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2015年おすすめ作

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2014年2月28日 (金)

追悼,Paco De Lucia

Paco_de_lucia 地方への出張から帰って,家でPCを立ちあげたら,驚きのニュースが...。

現地時間の2/26,Paco De Luciaが滞在先のカンクンで心臓発作で亡くなったそうである。まだ66歳,これからもまだまだ活躍が期待できる年齢だっただけにもったいないことだ。

Paco De Luciaと言えば,フラメンコに留まらず,ジャズ・ミュージシャンとの共演により,多くの人の記憶に残る音源を残した。最初の出会いはAl Di Meolaとの「地中海の舞踏」だったが,その後の活動でも,強烈な印象を残した人だった。今日はMehlianaについて書こうと思っていたのだが,急遽方針変更。本当に残念なニュースである。

R.I.P.

2014年2月26日 (水)

遅くなったがRH Big Bandである。

Roy_hargrove_big_band_2 2/19にRoy Hargroveのビッグバンドを観に行って,一部のアホな客のせいで不愉快な思いをさせられたことは既にこのブログにも書いたが,遅ればせながら演奏についても書いておこう。

Roy Hargroveのライブは,私としてはRh Factor以来だが,あの時とはやっている音楽はガラッと変わり,非常にコンベンショナルな響きが強いもので,私にしてはこの手のライブは結構珍しいってことになる。だが,Roy Hargroveのキャラもあって,非常にエンタテインメント性溢れる演奏となっており,非常に楽しめる演奏であった。この時の演奏を見ていてずっと思っていたのは,彼は現代のDizzy Gillespie的な線を狙っているのかなぁってことである。ラテン・タッチの演奏を交えるところにもそういうところを感じさせた。まぁ,着ている服からして普通ではなかったが...。

ビッグバンドのメンバーには超有名人はいないものの実力は十分,Roy Hargroveも彼らの力を踏まえてソロ・スペースを均等に与えることにより,それを実証しようとしてように思える。アルトのBruce WilliamsはRh Factorのメンバーでもあるが,今回は伝統を感じさせながら,フリーなアプローチも聞かせていた。この辺りが単にジャズ・ビッグバンドを聞かせようなんていう意思はないって気がした。だからこそ曲によってはベースをエレクトリックにした方がいいとも感じていた私である。

そして驚いたのがRoberta Gambariniのスキャットのうまさである。上手い人はうまいと感じさせるに十分な客演ぶりであった。こういう感じであるからこそ,あの日のアホ客が恨めしいのである。次はもっと真当な環境で聞きたいものである。

Live at ブルーノート東京 on February 19, 2014 2ndセット

Personnel: Roy Hargrove(tp, fl-h, vo, conductor), Justin Robinson(as), Bruce Williams(as), Keith Loftis(ts), Tivon Pennicott(ts), Norbert Stachel(bs), Greg Gisbert(tp), Tanya Darby(tp), Tatum Greenblatt(tp), Joshua Evans(tp), Jason Jackson(tb), David Gibson(tb), Vincent Chandler(tb), Max Seigel(b-tb), Sullivan Fortner(p), Ameen Saleem(b), Quincy Phillips(ds), Saul Rubin(g), Roberta Gambarini(vo)

写真はブルーノート東京のWebサイトから拝借。

今日はお休みです。

国内出張を控え,出張期間にその後の仕事のドキュメントを作成する時間がないということで,一気に何本も作成したら,さすがに疲れてしまった。元気の出る音楽でも聞こうかなぁと思ったが,さっさと寝た方がベターということで,本日はお休みです。

ちなみに通勤途上で聞いていたのはChuck Brown & the Soul Searchersだったのだが,それで多少元気は出たものの,その後が続かずであった(苦笑)。

2014年2月25日 (火)

ECMらしからぬ選曲に驚くNorma Winstoneだが,それでもECMの音になるのが凄いねぇ。

Norma_winstone "Dance Without Answer" Norma Winstone (ECM)

ECMでNorma Winstoneと言えば,私はAzimuthの諸作は保有しているものの,その他のアルバムまではカバーできていなかったというのが実態である。だが,企画盤"Re:Seoul"の中で既に1曲("A Breath Away")が公開されていて,それがよかったので,今回購入に至ったわけだが,それがなければ買っていなかったに違いない(笑)。だが,よくよく見ると,その"A Breath Away"はRalph Townerの曲ってこともあり,私が気に入ってしまったのはそういう要素もあったのか~とついつい思ってしまった。

このアルバムはAzimuthにも通じる非常に変わった編成での演奏だが,それがECMらしいと言えばその通りなのだが,選曲には,オリジナルに加えて,とてもECMが取り上げなさそうな曲までがカバーされているのには驚いてしまった。Madonna,Nick Drake,そしてTom Waitsである。これだけでもありえないのに,Dave Grusinが映画"Tootsie"のために書き,Stephen Bishopが歌った"It Might Be You",そしてなんとラストは「うわさの男("Everybody's Talkin'")」というのには本当に驚いた。だが,そんな曲をやっても,やはりECMはECMだったという音になっているのがある意味凄い。これらの選曲はNorma Winstoneによるものであって,Manfred Eicherの趣味では決してなかろうが,それでもそれがECM的に染まるというところにこのレーベルの凄さがある。

もちろん,音楽に刺激を求めるリスナーには,このような音楽は受け入れられないものかもしれないが,私にとっては,身体がこういう音楽を求める時もあるだろうなぁと思えるような歌唱集である。伴奏陣の二人も楚々とした演奏ぶりで,これはなかなかいいねぇ。特にピアノのGlauco Venierのピアノの美しさは特筆ものだと思った。

こんな歌唱を聞かされてしまうと,同じメンツで吹き込んだ"Distances"や"Stories Yet to Tell"も俄然気になってきた私である。だからECMは深みにはまり込んで行くんだと思わざるをえないが,それでもこういうサウンドは,特定のリスナーからということにはなるかもしれないが,求められて然るべきものだと思えた。そして,古希を過ぎてもNorma Winstoneの美声が健在なのが素晴らしい。選曲は全く意外だったが,これは非常に好感度の高いアルバムである。星★★★★☆。

Recorded in December 2012

Personnel: Norma Winstone(vo), Klaus Gesing(b-cl, ss), Glauco Venier(p)

2014年2月24日 (月)

Marcin Wasileuskiのブート音源発見!日本公演もこんな感じならよかったのになぁ...。

ネットを徘徊していると,いろいろな音源に出会うことがある。世の中にはありがたい人がいて,貴重な音源を結構まめにアップしてくれるのだが,今回,登場したのはMarcin Wasileuskiの音源である。

