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2013年12月31日 (火)

皆さん,よいお年をお迎え下さい。

いよいよ大晦日である。今年は私にとって最大の出来事は引越しをしたということであった。劇的に生活環境が変わり,通勤時間が短くなったのは大変ありがたいのだが,通勤時間に音楽を聞くというこれまでのパターンよりも,家でPCに向かいながら聞く方が多くなったというのが大きな変化である。また,通勤時間の読書の時間も減少してしまったが,来年はもう少し家で読書にも勤しみたいところである。

一方,これまでほぼ毎日アップを心掛けてきたこのブログにも多少穴をあける頻度が増えてしまった。ブログは自己表現の場であるということには変わりはないのだが,音楽を聞くスタイルの変化にブログの記事のアップが影響を受けたようにも思える。これからも多少更新頻度にアップ・ダウンはあるかもしれないが,できるだけ続けていきたいとは思っている。

ともあれ,この1年間,私のしょうもないブログにお付き合い頂きましてありがとうございました。来年も懲りることなく,引き続きよろしくお願い致します。

では,皆さん,よいお年をお迎え下さい。

2013年12月30日 (月)

Jim Hallを偲んで,今日は"Jim Hall in Berlin"

Jim_hall_in_berlin "It's Nice to Be with You: Jim Hall in Berlin" Jim Hall (MPS)

今年もいろいろな訃報があったが,J.J. Cale,Lou Reed,そしてJim Hallまで亡くなってしまったことにはショックが大きかった。人の人生には限りがあり,死はいつか訪れるとわかってはいても,Jim Hallは来年1月の来日が決まっていただけに,突然の訃報には驚いてしまった。

年末も押し迫り,大掃除だ,買い物だ,あるいは何だかんだで慌ただしい中,音楽をちゃんと聞く時間もないが,ようやく夜になって落ち着いたところで,何を聞こうかなぁと思って取り出したのがこのアルバム。

やはりJim Hall,とてつもなく渋い。このアルバムにはギターの多重録音という珍しい取り組みもあるが,そうは言っても落ち着いた音色,滋味溢れるフレージングの数々に,とても録音時には40歳にもなっていない人の演奏とは思えない。やはりこの人は昔から完成されたスタイルを持っていたのだと思い知らされるアルバムである。あるいは若年寄と言うべきか(笑)。

今日はこのアルバムをじっくり聞いて,Jim Hallのご冥福を改めて祈りたいと思う。

Recorded on June 27 & 28, 1969

Personnel: Jim Hall(g), Jimmy Woode(b), Daniel Humair(ds)

2013年12月29日 (日)

2013年の回顧(音楽編):その2(ジャズ編)

Wayne_shorter_without_a_net 今年の回顧もこれが最後である。今年聞いたジャズ・アルバムの中で何をベストとするかは,実はアルバムを聞いた瞬間に決まっていた。それはWayne Shorterの"Without a Net"である。このアルバムのテンションの高さは正直言って異常と言ってもよいぐらいであったが,Wayne Shorterは80歳にしてこの演奏というのが凄過ぎる。結局,この1年,テンションという意味ではこのアルバムを上回る作品には出会っていないし,今後もそうはないだろうと確信させる超弩級の傑作。今年のShorterの来日公演は見逃したが,来年はライブに参戦予定である。ライブでも締め上げられるような感覚に陥ること必定であろう。それにしても強烈な作品であった。

Keith_jarrett_somewhere 次に印象深いのがKeith Jarrett / Gary Peacock / Jack DeJohnetteのトリオによる"Somewhere"である。私は今年,彼らのライブにも行ったのだが,この作品がライブをはるかに凌駕するクォリティだったことには若干微妙な念を感じつつも,これほどの演奏をこのトリオで聞いたのは久しぶりということで,やはりこれは高く評価しなければならない作品と思っている。全編を通じてのクォリティの高さは特筆もの。最初のつかみから,タイトル・トラックの感動と聞きどころ満載の作品であったと思う。まさによくプロデュースされた作品とも言えるが,このあたりがManfred Eicherのマジックである。やはり素晴らしい作品と言ってよい。 

Dave_holland_prism_2 そして,今年最もスリルに富んだジャズを聞かせてくれた作品としてDave Hollandの"Prism"を挙げておきたい。そもそもHollandはハイブラウな作品をリリースし続けているが,この作品では旧友Kevin Eubanksの貢献度が高いのだが,加えてCraig TabornにEric Harlandを配するというバンド構成にも,バンド・リーダーとしてのHollandの才覚を感じざるをえない。彼らのブート音源を聞いた段階から,正式なレコーディングは待望のものであったわけだが,ちゃんと期待に応えてくるDave Holland,さすがである。今年聞いた中で最もスリリングだったアルバムとして,やはり本作は見逃すことはできない。

Carla_bley_trios 一方,滋味溢れる演奏ということで印象に残っているのがCarla Bleyの"Trios"である。一方的にCarla Bleyに対するイメージを抱く私のような人間にとって,現在のCarla Bleyとはこういう音楽を展開していたのかという驚きすら与えた演奏である。ある意味では慈愛に満ちた部分を感じさせることにはPatti Smithと同質の部分を感じさせる演奏と言ってもよいかもしれない。私はこのアルバムでCarla Bleyに関する認識を完全に改めさせられたと言ってもよいと思う。酸いも甘いも噛み分けた人間の成熟さえ感じさせると言っては大袈裟か?いずれにしてもいろいろな意味で印象に残っているアルバムである。

Aaron_parks_arborescence 音という意味で最も印象に残ったのはAaron Parksの"Arborescence"である。とにかく,このアルバムに聞かれるピアノの音は,その残響感が素晴らしく,Fred Herschがカザルス・ホールでピアノ・ソロをやった時の「天上から音が降り注ぐ」感覚というのを思い出した。来年,Aaron Parksはトリオで来日するが,ソロ・ピアノでの公演も予定されており,これは是非聞いてみたいと思わせる演奏であった。もちろん,公演が予定されているコットンクラブのレゾナンスと,このアルバムが録音されたMechanics Hallのそれでは違いがあるかもしれないが,それでも期待したいと思わせるに十分なピアノの音であった。

Gretchen_parlato_live_in_nyc 最後にジャズ・ヴォーカルであるが,私は熱心なヴォーカルの聞き手ではないので,聞いたアルバムも少ないが,Tierney SuttonのJoni Mitchell集にしびれながらも,やはりGretchen Parlatoのライブ盤に軍配が上がるかなぁって感じである。Gretchen Parlatoのいいところは,彼女はヴォーカルという「楽器」の使い手という感覚が強いことではないかと思っている。彼女の交友関係の広さもあるが,優れた伴奏陣を揃えているのも彼女の強みである。今回のライブも非常によかったと思う。そして,余談ではあるが,彼女の関係ではAlan Hamptonという人との出会いも私にとっては印象的な出来事であった。

ということで,これ以外にもいいアルバムはあって,あれはどうした?これはどうしたという声も聞こえてきそうだが,まぁこんな感じだろう。だが,今年のナンバー1は誰が何と言ってもWayne Shorter以外には考えられない。

2013年12月28日 (土)

2013年の回顧(音楽編):その1

今年を回顧するシリーズの音楽編はジャズ以外の音源についてである。

The_next_day まず,ロックであるが,世評の高いVampire WeekendやArcade Fire,更にはPaul McCartneyの新作もちゃんと聞いているのだが,記事にはできなかった。これらは相応に優れたアルバムだと思うが,今年のベストだったかというと,自分にとってはそういうことではなかった。Paulはアルバムよりもライブの方が若々しさを感じさせたのも事実である。そんな私にとって,今年のロック・アルバムと言えば,David Bowieの"The Next Day"ということになると思う。この作品は世間の評価も非常に高かったが,ここまでいいとは思っていなかった。正直なところ,David Bowieの新作ねぇ...なんて思っていた私の認識を完全に改めさせるに十分な作品であった。66歳にしてこの作品とは,まさに恐れ入ったというしかないだろう。 

Crimson_red そして,もう1枚挙げるならPrefab Sproutの"Crimson / Red"である。もともと,メロディアスであるPrefab Sproutであるが,Paddy McAloonの現在の見た目からは想像もできないような素晴らしいメロディの連発には興奮した。前作"Let's Change the World with Music"をはるかに凌駕するアルバムとなった。このメロディ・センス,やはり心を揺さぶるものがあると言ってよい。

