れ出してるPMGの世界、、地球を感じるあの世界。
しかも、ヴォイスも手拍子もはいってる!!って、興奮しまくりました。。

マルチプレイヤーとはいえ、Giulio Carmassi1人加入してこんなにかわっちゃうのか?って、スパイスってもんではないとおもうんですが。。
来日したら、、絶対、、行きたいです。。今から、気が早い??

私、このアルバム、けっこう良いので、逆に自分のアルバムコメントがグダグダになってしまいました(笑)。音楽が良いので、まあ、たまにはこういうこともあっていいのかなと。またこれから聴きます。

TBさせていただきます。

Suzuckさん,こんにちは。TBありがとうございます。

Giulio Carmassiをアメリカの批評家たちはあまり評価していないのが全く解せないのですが,彼の音があるからこそのこのサウンドだと思うですよねぇ。それにしても,本作のブログ界の盛り上がりは大変なものがありますが,そうなって当然と思わせる出来ですね。早く来い来い,Unity Group(笑)。

ということで,追ってこちらからもTBさせて頂きます。

910さん,こんにちは。TBありがとうございます。コメントの件,お手数をお掛けしました。改めてお詫び致します。

まさに話題沸騰って感じですが,そうなっても当然と思わせる出来だと思います。記事にも書きましたが,近年のPatの作品ではこれが最高だと思っています。DownBeatが何と言おうが関係ありませんね(笑)。

音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
メセニーの大ファンの方にはまずはお詫びを申し上げておきます。

monakaさん,こんばんは。TBありがとうございます。

諸人こぞりて大絶賛ってのもある意味ではおかしいわけで,monakaさんの感覚はDownBeatの評者に似ているのかもしれません。私は天邪鬼ですから,人がいい,いいというものにケチをつけるところもありますので,全然問題ないですよ。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

音楽狂様
コメントありがとうございます。ki-maです。
1曲目の最後の最後はちょっと涙腺が緩みます。
クリポタ登場でリズムが変化するあたりなども卑怯です(笑)。
monaka様の話はちょっと分かります。自分が9/10点なのはそれに近くて、自分にとってのスターウォーズみたいな感じかもしれないです。本当のコアのコアのファンではない部分があるのですが、PMGに求めるすべては詰まっていました。
それではトラックバックさせていただきます。

ki-maさん,こんばんは。TBありがとうございます。

私も記事に書きましたが,料理に例えればフレンチみたいな感じで,お腹一杯なところはありますよね。それでも演奏としては彼らに求める要素が十分に出ていて,非常に満足のいく演奏でした。PMGに近い要素もあって,その辺りが皆さんも気に入られている部分ではないかと思います。

こんにちは〜
★5つ! わたしも やっと手に入れて その素晴らしい作品に感動しております♪
前作、ユニティ・バンドもよかったですが、こっちのほうが ずっといいですねo(^-^)o

最初の2曲もカッコいいけど、8曲目が一番好きです。

トラバ代わりに URL貼らせてくださいね。
http://blog.goo.ne.jp/tm-0117/e/5b858166473ecf61d176a636c6d662cd?guid=ON

Marlinさん,こんにちは。返事が遅くなりました。

Unity Bandとどちらがいいかと言われれば,私もこちらの方が好きです。まぁ,人にもよると思いますが,サウンドは間違いなくカラフルになりました。

後ほど,そちらにもお邪魔しますね。

色々な方の絶賛を読んでから「どんだけ凄いんだ」と思いながら聴きましたが、やっぱり凄かったです。当方からもTBさせて下さい。

1irvingplaceさん,こんにちは。TBありがとうございます。

「痺れる」感覚とは違いますが,非常にレベルの高い音楽を聞かせてくれているということで,皆さんの満足度も高いのではないかと思います。かつ,PMGに対する郷愁も刺激していますよね。そうした要素も支持の高さにつながっていると思います。

音楽狂さん、こんばんは。
PMGがあんまり好みでないわたくしなので、"Group"にバージョンアップしてどうかなっとくるまでは思ってましたが、1,2曲のクリポタ、タイトル曲のAntonio Sanchezの最後の圧巻のソロは音の分厚さもあわせて圧倒されました。後半の曲がちりばめられてればもっとよかったと思ったりしてます。
相変わらずお忙しそうですね。胃腸も含め御自愛のほど・・。
トラバさせて頂きます。Google Blogger標準ではトラバ機能がないので、やりくりしてお送りしました!

とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。

Guilio CarmassiによりPMG的な部分が増えましたが,私はこのカラフルなサウンドはいいなぁと思いました。そういうところに惹かれるリスナーも多いのが,この作品の評価がかなり高い理由だと思います。

おっしゃる通り,前半の方が聞きごたえはありますし,私も後半にハードな曲を追加した方がいいとは思いましたが,お腹いっぱいになってしまうかなぁとも思えます。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

Pat Methenyのサウンドに何を求めるかで、"Band"と"Group"の評価が変わってくるんだと思っています。

個人的には、それ以前に Pat MethenyとChris Potterの立ち位置のところでつまずいてましたが。。(汗)

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,続けてこんにちは。こちらもTBありがとうございます。

私はUnity Bandは今イチ没入できない方だったのですが,こちらはずっと興奮させられました。まぁ,好みの問題って気もしますが,ライブは是非見てみたいですね。

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