Wasileuskiは一昨年来日して,私も会場に駆け付けたのだが,PAのせいもあり,Wasileuskiのピアノの美しさは堪能できたものの,ドラムスの過剰さに,演奏に対する印象が低下したことは否めない(その時の記事はこちら)のだが,それを遡ること約2か月,2012年9月のドイツ,St. Wendelにおけるライブ音源は,これこそ彼らに求める音という感じで,非常に美しい。当時の最新作"Faithful"からの曲を中心に,素晴らしい演奏を展開している。日本公演もこういう音,あるいはこういう感じだったらなぁ。

まぁ,ブート音源はあくまでもブート音源なので,好き者の方だけダウンロードして頂ければよいのだが,これ,まじでいいんです~(笑)。

2014年2月23日 (日)

祝来日,Paolo Fresu。

Fresu_sosa_2

Paolo FresuはDevil Quartetの"Stanley Music!"ではまって以来,来日を待ち続けてきたのだが,上海とかには来るものの,ちっとも日本には来ないので,ほとんど諦めムードだったところに,突然の来日情報である。今回はOmar Sosaとのデュオにタップの熊谷和徳が加わるという編成だが,一体どういうことになってしまうのか?

ということで,現在はSosaとFresuのデュオ・アルバム,"Alma"を聞きながら準備中である。そもそも集客も心配されるが,今回は3/10の1日限りの公演なので,Fresuファンたる者,何があっても駆けつけねばなるまい。"Alma"に加えてNPRの人気プログラム"The Tiny Desk Concert"で映像を見ながら期待値を高めている私である。何ともリリカルな"Alma"から始まるこの映像を見たら,この世界の再現を期待したくなる。いやぁ~,それにしても楽しみである。ご関心のある方はこちらをどうぞ。15分程度の演奏だが,音源のダウンロードも可能である。

http://www.npr.org/event/music/178421346/omar-sosa-paolo-fresu-tiny-desk-concert

2014年2月22日 (土)

本当に感動するということ。その一方で嘆かわしい男...。

職場の同僚からは「嘘つけ!」と言われるかもしれないが,私はもともと涙もろい人間である。それが加齢により,更に涙もろさが増幅しているので,恥ずかしながら,もらい泣きしてしまうと歯止めがきかないぐらいになってしまう。今までも条件反射のように「サウンド・オブ・ミュージック」のラスト・シーンで「全ての山に登れ」が流れてくると泣き,「カリオストロの城」のラスト・シーン近くのクラリスと銭形のセリフで涙してきた。そこにもう一つ,条件反射的に泣かせるものが加わってしまった。それが先日の浅田真央のフリー・スケーティングの演技である。

多くの人が同じような感情をおぼえていると思うが,SPでの日本国中が凍りついた失敗演技でメダルの可能性はほぼなくなっていた彼女であるが,FSでの滑りはまさにそれを補って余りある演技であった。見ていて人を感動させる演技というのはこういうものを言うということは,世界中のスケーターたちから寄せられる絶賛の嵐からも感じられるし,そうした部分に私は真のスポーツマンシップを感じて,更に涙してしまうのである。リレハンメル,長野の銀メダリスト,Elvis Stojkoの二つのツイートにこそそれが表れている。"Mao Asada Simply brilliant skate tonight! SO awesome for her! Making Japan proud!","I just have to say I am teary eyed for Mao Asada, makes my heart smile! :-)"。その通りなのだ。Stojkoだけでなく,Kwan,Plushenko,そしてLipinskiから寄せられたツイート,コメントも同様である。

私はこのブログで,メダル偏重のメディアの対応や政治家の発言を批判した(記事はこちら)が,浅田真央の今回の演技はメダルだけがすべてではないことを雄弁に実証したはずである。そして,それを多くの日本人が理解したと思いたい。FSでの演技を見て,SPでの失敗に対し,「あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね。なんでなんだろうなあ」等という吐き気を催すような発言をした森喜朗はどう反応するのか。日本の政治家にこのように唾棄すべき人間がいることはまさに恥であるが,恥ずかしげもなく,2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を務めるなんていうだからちゃんちゃらおかしいわ。自分でもラグビーをやっていたくせに,アスリートの心情,あるいはスポーツマンシップを理解できない奴に組織委員会会長を任命すること自体恥である。誠に嘆かわしい。

今回の金メダリスト,Sotnikovaの優勝後の記者会見での発言を読んで,私はまた涙してしまった。「私は真央を心から尊敬している。彼女はとても強い女性。そして,よく練習をする人だと思う。私にとって真央は模範でした。真央は我慢強くて,彼女が背負ってきた困難を乗り越えることができる人。... 私は真央と一緒の場にいることができて幸せでした。なぜなら,真央が卓越した人だから。」

森喜朗に爪の垢でも煎じて飲ませたい。

2014年2月20日 (木)

ブルーノートの客質を憂う...。それも特定のだ。

Roy Hargroveのビッグバンドのライブを見るためにブルーノートに行ってきた。演奏は楽しめるものだったことは間違いない。だが,私は1人のアホな聴衆ゆえに演奏中,かなりの時間,辟易とした気分になっていた。

ライブの場で音楽を楽しむことは全然問題ない。だが,楽しむことと,他の聴衆への迷惑を顧みず奇声を上げて騒ぐことは別である。タイミングの悪い合いの手,更にはビートに合致しない手拍子は迷惑以外の何物でもない。あのような客を放置するブルーノートというクラブのマネージメントにははっきり言っておきたい。ライブ・ハウスには相応の"Quiet Policy"が必要だということである。多少の羽目の外し方なら目をつぶることもできる。だが,今回はあまりにひどい。何事にも節度というものが必要なはずだということを理解できぬアホのせいで,周りの聴衆は不快な思いをしていたはずである。同じ金を払って,あのバカの隣に座った女性こそ不幸である。私なら金返せと言うわ。

迷惑千万のあのうつけ者がこのブログを見るとは思わないが,はっきり書こう。ステージに向かって左側のアリーナ指定に座って上着を脱いでいたお前だ。ライブの場はお前だけのものじゃない。あんな奴に注意もできないようでは同行していた2人も同罪である。そして,ブルーノートのマネージメントはもう少しなんとかするのが筋だろう。このうつけ者,一度中座したらちょっと静かになったので,流石に店から警告されたのかもしれんが,それも長くは継続しなかった。頼むからああいう客は出入り禁止にして欲しいもんだ。

ライブ観戦記はまた改めて。それにしても腹が立つ。だがそれはHargrove,バンドのメンバー,更には他の聴衆のせいでは決してない。たった一人の聴衆のせいなのだ。ブルーノートにはもっとしっかりしろと改めて言っておく。

2014年2月19日 (水)

五輪観戦疲れの中年音楽狂

私も歳が歳なので,流石に深夜の五輪観戦が体力に影響を及ぼし始めている。とにかく眠い。通勤途上に聞いている音楽も,シリアス度ゼロって感じのものばかりである。まぁ,それはそれで心地よいが,完全に睡魔が優っている私。やっぱり歳なのだが、明日はいよいよ女子フィギュアのSPである。向こう2日間は更に寝不足必至だが,ここは根性で乗り切ろう(笑)。

2014年2月18日 (火)

日本,おめでとう!ジャンプ団体3位!