Way_to_blue メロディという観点では,Nick Drakeの音楽の持つ素晴らしい魅力をあぶり出したトリビュート盤,"Way to Blue: The Songs of Nick Drake"も記憶に残るアルバムである。こういうライブが日本で見られることはまず考えられないが,Nick Drakeの曲の素晴らしさを再確認させるには十分な作品であった。その他にも意外や意外の相性を示したElvis Costello & the Roots,Ry Cooder久々のライブ盤等も忘れ難い。

Daft_punk この音楽をどうカテゴライズするかは難しいところであるが,ポピュラー・ミュージックという観点で,往年のディスコ・サウンドを現代によみがえらせたという意味ではDaft Punkの"Random Access Memories"も楽しかった。私のジョギングの最中の音楽としては最もお世話になったのがこの作品であるが,ランへのフィット感は最高によかった。日本の評論家からははあまり評価されていないようだが,この作品はもっと評価されて然るべきものと思う。

Donny_hathaway ソウルは今年はあまり聞かなかったかなぁって感じであるが,引越しによってショップ通いの頻度が大きく下がったこともあり,新しいディスクのフォローができていないのだから,仕方がない。そうした中で,Donny Hathawayの4枚組アンソロジーは家宝にしたくなるような珠玉の歌唱が聞けて,思わず嬉しくなってしまった。特にBitter Endにおける未発表ライブにはしびれた。

Zsfia_boros_2 そして,これもどういうカテゴリーに分類すればいいのか悩むところだが,ECMから出たZsófia Borosによる"En Otra Parte"は素晴らしいギター・アルバムとして多くの人に聞いて頂きたい傑作。Zsófia Borosはクラシックのギタリストだが,やっている曲からすれば,現代音楽とも言えそうなセレクションは,ギター好きなら思わずうなってしまうような作品であった。これはプロデューサーとしてのManfred Eicherの審美眼にも依存した作品とは思うが,これは本当に好きなアルバムであった。 

Photo 歌謡曲では,何と言っても私さえはまった「あまちゃん」から小泉今日子の歌う「潮騒のメモリー」が最高であった。私はついついこの曲をカラオケで歌ってしまうぐらいだが,「当時」のテイストを作り出していて好きである。ちなみに余談ではあるが,小泉今日子演じる天野春子の若い頃を演じた有村架純のブレイクぶりは凄い。まぁ,可愛いから当然だが(笑)。でも最近,CMに出過ぎかなぁって気がしないでもないが,SMAP×SMAPにも出てきている彼女はやはり可愛いのだから,まぁ許す。

Paula_santro だが,ジャズ以外のカテゴリーの音楽で,今年私が一番好きだったアルバムは間違いなくPaula Santoroの"Mar Do Meu Mundo"である。このアルバムの心地よさは今年最高。入手には時間が掛かったが,それでも入手するだけの価値がある一枚。正確に言うと,これも昨年リリースのアルバムなので,2013年の回顧で取り上げるのもいかがなものかって気はするが,まぁいいや(笑)。

ということで,いろいろな音楽を聞いたなぁって感じは例年通りである。

2013年12月27日 (金)

遂に出た!"Complete Thursday Miles at Fillmore"

Thursday_miles001 Miles Davisのファンで"At Fillmore"のコンプリート・ヴァージョンを収めたブートを知らない人はモグリと言われても仕方がない(笑)が,これまで水曜,金曜,土曜は出ていたのに,長年,木曜日だけが市場に出てこなかった。今回,遂に,遂にその木曜日のコンプリート音源が初めて世に出た。今回のリリースでは「出る,出る」と言われてきた「木曜日」であるが,本当に突如のリリースである。半ば諦め気味にリリースを待っていた立場からすれば,喜ばしい「青天の霹靂」である。

だが,そうは言ってもブート音源である。個人がやっているブログとは言え,あまり一般の人にお薦めするべき代物でないということはよく承知している。だが,一度でも各曜日のコンプリート・ヴァージョンを聞いてしまうと,そこから逃れることができないという思いを強くする。人に言わずにおけないのである。それぐらい,このFillmore Eastでのライブは強烈である。

そして木曜日のMilesも激しい。"Directions"におけるSteve Grossmanのソプラノ・ソロがオフ・マイク気味なのは惜しいが,そんな瑕疵には目をつぶろう。ここでのMilesには怒気とさえ思える感情の発露を感じてしまう。とにかく強力である。そもそもメンツも濃いが,Milesの絶好調ぶりが凄い。ロックの殿堂,Fillmore Eastで自身のアイデンティティを認知せしめるべく,魂込めたって感じである。私にとっては,もうMilesのブート漁りは打ち止めにしてもいいかなぁとさえ思わせる演奏である。そうは言っても,どうせまた買ってしまうんだろうが...(笑)。

とにかくこのシリーズは強力である。財布には優しくないが,あらゆるリスナーがきっと元は取れると確信してしまうであろう激烈ブートレッグである。さて,この年末,年始は水曜から土曜を順番に聞くとしよう。ある意味,2013年最大のニュースはこれのリリースだったと言ってもいいかもしれない。

2013年12月26日 (木)

2013年の回顧(映画編)

何度も書いているが,本年の念頭に今年は劇場で24本以上映画を見たいという目標を掲げた。12月ギリギリになってしまったが,その目標は達成である。そのほかに出張中やら旅行中やらに機内エンタテインメントで見た映画が勘定してみたら同じく24本。ということで,トータルで48本映画を見たことになる。これって素人にしては結構な本数だと思うが,私の人生の中でも1年に見た映画の本数としては最多かもしれない。そうした中で今年のベスト作はなんだっただろうかと振り返るとなかなかこれが難しい。ということでさまざまな観点で振り返ると次のような感じになるだろうか?

Djangounchainedjamiefoxx_2 最も面白かった映画:これは「ジャンゴ 繋がれざる者」でいいと思う。2時間45分という尺をものともしない優れたシナリオ,更には適材適所の役者陣,そしてクスクスと微笑んでしまうような過去へのオマージュ等,これは見事な映画であったと思う。見るまではこれほど面白いと思っていなかっただけに,これはこちらの予想をはるかに上回った映画であった。次点は「世界にひとつのプレイブック」。あれも見ていて幸せになれるいい映画であった。

Samantha_barks 最も感動した映画:間違いなく「レ・ミゼラブル」である。映画館であれだけ泣かされたのはあまり記憶にない。見たのは今年最初だったが,あの感動はやはり忘れ難いものであった。つくづく私も単純だとは思うが,なかなか映画館で肩まで震わされたってのは記憶にないだけに,これはこれで評価しなければならないと思う。特にSamantha Barksである。彼女の歌はまじで素晴らしかった。もちろんAnn Hathawayもよかったし,Hugh JackmanもRussell Croweも立派だったが,Samantha Barks演じるエポニーヌの絶唱にはまいった。私が最も泣いたのは彼女の歌った"On My Own"のシーンであったと改めて告白しておこう。

Georgeclooneyingravity 最も緊張した映画:「ゼロ・グラビティ」しかあるまい。90分という時間の中での緊張に耐えることを求められる映画であった。とにかく力が入ること甚だしい。そして,特撮技術の進歩は凄いと実感させられる映像群であった。特に無重力の描写。とにかくこの映画,企画の勝利ともこのブログにも書いたが,今までにない描写の数々には驚かされた。そしてGeorge Clooneyは絶対の儲け役であった。

Riva 最も映画として優れていると思った作品:「愛,アムール」は少ない登場人物,限定的な舞台等,ある意味,演劇的と言ってもよいが,Michael Hanekeによるシナリオ,演出も優れていただけでなく,Jean-Louis Trintignant,Emmanuelle Rivaの素晴らしい演技には圧倒された。こんな映画を飛行機で見ているというのもいかがなものかと思うが,それでも素晴らしいものは素晴らしいのである。切ない映画ではあるが,これは絶対ハリウッドでは作れないだろうと思わせるフランス映画らしい傑作。

_ もっと注目されてよかった映画:「横道世之介」は原作も好きだったが,映画もよくできていた。本作は私は劇場で見たいと思っていたのだが,興行が結構短期で終了して見逃していたのを,機内エンタテインメントで見たもの。こういう映画はもっと注目されてよいということで,敢えてここにも挙げておきたい。吉高由里子は「真夏の方程式」より100倍こっちの方がいいと思う。そして,見終わった後の清涼感は保証できる。ナイスである。