ドイツとオーストリアの死闘も見事なら,チームワークで3位に入った日本も立派であった。2強との差はあったものの,これまでのW杯ランキング5位からのジャンプ・アップは素晴らしいニュースである。プレッシャーのかかるところで,2本134mを揃えた葛西は「レジェンド」と呼ばれるに相応しい活躍ぶりである。まだ現役続行する気満々ってのも凄いもんだ。

いずれにしても,おめでとう,日本チーム!! 次はコンバインドLHだ!ということで,もう一回寝ようっと(笑)。

カーリング,惜しかったなぁ。

スイス,中国を連破して,準決勝に望みをつないでいた日本だったが,スウェーデンに敗れて予選敗退となったのは惜しかった。カーリングは戦略的で見ていても面白いが,あの距離で狙い通りストーンを投じるのは容易ではないだろうなぁ。しかも氷の状態によっては,曲がりも違うとあっては大変だ。一見地味でも面白いゲームであった。2勝4敗からイーブンに持ち込んだ日本チームは立派だったと思うし,十分に粘り強いところを示したと思う。さて,ジャンプの団体戦の結果やいかに。

2014年2月17日 (月)

昨年のイタリア旅行を思い出しつつ「たそがれのヴェニス」

No_sun_in_venice "The Modern Jazz Quartet Plays No Sun in Venice" The Modern Jazz Quartet (Atlantic)

昨年,私は家族でイタリアを訪れたわけだが,通常は滞在型の旅行を好む私たちには珍しく,完全観光モードを貫いた。訪れた場所はそれぞれに魅力的な街であったが,最初の訪問地がヴェネツィアである。ヴェネツィアそのものは完全に観光地化していると思えるが,観光地には観光地としての魅力が溢れているということを再認識させられた場所であった。

ということで,それを懐かしんでというわけではないが,突然の「たそがれのヴェニス」である。そもそもこの音楽はRoger Vadimが撮った「大運河」のサウンドトラックであるが,当時の欧州映画はジャズを使うことが多かったこともあって,これもその流れでMJQが採用されたものと思う。映画は未見なので,何とも言えないが,音楽的に見れば,これをMJQの代表作と呼ぶには躊躇があると言わざるをえない。

Venice この中では,ある程度知られているのは冒頭の"Golden Striker"ってことになるだろうが,それ以外は相当に地味,と言うかやっぱりサウンドトラックだよねぇと言わざるをえないものとなっていることは否定できない。美しい音楽なのだが,Milt Jacksonの持つブルージーな感覚が出ていないことがやはり問題だろう。そして,"Cortege"で出てくるトライアングルのような響きは音楽の流れを分断するだけで,全然よくないのである。この曲になると,私は聞く気が失せると言っても過言ではない。その一方で"Venice"や"Three Windows"のようなノーブルな響きはMJQらしいと言えば,その通りである。だが,アルバムとして聞くと,悪くはないとしても,やっぱりMJQはこれからではないということになってしまう。ということで,駄作の少ないMJQと言えども,これは水準,あるいはそれ未満ということで,よくても星★★★☆ってところだろう。

Turner_venice_2 ところで,甚だ余談ではあるが,やはりイタリアの観光地としての魅力は超一級だと思う今日この頃であり,死ぬまでにもう一回ヴェネツィアに行けるかなぁなんて考えている。まぁ一回行けただけでもよしとしなければなるまいとは思いつつ,もう一度行ってみたいと思わせる国であった。ってことで,MJQのアルバムのジャケはTurner作のようで,多分ヴェネツィアの駅の近辺を描いたものではないかと思っている。昨年の夏を懐かしんで,典型的な写真もアップしておこう。我ながらアングルが普通だが,若干距離感は違うが,Turnerもこの辺りで絵を描いたに違いないってことで(笑)。

Recorded on April 4, 1957

Personnel: Milt Jackson(vib), John Lewis(p), Percy Heath(b), Connie Kay(ds)

2014年2月16日 (日)

今日は懐かしのFirefallである。

Firefall "Firefall" Firefall(Atlantic)

私は昔からアメリカン・ロックが好きでその契機となったのがCSN&Yとの出会いである。それに始まり,数々のブラックホークが推したシンガー・ソング・ライターのアルバムや,アメリカン・ロックの王道のようなバンドも結構好きで,結構な数のアルバムも保有している。そんな中で,たまに聞いていいねぇと思えるバンドにFirefallがある。

このバンド,いまだに現役として活動しているが,私にとってはこのデビュー作以外は全く縁がないのだが,このアルバムに限って言えば,いろいろな要素が詰まっていて,結構楽しめるのだ。冒頭の"It Doesn't Matter"からしてCSN&Y的で思わず微笑んでしまうが,もともとがManassasの曲なんだから当たり前だが,CSN&Y的なものがもろに影響しているって感じである。かと思えば"No Way Out"なんて全く感じの違うファンキーな響きを打ち出していて,このバンドのサウンドの幅広さは明確である。だが,このアルバムで一番知られているのは"You Are the Woman"であることは間違いなく,このサウンドを聞いていれば,ウェスト・コースト・ロックだと思われたのも当然って気がする。

だが,彼らの本拠地はコロラド州ボウルダーであって,決して西海岸のバンドではないし,リード・ヴォーカルを取っているRick Robertsだってフロリダ出身なのだが,"You Are the Woman"がそういうテイストだけに西海岸的なイメージを与えているのかもしれない。

このアルバムを聞いている限り,この人たちは結構洗練されたサウンドを形成していて,泥臭い部分はほとんど感じないし,コーラス・ワークもCSN&Y的なので,非常に聞き易いサウンドだと思う。日本での知名度は今イチだが,彼らのセカンド・アルバムは"Luna Sea"と言う。日本でLuna Seaが出てきた時,おぉっ,Firefallに影響されてんのか?なんて思ったが,それが大きな誤解だったことは言うまでもない(爆)。それはさておき,これは一聴に値するナイスなアルバムだと思う。ジャケも好きである。星★★★★。Rick Robertsのソロ・アルバム,"Windmills"も好きだったなぁ...。

Personnel:Mark Andres(b), Jock Bartley(g), Larry Burnett(g, vo), Michael Clark(ds), Rick Roberts(g, vo) with David Muse(p, key, fl, ts, hca), Joe Lala(perc), Peter Graves(tp), Whit Sidener(bs), Ken Faulk(tp)

2014年2月15日 (土)

祝!オリンピック・チャンピオン,羽生結弦!!

Photo 羽生結弦が男子フィギュア・スケートで金メダルに輝いたことはまさに偉業と言ってよい。この1年で一気に長足の進歩を遂げたこのティーン・エイジャーは本当に立派な青年だと思う。

もちろん,今回の演技は彼にとっては完璧なものではなかったことは自分が一番わかっているはずで,インタビューにも嬉しさ半分,悔しさ半分のような感じがよく出ていた。「もしも」という仮定はスポーツの世界には成り立たないかもしれないが,ライバルPatrick Chanが完璧な演技をしていたら,今回の羽生のスコアでは逆転を許していたはずであるから,その辺が納得行かないところだと思う。しかし,運を味方にするのも,日頃の鍛錬の成果であり,今回の偉業は,東北の人々にも非常にポジティブな影響を与えるものと思う。

いずれにしても,これから羽生とChanの2強時代が当分続くものと思うが,これからも更なる高みを目指して競技していくであろうことを確信させたインタビューであった。大したアスリートである。おめでとう,オリンピック・チャンピオン!

それにしても彼のイナバウワーは優雅である。

2014年2月14日 (金)

美的感覚の極致:Lars Danielsson & Leszek Możdżer

Pasodoble "Pasodoble" Lars Danielsson & Leszek Możdżer(ACT)

本来であれば,この二人が入った新作の"Polska"を取り上げなければならないところだが,そちらは別稿に回すとして,まずはこのアルバムについて書きたい。私はEnrico PieranunziとECM系のアーチストを除けば,遅れてきた欧州ジャズのファンなので,この人たちの演奏に触れたのは随分後になってからのことである。このアルバムも,昨年の暮れにブログのお知り合いのkenさんが取り上げられるまで,実は認識していなかった作品である。だが,これが美的音源の塊と言うべき,あまりにも美しいアルバムだったのには心底驚かされてしまった。

ポーランド出身のLeszek Możdżerとスウェーデン出身のLars Danielssonということで,どちらも冬は厳しい国の出身である。だが,寒い冬がとろけるような美しい音楽を奏でていて,まさにこれは冬向きの音楽ということになるのではないだろうか。凍えるような冬に,部屋の中でこの音楽を聞いていれば,心地よいこと間違いなしである。クレジットを見れば,やはり冬に録音されていて,季節感が音から溢れているって感じなのだ。

正直なところ,私はこの二人にZohar Frescoを加えたトリオの作品("Live"や"Polska"等である)に完全にのめり込めていなかったので,このアルバムはどうなのかなぁと思いつつ,どうしても気になって購入したものなのだが,次から次へと美しい旋律が紡ぎ出されてきて,とにかくうっとりしてしまったというのが正直なところである。電車でこれを聞いていて,思わず乗り過ごしそうになったというのは大袈裟に聞こえるかもしれないが,まさに「時さえ忘れて」状態だったのである。私も長年音楽を聞いているが,今まで聞いてきたピアノとベースのデュオ作品の中でも最も美しいと思ったと言っても過言ではない。それほどの魅力的な音源だったのである。

タイトル・トラックのようにややアップ・テンポの曲もあるが,全てにおいてこれほど美的なアルバムはなかなかお目に掛かれるものではない。書かれた部分と即興の部分の境も全くわからないと言ってよいような作品である。もっと早く聞いておけばよかったと思わず後悔した一作。この美しさには私には星★★★★★以外はない。まじでいいですわぁ...。こういう音楽を臆面もなく好きだと言ってしまう私は,やはりネクラなのだろうなぁ(爆)。でもいいものは本当にいいのだ(きっぱり)。美的音楽を愛するそこのあなた,聞きなさい!!(笑)

これを聞いた後,iTunes Storeに彼らのライブ音源(このアルバムの収録曲多し)があるのを見つけて,即ダウンロードしたことは言うまでもない。そちらはまた改めて。

Recorded in December 2006 and January 2007

Personnel:Lars Danielsson(b, cello), Leszek Możdżer(p, celesta, harmonium)

2014年2月13日 (木)

ここまでのソチ・オリンピックを見ていて思うこと

私は何だかんだと言いながらもTVでのスポーツ観戦が好きな方だと思うが,今回もよせばいいのに冬季オリンピックの中継で,睡眠時間を削っている状態である。オリンピックは国威発揚の場というか,人間の心の中に潜むナショナリズムをあぶり出してしまうことがあると思うが,私としては同胞を応援したくなるだけで,どこかの国の政治家がのたまう「愛国心」等とは別の次元のものだと思っている。そもそも愛国心は人から押しつけられるものではないし,それぞれの人間がいろいろな感じ方を持つものだろう。

それはさておき,今回のオリンピックであるが,ロシア国民の熱狂的な応援ぶりには正直辟易とさせられる部分はあるが,まぁそれは仕方のないこととして諦めよう。

一方,これまでの競技を見ていて思うのは,メディアがメダル,メダルと喧し過ぎるように感じるのは私だけだろうか?もちろん,スポーツである。競技者としては少しでも上の順位を目指してやっていることはわかる。だが,その結果として,メダルに届かなかったとしても,選手たちが全力を尽くしたのであれば,何ら恥じることはない。そんなところに団長だからと言って,橋本聖子がメダルの数がどうのこうの言うのは違和感しか覚えない。彼女は競技者出身なのだから,競技者の心理はわかっているはずなのに,一番メダル数にこだわっているのは自分の手柄にしたいというように思えて,正直言って感じが悪い。