この中から1本だけ選べと言われたらどれにするだろうか?それはあまりにも難しくて選ぶのは無理だが,「ジャンゴ 繋がれざる者」と「愛,アムール」のどちらかになるように思える。我ながら全く脈略のない,無茶苦茶なチョイスである(爆)。でもなぁ,「レ・ミゼラブル」も「ゼロ・グラビティ」も捨て難いんだよねぇ(優柔不断)。

ちなみに,今年見た中で最低の作品は「藁の楯」で決まり(笑)。

2013年12月25日 (水)

年の瀬も近づいてきたので,2013年の回顧(ライブ編)

いよいよ年末も近づいてきたので,今年の回顧をしなければなるまい。クラシックについてはあまりにも新譜を聞いていないので,先出しをしたが,私にとって近年の変化はライブに通う回数が随分と増えたということではないかと思う。これは「夜の部活動」にお付き合い頂ける方がいるからだということもあるが,CDを聞いている時間の減少ともある意味ではリンクしていると言ってもいいだろう。

そうした中で,今年もいろいろなライブに行ったが,振り返ってみると全部で16本のはずである。但し,会場まで行きながら,やんごとない事情で演奏を聞かずに帰宅せざるをえなかったKendrick Scottを聞けなかったのは惜しかったが,やはり私にしては結構な回数,ライブに足を運んでいる。

Fred_hersch_at_cotton_club そうした中で,最も感動的だったライブはFred Hersch@Cotton Clubである。私がHerschのソロ・ピアノを聞くのは今回が2回目だったが,インティメイトな雰囲気の中で,非常に素晴らしい演奏を聞かせたHerschは誠に立派。まだ正式にはアナウンスされていないが,来年はトリオでの来日が決まっているとの情報もあり,そちらへの期待が高まる私である。Herschは来年2月にはトリオとソロで2週連続Vanguard出演や,5月にはJazz Standardで毎日相手を変えてのデュオ・シリーズ等もブッキングされていて,彼の創造力,活動は非常に高いレベルに達していると考えることができるだけに,決して期待を裏切られることはないはずである。

Paul_mccartney_at_tokyo_dome 次に今年最もエンタテインメントとして優れていたのはPaul McCartney@東京ドームであろう。とても71歳とは思えぬ元気さ,そして5人のメンバーだけであれだけの音楽を作り出す彼らこそプロ中のプロである。私は事前にニュー・アルバム"NEW"を聞いて参戦したのだが,アルバムにおけるPaulのヴォイスよりも,ライブのPaulの方が若々しく聞こえてしまうのだから不思議なものである。とにかく驚きのライブであったし,いいものを見せてもらったという感謝の念さえおぼえてしまった。このライブに行った人はほとんど同じ感慨を覚えていたのではないかとさえ思っている。それにしてもこのステージにおける花火の演出は強烈であった。

Patti_smith_tokyo そして,今年,最もパワーをもらったライブはPatti Smithであろう。この人の音楽はハードさは今でも健在だが,年齢を重ねることによる慈愛深さを感じさせる部分があった。私はこのブログにPatti Smith教入信なんて書いているが,彼女の詩集や書籍も購入してしまったぐらいである。はまり方が半端ではないが,私をそうさせてしまったのがこの人の音楽のパワーであると言ってよいと思う。

上述のもの以外のステージも相応に記憶に残るものであったと言ってよく,Rh FactorもEnrico PieranunziもMetroもそしてMike Sternも楽しかった。来年も注目のライブは目白押しである。さて,来年はどうなるか?また,行っちゃうんだろうなぁ...。でも財布には決して優しくないのが問題である。

2013年12月24日 (火)

Ed Bickertの未発表音源現る!これまた私にとってはホリデイ・ギフトである。

Test_of_time "Test of Time" Murley / Bickert / Wallace (Cornerstone)

私はEd Bickertのファンであるとこのブログでも何度も書いてきた。先日亡くなったJim Hall的な感覚も持ちつつ,テレキャスでなんでこんな音が出るのかというような暖かい演奏を展開する素晴らしいギタリストであるが,残念ながらプロとしての演奏活動から引退してしまっている。そんなEd Bickertにまだ未発表音源があるとは思わなかったが,突如の登場に嬉しくなったのはきっと私だけではないはずである。正確に言えば,本作は昨年末にはリリースされていたようなので,本来ならば新譜とは呼べない代物なのだが,全然認識していなかった私としては,まさにホリデイ・ギフトと言ってよい作品である。

ライナーにも書いてあるが,このトリオは"Live at the Senator"という作品をリリースしているが,これはそれに先立って行われていたスタジオ録音である。"Live at the Senator"についても既にこのブログで記事にしている(記事はこちら)が,その作品も相当気に入っている私だけに,本作についての情報を発見した時から期待値が高まっていた。そして,このアルバム,全くの期待通りである。

と言っても,全然驚きはない。だが,それでいいのである。有名なスタンダード群とMurleyのオリジナル2曲から構成されるプログラムを淡々とこなしながら,絶妙のリラクゼーションを生み出しているのだから,私はそれで満足である。どちらが好きかと言えば,私は前述のライブ盤の方を推すだろうが,これはこれで彼ららしい演奏であり,忙しない師走の時期に,ゆったり感をもたらしてくれるという意味では非常にいいアルバムであった。星★★★★☆。

Recorded on January 22 & 23, 1999

Personnel: Mike Murley(ts), Ed Bickert(g), Steve Wallace(b)

2013年12月23日 (月)

今年最後の劇場通いとなるであろう「ブリングリング」

The_bling_ring 「ブリングリング("The Bling Ring")」('13,米/英/仏/独/日)

監督:Sofia Coppola

出演:Katie Chang,Israel Broussard,Emma Watson,Claire Julien,Taissa Farmiga,Georgia Rock

今年の年頭の目標の一つに,劇場で24本以上映画を観るということがあったのだが,めでたくこれで24本目となった。来年も同じペースを維持したいものである。

今年,おそらくは最後の劇場映画に選んだのがこの映画である。本当は「キャプテン・フィリップス」が見たかったのだが,時間が合わない。しかし,この映画も見たいと思っていたのでまぁいいやってことで劇場へ。Sofia Coppolaは何と言っても「ロスト・イン・トランスレーション」が素晴らしかったので,今回も期待して観に行ったのだが,この話は共感できないなぁという感覚が強い。

Sofia Coppola本人も「「まったく同情の余地もない主人公達に観客がどう共感出来るかというチャレンジだった」と言っているようだが,私の感覚からすれば,そのチャレンジは失敗に終わったと言わざるをえない。これほど無軌道な子供が存在したということ自体が信じ難いが,Markを演じるIsrael Broussard以外は全く吐き気がするような女子ばかりである。まさしく「病んでいる」のだ。そうした病理を描きたかったのだとすれば,それはそれで成功かもしれないが,反省の微塵も感じられない女子たちの描き方には全く救いがない。そうした意味で後味も悪いし,絶対子供には見せたくない映画であり,R15+は妥当である。

逆に言えば,観衆をそれだけ不愉快にさせる演技陣はほめられて然るべきなのかもしれないが,そうは言いつつ,これはやはり好きになれない映画である。盗み,ドラッグ,パーティ・シーンの連続には辟易とする人も多いはずである。特に私のような年代のオッサン,しかも娘を持つ親にとってはこの映画は無理。あぁ疲れた。星★★。

2013年12月22日 (日)

ECMからのホリデイ・ギフト?