だからこそ,今回の競技終了後の上村愛子の対応に,私は感動させられた。本人は「清々しい」と言う表現を使っていたが,やり切ったからこその達成感があるがゆえの彼女の反応だったのだと思う。競技を見ていて,彼女が本来3位に相当する滑りだったというのももっともな意見だとは思うが,ジャッジの見る目と,我々の見る目は違っていて当然だし,一般の人間がよくわからないルールというのもあったように思う。上村愛子のスピードは群を抜いていたし,大きなミスもなかったように私にも思えるが,上体のブレまで気にして見ていたわけではない。だが,上村愛子はそうした点を理解した上で,果敢に,かつアグレッシブに攻めた結果があの成績であったと考えていたように思えてならない。おそらくは自分らしさにこだわった結果が4位という成績だったのだろうが,世界で4位って凄いことである。サッカーのW杯であれば,準決勝まで進出しなければなれない順位なのだと考えれば,その凄さはわかるはずである。残念だったというのは事実としても,本来は「お疲れ様,そしておめでとう」という言葉こそフィットするのだと思う。それは高校生ながらW杯で圧倒的な強さを示したが,今回は4位になった高梨沙羅にも当てはまる。今回は惜しかったと思うが,風に恵まれないという不運は彼女の実力とは関係ない。不運の中での4位は本当に立派な成績である。

スピード・スケートの加藤条治,長島圭一郎,そして小平奈緒も5位,6位,5位というのは表彰台を目指してやってきた本人たちには納得できないかもしれないが,まわりの人間からは祝福されるべき成績だと思うのだ。

もちろん,メダルを獲得した平野歩夢,平岡卓,そして渡部暁斗は立派なものである。そして,渡部のメダル獲得に大泣きをしていた荻原次晴には私ももらい泣きしてしまった。だからと言って,その他の出場者の価値が下がるわけではない。少なくとも国を代表して参加したのだから,成績がどうであれ,全員に胸を張って帰国してもらえばいいと思う。

随分青臭くも理屈っぽい記事を書いてしまったが,これまでのところの正直な感想である。もちろん,同胞がいい成績を収めることは素晴らしいことであるが,今一度,「参加することに意義がある」という五輪の精神に立ち返ってもいいように思える。そうは言いながら,同胞の活躍を期待して,これからも夜を徹していろいろな競技の放送を見て,寝不足で昼の仕事に臨むってことになるだろう。まぁ,6月のW杯に向けてのトレーニングってことで(爆)。

2014年2月12日 (水)

面白いんだけど,そんなにいいと思えなかった「アメリカン・ハッスル」

American_hustle 「アメリカン・ハッスル("American Hustle")」('13,米,Columbia)

監督:David O. Russell

出演:Christian Bale, Bradley Cooper, Amy Adams, Jennifer Lawrence, Jeremy Renner

今年2本目の劇場映画である。昨年公開された「世界にひとつのプレイブック」は楽しい映画であった。その前の「ザ・ファイター」もよかった。この事実からして,David O. Russellは信頼できる監督だということはわかっているし,今回のオスカーでも主要部門に軒並みノミネートということで,評価も高いという前提が成立するから,この映画は正直言って非常に楽しみにしていた。

結論から言えば,相応に面白い映画であることは事実である。だが,私が期待していたほどではなかったというところなのがちょっと残念である。その要因としては,前半の展開がややスローに感じられるからだと思うのだが,盛り上がってくるのはJeremy Rennerが本格的に登場してくる中盤以降ということになるように思える。

演じる俳優陣は立派である。特にChrisitian Baleの変貌ぶりからは,この人がついこの前,バットマンを演じていたとは思えないが,「ザ・ファイター」では激ヤセ,そして今度は激太りと,役ごとに見た目を変化させるのは,まるで往年のRobert De Niroのようであるが,そのDe Niroがキャメオ出演(クレジットすらされていないが,キャメオと言うには存在感あり過ぎ...)しているのはそうした部分とも無関係ではないように思える。そして,Amy Adamsのセクシー衣装の連発には目がクラクラしていた私である。"Man of Steel"のLois Laneの時と違い過ぎである。Bradley Cooperはまぁそこそこと思うが,この人,何でもできるねぇと思わせるのがJennifer Lawrenceである。X Menから本作まで,彼女が演じたキャラクターの「落差」を思うと,物凄い。私は見ていないが,「ハンガー・ゲーム」にも出ているんだから,何をか況やって感じである。上記の4人の役者は主演,助演の男女優賞にノミネートされているが,それもまぁうなずけるという演じっぷりである。そして,Jeremy Rennerもヘア・スタイルが笑えるが,演じている役を考えると,この人も芸域が広い。本当に達者な役者を揃えているところが,この映画の肝である。

だからこそ,もう少し面白く仕立てられたのではないかとも思えるが,どこまでがリアルで,どこまでが詐欺なのかという,往年の「スティング」のようなノリであるならば,「スティング」を凌駕することはできないとしても,それに近い路線まで持って行けたのではないかと思える。私からすれば,もう少し「笑い」の要素があるぐらいの方がよかったように思える。それが残念と言えば残念である。オスカーに10部門ノミネートと言うのは,私からすればやや過大評価ではないかと思う。それでも面白いことは面白いので,やや甘めの星★★★★ってことにするが,私はRussell作品ならば,前作,前々作の方がずっとよかったと思う。

2014年2月11日 (火)

今日はおやすみです。

オリンピックの中継で生活リズムが崩れつつあり,出張の新幹線の車中でも熟睡する始末である。ということで音楽もちゃんと聞けていないし,現在もスピードスケート観戦中ということもあり,今日はおやすみです。

それにしても男子モーグルのスピードは,コブ嫌いのへなちょこスキーヤーの私にはまさに驚異的。凄いねぇ...。

2014年2月10日 (月)

中年音楽狂,ギターの練習に励む...

3月に開催されるとあるイベントでギターを弾くことになり,人前で弾くのは六本木の生バンドのいるカラオケ・バーで,バンドの皆さんと一緒に"Sonnymoon for Two"を弾いて以来となる私は,早速練習に取りかかっている。だが,以前よりはギターに触れる機会が増えているとは言え,指の皮がギタリストのそれのようになっていない状態では,なかなか厳しい。一旦カチカチになって,一皮むけないと,どうもうまくないわけだが,この週末もひたすらコード進行の確認に努めて,練習していたのだが,指が痛いこと甚だしい。50を過ぎて,こんなことになるとは思わなかったが,まぁ,たまにはいいだろう。

何をやるかは当然内緒である(笑)。

2014年2月 9日 (日)

超お下劣,でも無茶苦茶面白い「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」

Photo 「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート("The Wolf of Wall Street")」('13,米,Paramount)

監督:Martin Scorsese

出演:Leonardo DiCaprio, Jonah Hill, Margot Robbie, Matthew McConaughey, Kyle Chandler, Rob Reiner

今年最初の劇場映画がこれである。これは非常に面白い。ただ内容には相当お下劣な部分があるため,これはR18+は仕方がないなぁと思わせつつ,約3時間の尺をものともしない映画に仕立てたScorsese,さすがである。

この映画が実話に基づくというのは全く信じ難いが,実は日本のバブル期にも同じようなことがあったのではないのかと思わせる部分もある。結局は成り上がりの悪党に天罰が下るという話なのだが,全然感傷的なところも,説教じみたとこもなく,破天荒な人生とはこういうものだというかたちで描かれているので,結構笑えてしまうところがこの映画のいいところである。

一方,映画としては無茶苦茶面白いのだが,「良心」がどうのこうのとか言う人間にとってはまさに「何じゃこれは?」と言いたくなるような映画である。だから,この映画が今年のオスカー・レースにおいてどのように評価されるかで,アカデミーの保守性が問われることになるのではないかと思う。私はここでのDiCaprioの演技は認めてあげてもいいと思うし,Scorseseの監督の腕,更には助演賞候補のJonah Hillも見事なものである。だが,ここで所謂「良識」が首をもたげてくると,この映画に対する風当たりは強くなりそうである。結局,これでヒューマニズムの観点で立派な"12 Years a Slave(邦題は「それでも夜は明ける」と言うそうだ)"で大勝してしまったのでは,それはそれで全然面白くないということにもなる。"12 Years a Slave"はまだ日本公開は先なので,予告編を見ただけだが,これは結構,賞レースでは有利な話だろうなぁなんて思ってしまった私である。それに比べると,やはり「ウルフ」はお下劣に過ぎる部分があるのは事実なのだ。

いずれにしても,この映画に対する評価は,これを笑って見られるか,眉をひそめるかという観客のメンタリティに影響される部分大だと思う。私はこの映画を見ていて笑って見ていたクチであるから,娯楽映画として大いに評価したいと思う。世間の「良識」派の皆さんに対するアンチテーゼとしても,私はこの映画に星★★★★★をつけたい。お下劣で何が悪い!映画は映画全体として評価すべきだろうとだけ言っておこう。トータルで見れば,絶対この映画は面白いのである。

そしてもう一点,付け加えておくならば,この映画に出てくる音楽は魅力的である。クレジットをよく見ていると,Executive Music ProducerがRobbie Robertsonとなっているではないか。"The Last Waltz"以来,RobertsonとScorseseの関係は脈々と続くって感じか。選曲の妙を楽しめるのも,この映画のポイントの一つと言っておこう。

2014年2月 8日 (土)

Aaron Parks参戦記(続)

Aaron_parks001 Aaron Parksのライブ参戦記の続きである。昨日の記事にも書いたが,この人のリリカルなピアノは一級品だと思った。そして,織り交ぜられるフォーク・タッチには往年のKeith Jarrettのような響きも感じさせたが,Keithよりもタッチが柔らかい感覚なので,非常に聞き易いピアノだと思えた。いずれにしても,左手も強力なのが印象的で,きっちりとピアノのトレーニングを受けているのだろうと感じさせるに十分であった。

Aaron_parks_and_i_3 演奏はどれも聞きごたえのあるものだったと思えるが,曲名はわからなかったのだが,Monkのような曲を演奏したものは,若干フィット感に欠けるというか,この人のソロ・ピアノは,スイング感覚を感じさせるよりも,美しいメロディ・ラインを奏でる方が合っていると思えた。だが,総じて言えば,この人が相当の実力者であるということを実証したライブであり,今後に期待が持てるピアニストであることを示していたと思う。終演後,彼とちらっと話したのだが,ECMではホーン入りのクインテット・アルバムが吹き込めればいいなぁというような話をしていたし,Blue Noteから出た"Invisible Cinema"のフォロー・アップ盤も計画中ということだった。

いずれにしても,話をしていても,非常に好感度の高い青年であり,育ちのよさを感じさせる人であったと言っておこう。写真は今回の戦利品と,Aaron Parksに対して,iPhoneで当ブログの画面を示し,「去年のベスト・アルバムの1枚に君のアルバムをピックアップしたんだぜぃ」と話す私。顔はいつものようにモザイクかけてます(笑)。

Live at Cotton Club on February 6, 2014,セカンド・セット

2014年2月 7日 (金)

Aaron Parks:ソロで聞かせるこのリリシズム,大したものである。

Aaron_parks Aaron Parksのソロを聞くためにコットンクラブへ出掛けてきた。詳しくは改めて書くこととするが,まだ30そこそこにしては非常に優れた表現能力を示していた。私はECMからリリースされた"Arborescence"を昨年のジャズ・ベスト作の1枚に選んだが,それがトリガーとなって,今回のソロ・ライブへの参戦となった。

惜しむらくは,客入りの悪さであったが,Aaron Parksは一切手抜きなしで演奏を展開していた。そしてそこで聞かせたリリカルな表現が素晴らしかった。そしてアンコールで聞かせた"Sophisticated Lady"は心地よい余韻を残したと言えよう。今日は夜も更けたので,続きは改めて。

2014年2月 6日 (木)

Rodney Green:今回のSmalls Liveの購入盤はこれだけ

Rodney_green "Rodney Green Quartet Live at Smalls" Rodney Green(Smalls Live)

お馴染みのSmalls Liveシリーズの新作の登場である。今回も4枚リリースされたはずだが,私が購入したのはこれだけである。完全にメンツ買いである。Seamus Blakeに加え,Criss Crossにリーダー作を残すLuis PerdomoとJoe Sandersというメンツは非常に魅力的と言ってよい。そもそもSmalls Liveは今のヴィレッジでのジャズのありようを捉えたドキュメントとして貴重な部分もあるが,やはり相応の演奏のクォリティを保っているのが素晴らしい。

だが,いつも通りというか,このシリーズ,録音が手作り的に行われていることもあって,音はこの時代にあっては相当のローファイである。だから,今回のようにドラマーのGreenがリーダーであったからと言って,ドラムスのニュアンスまで捉えられているかというと決してそんなことはない。だが,私が以前Lage Lundのライブ・レコーディングに立ちあった経験(記事はこちら)からすると,それも仕方がないのである。低予算であっても,演奏をドキュメントすると言うことがこのシリーズの目的なのだとすれば,「音がどうのこうの」という批判は当たらない。

そうした中で,この演奏なのだが,今イチ高揚感がない。このメンツならではのハード・ドライビングな感じもあまりない。正直言って,私はこのところのSeamus Blakeに一時期ほど期待を寄せられなくなっているのだが,ここでも以前のSeamusのような熱い感覚があまりないのはどうしたことか?もう少し,Seamusならばもっとブイブイ言わせられるはずなのだが,ちょっと落ち着き過ぎた感覚が強いのである。しかもワンホーン・クァルテットというSeamusにとっては願ってもない編成なのだ。こちらの期待値を軽々と越えて行ってもよさそうなものなのだが,私には今ひとつ魅力的に響かない。