Re_seoul "Re: Seoul" Various Artists(ECM)

このコンピレーションは韓国,ソウルにおいて,ECMの展覧会が開催された時に入手が可能となっていたものなのだが,日本でこのCDを入手した人は極めて限定的な数だろうと想像する。だが,ECMのサイトで2013年リリース作品を2枚以上購入すると,オマケでこれが付いてくるというEメールを受け取った私はすかさずオーダーである。ちょっと割高感があるのだが,このオマケの魅力に負け,買っていなかったYeahwon ShinとMaria Pia De Vitoのアルバムを発注したものが,デリバリーされてきた。そちらはいずれ記事にしようと思うが,まずはこのコンピレーションである。

このCDが貴重なのは,これまでCD化されていないアルバムからの音源からも含まれているということであり,それらは次のようになっている。

"Seven Songs for Quartet and Chamber Orchestra" Gary Burton(2曲)
"Five Years Later" Ralph Towner & John Abercrombie (2曲)
"Contrasts" Sam Rivers(2曲)
"Miroslav Vitous Group" Miroslav Vitous(2曲)

そして,来年リリース予定のNorma Winstonのアルバムからも1曲が収められている。結局既CD化音源はKeith Jarrettの1曲とYeahwon Shinの1曲だけという大盤振る舞いである。まさに私にとってはECMレーベルからのホリデイ・ギフトって感じである。

コンピレーションゆえ,参加ミュージシャンが多いのでクレジットは省略するが,ちゃんとECM2365という番号も割り振られている。そして,今回,収められている演奏を聞いて,なぜこれらがCD化されないのか不思議に思ってしまった。ということで,ECM好きの皆さんは,何が何でも手に入れましょう(笑)。

<追記>なんて記事を書いたところに,ここに収められている未CD化音源が,来年早々リリースという情報が...。ということで,このCDの入手は必須ではありませんな(爆)。アホみたいと言えばその通りであるが,まぁいいや。

2013年12月21日 (土)

今年最後の忘年会が終了...

今年最後の忘年会が昨日終了した。出張→忘年会という流れで肉体もヘロヘロで,記事のアップも滞ってしまった。

今年も仕事はあと4営業日である。さっさと終わらせることを終わらせて,今年のベストの記事を考えねば。と言いつつ,これから今年最後の映画を観に行く予定。年頭の目標の通り,今日見る映画が24本目の劇場映画。実現できるとは思わなかったが,結構頑張ったねぇ(笑)。その映画に関してはまた後日。

2013年12月19日 (木)

中年音楽狂,中国から日本へ。

師走の忙しない時期ににもかかわらず,一昨日の夜から中国に出張していたのだが,これから帰国である。今回の出張先は常州だったので,上海虹橋からの移動ならば楽なものを,今回はフライトが取れず上海浦東からの移動となった。

中国は日本から近いとは言え,国土が広いので国内移動がボディブローのように効いてくるって感じだが,今朝も6時過ぎに常州のホテルを出て、現在,浦東のラウンジでフライト待ちである。上海への道すがら,無錫やら蘇州やらといった場所を通過してきたが,見事なまでに空が霞んでいたのはPM2.5のせいだろうか。晴天のはずなのに太陽のまぶしさを感じないというのはやはり異常だろう。エキゾチズムなど皆無であった。

いずれにしても,こういう時に限って,出席必須のイベントが今夜開催であり,早めのフライトとなったのは辛い。結局こちらではずっと寝不足を解消できなかった。帰路でも映画は見たいところだが,こんな状態では,睡魔に勝つ自信がない。まぁ,それならそれで仕方ないが...。ということで次は日本から。

2013年12月18日 (水)

Zsófia Boros:聞いた瞬間に痺れたギター・アルバム

Zsfia_boros "En Otra Parte" Zsófia Boros(ECM New Series)

このアルバムのリリースを知った時,ECM New Seriesなので,クラシック・ギターのアルバムだと思っていたが,弾いている曲はあくまでも現代の作曲家たちの曲であり,そこにはRalph TownerやVicente Amigo,更にはDominic Millerまで含まれているのだから,随分幅が広い。一体どんなことになってしまうのかとも思いつつ,聞いてみれば,これはひたすら美しいギター・アルバムとなっている。

ハンガリー出身の女流ギタリスト,Zsófia Borosがここで弾いているのはクラシック・ギターであるし,この人はそういう教育を受けているからこそのNew Seriesからのリリースだと思うが,そんなことはどうでもいいと思えるほど,この人は曲の持つ美しさをきっちりと体現できる人のように思えた。ECMにしては音は随分ソフトというか,クリアさよりも丸みを帯びたギター音になっているのは意外だが,この人のタッチもあろうし,この演奏にはこういう音こそが適しているとさえ思えてくるから不思議である。

そして,ここでの演奏は,まさに私にジャスト・フィットである。これはまじで素晴らしい。演奏が優れているのはもちろんだと思うが,この作品の勝利は「選曲に関する審美眼」である。様々な作曲家の曲を集めながらも,一貫した美しさを作り出したのは,もちろんプロデューサーたるManfred Eicherの功績でもあるが,やはりZsófia Borosというギタリストの音楽への取り組み,あるいは彼女のバックグラウンドを形成する音楽的指向(嗜好)であると言いたくなるのである。

正直言って,このアルバムを聞いたのは年末も押し迫ってからであるが,私の中では今年聞いたさまざまな作品群の中でも,気に入ったという観点では相当上位に来る作品である。このように美しい作品はなかなか聞けるものではないと,ついつい興奮している自分に苦笑せざるをえないが,これはいい。本当にいい。ということで,喜んで星★★★★★である。

さすがManfred Eicherと平伏すのみ。そして,演奏で応えたZsófia Borosも素晴らしい。近現代のギター音楽にこれほど美しい曲が溢れていることを知ることができただけで,私は幸せである。

Recorded in August, 2012

Personnel: Zsófia Boros (g)

2013年12月17日 (火)

今年はほとんどクラシックのアルバムを買っていない中で...

ちょっと早いが今年のベスト盤のうち,クラシックについて記事を書いておこう。記事は書いていないが,聞いていないわけではないのだ(苦笑)。

Faust_bartok と言っても,私は今年はほとんど,クラシックの新譜というものを購入していないので,印象深いものというかたちでしか評価できないのだが,そうした中で,来日公演も実現したKyung-Wha Chungの98年の東京ライブは聞きごたえがあってよかった。しかし,こちらは発掘音源であるから,純粋新譜としては扱えない。そうした中で,私がよく聞いたのがIsabell FaustとDaniel Hardingによるバルトークのヴァイオリン協奏曲であった。私がもともと結構なバルトーク好き(なぜかは自分でもよくわかっていないが...。まぁ,父の影響ということにしよう)ということもあるが,Faustは去年のベートーベン/ベルクに続いての好調ぶりであった。やはりバルトークの音楽というのは私にとってフィット感が非常に強く,これはやはりいいと思った。今にして思えば,彼女のリサイタルに行かなかったのは痛恨である。まぁ,次回,次回...。

Rattle もう一枚は,Simon Rattle指揮ベルリン・フィルによる「春の祭典」である。来日したベルリン・フィルによる演奏も世間では激賞されているが,私は生では聞いてはいないが,この演奏を聞いているとなるほどねぇという思いを強くした。一聴したところ,前半こそもっとダイナミズムを感じさせてもいいのではないかとも思えるのだが,やはり全編を通して聞くと,ちゃんと盛り上げるところは盛り上げるというかたちになっていて納得できてしまうのである。これがライブ音源ということには驚きを禁じ得ないが,やはりオケの実力が違うとつくづく感じさせる演奏と言ってよいように思う。

ということで,今年の私にはクラシックを語る資格はないと言ってもよいのだが,この2枚は聞いても絶対失敗なしということでご推奨しておきたいと思う。

2013年12月16日 (月)

Peter O'TooleにJoan Fontaine:またも訃報である。

Peter_otoole Peter O'Tooleが亡くなったそうである。O'Tooleと言えば,何と言っても「アラビアのロレンス」が忘れ難いが,あの映画に見られた正気と狂気の狭間を演じられるのは彼をおいてほかになかったのではないか。そして8回オスカーにノミネートされながら,一度も受賞できなかったという人だが,記録に残らなくても見事に人々の記憶に残った人である。少なくとも,彼の青い瞳を忘れる人はいないだろう。81歳。昨年引退を発表したことには死期を悟っていたということがあるのではないかと思わせるが,今度の年末年始は改めて「アラビアのロレンス」をDVDで見て,彼の業績を偲ぶことにしたいと思う私である。劇場で追悼上映でもやってくれれば,絶対見に行きたいものだ。

Joan_fontaine 「レベッカ」,「断崖」に主演したJoan Fontaineも96歳で亡くなってしまった。彼女は日本生まれで,聖心女子学院に通っていたこともあるということは結構よく知られた事実だろうが,振り返ってみれば,特に彼女が日本との関連を語られることはあまりなかったなぁという気がする。いずれにしても,Hitchcockの2作における彼女の美しさはいつまでも忘れられないものである。まさにクール・ビューティであった。

いずれにしても,稀代の名優,名女優が相次いで亡くなったことは寂しい限りである。

R.I.P.

「ゼロ・グラビティ」:これは凄い!テンション高過ぎである。

Gravity_movie 「ゼロ・グラビティ("Gravity")」('13,米,Warner Brothers)

監督:Alfonso Cuarón

出演:Sandra Bullock,George Clooney

世間の評価も無茶苦茶高い中,公開されたばかりのこの映画を観に行ったのだが,劇場もほぼ満席という具合で,この映画への期待値がわかろうというものである。そして,この映画は「企画」の勝利という気がしないでもないが,それに映像効果を組み合わせるとともに,91分という昨今では例外的に短い尺ながら,これほど上映中のテンションを維持した映画というのも私には近年記憶にない。

ストーリーは既にいろいろなところで語られているであろうから,それを繰り返す愚を犯すつもりはない。この映画は映像を見なければ話にならない。かつ,いつもは3Dに対して懐疑的な私でさえも,これは3Dで見るべきだと思えた映画であること自体が,この映画への私の評価を高める結果となっている。

オープニングから暫くはのんびりとした感覚,換言すれば,宇宙を舞台にしながらも牧歌的とさえ思わせるようなシークェンスが続くのだが,それが一瞬にして超ハイ・テンションへ転じ,それはラスト・シーン直前まで途切れることがないのである。91分というのは短いようにも思えるが,私はあれ以上の緊張には耐えられないという感じの時間だった。そういう意味でも,製作者はそうしたこの映画の特性をよく理解していると言わざるをえない。

皮肉な言い方をすれば,この映画のシナリオは先が読める展開である。だが,そんなことなどほとんど気になることのない映像をものにしたこの映画は,評価が高くても当然と言いたくなる。もちろん,テクノロジーの進化があったがゆえに成り立つ映画ということもできよう。だが,これまででも思いつきそうであったシナリオを映像化し,見事に観衆の目を釘付けにしたという点で,この映画は高く評価すべきだと思う。何てたって,実質,役者はSandra BullockとGeorge Clooney二人だけなのである。おかしな言い方かもしれないが,宇宙における究極の密室劇的展開を実現しているのである。だからこそ「企画」の勝利だとも言うわけだが,この原題はラスト・シーンを見てこそ理解できるということも,この人たちの知性を示していると思う。

私としてはこの映画に「感動」したわけではないが,今年最も緊張を強いられるとともに,経過する時間の間,まさに身体中に力が入った状態にさせられた映画ということでは,「最も強力」な映画だったと評価したい。そうした点も含めてこれは星★★★★★以外にはない。これからこの映画を観ようと思われている皆さんには,多少お金が掛かったとしても,IMAX 3Dでの鑑賞を強くお勧めする。但し,劇場から一歩足を踏み出した瞬間,物凄い疲労感に襲われるであろうことは覚悟して頂ければと思う。

2013年12月15日 (日)

瑞々しいNeil Youngのアーカイブ・シリーズ新作

Neil_young_cellar_door "Neil Young Live at the Cellar Door" Neil Young (Reprise)

これまでにもこのシリーズはリリースされており,Massey Hallでのライブには無茶苦茶感動した(記事はこちら)が,それももう6年も前(私がブログを始めた年)のことである。久しぶりにリリースされたPerformance SeriesはMassey Hallでのライブを遡ること約7週間ってことなので,ほとんど同時期のアルバムと考えれば,期待値が高まるのは当たり前である。

今回のライブは,これまたジャズ・ファンにとってはなじみ深いワシントンDCにあるCelllar Doorでのものである。Cellar Doorと言えば,Miles Davisの激演が収録されたライブ・ハウスで,キャパは200人ぐらいだったらしい。そんなところでMilesやNeil Youngが聞けるなんて,何とも羨ましい限りだが,これは3日間,6ステージの演奏からピックアップされたものらしい。

それにしても,ここでのNeil Young,まだ若いから,何とも瑞々しい声を聞かせてくれる。音もいいし,Neil Youngのギターの音もリアルに捉えられていると言ってよい。これはやはりNeil Youngファンにはたまらない作品であることは間違いない。

だが,私にとってはMassay Hallほどの感動があったかというと,それほどでもないのである。もちろん,演奏は素晴らしい。しかし,Massey Hall盤のしびれるような感覚はここでは感じなかったというのが正直なところである。それはMassey Hall盤がまだリリースされていなかった"Harvest"収録曲を含み,Neil Young自身の高揚感もあったように思えるからである。ある意味で,創造力,あるいは野心に溢れるNeil Youngの歌が聞けるのがMassey Hall盤とすると,こちらは普段着って感じか。

そのあたりが評価の分かれ目とは思いつつ,私はこのアルバムを十分に楽しんだと言っておこう。この時期のNeil Youngが悪いはずがないのである。星★★★★☆。

Recorded Live at the Cellar Door on November 30 - December 2, 1970

Personnel: Neil Young (vo, g, p)

2013年12月14日 (土)

忘年会~出張~忘年会~出張...みたいな。

主題の通りのような生活を送っているので,ブログの記事をまともにアップできていない。出張の道すがら,音楽は聞いているものの,それを記事にする時間と気力がないのである。

その一方で,師走になって,怒涛のようにCDはデリバリーされていて,家人には確実に呆れられている状態である。この3日間で10枚ぐらい届いているだろうか。それらをいつ聞けるのかと思いつつ,年末なので,今年のベスト盤も選ばねば...。うーむ。結構追い詰められた気分である。今日もこのような状態だが,来週も出張続きで記事が書けそうにないと予め宣言してしまおう。ということで,皆さん,ごめんなさい。

2013年12月13日 (金)

追悼,Jim Hall

Jim_hall_and_red_mitchell 来年1月に日本でのRon Carterとのデュオ・ライブがアナウンスされたばかりのJim Hallが亡くなった。

思えば,理由はよくわからないものの,私はJim Hallというギタリストに昔から魅力を感じていて,結構若い頃から彼の音源は聞いてきた。だが,私が大学に入った頃というのは,Jim Hallという人は所謂「ジャズ聞き」には全然評価されていなくて,「私はJim Hallが好きです」と言った時の冷たい反応は今でも忘れられない。だから早稲田の「もず」を根城にしていたなんとかというサークルの連中とは相容れないものを強く感じたのは今から30年以上前のことである。もちろん,その時にGeorge Adamsの"Sound Suggestions"を聞いている連中なのだから,指向/嗜好が違うのは当たり前だが。まぁ,私もその当時に比べれば,許容力は増したが,私もまだまだ若かった(苦笑)。そして,音楽的な好みも確立するにはまだ時間を要したのも事実である。

そんなJim Hallであるが,Pat MethenyがJim Hallを師匠のように崇めるような発言をする頃から旗色が随分変わったような気がする。しかし,Jim Hallのやっている音楽は昔から全然変わっていなかったし,首尾一貫していたように思える。そういう人なのである。

彼を追悼するにはどのアルバムがいいだろうかと考えつつ,やはり私が最も好きなアルバムとしてRed MitchellとのSweet Basilでのデュオ・ライブだと思う私である。一番売れたのは「アランフェス」かもしれないし,Pat Methenyとのデュオってのもありだが,Paul Desmondとの共演盤を除けば,私の中では,やはりMitchellとのデュオをおいてほかにあるまい。

今回はまさに急逝という感じであったが,晩年のHallは評価も確立し,尊敬を集めるミュージシャンとしての地位も明確だったので,地味ではありながら,充実した人生だったのではないかと思う。私は,結局彼のライブを見るチャンスには恵まれなかったが,このアルバムに出会えたことは,今にして思えば私にとって幸せなことだったと思う。ありがとう,Jim Hall。

R.I.P.