その要因の一つに,ここでの演奏が,現在のNYCらしい変拍子を多用せず,比較的コンベンショナルな感覚を与えるからかもしれないが,それでもやはりちょっと肩透かしを食うって言う感じではないかと思う。そうは言っても聞きどころはある。私が一番魅かれたのはLuis Perdomoのイントロのピアノが美しい"The Citadel"だと思う。この辺りの演奏はさすがと思わせるが,このメンツであれば,アルバムを通じてもっとリスナーを興奮させられる演奏ができたのではないかと思える。そこが惜しいって感じなのだ。ということで,悪くはないが,星★★★☆ってところの評価が妥当だろう。Seamus Blakeの行く末がやや心配になっている私だが,Criss CrossでのChris Cheekとのテナー・バトル盤で燃えるSeamusを聞きたいと思っている。激励も込めてもっと頑張れ,Seamusと言っておこう。

Recorded Live at Smalls on October 16 & 17, 2013

Personnel: Rodney Green(ds), Seamus Blake(ts), Luis Perdomo(p), Joe Sanders(b)

2014年2月 5日 (水)

待望のリリース:Pat Metheny Unity Group

Pat_metheny_unity_group "KIN(←→)" Pat Metheny Unity Group(Nonesuch)

Unity Bandのアルバムがリリースされたのが2012年6月であるから,比較的短いインターバルで届けられたPat Metheny Unity Groupとしての新作である。前作との違いはマルチ・インストゥルメンタリスト,Giulio Carmassiの加入だが,この人は昨年末にWill Leeのバンドで来日していて,その時には,私はこのブログに「キーボードだけでなく,ギター,サックス,フリューゲルホーンもこなすマルチ・インストゥルメンタリストで,そのどれにも破綻がないのは立派である。まだまだ若いと見たが,やはり米国の音楽界は奥が深いねぇと思ってしまった。」なんて書いている。Will Lee とMethenyでは随分と音楽は違うようにも思えるが,実力のある人は何でもできるってことである。

それでもって,この新作だが,10分を越える曲が4曲も収められていて,これは力が入ってるねぇと想像させるものだった。そして,冒頭のイントロからして期待値を膨らませる出だしなのだが,その長尺の"On Day One"が全くもって素晴らしい出来である。私はUnity Bandのアルバムについては評価しつつも,もっと行けると思っていたクチだが,このアルバムは冒頭の1曲からして私の期待に完全に応えたものである。まさに進化を遂げたグループ・サウンドであり,これだけでも燃える。この曲は結構起伏がある構成だが,時折Steve Reich的なミニマルな部分が顔を出すのもPat Methenyらしいと言える。2曲目の"Rise Up"はクリポタが出てくるまでは"First Circle"を激しくしたように思わせる曲だが,1曲目に続いてこれも相当にきている。テーマのメロディに関しては,今イチ感がないわけではないが,ここまで聞いただけで,クリポタのバンドでの立ち位置が進化していると感じさせるものになっているのは,Methenyだけでなくクリポタ・ファンでもある私のような人間にとってはまさに嬉しいものである。そして,Ben Williamsのベースのラインが非常に魅力的に響いている。

3曲目の"Adagia"がインタールード的な役割を果たした後に来る"Sign of the Season"は激しさこそないが,アルバムのバランスを良好に保つためにはこういう曲がいるという感じであるが,ここで実はスパイスとして効いているのがCarmassiのピアノではないかと思える。ピアノが加わることによって,サウンドのテクスチャーに適切な色彩が加わっていると言えるだろう。この人の本作への貢献度は過小評価してはならないと思える。そして,タイトル・トラックの"Kin (<-->)"はAntonio Sanchezのスリリングなドラムスのショーケースのようなかたちになっており,それぞれのメンバーの演奏についても聞きどころが準備されているところが素晴らしいではないか。

続く"Born"は徐々に盛り上がる展開が印象的な,ロッカ・バラッドって感じである。次のわずか38秒の"Genealogy"はPatの好きなOrnette的なサウンドのインタールード。"We Go On"は歌詞をつけたくなるようなメロディ・ラインが魅力的であり,そしてラストの"Kqu"で穏やかにアルバムの幕を閉じる。前半から中盤の激しい展開と,比較的穏やかな後半という構成と考えてよいが,最後に一発ガツンと行ってもよかったように思えないこともない。だが,全体を通せば,これでお腹いっぱいになって,大満足してしまうフレンチのフルコース料理のようなものである。

いずれにしても,この作品,ドラマチックな曲の構成と言い,各人のソロと言い,スリリングな展開と言い,私は"Unity Band"をはるかに凌駕すると聞いた。これほどの見事な演奏を聞かせてくれるのであれば,私は本作に星★★★★★をつけることになんの躊躇もない。いやいやこれはまじでよいし,特に前半から中盤は燃える。この作品の出来を聞いていると,PMGの復活は相当先送りか?と言わざるをえなくなるようなものである。このバンドのライブは絶対に聞きたいが,その一方でそろそろPMGもと思っている人も多いだろう。しかし,こんなアルバムを出して,ライブに勤しんで,グループとしてのエクスプレッションを高めていったとしたら,それこそ末恐ろしいし,PMGは暫くお預けを食らっても我々リスナーとしても納得するしかあるまい。

最後になるが,私としてはPat Methenyの近年の作品においても,本作を最高の出来と評価する。まさしくお見それ致しました。2月も初旬というのに,今年中にこれを凌駕する作品にはそう出会えないだろうと確信させるに足る傑作。ついつい興奮して記事もいつもより長くなってしまった(笑)。

Recorded in June, 2013

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth, synth, orchestrionics), Chris Potter(ts, b-cl, ss, cl, a-fl, b-fl), Antonio Sanchez(ds, cajon), Ben Williams(b), Giulio Carmassi(p, tp, tb, fr-h, cello, vib, cl, fl, recorder, as, el-p, whistling, vo)

2014年2月 4日 (火)

またもや素晴らしい作品を届けたTord Gustavsen

Extended_circle "Extended Circle" Tord Gustavsen Quartet(ECM)

ECMにおけるTord Gustavsenの作品もこれで6作目になるはずである。この人については,私は"Restored Returned"には結構辛口な評価をした以外は,ほぼ全幅の信頼を寄せられると思っている。これこそECMファンの求める音だと思う。今回も不動のクァルテットによる作品のリリースだが,このECMらしいサウンドに接すれば,無条件でOK!と言いたくなってしまうような作品である。