<訂正>私はJim Hallのライブを見るチャンスに恵まれなかったと書いたが,はたと思い出した。1991年,Sonny Rollinsがカーネギー・ホールに出演した時に,Jim Hall入りのクァルテットのリユニオンをしていたのであった。それが私がJim Hallの生を見た唯一の機会。Roy Hargroveのことは覚えていても,Jim Hallのことをすっかり忘れていた。歳は取りたくないもんだ(爆)。

2013年12月11日 (水)

Bobby Caldwellを聞いてまったりしてしまった(笑)。

Bobby_caldwell "Bobby Caldwell's Greatest Hits" Bobby Caldwell (Polydor)

今年の秋口にも来日して,ライブを行っていったBobby Caldwellであるが,彼が世の中で注目されたのは1978年,デビュー曲"What You Won't Do for Love(邦題「風のシルエット」)"がヒットし,それに続く,"Special to Me"も相応にヒットしたはずである。だが,Caldwellの人気というのは日本において局地的に高いこともあって,一時はソングライターとしての活動に徹していたようなところもあったはずである。Boz Scaggsに書いた"Heart of Mine"やPeter Ceteraに書いた"Stay with Me"なんてところが代表的だろうか。

私は別にAORに抵抗がある訳ではないし,いいものはいいと思っているが,Bobby Caldwellについては特に強い思い入れがある訳ではない。だから,私が保有している彼のアルバムは,日本だけでリリースされた本作だけである。しかし,私が在米中にはスムーズ・ジャズのFMステーションでよくエアプレイされていたし,その度に,おぉっ,懐かしいねぇなんて思っていたのも事実である。

そして,今回,久しぶりに聞いてみたのだが,ベスト盤だけあって,曲のクォリティは相応に高いものが揃っていると言ってよいし,なかなかいい曲を書く人だと思ってしまう。その一方,私がどうしてもBobby Caldwellにのめり込めないのは,彼の声の質のせいだと思っている。これは完全に好みの世界であるから,彼の声が魅力的ではないと言うつもりはない。しかし,私はこうした曲を歌うのであれば,Peter Cetera的な声の方がフィットするように思えるのだ。そうした意味でリスナーなんてわがままなのである。

だが,そんなアルバムであっても,私が手放すことなく保有を続けるのは,まったりした気分になりたい時にはまさにぴったりだからである。いい意味でも悪い意味でもこれほど緊張感の乏しい音楽はなかなかないだろう。よって,聞き流すにはまさに最適,かつアンビエント・ミュージック化させることも可能というものだと思う。つまりこの音楽を聞いていて不快だと感じるリスナーはほとんどいないのではないかと感じるのである。まぁ,今聞くと"Special to Me"なんて相当時代を感じさせる歌唱,アレンジであるが,私にとっては同時代の音楽だから,それも苦にしないのである。

ということで,あまりこのアルバムに理屈をこねても仕方がないと思いつつ,ついついこのまったり感を伝えたくて,記事にしてしまった(笑)。そして,これを聞いたら,猛烈にDick St. Nicklausを聞きたくなっている私である(爆)。

2013年12月10日 (火)

ホリデイ・シーズンに向けて:今年は吉田美奈子で行きましょう。

Bells "Bells" 吉田美奈子(自主制作→AVEX)

12月になって,世の中がホリデイ・シーズンに突入するとどういう音楽をBGMにしようかと悩むのだが,CDを整理していて,久々に出てきたのがこのアルバムである。

本作は元来,自主制作盤として,3,000枚だけプレスされたものらしいのだが,私が保有しているのは2002年にAVEXからリリースされた再発盤である。しかも悪名高きCCCD盤である。だから,買う時には相当躊躇したはずだが,今となってはCCCDは気に入らないものの,これでさえもなかなか手に入れるのが難しい状況では,買っておいてよかったと思える作品である。 

このアルバムは日本人が演じたホリデイ・シーズン向きの音楽(表現を変えればクリスマス・ソング)の中で,ゴスペル的な響きさえ感じさせるものとして,高く評価されなければならない音楽だと思う。本作に入っているどの歌唱も,ソウルを感じさせ,非常に素晴らしいものだと思うが,中でも2曲目の"Christmass Tree"は記憶に留めるべき佳曲である。 

この曲はアルバムの制作の背景や,その後の流通状況から,多くの人の耳に触れる機会はないかもしれないが,知っておいて絶対損しない歌である。ちなみに歌詞は次のようなもの:

嫋やかな翼をたたえた
時の隙間抜って訪れた事を
ひとつずつ Tableau にしていく
夢で見た気がする色に染め上げて
拡がれ空からの贈り物
永遠を思わせる様な
星達の瞬きにゆだねてみる
街の灯が輝き増すたびに
魅せられる程の物語りがある
傍らに座る影の様な
悲しみが時々何か届けても
ひとつずつCandleに託し
灯す光にほら 心暖める
聞こえる? 精霊の羽ばたきが
あなたにも微笑みかける
夜はもういつの日も素敵なChristmas
毎日が祈りときらめき
だから心込めて
Christmas treeに飾ろう

まずは聞いてみて頂ければ私の言い分もわかるはず...。

これは決して売れ線の音ではないが,静かにホリデイ・シーズンを過ごし,神に感謝するというシーンにおいては相当の力を持つ音だと言ってよいだろう。吉田美奈子,恐るべしである。

ライブにおいて,吉田美奈子が"Christmass Tree"を歌っている映像もあったので,そちらも貼り付けておこう。音程が苦しいところもあるが,これはソウルだ...。

2013年12月 9日 (月)

突如現れたRy Cooderの77年ライブをようやくアップ。

Ry_cooder_live_in_hamburg "Live in Hamburg 1977" Ry Cooder  & the Chicken Skin Band (Immortal)

もう新譜と呼ぶには随分時間が経ってしまったが,Ry Cooderである。今年の9月にはこのブログでRy Cooder & Corridos Famosos名義でのライブ盤の記事をアップしているが,本作はそれよりも先に入手していたものにもかかわらず,真っ当に聞く時間もなく,放置状態になっていたものである。今から35年以上前の演奏であるから,今年リリースのライブ盤に比べても,Ry Cooderの声も若く,"Chicken Skin Music"期の勢いのある演奏が収められている。

私は長年Ry Cooderの音楽のファンであったが,一時期は彼の音楽に興味を失っていた。しかし,ここ数年のアルバムは往年のRy Cooderファンを納得させるに十分な演奏となっていたように思う。このアルバムはその「往年」をしのぶという意味でもついつい手が出てしまうものなのである。

Ry Cooderにはこの時期には"Showtime"という素晴らしいライブ盤があるので,敢えてまたこれを買わなくてもいいではないかと言われればその通りである。しかもこの音源には映像もあって,音そのものはそちらから落としたものであろうということを考えれば,「マスト」の作品とは感じない。それでも,70年代のRy Cooderにしびれていたリスナーであるならば,ここでの演奏を聞いて嬉しくなってしまうはずである。特に中盤で聞かれるRy Cooderのアコースティック・ギターの響きは本当に魅力的に響く。

Ry Cooderのスライドはいつ聞いても素晴らしいが,スライドでなくてもこの人のギターの腕は半端ではない。そうした技を聞くだけでも価値があるが,それに加えて,長年の共演者であるFlaco JimenezやTerry Evans,Bobby Kingとの協調ぶりも素晴らしい。やはり「紫の峡谷」あたりからこの頃のRy Cooderが一番よかったかなぁなんて回想モードに入る私も年だが,このアルバムが録音された頃は私もまだ高校1年なのだから,歳を感じるのも当たり前なのだ(笑)。

収録曲としては"Showtime"との重複もあるが,アコースティック・セットが豊富なので,これはこれで捨て難い出来である。まぁ,そうは言っても,正規録音ではないので,やや割り引いての評価が必要であることも事実であるが,この頃のRy Cooderは本当によかったし,楽しかったと思える一枚である。

Recorded Live at Markthalle, Hamburg on January 26, 1977

Personnel: Ry Cooder(vo, g), Flaco Jimenez(accor), Isaac Garcia(ds), Henry "Big Red" Ojeda(b), Jesse Pomce (bajo sexto), Pat Rizzo(sax), Eldridge King(vo), Terry Evans(vo), Bobby King(vo)

2013年12月 8日 (日)

日野元彦の「流氷」:TBM再発シリーズで最も欲しかったのはこれだな。

Photo_2 「流氷」 日野元彦カルテット+1(TBM)

今年に入って,続々と再リリースされたTBMレーベルの作品群の中で,私がこれだけは買うだろうと思っていたのが本作である(ほかにも買っているが,記事はまだ全然書いていない)。私はファンハウス・レーベル時代の日野元彦のアルバムが結構好きなのだが,正直言ってしまうと兄貴のヒノテルよりずっと日野元彦の方が好きなぐらいである。ファンハウスのアルバム,特に"It's There"や"Sailing Stone"はメンツ買いの部分があったことは否定できないが,それでもリーダーとしてアルバムを仕上げているところには非常に感心していたのである。

その日野元彦が厳寒の根室で繰り広げた熱い演奏を収めたのが本作であるが,オリジナルのLPでは3曲に短縮されていたものに2曲を追加して,当日の演奏順に並べたものである。私はLPを聞いたことがないが,3曲で終わらせるのはもったいないと思わせる演奏群となっていると思う。2月の根室と言えば,想像するのも憚りたくなるような寒さだと想像するわけだが,それと反比例するかのような熱さに聴衆もきっと燃えただろうと思いたくなるような演奏である。

本作はメンツも濃いが,やはり2テナーによる音の分厚さが,演奏を熱くした要因のようにも感じられる。Elvin JonesがLighthouseでLiebmanとGrossmanをフロントに立てたようなものだが,そう言えば,この編成はその後のJazz Machineと同じだと今更のように気がついた私である。だが,演奏としては例えばFrank Foster~Pat LaBarbera組の2テナーのJazz Machineより,この作品の方がずっといいとさえ思えてしまう。役者が揃っているというのはやはり強力である。まぁ,演奏としては渡辺香津美作"Milky Shade"が浮いているようには思えるが,全体を通して日本ジャズ界の実力を十分に示しているように思う。

そうした中で,Steve Grossmanのオリジナルが2曲収録されているのは意外な気もするが,そんなことは別にどうでもいいと思えるような演奏ぶりである。ちゃんと全員がフィーチャーされる場が維持されているのも感じがいいと思う。私はしょうもないものまでいかにも売ろう精神でリリースしているのが見え見えの「和ジャズ」なるものには一切与しないが,こういう演奏ならばちゃんと認めるべきと声を大にして言いたい。大したことがない作品を数多く聞くよりも,優れた作品を繰り返し聞くことの方が,はるかに合理的であり,情操を磨く上でもポジティブに機能すると思っている。歴史に残る名盤というものではないかもしれないが,間違いなく記憶には残る作品である。星★★★★☆。それにしても,後の香津美と大きな違いを感じられるのも凄い。

Recorded Live at 根室市民会館 on February 7, 1976

Personnel: 日野元彦(ds),山口真文(ts),清水靖晃(ts, ss),渡辺香津美(g),井野信義(b)

2013年12月 7日 (土)

相変わらず記事の更新に苦労中だが,早いうちにWill Lee観戦記を。

24_street_band001 何だかんだで忙しい日々を過ごしているため,なかなか記事をアップできずに,どうも具合がよくないが,先日のWill Lee & Familyのライブについて,記憶が薄れないうちに記事をアップしておこう。

私の中ではWill Leeは"Late Night with David Letterman"におけるThe World Most Dangerous Band(現在のCBS Orchestra)のメンバーとしての記憶が最も深い。もちろん,私が渡米する前から,Will Leeはセッションマンとしていろいろなアルバムに顔を出していたから,そもそも認識もしていたわけだが,毎夜毎晩,TVでお目に掛かっていたら親しみも湧くってもんである。そして,今回だが,オープニングは24丁目バンドの"Quack!!"で始まり,アンコールは"Shoppin' Round Again"で締めたと記憶している。それ以外は,新作からのレパートリーが多かったようだが,アンコールの1曲目にはハーモニクスを多用した"Smile"も演奏していたが,これも新作からのレパートリーってことになる。

Metro001 そして,今回のライブであるが,とにかく芸人魂炸裂である。聴衆を盛り上げる術は"David Letterman Show"で十分に身に付けていることはこちらも承知しているが,それにしてもよくやるわ。アンコールでは客席の柱の上でプレイしているのだから,これはもう大したものである。Will LeeだけでなくChuck Loebまでやっているんだから,ますます笑えたが,Will Leeは既に還暦を迎え,Loebも還暦近いことを考えると,歳とっても元気だねぇと言わざるをえない。そして,Will Lee,やはり歌も相変わらずいけているし,体型も維持しているから,見た目は非常に若い。ついついあやかりたいなんて思っていた私である。

Bfd001 それを支えるのがSteve Gaddなのだから,何をかいわんやであるが,加えて二人の若手も結構優秀なのには驚いた。  Oli Rockbergerの方はBrecker Brothers Reunion Bandでも演奏していたので知っていたが,これが初めてのGiulio Carmassiはキーボードだけでなく,ギター,サックス,フリューゲルホーンもこなすマルチ・インストゥルメンタリストで,そのどれにも破綻がないのは立派である。まだまだ若いと見たが,やはり米国の音楽界は奥が深いねぇと思ってしまった。この二人は昨年の来日時にも同行しているようだから,定期的にやっているのかもしれないが,それにしても大したものである。

まぁ,演奏はエンタテインメントに徹して楽しいものであったが,先日も書いたとおり,私の体調が今イチだったのはつくづく惜しい。そして,終了後のサイン会にはWill Lee,Chuck Loebに加えてSteve Gaddまで登場したが,私はWill Lee関係作しか持っていかなったのは惜しかった。まぁ,話はしたからいいんだが(笑)。ということで,今回は収穫の3枚の画像をアップしておこう。24丁目バンドのHiram BullockのサインはWill Leeが真似してしたもの(笑)。Metroはこれで4人分揃い(W. Haffnerはダブっているが),そしてBFDのようなマイナー盤もちゃんとWill Leeは記憶していたのが素晴らしいねぇ。

Live at Cotton Club on December 5, 2013, 2nd Set

Personnel: Will Lee (b,vo), Steve Gadd (ds), Chuck Loeb (g, vo), Giulio Carmassi (key,g, fl-h, ts, vo), Oli Rockberger (key,vo)

2013年12月 6日 (金)

Will Leeを見に行ったのだが...

Will_lees_family_band01119 ここのところの風邪で体調がすぐれない中,仕事を終えて,Cotton ClubでのWill Leeのライブに向かった。でも予想通りというか,体調が悪いため,ついつい音楽への集中力がそがれてしまったのは返す返すも残念。自己責任だが。

ということで,ライブの模様は詳しくは別途ご報告とするが,楽しいライブだったのは間違いない。でも私の体調が悪過ぎたのだ(爆)。

2013年12月 4日 (水)

マルティノンの「幻想」はエレガントだわ~。

Photo "Berioz: Symphonie Fantastique" Jean Martinon / Orchestre National de L'O.R.T.F (EMI)

鬼の霍乱と言うべきか,日頃の飲み過ぎがたたったかで風邪をひいてしまった私である。今回の風邪は喉に来るというのは本当のようで,咳,痰,鼻水の三重苦である。こんな状態なら,さっさと寝ればいいのだが,早過ぎても眠れないということで,気まぐれで聞いていたのが「幻想」である。このブログでも何度か書いたが,私はクラシックのオーケストラ作品では「幻想」を偏愛するというかなりの変態である。昔は相当数のLPを保有していたが何だかんだで今も昔も好きなのがJean Martinonがフランス国立放送管弦楽団を振ったこのアルバムである。

元々は私の亡くなった父がこのLPを持っていて,妙に印象に残るジャケットのせいもあって,私も父からLPを借りては聞いていた。そして,東京で一人暮らしを始めた際に,まずは自分のために買ったクラシックのアルバムはこれと,Henryk Szeryngのバッハの無伴奏だったのではなかったかと記憶する。バッハはさておき,それぐらいこの演奏が好きだったのである。なぜなのかは今となっては全く思い出せないのだが,若い頃というのは背伸びをしてみたり,人と違うことを言ったり,やってみたりしたくなったということもあるのではないだろうか。

私は,その後もかなりの数の「幻想」を買っては売りしたのだが,以前にも書いたとおり,私にとっての「幻想」の三本柱はこれとAbbado,そしてMyung-Whun Chungである。共通しているのは第二楽章にコルネットが入っている演奏だってことである。とにかく,私の場合,この曲で一番好きなのが第二楽章というこれまた変態であるが,コルネットが入っていない第二楽章はどうもピンとこないのである。

それはさておきであるが,その三本柱,全てにおいて個性が異なる。だが,間違いなく言えるのはMartinonの演奏がまさに「エレガント」だということである。いかにもフランス的な響きと言ってもよいだろうが,フランス人であるベルリオーズの音楽をフランス人が演奏するとこうなるって感じである。同じフランス・コンビのMunch/パリ管と対極にあると言えてしまうのが面白いところである。そうなると,音の好みってことになるが,私にとってはこの曲はMartinonのように振って欲しい。それがやはり原体験ってことなのかもしれないが,初めてこの曲を聞いてから40年近くが経過しても,その気持ちには一切変わりがない。成長しないのか,頑固なのかはさておき,やっぱりこの演奏は素晴らしいということで,星★★★★★。このLPを父がどういうつもりで購入したのかは謎だが,その審美眼に感謝したいと思う。