もちろん,この音楽があらゆるリスナーに訴求するものでないことは承知の上であるが,この静謐さと清冽さこそECMが打ち出してきた音楽,そして音である。現在のECMレーベルのカバーする音楽はそれこそ幅が広いが,そうした中でも,長年の同レーベルのファンにとっては本流(決してコンベンショナルなジャズという意味ではなく,ECMとしての本流)と呼んで全く問題のない作品である。

逆に言えば,この作品を聞いてもいいと思えないリスナーはECMレーベルとは相性がよくないと言ってもよいわけで,これまでECMに触れたことのないリスナーにとっては,今後のレーベルとの付き合い方を探る試金石となりうる。大袈裟に聞こえるかもしれないが,そういう音なのだ。私は前作でも感じたが,これはKeith Jarrettのヨーロピアン・クァルテットの21世紀版のように思える。特に終盤の"The Embrace"や"Glow"にはそうした香りを感じさせる。だが,それはそこはかとない香りであって,Keithとはやはり違うのだ。多少の影響はあろうが,決してコピーではない。そう感じさせる美しいアルバム。そして,ラストに収められた"Prodigal Song"を聞いて,何とも言えない美的な余韻を与え,これは本当にいいと思わせる。

やはりTord Gustavsen,素晴らしいピアニスト,そしてこのクァルテットは素晴らしいバンドである。星★★★★★。

Recorded in June, 2013

Personnel: Tord Gustavsen(p), Tore Brunborg(ts), Mats Eilertsen(b), Jarle Vespestad(ds)

2014年2月 3日 (月)

なんで今頃になってMilesのFillmoreライブの正規盤が出てくんねん?

Miles_fillmore 昨年,Milesのフィルモア・ライブの「木曜日」のブート盤が遂に登場して,感涙にむせんだリスナーは多いのではないかと思うが,なんと,その正規盤がソニーから登場すると知り,正直言って頭に来ている私である。

ブートに大枚はたく方が悪いと言われればその通りであるが,今頃になって正規盤をリリースするソニー(Columbia Legacy)という会社は一体何を考えているのかと言いたい。Miles at Fillmoreの未編集テイクがいかに素晴らしいものであるかは,聞いたことがある人間であれば,誰しも理解できるものである。それを今まで出さずにおきながら,ブートで「木曜日」が出た瞬間に正式盤をリリースとはなんとせこいのか。

ついでに,それだけではブート盤購入者に正規盤を買わせられないだろうということで,Fillmore Westでの演奏をボーナスとして追加しているようだが,それだってブートでとっくに出ている音源ではないか。こういうやり方をしていると,絶対この会社は嫌われるという最たる事例である。何とも不愉快極まりないが,それでも正規盤は買っちゃうんだろうねぇ(爆)。これでブートの方が音がよかったら一体どうしてくれるのか。その時はきっちりと落とし前をつけてもらいましょう。

それにしても許しがたいなぁ。

2014年2月 2日 (日)

児玉桃:このピアノの響きに身を委ねたい

Photo "La Vallée Des Cloches" 児玉桃(ECM New Series)

これまでECMレーベルにおいて日本人の単独リーダー作は菊地雅章の作品があるだけだと思うが,それに続く作品として出てきたのがクラシック系の児玉桃である。やっているのはラヴェル,武満,そしてメシアンというのが,いかにもECMらしいが,これがなかなかよい。

収められている曲の中では「道化師の朝の歌」が最も有名かなぁと思うが,ピアノでこの曲を聞いたのは私は今回が初めてであった。だが,もともとはピアノ曲だと聞いて,妙に納得してしまった。その曲を含むラヴェルの「鏡」という組曲が実にECMレーベルとフィットした音楽に聞こえるから不思議なものである。だが,このアルバムの最大の聞かせどころは,児玉桃としてもメシアンの「ニワムシクイ」だと思っていたのではないだろうか。

「鳥のカタログ」の派生版と捉えてもよい大作であるが,正直なところ,私はメシアンがこの曲について語っている内容についてはよくわからない。だが,いかにも現代音楽と言いたくなるようなこの曲が,聞いているうちに快感になってくるのである。アルバム全体を通じても,一貫性の感じられるものであり,このプログラムは実によくできているのではないかと思わせるものとなっているのが素晴らしい。

私はPeter Serkinによるピアノの現代音楽を結構好んでいるのだが,そんな私にとって,ここでの児玉桃のピアノのスタイルが非常にしっくりくるという感じがする。やっぱりこういうのが好きなんだねぇ(笑)。ということで,決して万人にとって聞き易い音楽とは言わないが,この響きに身を委ねていれば,それはそれで楽しい(心地よい)と思えるであろう一作。そして何よりも,日本人の手になるこのアルバムがECMから出たことを素直に喜びたい。ということで,若干の加点も含めて星★★★★★としてしまおう。でもやっぱりちょっとハードルの高い音楽だろうなぁ...(苦笑)。

Recorded in September 2012

Personnel:児玉桃(p)

2014年2月 1日 (土)

Saya:彼女には悪いが,時代の徒花と言うべきだろうな。

Saya "Unity" Saya (Pony Canyon)

このアルバムがリリースされたのは2002年の頃のはずであるが,今,約干支を一回りして改めて本作を聞いてみて思うことは,この頃には何だか訳がわからないうちに多くの女性日本人ジャズ・ピアニストが登場したなぁという思いはありながら,今となってはちっとも記憶に残ってないなぁということである。今回,久しぶりにこのアルバムを聞いてみても,これでは記憶に残るはずはないというのが正直な感想である。この人,ジャズをやっているにしては結構な美形な人だと思うが,それだけでは音楽は成り立たないということの最たる事例である。

ここでやっている曲は,ポップ・チューンを交えてなかなか魅力的なのに,聞いていても全然面白くない。結局のところ,聞き心地の良さはあったとしても,それ以上の魅力がこの音楽にはないと言うしかない。彼女がNeville Brothersと一緒にやっていたという事実は立派であるが,だからと言って,それがジャズ・ピアニストとしての実力を保証するものではなかったという当たり前のことに今更ながら気がつかされる凡作。こんなものをゴールド・ディスクにしていたSJという雑誌の崩壊は,この頃にはもう明らかだったということを振り返った作品だと言っておこう。この程度ならば,星★☆で十分。それにしてもつくづく面白くない作品である。当時,こんなものを買っていた自分を呪いたくなるわ(爆)。完全に背中に騙されたな(笑)。

Personnel: Saya(p), Mark Williams(b), Deszon Claiborne(ds), Nelson Braxton(el-b)

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