ということで,このアルバムのジャケはLPのものこそが私にとってのイメージである。全く違ったジャケで,CDでも再発されているが,ここではLPのカバーをアップしておこう。

2013年12月 3日 (火)

Mark Williamson:ほとんど認知されていないであろうAOR作

Mark_williamson "Time Slipping By" Mark Williamson(Peak/GRP)

CDの整理をしていて出てきたので,久々にこのアルバムを聞いた。

このアルバムは国内盤もリリースされたことがあるはずだが,おそらくほとんど認知されていないであろう作品だろう。だが,当時はRippingtonsのRuss Freemanが立ち上げたPeak Recordsからのリリース(プロデュースもFreemanがWilliamsonと共同で行っている)で,それをバックアップしたのが当時は隆盛を誇ったGRPなので,相応の期待もあったであろうし,もう少し売れてもよさそうだと思えるもの。しかし,売れたという話は一切聞いたことがない(笑)。

まぁ,音楽としては典型的なAORなので,フュージョン・レーベルとしてのGRPからの作品としては,やや毛色が違うところもあったであろうが,よくよく聞いてみれば,もう少し知られてもよかったのではないかとも思える作品集である。そうは言っても,当時のスムーズ・ジャズのFMステーションでのエアプレイを狙うには曲にややウェットな感覚もあるし,Mark Williamsonの声そのものがやや渋いかなぁとも思えるため,そうした点が大きな成功につながらなかった要因ではないかと思える。

だが,曲としては結構粒が揃っているし,メンツも揃っているので,決して悪い作品ではない。時折入るEric Marienthalのサックス・ソロは完全にスムーズ・ジャズ路線なので笑えるぐらいだが...。決して頻繁に聞こうとは思わないが,おそらくは売ることもないだろうという感じのアルバム。曲としてはタイトル・トラックが最もいけていないように感じるのは私だけだろうか(苦笑)。星★★★。

Personnel:Mark Williamson(vo, key), Russ Freeman(g, key), Michael Thompson(g), Robin Bolt(g), Dave Kook(p, org), Joe Gallo(key), Chris Eaton(key), John Savannah Snow(key), Tom Coster, Jr.(key), Vince Cross(p), Leland Sklar(b), Pino Palladino(b), Mike Baird(ds), Nigel Pegrum(perc), Eric Marienthal(sax), Walt Fowler(tp), Steve Medio(tp), Bruce Fowler(tb), Art Wood(loop), Lance Ellington(vo), Annie McCaig(vo), Phil Perry(vo), James Gilstrap(vo), Jocelyn Brown(vo), L.A. Choir(vo), London Choir(vo) with strings

2013年12月 2日 (月)

久々にRandy Crawfordを聞いた。

Randy_crawford "Now We May Begin" Randy Crawford (Warner Brothers)

Randy Crawfordが一躍注目を集めたのはCrusadersの"Street Life"においてであることに疑問を差し挟む余地はないところだが,その成功を受けて"Street Life"の翌年に,Crusadersの全面的なバックアップを受けてリリースした作品である。プロデュースはStix Hooper,Joe Sample,そしてWilton Felderが務めるだけでなく,伴奏にも大きく関与しており,Sampleについては全面的に参加しているのだから,力が入っているねぇと言いたくなる。

歌唱自体はまごうことなきRandy Crawfordの声であるが,ジャズ的なフレイヴァーは極めて希薄で,軽いソウル・ミュージックと考えた方がいい。だが,ストリングスのアレンジもSampleが担当していることもあり,Crusaders的なテイストも持ち合わせているのは当然のことではある。

だが,今の耳で聞くと,私にとってはアルバム1枚を聞き通すってのはちょっときついなぁというのが正直なところである。"Street Life"におけるアクセントとしての使い方ならばいいのだが,1枚聞き通すと,若干飽きるって感じなのである。例えば,"One Day I'll Fly Away"はSampleとの共演によるLala Hathaway版の方が私にはフィット感が強い。それはおそらく声の質によるところだと思えばいいが,結局は個人の好みに依存している。私はあまり得意としないCrawfordが米国よりも欧州で成功したのは,彼女の音楽的なテイストゆえかもしれないが,適度な軽さというのが欧州で受けたと考えてもいいように思える。

ということで,このアルバムはCrusadersのファンは保有していてもいいだろうが,そうでない人にとっては,敢えて改めて購入するほどではないかなぁってのが正直なところである。だが,Randy Crawfordの名誉のために言っておくが,彼女が後年,Joe Sampleとリリースした"Feeling Good"は若い頃より渋さを増して,私にはそちらの方がずっとよく聞こえた。星★★★。

Personnel: Randy Crawford(vo), Joe Sample(key), Dean Parks(g), Roland Bautista(g), David T. Walker(g), Tim May(g), WIlton Felder(b, ts), Aberaham Laboriel(b), Stix Hooper(ds), Mike Baird(ds), Paulinho da Costa(perc), Eddie Brown(perc), Oscar Brasher(tp), Maxine Willard(vo), Julia Tilman(vo), Gwen Owens(vo), Melvin Franklin(vo)

2013年12月 1日 (日)

訃報:Paul Walker死す。「ワイルド・スピード」シリーズの行方は?

Paul_walker 突然の訃報である。「ワイルド・スピード」シリーズのBrian O'Conner役でお馴染みのPaul Walkerが現地時間11/30,自動車事故で亡くなったそうである。チャリティ・イベントへの出席途上か帰途かはわからないが,同乗していた車の事故での死亡と報じられている。まだ40歳,早過ぎる死である。既にアナウンスされている「ワイルド・スピード」の7作目は一体どうなってしまうのかは全くわからないが,まさか次作が追悼作になるとは...。誠に残念としか言いようがない。

そして,あれだけのド派手なカー・アクション映画のスターが,自動車事故で亡くなるというのはあまりにも皮肉である。謹んでご冥福を祈りたい。

R.I.P.

今回もロマンティシズム溢れるJulian & Roman Wasserfuhr

Running "Running" Julian & Roman Wasserfuhr (ACT)

この人たちの前作"Gravity"を聞いた時にも「ロマンティシズムという言葉はこういう音楽のためにある。」なんて書いた私である(記事はこちら)が,ほぼ2年振りに届けられた彼らの新譜でもそのイメージは変わらない。クレジットにはトランペットと書いてあるが,どう聞いてもフリューゲル・ホーンだろうという音を吹くJulian Wasserfuhrのサウンドはどこまでも優しく,都会の喧騒や師走の繁忙感を忘れさせてくれるような響きである。

今回,David Rynkowskiのヴォーカルが加わる曲があって,それはAOR的にさえ響くが,決してこのアルバムの中で流れを分断するようなものではなく,私には極めて心地よいものであった。

前にも書いたことであるが,ドイツという国からこういう音楽が出てくるのは意外性すら感じさせる。もちろん,ECMのようなレーベルもあるが,ドイツ人の演じるジャズはもっと武骨なイメージが強い中,この人たちが発露するロマンティックな感覚は,これからの冬にジャスト・フィットの温かみを与えてくれるものである。これは私にとっては前作同様に優れたアルバムであり,これもリピートに耐える音源である。

曲の中ではThe Whoの"Behind Blue Eys"やらBeatlesの"No Where Man"が浮いて見えるが,もとからが美しい曲としての特性を持つ前者も,ゆったりとしたテンポで演じられる後者も,アルバムの中に自然に収まっていることにこの人たちのセンスのよさを感じる。Brad Mehldauもまさにそうだが,今の時代のジャズ・ミュージシャンはロックに対する理解も進んでいるということを実証していると言ってもよいだろう。

ということで,このアルバムは前作ではまった私のようなリスナーも十分納得させる出来のアルバムとして,今回も推薦に値する。星★★★★☆。

Recorded in March, 2013

Personnel: Julian Wasserfuhr(tp, prog), Roman Wasserfuhr(p, key), Benjamin Garcia Alonso(b), Oliver Rehmann(ds, perc), David Rynkowski(vo), Kaori Yamagami(cello),

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